.【生活・文化に関すること】
F21 何故、プロ野球はルールを大切にしないのか。
先ずは、ドラフト制破り。そもそもドラフト制は、素質のある有望な選手が、特定球団にかたよって入団するのと、
際限ない契約金の高騰を防ぎ、プロ野球の発展と利益を擁護する観点から制定された新人選手選択規定で、
1965(昭和40)年にセ・パ全球団で決めた約束事であり、この制度がなかったら強いチームに多くの
有望な選手が入団して、他のチームとの実力の差がますます広がり、資本力のない球団は万年Bクラスで
プロ野球全体の面白味がなくなるからだ。このように社会的根拠のある制度を今も廃止提唱している球団が
資本力のある巨人、西部両球団である。ドラフト制は選手の職業選択の自由を妨げ、基本的人権を
無視しているという人がいるが、逆に希望する球団がその選手の入団拒否をした場合の人権や、
高額契約金で目玉の新人を獲得した代わりにトレードに出される選手の人権はどうでもよいのだろうか。
また、プロ野球連盟に入りたい3球団以上の採用願を提出し、リストアップされた新人に対して、従来通りの
ドラフト制度の抽選による指名を行う方法を提案した人もいるが、これらを許せばこの制度の目的が根幹から
くずれてしまう。ドラフトの「保護」の下、クジ運さえ良ければ有力選手を獲得できるのを「悪用」して努力を
怠っている球団は「お荷物」でしかなく、不人気球団は切り捨てられてもしかたがないと言う者もいるが、
勝てば勝つほど収益の上がるプロの球団が強化への努力をしない理由はなにもない。
1978年の「空白の1日」やトレードの1日の逆転指令で波乱が起きた「江川問題」、このときの巨人の
首脳陣の言った「選手にも球団の選択権を与えるべきだ」など、ドラフト制無視の言動をしてきた。
また元木選手も同じく巨人に入れなかったからアメリカ留学のように、若い盛りの1年を棒に振り、
ファンを失望させてまで実行するのは、本人の希望だけではなく周囲の影響の方が大と思う。
巨人に運良く入れた選手でも、いつまでも二軍にいるより他球団の一軍で伸び伸びとプレーした方が
どれだけ良かったかもしれない。不況の中の就職戦線できびしい競争をしいられている多くの若者や
リストラにあった働き盛りのサラリーマンの目には、ぜいたくとしか見えない。
退職前の毎月の手取りが30万円にも満たず、43年も同じ会社一筋に勤めた私の退職金が2千万円くらい
なのに、選手生命が短いとはいえ1年間で何億円までにも高騰した年俸は、腹立たしく思えると同時に
これからの球団経営に暗雲が垂れ込めてくるようだ。
(予感通り2004年6月に赤字続きの2球団の合併による球界再編問題が起きた)
巨人軍が最強となることがプロ野球界全体の発展になる、何かにつけリーグ脱退をにおわせる、
平気でやる違法トレードなど、絶大な人気を背景にエゴ・ゴリ押しを通し続け社会的モラルのない巨人に、
いつまでも付いていくファンが増えることはないだろう。
今までの巨人は長嶋人気が大で、私のようなアンチ巨人は多いが、アンチ長嶋という言葉は聞いたことがない。
しかし、平成13年5月15日の朝日新聞「声」欄の長崎市の平井秀夫さんの意見で、「日本球界のために
スタープレーヤーである松井選手はメジャーに行かず、日本へ残れ」という論旨の長嶋監督の意見は、
日本球界のためにということではなく、巨人軍のために残ってほしいという、極めて視野の狭い意見だとの
ことのように、やはり「巨人軍は永久に不滅です」の監督らしさが出ているように思える。また、平井さんの
結びで、巨人軍の視聴率低下の原因は、FAで有名選手を札束で集め、他球団との戦力格差を生じさせて
しまったためで、巨人軍への戦力一極集中が問題だということだったが、まさにその通りである。
江川・元木入団時にアンチ巨人となったせいか、いまだに2人がテレビに出ればチャンネルを変えている。
また、巨人ばかり応援するアナウンサーが出るテレビ番組は見ないことにしている。しかし、広島カープを
ひいきするニュースキャスターの番組は見ている自分もエゴだが、アンチ巨人だから許されるでしょう。
あれほど期待されて入った江川投手は短い現役野球人生に終わったし、元木選手も代打要員に甘んじている。
大金でずらりと4番バッターを揃えても日本一にはなれなかった。だったら交通ルールと同じく、
決まったルールは守り、嫌われない方が良い。金がなくても、ダイエーのようにトップに立てる。
度重なる制度改革で今や「骨抜き」状態のドラフト制は、発足当時のルールに戻すべきである。
次は、「フリーエージェント(FA)制」導入である。これは1993年に導入された出場登録日数が
1シーズン150日を満たし、通算10シーズン以上の資格を備えた選手に移籍の自由を認める制度である。
「10年目の脂の乗り切った実力のある選手なので、私を高額で買ってください」ということになる。資格要件は
違うにせよ、元はアメリカ大リーグが1976年から導入している制度を日本が1993年に採り入れたものである。
アメリカは実力イコール金と割り切っている選手が多いが、日本はサラリーマンと同じく、選手生命を
終えるまでの年齢と、チームへの愛着・忠誠心が強く、選手へのアンケート調査でも6割以上がFA宣言の
権利を行使するつもりはないと言っている。ドラフト制で行き詰ったゴリ押し球団が提唱したらしいが、
選手の年俸が高騰し、資本力のない球団は金の負担増で苦しむことになり、ドラフト制に逆行する。
巨人の清原和博、工藤公康両選手らは、FAを利用した移籍組である。
しかし、清原選手はオーナーからあれほどひどいことを言われたのに、生涯巨人宣言をしている。
私のように定年まで同じ会社一筋の精神と共感があり、彼に好感を持った。
3番目は1993年に導入された選手の「逆指名制度」。社会人(在籍2年以上)と大学生の選手に限り、
選手の希望を優先して1位、2位の選手を決める制度だが、これはドラフト制を無視したもので、金銭をからめた
新人選手獲得の動きをさらに加速させた。書けば書くほど腹が立つので汚いものには蓋をしておきましょう。
4番目は2001年に導入の「自由獲得枠制度」。各球団が高校生を除く2人まで、その球団を希望した選手を
獲得できるようなルールは、ドラフト制への挑戦である。
最後は野球協約破り。コミッショナーや球団社長が圧力に負けてルール無視を繰返してきたのは
周知の通りである。裏金疑惑にしても、前オリックス球団の井箟(いのう)重慶代表は「実行委員会や理事会で
『ちゃんと調べるべきだ』と提案したが、そのたびにコミッショナーやリーグの会長は『証拠がない』
『警察権がない』とうやむやにしてきた」と証言している。また、おかしな野球協約もあり、例えば球団の
新設時には、野球協約第36条の5で「新たに参加資格を取得した球団は60億円の加盟料を支払う」と
されているが、60億円とは何を根拠に決め、その金は何に使うのだろうか。
敷金や保証金としても1000万円も出せば充分だと思う。
近鉄とオリックス球団の赤字の最大の理由は、試合数減少による収入減だそうだが、私は際限なく
高騰した選手の年俸につきると思う。高額契約金・年俸のえさで、各球団の4番バッターや名ピッチャーばかり
引き抜いてきた巨人の罪は重い。破綻した両球団の合併に際し、いったん両球団を解散した上で新たな
運営会社を立ち上げることで合意しているが、金がないので合併する両球団がぞれぞれ30億円も
払えるわけがない。両球団の社長ともに、「元からある球団なので加盟料は払わない」と発言しているが、
本音は「加盟料は払えない」のだと思う。いずれにしても球界再編問題は、ペナントレースの最中に持ち出す
ことではなかったが、表に出たからには2リーグ制か1リーグ制だけでも早急に決め、監督・選手などの
球団関係者や野球ファンの不安解消に努めるべきである。

メーリングリストグループのT・Fさんの言葉を借りると、「巨人球団は、過去何人スター選手を
ダメにしてきたか。罪滅ぼしのため、今年のストーブリーグでは他球団から有力選手を札びらを
切って引き抜くことをやめ、来シーズンは、ペタにはわがままを許さず払っただけの仕事をしてもらい、
現有戦力と新人だけで戦ってみよ。」でした。

巨人の渡辺恒雄オーナーは2004年7月8日、報道陣から「選手会の古田会長(敦也・ヤクルト)が
オーナーと会いたいと要望しているが」との質問に、「無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ、
たかが選手が。立派な選手もいるけどね。オーナーと対等に話をする協約上の根拠は一つもない」と話した。
また、選手会側がストライキ権の行使に言及していることについては「どうぞどうぞ、やったらいい」と
強硬発言を繰り返した。ということだが、これが読売トップのオゴリの表れで、協約上の根拠を都合の良い方に
変えてきた巨人球団のトップがよく言えるね。どんな地位でも、話をすることに協約とは関係ないし、
労働組合法に違反することにもなる。私は古田捕手は立派な選手であり、「たかが」と言われる筋合いは
ないと思っているが、彼より立派な選手はどんな人か「ナベツネ」さん教えてください。
大阪近鉄バファローズのオーナーもひどい。経営破綻の事態は、きのう、きょうに起きたことではないはずで、
なにもペナントレースの最中に持ち出すような性急なことなのだろうか。近鉄球団の赤字は過去何年にも
わたり年間数十億円にも達していたのに、どんな体質改善・経営努力をしてきたのだろうか。破綻する前に
「大リーグのような球団の総年俸に枠を設けたり、球団譲渡にもかかわる放送権料を一括管理し各球団に
配分する。」ような提案をしてきたのだろうか。全てのオーナー達にも言えることだが、巨人一極集中の
分散の努力もしないで、人気金持ち球団の顔色ばかりうかがってきたのである。
ファンの間には怒りや不安、選手には動揺が広がり、ファン・選手ともに反対されてまで合併による
球界再編をする根拠は何なんだろう。「こんな若造に買収されてたまるか」というプライドでしょうか。
それだけだったら、このような事態になるまでほっておいた責任と、選手や球団関係者の将来のことを
考えて買収に応じるべきである。
巨人の渡辺恒雄オーナーは2004年7月21日、一部世論調査で2リーグ制の維持を求める声が半数以上を
占めたことについて、「何がファンの声だ。君らが勝手に扇動しておいて。世論は関係あるが、君らの予想が
間違えているだけだ」と話した。さらに「オールスターのスポンサーから、1リーグ制移行なら撤退との声が
上がっている」との問いには「ああ、どうぞ」とだけ答えた。翌日の22日にオーナーが巨人のセ・リーグ脱退、
パ・リーグ移籍を検討していることが明らかになった。これは、各種世論調査での2リーグ制維持を支持する声
と、阪神の野崎球団社長が巨人を除くセ・リーグ4球団と個別会談して2リーグ制維持のための合意案を
取りまとめる意向を7月15日に表明したことの「怒り・いらだち・反発」のほかにない。「よくも俺に逆らって
くれた!」ということで「俺にも考えがある」とはこのことだったのか。でも酒が入っていたとはいえ
「9月8日まで何も言わん」ということではなかったの?
曽我ひとみさん流に言わせてもらうと、「球界を牛耳り、独り占めしてきたのは
誰ですか」「球界をだめにしたのは誰ですか」

ドラフト候補選手へのスカウト活動で不適切な行為があったとして、この問題の道義的責任を取って、
2004年8月13日に辞任した読売巨人軍の渡辺恒雄オーナーのコメントは以下の通り。
「このような不祥事を起こしたことはきわめて遺憾であり、野球ファン、関係者の皆さまに深くおわびします。
多くの関係者がプロ野球をどう発展させるかを真剣に議論している重大な時期に、球界の将来をどうするかとは
別の問題であるとはいえ、ルール違反を犯した責任は重く、球団幹部を厳しく処分するよう指示しました。
自らの道義的な責任も痛感しており、読売巨人軍の取締役およびオーナーを辞任しました。
プロ野球の神髄がフェアなスポーツマンシップに依拠していることを巨人軍は十分承知しており、
自ら公表して襟を正すこととしました。今回の事態を深く反省し、野球ファンの皆さまのご理解を得たうえで、
新たな決意をもって真摯に野球の発展に力を注いでいく所存です。」

問題は吉田編成部長が2003年12月から2004年7月までの間、数回にわたり、食事代、交通費などの
名目で明治大学の一場靖弘選手のドラフト自由枠での獲得を目指して、現金約200万円を手渡したことだが、
辞任の本音を察するに、球界再編問題でワンマンに対する突き上げなどのゴタゴタから、いやけがさしたので
はなかろうか。豪腕・傲慢で鳴らしたナベツネさんの最後のコメントは自分でやってほしかったね。
ちまたで言われているように、今回の不祥事は「氷山の一角」でしょう。
ドラフト制度変更の中心となってきたのが、巨人と渡辺オーナーだったのに、自分たちが導入した一つの
「自由獲得枠」制度のもとで起きた不祥事で引責辞任するとは、これを因果応報と言うのでしょうね。
2004年9月20日、ニッポン放送の番組に生出演、半年ぶりにメディア復帰を果たした久米宏さんが
巨人の渡辺恒雄前オーナーを「辞めたっていうんだから、引っ込んだ方がいいんじゃないですかね」と
私の思っていることとピッタリ。復帰明けでもいいことを言うね。

今回のプロ野球の経営統合問題などでの最低人物は、2004年2月1日に就任したばかりの
根來コミッショナーである。問題がでれば早期の解決に向けて経営者側と選手とのコミュニケーションを
図るべきなのに、「ストを起こせば辞める」といって辞任の意思を示し、まったく無責任極まりない。
球界の混乱の原因を「1つは理屈でやりきれないこと。2番目は(合併問題などでの)近鉄の情報管理の甘さ。
1リーグ論が先行して議論がおかしくなったこと」と他人事のように話している。また辞任の理由について、
協議・交渉委員会に示した自らの3提案が「(球団の)管理経営権の侵害にあたる。人の領域に踏み込んで
自分だけ血を流さないわけにはいかない」と説明しているが、「自分には権限がない」のは古田選手会長だって
同じこと。2004年9月29日の臨時オーナー会議で、コミッショナーを12球団が全会一致で慰留したことに対し、
彼は「私の、職を辞するという決意について、実行委員会でもオーナー会議でも(慰留の)話をいただいた。
ストライキは収まったが、やり残したことはたくさんあり、次のコミッショナーが決まるまでは、
私が職を続けるということで決着した」と留任することを了承したが、やり残したことはたくさんあったのなら、
どうして辞意を表明したのでしょう。
次の悪人は近鉄社長や足高球団代表などの首脳陣で、最善の体質改善・経営努力をしないで長年に渡り
膨大な累積赤字をかかえてきたのに、面子にこだわったのか、ライブドアの買収に応じなかったことである。
浅野史郎宮城県知事も、後から名乗り出た楽天を戸惑いの中にも歓迎の意向を示し「ライブドア優先」発言を
撤回したり、ライブドアの申請前に楽天から電話があったなど、戦国武将のように自分たちに有利な方に
ころころ替えるやりかたも男らしくない。仙台が最適として早くから申請していた会社を優先すべきで、
会社の規模や収益が大きい小さいの問題ではない。
汚いのはプロ野球参入を後から表明した楽天の三木谷浩史社長で、ライブドアの堀江貴文社長が
最初に仙台市を本拠地に参入を申請しているのに、なにもこの仙台の進出を意思表示することはなく、
ごたごたを起こしての売名行為や自分の会社を誇示したいのだと言われてもしかたがない。
ライブドアが楽天に不快感を示していることには「ライブドアだって、当初は近鉄買収を考えていったのに、
(仙台へ)気持ちが変わったという側面もある。」と言うが、近鉄が買収に応じてくれなかったので
どうしようもないでしょう。堀江社長も「楽天は3年連続赤字ということを知っているか」のような
参入に関係ないことは言ってはならないし、県知事の前でのノーネクタイは紳士的とはいえない。
参 : NPBウエーバー制度F33
(H15.7.24、H16.6.27、7.10、7.11、7.23、8.13、9.21、9.24、9.26、9.30追加・訂正)




































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