YSミニ辞典(ペンギン)

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ペンギン(a penguin) : 人鳥(じんちょう)。学名は「Sphenisciformes」。
    鳥綱ペンギン目ペンギン科に属する海鳥の総称である。
    羽毛は短く密な獣毛状で、全身を覆い、脚は短く水かきをもち、陸上では直立して歩く。
    翼はひれ状に退化して飛べないが、腹這いになって水の上を滑って移動するドボガンや
    潜水を巧みに行い、魚類や動物プランクトン、イカ類をとらえて食べる。
    熱帯のガラパゴス諸島から南極大陸までの南半球のみの沿岸に生息する海鳥である。
    ペンギンは、現在ではコウテイペンギンキングペンギンフンボルトペンギンなど6属18種で、
    属や種を特徴付けるのは頭部周辺で、それぞれ特徴的な形態をしている。
    現生ペンギンの最小種はコガタペンギン(リトルペンギン、フェアリーペンギン、Eudyptula minor)で
    体長は35〜40cmである。最大種はコウテイペンギンで、体長100〜130cmに達する。
    ただし、絶滅種のジャイアントペンギン(Pachydyptes ponderosus)や、
    ノルデンショルトジャイアントペンギン(Anthropornis nordenskjoeldi)は
    コウテイペンギンよりも更に大型のペンギンだった。
    温帯にすむフンボルトペンギン(Humboldt penguin)は異常気象や乱獲などで激減し、
    国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅の危機増大の「危急種」とされている。
オウサマペンギン = キングペンギン
キングペンギン(king penguin) : 他に、王様ペンギン(オオサマペンギン)、王ペンギン、
    王ペングインなどの別名があるが、これらの記述はやや古い図鑑にみられる。
    学名は「Aptenodytes patagonica」で、由来は、1788年にJ.F..ミラーが、
    南米パタゴニアで発見された個体をもとに記載した事から。
    鳥綱ペンギン目ペンギン科コウテイペンギン属に分類されるの大形で耳と胸が黄褐色の海鳥。
    南極の高緯度部分や亜南極海域の雪のない島々の海岸斜面で繁殖し、
    コウテイペンギンに次いで大きく、全長1m内外、体重12〜16kgに達する大形種である。
    1卵を産み、ふ化するまで約8週間(55日間)抱卵する。巣はつくらず、両足の上に卵をのせ、
    ひだのようになった腹部の皮(抱卵のう)で包みこむ。雛(ひな)が巣立つのに10〜13カ月かかる。
    多くても3年に2回の繁殖をするだけである。数千つがいが集団で繁殖し、ふ化したひなだけが集まり、
    クレイシ(集団保育所)をつくる。親は海で魚をとらえてクレイシにもどり、
    自分のひなをよび出してえさを与える。キングペンギンは他のペンギン同様、
    潜水は得意で300m以上潜り、魚類を中心にイカやタコも食べる。
    
    キングペンギン
    
    海遊館のキングペンギン(大阪のK.Kさん提供)
コウテイペンギン(emperor penguin)エンペラーペンギン : 皇帝ペンギン。
    学名は「Aptenodytes forsteri」。ペンギン目ペンギン科の最大種の海鳥で、
    全長約1〜1.3m、体重約20〜45kgに達する。
    成鳥は部とフリッパーと尾羽が黒く、背は暗灰色、腹部は白く、耳の周辺から喉、胸が黄色である。
    キングペンギンが最大のペンギンとされ、名前はKing(王)という名がつけられたが、
    19世紀に南極大陸でさらに大きなエンペラーペンギンが発見され、
    名前をKingより上のEmperor(皇帝)と名づけられた。
    外見はキングペンギンに似るが、キングペンギンは体長95cmほどと小型で、
    頭部から胸にかけての黄色部分が橙色を帯びること、くちばしやフリッパーが長くて
    頭身が小さいことなどから区別する。また、生息域や繁殖地も異なる。
    南極大陸の内陸部に分布し、営巣せずに産卵し、冬、
    雄が卵を足の上にのせて2カ月間直立姿勢のまま絶食して卵を抱く。
    潜水能力は鳥類最高で、水深500m以上の深さに20分以上潜るとも言われる。
    他のペンギンと同様に肉食性で、魚類、イカ、オキアミなどを捕食する。
    いっぽう、おもな天敵はシャチやヒョウアザラシである。
    
    王子動物園のコウテイペンギン
    
    コウテイペンギンの親子
    
    コウテイペンギンの群れ(National Geographic壁紙より)
    
    コウテイペンギンの卵
フンボルトペンギン(Humboldt penguin、Peruvian penguin) : 学名は「Spheniscus humboldti」。
    鳥綱ペンギン目ペンギン科の海鳥。全長約70cmの中形種である。
    同属のケープペンギン、マゼランペンギンに似るが、目周辺のピンク色部分が多く、頭側の白帯が細い。
    足が短く、陸上ではヨチヨチ歩をしているが、水中ではおどろくほど自由自在で、
    ひれ状のつばさを使って飛ぶように泳ぎまわる。ペルーからチリ北部にかけて、
    寒流系のフンボルト海流(ペルー海流)が流れる南アメリカ西岸の島で繁殖し、魚類を食べる。
    洞や乾燥した海岸のサボテンなどの根もとに掘った穴に営巣し、2卵を産む。
    周年繁殖し、堆積(たいせき)した糞(ふん)はグアノとなり、肥料としてかつては多量に採取された
    暑さに強いので日本の動物園で多く飼育されているが、野生では生息数が減り、保護されている。
    
    フンボルトペンギン
    
    徳山動物園のフンボルトペンギン(2010.2.4撮影)
    
    同上(2010.2.24撮影)

    
    徳山動物園のフンボルトペンギンの棲みかに侵入してきた野生のサギ(2010.2.10撮影)
    陸上では直立姿勢をとり、フリッパーをばたつかせ、短い足で歩いたり跳ねたりして
    移動する姿がよく知られているが、氷上や砂浜などでは腹ばいになって滑る。これを「トボガン」という。
    頸(くび)から上を水から出して遊泳し、すばやく潜水して海中を高速で進むことができるが、
    ちょうどイルカのように水中から空中に飛び出し、空気を吸い込んで着水し、
    また勢いをつけて水から飛び出すことを繰り返して、移動することもある。
    ペンギン類で最も速いと言われるジェンツーペンギンの水中速度は最大36km/hに達する。
    イルカのように海面でジャンプすることもあり、水中から陸上に戻るときにはいったん深く潜り、
    勢いを付けて飛び乗る。独特の体型は海中を自在に泳ぐことに特化したものといえる。
    食性は肉食性で、魚類、甲殻類、頭足類などを海中で捕食する。
    一方、天敵はシャチ、ヒョウアザラシ、サメなどである。
    参 : 長崎ペンギン水族館(HP)、海響館(下関水族館HP)
    
    表敬訪問:チリ国立公園の動物園長、海響館「ペンギン村」を<協力協定調印へ>
     下関市の水族館「海響館」に2010年3月1日オープンする新施設「ペンギン村」で2月27日、
    チリ国立サンティアゴ・メトロポリタン公園のマウリシオ・ファブリーオッティ動物園長らが
    中尾友昭市長を表敬訪問した。海響館はペンギン村オープンに合わせて、
    フンボルトペンギン主要繁殖地の同公園と協力協定を結ぶことが決まっている。
     ペンギン村はペンギン専門の展示施設で、国内有数の5種138羽を飼育。
    亜南極を表現した世界一の水深6メートルの水槽や、
    チリのアルガロボ島を模した「フンボルトペンギン特別保護区」を備える。
    ペンギンについてクイズなどで学ぶ「ペンギン学校」もある。
     ペンギン村では設計段階からメトロポリタン公園を参考にし、
    絶滅の恐れがあるフンボルトペンギンの「生息域外重要繁殖地」の指定も受ける。
    今後、同公園とともに研究、保護も続けていく。
     ファブリーオッティ動物園長は施設を内覧し「今後はペンギンたちが親善大使。
    両国の友好も親密になる」とたたえた。
     表敬訪問後、チリで地震があったことを知った園長らは母国への連絡に追われたが、
    この日の時点でオープン式典出席までのスケジュールに変更はないという。

    



















































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