箸関連(YSミニ辞典)
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アド箸(アドバシ) : 箸袋に企業広告(アドバタイジング)を掲載した
割り箸のこと。
広告料金は、森林の保護に役立てられる仕組みとなっている。
日本国内で流通している割り箸の多くは中国などからの輸入品だが、
「アド箸」は国産品で、大手コンビニチェーンのローソンとベンチャー企業のハートツリーが
2008年10月に共同企画した、奈良県吉野地域のヒノキの間伐材を利用した割り箸である。
間伐材とは、日当たりや風通しを良くし、植林した木々をより健やかに生長させるために、
過密に育った木を計画的に伐採した木材のことである。間伐は不可欠なのだが、
輸入材より高価な国産材はニーズが少なく、資金難で手入れができない森林も少なくないという。
「アド箸」はそうした森林を支援することを目的として、広告費により間伐の費用を賄い、
森林の手入れを促進し森林保護に繋げていくとしている。
「アド箸」は現在、一部のコンビニとファミリーレストランで提供されている。
パッケージには、「サンキューグリーンスタイルマーク」もプリントされる。
浮箸(ウキハシ) : 先端がほんの少しだけ浮き上がっていて、
はし置きなしでも食卓を汚さない
箸のこと。
奥が普通の箸で、手前が「浮箸」。(有限会社リューズプランの広告より)
2007年2月の発売以来、アッシュコンセプトのネットショップを始めとした多くのネット通販や
一部東急ハンズなどのリアルショップで販売中だが、すでに12万膳も売れている。
家庭ではし置きを使う習慣がなかった男性デザイナーの作品で、
「汚れたはしはついお皿に渡して置いたりしがちだが、実はマナー違反なのである。
和食の美しい所作を再認識して欲しい、という願いから生まれた商品だけあって、
重量バランスやサイズなど、使いやすさにもこだわったという。
女性の手にも馴染みやすい22cmサイズで中央部分の面積を広く取り、
はしを指でつまみやすく、おかずを取りこぼしづらくするなど工夫も施されている。
菜ばし(さいばし) : 菜箸。料理をつくったり、副食物を取り分けたりするときに
食材をかき混ぜたり、つまむなどの用途に使用する
箸のこと。天ぷら、野菜炒め、煮付けなど、
火や油・熱湯を使い、食材が高温になる料理に使われることが多いため、
耐熱性の問題から、竹製または木製であり、塗りはされていない。
また、箸の先に刻みを入れ、食材をつまむ際に滑らないようにしたものも多い。
金属製の菜ばしは主に天ぷら・揚げ物に使われ、温度計のついているものもある。
食事用の箸と異なる点は、吊り下げて乾燥させやすい取り扱いの便と、片方がなくならないように、
2本を糸や紐で繋いであることで、竹製のものが一般的だが、いまやほとんどが中国産である。
菜箸が食事用の箸に比べて長い理由は食事用の箸が食卓に置かれた食器や手に持った食器から
料理を口に運ぶ距離が短いのに比べて、菜箸は調理中の熱から手先の火傷を予防する目的、
調理台や配膳テーブル上の料理を立ちながら利用しやすくするため、
料理する者の手ともてなす客が食べる料理との距離を離すこと等の理由による。
京都・市原平兵衞商店の「京風もりつけ箸
(ばし)」は28センチが1365円と高めだが、
それには理由がある。細いと折れやすくなるが、京都・山城のしなりに強い3年生の竹を使い、
京都の職人が手削りして仕上げている。しかも、持ち手からはし先まで、
丈夫な竹の皮の部分を使用している。切る、つまむ、混ぜる、ほぐす、運ぶ。
たくさんの機能を持つはしだが、先が細いと盛り付けに必要なこまやかな動作が可能である。
上部はヘラ状で軟らかいものも挟める。天ぷらの衣を、粘りを出さずに混ぜるずん胴型のはし、
熱に強い樹種を使った焼き物用や揚げ物用のはしがあり、
菜ばしも用途に応じて使い分ける方がいいという。
中央が太く、両端が細いはしは神事のお供え用で儀式的な要素のあるはしである。
箸(chopsticks)はし : 食事や調理などの際に、食べ物を挟む、一対の細い棒状の器具。
東洋独特のものであり、日本の古代の箸は、竹を細く削って二つに折り曲げた
ピンセット状のものであったという。『万葉集』のなかにも詠まれているように、
中国文化の影響を受けて、
奈良時代にはすでに2本の箸の使用が一般化していた。
箸の語源は鳥の嘴
(はし)あるいは端
(はし)ともいわれる。
箸の材料には、竹・杉・柳のほか、ナンテン・ヒノキ・桑・紫檀
(したん)・黒檀などの木材、
金・銀・鉄・アルミニウムなどの金属、象牙
(ぞうげ)・シカの角・獣骨など動物の骨角、
およびプラスチックなどが使われている。木箸は木地のままのものと塗り箸があり、
塗り箸には蒔絵
(まきえ)や螺鈿
(らでん)を施したものもある。
形は丸型、角型、太型、細型、先細型、平
(ひら)型、割り箸などがある。
箸の持ち方(はしのもちかた)
@箸の片方(固定箸)を親指の根元にはさむ。
A薬指を軽く曲げ、第一関節の上にして親指と薬指で支える。(薬指が固定箸の重心になる)
Bもう一方の箸(作用箸)は親指の腹ではさみ、中指の第一関節で支える。
下の箸は薬指のつめの横にあてる。(作用箸の重心には親指の腹がくる)
C作用箸の支えをしっかりさせるために、小指を薬指に添わせる。
箸の頭部が手より1cmぐらいはみ出すと、バランスがいい。
D2本の両方を動かすのではなく、下の箸をしっかり固定し、
上の箸を人指し指と中指を使って動かす。
箸の使い方(朝日新聞「きほんまき」より)。イラスト・向井田りゅう
参 :
矯正箸「箸使い」(
兵左衛門HP)
柳箸(やなぎばし) : 正月の祝い膳
(ぜん)用の、柳の木で作った白木の太箸のことで、
「祝い箸
(いわいばし、はつばし)」のほか「両口箸」「両細」「俵箸」「はらみ箸」
「太箸
(たいばし)」などとも呼ばれ、その名のとおり両端が削られ、中央のふくらんだ丸箸である。
長さは、末広がりの八寸(約24cm)とされる。
柳は、香りが良く、水分が多くて折れにくいので折れにくく、春、1番に芽を出し、
強い生命力もあることからも縁起がよい木とされ、木肌が白いところから、
ものを清浄にし邪気を祓うものと考えられてきたことから、
新年の雑煮
(ぞうに)箸やお節料理などに用いられるようになった。
どちらを使ってもかまわないが、たとえ両方が削られた箸であっても、
もう片方で、お節料理や重箱のお煮しめなどを取る時の「取り箸」などととしては決して使わない。
取り箸には、重箱専用の「組重」という箸が使われるからである。
元々、正月には「歳神様」と呼ばれる神様が、遠い山の彼方からお見えになっており、
その神様と共に雑煮やおせちを食すると考えられていた。
つまり、箸の一方を人間が使い、もう一方は神様が使われるのである。
神と共に食事をすることによって、神のご加護を受け、神様と共に慶びを分かち合うために
箸の両端が削られた柳箸が使われるようになった。また、箸袋には、家族それぞれの名前を書いて、
三日間、使われる「家内喜
(やなぎ)」と書くこともある。[
季語]新年−生活。
割り箸(Disposable chopsticks)わりばし : 割箸。割れ目を入れてあり、
使うときに二つに割る
箸のことである。材質は杉や桧などの木もしくは竹でできていることが多く、
紙袋に封入されているものも多い。日本人の木の文化と共に開発された箸であり、
来客用、営業用として使われるハレとケの兼用の箸である。祝い事や神事は「ハレ(晴れ)の箸」、
家庭用や普段使うのは「ケの箸」、この両方を兼ね備えているのが割り箸である。
テーブルマナーとして、割り箸を縦に持って左右に割り開くのはマナー違反である。
根元部分を自身のほうに向けて、扇を開く様に割るのがマナー的に良いとされている。
近年は割り箸をめぐる環境問題や、日本への割り箸輸出大国中国の資源保護政策などから、
外食産業でも割り箸ではなく通常の箸を使うところも出てきている。
現在、日本において割り箸の消費量はここ10年、250億膳前後で、国民1人が年200膳使っている。
国内で使用される割り箸の97%は輸入で、そのほとんどが中国産である。
そのため国内産は一部高級品を除いて事実上壊滅状態になっている。
割り箸の種類
丁六 : 断面が四角い角割り箸。「極大」「うどん箸」とも。
小判 : 角割り箸に面取りをほどこして、断面が小判型に見えるもの。
元禄 : 「元禄」の正式名称は「元禄小判」で、「小判」型の割り箸に溝をつけて割りやすくしたもの。
かつて金の分量を減らすために溝を入れた元禄小判にちなんで名づけられたとされる。
利休 : 両端のどちらからも割れる高級割り箸。両端が細く、真ん中だけでくっついている。
元は
千利休が客のために一本一本削ったとされる、
懐石に使う両口の箸を割り箸にしたもの。明治時代登場。
らんちゅう : バラ箸なので厳密には割り箸ではないが、
最初から割れている利休箸を、2本を紙の帯で止めたもの。
天削 : 箸の頭部分を斜めにそいだ割り箸。口にあたる先は面取りがしてある。
1916(大正5)年登場。
割り箸の特徴
●割れていない割り箸は、まだ使われていないことを示し、清潔・衛生的である。
●割り箸を割る行為は、食事を始める事を意味するけじめとなる(割裂性)。
●素麺、ひやむぎ、うどんなどの 麺類を食べるとき、塗り箸などよりも滑りにくく、
食べ物を確実に保持できる。
●使い捨てにすると洗剤を使い洗浄する手間が省けるため、時間と人件費が抑えられる。
●りんご飴に刺したり、綿菓子を巻き付けるなどにも使え、大きめの食品を保持する場合、
串よりも丈夫であり、確実に保持できる。
参 :
アド箸