YSミニ辞典(H)

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H2Aロケット : 人工衛星打ち上げなどの宇宙ビジネス参入に向けて、
    宇宙開発事業団が開発した地上から約3万6千キロの静止軌道に重さ約10トン級の
    大型人口衛星を打ち上げる能力をもつ国産の2段式液体燃料ロケット。
    直径4メートル、全長は17階建てビルに相当する53メートル。重さ321トン(衛星除く)。
    燃料の液体水素を液体酸素と反応させて推進力を得る第1段、第2段と、大型の固体補助ロケット2本を
    備えたタイプが基本である。積む衛星の重さと投入軌道によって、小型の固体補助ロケットをつける。
    打ち上げ能力は、静止遷移軌道に最大で6トンだが、固体補助ロケットの種類や数を変えることで、
    さまざまな重さの衛星に対応できる。28万点もの部品から構成され、多くの製造企業が関わっている。
    2001年8月29日に種子島宇宙センターから打ち上げられた1号機で、基本性能が実証された。
    先代のH2ロケットが1998年と1999年に連続打ち上げ失敗したのを教訓に改良して構造を簡素化し、
    低コスト化を図り、補助ロケットの組み合わせで多様なニーズに対応できる「丈夫で使いやすいロケット」
    を目指した。欧米の主力ロケットに比べ、小さい割に力持ちなのが最大の特長である。
    H2の打ち上げ失敗を機に日本の主力ロケットの役割をバトンタッチされたが、
    開発段階で主エンジンなどにトラブルが続出したが、1号機から5号機までは連続して成功していた。
    しかし、2003年11月の6号機打ち上げで失敗したが、2005年2月26日の1年3カ月ぶりの再開で、
    気象衛星「ひまわり5号」の後継となる運輸多目的衛星新1号(MTSAT−1R)の
    7号機「ひまわり6号」が鹿児島県の種子島から打ち上げられ、所定の軌道に投入することに成功した。
    この「ひまわり6号」は、気象観測(天気予報、台風の進路予想、集中豪雨の予測など)と
    航空管制に役立つ機能を兼ね備えている。2005年3月24日午前11時に
    「ひまわり6号」によって撮影された初画像は、気象庁のこちらで見ることができます。
    7号機の打ち上げ費用は94億円だったが、目標の85億円まで下げることは可能といわれ、
    H2(約180億円)より大幅なコスト削減を達成している。液体燃料を使う2段式なので、
    打ち上げ直後に加速するため、大型固体補助ロケット(SRB)2基を下部脇に装着している。
    17トン級の輸送機を打ち上げられる「H2B」を開発中。
    
    種子島宇宙センター内の宇宙科学技術館のすぐそばの屋外に展示してある
    全長50メートル、直径4メートルのH2Aロケット(実物大模型)


    2003年10月1日、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙科学研究所(ISAS)、
    宇宙開発事業団(NASDA)が統合され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が誕生し、統合にともない、
    JAXAウェブサイトが新設され、今後はこちらに宇宙開発の最新情報が掲載される。
    参 : 宇宙情報センター(HP)、情報収集衛星ALOSM5ロケットGXロケット

    情報収集衛星、H2Aロケットで打ち上げ成功
    ★宇宙航空研究開発機構は、2006年2月18日午後3時27分、気象観測と航空管制に利用する
     運輸多目的衛星2号を搭載したH2Aロケット9号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。
     ロケットは28分後に衛星を分離、予定軌道への投入に成功した。
     1月24日の8号機に続く成功で、1カ月間に2機の大型ロケットを打ち上げたのは
     日本の宇宙開発史上初めて。高い信頼性が要求される商業衛星打ち上げ受注の足がかりを築いた。
     分離された衛星は午後4時31分、太陽電池パネルの展開を始めた。
     順調に行けば、24日未明に赤道上空約3万6000キロの静止軌道に移行する。運輸多目的衛星2号は
     日本の衛星では最重量で、2005年2月に打ち上げられた「ひまわり6号」と同じ機能を持ち、
     「ひまわり7号」と命名される予定。6号が故障したり、寿命を終えた時に気象観測を始める。
     故障や打ち上げ失敗で綱渡りの運用が続いていたひまわりに初めて予備機ができる。
     一方、衛星に積んだ航空管制用の装置は2006年度から稼働させる。
     ひまわり6号と同時に運用し、太平洋上空の航空機を高い精度で管制する。
    ★国の情報収集衛星を搭載したH2Aロケット10号機が2006年9月11日午後、
     鹿児島県南種子町の宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)種子島宇宙センターから打ち上げられ、
     予定の軌道に投入された。衛星は高性能の望遠レンズなどを備えた光学衛星で、
     今回の打ち上げ成功により、日本の情報収集衛星は計3基となった。
      光学衛星は北朝鮮の軍事施設などを撮影する事実上の偵察衛星。開発費約290億円で、
     年度内に打ち上げ予定の電波で地上の観測を行うレーダー衛星と2基1組で運用する。
     2003年に打ち上げた1号機(2基)と合わせ、地表上のあらゆる地点の1日1回の
     撮影が可能になるという。また、打ち上げに使ったH2Aは日本のロケット史上初となる10機目の成功。
     成功率は、世界の主力ロケットの実績と同水準の9割となった。一方、H2Aは01年8月の
     初打ち上げ以降、成功率は90%に達し、世界のロケットの初期段階成功率の80〜85%を上回った。
     国は10年度までにさらに約10機を打ち上げ、信頼性の確立を目指す。
    ★宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2007年2月24日午後1時41分、
     政府の情報収集衛星を搭載したH2Aロケット12号機を鹿児島県南種子町の
     種子島宇宙センターから打ち上げた。衛星分離も確認され、打ち上げは成功した。
     情報収集衛星は目標の4基態勢が約3年遅れでようやく実現。
     今夏までには、天候に左右されずに地上の全地点を1日に1回以上撮影することが可能になる。
     情報収集衛星は、北朝鮮の軍事関連施設の監視が主任務となる事実上の「偵察衛星」。
     光学衛星と、悪天候や夜間でも観測できるレーダー衛星の2基1組で活動。
     2003年3月に1組の打ち上げに成功したが、同11月に残る1組の打ち上げに失敗。
     2006年9月に光学衛星1基を打ち上げ、今回の成功で4基態勢が整った。
     12号機は400〜600キロの予定高度に到達後、第2段ロケットから衛星を分離。
     衛星は地球を南北に回る極軌道を周回することになる。分離高度や飛行経路などは、
     衛星の周回時間や軌道などが特定されると情報収集に支障が出るとして、公表されていない。
     会見した小田邦博・内閣衛星情報センター所長は
     「3年越しの悲願である4基態勢が確立したことは喜ばしい」と話した。
     H2Aは7号機(05年2月)以降、6機連続で打ち上げに成功。打ち上げは当初、
     2月15日の予定だったが、天候悪化のために16、22、24日と3度も延期されていた。
    ロケット打ち上げ延期の理由
     ロケット打ち上げには、正確に安全に打ち上げるため、気象の制約条件がある。
     例えば、瞬間風速が秒速14.5メートル以上だったり、
     1時間8ミリ以上の雨が降ったりしているときは打ち上げられない。
     また、発射場の上空の雲によっても、飛行中のロケットが、
     その雲の中で雷の直撃を受けるおそれがあることから延期されることがある。
     雲がなくなって天気が回復しても発射されないのは、国際宇宙ステーションや
     ほかの衛星との衝突をさけるためや、衛星が地球のある場所をいつ観測するとか、
     電源にする太陽電池パネルに太陽が当たる角度を考える必要などのことから、
     打ち上げ可能な時間帯が狭く絞られているからである。
      打ち上げ予定日のロケットにはすでに燃料が入れられ、
     燃料に使われる液体酸素、液体水素はマイナス200度ほどに冷やされているために、
     いったん燃料を抜き取り、点検のために組み立てて施設に戻す必要があることから、
     抜き取り作業と再点検に5日間かかり、一旦延期が決まると翌日に再挑戦とはならない。
      2007年2月15日からの繰り返し延期には、燃料代が約1億円、
     人件費が約3億円と4億円も余分にかかったが、ロケット本体の約500億円からすると、
     延期のコスより、安全を軽視して失敗すると、元も子もなくなるのである。

    今後の打ち上げでは国際相場の70億円以下にコストダウンし、
    打ち上げ成功率も日本はこれまで14機中11機が成功し、成功率は79%にとどまっているが、
    100機以上の打ち上げ実績のある米国のタイタン3の90%や欧州のアリアン4の97%に匹敵して
    世界から信頼を得るには今後10〜20機を連続して成功させないといけないそうなので、
    失敗は2度とないようにお願いしたい。また、多くを米国にたよっている部品を純国産にすることが、
    より以上のコストダウンにつながると思う。

H5N1型(えいちごえぬわんがた) : 致死性の高い「高病原性」と農水省が規定するH5型の
    鳥インフルエンザウイルスの中でも、毒性の強い型。2003(平成15)年末以降、
    東南アジアで鶏の大量死をもたらし、人への感染で死者が続出した。
    日本でも鶏などへの感染が確認された。欧州へはシベリア方面からの渡り鳥がウイルスを
    運んだとみられており、EU(欧州連合)は、飛行ルート沿いで家禽(かきん)
    屋内飼育するなどの感染拡大防止策をとることで合意した。 参 : 指定感染症
HDLコレステロール → コレステロール(別掲)
Hib(Haemophilus influenzae Type b)ヒブ : ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型の略称で、
    名前が長いため、単に「インフルエンザ菌b型」や「インフルエンザ桿菌」とも呼ばれる。
    Hibは、19世紀後半にインフルエンザ患者の「たん」から見つかったことから名付けられたが、
    ウイルスが原因であるインフルエンザとは関係はなく、髄膜炎や肺炎などの重症感染症のほか、
    敗血症や喉頭蓋炎(こうとうがいえん)などを起こす病原体の細菌で、
    WHOによれば、インフルエンザb型菌により、全世界で、毎年、300万人以上の患者が発生し、
    386,000人が死亡していると推計されている。また、日本では定期予防接種として行われていないが、
    欧米では、このインフルエンザb型菌の定期予防接種が乳幼児に対して行われている。
     や脊髄を覆う髄膜の中にHibが侵入して炎症が起きるHib髄膜炎は、
    子供にとってかなり怖い病気で、国内では毎年約500〜900人の子供がかかり、
    5%ほどが亡くなっている。子どもの数%は鼻の奥やのどに保菌し、多くは症状が出ずに菌が消える。
    ほとんどの患者が5歳未満で、近年耐性菌が増えていることから治療が難しい。
     ワクチンは標準的には0から1歳時に受ける三種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)と
    同じ時期に4回接種する。日本で発売された時には、その年齢を過ぎていた子でも接種することはできる。
    日本はやっとワクチンが承認されたばかりで、普及までに時間がかかるという。
    「ヒブワクチン」、任意接種が可能に
     子どもが感染しやすい「細菌性髄膜炎」を予防する「ヒブワクチン」が、
    2008年12月19日から任意接種できる。ワクチンの接種で予防できるため、
    WHO(世界保健機関)が定期予防接種を推奨し、世界では120カ国で導入されており、
    日本では対策が遅れていた。「ヒブワクチン」がようやく発売され、接種が始まったものの、
    日本では「任意」の接種のため、1回7000〜8000円の費用を要することから、
    「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」では、公費による早期の定期接種化を求めている。
     「細菌性髄膜炎」は、脳を浮かべる髄液の中に菌が侵入して炎症を起こす。
    日常的に存在するヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)や肺炎球菌などによって発病するが、
    現在の医学では早期発見が難しいとされている。日本では、「細菌性髄膜炎」のうち、約60%がヒブ、
    約30%が肺炎球菌を原因とし、年間約1000人の子どもが罹患していると推測されている。
    抗生物質で迅速な治療をしても、約5%が死亡し、10〜20%に後遺症が残るという。
     米国では、1987年にワクチンが認可されて以降、ヒブ感染症が100分の1に減少しているとの
    報告がある。しかし、日本では2007年、ワクチンが承認されただけで、
    「守る会」が予防接種法に基づく定期接種対象疾患に位置付けることなどを求めていた。
    参 : 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会(HP)
HIV(Human Immunodeficiency Virus)ヒブ : エイズ・ウイルス。エッチアイブイヒト免疫不全ウイルス。
    エイズの原因となるレトロウイルスの一つ。このウイルスが人間に感染することによって、
    免疫(病気を防ぐ)の仕組みが破壊されて、免疫機能を低下させて様々な病気にかかってしまい、
    いったん感染すると体内から追い出すことは非常に困難。
    「エイズ感染」という言葉は正確な使い方ではなく、「HIV感染」というのが正しい言葉遣いだといえる。
    「HIVに感染」してから、「エイズ」となるまでには、大きな時間の開き(約10年)がある。
    HIV検査を受けるには
    HIV検査やクラミジアなど性感染症を検査できる場所を探すには、保健所のほかに、
    HIV検査・相談マップが便利で、厚生労働省研究班が作成、提供している。
    無料検査のほか、夜間、休日、即日検査など、希望する検査機関を地域ごとに検索できる。
    世界のHIV感染者はアフリカだけで70%を超えているが、主なアジア諸国の2001年の統計では、
    インドが397万人とトップで、続いて中国の85万人、タイの67万人、ミャンマーの53万人、
    カンボジアの17万人、ベトナムの13万人、インドネシアの12万人、パキスタンの7万8千人、
    ネパールの5万8千人、マレーシアの4万2千人に続き、日本は11位だが1万2千人の感染者がいる。
    HIV感染・発症過去最多=2006年、日本男性増加止まらず−厚労省
     2006年に新たに報告されたHIV感染者は日本・外国籍合わせて952人、
     発症患者は406人で計1358人となり、感染・発症ともに過去最多だったことが2007年5月22日、
     厚生労働省エイズ動向委員会のまとめで分かった。
     日本国籍の男性が感染787人、発症335人と全体の8割以上を占め、依然増加が著しかった。
     感染者の感染経路は、同性間の性的接触が約63%、異性間性的接触が約23%を占めた。
     日本国籍男性の同性間性的接触による感染・発症が1999年ごろから急増しており、
     2006年はそれぞれ過去最多の571人、156人だった。
    参 : 注射針プログラム厚生労働省エイズ治療薬研究班(HP)、性関連用語

    いいかげんな仙台市宮城野区の宮城野保健所
     宮城野保健所が、エイズウイルス(HIV)抗体検査を受けた男性に陽性だった検査結果を、
     間違って陰性と通知していたことが2007年1月23日にわかった。
      保健所職員が、検査機関から届いた検査結果を決裁簿に転記する際に間違えたという。
    検査は匿名で受けられるため、仙台市では検査を受けた男性を特定できなくて連絡ができないのである。
    厚生労働省によると、HIV抗体検査の結果の誤通知は聞いたことがないという。
     男性の検査は2006年12月7日に行われ、同15日に保健所に来た男性に結果を通知した。
    男性の受け付け番号は「宮―18―69」で、検査時に「30歳代」としていた。
    検査機関からの請求書に、陽性の場合に行う2次検査についての請求があったことからミスに気づいた。

HMI(Human Machine Interface)ヒューマン・マシン・インターフェィス
    人間が機械を利用する際の、 使い方に関する人間と機械の取り決め(インターフェース)のこと。
    人間が機械を使ううえでの操作の流れ、機械からの出力系(形状、情報表現など)、
    人間からの作用・操作系など含むところは広い。人間を機械の利用者として、
    より具体的なインターフェースを話題にする場合には狭義にユーザインタフェースと呼ぶことも多い。
    人間が見たり触れたりできる部分でシステムの使いやすさが左右されるものはすべてHMIである。
    例えば、押しボタンの位置や形、 感触、反応、操作を行う順序、操作方法、
    画面に表示されるメッセージなどがこれにあたる。
HPV = ヒトパピローマウイルス
HTLV−1(Human Adult T Cell Leukemia Virus type 1) : ヒトT細胞好性ウイルス1型の略称。
    ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(Human T cell Lymphotropic Virus type 1)とも呼ばれる。
    日本語訳は成人T細胞白血病ウイルスで、成人T細胞白血病(ATL)を起こす原因となる
    腫瘍ウイルスの一つで、ATLウイルス保持者(キャリアと呼ぶ)のうち極少数に発症する。
    1977(昭和52)年に京都大学医学部の高月清教授のグループが、
    九州、四国、沖縄など日本南西部出身の比較的高齢な成人にT細胞特異的な白血病があることを報告し、
    レトロウイルス(HTLV−1)の感染が、成人T細胞白血病やリンパ腫(ATLL)発症の原因である事は、
    1981(昭和56)年に京大の日沼頼夫教授のグループによって証明された。
    九州、沖縄に多いとされていたが、関東や中部で増えていることもわかってきた。
    HTLV−1は、注射器や注射針の共有、輸血、性的接触などによって伝染し、
    出産や授乳の際に母子感染を起こすこともある。
    現在推計で、国内に約108万人、世界で3000万人以上の感染者がいるといわれている。
    このウイルスは、インフルエンザウイルス等とは異なり、感染しても全く症状はないが、
    一度感染すると血液中の白血球の一つであるリンパ球の中で生き続け、感染者の一部に発症する。
    HTLV−1に感染していても約95%の方は生涯病気になることはないが、
    一部の方にATL(エーティーエル)といわれる血液の病気やHAM(ハム)と呼ばれる神経の病気、
    目の病気(ぶどう膜炎)などを発症する場合がある。
    ATLは潜伏期間40〜60年とされ約5%、HAMの潜伏期間は数年で0.3%ほどである。
    どちらも決めてとなる治療法はなくATLは発症者の半数が13カ月で亡くなるとの報告もある。
    HAMは手足のしびれや歩行困難などで生活が難しくなる。
    参 : ATLの発症予兆の解析をするHTLV−1疫学的共同研究班(JSPFADのHP)、
        国立がん研究センターがん情報サービス(ATLについて掲載)、
        厚生労働省難病情報センター(HAMの紹介)
        日本からHTLVウイルスをなくす会(通称スマイルリボン)



















































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