A .【政治・外交・法律に関すること】
A54 何故、3人は、この時期この場所に立ち入ったのか。
イラクの邦人拘束(日本人人質事件)について
「拉致」の項で、この事件は「
誘拐」か「
拉致」か「
人質」かを取り上げたが、
要求実現のための脅迫手段なので結果論としての「人質」が正しかったということになるかも。
「サラヤ・アルムジャヒディン」(イスラム戦士軍団)を名乗る犯人グループから、2004年4月11日に
「我々はイラクのイスラム聖職者協会の要求に従い、日本人人質3人を24時間以内に解放する」旨の
声明が出されて、ひとまず安心というところだったが、しかし、24時間が過ぎても人質の安否がいまだ
確認できておらず、「情報の錯綜」により混迷の様相を深めていたが、高遠さんら3人は4月15に開放されて
4月18日に帰国。4月17日に開放された安田さんら2人は20日に帰国し、本件は解決している。
今回の3人の行動を別な視点(人命優先、自衛隊撤退を除いた)からの意見を集めてみた。
ネットで拾った一部の意見
●貴方がた3人はボランテアとかカメラマンとして入国したのでしょうが、自衛隊は続行致します。
ボランテアなどで入国する方は、自分勝手な行動をしないで、他人に迷惑を賭けない様に、
先の事を良く考えて行動して頂きたい。(MLのジョージ冨士山さん)
●3家族から子供たちの身勝手な行動により大騒ぎになり、
新聞、テレビと臨時報道して夜中まで日本国民や関係機関を眠らさない位心配をさせてるのに・・
『日本政府にご迷惑をかけて申し訳ありません』と言う言葉が一人としてありません。
おまけに「皆様のお力で無事に帰れるようにして欲しい!」としっかり涙で演技し過剰で出てくる。
子供が出かける前に外国の危険地域に行くのだから水杯を交わして別れは終わってるのでは
無いのでしょうか?この中の子供は18歳が一人で、34、32歳の中年の大人でしょうし、
揃いも揃った左翼のプロでしょうし、ホームページも立ち上げてるし寄付も募金も集めて
記事を書いてるし、売名行為を狙って出国してる筈。唯一人の18歳の少年を
イラクに行かせた親の責任を、メディアは一言でも言うべきでは無いでしょうか!
中年2名の男女は充分 危険承知で売名行為になるのも計算の中に入ってるでしょうし、
自己責任で覚悟してる筈なのだから、命乞いに親が東京のマスコミのフラッシュの中に出て来て
謝罪のためでは無くて、命乞い>とは中年子供の意志とは違うので無いのでしょうか?
政府に対する姿勢の批判ばかりで、3人の行動に対する批判が無いのは、
マスコミも新聞も絶対におかしい!! (中略)
しかし、この国は責任感覚が足りない。情け無い。こう言う馬鹿国民のために
日夜外国で任務に着き、母国では家族は夕べのささやかな祈りを捧げてるのに・・
自分勝手な無責任な中年子供とその老人家族には、腹が立つ。
毎度毒舌ですが、書き直す気はしない。(MLの加東洋子さん)
●もし、脅しに屈して自衛隊を撤退させたら、「日本人は人質にとって金儲けできる」と
世界中に知れ渡り、それこそあちこちで活躍してる日本人の人質事件が頻発しかねないでしょう。
海外旅行などとんでもないことになる事態もありうると思います。(MLのみきさん)
●今回の過激派の人質作戦は6月30日に迫ったイラクへの主権移譲を前に、イラクに派兵している
「有志連合」の最も弱い環の一つと、彼らが見なしている日本を標的にしたかく乱作戦とみてよい。
その点で外務省の対応は甘かった。現地の新聞・テレビの報道関係者は外出には警備員を
付けるほどの慎重さだ。これに比べ、過激派のソフト・ターゲットとなっているのは
NGO(非政府組織)やフリージャーナリスト、反戦平和運動家、人道支援活動家たちだ。
北朝鮮工作員による拉致事件とは違い、彼らは自分たちの意思で危険を承知で現地に赴いたのだ。
「自己責任」の自覚が必要であり、そのツケを政府に回すのは筋違いだ。
と同時に外務省は民間人が人質になる可能性を予測していたなら、邦人退避勧告にとどまらず、
渡航禁止など法的整備を行い、安全管理を徹底すべきだった。(オピニオンの社説の一部)
●解放された人質は早く日本に戻ってきて、心配や迷惑をかけたことを謝るべきでしょう。
日本に帰ってきて「私達のイラク人への思いが伝わって解放された。自衛隊の撤退に尽力すると
約束した。これからも、イラク戦争に反対し、自衛隊の撤退を求める」なんて
いいだしかねないのが恐ろしいのですが・・・(楽天広場の掲示板から)
●良心と分別のある国民は”被害者”とやらが帰ってきたとて、
英雄や国家の被害者などとして騒ぎ立てないようにすることだ。
マスコミがなんと言おうとも、(自称)市民団体がどんなに擁護しようとも、
いかに被害者であろうとも、彼らは自己責任で決まりを破り、国益を損ねた人間だ。
まず3人の謝罪ありきだ。それがない限り私の中での認識ではむしろ
彼らは被害者というより犯罪者に近い。(楽天広場の掲示板から)
●行くなと外務省勧告が出ていることさえ無視して行った彼らを何故助けなければならないのか?
国家の貴重な資源や資材を使わなければならないことは国益に反する事甚だしい。
感情論で物言うのではなく、ご家族には例え死んだとしても日本の外交に関する礎となって
本望ですと何故いえないのだろう? 今回の政府の態度は国際的信用を得た事では
大きな成果があったと思うよね。(楽天広場の掲示板から)
●まず、彼らは渡航自粛勧告下での無謀な渡航である。北朝鮮拉致被害家族とは全く違う。
勝手に行って何で助けねばならないのか?そんなことに税金を無駄使いされたくない。
社会貢献している?と言うことは免罪符にならない。企業戦士として確り稼いで納税することも
立派な社会貢献である。家族の「報ステ」出演をみて、放置が正しいと傾いてしまった。
北朝鮮拉致被害家族は不可抗力であったが、今回は全く違うのだから。家族には申し訳ないが、
国のいう事を聞かずに行った人を救うために国益を失ってはならない。(楽天広場の掲示板から)
●皆に、国に、派遣された自衛隊員に、よその国にも迷惑をかけておきながら
「人命優先。絶対助けて欲しい。自衛隊の撤退を望む。」気持ちはわかるよ。
だけどまず言うべき言葉があるだろう?「息子の勝手な行動で多大な迷惑をおかけして」って・・
山で遭難したらヘリとばして何百万、さらに捜索隊にかかる費用。これって遭難者の
自己負担なんだよね。自衛隊を撤退させろと言うのなら、それにかかる費用も負担するか?
ならば認めるけど?マスコミってどうしてこの事を報道しないのだろう?
「3人の軽はずみな行動で皆が迷惑している」って。(楽天広場の掲示板から)
私見としては、以上あえて3人が無謀な行動とする側の意見の一部を取り上げてみたように、
イラク情勢は悪化の一途をたどっている時期なので、外務省からは退避勧告も出ていたし、
彼らが踏み入った場所はイラク国内でも戦闘地域とされている平時の論理が通用しない戦場である。
それにもかかわらず、彼らは自分勝手な行動をしたのは、電子メールにもあるように、
危険にさらされる覚悟は持っていたと考えられるし、ホテルを出るとき、従業員から危ないから
止めろとの忠告を振り切って出発したそうで、『自己責任』で死を覚悟していたとも過言ではない。
「何かあったら、国が自分の生命を守ってくれるはずだ」と思っていたら大間違いで、
自らの行動には常に「自己責任」がつきまとうものである。
『自業自得』だという人もいるように、無謀な行動による結果が出ただけのことで、
前記のきびしい意見通りに「売名行為」と言われてもしかたがない。
福田元首相の「人命は地球より重い」と言えたのは、1977年にダッカで起きた「金で解決」できた
事件だか、今回は「国の政策を変えさせる」要求なので、あのときは・・・と同等に扱うことはできない。
山の遭難で何百万円かかっても「自己責任」としての自己負担なのに、
彼ら民間人の無謀な行動のために、外務副大臣まで現地派遣するなど、
一体、何百万、何千万の国費(税金)が使われ、通常の公務に支障を来たすうえに、
小泉首相はじめ、政府首脳や各省庁の苦悩は計り知れないのである。
(
これらにかかった費用は、億単位だということを解放後に知らされたが、イラク聖職者協会などに、
政府が多額の金を使ったのだろうか。行政機関の1週間分の空白時間を、金に換算しているのだろうか。
「山の遭難を例にあげるのは筋違い、川で溺れている人の救助を例にあげろ!」と言う人もいるが、
どうしてもボランティア活動をしたいのなら、退避勧告が多発されている危険地域は避けて、
安全な場所での活動もできるのに、危険な方に向かったことにより、多額の国費が使われたことの
「自己責任」に対しての非難が例なので、水難救助の賞賛の例はあてはまらない。)
善悪の大小として、危険を冒してまで「何の目的」でバグダッドに行こうとしたかということで、
開放されてから彼らに聞いてみなければ分からないが、得ダネをとろうとしたのか、あるいは、
バグダッドのボランティア組織などから要請されていたということがないともいえない。
論点は何故、3人がこの時期に最も危険な地域に立ち入ったかと言うことで、
「人道支援やボランティア活動を止めろ」ということではありません。不幸にして命を失うことがあることを
自覚して行動すべきだということで、信念や善意としての行動が、独善になってはならない。
この事件の発生後にも、邦人フリージャーナリスト、反戦平和運動家、人道支援活動家たちが
現地に踏み込んでいるとのことだが、興味本位や取材競争で行くところではない。
ピューリッツア賞でも取ろうと思っていれば、それこそ二の舞となる。そのようになり、別な
邦人フリージャーナリスト2人が拘束され、せっかく4月15日に3人がめでたく開放されたというのに、
また悩みの種ができた。現地の状況を、いち早く伝えたいジャーナリスト魂をかきたてられての
行動などと言っているキャスターもいるが、
安全が最優先!!冒険はするな!!!!!
護衛付きのプロのジャーナリスト以外は、これ以上、国や世界に迷惑をかけないでほしい。
ここまできたら、自衛隊のイラク派遣の善悪を論じる問題ではなく、
すでに日本の国策としての人道支援が始まっているのだから、3人が無事開放されることと、
自衛隊員に一人の事故もなく支援がスムーズに遂行されるようにお祈りしましょう。
と言ったが、また2人のためにお祈りしなければならなくなった。
幸いにしてこの2人も4月17日に解放されたが、他の邦人も2度とこのようなことを起こさないでほしい。
4月21日の朝日新聞社説「自己責任」で、各国政府が自国民に出す退避勧告は重いが、
それに従っていては報道の使命や人道支援がまっとうできない場合は、紛争地ではいくらでもある。(中略)
やみくもに危険を冒すのは論外だが、危険を承知で行動する人がいてこそ、
世界が前進することも忘れたくない。と結んでいるが、これは新鮮な報道をいち早く伝えることが使命である
新聞社の特派員とかプロの報道カメラマンなどに言えることで、
必要にせまられていたとは思えない今回のNGOの活動家やフリージャーナリストには当てはまらないので、
彼らの自己責任についての論評で語ることはふさわしくない。
(H16.4.11、4.14、4.15、4.18、4.20、4.21追加・修正)