.【政治・外交・法律に関すること】
A51 何故、重大な刑事事件の裁判に、素人の市民が参加する「裁判員制度」が必要なのだろうか。
私には餅は餅屋、政治家にはプロの国会議員(A49参照)という持論があるので、
法律の知識のない一般市民の6人がにわか裁判員として、プロの裁判官3人と一緒になって
有罪か無罪かを決め、刑の重さも判断するという「裁判員制度」には賛成できない。
第一に、裁判員の選出対象が20歳以上の有権者全員(70歳以上は辞退可能)で、
各市区町村の選挙管理委員会が選挙人名簿をもとに、「クジ(抽選)」で裁判員候補者予定者名簿を作り、
地元の地裁に送り、名簿に載った人には地裁から通知がいく。事件が起訴され初公判の日取りが決まったら、
地裁はその名簿の中から事件ごとに候補者を「クジ」で選び出すのである。
法的な知識をもっている人が進んで裁判員に立候補するのなら問題はないが、
2度のクジで決定され、人を裁くことを強要されるのだから迷惑千万なことである。
ただ引き受けたくないという理由だけでは裁判員を辞退できないのである。
取引日が決まっている営業マンや残業などして仕事のやりくりしている人には、
突然の呼び出しで何日も法廷に通うことはつらいかぎりである。
第二は、義務に違反したら罰則があることで、公判当日に旅行や地域への参加などが決まっていても
出頭しなければ10万円以下の過料(行政罰)が科せられるのである。また、評議の経過など職務上
知り得たことを外部に漏らせば、1年以下の懲役か50万円以下の罰金(刑事罰)が科せられ、たとえ
裁判が終了しても、生涯にわたって事件や判決内容に対する自分の意見を人前で口に出せないのである。
こんな行き過ぎた秘密主義を盛り込んだ制度を許してよいものだろうか。守秘義務を緩やかにすると
裁判の公平さに欠けるというが、勝手に指名されるのだから、もっと柔軟に対応できるように願いたい。
個人の思想・信条により裁判員を辞退できるというのもおかしく、逆にいつも公安警察などから
付け狙われている人が裁判員のクジに当たったたとしても選任されるのだろうか。
2004年4月20の修正協議で、守秘義務違反に対する罰則の最高刑は懲役6カ月に引き下げられた。
第三に、国民の司法への関心・参加が目的だとのことだが、欧米の先進国で裁判に国民が参加する
仕組みが定着しているからといって、見習う必要はなく、制度の欠陥も多いのである。
映画『十二人の怒れる男』のようなことや、人種別、他宗教などの偏見からの誤った裁きも多く聞かれている。
フランス革命のように市民からの盛り上がりではなく、お上からの押し付けはいただけない。
私は何千人も入れるように法廷を大きくして、多くの市民の傍聴による司法への参加でも大きな改革だと思う。
NHKのアンケートでは3割強の人が参加してもよいという結果が出ているが、もし自分にクジが当たったら、
精神的な負担が大きいので、裁判員はやりたくないという人が6割を上回っているのである。
被告と偶然血が続いていたり、知人だったりしても、正当な評決ができるのでしょうか。
素人だけで事実を認定するアメリカの陪審制とは違うといっても、市民が司法への参加をして裁判員の
経験をすることが、素人の健全な常識が裁判に反映されて、本当に司法の改革になるのでしょうか。
私は裁判官を数倍、数十倍増やし、裁判の審理を迅速化してオーム裁判のような
長期化を無くすことが最善の方法だと思う。なぜなら、裁判が長期化するようなテロやハイジャック、
化学兵器やサリンのような毒物発散などの凶悪犯罪は審判員制度の対象から外されているのである。
オームのような無差別殺人などの凶悪犯罪は、たとえ20件の罪状があっても、
立件できる2件だけの審理でよいような改革の方が先だと思う。
もし制度に問題が出れば、見直しを図りながら見守ってゆけばよいというが、
ずぶの素人が含まれる裁判員たちに誤って死刑にされた後に見直してもらっても有難くない。
裁判員制度は、関連法案が2004年3月2日に閣議決定され、4月23日に衆院本会議で可決されたが、
実施は2009年4月が予定なので、各方面から多くの意見を聞き、
じっくりと最良の態勢でスタートしてほしい。いや、裁判員制度は廃案にしてほしい。
(H16.3.3、3.7、4.24、H19.2.28追加・訂正)















































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