YSミニ辞典:あ(天下り関連

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天下り(golden parachute)あまくだり : 天降り。
    @天上界から地上に降りてくること。また、その人。役員として再就職すること。
    A上役からの、または官庁から民間への強制的な命令や押し付け。
    B退職した公務員(高級官僚など)が、仕事上のつながりの深い民間の企業や
     法人などの団体の要職(高い地位)に再就職すること。
     国家公務員法は、離職後2年間、退職前のポストと密接な関係にある営利企業に再就職することを
     原則禁止している。しかし、国の機関から特殊法人など関係法人への天下りや、関係法人から
     民間企業への天下りは規制の対象外で、関係法人を経由した「迂回(うかい)」が可能となっている。
     「天下り」は役所が各種団体・企業に対して「有形・無形の影響力」を持っているからこそ、
     行う意味があるので、元の役所で許認可権・制裁権・人事権などの権力のなかった平役人には
     天下りのポストはない。雇う会社は、元の役所の幹部や部下に口が聞ける大物しか選ばない。
     2003年の人事院の天下り承認件数は809件だが、特殊法人のような政府系機関とか
     公益法人は人事院の天下り承認の枠外になっているので、次官とか局長クラスの高級官僚は
     民間企業にはすぐ行かないで、所管の特殊法人とか公益法人に天下り、
     その後数年して退職金をたっぷり受けながら民間企業に再就職(天下る)するケースが多い。
     参 : 隠れ天下り問題官民人材交流センター(国会・政治関連に別掲)

    日本の国家公務員制度と天下り
    2006年1月現在、国家公務員のうち自衛官などを除いた一般職は30万1719人いる。
    このうち「キャリア官僚」と呼ばれるT種採用は1万5098人。
    各省の審議官や局長級以上の幹部のほとんどをT種採用者が占めている。
     一方、各省の課長、審議官、局長などのポストは限られ、同期の中でポストに就けなかった人は
    各省から公益法人や民間企業といった再就職先を用意してもらい、「肩たたき」されて退職する。
    最後には同期入省組から事務次官1人が残るというピラミッド型の人事制度で、
    「世界にも独特の慣例」(人事院)とされている。
    ネットで読んだある市会議員の「公務員制度」の一部を紹介すると、
    【官僚の給料だが、一般企業と比べてどうなのだろうか。入省して大体18年目で課長になり、
    そのとき初めて年収1000万円を越す。そして40代後半で審議官になって年収1400万円となり、
    ここでやっと民間に追いつく。それから局長で1800万円、事務次官で2500万円と民間を上回る。
    退職金は、局長で6000万円、事務次官で8000万円である。
     キャリア組と呼ばれる超エリート集団のトップでさえこの程度なのだから、国家公務員全体の給料は、
    民間と比較して決して良いとはいえない。これを補うために天下りのシステムがあり、
    局長以上で退職して、3年ごとに「渡り」を続ければ、公務員時代の30年分の年収総額を10数年で
    稼ぐことができるようになっている。キャリア組は、天下り先の面倒を70歳ぐらいまで見てもらえる。
    これが「遅れて支払われる報酬」といわれており、官僚の結束を固める最大要因の一つと
    いわれている。】とのことであるが、民間は会社の利益に対する報酬であるのに対し、
    昔からの弁を借りると、官僚は国民の税金で養われている公僕だということから、
    民間とは比較にならない。家族を養うための生活費は民間も公務員も違わないので、
    40代後半で年収1400万円がやっと民間に追いつくとは思えず、
    民間の40代後半の平均の年収で、1千万円以上の会社は聞いたことがないので、
    公務員としての官僚の給料はあまりにも高過ぎると思う。退職金が8000万円とはとんでもない。
    自分たちで勝手に規定などを改悪して給料を吊り上げ、
    国会議員もスライドされることから、だんまり戦術を決め込んだのであろう。
    ちなみに、係長であった40代後半の私の年収は600万円程度で、55歳から昇給は停止された。
    月々の手取りは各種保険や年金などの掛け金を差し引かれて20万円を超えることはなかった。
    会社一筋で43年間も勤めた退職金は2500万円に満たなかった。これでも大企業だったのである。

    天下りの事前報告制
    国の課長相当職以上の職員が、国の機関と密接な関係にある公益法人、独立行政法人
    特殊法人などの非営利法人に再就職する場合、事前に内閣への報告を義務付ける制度。
    政府が公務員制度改革関連法案の骨子に盛り込んだ。
    内閣は必要ならば是正措置を求めることができる。営利法人は承認制で天下りは原則禁止だが、
    非営利法人は事前報告制という「原則容認」の形を取っている。
    天下りのあっせん : 民主党政権は「天下りの根絶」を掲げ、
    2009年9月から中央省庁による天下りのあっせんを禁止している。
    総務省によると、省庁から天下りした国家公務員(課長・企画官級以上)は、
    少なくとも2008年8月までの1年間に1239人いたが、2009年度は1184人に減った。
    ただ、学識者らからは、天下り先の先輩が退職予定の後輩に
    内々にポストを紹介する「裏ルート」による天下りの指摘がある。
    天下り白書
    2005年3月25日に発表した人事院の天下り白書(営利企業への就職の承認に関する年次報告)では、
    人事院の承認を受け、出身省庁と関係のある民間企業に再就職した本省課長級以上の国家公務員は
    86人で、前年より12人増加した。うち本省課長以上と管区機関の長の「幹部職員」は26人だった。
    省庁別では、財務省19人、国土交通省14人、経済産業省11人、国税庁8人など。天下りの経緯は
    「官のあっせん、仲介など」が50.0%で、「自発的な就職活動や知人の紹介」が23.3%だった。
    しかし、その2005年4月の時点での独立行政法人や公益法人に天下りした国家公務員は
    2万2093人にのぼっていたことが2006年2月15日、衆院の調査でわかった。
    天下り先の3987法人への補助金交付額は、総額5兆5395億円に達している。
    調査は2005年10月、民主党議員の要請で衆院調査局が実施した。
    16省庁が所管する公益法人、独立行政法人や、国から補助金を受けている法人などにおける、
    国家公務員の出身者数や補助金交付額を調べた。
    天下りが最も多いのは、国土交通省で5762人。うち2265人が天下り先で役員待遇を受けている。
    厚生労働省が3561人、文部科学省が2260人で続いている。
    天下り先団体への国からの補助金などの交付金額は、文科省職員の天下り団体が
    国立大学運営交付金や私学助成などが含まれるため最多となり、2兆1588億円と
    全体の約4割をしめた。そのほかは、経済産業省が9091億円、財務省が8314億円だった。
    人事院の「営利企業への就職の承認に関する年次報告」によれば、
    2008年度の天下り人数は468人となっている
    2008年からの人事院による国家公務員の再就職の承認制度の廃止により、
    天下り人数を掲載していた「天下り白書」は廃止された。

    天下りあっせん慣例化(41都道府県であっせん、11県は「わたり」も)
     中央省庁で禁止された公務員の天下りや、再就職を繰り返す「わたり」のあっせんが、
    都道府県では広く続けられていることが、朝日新聞の取材でわかった。天下りは41都道府県で、
    「わたり」は11県で行われていた。あっせんをする理由について、県の担当者からは
    「再就職先の外郭団体や民間企業などの要望に応えるための慣例」との説明が目立つ。
     公務員の天下りの問題点として、再就職先に対して役所のチェックが甘くなったり、
    有利な取り計らいをしたりする恐れや、公費が投入されている外郭団体から
    高給が支払われるケースが指摘されている。民主党政権に交代直後の2009年9月、
    当時の鳩山由紀夫首相は閣議で「公務員の天下りに対する国民の厳しい批判に応える観点から、
    府省庁によるあっせんを直ちに禁止する」と表明した。
     朝日新聞は、地方での天下りのあっせん状況を調べるため、
    47都道府県の担当者にアンケートを実施するなどして全都道府県から回答を得た。
    その結果、「わたり」まであっせんしていたのは
    宮城、千葉、石川、福井、岐阜、静岡、愛知、滋賀、兵庫、徳島、長崎の11県だった。
    一方、あっせんをしていないのは神奈川、京都、鳥取、山口、高知、沖縄の6府県だった。
    2007年にあっせんをやめたある県の担当者は「再就職の支援は公平で透明な仕組みが
    必要と考えている。『要望があるから紹介している』では、県民に説明がつかない」と話した。
    (2010.11.21、朝日新聞より抜粋)

    旧日本道路公団や国発注の鋼鉄製橋梁工事をめぐる橋梁談合事件で、
    独禁法違反(不当な取引制限)と背任の罪に問われた旧公団元副総裁の内田道雄(61)、
    元理事の金子恒夫(58)両被告らの初公判が2005年12月16日、東京高裁(高橋省吾裁判長)で
    開かれた。検察は冒頭陳述で、「高値安定受注」をねらう橋梁メーカーと談合に関与することで
    OBを「天下り」させてきた官製談合の癒着構図を明らかにした。
    
    2004年3月5日の参院予算委員会で小泉首相は、「今後、事務次官経験者が天下りすることは
    ありません。天下りすることはもう許される時代ではない」と答弁したが、
    その後の事務次官からの反発やプレッシャーからか「事務次官を全部排除するわけではない。
    中には有能な人もいますから。当面天下りは半分とすることを目標にする」とコロリと変わってきたが、
    事務次官のすべてが有能ならすべてが天下りできることになる。
    人事院の承認制や天下りを全部禁止し、「肩タタキ」という早期退職勧奨制度を廃止して、
    公務員には民間と同じ60歳の定年まで勤めることにすれば天下りをなくせるのである。
    国家公務員は、離職後2年間は天下りを原則禁止しているが、何故原則を付ける必要があるのだ!
    無駄なグリーンピアなどの箱物を造ったりし、好き勝手なことをして国家に多大な損害を
    与えておきながら、職を退く時には多額の退職金をせしめ、
    その上に天下り先で談合調査役として悪巧みを働き、多額の報酬金や再度の退職金を得ている。
    国家公務員といえどもサラリーマンには違いないのだから、一般サラリーマンと同じく
    定年で退くことが出来ない理由はまったくない。とにかく天下りは全面禁止することだ!!
    それに特殊法人も必要ない。すべての法人は廃止すべきで、
    昔のように国家公務員のみでやれないことはない。天下り先を作っただけではないか!!!
     テレビで自民党の舛添議員が「公務員の中には優秀な人材がいるので天下りは必要だ。
    落ちこぼれ組みも救う必要がある」などと言っていたが、民間にも優秀な人材がたくさんいるのに
    みんな定年で辞めている。何故公務員だけ天下りで救う必要があるのだ!
    民間にも落ちこぼれ組みはいるが、税金を注ぎ込む人材バンクで救ってくれるのか!!


    朝日新聞(H15.11.7)「声」で、倉敷市の牧野 善征さんは、【・・・役人だったからといって、なぜ
    「天」を冠せねばならないのでしょう。歴史的に「お上崇拝」の感覚がいまだ根強く残っているのです。
    「官」は決して偉いのでなく、「民」が主導権を握る時代であるはずです。私的な思いですが、
    「役渡り」に表現を変えた方がよいのではないでしょうか。変えたからといってその悪習が改善される
    わけはないのでしょうが。】私は「役渡り」には賛成で、退職をしないで引き続き、かなりの待遇・役得や
    高額な報酬を得ているので、「変職」、「疑職」、「偽職」や、それに再を付けた「再変職」などでもよく、
    とにかく「天」さえ付かなければよいでしょう。企業は省庁へのコネや口がきくだけでよいために、
    特に高官を再雇用するが、一般サラリーマンの定年後の再就職のように実労働するのなら許せるが、
    ほとんどが仕事をせずに顔をきかしているだけになっているので、天下りは悪評が多いのである。
    国家公務員は、退職前5年間に在籍していた省庁と密接な関係にある企業へは退職後2年は
    再就職できないのが原則だが、人事院の承認を得れば可能になるというのが全く納得がいかない。
    また、2000年から天下りが増加傾向に転じているが、なぜ天下りを無くする方向にしないのか!!

    官公庁が発注する橋梁工事の入札で談合していたとされる鉄鋼メーカーなど47社のうち、
    なんと30社を超える会社に日本道路公団のOBが天下りしていたのが2005年5月に分かった。
    業者が公団内に立ち入るのは難しいが、OBなら自由にでき、公団の情報を取るためにメーカーは
    天下りを受け入れ、工事の受注調整などの談合をさせて高額で工事を請け負っているのである。
    このことが税の無駄遣いとなり、私たちの税金に跳ね返ってくることになるのである。
    石川島播磨重工業の広報室は「公団OBは技術的アドバイスをしてもらうのが目的で、
    基本的には営業活動に携わっていない」と言っているが、「いまだに技術的アドバイスを
    受けなければならないような技術レベルの低い会社か」と、お言葉を返させていただきたい。
    日本道路公団が発注する鉄鋼製橋梁工事の談合疑惑で、メーカー最大手の横河ブリッジに
    天下りした公団OBが、公団工事について三菱重工業幹部と相談する席で、各社への工事の割り振りを
    示していたことが分かり、発注調整の内容は公団側に筒抜けだったとされているように、
    天下り組は官公庁と企業とのパイプ役であるとともに税金掠(かす)め取りの張本人だとも言える。
    「百害あって一利なし」とはこのことで、天下りは完全廃絶しなければならない。
    鋼鉄製橋梁建設工事を巡る談合事件で、業界側の談合調整役だった横河ブリッジ前顧問の
    日本道路公団元理事、神田創造被告(70)=独占禁止法違反で起訴=が、東京地検特捜部など
    検察当局の調べに「天下りを継続するためにも談合は必要だった」と供述していることが分かった。
    談合が高値受注による業界側の利益だけでなく、天下り先確保という公団側の利益に
    直結していると当事者が認識していたことが裏付けられた。
    防衛施設庁発注の空調工事でも、業界大手の「大気社」に天下りした元幹部の技術審議官が、
    入札担当の現職幹部の協力を得て、各社に応札金額を指示するなど官製談合が繰り返され、
    2006年1月31日、現職の技術審議官と施設調査官とともに官庁の歴代ナンバー3らが
    官製談合事件として逮捕されるという異例の事態に発展したのである。

    2006年3月8日の朝日新聞「声」より、北九州市小倉南区の小野正一(71歳)さん投稿の要約では、
    中央省庁から外郭団体の役職員として天下り・出向している国家公務員は、
    2万2千余人(2005年4月時点)だそうで、天下りをなくすため、次の4点を提案したい。
     @キャリア制度の廃止である。国家公務員1級試験に合格すれば、
      みんなキャリアになれるが、試験で区別せず、能力主義でいくべきだ。
     A早期退職を廃止し、60歳の定年までしっかり働けるようにする。
      定年前の退職を促して公務員の人数を調整する手法がとりにくくなると言うが、
      民間のように採用を減らして調整すればよい。
     B公益法人や特殊法人を各省庁がお手盛りで作れないようにする。
      専門の審査機関を作り、首相の諮問機関として民間から若手の弁護士を採用して審査させる。
     C現在の公益法人や特殊法人を整理する。
      小泉首相が統廃合を指示していたが、統廃合されたのはほんのわずかである。
    なにしろこれらの団体への補助金は年間約5兆5400億円にのぼる。
    天下りは問題は先延ばしできず、今やらなければならない。


    政府は、国家公務員制度改革の一環として官民間の人事交流を促進するため、
    公務員の民間への天下りを事前規制している現行制度を撤廃する検討に入った。その代わりに、
    再就職した公務員OBが出身官庁に便宜供与を求めることなどを禁止行為として明示し、
    違反には罰則を設けるなどして事後規制を強める方針だが、OBの口利きなどを
    防止できるか否かは不透明で、天下りの受け入れ自体が便宜供与との指摘もあり、
    事前規制の撤廃は「天下りの拡大につながるだけ」との批判も出ている。
     公務員の天下りは国家公務員法で規制されており、人事院が承認した場合を除き、
    退職前5年間の職務と関係の深い業界への再就職は2年間禁止されている。ただ、
    出身官庁にいる元部下との接触を禁止するような規定がないため、2年を過ぎた後に天下ったOBが
    出身官庁へ便宜供与を働きかけることは可能で、事前規制の抑止効果を疑問視する声は少なくない。
    見直し案ではこの規制を撤廃し、その代わり、民間へ移った公務員OBによる口利きなど、
    出身官庁へ便宜供与を求める行為を禁止する。罰則として懲役や罰金などの刑事罰も検討している。
    ちゃんと多額の退職金をもらって職を退いた後にも、なぜ天下りが必要なんだ!
    悪の巣窟になっている天下りを完全撤廃するのは簡単なことなのに、どうしてできないのだ!!
    官民間の人事交流は現役の公務員で十分促進できることだし、
    官庁側への口利きなど、「即戦力」がすぐに欲しい民間のためにあるだけだ!!!
     2007年4月の国会での天下り規制の関連法案の決着が先送りになったのは、
    政府は「バンク職員に出身官庁職員のあっせんをさせない」とした方針に対し、
    自民党側が国家公務員の再就職あっせんを一元化する「新人材バンク」への省庁人事当局者の
    関与を強化して省庁人事を停滞させない仕組みを要求し、互いに譲らない構えだからである。
    漆間巌警察庁長官は「優秀な人材が集まらなくなり、国家百年の計からも問題」と話しているが、
    悪の温床に優秀な人材は必要ない。また、「改革は必要だが、拙速に進めれば職員の士気低下を
    招きかねない(委員の意見を)そんたくしている」と語ったそうだが、
    すでに何年も前から鈍足に進めているではないか。国民の多くは「天下り不要」を掲げているのに、
    再就職できなくなれば職員の士気低下を招くとは、次元や筋までも違っている。


    松岡農相「4法人への天下り廃止」表明
     松岡農相は2007年5月25日、閣議後の会見で、農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構
     発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件についてコメントし、
     林野庁所管の財団法人「林業土木コンサルタンツ」、財団法人「森公弘済会」、
     民間企業「フォレステック」、「片平エンジニアリング」の4法人への天下りについて「事実上、廃止する。
     将来も復活はありえない」と述べた。松岡農相は前田直登理事長が天下りについて「当面、自粛する。
     しかし、いつまでかはわからない」と表明したことに触れ、「自粛は事実上の廃止だ」と述べた。
     松岡農相は、議員会館事務所の経費問題や「緑資源機構」の官製談合事件などのスキャンダルで、
     厳しい批判にさらされ、国会での追及前に2007年5月28日に首吊り自殺したことから、
     「天下り廃止」はホゴにされるのでしょうか。

    社保庁システム、総額1兆4千億円 委託先に幹部天下り
     「宙に浮いた年金記録5000万件」の問題で、データの突き合わせに時間が
     かかるとみられている社会保険庁の情報処理システムに、1967年度以来、
     公費や保険料が約1兆4000億円投じられていたことが参議院厚生労働委員会の審議で
     2007年6月14日、明らかになった。2005年度には1100億円超が投入されていた。
     また、このシステムの運用管理を委託する4社に、
     社保庁の歴代幹部ら15人が役員や部長として再就職していたことも分かった。
      巨額のシステム発注先企業に職員が天下りする実態について、
     野党からは「癒着の構造だ」との批判が上がっている。
      社保庁の年金システムは、納付の記録管理システムと、給付システムに分かれており、
     NTTデータと日立製作所やそれぞれの関連企業が業務契約を結んでいる。
      14日の審議で、共産党の小池晃議員が、これまで社保庁側が契約企業に払ってきた金額の
     総額についてただしたのに対し、柳沢厚労相は「1兆4000億円」と説明した。
     内訳は、NTTデータ関連に1兆632億円、日立関連に3558億円だという。
     都心ではなくて坪単価も高額とは言えない場所のNTTデータに、
     社会保険庁は毎月9200万円もの家賃を払っていたのである。
     こんな馬鹿げた額になるのも、天下り組と社保庁の馴れ合い以外の何ものでもない。
     月100万円でも高過ぎるくらいで、社保庁は国民の税金から支出されているから、
     かくも湯水のように金を使うのだろう。以下は私の作り話であるが、実話になるかもしれない。
     (社保庁の天下り幹部・悪元)情報処理システムの建物借用料を月9200万円に上げて欲しい。
     (社保庁の現幹部)そんな法外な額で、世間にばれたらまずいんじゃーないですか?
     (社保庁の天下り幹部)何を言うんだ。俺の推薦する後釜は誰か分かっているんだろう?
     (社保庁の現幹部)分かりました。次年度の予算に計上しておきましょう。
     (企業の幹部)悪元さん、いつも目に掛けてもらって申し訳ありません。
     あなたと社保庁には見返りをたんまりさせていただきます。というような会話があったのだろうか。

    天下りOBの嘱託雇用が発覚した独立行政法人
     厚生労働省所管の3つの独立行政法人が、厚労省元幹部ら中央官庁出身の天下りOB計6人を
     給与水準が公表されない嘱託職員として雇用していることが、朝日新聞の調べで分かった。
     給与は役員に準じたレベルだが、嘱託職員のため、天下り凍結の対象外になっている。
     規制を免れ、天下り利権が温存される形になっている。
     @高齢・障害者雇用支援機構A雇用・能力開発機構B労働政策研究・研修機構の3法人で、
     いずれも厚労省の所管となっている。
     @の高齢・障害者雇用支援機構(高障機構)は高齢者や障害者の雇用を支援する。
      常勤役員5人のうち2人が同省OBで、戸苅利和・元厚労事務次官が理事長に就いている。
      この機構は、厚労、総務、財務各省のOB各1人を参事として雇用し、
      給与額を明らかにしていないが、2009年度概算要求の予算資料では年収約1200万円で、
      役員(1300〜1700万円)に準じた部長級の金額。
      また、出張旅費の支給は、役員と同じ扱いとなっている。
     Aの雇用・能力開発機構は職業能力の開発が目的で、公共職業訓練の実施や
      「私のしごと館」(京都府)の運営などを行っている。常勤役員6人のうち2人が同省OBである。
      参事と参与計2人がいずれも国家公務員OBと認めた。
      年収は公表資料で900万円以上の課長級としている。
     Bの労働政策研究・研修機構は労働に関する政策の調査や研究を行う。
      常勤役員3人の中に同省OBが1人いる。この機構も常任参与を1人雇用。
      公表資料で年収1千万円以上の部長級としている。
     政府関係者によると、独立法人で勤務する嘱託職員は期間限定で事務などを行い、
     年収は300〜400万円が一般的だという。同じような仕事をし、高額な退職金をもらって
     退職したあとの天下りOBが3〜4倍の年収とは・・・
     全く税金泥棒である。天下りする場合は退職金は半分以下にすればいい。

    天下り「指定席」9法人、収入9割が国費<朝日新聞調査>
      官僚OBが独立行政法人や公益法人の同じ役員ポストを歴代独占した上、
     多額の国費が支出されている問題で、2008年度に補助金や交付金などを受けた9団体が
     収入の9割超を国費に依存していたことが2009年12月8日、朝日新聞の調べで分かった。
     うち5団体は各地の地方整備局ごとに設立された建設弘済会や建設協会だった。
     年間収入の半分以上が国費という法人は全体の約3割に上り、
     天下りの「指定席」法人の収入が国費頼みである実態が浮き彫りになった。
      過去5代以上にわたって官僚OBが同一の役員ポストに就いている法人について、
     2008年度は独法や公益法人など194団体に国から補助金や交付金、委託費など計8700億円が
     支出されている。決算期が異なるなど、一律に比較できない2団体を除く192団体について調べた。
      収入に占める国費の割合が9割強だったのは、公益法人が関東、中国、北陸、四国の
     各建設弘済会や東北建設協会、港湾空港建設技術サービスセンター、自衛隊援護協会の7団体。
     独立行政法人では国民生活センターと海洋研究開発機構の2団体だった。
      建設弘済会や建設協会は1960年代に相次いで設立。主な業務は、道路・河川の巡回・巡視や
     予定価格に関する事務作業などで、全国八つの地方整備局からの業務を随意契約で受注してきた。
     2007年度以降、随意契約方式から公募や複数の業者に企画書などの
     提出を求める方式に変更されたものの、各整備局への依存度に大きな変化はない。
      関東建設弘済会は国費の割合が96%強で、公益法人では最も高かった。
     理事長ら常勤の理事3人全員が国土交通省OBだ。同会幹部は、国の事業の受注と
     天下り受け入れの関連性について「競争で受託しており、直接関係はない」と話している。
      一方、192団体のうち、国費が収入の5割以上を占めた法人は58団体で、全体の30.2%。
     「40〜50%未満」が14団体(7.3%)、「30〜40%未満」が16団体(8.3%)だった。
     「1割未満」も62団体(32.3%)あった。収入の半分以上が国費だった58団体を省庁別にみると、
     国交省が25団体と最多で、農林水産省が2番目で14団体、厚生労働省が3番目で6団体だった。
    原発事故、政官民の共同責任
    (2011.4.28、朝日新聞「声」より、札幌市の会社員・田村 孝允さん(59歳)の投稿文紹介)
     政府が経済産業省幹部の電力会社への再就職自粛を通知した。
    該当者は本省の大臣官房幹部や資源エネルギー庁の部長以上、
    原子力安全・保安院の審議官以上を経験した職員らで数百人規模になる。
     東京電力では過去に4人の通商産業省(現経産省)OBが役員になっているという。
    電力会社を監督する立場の経産省のOBが電力会社へ天下りしていたのでは、事故を起こした
    福島第一原発を含めて、安全指導に手心を加えていたのではないかと疑念を抱かれても仕方あるまい。
     天下りを受け入れるには企業側もメリットが必要だ。もし監督官庁がチェックを甘くしてコストのかかる
    安全設備を省略するために受け入れていたとしたなら、到底許されるものではない。
     ほかの電力会社9社にも現在、計10人余りが天下り、現役役員や役員含みの顧問などに
    就いているそうだが、官民癒着も甚だしい。エネ庁の石田徹前長官が1月に東電顧問に就任した際、
    枝野幸男官房長官は問題はないとの認識を示していたが(事故後に撤回)、
    官民癒着に迎合したものと断ぜざるを得ない。
     これらのことを考え合わせると、今回の事故は、政官民の共同責任ではないだろうか。
     企業が官僚を迎えるのは、監督省庁に対して有利な橋渡しをしてもらうためのメリットがあるからで、
    官僚個人の優秀な技量を買うのなら監督官庁でなくてもよいわけだ。

    航空系天下り先、解散へ(2011.6.15、朝日新聞より)
     旅客機のパイロット養成に関わる国土交通省所管の公益法人が、近く解散することが分かった。
    日本航空など航空5社からの会費で運営され、国交省OBの役員が多額の報酬を得ていた。
    航空業界の競争が激化する中、「天下りを養うためだけの法人」
    (大手航空会社関係者)を支えきれなくなった。
     この法人は航空機操縦士養成振興協会(航操振、東京都中央区)。
    1986年に設立され、常勤役員は国交省航空局OBの専務理事1人だけだ。
    ほぼすべての事業はパイロットを養成する航空大学校に関係するもので、訓練用の小型機を無償提供。
    2009年度には5億9千万円の会費のうち、事業費約5億5千万円を訓練機のリース代や整備費、
    専務理事の報酬(1500万円)に支出し、残りは職員の給与や退職金、事務所の賃料に充てていた。
     航空大は宮崎の本校のほか、仙台、帯広の両分校がある。
    航操振は地方事務所(現在は廃止)を宮崎本校と仙台分校に置くなど、航空大と一体で運営されてきた。
    航空会社側からは「民間で言えばトンネル法人だ」との指摘もあった。
     航空振への会費支払いは、国費で育てた航空大卒業生を採用する大手航空会社には
    「受益者負担」の側面があったとされる。だが、会費の半分以上を負担してきた日航が
    昨年1月に経営破綻。「当面は採用予定がないのに会費を負担するのは不公平だとして、
    昨春以降の支払いを拒否。約2億円を支払う全日空も多額の赤字を抱え、負担軽減を求めていた。
     国交省は、昨年4月の政府の事業仕分けで航空大への国費投入の縮減を求められ、
    新たに学生から1人40万円の施設設備費を徴収し、航空振の会費以外の航空会社も含め十数社に
    計4億3千万円の負担を割り当てる方針を決定。航空振も「役割がなくなった」として解散が決まった。
     航空会社に多額の会費を負担させ、天下り国交省OBを養うだけのような天下り先は
    解散して当然のことだ。民間のパイロット養成所のような航空大に国費を注ぎこむのもおかしい。

隠れ天下り問題(かくれあまくだりもんだい) : 厚生労働省所管の独立行政法人が同省OBらを
    嘱託職員として雇用していた問題で、役員に近い報酬をもらう地位でありながら、
    情報公開義務や人件費抑制などの法的規制の対象とならないことだ。
    高齢・障害者雇用支援機構の広報担当者は「3人の参事には、コンプライアンス推進計画の立案や
    内部監査実施計画の策定などの重要な業務を担当してもらっている。
    専門的な観点から助言・指導を行ってもらっているので、部長級の処遇をしている」と説明するが、
    同機構が公開している組織図には「参事」の文字は見られない。報酬についても、
    理事や監事などの役員は年収が公開されているが、参事の場合は非公開とされている。
    そのような点から、マスコミからは「天下り隠し」の批判が出た。
     長妻昭厚生労働相は2009年11月、厚労省所管の独法に常勤の嘱託職員として雇用されている
    同省元幹部らを4法人計10人と公表し、2009年度中に嘱託ポストを廃止する方針を示した。
    さらに、総務省が2009年12月8日に公表した年収1千万円以上を得ている
    98あるすべての独法の非正規の嘱託職員についての調査結果では、
    厚労、文部科学、総務の3省が関連する7法人の11ポストとしている。
    こうした「隠れ天下り」が確認され、最大で1326万円の年収を得ていた。
    調査によると、隠れ天下りが最も多かったのは、厚労省関連の8人。
    高齢・障害者雇用支援機構の参事に3人、雇用・能力開発機構の常任参事などに3人が天下っていた。
    文科省関連は日本学術振興会の審議役など2人、総務省関連は情報通信研究機構に1人だった。
    年収は1千万〜1200万円未満が4人、1200万〜1400万円未満が7人いた。
    総務省は所管する1ポストを廃止する方針で、他の所管省庁にも廃止の検討を要請した。
    原口一博総務相は12月8日の閣議後の記者会見で、「年収1千万円で嘱託と言えるのか。
    省庁あっせんで正規職員になると批判されるから、天下りを隠す意図があったと疑わざるを得ない」と
    批判し、「国民の平均年収」を基準にした再調査が必要だとの認識を示した。
    すでに各閣僚にさらなる精査を促したという。この問題は、朝日新聞の調べで、
    厚労省所管の3法人に計6人の官僚OBが嘱託の参与などの常勤ポストに就いていたことが発覚。
    長妻昭厚労相が6ポストの年内廃止を表明し、原口氏が全独法の調査を指示していた。
    鳩山政権は、国家公務員の天下りあっせんを認めておらず、
    独立行政法人と特殊法人の役員については公募制度を導入した。しかし、
    嘱託職員は規制の対象外で、給与水準を公表する必要がなく、天下り凍結の対象外となっている。






















































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