白鳥関連(YSミニ辞典)
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大白鳥(whooper swan)おおはくちょう : 大鵠。学名は「Cygnus cygnus」。鳥綱カモ目カモ科の鳥。
翼を広げると2mを超す大形種で、体は純白で脚は黒い。くちばしは黒く、付け根が黄色。
ユーラシア北部に広く分布。日本には冬鳥として渡来し、越冬地として北海道の風蓮湖
(ふうれんこ)、
尾岱沼
(おだいとう)、青森県の小湊
(こみなと)、大湊、新潟県の瓢湖
(ひょうこ)などが著名なほか、
宮城県の松島湾と伊豆沼や茨城県の霞ケ浦
(かすみがうら)もあげられる。
小湊は特別天然記念物、瓢湖は国の天然記念物に指定されている。
とくに後者は、少数から人工給餌
(きゅうじ)によって増え、
人間に慣れたハクチョウの観察地として知られる。[
季語]冬−動物。
大白鳥のつがい
黒鳥(black swan)こくちょう : ブラック・スワン。学名は「Cygnus atratus」。
鳥綱カモ目カモ科の水鳥。全長約1.2mで、体形は
白鳥に似るが、全体の羽色が黒色である。
オーストラリア南部とタスマニア島原産。動物園や公園でよく飼育される。
初列風切
(かざきり)と次列の外方羽だけが白色、後方肩羽は広くねじれた飾り羽となる。
頸
(くび)の羽毛は斜めの列になって縮れている。虹彩
(こうさい)と嘴
(くちばし)は赤く、
嘴の端近くに白帯がある。翼を持ち上げて威嚇姿勢をとる行動は
コブハクチョウと同様で、
両者は類縁があると考えられる。気性は荒く、禽舎
(きんしゃ)で繁殖するものは
翼で人を強打して攻撃する。原産地では繁殖力旺盛
(おうせい)で淡水沼に大群をつくり、
多少は季節移動も行う。世界各地の公園の池や動物園に飼われ、繁殖も容易である。
1腹4〜10卵を産み、抱卵は約40日。
食物は完全に植物質で、草類や穀類のほか野生のセロリも好むといわれる。[
季語]冬−動物。
オーストラリアの黒鳥。同じ白鳥族なのに、黒いと優雅さはなくて鵞鳥に近いように思える
小白鳥(Bewick’s Swan)こはくちょう : 学名は「Cygnus columbianus」。
カモ目カモ科に分類される鳥類の一種である。
大白鳥より一回り小型の白鳥であることから、
この名前が付いた。ユーラシア大陸北部と北アメリカ北部のツンドラ地帯で繁殖し、
冬季はヨーロッパ西部、カスピ海周辺、朝鮮半島、中国東部、日本、北アメリカ中部に渡り越冬する。
日本では冬鳥として北海道や本州に渡来する。オオハクチョウよりも南の地域で越冬するものが多い。
全長約120cm。成鳥は全体が白色。個体によっては頭部や首が黄褐色を帯びていたりする。
嘴は基部が黄色で先端部は黒色。黄色の部分は嘴の半分以下である。
他のハクチョウ類と比べると、頸が太く短めである。
越冬地では、湖沼、河川、内湾に生息する。群れで行動している。
朝晩、ねぐらと採食場を往復して過ごす。「コォー」と大きな声で鳴く。
小白鳥
瘤白鳥(mute swan)こぶはくちょう : 学名は「Cygnus olor」。鳥綱カモ目カモ科の鳥。
全長160cmほどの最大の
白鳥で、目から嘴
(くちばし)への三角部、鼻瘤
(びりゅう)、
嘴の端が黒く、嘴は橙
(だいだい)色で基部に黒色のこぶ状突起がある。足は黒いが淡色型もある。
翼を背の両側に膨らませる美しい姿勢が特徴で、雛
(ひな)はその中に入って運ばれる。
この姿勢はほかのハクチョウにはみられずコクチョウとだけ共通で、
その類縁を示唆するものと考えられる。野生種はヨーロッパ北部から中央アジアにかけて分布。
餌
(えさ)は水草などの植物性のものが多いが、昆虫なども食べる。
東郷池(湖)の水際の巣で誕生したコブハクチョウのヒナ(鳥取の錦織梨園・錦 織さん写真提供)
白鳥(swan)はくちょう : カモ科ハクチョウ属の「
コブハクチョウ」「
コクチョウ」「クロエリハクチョウ」
「
オオハクチョウ」「ナキハクチョウ」「
コハクチョウ」「カモハクチョウ」の7種の水鳥の総称。
シベリアやオホーツク海沿岸で繁殖し、冬季は温暖な日本などに渡って越冬する大型の冬鳥(渡り鳥)。
日本にはオオハクチョウとコハクチョウが越冬のために11月頃にシベリア地方などから渡ってきて、
北海道や本州の湖沼、河川等で過ごす。晩秋から初冬に渡来し、春には飛去する。
青森県・島根県・東京都千代田区・新潟県阿賀野市の県鳥および区鳥・市鳥。
青森県東津軽郡平内町浅所海岸のハクチョウは、
「小湊のハクチョウおよびその渡来地」として国の特別天然記念物に指定されている。
新潟県阿賀野市の瓢湖は白鳥の飛来により2008年に
ラムサール条約に登録されている。
新潟には他に福島潟・五十公野公園のます潟・佐潟などにハクチョウが多く飛来している。
各地の公園の池に周年いる白鳥は、コブハクチョウで、
元ヨーロッパを中心に生息していたものを飼育したものや半野生化したものである。
現生の空を飛ぶ鳥の中では最大級の重量を有している。
大人しいイメージもあるが、子育て中の野生個体は警戒心が強くなっており、
雛を捕まえようとした人間に襲いかかる例も報告されている。
現在は「白鳥」という漢名が一般的だが、「鵠
(くぐい)」の古称をもち、
「日本書紀」垂仁天皇の条などに記載がある。白鳥に限らず水鳥にはお尻に油脂腺というものがあり、
そこから分泌される油を毛繕いで羽に塗りつけ、水を跳ね返せるようにしている。
またそれによって羽毛の間に空気を溜められるようになり、それが浮き袋の役目を果たしている。
寿命は野生で最長20年ほど、飼育状態では20年〜30年ほどである。[
季語]冬−動物。