眼の関連(YSミニ辞典)

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NTG(Normal Tension Glaucoma) : 正常眼圧緑内障。
    眼圧が正常範囲内(10〜21mmHg)にあるにもかかわらず、視野の欠損や
    視神経の障害が起きるタイプの緑内障で、知らないうちに視野が欠けていく病気である。
    自覚症状として、眼の不定愁訴や眼精疲労があるがNTG特有のものではなく、進行してから気がつくが、
    そうなってからでは欠けた視野の回復はできない。そのため、早期発見が大変重要で、
    40歳を過ぎたら、加齢に伴って発症率が増えるので眼圧検査や眼底検査を受けることが必要である。
    自己チェックの一つとして、片目を隠して、もう片方の目だけで物を見て、
    右目で見た時と左目で見た時とで、視野が違ったりして少しでも異常を感じたら、
    すぐに眼科で受診しておきましょう。早期に発見すれば進行を食い止めることができるが、
    放置すれば、末期には失明することから、早期の発見治療が失明を防ぐ。
    診断は、視神経の緑内障変化、網膜神経線維層欠損の出現、
    これらに対応する視野欠損を明らかに出来れば容易である。
    中高年の失明の原因として2番目に多い病気が緑内障で、そのうちの6割強がNTGだといわれている。
    疫学調査によると、正常眼圧緑内障は日本人に多く、40歳以上の日本人28人に1人がNTGで、
    その内の8〜9割が治療を受けていないとされている。
    NTGが発症しやすい人
     ●高齢者(40歳ころから加齢に伴い増加)●家族に緑内障の方がいる(遺伝子異常)
     ●循環系異常・血圧異常●強い近視●頭痛持ち(偏頭痛・眼精疲労)●冷え性
    参 : (社)日本眼科医会日本緑内障学会NTG自己チェックサイト
PDT = PDT(がん関連に別掲)
VDT症候群 = VDT症候群(別掲)
黄斑(おうはん) : 黄点。明斑。霊長類の眼球の網膜中央部の後極にある卵円形のくぼみで、
    黄色色素が沈着している、視力および色の識別能力が最も鋭敏な部分のこと。
    網膜の中心部は錐状体だけで、桿状体(かんじょうたい)はない。
角膜(the cornea)かくまく : 眼球の前面中央にある、円形皿状の透明な膜。瞳孔(ひとみ)虹彩をおおう。
加齢黄斑変性症(Age−related macular degeneration:AMD)かれいおうはんへんせいしょう
    フィルムの役割をしている網膜の中でも中心部のものを見るのに最も重要な
    黄斑と呼ばれる部位が傷む網膜の病気の一つ。この病気は物を見るのに必要な
    視細胞の栄養や維持に関係している網膜色素上皮細胞に主に原因があると考えられる。
    これらの細胞の障害をきっかけに悪い新生血管が眼底に発生する病気で、
    眼底出血をきたし、極めて難治療であり、大部分の患者さんが視力に低下をきたす。
    ときには、手を振っているのが、やっと見えるか、まれには光も見えなく無く場合もある。
    両眼にくることも多く、生活に支障をきたす。その名のとおり、年を重ねるうちに、
    黄斑と言う部分が傷んでしまい、目が見えにくくなる病気のことから50歳以上に起こりやすい。
     加齢黄斑変性症は網膜の中心部である黄斑がいたむのが原因なので、
    ものを見ようとしたときにその中心部が最も影響を受ける。
    進行とともに物がゆがんで見えたり、大きさが違って見えたり、字が読みにくくなったりする。
     欧米人に多く日本人にはなじみが薄かったが、国内に43万人の患者がいるという試算もある。
    喫煙者は非喫煙者に比べて加齢黄斑変性症の人が5倍多い。
    日本人男性の喫煙率が高いことが欧米とほぼ同様の有病率になっているといわれる。
    加齢黄斑変性症の主なタイプ
    滲出型加齢黄斑変性症 : 新生血管型、ウエットタイプとも呼ばれ、
     網膜の下にある脈絡膜に新生血管が生じて黄斑部に出血、網膜剥離、浮腫などが出現し、
     網膜が障害されて起こる。進行が速く、急激に視力が低下していく。
     光線力学療法(PDT)はこのタイプの治療として行われる。
     自己チェックとして、障子の桟(さん)や窓の格子など四角のものをみてみましょう。
     視野の中心が暗く見えたり、ゆがんで見えたりすれば眼科で検査を受けましょう。
     普段両方の目を使って見ていると、片方の目が見にくくなっても
     気がつかないことが往々にしてあるので、時々片目ずつで物を見てみましょう。
     眼科ではアムスラーチャートと呼ばれる格子状の表を用いて、見え方の異常を確認している。
    萎縮型加齢黄斑変性症 : 非滲出型、ドライタイプとも呼ばれ、網膜の細胞が加齢により変性し、
     その結果網膜がだんだんと萎縮して行く。進行が緩やかなため気づかない人もいる。
     しかし時間の経過と供に新生血管が生じ滲出型に移行する場合もあり、
     定期的な眼科検査を受ける必要がある。
眼圧(ocular tension)がんあつ : 眼内圧。眼球が球形を維持するための一定の内圧。
    主に眼球内の水様液の増減によって変化する。眼球壁の緊張度を測定することによって推定する。
    眼球は一種の精密なボール型カメラであり、正しい影像を得るためには一定の硬さが必要で、
    この硬さを眼圧または眼内圧とよんでいる。日本人の正常では平均145mm水銀柱(Hg)の圧があり、
    これが21mmHgより高いものや10mmHg以下のものは異常とされる。
    眼球に入ってくるリンパ液と排出するリンパ液のバランスがよければ眼圧は丁度よく保たれているが、
    過剰生産されたり排出が悪くなったりすると眼圧が上がる。
    このリンパ液を眼房水(がんぼうすい)または単に房水といい、
    角膜や水晶体など血管のない組織に栄養や酸素を補給する役もしている。
    たとえば、眼圧が高くなる高眼圧緑内障では視野狭窄(きょうさく)、視力障害が起こり、
    特発性網脈絡膜剥離(はくり)では顕著に眼圧が低下し、視覚の障害を引き起こす。
     正常眼圧を一定に支えている主役は眼房水の循環である。
    眼房水は毛様体から一定の速度で分泌され、後房から瞳孔(どうこう)を経て前房に至り、
    隅角壁を通り抜けてシュレム管に入り、房水静脈を経て上強膜静脈系に流れ去る。
    この循環系のどこかに流れを遮るものが出現したり、房水の産生速度が高まったりすると、
    眼圧は上昇するし、逆の状況下では眼圧は下降する。
    治療 : 眼圧を正常範囲に保つよう点眼薬を使う。降圧剤や利尿剤を使うこともある。
     これらでコントロールできないときは手術して房水の流れがうまくいくようにできる。
     緑内障糖尿病などの全身病に合併しておきることもあり、
     原因になる全身病の検査・治療も大切である。
眼病(an eye disease、have sore eyes)がんびょう : 目の病気。めやみ。眼気。眼疾。
    眼の病気には、白内障緑内障などではなく、色の区別がつかない色覚(しきかく)異常や、
    角膜の表面が乾燥するドライアイ、強膜・視神経の病気など、いくつもの種類がある。
    理解しておかなければいけないことは、病気によって一度失われた視力は、
    回復が難しいことが少なくないので、少しでも気にかかることがあれば、
    早目に眼科を訪れ、もし検査で異常を指摘されたら、
    視力障害が今以上進行しないように、適切な治療を継続していくようにしましょう。
    眼の構造と機能の画像はこちら
    目薬のさし方
      目の中に一度に入る目薬の量はせいぜい1滴で、それ以上はただ目からあふれるばかりなので
      1回1滴で十分で、治療のために薬を多く使う必要がある場合は、1回に何滴もさすのではなく、
      点眼の回数を増やすようにする。ただし、1日に何回さすかは医師の指示を守ることが大切で、
      病気を早く治したいと思うあまり、指示された回数より多くさすと、充血や緑内障など、思わぬ
      副作用が現れることがある。目薬の狙いがそれないようにするには、点眼の際、下のまぶたを引き、
      そこに落し、点眼後しばらくは目を閉じ、目頭を押えるようにする。
      これは、目頭にある涙点(涙の出口)から薬が流れてしまうのを防ぐためである。
      2種類以上の目薬を使用する場合は、目の中で薬の成分が混ざらないように、
      さす間隔を最低3分から20分ぐらいあける。
      また、点眼の際には目薬の容器の先が目に触れないようにしないと感染の原因になるだけでなく、
      目のまわりの脂やごみなどが、容器内に吸収されて、薬が使いものにならなくなる。
      目薬の貸し借りや、使用期限を過ぎた目薬の使用も、もちろんいけない。
    眼病によく効く温泉 : 貝掛温泉(新潟県)
    参 : ランドルト・マーク
眼精疲労(eyestrain、asthenopia)がんせいひろう : 目を使う仕事をする時に、
    普通の人なら疲れないような場合でも、目が疲れて痛くなったり、頭が重くなったり、
    肩こり・吐き気を催したりする状態をいい、「疲れ目」は休めば疲れがとれることから病気ではないが、
    慢性的な痛みなど、休んでも治らないものが「眼精疲労」で、これは病気の範囲に入る。
    一晩二晩、目を休めてもその後もずっと目の疲労感がとれないときなどは眼精疲労の疑いがある。
    眼精疲労の自覚症状として、目を使う仕事をする時に、普通の人なら疲れないような場合でも、
     目が疲れて痛くなったり、充血、かすみや視力の低下などがあるが、目以外でも、頭が重くなったり、
     頭痛がするなどの身体の痛み、肩こり、胃痛や食欲不振、吐き気、便秘などが起こることもある。
     さらに進行すると、毛様体筋の動きが低下し、目の焦点を合わすための調整が効かなくなる。
    原因には、遠視・乱視、目の異常、目の酷使、眼鏡の度が合わない、ストレスなどがある。
     興味深いことに眼精疲労を訴える人の60%はドライアイの症状もある。
     また、ドライアイを訴える人の60%は目の疲れを感じている。
眼底検査(がんていけんさ) : 検眼鏡を使って眼底を検査すること。
    目の病気のほか、高血圧動脈硬化糖尿病などの病状の検査にも用いられる。
    眼底には、網膜と、視神経の入り口がある。人間の体の中で直接欠陥を観察できるのは
    眼底だけなので、眼底の病気や頭蓋内の病気を疑われる時、眼底検査を行う。
    また、ニーマンピック病では時に眼底にcherry−red spotsが認められる場合があり、
    診断を確定するための検査の一つとして用いられる場合がある。
眼底の病気(がんていのびょうき) : 血管障害、血流障害が関係していることが多いのが特徴である。
    眼底を構成している網膜、脈絡膜は血管に富んだ膜で、その血管に障害が起きると、
    さまざまな悪影響が現れる。例えば、眼底の血管が破れて起こる眼底出血があり、
    出血した血液が眼球内に広がると、視野が欠けたり、視力の低下、
    出血の場所によっては即、失明することもある。また、血管が詰まって血液が流れにくくなり、
    網膜の細胞の機能が停止してしまい、視力低下、視野が欠ける、などが起きることもある。
    網膜が脈絡膜から剥がれてしまう網膜剥離なども、比較的頻度の高い病気といえる。
虹彩(an iris)こうさい : 眼球の角膜水晶体の間にある輪状の模様組織(薄い膜)のことで、
    瞳孔(ひとみ)の周囲にある。いわゆる「黒目」の部分に当たる。中央の孔が瞳孔(ひとみ)で、
    虹彩中の平滑筋の伸縮によって瞳孔の開きを調節して、眼球内に入る光の量を調節する。
    色素に富み、その色合いは人種によって特徴がある。
    模様は2歳ごろに安定し、一生を通じてほぼ変化しない。
    双子の間や同一人物の目の左右でも違うため生体認証などに使われる。
硝子体(しょうしたい) :  ガラス体。眼の前眼部(角膜水晶体)の後方に位置して網膜に包まれ、
    眼球の球内を満たしている細かい線維でできたゲル状の透明な寒天様物質で、
    眼球の中に満たされている。光が通りやすく、眼の形を保つのに役立っている。
硝子体出血(vitreous homorrhage)しょうしたいしゅっけつ : さまざまな部位からの出血が、
    硝子体腔のなかにたまった状態をいう。糖尿病高血圧、外傷などにより眼底で出血が起こり、
    その血液が硝子体に入ると突然、飛蚊症や霧視(むし)などの症状を感じたり、
    目の前に赤いカーテンを引いたように感じ、出血の量や部位によっては視力が著しく低下する。
    硝子体はゼリー状のどろっとした組織なので、このなかに出血がとどまると、
    吸収には2〜3カ月かかるのが普通である。硝子体は本来、血管のない透明な組織だが、光が
    出血によってさえぎられて網膜にうまく届かなくなるので、飛蚊症・霧視(むし)・視力低下などを起こす。
    治療・予防 : 細隙灯顕微鏡検査、眼底検査で硝子体のなかの出血を確認し、
     原因となった病気の治療を行なう。出血が新しければ、なるべく頭を高くした姿勢で安静にして
     止血薬を内服する。出血が少なければ自然に治ることもあるが、止血薬や硝子体に流れ込んだ
     血液の吸収を早める薬で治療する。なかなか出血がひかないときは症状により
     出血部位にレーザーを当てる光凝固法などの硝子体の手術をすることもある。
     出血の予防として、異常なもろい血管ができる前にレーザー治療を行なう場合もある。
水晶体(すいしょうたい) : レンズ。 動物の発達した眼球で、
    光を屈折して網膜上に像を結ばせるレンズ状の透明な構造体。
    ヒトでは、虹彩の後方にあって毛様体の収縮・弛緩によって厚さが調節され焦点を合わせる。
疲れ目(つかれめ) : 目が疲れて、痛くなったり、かすんで見えたりする状態のこと。
    眼科では目の疲れを「眼疲労(がんひろう)」と呼んでいる。
    眼疲労つまり「疲れ目」は、身体の疲れと同じように、休めば疲れがとれることから病気ではない。
    しかし、例えば慢性的な痛みなど、休んでも治らないものは「眼精疲労」で、これは病気の範囲に入る。
    疲れ目は毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉組織の疲労によって生じる。
    レンズの役割をする水晶体が、そのまわりにある毛様体筋の伸縮によって厚みを変化させて
    網膜に焦点を合わせる、というのが目のメカニズムだが、
    近くを長く見続けると毛様体筋の緊張状態が続き、このために目が疲れてしまうのである。
    疲れ目は、視力の低下、目が重い、充血する、かすむ、といった症状のほかに、
    頭痛肩こり、吐き気、腰痛、倦怠感など、目以外に及ぶ症状を引き起こす要因にもなる。
    疲れ目解善法 : 疲れ目改善の基本は、からだのほかの部分と同じ「休息」と「栄養」である。
     目を使う場面では、1時間ごとに10〜15分程度休憩しましょう。いちばん簡単な方法は、
     目を閉じてリラックスすること。これだけでも目が涙で潤って栄養が補給され、
     目の周りの筋肉を休ませることができる。血行不良も疲れ目の原因のひとつなので、
     運動も疲れ目改善には効果的で、背伸びなどをして、全身をリラックスさせるだけでも効果がある。
     このほか、日常生活で実践できる「疲れ目改善法」は以下の通り。
    ●目のクイックエクササイズ : 簡単な目の体操で、こり固まった目の周りの筋肉をほぐす。
     @眼球をゆっくり上下に動かす。何度か繰り返す。
     A眼球をゆっくり左右に動かす。何度か繰り返す。
     B眼球をゆっくり、ぐるりと右回し、左回しする。何度か繰り返す。
    ●ホットパック : 冷やしたタオルやアイピローで目を冷やのは、
     疲れてカッカした目を鎮静させるには良いが、目の機能回復には温めたほうが効果的で、
     タオルを熱いお湯に浸して固く絞り、目の上に数分間置く。
    ●指先でツボを刺激 : ツボ刺激の良いところは、1度ツボの場所を覚えれば
                   時間や場所を問わず実行できることである。ツボの場所は、
     @晴明(せいめい) : 目がしらを指で押さえると、骨のくぼみにさわることができる。
                   その指を上下に動かすと、鼻の奥に痛みが走るところである。
                   眼球を圧迫することのないように、注意しましょう。
     A攅竹(さんちく) : 左右の眉の内側の端にある。
                  人差し指を当てて上下に軽く動かすと、細いすじに触れるところである。
     B瞳子?(どうしりょう) : 前関(ぜんかん)とも言い、眼尻の1cm横の骨のくぼみの中にある。
                押さえて上下に動かすと、頭の両側から上まぶたに向けて痛みがあるところである。
糖尿病性眼病(とうにょうびょうせいがんびょう) : 糖尿病の人々がそれをこじらせた場合に
    直面する可能性のある目の疾患の一種で、下記のものが含まれる。
     ●糖尿病性網膜症 : 網膜の毛細血管に損傷を与える。糖尿病性網膜症
                    先進諸国の成人が失明する最大の原因である。
     ●白内障 : 水晶体が濁って視力が低下する病気。
     ●緑内障 : 眼圧が上昇し、視神経が損傷を受けて視力を失う恐れがある。
    白内障緑内障は、糖尿病の人のみに発病する眼病ではない。
    参 : 網膜症
ドライアイ(dry eye) : 角膜乾燥症。目を守る涙液が減少し、目の乾燥や目の疲れを感じること。
    「目の粘膜」が痛んだり弱っている状態で、目の痛み・かゆみ・充血などの症状を呈し、
    ひどくなると角膜が傷つき、視力の低下をもたらすこともある。
    また、細菌ウイルスに感染しやすくなり、トラブルのもとになる。
    ドライアイには、免疫異常で起きる「シェーグレン症候群」によるものもある。
    症状 : 通常は「眼が乾く」「眼がゴロゴロする」「眼が痛い」「光や風が眼にしみる」
     「眼に違和感がある」などの眼乾燥(がんかんそう)症状が主体である。
     しかし、典型的な眼乾燥症状以外に、「眼が疲れる」「眼がかゆい」「何となく眼が不快」
     「眼脂(がんし:めやに)が出やすい」「眼が充血しやすい」など、眼精疲労やアレルギー性結膜炎
     あるいは慢性結膜炎に類似した不定愁訴的な症状を示すことも少なくない。
     「目が疲れた」と感じた時の原因の約60%が「目の乾き」であるといわれている。
     なお、逆説的だが「涙っぽい」という症状を訴えることもあるので注意が必要である。
     さらに、角膜上皮障害が強くなると「眼がかすむ」などの視力障害の症状が現れてくる。
    ドライアイ自己チェックテスト(5つ以上にチェックが入れば、ドライアイの可能性があるかもしれない)
     □目が疲れやすい      □目が重たい感じがする
     □目が痛い           □目がかゆい
     □めやにがでる        □目が乾いた感じがする
     □理由もなく涙がでる    □光がまぶしく感じる
     □目がゴロゴロする      □目に不快感がある
     □ものがかすんで見える   □目が充血する    
ドライアイの原因
涙の量の減少
成分の変化
●加齢●不規則な生活●薬剤(降圧剤・精神安定剤・
一部の緑内障治療点眼薬)の使用時
まばたきが少ない ●パソコンなどのVDT作業●車の運転●読書
涙が蒸発しやすい ●乾燥した状態の中にいる(エアコン運転、飛行機等)
●空調の風(会社内など)●目が大きい
その他 ●コンタクトレンズ●アレルギー性結膜炎
紫外線ストレスが高い時
    ドライアイになりやすい原因に、「コンタクトレンズ」、「パソコン」、「エアコン」の
    「三つのコン」があると言われている。
    コンタクトレンズは目にとっては異物であり、ソフトレンズは涙の蒸発を助長することが多く、
    ハードレンズは目がレンズのゴロゴロした刺激に慣れてしまう(角膜の知覚が落ちる)ため
    涙が出にくくなる。また目の老廃物で汚れたレンズもドライアイの原因になる。
    コンタクトレンズの汚れは、水濡れ性を低下させ蒸発を高める。
    特にハードレンズは水をはじきやすい性質がある。また汚れはデコボコとレンズのまわりに付着するので、
    レンズの表面積を増やし、水分の蒸発を進める。このようなことから、ドライアイの原因となりやすい。
    パソコンは、モニター画面をまばたきしないで長時間見つめ続けることがドライアイの原因になる。
    モニター画面の位置が高いと目を見開いてしまうので、目の表面積が増えるため涙の蒸発が促進され、
    目の表面が乾燥することから、画面の位置を自分の目線より低くするほうがいい。
    1時間に5〜10分ぐらいは定期的に目を休めたり、意識的にまばたきを増やすようにしましょう。
    エアコンは、室内を乾燥させる要因となるし、風が直接目に触れると、さらに目が乾燥しやすくなる。
    風向きを調整して直接目に当たらないように気をつけ、
    室内が乾燥しないように加湿器を使うなどの対策を心がけましょう。
    ドライアイに効果のある食物 : ドライアイには目の表面の粘液を増やすことが大切で、
     そのためにはビタミンAを豊富に含んでいる食物(レバーやブロッコリーなど)がいい。
白内障(a cataract)はくないしょう : 水晶体が濁って視力が低下する病気のこと。
    水晶体はカメラのレンズにあたる無色透明の組織で、水晶体上皮という細長い細胞で構成されている。
    この細胞の新陳代謝が、加齢などの理由で変化してくると、
    本来透明であるはずのものに濁りが生じてくる。
    糖尿病アトピー性皮膚炎など、眼以外の病気が原因で、白内障になることもある。
    治療には、水晶体の成分構成を整える薬による薬物治療もあるが、
      より確実な効果が得られるのは手術による治療で、濁った水晶体を取り除くことが目的である。
      しかし、水晶体を取り除いただけでは、カメラのレンズがない状態と同じで、
      ピンボケのようにしか見えない。そこで、メガネやコンタクトレンズで矯正したり、
      水晶体があった位置に眼内レンズを埋め込んだりする。
      現在ではほとんどの場合、眼内レンズを移植している。なお、白内障では一般に、
      視力は緩やかに低下するので、白内障がみつかったらすぐに手術をするというより、
      どの時点で手術を行うのが一番よいかを、患者それぞれの日常生活状況などをもとに判断する。
       人工水晶体を挿入する白内障の手術は、現在では日帰りで受けられるほどで、その安全性も高い。
     しかし、人工水晶体を入れればそれで万事解決というわけではない。
     老人性白内障で人工水晶体を挿入すると、長い間見ていた白がまぶしく感じる。
     水晶体が急に透明になったからである。水晶体の黄染は、有害な可視光線から目を守ってくれるが、
     従来の透明な人工水晶体は、有害な短波長光線を通して網膜に悪影響を与える可能性がある。
     最近開発された黄色の人工水晶体を挿入すれば、
     光をまぶしく感じることもないし、目にも優しいレンズである。

     61歳のとき、久しぶりの夜間の運転で前方がよく見えないことが分かり、
     眼科の診察を受けたら両眼とも白内障と診断され、2001年6月に右目、同年10月に左目の手術をし、
     両眼ともに0.3だった視力が1.2まで回復し、10年になるのに視力はまったく衰えていない。
     5センチ近づいた手の指紋も、遠くの物も良く見えるようになり、
     毎日パソコンを10時間くらいやっていても、かすみ目や目の疲れなど全くない。
     それは何百もの手術をてがけたベテランの町医者の手術を受けたからだと思う。
     外出時には目の保護とまぶしさから、光を感知して黒くなるサングラスをかけることを
     妻は快く思っていないことがデメリットの一つに数えられるくらいでしょう。
     当時から日帰り手術をする医院もあったが、私は賛成しない。
     就寝中に目をさわったりして再手術をすることもあり、食事などで家族に迷惑をかけることになり、
     医院や病院で完全看護してもらうに越したことはないでしょう。

飛蚊症(ひぶんしょう) : 網膜剥離(もうまくはくり)の始まる前に起きることが多く、
    「黒いものがとぶ」ことをいい、蚊が飛んでいるように見えるという意味だが、
    実際にはこの他に水玉、ハエ、黒いスス、糸くず、お玉じゃくし、輪などが見えることもある。
    また黒いものから透明なものまで色もさまざまで、数も1個から数個、時に多数のこともある。
    これらのものは目を動かすと、ふわっといった感じで目といっしょに動いて見える。
    視線を動かしてもなお一緒に移動してくるように感じられ、
    まだたきをしても目をこすっても消えないが、暗い所では気にならなくなる。
     歳(とし)をとると硝子体(しょうしたい)はゼリー状から液状に変化し、硝子体が次第に収縮して
    網膜から剥(は)がれる(硝子体剥離)ような老化現象が起きると飛蚊症の症状をもたらすが、
    髪が白髪になるのと同じようなもので、生理的な現象である。また、若い人でも強度の近視の場合には、
    この硝子体剥離が早期に起こりやすく、しばしば飛蚊症の訴えがある。
    眼科の検査において、このタイプの飛蚊症と診断された場合には治療の必要はなく、
    多少うっとうしいと感じるが、慣れれば特に問題はない。
    しかし、硝子体剥離、網膜裂孔(もうまくれっこう)、網膜剥離などの初期症状としての飛蚊症もあり、
    「浮遊物」の数が急に増加し、放っておくと失明することもあるので、
    症状が出たら早めに眼科で検診しましょう。

    67歳の2006年10月の初め、右目の隅に崩れた黒い輪が出たので眼科で検診したら飛蚊症だった。
    「眼底などの異常もなく、老化現象の一つなので放っておいてよく、自然に治ることもある」と言われたが、
    目の中央部に現れることもあり、うっとうしいので別の眼科で眼底検査などをしてもらったが、
    やはりこのまま放っておいても差し支えないと言われた。どうにかならないものかねえ。

ぶどう膜炎(ぶどうまくえん) : 血管とメラニンという茶色の色素の豊富な虹彩、毛様体、
    脈絡膜の3つの部分を併せて「ぶどう膜」といい、炎症を起こしやすい組織である。
    このぶどう膜に細菌ウイルスが進入したり、眼のアレルギー反応により炎症が起きたものを
    「ぶどう膜炎」といい、血管から白血球や滲出物が硝子体に入り込み、飛蚊症の症状を感じ、
    炎症がひどくなると「浮遊物」が増加し、視力が低下する。角膜炎と同様、感染性や外傷性の他、
    膠原病や自己免疫疾患に伴うような非感染性の原因があるが、
    あらゆる検査をしても原因不明のものが全体の1/3以上あり、診断が難しい病気である。
    また、非感染性の原因疾患では、わが国ではベーチェット病、サルコイドーシス、
    原田病が三大疾患であるが、ベーチェット病だけは他の非感染性ぶどう膜炎と異なり、
    感染性疾患によるぶどう膜炎同様、ステロイド治療が原則として禁忌(きんき)になるので、
    診断とともに治療も難しい病気である。
    症状 : 黒目の周囲の白目の充血(毛様充血)、目のかすみ、視力低下、まぶしさ、
     目の痛みなどがある。発作と呼ばれる重篤(じゅうとく)な炎症が急激に発症したり、長く続くと、
     緑内障白内障網膜剥離などを合併することが多く、それらの症状もあわさることもある。
     また、全身疾患に合併する場合には、目以外の身体症状も多彩に出現する。
     例えばベーチェット病では、アフタ性口内炎、にきびのような皮膚の発疹、陰部潰瘍(かいよう)が、
     サルコイドーシスでは、特有の皮膚の結節、原田病では、脱毛、白髪、難聴、後頭部の痛みや硬直、
     関節リウマチなどでの手足の関節の変形と腫れ、こわばりなどがある。
    診断・治療 : 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で、前眼部の角膜、前房、虹彩、前部硝子体中に、
     炎症でみられる異常を観察する。さらに、炎症の範囲と診断に有用な特有の異常を発見するために、
     隅角(ぐうかく)鏡検査や散瞳(さんどう)しての眼底検査、さらに色素の静脈注射を使った
     眼底の血管造影をする。強い炎症で、眼球内部が透見できない時は、
     レーザースキャニングや超音波検査を行う。診断を確定するために眼内組織を採取し、
     病理診断したり、目以外の症状を詳しく調べるために、MRICTレントゲン撮影
     血液学的・免疫学的血液検査や生化学検査、ヒトリンパ球のタイプ(HLA)の検査などを行い、
     同時に該当する眼科以外の診療科に受診相談をする。
     炎症を抑えるための内服薬や点眼薬で治療をする。
網膜(the retina)もうまく :  眼球内壁の奥にある厚さ約0.1〜0.4ミリの薄い膜で、
    多数の視細胞とそれに連絡する視神経が分布し、ものを見るための重要な役割を担っている。
    ヒトでは外界の光がこの膜上で像を結ぶと、視神経がその刺激を大脳皮質の視覚中枢へ伝える。
    網膜は10層に分かれていて、内側の9層は神経網膜といい、光を感じる細胞が並んでいる。
    外側の1層は網膜色素上皮細胞(もうまくしきそじょうひさいぼう)という。
    網膜の中で一番重要な部分は、中央にある黄斑部(おうはんぶ)で、
    視力や色の識別に関係している細胞がある。ものを見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼球内に入る。
    水晶体で屈折されたあと、硝子体を通り、網膜に到達する。
    このとき網膜で感じとられた光の刺激が視神経を通って脳に伝えられ、「見える」と認識される。
    つまり網膜は、カメラにたとえるとフィルムのような役割を果たしているといえる。
網膜症(もうまくしょう) : カメラのフィルムの役目をする網膜が傷んでしまった結果起こりる。
    網膜は、光や色を感じ、それを脳に伝える役割をもっているが、そこには細かい血管(細小血管)が
    無数に張り巡らさせている。糖尿病では、血液が高血糖のため糖分を多く含み、粘性が強いため、
    この細小血管をつまらせたり、血管壁に負担をかけ、細小血管症を起こす。そのため、
    網膜の酸素や栄養が不足してしまい、眼底出血や硝子体出血などの症状を示す網膜症が起こる。
    網膜症には「高血圧網膜症」「中心性網膜症」「網膜色素変性症」「未熟児網膜症」などがあるが、
    「糖尿病網膜症(糖尿病性網膜症)」は失明原因のトップになっており、
    眼底をみれば糖尿病の状態が推測できる程であるといわれている。
    特に糖尿病性眼疾患は他の眼疾患に比べ手術後の予後が悪いといわれ、
    「厚生省糖尿病調査研究」によれば年間約4000人の患者が失明し、約3000人が
    重症の視力障害におちいっていることが明らかにされている。
    糖尿病網膜症とは糖尿病による網膜の血管障害により、網膜の血流が低下することが原因でおこる
    網膜の障害で、糖尿病が発覚したときに既に網膜症の症状が出ていることもある。
    自覚症状が出るようになったらかなり進行が進んでいる状態なので、
    自覚症状が出る前に定期的な検査で早期発見に努めましょう。
    失明の原因の1位は、アメリカでは加齢黄斑変性であるが、日本では糖尿病網膜症によるものである。
    糖尿病網膜症の進行過程
     単純性網膜症(単純網膜症) : 糖により網膜内血管がもろくなり、毛細血管瘤ができたり、
      点状や斑状の出血、硬性白斑や黄斑、浮腫(むくみ)が認められる段階。
      これらは糖尿病網膜症の初期症状で、この段階では自覚症状はほとんどない。
     前増殖性網膜症(増殖前網膜症) : 網膜の異常が表層部(硝子体と接する部分)にまで進行して
      きている段階。この時期に、血液の流れがうまくいかなくなると新生血管が作られる準備に入る。
      毛細血管がつまり、柔らかい白斑が出来てくる。この段階でも自覚症状はない。
     増殖性網膜症(増殖網膜症) : 新生血管がつくられ、増殖した組織が網膜から硝子体へ
      浸入してくる段階。血管が破れると血管繊維が増殖し、それによって重い視力障害が発生する。
      網膜剥離や、重症になると失明することもある。
     糖尿病性黄斑症 : 上記のような進行段階と平行して起こる症状。
      単純期や増殖前期などで血管から漏れた血漿成分が黄斑部に溜まってむくんだり、
      硬性白斑が黄斑部に蓄積するなどで視力低下が起こる。
    糖尿病網膜症の症状
     ◆ぼんやり見える
     ◆飛び物が見える(飛蚊症)
     ◆影や暗くて見えない部分がある
     ◆夜間に見えにくくなる
     ◆直線が歪んで見える
    糖尿病網膜症の治療
     糖尿病網膜症は眼科治療によって改善することが出来る。最も一般的な治療は、レーザー治療で、
     レーザー治療によって出血を防ぎ、余分な血管の破壊による新生血管の増殖も予防することができる。
     黄斑浮腫もレーザー治療の適応となる。レーザー治療を行っても、
     血糖値の管理が出来ていなければ、網膜症の進行を食い止めることは困難なので、
     血糖値の管理をきっちり行って大切な眼を守っていきましょう。
    参 : 糖尿病性眼病
網膜剥離(もうまくはくり) :  網膜(外層をなす色素上皮層)が強膜(内層をなす神経層)から
    剥(は)がれて浮き上がった状態をいい、放っておくと失明に至る。
    網膜色素上皮細胞(もうまくしきそじょうひさいぼう)と神経網膜の接着は弱いので、
    何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞からはがれて、
    硝子体(しようしたい)の中に浮き上がってしまうことがある。
    これが網膜剥離で、裂孔原性網膜剥離と呼ばれる網膜に裂孔(裂け目)を伴うものが一般的である。
    初期症状として、目の前にほこりが浮いて見える「飛蚊症」や、
    目をつぶっても光がまたたいて見える「光視症」があり、進行すると視野が欠損する。
    剥離した部分の視野の欠損や視力障害を来す。外傷・強度の近視眼・糖尿病高血圧などでみられる。
    「網膜剥離」は先天的なものと後天的なものがあり、ほとんどはこの後天的なものである。
    後天的なものにもタイプがあり「ブドウ膜炎」、しゅようから起こる「症候性網膜剥離」、
    網膜にあいた穴から硝子体液が流れ出した為に起こる「裂孔原生(突発性)網膜剥離」がある。
    ちなみにこの「裂孔原生網膜剥離」は老化との関係から主に40代以降に起こりやすい、
    と言われてきたが、今はパソコン・ゲーム機等の普及によって10代から30代の「網膜疾患」が
    大変増えてきているそうである。
    網膜剥離の前兆
     ■目の前に突然「ぴかぴかして光るもの」が見える。暗い所やうす曇りの日によく見え、
      「光視症」と呼ばれる。銀色、金色、黄色、オレンジ色等で光る。
      玉が浮かんでいるように見えたり、火花が飛び散ったように見える。
      少量の出血をすることがあり、墨をまいたようなものがみえることもある。
      出血が吸収されるとこれは消えてしまうが、量が多い時には長く残る。
      時には裂孔ができた部分から大量に出血してほとんど見えなくなってしまうこともある。
      つづいて特徴的な飛蚊症が出現する。
     ■黒い点(または白い点)のようなものがちらちらと見える。
      又は黒い点のようなものが最近急に増えてきた。目の前を蚊が飛んでるようにも見えることから、
      「飛蚊症」と呼ばれる。飛蚊症には、特に問題のない「生理的飛蚊症」と
      「網膜剥離」を引き起こすこともある「病的飛蚊症」とがあるので、眼科で検診しましょう。
     ■目の奥が何となく痛い、又は重い。偏頭痛と間違えられそうだが、
      目と眉毛の間がはれぼったく感じ、痛みを感じる。
    網膜剥離の予防
     ●暗い所での読書、テレビを見る、ゲームする等の行為は絶対止める。
      網膜がいびつに引っ張られ、「網膜剥離」の前段階である「網膜裂孔」を作る恐れがある。
     ●会社や自宅でのパソコン対策を立てる。
      画面には必ず反射を防ぐフィルターをつけ、キーボードと目の距離、
      画面と目の画面と目距離はなるべく同じぐらいにし、その間は50cm前後にする。
     ●青い魚を好んで食べる。さばいわし等ビタミンB群が目を強する。
     ●ブルーベリーを毎日、摂取する。ブルーベリーに含まれるアントシアニン色素によって
      確実に視力が上がる。視力が良くなる事は「網膜剥離」の危険性が低くなる。
     ●頭に衝撃を与えない。
     ●重い物をひとりで持たない。
     ●網膜にうすい部分やすでに網膜裂孔がある場合には、
      予防的に冷凍凝固やレーザー凝固を行う場合がある。
ものもらい : まぶたのふちや内側に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こるもので、
    医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」とも言う。
    対処が遅れると細菌が増殖を繰りかえし、痛みを伴う化膿性炎症などを引き起こしかねない。
    プールや海水浴のシーズンなどは、特に注意したい目の疾患のひとつである。
    「ものもらい」という呼び名は、東日本を中心に使用されているもので、
    ほかにも「めばちこ」「めいぼ」「おひめさん」など、地方ごとにさまざまな方言が用いられている。
緑内障(glaucoma)りょくないしょう : 眼球の後方にあり、網膜で感じとった光の情報を
    へ送っている視神経が、眼圧(がんあつ)が高くなること(高眼圧)によって冒され、
    視野(しや)が狭くなったり、視力が低下したり、場合によって失明することもある病気のこと。
    房水の排水口である隅角(ぐうかく)がふさがって眼圧が高くなる「閉塞(へいそく)隅角緑内障」と、
    隅角はふさがっていないが房水の流れが悪い「開放隅角緑内障」がある。
    急性緑内障では、眼痛・頭痛・嘔吐など症状があり発見されやすいが、
    慢性緑内障は眼精疲労程度の症状しかなく、視力障害の自覚症状が出たときは手遅れのことが多い。
     日本人の失明原因の1位が、緑内障による視覚障害で、
    緑内障でいったん失った視野を戻すことはできないが、早く発見すれば進行を遅らせることができる。
    眼圧とは、角膜水晶体の間を満たしている房水が、眼球自体を内側から支えている圧力のことである。
      房水は毛様体で作られ、角膜と強膜の境目の隅角にある 線維柱帯(せんいちゅうたい)で吸収され、
      シュレム管で排出されて眼圧が保たれる。
      房水は、この一連の流れの途中で、角膜や水晶体、硝子体に栄養を与えている。
      隅角や線維柱帯に異常があると、房水の量が多すぎて高眼圧になる。
      緑内障は、高眼圧を起こしている原因によって、いくつかのタイプに分類されているが、
      中には急激に痛みが起きて、早急に処置しなければならないケースもある。
    診断には、眼底の状態を三次元解析する検査が有用で、2008年4月からは保険適用される。
     これまで難しかった初期段階の診断に役立つと期待が高まる一方で、
     2割の誤診率を警戒する声もある。
    治療は眼圧を下げることが基本で、薬により房水の量を抑えたり、
      手術で房水の出口にバイパスを設けたりする。
      急性緑内障発作は、レーザー光線治療・手術治療が必要だが、
      慢性緑内障はまず点眼治療で眼圧をコントロールし、
      コントロール不良の場合、レーザー光線治療・手術治療が必要となる。
    なお、眼圧は正常(10〜21ミリ水銀柱)なのに、視神経乳頭が圧迫されて視神経が冒される、
    「正常眼圧緑内障(NTG)」という病気もある。
ルテイン = ルテイン(別掲)
レーシック(Laser in Situ Keratomileusis:LASIK) : 「生体内レーザー角膜切開術」。
    角膜屈折矯正手術の一種で、目の表面の角膜にエキシマレーザーという
    10000分の1ミリ(1ミクロン)単位で角膜の形状を変えることができる高精度のレーザーを照射し、
    角膜の一部を蒸散させ、角膜の曲率を変えることにより近視や遠視の原因である屈折異常を正常に治し、
    視力を矯正する手術である。日本では2000年1月に厚生省(現:厚生労働省)に認可され、
    短時間な手術と高い安全性で最近注目を集めている。
     イントラレース(レーザー)もしくは、マイクロケラトーム(カンナのような機械)で
    角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくる。
    表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を削る(蒸散させる)。
    その後、フラップを元の状態に戻し、フラップが自然に吸着する。
    角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、
    近視が矯正される。その他、乱視・遠視も矯正可能である。
     眼鏡やコンタクトレンズが不要になることからスポーツ選手の術例が多く、
    メジャーリーガーの松坂大輔投手、格闘家の角田信朗選手も受けているという。
    また、就業にある程度の裸眼視力が必要な職業を目指す者が就職前に受けているケースがある。
    ただし、飛行士の資格はレーシックを受けた者には取得できず、
    鉄道運転士も会社によって内規でレーシックを認めない場合があるように、
    レーシックを受けることで逆に自分の望む進路が断たれることもあるので、
    就職のためにレーシックを受ける場合は事前に確認が必要である。
    なお、飛行士も鉄道運転士もかつてと違って現在では裸眼視力を問わない。
    裸眼視力が低くても一定度数以内の眼鏡などで矯正して視力が出れば就業は可能である。
     10万円以上の医療費の支払がある場合は、確定申告をすれば税金の還付が受けられる。
    メリット
     @レーシック施術中や施術後にほとんど痛みが無い
     A手術時間が短い
     B手術方法と回復の早さ
     C入院の必要が無い。
     Dコンタクトやメガネを使わず、裸眼で生活できる
    デメリット
     @施術を執刀する医師の技量
     A感染症の可能性
     Bレーシック手術による“後遺症”

    近視矯正するレーシックで19歳女性、失明も<銀座眼科、手術後67人感染症>
     東京都中央区保健所は2009年2月25日、銀座眼科(同区、溝口朝雄院長)で、
    レーザー光線を使って近視を矯正するレーシック手術を受けた患者639人のうち、
    18歳から66歳の男女67人が、感染性角膜炎や結膜炎を発症したと発表した。
    2人が入院し、19歳の女性は家族によると、失明の恐れがある重症という。ほかの患者の容体は
    調査中で、溝口院長は「今後、角膜移植が必要な患者が出る可能性もある」としている。
     保健所や溝口院長によると、最初の感染が見つかったのは2008年10月で、
    以降も感染報告が相次いだが溝口院長は治療を続け、2009年2月までに67人が感染。
    同眼科が1月20日ごろ、治療機器を消毒する機器を入れ替えたところ感染がなくなったという。
    保健所は消毒機器の衛生管理や、医師の手洗いが不適切だったことなどが原因とみて調べている。
     溝口院長によると、同眼科は平成18年8月に別の眼科を引き継いで開院。
    消毒機器もその際に引き継ぎ、消毒やメンテナンスは一度も行っていないという。
    患者からの通報を受けた保健所が2月に立ち入り調査を行うまで同眼科から報告していなかった。
    溝口院長は「深くおわびします」と謝罪。報告が遅れたことについては、「試行錯誤すればよくなると思った。
    不徳の致すところ」と語った。感染者に対しては治療費を支払うなどして対応するという。
     レーシック手術については、日本眼科学会がガイドラインで、講習会を受けた眼科の
    専門医を術者の条件としているが、溝口院長は講習会などを受けてはいないという。
裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり) : 眼球の中の硝子体は、中高年になると、
    液化硝子体(えきかしょうしたい)と呼ばれる水の部分ができて、眼球の動きとともに硝子体が
    眼球内で揺れ動くようになる(後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり))。
    硝子体網膜が強く癒着(ゆちゃく)している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ、
    裂孔ができてしまう。その裂孔から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網膜ははがれてしまう。
    これが裂孔原性網膜剥離である。また、ボールが目に当たるなど、強い力が目に加わって網膜が
    剥離してしまう外傷性網膜剥離(がいしょうせいもうまくはくり)も、裂孔原性網膜剥離のひとつである。
ロービジョン(Low Vision) : 弱視状態のことで、視覚障害の一つ。従来、低視力と呼ばれたもの。
    病気やけがなどのために十分な視力が出ない、視野が狭くなるなどの状態のこと。
    斜視や屈折異常などの「医学的弱視」と区別し、「教育的弱視」「社会的弱視」しも言われる。
    ロービジョンになると、部分的にしか見えない、中心だけ見えないなど、視野にも障害があり、
    日常の読み書きや行動にさまざまな不自由を感じ、生活の質「QOL」が低下してしまう。
    しかし、適切な補助具の使用やリハビリ訓練を取り入れるなどし、
    残っている視機能を使うことで不自由の多くは解決することが可能である。
    世界保健機関(WHO)では両眼に矯正眼鏡を装着して視力を測り、
    視力0.05以上0.3未満の人と定義している。
    日本では、眼科医などの専門家のあいだでもはっきりした定義はないが、
    単に視力だけでなく日常生活において視野が欠損していないか、
    夜間にモノが見えにくくならないかなどの困難性を入れて定義する必要があるという意見がある。
    こうした弱視の視覚障害者の残った視力の機能を最大限に活用し、
    視覚障害者の低下した生活の質を元のレベルにまで高めることを「ロービジョンケア」という。
    





















































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