清水さんのメールや「釣戦記」を読んでも私の考えは変わりませんでした。その違いを表にまとめてみました。
あくまで私(正義の味方)個人の意見として違う部分を述べただけで、訴訟に反対する意図はありません。
ブラックバス釣りについて、清水國明さんとの見解の違い
争点 見解や主張の相違点
清水さん(擁護派・条例反対派) 正義の味方(駆除派・条例推進派)
@ キャッチ&リリース禁止 生きものを殺すことを義務づけて
法制化することは許されないので、
そんな決まりに従う義務はない。
リリースしない釣りを否定しないが
、あえて殺さない釣りの楽しみ方も
あり、バスフィッシングは、釣ること
を目的にして、釣った後は再放流、
すなわちリリースすることを前提に
楽しむアウトドアスポーツです。遊び
によって無益な殺生をしたくはない。
ルールが最優先。国の法律より、
自治体の条例の方が優先します。
その自治体の保有する湖沼の条例
には従うべきです。しかし、訴訟する
権利はあなたのもので、自己主張して
戦うことには賛同しますが、現時点で
琵琶湖にリリースするのは条例違反と
なります。すべての自治体がリリース
を禁止しているわけではないので、
そこで釣りを楽しめばよいでしょう。
A キャッチ&イート キャッチ&イートは否定しないが、
リリース禁止にすることはない。
釣り人が釣りを楽しむ権利を認めず
、お金儲けだけを優先する法律を
作っている。リリース禁止は
バスフィッシングの禁止です。
釣ったら持ち帰ればよいことで、バス
フィッシングの醍醐味は変わらない。
リリースを禁じているのみで、釣りを
楽しむ権利を奪っている条例では
ないし、そのことが精神的苦痛を
被るとは思えません。
B 在来種のダメージ 排水溝のような河川、護岸整備、
取水堰など、の工事による水質
汚濁などの環境破壊や水質悪化
が原因。メディア報道による影響力
や説得力によるものも大きい。
バスが在来魚に著しい影響を及
ぼすほどの生息数になっているとは
思えない。
護岸の崩落・河川の氾濫防止や
飲料水の確保には治水事業は必要で、
ある程度のダメージはやむをえない。
益魚とは言えないバスの存在自体が、
既存の生態系を乱す環境破壊だと
いえる。芦ノ湖のバスも最初はたった
90匹だったのです。本格的な調査を
していない琵琶湖も、将来のことは
断言できない。環境破壊が原因で
在来漁が減少したことが明白でも、
バスによる減少が皆無ではない。
C 食害が問題視される
ワカサギは移入種であり、
その湖の固有種では
ないのに、ブラックバス
だけを排除する
ブラックバスは、公共の福祉に
反するような排除生物ではない。
固有種ということにこだわると多くの
魚を排除しなければならなくなる。
ワカサギは小さ<、か弱い魚で美味。
ブラックバスは大きくて肉食の獰猛な
魚で、食べてもおいしい魚とはいえない
ので嫌われていると思う。ピラニアは
もっと獰猛だから嫌われているのです。
D 魚種認定されている
外来種もいる
外来種であるオオクチバスは
一部の湖沼では魚種認定され、
社会的に有用種と言える
その自治体の保有する湖沼の法律に
従い、認めているところでは大いに
釣りを楽しめばよい。
E ブラックバスやブルーギル
だけは肉食魚
在来種のヤマメ、イワナ、ニゴイ
なども河川の鮎を捕食する。
大食するバスと小さなヤマメなどの
食には大差がある。
ブラックバスの歴史
国家レベルで意図的に移入し、
有効利用されてきた。
食糧難時代に芦ノ湖のみに放流が
許されていて、現在も変わりはない。
F 大型肉食魚の排除問題
と代替案
日本に来て、健気に生きている
魚を排除する必要はなく、
ブラックバスだけが繁殖力が強い
魚だという根拠はない。
在来種があまり育たなくて、河川への
流出のない湖沼を保有している自治体
が名乗り出て、それら何箇所のみを
環境順応度の高い大型肉食魚専用の
釣り場所にすればよい。当たり前の
魚食魚が生態系を変えると思う。
G 魚を殺すこと 釣り人にも子どもたちにも殺戮を
強要している。子供たちに命の
重さを教えることができない。
リリースしても死亡するバスは多く、
助からないような魚を持ち帰ることも、
殺すことに変わりなく、バスフィッシング
は面白い遊びだけのものといえる。
100回リリースしたからといって、
口が切れるほど引っ張られて、喜ぶ
魚はいなく、残酷さは変わらない。
H バス釣りは犯罪 犯罪ではない。魚と遊ぶ釣りが
したいだけで、魚を獲ることでは
なく釣ることが目的である。
犯罪ではないが、バスを密放流した
釣り人やバス釣り関係者は犯罪者で
ある。これがなければ琵琶湖問題は
起きていなく、原点は心無い関係者
にある。マナーやモラルを守らない人が
いる限り、条例は必要で、懲役刑を
設けてもよい。益々温暖化する日本に、
ピラニアを密放流することもあり得る。
I バスは害魚 魚食魚が魚を食べるのは
当たり前で、これをもって「害」と
言うことはできないし、根拠は
ない。バスが魚を食うのが悪いと
いうのなら、タイもハマチもマグロ
もナマズもみんな魚を食べる。
害魚とは言えないにしても、益魚で
はなく、釣り人のスポーツだけのもの
と言える。それに比べ、鮎やワカサギ
はれっきとした益魚で全国民が好む
魚である。その益魚を1匹でも食す
魚は共存させない方がよい。


「釣戦記」に関しての私の寸評
  ●表紙の憂鬱そうな顔は訴訟に負けるような予感を思わせる。元来の明るい笑顔の方がよかった。
  ●筆者と投稿者のコメントの線引きがはっきりしていなくて読みづらい。
    投稿者の主題の下に投稿者を載せた方が良かったと思う。
  ●私の場合は、リリース禁止はホームページの1項目の疑問問題なので、ニックネームを使用して
    いますが、行政訴訟の応援や反対発言としては、本名を名乗るべきだと思う。
    したがって、浅野大和さん以外の人のニックネームでのコメントは載せない方が良かったと思う。

清水さんからのメール全文
清水國明です。メールありがとうございます。ホームページも拝見しました。
私が訴訟している理由や、日本におけるバス釣りに関して、いくつかの誤解、曲解があると思いましたので、
返信させていただきます。訴訟に関する詳しいいきさつや、生物多様性、環境保全に関する私の思いなどは、
拙書「釣戦記」(つり人社刊)をご覧いただけると嬉しいです。また、環境科学的見地から外来魚問題の解決の
糸口を探る「ブラックバスがいじめられる本当の理由」青柳純著も、是非。では、以下に私の考えを述べます。
長文になりますが、よろしくお付き合いください。

キャッチアンドリリースとは、もともと生息していた魚をそのまま元に戻す行為です。
『キャッチ&リリース禁止』という、あいまいな言葉の意味するところは何なのでしょう?『釣った魚は個人の
責任において殺しなさい』ということなのです。生きものを殺すことを義務づけて法制化することは、
賛成、反対を論ずる前に絶対に許されることではありません。生物多様性を論じる人でも、これはおかしいと
感じるのではないでしょうか。きちんとした科学的な根拠がないまま、『キャッチ&リリース禁止条例』すなわち、
むやみやたらと生物を殺しなさい、という条例を作り、釣り人にも子どもたちにも殺戮を強要しているのです。
私に、そんな決まりに従う義務があるのか、あるとしたらどんな理由なのかを裁判の中で明らかにしてほしいと
訴えて、行政訴訟の原告になりました。

ブラックバスは、国民がこぞって駆除しなければならないような、公共の福祉に反するような排除生物では
ありません。国民の食生活の変化や輸入食材の影響で在来漁業が成り立たず、さらに加えて鮎の冷水病で
打撃を受けた内水面の漁業者が、生活のために、新規事業として外来魚駆除という公共事業を行うことには、
まったく反対していません。釣り人や水辺で遊ぶ子供にまで、殺せと強要しないでもらいたいのです。
「めだか」や「やご」がバスに食われて絶滅の危機だとかいう、噴飯ものの本があります。科学的検証を無視し、
問題をすり替えて面白おかしく、無責任に危機感を煽ってるだけの内容ですが、事情を知らない人たちは
そこに書いてあるデマを、すっかり信じてしまったようです。
ここぞとばかりに行政までもが、囃し立てているのですが、そうやって国民の目をそらし、誤魔化そうとして
いるのは、自らが行ってきた『乱獲・乱開発』と『環境汚染』の責任の所在ではないでしょうか。

人々にとっては、河川に棲息する魚類構成よりも、今までの河川の管理に係わる問題の方が重大です。
人間の都合だけで作られた排水溝のような河川、護岸整備、取水堰、ダム建設等は魚の自然繁殖を大きく
阻害しており、その環境変化の方がはるかに水生生物に影響を与えていると思います。
琵琶湖においては、琵琶湖総合開発という事業で葦原を埋め立て、湖岸をぐるりとコンクリートで固めたの
ですが、その際、長期にわたって水位を下げて行った工事のため、浅瀬でしか産卵できない在来種の
ほとんどが、壊滅的なダメージを受けました。比較的深場でも産卵できる外来魚がなんとか
生き残ったのですが、それをもって、ブラックバスが食べ尽くしたと喧伝しています。
護岸工事のせいで在来種が減ると訴えて、すでに多額の漁業補償金を手にしている漁業関係者までも、
今度は外来魚駆除事業という助成金のうまみにありつこうと、被害を誇大に訴えているのです。
乱開発の責任を問われたくない行政と利害が一致して、タッグを組んでいます。

ブラックバスが多く棲息する湖など止水域に目をやれば、明治以前においては、ほとんどのダム湖そのものが
存在しなかったこととなり、古来の自然という概念がありませんから固有種の問題は論外となるのでは
ありませんか。ダム湖はもちろん、自然湖においては多くの場合、非常に貧相な魚類構成であった湖が
ほとんどでしょう。新しい漁業法の制定により一部大きな湖を除き、第5種共同漁業権が与えられ
管理されるようになりますが、その管理の基本は、本来、内水面の豊富とは言えない魚類資源をいかに
管理するかということが視野にあり、アユ・ワカサギ・ニジマス・ヘラブナ・コイなど遊漁の利用を視野に入れた
放流事業が盛んに行われ、今の魚類相になったことは承知のとおりです。つまりここでも固有種ということに
こだわると多くの魚を排除しなければならなくなるのではないでしょうか。

食害が問題視されるワカサギにいたっては、多くの湖では明治以降に入れられた移入種であり、その湖の
固有種ではありません。つまり、多くの水域では固有の生物相という観点では除外される魚となります。
一部漁業権を与えられた湖では、その移入種の遊漁収入で他の漁業権魚種を放流し資源維持に役立てて
います。そもそも人の手によって魚類構成された湖では、固有種という考え方はすでにできません。

ブラックバスだけを排除する方針は、遊漁の利用を無視した第5種共同漁業権漁場の本来の姿から
かけはなれた考え方と感じます。まして、固有の生物相に被害を与えるから駆除という考え方は、
今までの内水面行政が漁協とともに行ってきた膨大な放流事業そのものを否定し、
すべて見直す事になってしまいます。

外来魚の移植放流が今ほど問題になる以前、法的になんら規制されていない頃には、漁業者も釣り人も、
一般の魚類愛好者たちも、珍しい種、有用な魚として多くの外来魚を積極的に飼育、放流してきたようです。

もちろん現在釣り人には、そのようなことをする人はいませんし、団体もありません。根拠もないのに、
為にする風評を流している人たちを、今後は厳しく法的に追及してゆく構えでいます。

元々そこにいなかった国内外来魚である鮎の放流。それに琵琶湖の魚類が混在して全国の河川に
拡散したという事実は、関係者の交わしていた書類から明らかになりました。にもかかわらず、
釣り人だけをスケープゴートにしようという企てを看過するつもりはありません。

今回、駆除を視野に入れた特定外来種を選定するために環境省が行ったパブリックコメントでは、
個別の種に関する意見8351件の内、ブラックバスの指定に反対または指定に対し配慮を求める意見は
7785件(93%)で、ブラックバス、ブルーギル、ニジマス(外来マス類)、雷魚等外来魚全般192件を
含めると95.5%にのぼりました。

日本の固有種を絶滅に追いやるとか、生態系を撹乱すると言われていますが、しかし、戦前から移入され、
現在まで80年もの間、ブラックバスのみの影響で絶滅した生物がいるのでしょうか?

昨年環境省が、外来魚だらけと言われている皇居のお堀で、水をすっかり抜く「かい堀」で、そこに棲む生物の
調査をしました。外来魚駆除キャンペーンに利用しようとしたのでしょう。ところが関係者の目論見に反して、
1万匹以上の在来種に対して、わずか60匹のブラックバスしか捕獲できませんでした。お先棒担ぎのマスコミも
当てがはずれて、こんなに粗大ごみが・・・、なんてレポートするしかなかったのです。

日本の自然は、農業林業漁業のみに利用されているわけではなく、観光やレジャー(もちろん釣りも)等、
他の産業にも広く、同レベルの社会的重要性をもって活用されていると思います。

外来種であるオオクチバスは一部の湖沼では魚種認定され、それを取り巻く産業に携わる人間、
楽しむ人間も膨大な数にのぼり、経済面のみならず、青少年が自然と触れ合うひとつのツールとして
活用されるなど、社会的に有用種と言えるのです。

ブラックバスやブルーギルなどの有害性を語られる時、宮城県の伊豆沼や京都府の深泥沼の話が
良く例として挙げられますが、いわゆる釣り場として各地にある水域では、明らかにブラックバスの個体数の
減少が見られます。メディアの報道や学識者の資料は前述の水域の、偏った話ばかりです。

ブラックバスは、明らかに年々釣れなくなってきています。つまり、劇的に減っているのです。
それが学者よりも誰よりも、その魚を年中追いかけている水辺の番人、釣り人たちの意見です。しかし、
マスコミなどでは今でも繁殖を続け、在来種を食い尽くしている、と言い続けてます。

漁業者や遊漁者の漁獲データなどを参考に検討してみれば、誰にも分る事実です。予め、バス=害魚の
先入観から議論が進められているようですね。ブラックバスは魚食性が強いから問題なのでしょうか。

河川の鮎はブラックバスだけでなく、ヤマメ、イワナ、ニゴイ、河口部においてはスズキなど、そして川鵜にも
多く捕食されてます。在来種の中心にも、魚食性の強い魚種は数多く生息しているのです。

取り立てブラックバスのみが問題視される背景には、駆除対策費という公共事業にまとわりついている
漁業関係者と政治家が、意図的に流布しているエキセントリックなまでの害魚論に起因していると感じます。

水産庁や環境省の担当者は公の場で、「ブラックバスを含む魚類に対しては、全国の生息実態は
把握していない」「自然界における外来魚と在来種の影響度合いの科学的データはほとんどない」
「ブラックバスの繁殖性についての知見は水産庁には無い」「ブラックバスが繁殖力が強いか弱いかの
知見は無い」と発言しております。

ブラックバスには、国家レベルで意図的に移入し、有効利用しされてきた長い歴史があります。
戦後の60年で日本はもとより、世界的に生物の住環境は急激に変化(交通網の発達、人の移動手段の拡大、
人の移動範囲・移動人口の拡大、経済発展の影響、環境汚染の広がり、輸送の発展、地球温暖化等)しました。
本来なら、数百年、数千年を費やしてゆっくりと変化してきた生物の進化、生態系、遺伝的変化等も、
今の時代は過去の歴史の中では考えも及ばないほどのスピードで変化しています。

グローバリズムに乗り遅れた人たちが、焦りと不安から真っ先に攻撃するのは、新しいもの、若い者、
そして外来のもの、だと聞いたことがあります。閉鎖的で排他的になる気持ちも分からないではないのですが、
身の回りにある沢山の外来品がいつのまにか生活になじんでいるように、そのうちきっと偏見なく、
誰もが親しむことができる、大切な魚になるだろうと信じています。今の私たちより以前から日本に来て、
健気に生きているのですからね。                                        以上








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