YSミニ辞典(ヘリコプター関連)
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オスプレイ(Osprey) : アメリカ合衆国のベル社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・
システムズ)ボーイング社が共同で開発した垂直離着陸機(ティルトローター機)「V22」の愛称で、
ヘリコプターの利点である垂直離着陸と固定翼機の利点である長い航続距離や
高速などを両立させた垂直離着陸ができる輸送機のこと。
1985(昭和60)にJVXで開発する機体の名称がV22オスプレイと決定され、
海兵隊向けをMV−22、空軍向けをCV−22とした。
航空母艦(CV) との重複を避けたため、本来の用途とは名称が反対となっている。
V−22の最高速度は300kt(約555km/h)を超える。これは高速のヘリコプターの
最大速度である200kt(約370km/h)程度と比べると1.5倍の速度である。
航続距離も空中給油などを併用した場合最大で2000nm(約3700km)以上と長いものとなっている。
固定翼を併用するために、回転翼のみよりエンジンの単位出力当たり大きな揚力を得られる。
また回転翼機より高い高度に上ることが可能である。また、海兵隊が使用する
強襲揚陸艦などで使用できるよう、ローターと主翼は折りたたむことが可能となっている。
全長17.47m(ピトー管含まず)、全幅25.54m(ローター含む)、全高6.63m(VTOL時)、
ローター直径11.58m、航続距離879nm(1627km)、空虚重量15.032t、
最高速度は通常時305kt(565km/h)、ヘリモード時100kt(185km/h)。
現有の輸送ヘリコプターと比べ速度、航続距離、搭載重量が格段に向上した。
開発が始まった1980年代から20年以上の歳月がかかり、初飛行は1989(平成元)年3月19日。
試作段階で墜落事故が4回も相次ぎ一時中止された。
1992年には7人、2000年には2件の事故で23人、2010年にはアフガニスタン南部で
夜間着陸に失敗して地上で転覆して4名がが死亡するなど計34人が死亡した。
サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦ではヘリコプター甲板に4機・格納庫に1機の積載と
ヘリコプター甲板から同時に2機の発着が可能とされている。
在沖縄海兵隊司令官は2006年6月、朝日新聞などの取材に、中型ヘリCH46の後継機として
「2014〜16年に沖縄の普天間にオスプレイが配備される」と答えている。
2007年9月にイラク配備のための輸送では、ワスプ級強襲揚陸艦「ワスプ」に10機が積載された。
普天間で2012年6月以降、CH46E中型輸送ヘリに代わって24機配備されるMV22型機の
環境への影響を調べるのが目的で2011年9月14日に環境審査を始めたことが分かった。
対象は普天間や移転候補地の名護市辺野古周辺、嘉手納基地に加えて、
本土では岩国基地が含まれる。しかし、沖縄県の仲井真弘多知事は「危険な普天間に
何回も墜落した履歴を持つ危険な機種が来るのはとても受け入れられない」としている。
MV22オスプレイ : イラク派遣の兵員輸送にも投入された米海兵隊の主力垂直離着陸機で、
初号機は1989(平成元)年に初飛行に成功している。主翼の両先端に、
大型の3枚羽の傾斜可能なローター(プロペラ)を付けたターボシャフトエンジンを装備し、
離着陸時はローターを上に向けてヘリコプターのように垂直移動し、飛行時は前方に傾斜させる。
通常のCH46輸送ヘリなどと比べて最高速度は2倍、飛行航続距離は2300キロメートルと3倍あり、
部隊の作戦行動範囲を大幅に広げることも可能になる。
V22 OSPREY
参 : [
YouTube](MEET THE V−22 OSPREY)、[
YouTube](V22”OSPREY” CRASH)
1機8300万ドルもするオスプレイは、すでに5回の事故を起こしているのだ。もったいない。
離着陸時はローターを上に向け、飛行時に前方に切り替える構造自体が欠陥だと思う。
左右の切り替え時にわずかな時間差が生じても、たちまち墜落することになる。
オスプレイ騒音、苦情殺到<米アラバマ州住民訴えで訓練中止に>
米空軍がアラバマ州ブリュートン市の民間空港で実施した垂直離陸機CV22オスプレイの
飛行訓練に対し、地元住民から騒音に対する苦情が殺到、訓練を中止していたことが分かった。
地元紙ブリュートン・スタンダードが2011年1月22日報じた内容によると、
19日夜間に同州ブリュートン空港周辺の住民から騒音に対する苦情が殺到。調査の結果、
フロリダ州のハルバートフィールド空軍基地所属の特殊作戦軍団が同空港でオスプレイの
飛行訓練を実施していたことが判明したため訓練の中止を要請、米空軍側がこれを受け入れた。
同空港は米軍と共同使用協定を結んでおり、日中の訓練は認められている。
同空港の運用責任者は同紙の取材に「騒音は極限を超えるものだった」と空軍に使用自粛を申し入れ、
空軍が21日に謝罪するとともに、今後の使用を見合わせることを通達してきたと述べている。
ブリュートン市所有の同空港は約3・56平方キロメートル内に3本の滑走路がある。
同市の人口は約5500人(2000年時点)。
テールローター(Tail Rotor) : 機体尾部にある小さな回転翼。メインローターが回転することで、
機体が反作用によって逆回転方向の反作用「反トルク」(逆トルク、アンチ・トルク:Anti torque)を受ける。
このままでは、機体が回転して操縦不能となるため、機体尾部に長く伸びた先のテールローターによって
横方向に押す力を生み出し、メインローターの回転とは反対方向に回転力を与え、
機首方向の安定を図る。また、テールローターの回転翼の角度を調整し、
それが作る推力を加減することによって機首方向を変化させるのにも使用される。
テールローターはエンジンで駆動され1300rpm程度の回転数で常に回っている。
型式や配列によっていくつかの種類がある。
ドクターヘリ =
ドクターヘリ(医療関連に別掲)
ヘリコプター(helicopter) : 略称は「ヘリ」、「ヘリコ」。「ヘリコプター」の名前はギリシャ語の螺旋(helico)と
翼(pteron)に由来している。エンジンの力で機体上部にあるメインローターと呼ばれる回転翼で
浮力・推進力を発生し飛行する航空機の一種であり、回転翼機に分類される。空港・飛行場が無くても
ヘリポート若しくはそれに類する空き地が有れば離着陸出来るのが一番の特長である。
耐空性審査要領第1部「定義」によれば、ヘリコプターは
「重要な揚力を1個以上の回転翼から得る回転翼航空機の1つである」と定義されている。
垂直離着陸、空中停止(ホバーリング:hovering)や空中後退、ホバリング状態から垂直、水平方向にも
飛行が可能であり、ローターヘッドの形式により、宙返りなどの曲技飛行ができる機体もある。
比較的狭い場所でも離着陸できるため、救急搬送、警察や報道、災害救助、消火活動、
気象観測、空中撮影、観光遊覧飛行、旅客、貨物、お金持ちの自家用車代わり、
軍用には偵察、対地攻撃、対潜攻撃など、人員や貨物のさまざまな輸送に利用されている。
ラジコン玩具も、電子ジャイロの小型化、高性能化により複雑な姿勢制御が容易となり、
狭い空間でも飛ばせる事から、趣味としての人気も高い。
また自動制御のロボットヘリも観測や農薬散布用などに実用化されている。
しかし、翼の固定された航空機(固定翼機、飛行機)に比べると、一般に速度が遅く、
燃費も悪く航続距離も短い。また、北米ではヘリコプターの騒音が社会問題になっている。
この点を改善しようという試みが、ティルトローター機やティルトウィング機である。
一般的なシングルロータ形態のヘリコプター「ベル407」
ホバリング(hovering) : 空中停止。地上から見てヘリコプターが空中の一点に留まっている状態と
その能力を指す。この状態は前後、上下、機首方向の全てにおいての対地速度がゼロの状態である。
風がある場合にはそれに対応した操作が求められ、対気速度が生じる。
この飛行方法により、救難活動や物資の吊上げなど多彩な運用が可能である。
特に強風下での救難活動や、高度が高い山岳地などでのホバリングは、高度な操縦技量が要求される。
ハチドリなどの鳥類が羽ばたきながら空中の1点に止まっている飛び方のこともホバリングという。
ダイビングにおいては、中性浮力を取りある一定の深さで静かに浮いている ことをいう。
メインローター(Main Rotor) : 機体上部で回転する翼のことで、これが回転翼の名称由来になっている。
回転することや揚力の向きを前方に傾けることで、ヘリコプターの主たる揚力や推進力を発生する、
径の大きいローターのことで、主ローターとも言う。また、ローターの羽根の迎え角(回転面)を
傾ける事により操縦を行い、前後左右の飛行が可能となる。
エンジンで生み出された回転力は、メインロータを300〜400rpmで回転させて飛行する。
また型式や配列により、いろいろな種類に分類される。よく「プロペラ」と呼ばれることがあるが、
ローターは羽根の迎え角を1回転の間に変化させることができる点がプロペラと異なる。