バイオ関連(YSミニ辞典)
[ホーム]
[索引]
[前項]
[次項]
バイオ医薬品(Biotech−discovery Based Drugs)ばいおいやくひん
遺伝子組み換えDNA技術、細胞融合法、細胞大量培養法、クローニングなどの
「バイオ技術」を使って製造された医薬品の総称をいう。具体的には、
@組み換えDNA技術による「たんぱく質性医薬品」(ホルモン、酵素、抗体など)、
A遺伝子治療に用いる「遺伝子組み換えウイルス」、
B培養皮膚などの「細胞性治療薬」、
CRNAやDNAの断片そのものを用いる「核酸性医薬品」などがある。
従来の医薬の多くは化学合成でつくるが、バイオ医薬品は細胞や微生物に培養させてつくる。
1970年代に遺伝子組み換え技術の実用化後、欧米を中心に急速に発展し、
1982年に開発された「ヒトインシュリン」が実用化の第一号(日本での承認は1985年)で、
がんやC型肝炎に使うインターフェロンなどがある。
ゲノム科学、ゲノム創薬の進展により、バイオ医薬品の研究開発が国際競争となっている。
バイオ医薬品の第一世代には、インターフェロンや成長ホルモンなど、
元々人体にある有用な微量因子やホルモンを相次ぎ薬剤として開発されたものがある。
そして、現在の第二世代は、特定の人体中分子に結合して、がん治療や免疫反応のコントロール等の
効果を発揮する抗体医薬品などがある。これらは、がんや心筋梗塞など治りにくい病気の治療に
つながると期待され、また副作用も比較的少ないのが特徴である。
さらに将来的には、ゲノム解析(遺伝子の役割分析)と結び付くことで、
より精度の高い医薬品開発に向けての研究が国際競争のもと活発に進められている。
バイオエタノール(Bio−ethanol) : 主に自動車用燃料として利用することを目的に、穀物や木材などの
植物資源から作られる
エタノール(エチルアルコール)のことで、
バイオ燃料の一つである。
燃料の安さで人気急伸の「バイオエタノール」は、サトウキビやトウモロコシ、小麦、
廃木材など植物原料(バイオマス)を搾った汁をアルコール発酵させ、蒸留・脱水したエタノールで、
エタノール100%の「アルコール」やエタノールが10〜30%混ざっている「ガソリン」として、
すでにブラジル、米国、欧州、中国、インド、タイなどでは自動車燃料として普及している。
とくにブラジルでは、自動車メーカー各社が100%バイオ燃料に対応する車の導入を進めている。
排ガスとして
二酸化炭素は出るが、植物は二酸化炭素を吸収して成長するため、
バイオエタノールを混ぜた分だけ排出量が減ったとみなされる。
自動車用燃料として使う場合、一定割合をガソリンに直接混ぜるE3方式と、エタノールと
石油精製の副生成物イソプテンと合成したETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)という
化学物質に加工してから混ぜる方式の2種類がある。
ETBEは水に溶けにくく、自動車への悪影響も少ないとされる。
現行法や車の性能から、直接3%混合やETBE7%混合なら既存車にそのまま使える。
米国では「E10」というエタノール10%混入のガソリンが売られ、
一部にはガソリンに85%ものエタノールを混合した「E85」燃料のバイオエタノールを使ったり、
EU諸国におけるバイオディーゼルの利用促進等、バイオ燃料の実用化が各国で進められている。
2003年12月、政府は石油代替で環境に優しいバイオ燃料を推進する「バイオマス・ニッポン総合戦略」
を策定、自動車用燃料としての利用を進めるためのバイオマス化研究が進められている。
経済産業省は2005年7月18日、温室効果ガス排出を減らすため、
バイオエタノールを混ぜたガソリンを、2008年にも国内に流通させることを固めた。
同省はエタノールをETBEに加工する方式で石油業界と合意し、
2006年度に安全性の確認や製造実験をする方針で、エタノールは当面は輸入するが、
将来は国内自給をめざす。2007年5月現在、沖縄・宮古島などで
ガソリンに3%混ぜた燃料を採用しているほか、首都圏でも試験販売が始まっている。
世界のエタノール生産量(2007年)は約5千万キロリットルで、
米国とブラジルで9割弱を占め、過去5年で2倍以上に急増している。
大豆などからコーンへの転作や穀物市場への投機資金の流入につながり、
食糧危機の一因になったと批判され、食糧でない廃木材などを活用する動きも活発化している。
経済産業省では、稲わら、間伐材、廃木材など、農作物と競合しない原料から
エタノールを製造する技術や、バイオエタノールのコスト削減に向けた技術の開発、
実証事業を積極的に行っている。特に2007年度からは環境省や農林水産省などと連携し、
沖縄県宮古島において、宮古島産のサトウキビから製造されるバイオエタノール燃料をガソリンと混合し、
宮古島内の自動車燃料として利用する大規模な実証事業を行うこととしている。
また、石油業界と協力して、バイオエタノールから製造されるETBEと
ガソリンを混合したバイオガソリンの実証事業を行っている。 参 :
バイオマス
日本ではガソリン・アルコール併用車は、石油業界の抵抗や、全国に流通させるには
技術的な問題があるとして、発売の動きはないそうだが、石油はいづれは枯渇するし、
地球温暖化の元凶でもあるのでバイオエタノールは早急に導入すべきである。
資源エネルギー庁によると、エタノール混入ガソリンは水分を吸収して組織が変わりやすいのが難点で、
全国各地のスタンドに届ける直前に混ぜる仕組みをつくるには約3500億円かかるというが、
ブラジルではガソリンに20%混ぜるよう義務付けられ、
すでにガソリンの半値で売られていてバイオエタノールの対日輸出を望んでいるのである。
1973年の第1次石油ショック時に、このままの消費が続けば「世界の石油は30年で枯渇する」と
新聞まで掲載されていたが、当時から30年を超えているのに消費は増える一方で、
中国が日本並みの車社会になれば枯渇は現実になるかもしれないし、
国はのんきに設備費のことを問題にしていていいのかね。このコメントを載せてから
1年以上も経った2005年7月にようやく国内流通させることに踏み切ったのである。
しかし、混ぜられるのは3%までと規制しているのである。
バイオガス : 食糧と競合しないバイオマス燃料の一つ。
有機性廃棄物(下水処理場の汚泥、生ごみなどの食品廃棄物)や家畜の糞尿などの
バイオマスを、
酸素のない密閉槽の中で発酵して発生するメタンを主成分とする可燃性ガスで、
未利用の再生可能エネルギーであることから
地球温暖化対策の一つとして
その有効利用が期待されている。主に下水処理場や食品工場などで発生し、
加温用・発電用の燃料エネルギー源として再利用への取り組みが進められている。
2009年7月1日に「エネルギー供給構造高度化法」が成立し、
一定の規模以上のガス会社は2年以内にバイオガスの利用が義務づけられる。
バイオガスは燃やしても、動植物が成長の過程で取り込んだ二酸化炭素を再び放出するだけなので、
環境に優しいとされる。電力会社にはすでに、太陽光や風力など
自然エネルギーによる電気の利用拡大を義務づける制度がある。
バイオグラフィ(biography) : 伝記。伝記文学。 参 :
ディスコグラフィ
バイオ・セーフティー・レベル =
BSL
バイオテクノロジー(biotechnology) : 生物工学。生命工学。生物技術。バイオ。
「生物学」と「テクノロジー(科学技術)」を合わせた言葉で、生物を工学的見地から研究し、
応用する技術のこと。近年は特に、遺伝子組み換え・細胞融合などの技術を利用して品種改良を行い、
医薬品・食糧などの生産や環境の浄化などに応用する技術をさす。
この技術は生物の組織や細胞、遺伝子を活用して、有用な生物体を生産する技術であり、
既に実用化している分野には、医薬品、工業用酵素、試薬(実験や検査等に使う薬剤)がある。
具体的には、ヒトの医薬品としてインターフェロンやインスリン、衣料用洗剤の酵素などがある。
農林水産・食品の分野では、交配による品種改良など昔ながらの基本的な技術を「古いバイオ」と呼び、
それに対して、細胞と細胞を人工的に融合させて両方の性質を持つ細胞を作る「細胞融合技術」や、
植物の細胞や組織(細胞のかたまり)を養分のある液に植えつけて、一つの植物にまで成長させる
「細胞・組織培養技術」、「組換えDNA技術」などは「新しいバイオ」と呼ばれている。
参 :
GM作物(遺伝子組み換え作物)
バイオトイレ(Biotechnology rest room、Bio−toilet) : 微生物(バクテリア)の働きで、
し尿を無臭のうちに炭酸ガスと水に分解する
トイレのこと。便槽内にオガクズや杉チップなどを入れておき、
使用後は、水を流すかわりに電動スイッチで落ちた排泄物とおがくずを攪拌し、ヒーターで温める。
すると、おがくずの中に生息している微生物と、排泄物の中の細菌の働きが活性化し、
排泄物の90%は水と二酸化炭素になって分解・消滅させる。
トイレットペーパーも含めて一晩で分解してしまうので、においもしない。
排泄後に水の力で下水に流すことや汲み取りの必要がなく、排泄物やトイレットペーパーは衛生的な
コンポスト(有機質肥料)として資源化出来る、幅広いメリットも兼ね備えた地球環境に優しいトイレで、
オガクズは年2〜3回程度交換するだけでよく、コンポストは家庭の花壇、
菜園にも利用出来るという利点もあり、環境、介護、リサイクル、災害対策という4つの分野にわたり
有効に働き、水資源保護、介護の軽減、環境汚染防止、下水道設備のインフラコスト節減と
良いことずくめのことから「エコバイオトイレ」、「資源化エコバイオトイレ」、「コンポスト(肥料)トイレ」
などとも呼ばれている。もともとは、エコトイレの一種として、下水を垂れ流すことができない
山岳地域の山小屋や工事現場用として開発されたものだが、現在ではバイオトイレは仮設用、
一般家庭用、ベット用の他、洗浄便座付きの介護バイオトイレが販売されている。
バイオ燃料(Bio Fuel)バイオねんりょう : 穀物や木材などの植物性の物質や、
動物の糞尿
(ふんにょう)など生物起源のエネルギー源を利用して作られる燃料のこと。
自動車用としては、廃木材、トウモロコシ、サトウキビなどをアルコール発酵させて作る
「
バイオエタノール」(
エチルアルコール)と、ヒマワリや大豆油、菜種油などの植物性油脂や
牛などの動物性油脂から作る「バイオディーゼル油」(メチルエステル:BDF)がある。
そのままエンジンで燃やしたり、化石燃料系のガソリンや軽油と混ぜて利用されることから、
「バイオ燃料」と言われるが、いろいろな形態がある。最近ではバイオエタノール、
バイオエタノール混合ガソリン、バイオディーゼル油などと区別して呼ばれている。
糖質からの発酵で作られるエタノール、原料の燃焼ガスを改質して作られるメタノール
(メチルアルコール)は、両方とも光合成を行って成長する植物(木材)を原料とすることができる。
そのため、バイオ燃料は、原料となる植物自体がすでに
二酸化炭素(CO
2)を吸収しているから、
製造段階や燃やしたときに排出されるCO
2は理論的にはゼロになり、
京都議定書でも
温室効果ガス排出量がゼロと見なされ、環境への負荷が少ない。
また、太陽と水があれば育成可能な植物は、枯渇が心配されている化石系原料に対して
リニューアブル(持続的利用可能)な原料として位置づけられる。
世界の生産量は年間約5千万キロリットルで、米国とブラジルで7割に達する。
参 :
ヤトロファ
バイオベンチャー(Bio Venture:BV) : バイオテクノロジー分野でのベンチャー。
新薬の研究や開発、遺伝子治療といった新たな医療技術の開発や、
試薬の開発などに関わるベンチャー企業のこと。
大学や企業で研究に携わっている人が、独自の先端技術を実用化するために設立する場合が多い。
新しい技術や高度な知識をもとに、大企業では難しい創造的・革新的な経営を展開する中小企業である。
バイオベンチャーの定義 : バイオテクノロジーに関する新技術・高度な技術・知識をもとに
医薬品開発や機器開発、受託、コンサルティングなどの事業を展開する企業と定義できる。
●バイオテクノロジーを手段あるいは対象として事業を行うもの
●中小企業基本法による中小企業の定義のうち、従業員数に関する条件にあてはまるもの
●設立から20年未満のもの
●研究開発、受託研究サービス、製造、先端科学関連コンサルティング等を主たる事業とするもの
●非営利であるもの
一般的にバイオベンチャーというと、医薬品開発のことを指して言う場合が多いが、
これはバイオベンチャーの中でも「創薬ベンチャー」に分類される。
バイオベンチャーには、『医療・創薬』、『農業・食品』、『IT』、『機器』、
『環境』、『化学』などの様々な分野で設立されている。
国内のBVは1997年度には150社だったが、2006年度は586社。
バイオインダストリー協会の2005年の調査では、1社平均の従業員数は18人と少ない。
平均売上高は約4億円で、経常損益は1400万円の赤字である。
BVは資金繰りに苦しんでいる。ITバブルの崩壊後、新たな投資先として人気を集めたものの、
商品化までに時間がかかる点や、「ライブドアショック」をきっかけに新興市場から
資金が逃げ出したことが、逆風となっている。
参 :
日本バイオベンチャー推進協会(HP)
バイオマス(biomass) : @生物学の用語で、生物量・生物体量・現存量などと訳される。
ある時点にある空間内に存在する生物の量で、重量またはエネルギー量で表す。
A生物資源。エネルギー源または化学・工業原料として利用される生物体。また、生物体をそのように
利用すること。「バイオ(bio=生物、生物資源)」と「マス(mass=量)」からなる言葉で、
「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」である。
「新エネルギー促進法」におけるバイオマスの定義は、動植物に由来する有機物であって、
エネルギー資源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び
石炭ならびにこれから製造される製品を除く)とされている。
バイオマスは、太陽のエネルギーと水・土・空気を使って生物により自然循環の中で
作られる資源のため、石油・石炭といった化石資源や、金属などの鉱物資源と異なり、
適正に利用すれば枯渇することがない。また、近年、石油・石炭など化石エネルギーの大量消費により、
地球温暖化が国際的な問題になってきているが、バイオマスは使用しても地球温暖化をもたらす
大気中の
二酸化炭素を増加させない資源として、風力や太陽光とともに注目されている。
つまり、クリーンな資源でもある。
国は発電設備建設に補助金を出すなどして導入を促すとともに、
2003年に新エネルギー利用特別措置法(RPS法)で電力会社にバイオマスなど
新エネルギーを一定量利用することを義務付けている。
最近は卵のケースまでトウモロコシなどからできたバイモマスプラスチックが使われている。
バイオマスの種類(資源)
木材(建設発生木材・製材工場残材・間伐材・被害木等) : 薪、木質ペレット、木質ガス
稲わら・麦わら・もみ殻 : 堆肥
草・船底枝・海草 : メタン発酵、メタノール生産、水素発生
生ゴミ(残飯) : メタン発酵
古紙 : ペレット、ブドウ糖・アルコール生産
動物の死骸・プランクトン : メタン発酵
糞尿(家畜排せつ物) : メタン発酵、堆肥
汚泥(下水汚泥・し尿汚泥) : メタン発酵
食品工場からの廃棄物(食品廃棄物) : メタン発酵
食用油 : BDF・VDF
大麻(ヘンプ) : BDF・VDF
飼料作物・でんぷん系作物等 :
バイオマスエネルギーの用途 : 発電・給湯、暖房、バス・タクシー・自家用車、都市ガス、
コージェネレーション
参 :
バイオマスタウン、
バイオマス・エネルギーについて(資源エネルギー庁HP)
地域でつくる資源循環の輪“バイオマスタウン”(政府インターネットテレビ)
バイオマスタウン(biomass town) : 農林水産省が推進する、
バイオマス(生物資源)を
有効利用していこうとする地域指定地のことをいい、2002(平成14)年12月27日に閣議決定された
「バイオマス・ニッポン総合戦略」の中で打ち出された待ったなしの
地球温暖化対策で、
地域のバイオマスの有効活用を目指している。「広く地域の関係者の連携のもと、
バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築され、
安定的かつ適正なバイオマス利活用が行われているか、あるいは今後行われることが
見込まれる地域のことで、国のバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議が2004(平成16)年8月から
募集を開始し、2008(平成20)年2月末現在で40都道府県105市町村の構想が政府に認められ、
公表されている。食品廃棄物や家畜排泄物からたい肥を作ったり、ガスや電気などのエネルギーに
変換したり、廃棄された食用油から軽油を作ったり、ガソリンに混ぜるエタノール製造など、
地域のバイオマスの収集から製品・エネルギーへの変換、利用までの循環システムが構築され、
バイオマスをフル活用するための様々な取り組みが各地で進んでいる。
バイオメトリクス認証 =
生体認証(パソコン用語)
バイオレメディエーション(bio−remediation) : 古来より活用してきた天然に存在する
微生物などの働きによって、汚れをきれいにする「自浄作用」を、人為的に効率よく行う手法である。
バイオ(bio:生物)とレメディエーション(remediation:修復、浄化)を組み合わせたもので、
生物による環境修復技術のことを指す。具体的には、汚染土壌や汚染水に栄養分などを与えて、
分解微生物を増殖させ分解を促進させたり、分解微生物を散布したりと、より積極的に有害物質を分解し、
環境修復を図ろうとする工学的な手法である。基本的には、植物や動物の死骸などが
最終的に微生物によって分解される現象と同じで、これをもっと系統立てて行おうというものである。
バイオロギング(Bio−Logging:和) : 生物の生態を研究する分野の一つで、
動物に小型の
データロガー(装着型記録計)と呼ばれるセンサー(記録計や発信機)を取り付け、
動物の行動や周囲の環境を測定・記録する技術のことをいう。
「バイオ」とは「生き物」、ロギングは「記録をとる」を組み合わせた和製英語だが、
現在では国際的な学術用語「Biologging」として使われている。
動物が使っている「環境」の計測、認知・運動性能・生理機能といった動物の「能力」の計測、
採餌行動・移動・社会行動といった「行動」の計測。こうした動物の行動にかかわる様々な要因を
個体ベースのデータとして計測し、動物の生態に関わる要因の相互関係を
網羅的に明らかにできる可能性がある、というのがバイオロギングの特徴である。
超小型の
データロガー(マイクロデータロガー)や発信機などを対象動物に装着して、
彼らの行動や生理などに関する様々なデータを効率的に取得する手法である。
マイクロデータロガーは、小型の動物にも負荷を与えない小さな筒状の筐体の中に水深、水温、
加速度などのセンサーを組み込んだ計測装置で、現在では単三乾電池ぐらいの大きさまで
小型化されている。もう少し大型のものでは、水中カメラを組み込んだロガーも開発されている。
これらのロガーは超小型化を達成しているだけではなく、深海でも機能する強固な防水性をもち、
これまで観察が不可能だった水中深くまで潜るような海洋動物の行動研究をも可能にした。
マイクロエレクトロニクスの進歩により、装置の小型化と記録期間の延長、高精度化が進み、
現在では、大型のクジラやマンボウ、クロマグロからサケ、ブラックバスなどの小型の魚類、
イセエビ、アザラシ、ペンギンなどのほか、ウミガメ、オオナマズ、ジュゴン、
カブトガニなどの絶滅危惧種も対象として調査を行っている。
また、アホウドリ、ミズナギドリ、ハクチョウ・カモ類、カワウ、スズメなどの鳥類や
陸上のさまざまな動物の行動研究に利用することができるようになった。
近年、このバイオロギングにおいて、画像情報を得ることを目的とした画像データロガーが
ビデオやデジタルカメラの技術を巧みに応用して開発され、動画での観察も可能となった。
参 :
日本バイオロギング研究会(HP)