文化(YSミニ辞典)

[ホーム] [索引] [前項] [次項]

文化勲章(the order of culture)ぶんかくんしょう : 科学技術や芸術などの文化の発展や向上に
    めざましい功績を残した人に授与される等級差別のない単一級の勲章で、国の栄典制度の一つである。
    時の首相広田弘毅の発案により、1937(昭和12)年2月11日の
    文化勲章令(昭和12年勅令第9号)により制定された。
    受章候補者の選考は、文化功労者年金法(昭和26年法津125号)により
    文化功労者に決定された者のなかから、文部科学大臣の諮問機関「文化審議会」に置かれる
    文化功労者選考分科会の委員全員の意見を聞いて文部科学大臣が推薦し、内閣府賞勲局で
    審査したうえ、閣議で決定し、毎年度おおむね5名を内閣総理大臣に推薦することとなっている。
    その報告を受けた文科相が閣議に諮り、問題がなければ天皇に伝えて正式に決まる。
    分科会のメンバーは文芸、美術、芸能、理工、生物などの専門家ら計10人。毎年全員を入れ替えて、
    偏らないような仕組みにしているが、どんな話し合いをしているかは公開されていない。
    文化功労者以外の者でも必要と認められる場合には選ばれることがある(この場合、
    併せて文化功労者に決定される)。つまり受章者は文化功労者より上位である。
    授与式は原則として毎年1回、11月3日の文化の日に皇居宮殿松の間で行われ、
    天皇から親授(直接授与)される。
    着用する場合の服装は、男子は紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)
    フロックコートまたはモーニングコート、女子は白衿(えり)紋付またはローブモンタントである。
    この勲章は、とくに和服にも似合うようにつくられ、中綬(ちゅうじゅ)で胸部中央に着用する。
    製式は、永遠性を象徴しているという常緑樹の橘(たちばな)の花弁を模様化した章(メダル)の中央に
    勾玉(まがたま)を配し、鈕(ちゅう)(つまみ)に、橘の葉と実を配してある。勲章のほかに、
    賞状のような「勲記」がもらえ、文化功労者として毎年350万円の年金が受け取れる。
    
    文化勲章
    慣例として、その年にノーベル賞を受賞した者で文化勲章未受章である者には、文化勲章が授けられる。
    なお、1969(昭和44)年7月に人類最初の月着陸に成功したアメリカの宇宙船
    アポロ11号の乗組員N・A・アームストロング船長以下3人に、
    外国人として初めて文化勲章が授与(1969年10月31日発令)された。
文化財(a cultural asset)ぶんかざい : @人間の精神的な働きが加わって生み出されたもので、
     学問や芸術などの文化的価値を有するもの。
    A文化財保護法で、保護の対象とするもの。
     (1)有形文化財(2)無形文化財(3)民俗文化財(4)記念物(5)伝統的建造物群の5種類を指す。
     うち埋蔵文化財は、同法上では(1)有形文化財と(4)記念物とに分けられている。    
埋蔵文化財
文化財 有形文化財 (指定) 重要文化財 (指定) 国宝
(登録) 登録有形文化財
無形文化財 (指定) 重要無形文化財
民俗文化財 (指定) 重要無形民俗文化財
重要有形民俗文化財
記念物 (指定) 史跡 (指定) 特別史跡
名勝 (指定) 特別名勝
天然記念物 (指定) 特別天然記念物
伝統的建造物群 (市区
町村が
決定)
伝統的建造物群
保存地区
(選定) 重要伝統的
建造物群保存地区
文化財の保護技術 (選定) 選定保存技術
色別
重要なもの 特に重要なもの
特に価値の高いもの 保存の措置を講ずる必要のあるもの
    参 : 文化財の種類(文化庁HP)
文化財防火デー(ぶんかざいぼうかでえ) : 1月26日。1949(昭和24)年1月26日に
    法隆寺金堂壁画を焼損した。これを契機に、民族の遺産である文化財を火災から守るとともに、
    文化財愛護思想の高揚を図るために制定された。
文化財保護法(ぶんかざいほごほう) : 文化財を保存し、その活用を図り、国民の文化的向上と
    世界文化の進歩に貢献するための法律。1949(昭和24)年1月の法隆寺金堂の火災による
    消失をきっかけに、従来の「国宝保存法」「重要美術品等の保存に関する法律」
    「史跡名勝天然記念物保存法」などを統合し、1950(昭和25)年5月30日に制定された。
    参 : 文化財保護法(法律)
文化財保護法施行記念日(ぶんかざいほごほうしこうきねんび) : 8月29日。1950(昭和25)年のこの日、
    国宝重要文化財等を保護するための基本となる法律「文化財保護法」が施行された。
    前年1月26日に法隆寺金堂が全焼したのをきっかけに、文化財保護政策の抜本的改革が望まれ、
    「文化財保護法」が制定されたことから、翌年の1951年からこの日を記念して文化財愛護を
    呼びかける『文化財保護法施行記念日』として制定された。 参 : 文化庁(HP)
文化審議会(ぶんかしんぎかい) : 文部科学省設置法第29条及び文化審議会令に基づき、
    文部科学大臣及び文化庁長官の諮問に応じて、国語・著作権及び隣接権・文化財・
    文化功労者の選定及び文化・芸術全般に関する基本的な事項を調査・審議すること等を目的として
    2001(平成13)年1月6日に旧国語審議会・著作権審議会・文化財保護審議会・
    文化功労者選考審査会を統合し、設置された政府(文部科学相)が
    国の文化政策について意見を聞く機関である。
    文化審議会  芸術や文化活動を活発にするための国のビジョンを考える。
                 西原鈴子会長ほか委員は30人。
       
       文化政策部会  基本方針の話し合い
       
       国語分科会  常用漢字の見直しなど
       
       著作権分科会  著作権の保護など
       
       文化財分科会  世界文化遺産国宝の候補選びなど
       
         文化功労者 選考分科会  毎年文化功労者15名を選び、文科相は委員の意見を聞き、
                       この中から文化勲章受章候補者を5名程度選んで、首相に推薦する。
                       
    審議会の主な所掌事務
    @文部科学大臣又は文化庁長官の諮問に応じて、文化の振興及び国際文化交流の
     振興に関する重要事項を調査審議し、文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べること。
    A文部科学大臣又は文化庁長官の諮問に応じて、国語の改善及びその普及に関する事項を
     調査審議し、文部科学大臣、関係各大臣又は文化庁長官に意見を述べること。
    B著作権法、文化財保護法、文化功労者年金法等の規定に基づき、
     審議会の権限に属させられた事項を処理すること。
    参 : 常用漢字表A14
文化大革命(the Cultural Revolution)ぶんかだいかくめい : プロレタリア文化大革命の略。
    プロ文革。文革。故毛沢東主席が、劉少奇(リウ・シャオチー)国家主席ら党や行政の幹部たちを
    「資本主義の道を歩む実権派打倒」のため発動した1966年5月〜1976年10月までの
    中華人民共和国内の大規模な思想・政治闘争のこと。
    毛沢東・林彪らは学生中心の紅衛兵や軍を動員し、「造反有理」を合言葉に実権を奪い、
    劉少奇国家主席ら多数の指導者、知識人、一般民衆が迫害され多数の粛清者を出し、
    文化財が破壊された。しかし、全国で混乱がつづき、林彪失脚など内部対立はやまず、
    1976年には天安門事件が起こるに及び、毛沢東の死後、1977年に終結が宣言された。
    犠牲者の名誉回復が相次ぎ、共産党は1981年6月「指導者が間違って引き起こし、
    反革命集団に利用され、党と国家と各民族人民に大きな災害をもたらした内乱」と
    全面否定する歴史決議を採択した。
文化多様性条約(ぶんかたようせいじょうやく) : 「文化的表現の多様性の保護と促進に関する条約」の
    略称で、2005(平成17)年10月20日、第33回ユネスコ総会で採択された。
    各国が固有の文化を保護・育成する政策を取る権利を認めた条約のこと。
    35条からなる条約は、「文化的活動・財・サービスは、もっぱら商業的価値を持つものとして
    扱われてはならない」とし、各国が自国文化の保護のため「適切と判断される措置」をとる
    主権的権利を認めている。 参 : 無形文化遺産保護条約
文化庁(Agency for Cultural Affairs)ぶんかちょう
    所在地は、中央合同庁舎第7号館旧文部省庁舎の5〜6階。
    文部科学省設置法に基づき設置された国の行政機関の一つで、
    文部科学省の外局として位置づけられている。
    同庁は、1968(昭和43)年に、旧文部省文化局とその外局として設置されていた文化財保護委員会を
    統合して設置され、2001(平成13)年1月の省庁再編までは、文部省の外局であった。
    芸術創作活動の振興、文化財の保護、著作権等の保護、国語の改善・普及、
    国際文化交流の振興および国際文化交流の振興を図るとともに、
    宗教に関する国の行政事務を行うことを任務とする。
    その長は文化庁長官であり、内部部局として長官官房のほか、文化部と文化財部が置かれている。
    施設等機関として、国立博物館、国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、
    国立国語研究所、国立文化財研究所等が置かれているが、
    これらは2001年4月に独立行政法人となった。このほか、特別の機関として日本芸術院が置かれ、
    審議会として文化審議会、宗教法人審議会が置かれている。
    文化部は、文化の振興に関する企画・立案ならびに援助・助言に関すること、
    劇場をはじめとする文化施設に関すること、国語の改善およびその普及、
    外国人に対する日本語教育に関すること、アイヌ文化の振興に関すること、
    著作権などに関すること、宗教法人の規則等の認証などの事務を担当する。
    文化財部は、文化財の保存および活用に関すること、
    文化部の所掌に属するものを除くアイヌ文化の振興に関すること、
    文化施設のうち美術館および歴史に関する博物館に関することなどの事務を担当する。
    参 : 中央省庁(国会・政治関連に別掲)
文化の日(National Culture Day)ぶんかのひ : 11月3日。
    1946(昭和21)年11月3日、平和と文化を重視した日本国憲法が公布されたことを記念して、
    1948(昭和23)年公布・制定の祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨として
    国民の祝日に定められた。この日皇居では文化勲章の授与式が行われる。
    また、この日を中心に、文化庁主催による芸術祭が開催される。
    日本国憲法は半年後の1947年5月3日(憲法記念日)に施行された。
    戦前は、明治天皇の誕生日であることから明治節(明治時代には天長節)という祝日になっていたが、
    これとは関係なく定められたということになっている。
    またこの日は晴天になる確率が高く、「晴れの特異日」として有名である。
    博物館の中にはこの日に入館料を無料にしたり、様々な催し物を開催する所もある。
     11月3日は戦争放棄を盛り込んだ新憲法公布の日で忘れがたく、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」
    ということから「文化の日」とこじつけて決めたそうだが、「自由と平和の日」でよかったろうに・・・
    自衛隊が他国の戦争に加担するようになったからには、「文化の日」の理由付けが薄れている。

    関西文化の日(かんさいぶんかのひ) : 関西広域連携協議会と関西元気文化圏推進協議会が
     共同主催して毎年11月の第3土曜日と日曜日を基本に開いている文化イベントである。
     2003(平成15)年3月に文化庁長官(当時)の河合隼雄が、関西地方を文化事業で活性化させて、
     関西、そして日本全国を元気にさせようと呼びかけた「関西元気文化圏構想」の
     中核イベントとして同年11月に第1回を開催した。
     近畿・中国・四国地方の2府(京都、大阪)と8県(福井、滋賀、奈良、三重、和歌山、兵庫、鳥取、徳島)
     内の主要美術館や博物館を中心に、402個所の文化施設の常設展示物を
     主に無料として大々的に開放し、より美術・芸術に親しんでもらうとともに、
     関西地方の魅力ある文化作りを楽しんでもらうように試みられている。
    参 : 関西文化.com(HP)























































inserted by FC2 system