YSミニ辞典(菊)
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菊(a chrysanthemum:米、a mum:英)きく : @キク科のキク属の多年草の総称。
茎は硬く、葉は卵形で波状に切れ込み、鋸歯がある。花は小菊・中菊・大菊と大別され、一重また八重、
色は白・黄・赤など、花の色・形などにより、非常に多くの品種があり、主に秋に咲く。
古く中国から渡来したとされ、
江戸時代には改良が進み、観賞用に広く栽培された。
特に近世以降、多くの栽培品種が育成された。花弁を食用とするものもある。
[
季語]秋−植物。
ほのかなる 菊の香りや 和む月
防府天満宮の菊花展にて(2007.11.12撮影)
山口県周南市鹿野にて(2009.10.29撮影)
同上
金剛三昧院の境内に咲いていた菊(2011.10.20撮影)
同上
食用菊(しょくようぎく) : 菊の一種で、特に食用として栽培されている菊を指す。食菊ともいう。
料理のつまに使われるつま菊などの小輪種の他、花びらのみを食用とする大輪種がある。
観賞用の菊に比べて苦みが少なく、甘みがあるのが菊花の特徴で、
和食なら、茹でてお浸しにしたり、酢の物、胡桃合えなどの和え物、天ぷらや吸い物に用いられる。
また花びらを湯がいたり蒸した後に
海苔のように薄く四角い形に乾燥させた「菊海苔」「干し菊」などの加工品がある。
つま菊を除きほとんどが山形産で山形県内各地、青森県八戸市など東北地方、
新潟県の中越から下越などで栽培され秋に収穫される。
大輪種にはうすむらさき色の小さな花をつける延命楽(もってのほか、かきのもとなど)や、
黄色い花の阿房宮などの品種がある。
中国で「菊」は薬用としても重用されてきたし、日本で栽培される食用菊にも、
豊富な栄養をもつことが確認されている。
中国最古の薬物学書とされる「神農本草経
(しんのうほんぞうきょう)」には、
「久しく服すれば、血気を利し、身を軽くし、天年を延べる」とあり長寿の薬として菊を紹介している。
また「名医別録
(めいいべつろく)」という薬物学書でも、
キクが薬として腰の痛みを(関節炎やリウマチのような痛み)を除き、
胃腸の働きをよくして、体全体の調子を整えるという効能が述べられている。
もっとも薬用の菊というものはなく、薬に用いられるのは食用の菊である。
薬効も豊富で、解熱、解毒、鎮痛、消炎薬として、感冒、発熱、頭痛、
めまい、耳鳴り、眼病、腫瘍の痛みなどに用いられている。
また、血圧降下作用もあり、動脈硬化症、高コレステロール症にもよいとされている。
菊を使った料理には、菊花と白キクラゲのスープ「ジュイホワインアルタン」があり、
これは目の炎症を鎮めて、美しく涼しげな目をつくるといわれている。また血圧が気になる人には、
血圧降下作用と肥満防止を兼ねた「ジューホウベンハイガーピイ」もあり、
菊花とくらげを和えた料理として知られている。「菊花」には、
タンパク質、
カリウム、
ビタミンB1、
ビタミンB2、
ビタミンC、
β-カロチンなど豊富な栄養がある。
ゆで方 : @
ガクをはずす。芯の部分には苦味があるので、色のついた花びらだけを使う。
A
茹でる。たっぷりの湯に酢を少々入れてさっと菜箸でかきまぜる程度茹でる。
歯ざわりを楽しむので、茹ですぎないこと!酢を入れると色よく茹で上がる。
B
水にさらす。ざるにあけ水にさらし、よく絞る。
参 :
蛇の目菊
A紋・模様の名。菊の花や葉をかたどったもの。皇室の一六葉八重表菊のほか種類が多い。
(例)菊花紋
(きくかもん)
B菊襲
(きくがさね)。襲
(かさね)の色目の名。表が白、裏が紫または蘇芳
(すおう)のものをいう。
秋に着用する。
C菊の花のような形をしたひも。菊形。菊花形。