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平等院(びょうどういん) : 京都府宇治(うじ)市宇治蓮華(れんげ)116にある藤原氏ゆかりの寺院。
    平安時代後期・11世紀の建築、仏像、絵画、庭園などを今日に伝え、74点の国宝があり、
    1994(平成6)年に「古都京都の文化財」の一つとして世界遺産(文化遺産)に登録された。
    山号を朝日山(あさひさん)と称する。宗派は17世紀以来天台宗浄土宗を兼ね、
    現在は特定の宗派に属さない単立の仏教寺院となり、西院の住職が3年交替で代表役員を務めている。
    本尊は阿弥陀如来(あみだにょらい)、開基は藤原頼通(よりみち)で、藤原道長の別荘であったものを
    1052(永承7)年に道長の子頼通が寺に改め、翌年阿弥陀堂(鳳凰堂)を建立した。
    開山は園城(おんじょう)寺の明尊大僧正(みょうそんだいそうじょう)である。
    阿弥陀堂や堂内にある定朝作の阿弥陀如来像、51体の雲中供養菩薩などは国宝。
    梵鐘は日本三名鐘の一つ。また鳳凰堂が10円硬貨の表の絵柄として有名である。
    建武(けんむ)年間(1334〜38)に楠正成(くすのきまさしげ)が足利尊氏(あしかがたかうじ)
    戦ったとき付近一帯を焼き、平等院も鳳凰堂、観音堂、鐘楼を残し焼失した。
    なお、鎌倉時代、西大寺叡尊(えいそん)は平等院の僧の勧めで、
    宇治橋修造、網代(あじろ)撤廃(殺生(せっしょう)禁断)を行い、浮島に十三重石塔を建てた。
    室町時代に近江(おうみ)(滋賀県)の三井寺円満(えんまん)院門主が兼務したが、
    明応(めいおう)年間(1492〜1501)浄土宗の栄久上人(えいきゅうしょうにん)が管理し、
    浄土・真言(しんごん)・天台宗が対立し、浄土宗の浄土院と天台宗寺門派の最勝院の管理となった。
    表門(おもてもん) : 宇治橋の傍からの参道を進むと、平等院の「表門」に着く。
     表門の手前右側に受付があり、ここで拝観料(鳳凰堂内の拝観料は別途必要)を支払って内に入る。
    
    表門。あまりにも簡素な門だったことと、外の景色が良かったので、これだけしか撮っていなかった
    鳳凰堂(ほうおうどう) : 1053(天喜元)年の建立。浄土式庭園の阿字池(あじいけ)の中島に
     東向きに建つ。本尊阿弥陀如来像を安置する中堂(ちゅうどう)、左右の翼廊、中堂背後の尾廊の
     計4棟が「平等院鳳凰堂」として国宝に指定されている。中堂は入母屋造、裳階(もこし)付き。
     東側正面中央の扉を開放すると、柱間の格子は本尊の頭部の高さに円窓が開けられており、
     建物外からも本尊阿弥陀如来の面相が拝せるようになっている。阿弥陀如来の住する極楽浄土は
     西方にあると信じられており、池の東岸(あるいは寺の前を流れる宇治川の東岸)から、
     向かい岸(彼岸)の阿弥陀像を拝するように意図されたものである。
     中堂の屋根上には1対の鳳凰(想像上の鳥)像が据えられているが、
     現在屋根上にあるのは複製で、実物(国宝)は取り外して別途保管されている。
     鳳は雄、凰は雌で、中国に棲んでいるといわれる空想上の鳥である。
     本尊阿弥陀如来像(国宝)は仏師定朝の確証ある唯一の遺作。
     本尊を安置する須弥壇は螺鈿(らでん)や飾金具で装飾され、周囲の扉や壁は極彩色の絵画で飾られ、
     天井や柱にも彩色文様が施されていた。長押(なげし)上の壁には楽器を奏で、
     舞いを舞う姿の供養菩薩像の浮き彫り(現存52体)があり、本尊の頭上には精巧な透かし彫りの
     天蓋(てんがい)を吊る。現在、壁画は剥落が激しく、柱や天井の装飾は色あせ、
     須弥壇の螺鈿は脱落しているが、創建当時の堂内は、当時の貴族が思い描いた極楽の
     イメージを再現した、華麗なものであったと思われる。なお、「鳳凰堂」の呼称は江戸時代からで、
     当初は「阿弥陀堂」あるいは単に「御堂」と呼ばれていた。日本の10円硬貨には平等院鳳凰堂が、
     一万円紙幣には鳳凰堂の屋根上に飾られている鳳凰がデザインされている。
    
    鳳凰堂の全景(東面)
    
    北側から望む鳳凰堂。赤い橋は「反橋」、その前に「平橋」がある
    
    左の翼廊
    
    中堂。手前は小石を敷いた洲浜(岸辺)
    
    右の翼廊
    
    左の翼廊の鳳凰。バカチョンデジカメでも14倍なら、池の対岸からこのくらいまで撮れる
    
    右の翼廊の鳳凰
    観音堂(かんのんどう) : 釣殿とも呼び、境内北側、表門を入って左側に建つ。
     鎌倉時代初期の建築で本堂跡に建てられた。国の重要文化財に指定されている。
     本尊十一面観音立像(平安時代後期)を安置していたが、現在は鳳翔館に移されている。
    
    観音堂の説明札
    
    観音堂
    
    同上
    扇の芝(おおぎのしば) : 1180(治承4)年に源三位頼政が扇を敷いて自刃した場所とされる。
    
    観音堂の北側にある「扇の芝」
    鳳翔館(ほうしょうかん) : 境内南側にある博物館で、2001(平成13)年3月1日に開館した。
     「宗教法人としては初」となる総合登録博物館とうたわれている。
    庭園(ていえん) : 中島に鳳凰堂の建つ阿字池(あじがいけ)を中心とした浄土式庭園。
     大きな池に、小石を敷いた洲浜(岸辺)や島を設け、海岸線などの風景を表した「貴族の庭」である。
     1990(平成2)年からの発掘調査により平安時代築造の州浜が検出され、
     現在は創建当初の姿に復元整備されている。
     鳳凰堂への入堂も池の北岸から2つの小橋を渡る当初の形式に復されている。
    
    「阿字池」と「鳳凰堂」
    鐘楼(しょうろう) : 平等院の「梵鐘」は神護寺、三井寺と共に日本三銘鐘の一つに数えられ、
     形の美しさで有名である。
    
    鐘楼
    
    鐘楼に吊り下げられている「梵鐘」は複製品であり当初のもの(オリジナル)ではないが、
    形状は全く同じに作られている。
    オリジナルの「梵鐘」は「鳳翔館」に保存展示されており、国宝に指定されている。

    
    養林庵書院
    浄土院(じょうどいん) : 平等院鳳凰堂の背後南寄りに建つ浄土宗の寺院で、
     浄土院と最勝院(天台宗)の住職が、毎年交代で平等院の管理を行っている。
    
    浄土院
    羅漢堂(らかんどう) : 浄土院の境内にある、宇治茶のの発展を願って建立された建物。
     本尊の宝冠釈迦如来坐像を中心に十六羅漢像が並び、天井には黄土色の龍が描かれている。
     壮健東寺からほぼ変化しておらず、平等院境内唯一の禅宗様建築として貴重な建物である。
    
    羅漢堂
    
    これだけは何のための建物か分からない
    
    平等院内略図(パンフレットより)
    
    平等院拝観券(表)原寸13.5×6.5cm
    
    平等院拝観券(裏)
    
    平等院鳳凰堂拝観券(表)
    
    平等院鳳凰堂拝観券(裏)
    アクセス : JR奈良線「宇治駅」下車徒歩10分、京阪電車宇治線「宇治駅」下車徒歩10分
    参 : 平等院HP
























































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