旧古河庭園(YSミニ辞典)

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旧古河庭園(Kyu−Furukawa Gardens)きゅうふるかわていえん
    東京都北区西ケ原1−27−39あるの庭園である。
    明治の元勲・陸奥宗光の邸宅を宗光の次男が古川財閥の養子になったときに譲り受け、
    1917(大正6)年に古河虎之助男爵の邸宅として現在の形に整えられた。
    現在は国有財産であり、東京都が借り受けて1956(昭和31)年4月30日から
    有料(150円)で一般公開し、洋館・茶室は大谷美術館が管理している。
    国指定名勝。1982(昭和57)年に東京都文化財に指定された。
    総面積3,078,086平方メートル、高台に立つシンボルの洋館は、
    英国貴族の邸宅にらった古典様式で天然スレート葺きのレンガ造りで、
    外壁をおおった赤みを帯びた新小松石が雨に濡れるとさらに深い色合いになる。
    テラス式庭園にはバラ園、木々の緑や紅葉を写し出す心字池、洋風庭園、和風庭園がある。
    明治〜大正時代に鹿鳴館などを設計し、日本の建築史に大きな足跡を残した
    英国人・ジョサイア・コンドル博士(1852〜1920)が設計した洋館と洋風庭園が見られ、
    さらに京都の有名な庭師・植治こと小川治兵衛(おがわしへい:1860〜1933)の手による
    大正初期の日本庭園も楽しめる。彼は当園以外にも、山県有朋の京都別邸である無鄰庵、
    平安神宮神苑、円山公園、南禅寺界隈の財界人の別荘庭園などを作庭し、
    その後の造園界に多大な貢献をした。日本庭園の奥には見晴台も設けられている。
    開園 :  9:00〜17:00(入園は16:30まで)
    休園日 : 年末年始(12/29〜1/3)
    入園料 : 150円、65才以上70円(小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料)
           洋館の見学は、往復はがきによる予約が必要。入館料は525円
    問合せ : 03−3910−0394(旧古河庭園サービスセンター)
           03−3910−8440( 洋館見学、茶室については財・大谷美術館)
           03−3940−1566(テープ案内)
    アクセス : JR京浜東北線「上中里駅」下車、徒歩7分
            JR山手線「駒込駅」下車、北口より徒歩10〜15分
            東京メトロ南北線「西ケ原駅」(N15)下車、1番出口より徒歩7分
    駐車場 : なし
    参 : 都立公園・庭園案内(東京都建設局公園緑地部HP)、旧岩崎邸庭園
    
    旧古河庭園正門入口(以下2010.4.10撮影)
    
    入口の案内板
    
    入口付近の案内板
    
    同上
    
    右端が洋館の入口
    
    中央部に洋館の入口がある
    
    洋館の西側
    
    同上
    
    馬車道のそばにある兜門
    
    南西側の洋館
    
    同上
    
    南側から望む洋館
    
    同上。下方はバラ園。
    
    南側の洋館
    
    東南側の洋館
    
    同上
    
    洋風庭園(バラ園)。洋館南側の洋風庭園は、テラスが階段状に連なるイタリア式庭園と、
    平面的で幾何学的に構成されるフランス式庭園の技法があわせて用いられている。
    バラのテラス庭園は、一段目の花壇は正しく左右対称形であるが二段目から中央の階段を挟んで
    左右に方形の植え込みとなっている花壇東側の方形北東部が斜面突出部によって欠けている。
    これはコンドルが敷地下部の日本庭園との調和をはかるため意図的にバラ園の対象形を崩したものと
    推測されている。現在のバラ園には、プリンセスマサコ等の品種が植えられている。

    
    心字池(しんじいけ)。「心」の字に似せて造った池で、日本庭園の中心。
    鞍馬平石や伊予青石などで造られ、「船着石」がある。ここは池を眺めるための要となる所で、
    正面には「荒磯」、雪見燈篭、枯滝、石組、そして背後には築山が見られる。

    
    同上
    
    
    
    深山の境。日本庭園への入口はシイを主体にした濃い植込で、明るい洋風庭園とは雰囲気が一変する。
    さらに奥は、シイ、モチノキ、ムクノキ、カエデなどで構成され、この庭園で一番深い植込になっている。
    周りは渓谷でえぐられ、深山幽谷の観を呈している。

    
    枯滝(かれたき)。水を使わないで山水の景観を表現する「枯山水」の道具立ての一つ。
    心字池の洲浜の奥の渓谷に、御影石や青石、五郎太石などで造られている。

    
    大滝(おおたき)。10数mの高所から落ちる滝。園内のもっとも勾配の急な所をさらに削って断崖とし、
    濃い樹林でおおって深山の渓谷の趣をだしている。曲折した流れから始まり、
    数段の小滝となり最後は深い淵に落ちるという凝った造りである。
    以前は井戸を水源にしていたが、水源が枯渇し、現在は井戸水と池水の循環でまかなっている。

    
    同上
    
    茶室。京都に多く関東では珍しい崩石積と庭門で仕切られた茶庭の中に、茶室がある。
    春と秋のみ、抹茶を出しており、お茶席利用のかたのみ入室できる。

    
    書庫
    
    雪見型燈籠(ゆきみがたとうろう)。水辺によく据えられ、その姿が水面に浮いて見える「浮見」と
    点灯時にその灯が浮いて見える「浮灯」が「雪見」に変化したとする見方がある。

    
    泰平型灯籠(たいへいがたとうろう)。名前の如くどっしりとした形で、
    蕨手(わらびて:笠の縁が蕨のように渦巻状に反ったもの)は角柱のようにごつごつし、
    竿は太く節も3つある。

    
    濡鷺型灯籠(ぬれさぎがたとうろう)。他の形式に比べて笠が厚く、むくり(反り)が無い。
    図柄は「濡れ」を文字で「鷺」を絵で表現するか、「濡鷺」を文字で表現する2種類がある。

    
    春日型灯籠(かすががたとうろう)。灯籠では最も多い形式であり、
    6尺(1m80cm)を標準とする。図柄は名の由来となっている奈良の春日大社の神獣である
    鹿と鳥居を組合わせたものが特徴である。

    
    奥の院型灯籠(おくのいんがたとうろう)。灯袋(ひぶくろ)に牡丹・唐獅子・雲・七宝透(しっぽうす)かしを、
    中台(ちゅうだい)に十二支を、基礎に波に千鳥又は波に兎を刻んでいる。
    奈良の春日大社の奥の院にあるものを本家として発展した。
    
    十五層塔(じゅうごそうとう)。その語源はスツーパ(積み重ね)からきていて、
    現地では仏塔の一種として信仰を集めているが、
    日本でも石塔は塔婆と同じ考え方で用いられ共通性がある。奇数積みが原則。
    
    黒ボク石積(くろぼくいしづみ)。富士山の溶岩で、多孔質で軽く、加工もしやすい。
    山の雰囲気が出るため、主に関東で石組みとして用いられることが多いが、石垣状のものは珍しい。
    
    崩石積(くずれいしづみ)。石を垂直に積む方法は数あるが、これは京都で発達した伝統的な工法である。
    石と石が噛み合って崩れそうで崩れない姿が美しいとされる。小川治兵衛(おがわしへい)の力作である。

    
    裏門(元表門、染井門)
    
    園内配置図(パンフレットより)

    
    入園券・表(原寸132×70mm)
    
    入園券・裏
























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