柑橘類(YSミニ辞典)
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甘夏(あまなつ) : 川野夏橙(カワノナツダイダイ)の通称で、甘夏蜜柑
(あまなつみかん)、
甘夏柑
(あまなつかん)、甘夏橙などとも呼ばれる。1935(昭和10)年に大分県津久見市の
果樹園で川野豊によって選抜・育成された、
夏蜜柑の枝変わり種。
ナツミカンに比べて酸味が少なく甘い。1950(昭和25)年に品種登録された後に
1955(昭和30)年)ごろより増殖が進められ、1965(昭和40)年ごろからはナツミカンからの
更新が進んだが、1971(昭和46)年の
グレープフルーツ輸入自由化以降生産量は減少傾向にある。
2008年現在、出荷量は熊本県が首位、愛媛県が2位である。
室内の涼しく、風通しのよいところに保存し、冷蔵庫での保存は、苦味が出るため、禁物である。
参 :
甘夏レシピ(
水俣の甘夏HP)
甘夏の果樹
甘夏(熊本風土.comより)
伊予柑(いよかん) : 「伊予蜜柑
(いよみかん)」や「穴門
(あなど)みかん」とも呼ばれるミカンの一種。
1886(明治19)年に山口県萩の中村正路氏が発見したナツミカン系統のミカン科、ミカン属の果物で、
突然変異とも、温州ミカンとオレンジの交雑種ともいわれるが、起源は不明である。学名は「Citrus iyo」。
山口県産で長州柑や萩柑などと名付くところ、1889(明治22)年に愛媛県持田の庄屋の息子、
三好保徳氏が萩から苗木を購入し、愛媛に持ち帰って栽培が盛んになったことから、
愛媛の旧国名「伊予」の名が冠せられた。当時のお金で50円というから、
現在の価格価値では500万円ほどのお金を出し、苗木を購入したそうで、
この苗木は、継ぎ木されて、近隣の農家へ無償で配られて広まっていった。[
季語]春−植物。
三好氏は、伊予柑以外にも様々な果実栽培を行い、梨や桃、リンゴの栽培も手がけ、
果樹園芸の普及に尽力した。三好氏はハイカラで、明治30年代には自転車を乗り回していたという。
現在流通している伊予柑は、昭和40年代の後半に平田町の宮内義正氏が発見した
伊予柑の枝変わり「宮内伊予柑」で、20日ほど早く熟し、皮が薄く実のつきやなりが良いため、
今では伊予柑といえば「宮内伊予柑」を指すようになった。
原産地山口県の伊予柑作付面積は、全国で愛媛県に次ぐ第2位である。
しかし、生産量としては愛媛だけで全国の85%近くを占めていることから微々たるものである。
伊予柑は2〜3月ごろ赤橙
(せきとう)色に熟し、温州ミカンより大ぶりだが、大きさのわりに皮が
むきやすい。甘みが強く、香りと酸味がほど良く調和し、果汁が多いのが特徴である。
1月〜5月頃まで店頭に並ぶが、2月〜4月が旬である。
「いい予感」という語呂合わせで、縁起がいいと言われている。
ビタミンCや
クエン酸などが豊富で、外皮にも
高血圧の予防などに有効な成分が含まれている。
イヨカンの主産地(2005年産)
@愛媛県 : 全国シェア84%、9000t
A和歌山県 : 全国シェア4%、4320t
B広島県 : 全国シェア2%、1910t
C香川県 : 全国シェア1%、817t
愛媛県宇和島の伊予柑(Yahoo!ショッピングより)
愛媛県の伊予柑(愛媛みかんセーフティーネット芝田農園より)
選び方と保存 : 外皮にツヤがあり、鮮やかなオレンジ色のものを選ぶ。
保存は風通しのよい涼しい場所で、通常のミカンより長持ちするが、長く置きすぎると、
カビが生えたり、果汁が失われる。萩の伊予柑の栽培農家では、
出荷時期の調整と糖度が増すことから、伊予柑専用のポリ袋に包んで冷蔵庫保存する。
食べ方 : 外皮と内皮をむいて、そのまま食べるか、内皮の付いた状態でも食べられる。
やや苦みが口に残るが、内皮には脂肪を分解し、吸収を抑制する成分が含まれる。
外皮は表面をよく洗ってから、マーマレードなどにすると、余すところなく食べられる。
また、シロップ漬けにしておくと、ケーキの生地に混ぜたり、紅茶の香り付けなどに利用できる。
参 :
たんかん
オレンジ(orange) : 学名は「Citrus sinensis」。ミカン科ミカン属の常緑小高木、またはその果実のこと。
柑橘類に属する。和名はアマダイダイ(甘橙、甘代々)。スイートオレンジとも呼ばれる。
オレンジの果実の色のことをオレンジ色という。原産地はインドのアッサム地方。
日本に導入されたのは明治時代。現在の主産地はアメリカ、ブラジル、スペイン、イタリア、メキシコなど。
日本での栽培はそれほど多くなく、国内流通品の大部分はアメリカのカリフォルニア産である。
果皮、果肉共にオレンジ色(橙色)で多汁質。適度な甘味・酸味をもち、香り高い。
生食用のほか、ジュースの原料として利用され、またカモなどの肉の料理にソースとして用いられる。
なお果皮はオレンジピール(オレンジの皮の砂糖漬け)やキュラソーの原料としても使われる。
中東では、花弁を蒸留して得られる液体「オレンジフラワー(ネロリ)ウォーター」を
菓子や飲み物の香りづけに用いる。果皮と
嚢
(じょうのう)が密着して離れにくいのが特徴。
清見オレンジ(きよみおれんじ) : 清見タンゴール。温州みかん(宮川早生)と外国産の
トロビタオレンジを交配させて作られた柑橘類の一種で、日本で育成された最初のタンゴール。
果皮は剥きにくいが風味は良。収穫は、1〜4月。
静岡市清水区興津にある農林水産省 果樹試験場興津支場
(現・独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)で
作出された。1979(昭和)年に命名された品種名の「清見」は、近くにある
清見潟
(きよみがた)・清見寺
(せいけんじ)に由来する。
「清見オレンジ」として販売されている場合が多いが、
正確にはミカンとオレンジを交配させて作られた交雑種であるので「清見」タンゴールの名が正しい。
みかんのみずみずしさと、芳醇なオレンジの風味たっぷりのジューシーな果肉には、
ビタミンCをはじめとする美容・健康に良い成分がぎゅっと濃縮されており、
柑橘類らしい甘味のある風味が楽しめる。
清見オレンジ(みかん専科・土井果樹園HPより)
清見オレンジ(紀州、田舎の小さな八百屋さんHPより)
カボス(かぼす) : 香母酢。臭橙。ミカン科で
柚子(ユズ)やダイダイの近縁種で
独特のまろやかな酸味と芳醇な香りが特徴の国産香酸柑橘類の代表品種である。
酢橘とも近縁種だが一回りほど大きい。ユズに似ているが小形で、果肉は酸味が強く、
厚い果皮は特有の香りがあり、香味料とする。大分県の特産の一つで、全国の98%を生産している。
江戸時代より、生魚等の鮮度保持、調味料、風邪薬を用途とする自家用の果実として普及した。
乾燥しないようにしてポリ袋に入れて冷蔵庫で保存するか、果汁を搾って、
製氷皿で凍らせ容器に入れて冷凍保存するか、ポン酢にして、冷凍保存すれば長持ちする。
生食には向かず、香り付けやにおい消しとして搾って使用する。
旬は8〜10月で、マツタケ料理、焼き魚、鍋物に使われる。フグ料理にも欠かせない。[
季語]秋−植物。
カボス(おおいた味紀行より)
健康効果
カボスの主成分は
クエン酸、
ビタミンC、
カリウムで、
カボスに多く含まれているヘミセルロースという
食物繊維が水分をよく含み、
腸内の脂肪分を効果的にさらっていってくれるので
脂質の吸収を抑え、
脂質排出量を増やすことで特に
肝臓に脂質が蓄積されるのを防ぐ効果が高いことが判った。
味噌のメラノイジンは腸内の
乳酸菌を増やし腸内環境を整えることでぜん動運動をうながし
脂質を包み込んだカボスのヘミセルロースが排出されるのを促進するので、
カボスは皮ごと刻んで味噌と一緒に煮るのがよい。
カボス味噌 : <材料>皮ごと刻んだカボス 1個分、味噌 50g、水 50cc、砂糖 適量
<作り方>材料をすべて鍋に入れ、焦げないようにかき混ぜながら煮詰める。
冷蔵庫で5日間は保存可能。
柑橘類(citrus fruits)かんきつるい : ミカン科のカンキツ属・ミカン属・キンカン属・カラタチ属の総称。
また、その果実の一般名。
ミカン・
キンカン・クネンボ・
ザボン・
晩白柚・ブシュカン・ダイダイ・
酢橘・
カボス・
ユズ・
ゆこう・
オレンジ・
夏みかん・
甘夏・
伊予柑・
たんかん・
デコポン・
ハッサク・
レモン・
ライム・
グレープフルーツ・
シークワーサーなど。
収穫時期により中晩柑・晩柑、香りを利用するものを香酸柑橘類などと分類することもある。
全般に、果実には
ビタミンC・
クエン酸・
食物繊維が多く含まれ、酸味があるのが特徴である。
金柑(a kumquat)きんかん、きんか : @金橘。1月29日の誕生花。花言葉は「思い出」「豊かな生活」。
学名は「Fortunella japonica」。ミカン科の常緑低木。中国浙江省原産のかんきつ類で、渡来は古い。
暖地で栽培され、日本で最も多く栽培されているのがナガキンカンとマルキンカンの2種類。
そのほかにフクシュキンカンやミンポウキンカンがある。葉は広披針形で、
夏に芳香のある白色五弁の花を腋生する。果実は球形または楕円形で径2センチメートルほど。
大粒のきんかん(2009.11.25、防府市大道にて)
香りと酸味が強く、果皮は甘い。晩秋、橙黄色に熟し、生や砂糖漬けにして食べる。
古くから民間で風邪薬や咳止めとして利用されてきた。抗菌作用のある
ビタミンC、
ビタミンCの吸収をよくするヘスペリジンをはじめ、多くの栄養素を含むため、確かな効能がある。
金柑の砂糖漬けや金柑酒などは簡単に家庭でもつくることができるので、健康増進にぜひどうぞ。
栄養価の多くは皮に含まれているので、よく洗ってから皮はむかずに調理する。
[
季語]秋−植物。金柑の花は[
季語]夏−植物。
「金柑の甘露煮」の作り方
金柑のヘタを爪楊枝でとって、ひたひたの焼酎とグラニュー糖で煮るだけでできる。
コツは、35度の
焼酎を使い、弱火で焦げないように20分くらい煮るが、決して沸騰させないこと。
だいたい金柑500gに150gぐらいのグラニュー糖を使うが、甘さ加減はお好みで調整する。
お酒に弱い人は、長めに煮て、アルコール分を飛ばす。
甘露煮は冷たく冷やすと、宝石のように光り輝くのでガラスの器に入れておくのもよい。
種を取ったり、皮に切れ目を入れたりするやり方もあるが、そのまま煮てもよいそうだ。
風邪の予防に効果があり、ビタミンCいっぱいの健康食として常備しておきましょう。
さらに、風邪や咳止めにとどまらず、漢方では二日酔いや、
二日酔いによる吐き気を治す効果があるとされ、また、消化不良を改善する、
食欲を増進する、胃腸を丈夫にする、などといわれている。
「金柑酒」の作り方
金柑1500gを水で洗ってから水気を切って、縦に2つに切り分け、果実酒作り用の密閉容器に入れ、
砂糖200gとホワイトリカー1900ccを加えて冷暗所において漬け込む。約1カ月で飲めるようになる。
A金柑頭
(きんかあたま)の略。
グレープフルーツ(grapefruit) : ミカン科の常緑小高木。原産は西インド諸島のバルバドス島。
ザボンに近縁。果実はナツミカンほどで、ブドウのように房状に実がなることから名がついた。
ふつう果皮は黄色で、果肉は軟らかく多汁。多くは米国カリフォルニアで栽培されているが、
現在日本は、これら「カリフォルニア産」のほか、「フロリダ産」「イスラエル産」「南アフリカ産」
「キューバ産」など、世界各地よりグレープフルーツを輸入している。
その中でもフロリダ産のグレープフルーツは、「味」「品質」において最高といわれている。
日本がグレープフルーツの輸入を解禁したのもフロリダ産がはじめであり、輸入期間も
10月〜6月と輸入グレープフルーツの中では一番長く、輸入量も全体の90%以上を占めてる。
日本には大正時代に伝来したが、気候が合わず、栽培が定着しなかった。
見分け方 : 皮が薄くて張りがあり、色が濃いものがよいが、表面の傷は味に関係しない。
グレープフルーツの毒洗い : スポンジを使って、流水で20秒ほどこすり洗いをしてから、
皮をむきとる。収穫後に防カビ剤を散布している可能性があるが、
果肉までは浸透しないので、皮をよく洗うことで落とせる。
健康効果 : グレープフルーツ1/2個にレモン汁1/6個分をかけて朝食前に食べると、
老廃物を追い出し、便秘予防効果がある。
保存方法 : 保存は
食品保存法へ。
朱欒(ざぼん) =
文旦(ぶんたん)
シークワーサー(sikuwasa、sikwasa、shikuwasa、seequaser)シークヮーサー
学名は「Citrus depressa HAYATA」。
「シークヮーサー」とはそもそも品種名ではなく、数多くある異名同種の総称として、
沖縄の北部を中心に台湾まで原生する小さい果実の寛皮柑橘類を「シークヮーサー」と呼んできたが、
語源は沖縄の方言で、「シー」は酸、「クワーサー」は食べさせるから、「酸っぱい食べ物」を意味している。
したがって台湾産のものは「四季柑
(しきかん)」、「四季橘
(しききつ)」、
「四季柑シークヮーサー」などの品名で呼ばれている。
種子から発芽させて、木となり、実をつけ始めるまでに9年かかることから方言では「九年母」と言われ、
やや扁平(平べったい)なため「ヒラミレモン」とも呼ばれているが、
現在では、接木したものを使う場合が多い。
ミカン科常緑低木または小高木で、葉は長さ8cm程度のだ円形で枝に刺がある。
3月頃には花が咲き始め、あたり一面、優しくて可憐な香りが広がる。
花は葉のわきにつき、直径3cm程度の小さくて白い花が咲き、
つき始めは緑色で徐々に黄色く変化していく。花が散り、小指の先ほどの実がつき始め、
月日が経つにつれてだんだんと大きく、光沢を増していく。
実の大きさはカボスほどで直径2〜4cm程、一般市場には8月中旬から果皮が緑色で未熟の
すっぱい薬味や調味に使う「青切り」が出始め、だんだんと糖度が増し、
オレンジ色に熟したものは適度の甘味と酸味があり、11月頃を過ぎれば生食としても食べられる。
シークヮーサーの木(2008.4.24おきなわワールド熱帯フルーツ園にて)
沖縄のフルーツランド「トロピカル王国」内のシークヮーサー(2008.4.29撮影)
沖縄ではポピュラーな果物の一つで、昔から、果実を絞ってジュースにしたり、泡盛に絞ったり、
刺身や焼き魚など色々な料理を食べるときにかけたり、しょうゆ・わさびと一緒に混ぜて使ったり、
ゆずとか
酢橘のように食材として使われている。
収穫される殆どのシークヮーサーがジュースなどに加工される。
健康効果 : シークヮーサーの花の香りは別名「ネロリ」と呼ばれ、
アロマテラピーでは心と体に対して
落ち着きをもたらし、ストレスを緩和など精神安定効果があり、また、しわなどにもよい効能がある。
健康系の果実として注目を集め、
ビタミンC、
ビタミンB1、
クエン酸、ノビレチン、タンゲレチンなど、
各種
ミネラルが多く含まれており、特に最近注目のノビレチンは
フラボノイドの一種で、
血糖値や血圧が上がるのをおさえる効果があることが分かった。
また、マウスの実験で、
がん細胞転移に対してもノビレチンが有効であるとして研究が進められている。
酸橘(すだち) : 酢橘。ミカン科の常緑小高木で
柚子や
カボスの近縁種の柑橘類。
徳島県原産であり特産品で、ユズの偶発実生と推察されている。
果実はゴルフボールほどの大きさの平球形で、熟すると黄橙色になるが、
若い緑色果の方が風味が強い。国産香酸柑橘の代表品種で、ユズより多汁で酸味が強く、
独特の芳香があり、料理に用いるが、生食には向かず、香り付けやにおい消しとして搾って使用する。
旬は秋で、マツタケ料理、焼き魚、鍋物の使われる。
乾燥しないようにして冷蔵庫で保存すると、長持ちする。[
季語]秋−植物。 参 :
ゆこう
健康効果
血糖値を下げて
糖尿病を予防する効果のある「スダチチン」などの成分は
外側の皮の部分に多く含まれているので、皮ごとスライスして紅茶に入れて飲むとよい。
スダチ紅茶 : ●紅茶1杯につきスライスしたスダチを2〜3枚入れ、軽くかき混ぜてから飲む。
●紅茶に入れたスダチも食べる。●酸味が苦手な人はハチミツに漬けたスダチを使ってもよい。
●食後に飲むとさらに効果が高い。
酢橘(淀屋橋心理療法センターHP「季節の花フリー写真素材」より)
たんかん : 「ポンカン」あるいはミカン類(tangerine:タンゼリン)と「ネーブルオレンジ」など
スイートオレンジ類(orange)の自然交雑で出来たタンゴール類(tangor)の柑橘系の果物で、
中国広東省原産だと言われ、中国、台湾の地域により桶柑、年柑、蕉柑あるいは招柑、
潮州柑、西螺柑、など多くの異名を持っている。
大和農園(鹿児島県熊毛郡南種子町)の「たんかん」
タンカンの木(2008.4.24おきなわワールド熱帯フルーツ園にて)
結実した小さな実
タンゴール類にはその他に、
伊予柑、テンプル、清見、マーコットなどが知られている。
わが国へは田村利親により1896(明治29)年に台湾を経由して鹿児島県に導入されたが、
実際に栽培が始められたのは、1929(昭和4)年以降のようで、
1968(昭和43)年から本格的な栽培が始まった。鹿児島県の南部と離島が主産地で、
宮崎県、熊本県で若干栽培されている。鹿児島県では
種子島をはじめ、
屋久島、
奄美大島などを中心に、全国生産量の約70%のたんかんが栽培されている。
収穫時期は2月中旬から3月上旬という短い期間で、1年でこの時期にしか味わえず、
見かけは傷だらけでちょっと不細工だが、柑橘系の果物の中では一番糖度が高く、
濃厚な甘さで「東洋の名果」と呼ばれ、ジューシーで果肉がやわらかく、
たっぷりの果汁にはみかんの約2倍の
ビタミンCが含まれている。
風味はオレンジに似て、香り・味ともに絶品で、一度食べればファンになる人が多いという。
デコポン(でこぽん) : ミカン科の柑橘類で、1972(昭和47)年に農林水産省果樹試験場口之津支場で、
温州みかん(宮川早生)と外国産のトロビタオレンジを交配させて作られた「清見
(きよみ)オレンジ」を
母に、「ポンカン」を父として交配して作られ、品種名は「不知火
(しらぬい)」という。
不知火の中で、糖度が13度以上、酸味(クエン酸)が1%以下のもののみが「デコポン」と呼ばれる。
「デコポン」は商品名で、
JA熊本果実連が所有する登録商標である。
庭に植えると「代々(橙)家が栄える」と言われる、縁起の良い柑橘果樹であり、常緑樹で芳香がある。
フルーツランド大分のデコポン。箱でいただいたものだが、どれも直径11cmくらいもあり、
本場熊本のデコポンより甘味も少なく大味だったので、ホームページから本当のデ゛コポンか
問い合わせようとしたが、連絡先は無くて「JA全農おおいた」のホームページに戻った。
全農おおいたの農産部野菜果実課では本当のデコポンとのことだった。
デコポンは好きでよく食べるが、こんな大きなデコポンは初めて見たと同時に、
こんなにおいしくないデコポンに初めて出会った。
果重230g前後、果皮は黄橙色で果皮はやや粗く、若木の果実はヘタの部分がユニークに
出っ張り「デコ」が飛び出ているのが特徴で、デコのないものもあるが中身は変わらない。
樹勢が落ちてくると、出っ張りが小さくなる。
皮が柔らかく薄くてむきやすく、果汁が豊富で、ポンカンの香りがする。
主に生食向きで、ジョウノウ(果実の袋)は非常に薄くそのまま食べられる。
旬は早春から春(出荷は2月から4月いっぱい)。デコが現れやすく果面も粗く、
果皮色も淡いうえに果形の不揃いなど外観上の理由から、長い間、
市場に出回ることはなかったが、糖度が13〜14と高く食味がよいことから、
1990(平成2)年、熊本県果樹指導者会議で優秀性が認められ、広く普及されることになった。
デコポンは収穫してまず冷暗所に保存され、酸味が抜けてから出荷される。
もぎたてよりも少ししなびた頃の方が甘さも増して美味しくなる。
植え付け方法 : 植え付けの10日以上前に、石灰・腐葉土などを施し植え付け場所を準備する。
植え付け時に肥料(元肥)は必要ない。根は絶対に乾燥させないようにする。
温暖地では、秋植えもできるが、霜や雪などに注意し、
株周りを敷きわらやバークチップなどで覆いをしたりすると効果的である。
管理方法 : 日当たりの良い場所に植える。鉢植えで管理する場合は7号鉢以上にする。
用土が乾いてきたらたっぷりと水を与える。
品質の安定した果実が収穫できるのは概ね3年以降となる。
収穫する場合も、初年度からたくさん収穫せずに、少しずつ取量を増やすようにする。
健康効果 : 果肉の中の
ビタミンCは、1個で約65mg含まれており、他の柑橘類の約8倍。
ジョウノウには
食物繊維やペクチンが、皮の筋には
ビタミンB1やビタミンC、
ビタミンPなどが含まれている。デコポンは袋が柔らかいので、袋ごと食べれば便秘に効果的。
デコポンの酸っぱさであるクエン酸には、腸の働きを整えて、血行をよくする働きがある。
またペクチンやビタミンPが、毛細血管を丈夫にし、
高血圧などの予防にも役立つといわれている。
夏密柑(なつみかん) : ミカン科の常緑樹で、初夏に白い五弁花を開く。果実は大型で、
皮は厚く、果肉は多汁で酸味が強いが甘みもある。呼び名から夏に実がなる
ミカンと勘違いされがちだが、
実がなるのは秋である。これをそのまま木に残して酸味がやわらぐのを待ち、翌年暖かくなって
収穫される。春から夏にかけて市場に出されて消費されることから、夏ミカンの呼び名になった。
別名をナツカン、ナツダイダイといい、柑橘類では最も果実の大きいグループに属し、
ザボンやハッサクの仲間である。江戸中期、仙崎(山口県長門市)に漂着したものが発見され、
その後同県萩の武家屋敷の庭先でブンタンの自然雑種として生えたのがきっかけに普及したといわれ、
次第に愛媛、和歌山、静岡などに栽培が広がった。最近では、酸味を減らし甘味を増す工夫がされた
「
甘夏」や「ネオ夏ミカン」といった変わり種も出回り、人気食材になっている。[
季語]夏−植物。
夏みかんの花
夏みかんの木(2009.4.19撮影)下松市の国民宿舎「王城」前にて
健康効果 : 主成分は、
クエン酸と
ビタミンCで、あの酸っぱさの元はクエン酸が多いためで、
なんと温州ミカンの2倍も含まれるのである。クエン酸はエネルギーを造りだし、
老廃物を体内に残さないようにする成分で、疲労回復の働きが大きい。
成分の場合、1日におよそ5グラムのクエン酸をとることで疲労が防げると言われる。
夏ミカンなら中くらいのもの1個食べると必要量のクエン酸がまかなえる。
さらに含まれている
ビタミンB1が、体内の糖分を分解する働きをするので、
クエン酸との相乗効果で疲労回復はいっそう促進される。またクエン酸は
動脈硬化を予防する
薬効もある。動脈硬化は血液中に乳酸が多くなり、血管壁の蛋白と結合して硬くなることから
起こるのだが、クエン酸にはこの乳酸を溶かす作用があるので硬化防止に役立つのである。
実はそのまま食べるのもいいが、「酸っぱいのは苦手」という人は
リンゴや
イチゴなどと
フルーツサラダにすると酸味がやわらいで食べやすくなる。そして食べた後の皮は捨てないこと。
皮にはペクチンと精油成分がたっぷり含まれているからである。
ペクチンは水溶性の
食物繊維で、腸の中の糖分が吸収されるのを妨害して
血糖値の上昇を防ぎ、
血中コレステロール値を下げる働きもする。マーマレードや砂糖漬けにして食べると
腸の働きが活発になり、
便秘の解消にも役立つ。精油成分は皮を風呂に入れると溶け出して
神経痛や
リウマチ、
腰痛に効能のある薬湯になり、肌を滑らかにする美容効果も期待できる。
良い夏ミカンの見分け方 : 手に持ってみてずしりと重みがあり、
へたがしっかりしていて、皮に傷がないものを選ぶ。
八朔(はっさく) : 八朔柑
(はっさくかん)。八朔みかん。学名は「Citrus hassaku hort. ex Tanaka」。
広島県尾道
(おのみち)市因島田熊町
(いんのしまたくまちょう)の「恵日山浄土寺」の境内で
1860(万延)年に発見された偶発実生
(みしょう)品種で、「八朔」の名は、当時の住職であった
小江恵徳が「八朔には食べられる」と言ったことから名付けられたというのが定説となっている。
ここでの「八朔」とは「八月朔日
(さくじつ)」の略で、「朔日」とは「ついたち」、
つまり「陰暦の8月1日(新暦の8月30日)には食べられる」ということである。
しかし、八朔の出荷時期は1月から5月頃、収穫時期は12月から1月頃で、
8月30日の頃では果実がまだ小さく未熟で食べられない。
八朔はザボンの一品種の
文旦(ぶんたん)と他の柑橘類との交配種とされる。
ミカン科の常緑中高木で、直立性で枝はまばらにつき翼葉をもつ。
5月に開花。自家不結実性のためナツミカンまたはヒュウガナツを授粉用に混植する。
果実は夏みかんよりやや小さく扁球
(へんきゅう)形で約400グラム、
果面は橙黄
(とうこう)色でざらざらし、果皮は厚さ1cm、剥皮
(はくひ)はやや困難。
嚢
(じょうのう)数(袋数)は12個内外で、白色の単胚
(たんぱい)種子を20〜40個もち、
砂
(さじょう)はやや堅い。ビタミンCが豊富で、締まった果肉とプチプチした食感、
ほどよい甘さと酸味が適度で、わずかに苦味があり、風味がよいのが特徴である。
皮は厚めだが、ヘタの方からむくときれいにむけ、そのままでも、サラダなどに入れてもおいしく
食べられる。全国収穫量の約6割を和歌山県が占めている。
紅八朔(JAタウンHPより)
2004(平成16)年の栽培面積および収穫量は温州
(うんしゅう)ミカン、イヨカン、
ナツミカンに次ぎ4位で、2770ha、5万7800トンである。和歌山、広島、愛媛、徳島の諸県に多い。
12月下旬から翌年の1月に収穫し、3〜4月を最盛期として1〜5月に出荷する。
耐寒性は中程度、潰瘍
(かいよう)病やその他の病虫害には強いほうであるが、
トリステザウイルスによる萎縮
(いしゅく)病に弱い。 [
季語]春−植物。
晩白柚(ばんぺいゆ) : 学名は「Citrus grandis,Citrus maxima」。
ミカン科の果物の一種で、一般に知られる赤い実のザボン(白柚)の一品種である。
熊本県特産の世界最大級の柑橘類で、直径は20〜25cm、重量は1.5〜2.5kgになり、
重いものになると3kgを越え、大きさの点では間違いなく世界一の果実である(スイカは果実ではない)。
名前は、晩(晩生:熟期が遅い)・白(果肉が白っぽい)・柚(中国語で丸い柑橘という意味)に由来する。
味や香りが台湾在来の麻豆白柚
(まとうぺいゆ)に似ていて、
熟期が遅いところから晩生白柚
(ばんせいぺいゆ)、晩白柚と名付けられたとも言われている。
ザボン類は柑橘類の中でも果実が巨大で皮が厚いが、晩白柚は特にこれが著しい。
その大きさから「柑橘類の王様」や「ジャンボグレープフルーツ」とも呼ばれる晩白柚は、
香りがとてもよく、鼻を近づけると、やんわりとした甘酸っぱい香りがする。
晩白柚(つるもとフルーツHPより)
晩白柚の特徴は非常に長い日持ちで、常温で保存すれば、2カ月近く味は変わらない。
皮が柔らかくなり、食べごろになるまで部屋で観賞用兼芳香用として1カ月間ほど置いておける。
実は淡い黄緑色で、果肉を直接食用にするのが一般的である。
果肉や果汁をゼリー、ジャム、飴等に加工し、土産品とすることも行われている。
厚い皮は、他のザボン類同様砂糖で煮てザボン漬けにすることができるが、
煮崩れしやすいので、きれいに作るには熟練が要る。
日本には1920(大正9)年に晩白柚の産地(熊本の氷川)出身の植物学者の島田弥市が、
現在のベトナムの船上で食べた柑橘があまりにも美味しくて、サイゴンの植物園から株を分けて伝わった。
しかし、当時は栽培法がわからず普及には至らなかった。
その後、1930(昭和5)年に台湾から鹿児島県果樹試験場に白柚
(ぺいゆ)の株が導入され、最適産地の
熊本県八代
(やつしろ)市地区に根付き、改良が行われた結果、現在は八代市の特産品となっている。
晩白柚は自分自身では受粉しにくく、晩白柚以外の柑橘類がないと実がならないので、とても栽培が難しい。
晩白柚の晩の字が示すように、受粉時期が遅いので、他の柑橘類の花粉がない時期に
受粉しなければならないため、農家ははっさくの花粉などを冷蔵保存して、人工授粉させている。
もちろん、実があまりに巨大なゆえに、台風の風の被害を受けやすく、日当たりがよく、
風をよけられる場所でしか栽培できないので、栽培適地も非常に限られ、当然、生産量も少なくなる。
収穫後、1〜2週間ほどビニールハウスで追熟させ、色だしと酸味抜きをして、
ようやく年末年始向けに出荷される。収穫は3月末まで続き、主に熊本や福岡へ出荷される。
文旦(pomelo、zamboa:ポルトガル)ぶんたん : 標準和名は「ザボン(朱欒、香欒)」で
「ボンタン」や「ウチムラサキ」とも呼ばれる。学名は「Citrus maxima」。
果実は数百gから2kg程度まで様々で、形も球形や扁球形、洋梨形等色々ある。
原産地は東南アジア・中国南部・台湾などであり、
日本には
江戸時代初期に渡来し、四国や九州南部などで果樹として栽植されている。
ブンタンの名前については、清国広東省の通商船船長「謝文旦
(しゃぶんたん)」の名前から
取ったといわれる。船が遭難して薩摩で助けられた礼として、朱欒
(しゅらん)と
白欒
(はくらん)という珍しい柑橘類をくれたのを植えて育て、広まったといわれる。
第二次世界大戦前にはジャボンと呼ばれるのが一般的であり、
これはジアブンタン(謝文旦)の略と考えられるが、
ジャボンから転じたザボンの名前については、ポルトガル語の「zamboa」から転じたという説もある。
柑橘類の一種で、ミカン科の常緑小高木。ブンタンの樹は3mほどまでに育ち、
葉は大きく葉柄に翼があり、花は数花集まって付き白色。
その果実は球形〜西洋ナシ形で大きく、品種により直径15〜25cm、
重さ500gから2kgまで様々な大きさに育つ。果実は皮の厚さが特徴で大きさの50%程度を
占める程であり、果肉は淡黄色、果汁は少なくい味は淡泊で独特の甘みとやや苦みがある。
果肉が淡紅紫色のものは「ウチムラサキ」という。
なお果実の収穫は年末頃に行われることが多いが、 採取したては酸味が強すぎるので、
数カ月間貯蔵して酸味を減らした後に出荷される。
生食の他に果皮は砂糖煮(ブンタン漬け)等に利用される。
南国土佐で栽培される「土佐文旦」の収穫期は例年12月頃。土佐文旦本来の味を引き出すために、
収穫後、畑に掘った穴の中で寝かせて熟成する「野囲い」を経て、翌年2〜3月に出荷される。
追熟された実は、独特の香りを放ち、すっきりとした甘みが特長である。[
季語]冬−植物。
参 :
文旦(
JAとさしHP)
文旦農園(浜田一郎商店まんぞくやHPより)
文旦(Yahoo!flickrより)
栽培面積、生産量ともに日本一の土佐文旦(高知市)
蜜柑(a mandarin orange、a tangerine:英、a satsuma:米)みかん
@ミカン科の双子葉植物の総称。約900種が温帯から亜熱帯に分布し、主に木本で、
樹皮や葉に油腺をもつ柑橘類である。ミカン・
ナツミカン・ダイダイ・ハッサク・オレンジ・
ザボン・キンカン・カラタチなどの属を含むミカン亜科とサンショウ亜科とに分けられる。
Aミカン科ミカン亜科ミカン属の常緑小高木。また、その果実の総称。
漢字の「蜜柑」は、その果実のみずみずしさと甘さを表している。
日本では、約1200年前に不老長寿の果物として中国から持ち帰った木をもとに、
400年前に突然変異によって日本独自の「種無しみかん」が誕生した。
この日本独自のみかんは明治以降、主に北米向けに輸出が盛んとなり、
薩摩産(現在の鹿児島県)であったことから、「サツマ(SATSUMA)」の名称が使われている。
「TVオレンジ」とも呼ばれ、海外で親しまれている。特にカナダでは「クリスマスオレンジ」と呼び、
クリスマスシーズンの到来を告げる風物詩として広く好まれている。
英語の「orange(オレンジ)」の語源は、ラテン語の「金のリンゴ(aurangia)」である。
暖地に産し、葉は長楕円形。初夏、白色の小さな5弁花をつけ、黄橙色の実を結ぶ。
果樹として広く栽培され、多くの品種があるが、特にウンシュウミカンをいい、
古くはキシュウミカンをいった。たちばな。こみかん。[
季語]冬−植物。
ウンシュウミカンの生産量は1位の和歌山県と2位の愛媛県が特に多く、3位に静岡県が続く。
近年は保存技術の向上と共にハウス栽培のものも多く流通し、ほぼ一年中目にすることが出来る。
ミカンの花の蜜を採取中の蜂 (錦織梨園 錦織さん提供)
すずなりの熟れる前の蜜柑
収穫前のすずなりのミカン。摘果して大きくした方が・・・(2009.11.8、防府市大道にて)
有田みかん(和歌山県産)
健康効果 : 主成分は、しょ糖、果糖、
ブドウ糖、
クエン酸、
食物繊維などで、
ビタミンAや
ビタミンCを多く含み、同時に
カロチンや
ビタミンEも含まれている。
一般的には疲労回復や食欲増進、咳止め、健胃、美容などに効果があるといわれている。
また漢方ではミカンの皮を乾燥させたものを陳皮といって健胃、解毒、咳止めなどに使われている。
昔から「
風邪の予防に良い」と言われるが、これはビタミンCやシネフィリンといった
風邪の予防に有効な成分が多く含まれているためである。
白い筋にはヘスペリジンが含まれ、
動脈硬化や
コレステロール血症に効果があるとされている。
また、果肉にはプロビタミンA化合物の一種であるβ−クリプトキサンチンが他の柑橘に比べて
非常に多く含まれている。これには強力な発ガン抑制効果があり、近年注目されている。
オレンジ色の色素であるカロチノイドは脂肪につくため、ミカンを大量に食べると皮膚が黄色くなる。
これを柑皮症
(かんぴしょう)という。他にも、みかんには脂肪燃焼効果があり、
ダイエット効果も期待される。 みかんの実ではなく内皮(オレンジの皮と実の間の白い皮)に
その効果があるため、内皮はむかずに一緒に食べることが望ましいとされる。
つまり、ミカンの皮をむくと出てくる白いスジには、実と比べて約4倍の食物繊維と、
毛細血管を丈夫にするヘスペリジンが含まれている。
スジが食べづらい場合は、冷凍ミカンにしたり、焼きミカンにしてもおいしく食べられる。
ミカンの選び方と保存方法 : 皮のキメが細かく、ヘタは青くて小さい方がよい。
下部のへこんだ部分が大きく出っ張っていると、大味だと言われている。
保存は涼しい場所に置き、一つ腐ると次々に腐るのですぐに取り除きましょう。
ミカンの漢字の覚え方 : ウー、必ず虫がつく甘い木は蜜柑
みかんの日 : 全国果実生産出荷安定協議会と農林水産省が「いいみっか(3日)ん」の語呂合せで、
11月3日と制定したが、なぜか12月3日との年2回実施される。
なお、毎月第1日曜日も「みかんの日」である。
参 :
食品保存法、
財団法人・中央果実生産出荷安定基金協会(HP)、
日本果物商業協同組合連合会(日果連HP)、
果物普及啓発協議会(HP)
みかんの日 →
蜜柑
ゆこう : 柚香。柚柑。ミカン科の常緑小高木。徳島県南部(上勝町や勝浦町また阿南市)の
山間部でのみ栽培される、
柚子(ゆず)や
酸橘(すだち)に似た柑橘系果実。
果実はユズより大きい直径5〜10cmほどの緑の混ざった淡い橙色で香りが高く、
味はスダチのような酸っぱさだけでなく、酸っぱさの中にまろやかな甘みがある。
ゆこう(e−フラワーより)
絞り立てを1年間寝かせて発酵させると、そのほのかな甘みのある果汁がよりまろやかな味わいに。
例えば人参ジュースにプレンドすれば、人参臭さを消して飲みやすくなるという。
野菜との相性がよく、甘みと酸味がほどよく調和した隠し味として活躍する。
主に香味料に利用され、クエン酸製造にも用いる。
柚子(ゆず) : 柚。ユウ。ユ。中国の長江上流が原産といわれるミカン科の常緑小高木の香柑橘類。
学名は「Citrus junos」。5月6日・12月31日の誕生花。花言葉は「健康美」。
日本に伝わったのはかなり古く、
奈良時代にはすでに植えられていた記述がある。
山椒とともに、日本の二大香味料の一つ。枝にとげがあり、葉は卵形で柄に翼がある。
初夏、白花を開く。果実は径4〜8センチメートルの扁球形で、でこぼこがあり、淡黄色に熟す。
柚子(Western Manaの暮らしの実験室blogより)
上品な酸味、香りが香辛料や香料として人気の高い果実で、鍋のポン酢にしたり、
ハチミツなどとあわせて甘いユズ茶にしたり、風呂に浮かべたり、
さまざまな楽しみ方をされているが、いずれも高い栄養価や癒しの効能が認められている。
旬は夏・冬で、夏場に出回る青ユズ、冬場の黄ユズがある。
香味料として主に皮と果汁を利用。皮は、薬味としてすりおろしたり、薄くそぎ落としたものを刻んで使う。
果汁は日本料理の香り付けや、酢として使う他に、ユズ味噌やマーマレード、
お菓子の原料にも多く利用されている。柚餅子
(ゆべし)はユズを使った郷土食や和菓子として有名。
また、冬至には無病息災を願い、湯舟に浮かべて柚子湯に入る習慣があるが、
「冬至に柚子湯」の由来は、意外にも
江戸時代のダジャレで、「とうじ」を、湯につかって病を治す
「湯治
(とうじ)」にかけ、また「柚子」も「融通
(ゆうずう)がききますように」という願いが込められている。
柚子のお風呂に入って健康になり、融通よく暮らそうという虫の良い話である。とは言っても、
柚子の香り成分には、血行をよくして新陳代謝を活発にする働きがあり、
皮に含まれる精油の効果で体を温め、肌荒れにもよいといわれている。
また、免疫力を高める作用で、
風邪をひきにくくする効果もある。
[
季語]秋−植物。柚子の花の[
季語]は夏−植物。
花柚(はなゆ)や(
はなゆず)と呼ばれるユズは、柚子とは別の小ぶりの柚子の品種で、「小柚子」とも
呼ばれているようにユズと香りがよく似ているが、観賞用や料理に使うユズとして販売されている。
花を利用するため名付けられたといわれているが、季語に用いられる花柚(
はなゆず)は
「柚子の花」のことである。1年目から果実(1才ユズ)がなり始め、
成熟後は年を越しても開花期頃まで着果することから、常柚
(とこゆ)の名前もある。
価格が手ごろなうえ、若木のうちから毎年よく結実し、木も小型なので家庭でよく栽培される品種である。
果実は約40g、芳香・酸味が強く、収穫は11月で、耐寒力もあり、東北地方まで育てられる。
自家結実性があるので、1本で実をつける。庭植えのほか、鉢でも育てられる。
柚子の効能
ユズの種 : 美肌効果、シミ・シワ予防。
種に含まれる「リモニン」は、美肌の決め手となる張りと弾力を高め肌の老化を強力に予防する。
ユズ種湯 : @ユズ1個分の種を木綿の袋に入れて、皮を加え袋の口を結び、湯に入れて揉む。
A木綿の袋で肌を軽くこするとさらに効果的。
(注)ユズの種と皮は3日に1回交換する。使用する前にパッチテストを行う。
ユズ種醤油 : 【作り方】@ユズ1個分の種を砕いて100mLの醤油に漬け、一晩寝かせる。
A刺身や様々な料理の味付けに使う。
(注)冷蔵庫に保存し、1カ月以内に使い切る。
ユズの皮 :
風邪・
インフルエンザ予防。関節痛予防。
皮には抗感染・抗ウイルス殺菌作用のある香り成分が多く、風邪・インフルエンザを強力に予防する。
予防効果を高めるには、ユズの皮を細かく切って日本酒に一晩漬け料理酒として料理に使う。
皮に含まれる「ゼアキサンチン」を豊富に摂取している人は、関節痛を起こしにくい。
関節痛予防効果を高めるには、ユズチャーハンなど、ユズの皮と油を一緒に摂る。
ユズの果肉 : 集中力向上、
認知症予防。
果肉には非常に多くの「
クエン酸」が含まれ、
脳の神経疲労を和らげて認知症を予防する。
認知症予防効果を高めるには、ユズの果肉をジャムにして紅茶に入れて飲む。
ユズの果肉ジャム紅茶 : 【材料(1人分)】ユズ…1個、グラニュー糖…大さじ3杯。
【作り方】@ユズの種を除きスライス、皮も小さく切るA果肉を鍋に入れ、皮とグラニュー糖を加える
Bジャム状になるまで弱火で煮るCティーカップにユズの果肉ジャムを入れ、
紅茶を注ぎ出来上がり。
高血圧予防 : ユズに含まれている
ルチン(ビタミンP)の一種「ヘスペリジン」は、
ビタミンCとともに
活性酸素を撃退することで血管の収縮を防ぎ血圧を安定する効果があるが、
果肉にも豊富に含まれているので丸ごと使うのが大切である。
ユズ水 : ●水1リットルにつきユズのスライス1/2個分を入れ、冷蔵庫に一晩置く。
●保存期間は2日間●朝晩コップ1杯ずつ飲むと効果的
「柚子湯」の楽しみ方
丸ごとの柚子5個くらいに熱湯をかけ、荒熱を取ったら布の袋に入れて浴槽につける。
湯船の中で袋ごと絞って、そのまま袋も浮かべておけば、香りもよく、
肌もツルツルになる柚子湯の出来上がり。
参 :
カボス、
酢橘、
食品保存法(柚子)、
晩白柚、
ゆこう
ライム(Lime) : 柑橘類の一種で、インドからミャンマー、マレーシア一帯の熱帯地域を原産とする
ミカン科の低木。果実の形はレモンよりも丸っぽく、ほぼ球形で直径は6〜8cm、重さは30〜50gで、
果頂はややとがり乳頭状である。果皮はなめらかで鮮黄色を呈し、薄く、むきにくい。
皮の色は、レモンの黄色と違って緑がかり、果肉もいくらか緑色をしている。
レモンよりやや小さい「タヒチライム」と、さらに果実が一回り小さい「メキシカンライム」と大きく分けて
2種類ある。日本国内でも苗が流通するが、耐寒性の強いタヒチライムの方が栽培しやすい。
茎にはトゲがあり、葉には小さい翼葉が付いている。花は蕾も開花後も白く、
レモンの花の様に赤みを帯びない。 タヒチライムは四季咲き性が強いが、
3倍体で種が殆ど出来ないためか、大量に花が咲く割には結実率が非常に低く不安定であり、
幼果の時に落ちやすい。各地の農業試験場の研究で、ジベレリン酸(GAGA剤)散布が
結実率の向上に有効だと判明しているが、現在のところ農薬登録が無い。
味はレモンと同様に酸っぱいが、ライム独特の苦味に似た風味がある。
香りもやはりレモンに似ているが、より鋭い、と表現される。
レモンと同様に、輪切りにして料理の付け合わせにしたり、汁を搾って飲料に混ぜて使う。
英語でLime greenとは、ライムの皮の色の黄緑色を意味する。
国産ライム(のうみんHPより)
三重県産ライム
レモン(a lemon) : 檸檬。ミカン科の常緑低木。また、その実。インドやポルトガルの原産で、
現在は暖帯で広く栽培され、カリフォルニア南部・シチリア島などの地中海沿岸地方が主産地である。
まだ青い小さなレモン(近所の庭先で2008.7.6撮影)
日本には明治初期に渡来し、栽培もできる。多くの品種の中で、「リスボン」という品種は、
耐寒性が強く、果実が大きく、よく実が付く。1本でも結実し、育てやすいので家庭栽培にお勧め。
樹高は3mほどになり、茎・枝に棘
(とげ)が多く、葉には厚みがあり長卵形で、縁は鋸歯状である。
7、8月ごろ、内面が白く外面が紫色の五弁の花を開く。
果実は長楕円形で両端はとがり、淡黄色に熟す。果肉は酸味が強く、
ビタミンCに富み、香気があり、
料理の添え物、菓子、ジュースなどの清涼飲料に用いる。果皮からはレモン油を搾り、香料とする。
独特の酸っぱさは
クエン酸によるものである。
ミラクルフルーツを一粒食べた後でレモンを食べると、酸っぱさがなくなり甘く感じる。
レモンの花の[
季語]夏−植物。レモン水も
[季語]夏−生活。
だんだんと 色づくレモンに 高き空
効用 : レモンに含まれるビタミンCは
風邪の予防や肌を美しくする効果がある。
そのほか食欲増進、疲労回復やストレス解消に効果がある。また肝臓の働きを活発にして
解毒作用もあるので
二日酔いにも有効である。漂白作用もあり、化粧品などにも利用されている。
動脈硬化の破裂を防ぎ血栓を予防するレモンの健康効果を高めるには、
輪切りにしてハチミツに漬けたものを、1日10枚(1枚の厚さ約3mm)摂ると良い。
レモンの選び方 : 皮がきめ細かく艶のあるものだと皮が薄く、果汁も多い。
形は丸く、重量感のあるものが良品。
レモンの毒洗い : @流水の下で、スポンジを使って30秒ほどこすり洗いをすることで、
表面の残留農薬や
ダイオキシンを落とすことができる。A皮をむきとって、できればしぼり汁のみを使う。
輸入ものには、防カビ剤やヘタが落ちることを防止する薬が大量に使われている場合がある。
皮付きで紅茶などに入れる場合は、香りをつけたらすぐに引き上げるようにする。
レモン酒の作り方 : 【材料】防腐剤を使用していない国産レモン…4個、氷砂糖又はざらめ…150g、
ウォッカなどお好みの酒…900cc ※各材料の分量はお好みで調整する。
【作り方】@保存ビンは5分程度熱湯消毒し、乾燥させておく。
Aレモンはヘタを取り除いた後、皮を剥き、1/2〜1個分の皮は一緒に漬けるため、とっておく。
尚、防腐剤ががついている場合は、ワックスを落とすため表皮を塩でしっかり洗う。
また、苦味がでるため綿の部分は出来るだけ取り除く。
B保存ビンに、レモン、氷砂糖、好みの酒を入れて約3カ月間漬け込む。
レモンの皮は、1〜2週間で取り出す。
C1カ月後にレモンを取り出し、酒をこせば出来上がり。
管理方法 : 日当りのよい、寒風があまり当たらない場所がよく、
冬の最低気温が3度以下にならないように気をつける。
露地植えの場合、株周りを敷き藁などで防寒する。鉢植えの場合は、室内に取り込む。
水 : 表土が乾いたらたっぷり与える。
開花中の水切れは、落花の原因になるので注意し、冬場の水は午前中に与える。
肥料 : 緩効性肥料を年間通し2カ月に1回施す。
植え付け : 寒さの去った3〜4月か、9月に行う。
摘花 : レモンは、甘い香りのする白い花を次々と咲かせる。果実の肥大促進のためにも、
最もよい果実がつく春花(5〜6月)のみを残して、それ以降の花は鑑賞した後、摘み取る。
収穫 : 10月中旬位から、青い実のうちでも収穫できる。冷暗所に置いておけば、レモン色に色づく。
剪定 : 植え付けから2年間は不要で、3年目以降は寒害のおそれの少ない2〜3月に行う。
参 :
クエン酸