きのこ関連(YSミニ辞典)
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石突き(a hard tip)いしづき : @キノコ類のかさの下の軸全体、あるいは軸の下方の固い根元部分。
固くて食べられないものもあり、切り落として使うことが多い。
A傘・杖
(つえ)・ピッケルなどの先の、地面に当たる部分。また、その部分にはめた金具。
B槍
(やり)・長刀
(なぎなた)などの柄の端や、太刀の鞘尻
(さやじり)の部分。また、そこを包む金物。
C建物の土台にする石を突き固めること。
茸(a mushroom)きのこ : 木の子の意で、担子菌類・子嚢
(しのう)菌類の作る大きな
子実体
(しじつたい)を形成するものの通称。大部分は担子菌類に、一部は子嚢菌類に属する。
木陰の腐葉土や朽ち木などに生え、多くは傘状で裏に多数の胞子ができる。
松茸・初茸・椎茸のように食用になるものもあるが、
テングタケ・
ツキヨタケなどの
毒きのこがある。
キノコの栽培方法は、シイタケのようにくぬぎなどの木に菌を植える原木栽培とおがくず、
米ぬかなどを混ぜかため菌を植える菌床栽培がある。シイタケにも菌床栽培があるが、
菌床栽培は、シメジ、エノキダケなどほとんどのキノコがこの栽培方法で栽培されている。
[
季語]秋−植物。
調理上の注意 : きのこの主な成分は水溶性で、水洗いするとウマミ成分が逃げるので、
汚れなどが気になればふきんなどで拭き取る。
また火に弱いので加熱時間は3分以内で調理する。
アガリクス茸 : 学名を「アガリクス・プラゼイ・ムリル(Agaricus blazei Murill)」、
和名をカワリハラタケ科の「姫マツタケ」と呼ばれる担子菌類に属す食用キノコ。
ブラジルのサンパウロ郊外ピエダーテの山中が原産で、そこでしか自生しないために長く
「幻のきのこ」といわれてきたが、1960年代アガリクス茸の存在が発見された。
β−D−グルカンなどの多糖類やリノール酸が豊富に含まれている。
そのほか、各種
アミノ酸、
ビタミンや
ミネラル含有値が高く、
なかでも
ビタミンB2や
ビタミンD、
マグネシウム、
カリウムなどが多く含まれている。
(注)「ガンに効く」という効果を証明する報告はほとんどなく、子宮がんと卵巣がんで、
抗がん剤の副作用(脱毛や脱力感など)の軽減に有効との臨床試験が1件のみで、
今後、複数の試験で検証が必要と、厚労省の研究班が2006年5月に手引きをまとめている。
アガリクスの健康効果
抗癌作用、免疫促進作用、血糖降下作用、血圧降下作用、
コレステロール低下作用、
消化管運動亢進作用、抗アレルギー作用、肝機能改善作用、ビタミンD2様作用等。
飲み方 : アガリクス茸5本〜6本位をホーロー鍋などに入れる →
コップ3杯(約600cc)の水を入れ、火にかける →
沸騰したら、とろ火にし、約30分位煎じる →
煎じ終わったら、すぐにアガリクス茸を取り出す
(熱いうちに取らないと有効成分が出ない) →
作ったアガリクス茸の液を2回に分けて服用する
1回目 → 朝起きたらすぐ服用、2回目 → 寝る前に服用
※効果を上げるためには、毎日定期的に服用すること。
※作り終わったアガリクス茸は、みそ汁等に入れて食べることもできる。
アミガサタケ(編笠茸) : アミガサタケ科の茸で、西欧名をモリーユ、モレル、モルケルなどという。
傘は淡黄褐色で、周囲は蜂の巣のような穴で覆われ、高さは8〜20cm、茎は傘より淡色、
キノコの内部は空洞になっている。グロテスクな 姿に似合わず、西欧では高級な食用キノコとして、
フランス料理やイタリア料理には欠かせない材料になっている。
4〜5月に庭、草地、林内などに生える。アミガサタケには種類が多く、このほかトガリアミガサタケ、
チャアミガサタケなどがあるが、区別しないで利用されている。生のものは脆
(もろ)いが、
火を通すと弾力が出て、鶏臓物
(とりもつ)のようなシコシコした独特の歯触りがあり、
料理に酷
(こく)のある旨味を出す。通常は乾燥品を戻して料理に用いる。
食べ方と効能 : アミガサタケの旬は春から初夏で、
トリュフ程ではないが、
ヨーロッパでは高級なキノコに属す。傘の窪み(穴)と茎の株に砂を含んでいることが多いので、
十分に水洗いして、よく水を切って料理する。油と相性がよく、酷のある料理に向く。
アミガサタケをバターで炒めた後、生クリームで煮たものを、
バターでよく焼 いたトーストの上に載せて食べる料理は、フランスのジュラ地方の名物料理である。
その他、ソースや煮込み料理、フライやスパゲッティーなどにも合う。
アミタケ(網茸) : イグチ科の茸。地方によりスドウシ、アミモタセ、シバタケ、ハチスとも呼ばれる。
傘は茶色を帯びた黄褐色で、湿っているときは強いぬめりがある。直径5〜11cm、初め丸く、
後に開いて平らになり、逆円錐形になる。乾いているときは光沢があり、表皮は剥げやすい。
肉は厚く柔らかで白色からクリ ーム色、茎は高さ5〜10cm、太さ0.5〜1cm、
傘よりも淡色、根元はやや濃色,傘の裏は黄色で網目状である。
夏から秋にかけて、アカマツやクロマツなどの松林に群生する。海岸や川岸の松林でよく見られ、
紛らわしい毒キノコもなく、沢山発生しするので、各地において広く利用されている。
料理すると赤紫色になり、強いぬめりが出る。滑らかな舌触りで歯切れがよく、
癖
(くせ)のない味で親しまれている。
食べ方と効能 : アミタケは夏から秋が旬の小さくて美味しいキノコで、ぬめりはナメコ程強くはない。
保存は、乾燥又は塩漬けが適している。風味には少しの癖もないので、料理はしやすい。
味噌汁の具、和え物、雑炊、佃煮、グラタンやピザ、中華風のスープなどにする。
ナメコ同様、卸し和えにも合う。また、米酢やワインビネガ ーを多めに使い、
様々な香辛料を入れて作るピクルスは、クローブやタカノツメの防腐効果もあり、長期保存も可能。
アンズタケ(杏茸) : アンズタケ科の茸で、西欧名はジロール、シャンテレルと呼ばれる。
傘は直径2〜6cm、漏斗形で山吹色、襞
(ひだ)は黄白色で皺状である。茎は直径0.5〜1cm、
長さ3〜6cmで襞と同色である。仄かに杏の香りがするところから、この名前が付いた。
秋にマツ林や雑木林などに生える。ヨーロッパでは人気のキノコで、大型のものが多く、
フランス料理やイタリア料理に登場する。仄かな香りとシコシコした歯触りは洋風料理に向いているが、
一度乾燥させたアンズタケの炊き込みご飯もなかなか美味しい。
食べ方と効能 : アンズタケの旬は夏から秋で、新鮮なものは杏に似た香りも強いが、
だんだん弱くなる。また乾燥品はバターに似た香りがあり、西欧の高級料理には欠かせない素材の
一つである。個性的な香りを持つピエ・ド・ムトン(シロカノシタ)と共によく使われる。
保ちがよく、冷蔵保管出来る。フランスでは鶏肉のぶつ切りと
玉葱を一緒に炒めてオーブンで焼いたり、
オムレツに入れたり、フライや煮込み料理、ソースなど に用いて、香りを楽しむ。
イクチ茸(イクチ) =
ハナイグチ
イワタケ(岩茸) : 石茸。学名は、「Gyrophora esculenta Miyoshi」。
@岩茸は「茸」の字を付けられているが、きのこではなく、
地衣
(ちい)類のイワタケ科に属しており、地衣植物の総称である。
日本産地衣類の代表的なものに数えられ、極地・高山から温帯にかけて分布している。
日本全国の山地の標高800m以上の高所の樹皮・木材上や
岩場にある露出した岩石(おもに花崗岩
(かこうがん)、珪岩(
けいがん)など)の上に生える。
地衣体はほぼ円形の薄い葉状で、直径5〜10cm(まれに30cmのものもある)の円形に広がる。
葉状体の表面は乾くと褐色で滑らかであるが、湿ると暗緑色となる。
縁のほうは多少切れ込みがあり、波状にやや縮れることが多い。
葉状体の裏側は一様に黒色で、中央に突出した臍状体
(さいじょうたい)をもち、これで岩につく。
子器はごくまれにつき、盤状で、表面には渦巻状の模様がある。
岩茸(おいしい店★ドットコムHPより)
イワタケを食料として利用することは古くから行われており
江戸時代の本草書にもよく出てくる。
また、不老長寿の食材として酢の物、てんぷら、汁の実などに利用される。
このためイワタケの有名な産地(埼玉県秩父
(ちちぶ)地方、
愛媛県面河渓
(おもごけい)周辺など)では、切り立った岩場でイワタケとりをする専門家がいて、
とったものは乾燥され山菜として市販されている。手のひらの大きさになるのには、
20年から30余年かかると言われ、収量の少なさと、
収穫の困難さの為に貴重なもので、「仙人の食べ物」とも言われる幻の珍味である。
イワタケ属は世界中で約50種、イワタケ・イワブスマをはじめ日本では18種ほどが知られているが、
食料として利用されるのはイワタケだけである。このほかの種には、
本州の高山帯に多いミヤマコゲノリ(Umbilicaria torrefacta)、
山地の川岸の岩上に生えるカワイワタケ(Dermatocarpon miniatum)などがある。
A@の一種。低山の岩上に着生。地衣体は灰褐色の円形で径5〜10cm、
ときに30cmに達する。食用。
ダーツの旅で、長野県の北相木村の「ココがすばらしい」の「岩茸まんじゅう」を一度食べてみたいね。
エノキダケ(榎茸) : マツタケと同じマツタケ科(キシルジ科)のキノコである。
別名「ユキノシタ」と言われるように、雪の下でも生育する冬のキノコである。
本来自然物は、榎、楢、柿、無花果、クワ、ポプラなどの広葉樹の枯れ木に秋に寄生的に発生する。
笠の大きさは2センチから10センチ、高さは3センチから10センチほどで色は褐色。
滑子ほどではないが、表面にぬめりを持つ。
天然のエノキダケ
周年出回っている物は、ほとんどがオガクズを利用した人口栽培で、
遮光し、軟白科して白色、または乳白色に成育させた物である。
日本では、キノコの中で生産量が最も多く、主な産地は、長野県を筆頭に新潟県、
群馬県などで生産されている。ちなみに、2位は
ブナシメジである。
味の良さはグルタミン酸などの
アミノ酸やヌクレオチド系のグアニン酸などによる。
また、ヌメリは、トレハロースを主体とする
糖質のためである。
栽培ものでは笠が開ききらず、軸が何本も重なって群生し色が白いものを良品とする。
笠のついている先の部分が、萎えてバラバラに開き、軸の部分が茶色く変色している物は鮮度が悪い。
煮物を始め、鍋物、和え物など幅広く利用される。またエノキダケは、収穫してからも成長を続け、
時間の経過とともに鮮度は落ちていく一方であるため、保存を考えるよりは、
新鮮なものを選んで早めに利用した方が良い。古くなると異臭を放つので、早めに食べましょう。
保存する際は、ラップに包んで冷蔵庫へ入れておくと、2日程度持つ。
[
季語]冬−植物。
エノキダケの健康効果
ビタミンB1、
ビタミンB2が多く、
ビタミンD効果を持つエルゴステリンを含むことが特徴で、
中国では「
便秘の特効薬」とされ、胆石の特効食材で、
ガン予防にも効果があると言われている。
ビタミンB1がとくに豊富で、エネルギーの代謝を促し、イライラや神経系の機能を正常に保つ
働きがある。ビタミンB2や
ナイアシンも多く、ナイアシンは湿疹などの皮膚疾患に効果がある。
エノキダケ、ブラウンエノキには、血圧を下げる効果があり、
高血圧を改善する。
その効果を余すところなく得るには、バターなどで炒めて食べると良い。
ただし、火の通し過ぎは禁物で、加熱は3分以内にすること。
効果をさらに高めるには、つけあわせに大根おろしを添えて食べるとよい。
エリンギ(eryngii) : 地中海地方原産のキシメジ科ヒラタケ属のキノコで、
カオリヒラタケ、ミヤマシメジとも呼ばれている。1990年代後半頃から国内での栽培が盛んになり、
市場に出回りだした新顔のきのこだが、本来、日本には自生していない。
軸が太く、繊維質に富み、シャキシャキとした食感が特徴である。
ノンカロリーで、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多く、トレハロース(老化防止)や
βグルカンの抗ガン作用もある食品として、最近ますます注目されている。
また、マツタケに似た歯ごたえとくせのない味が炒め物・天ぷら・スパゲッティなど
和洋中華料理などにマッチし、食材として実に幅広く使うことができる。
長野県産の無農薬エリンギ(株式会社・東研より)
新潟県産の無農薬エリンギ(株式会社・雪国まいたけ産)2009.12.5撮影
おいしいところのクキを大きく、カサを小さく育てたもので、長野県産のものよりカサが小さい。
選ぶときは、他のきのこ同様、表面がしなびておらず、白くて堅く黒ずみのないものを。
パックされて売られることが多いが、そのパックの内側に水滴がつくほど水分の多いものは
傷んでいることもあるので、避けた方が無難である。
エリンギの健康効果
きのこ類の中では糖分が多く、とくにトレハロースが豊富。
トレハロースは抗ガン性をもち、また
骨粗しょう症を改善する働きがある。
また同じく抗ガン作用のあるβ−グルカンも豊富で、肝臓の脂肪付着を減少させる効果もある。
参 :
食品保存法
キヌガサタケ(衣笠茸) : スッポンタケ科。純白のレースのマントを大きく広げた姿が美しい。
しかし、見掛けとは裏腹に頭部にはグレバと呼ばれる異臭を放つ胞子の粘液があり、
遠 くからでもその異臭のために直ぐ分かる。茎は硬質のスポンジ状で白色、晒し鯨の質に似ている。
夏に竹林に生え、極めて短時間に生長する。このキノコに似ているマクキヌガサタケは
レースのマントが短く、針葉樹や広葉樹の林に生え、同様に食べられる。
異臭のある頭部のグレバを、レースのマントに付けないようにして洗う。
スープなどに用いると、独特の歯触りと、旨味のある良い出汁が出る。
キヌガサタケ
キヌガサタケ(乾燥)(教育用画像素材集HPより)
食べ方と効能 : キヌガサタケの旬は初夏から秋で、中国ではツースンと呼ばれ、
生よりも乾燥品が一般的で、多くは茶色に変色しているが、良質のものはあまり色が付いていない。
一般にはスープに用い、またエビやカニの擂り身をレースのマントに繰るんで蒸す高級な
中国料理もある。生のものの入手は難しいが、トマトピューレや梅酢を使って純白のレースを染めて
料理するのも楽しい。茎のシャリシャリとした晒し鯨に似た歯触りが特徴である。
クロカワ(黒皮) : イボタケ科の茸。地方によりウシビタイ、ナベタケ、ロウジとも呼ばれる。
傘は直径5〜20cm、初め丸く、後に平らになる。表面は初め灰白色、次第に黒くなり見付けにくい。
繊細な毛に覆われ、なめし皮に似ている。傘の裏は極めて細かい網目状、肉の厚さは1cm以上あり、
白いが傷付けると赤紫色になる。茎は太く円柱状で傘と同色である。
秋にマツやモミなどの林内地上に点々と 生え、黒牛の額
(ひたい)に似ている。
引き締まった肉質で歯応えがあり、適度のほろ苦さが清酒とよく合い、
昔から食通好みのキノコとして珍重されて来た。
食べ方と効能 : クロカワの旬は秋。そのままでは軽い苦味があり、肉質も一風変わっているので、
好きな人には珍味として定評がある。傷みの少ないキノコで、室温で1週間は保つ。
個性的な風味を活かすために、たれを付けながらの付け焼きや、
さっと茹でて酢の物や卸し和えなどに向く。しかし肉質が非常に肌理
(きめ)細かく、
滑らかなため、ピクルスやマリネによく合い、グラタンやピザのような洋風料理にも利用出来る。
コウタケ(香茸) : イボタケ科の茸で、地方によりシシタケ、クマタケとも呼ばれる。
傘は直径10〜25cm、大型の漏斗型、茶褐色で角状のささくれがあり、傘の中央部は深く窪み、
ときには茎の根元に達することもある。初め淡紅色から次第に褐色になる。
乾燥すると殆ど黒色となり強い香気を放つ。針は傘の下面から茎の半分位のところまで付いている。
秋にコナラ、ミズナラなどの広葉樹林に生える。独特の芳香があるので、香茸の名前が付けられたと
云われている。生食では中毒することがあるため、必ず加熱調理や乾燥保存する。
よく似 たキノコに、ささくれの少ないケロウジがあるが、苦くて食用にはならない。
食べ方と効能 : コウタケの旬は秋で、香りが高く、昔から精進料理の珍菜とされるほか、
地方の民間薬とされたり、煎じた汁は化粧品として利用された。コウタケはアクが強いので、
一般的には、下処理として茹でてアク抜きをする(そのまま鍋に入れると、煮汁が真っ黒になる)。
茹でると風味は大分失われるが、炊き込みご飯や鋤焼き、天麩羅やフライ、汁の具、
炒め物、ピラフ、卵綴じなど、いろいろな料理に利用できる。
サクラシメジ(桜占地) : ヌメリガサ科の茸で、地方によりアカンボ、アカキノコ、アカタケ、
ドヒョウモタシとも呼ばれる。傘は直径4〜10cm、初め丸く、開くと平らになる。
肉は厚くてしっかりしている。表面は湿っているときは粘性があるが、乾燥しやすい。
傘の中央は暗赤色からワイン色、またサクラの花の色に似ているところから、
サクラシメジの名前が付けられた。周辺部は淡色、縁は最初内側に巻く。
襞
(ひだ)は最初白色で次第にワイン色の染みができる。茎は長さ3〜8cm、堅く締まっている。
秋にクヌギ、コナラ、ブナなどの広葉樹林内に生える。歯切れがよく多少苦味があるが、
それ程癖
(くせ)はない。ぬめりが少なくぱさつくので、調理には油を使ったり、
時間をかけて煮込んだりすると良い。傷みが早いので、採取後は手際よく調理したり、保存する。
食べ方と効能 : サクラシメジの旬は秋9〜10月で、見た目が美しいので、キノコ狩りでは人気がある。
風味は実にさっぱりしているが、少々苦味がある。肉質がし っかりしていて、歯応えもあるので、
サトイモとコンニャクに季節の野菜を合わせた甘辛煮、野菜との炒め煮、鋤焼き、天麩羅、フライ、
けんちん汁などの和風料理のほか、油やバターを使った様々な洋風料理にも合う。
シイタケ(a shiitake、a mushroom) : 椎茸。
@担子菌類ハラタケ目のきのこ。
ナラ・クヌギ・シイ・クリ・カシなどの枯れ木に生えるが、人工栽培もされる。
傘は径6〜10cm。肉質で弾性があり、上面は淡褐色から黒褐色。
シイタケ
同上(2010.11.14撮影)
食用。乾物は香りが高い。生しいたけは味も香りもよく、和・洋・中とどんな料理にも合う。
乾物全般に言えることだが、特にしいたけを戻すときには、
冷たい水でゆっくりと戻すのがおいしくいただくコツである。ぬるま湯や電子レンジで
戻すやり方もあるが、やはり乾物の美味しさを引き出すには時間が必要である。[
季語]秋−植物。
シイタケの健康効果
各種
ミネラルや食物繊維に富む低カロリーの健康食品で、自然食品として人気が高い。
シイタケ特有の
アミノ酸、エリタデニンが
コレステロールを抑え、
高脂血症や
動脈硬化、
高血圧の予防と改善に働く。カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にする
ビタミンDを多く含み、
日光にあたるとビタミンDに変わるエルゴステロールも豊富に含んでいる。
食物繊維の一種β−グルカンは、
ガンや
生活習慣病の予防に効果がある。
軸が硬くて太く、短く、裏のヒダが白いのは新鮮で香り、味ともにいい。本来白いはずのヒダが
茶色く変色し、崩れているのは鮮度がよくない証拠。購入時は必ず裏側をチェックしよう。
料理の前に2〜3時間天日干しすれば、
紫外線によってビタミンDが増え、
水分も抜けて旨みが増す。原木栽培されたものは香りが高く味も豊かで、軸まで食べられる。
シイタケの原木栽培 : 長さ1.2メートルほどに切り出したクヌギやナラで育てる。
菌の入った種駒を原木1本に数十個打ち込み、その後は環境に応じて日当たりを調整したり
水をかけたり、上下をひっくり返したりする。種類にもよるが半年〜1年半で収穫できるようになる。
人口培地で育てる菌床栽培のシイタケより風味がよく、干しシイタケにも向いている。
参 :
食品保存法
A「椎茸髱
(しいたけたぼ)」の略。
シメジ(ヒラタケ) : 占地。湿地。しめじ。担子菌類ハラタケ目キシメジ科シメジ属のきのこの総称。
周囲の地面を湿らすほど広範囲に生えてくることから、湿地や占地の名が付いたという。
コナラなどの林に生え、白または灰色で傘の直径約6センチ、柄の高さ約9センチ。
色は薄い灰色。茎の下部が肥大し癒着して、多数が一株となって生える。
いくつも密着して発生することが多いので「千本シメジ」ともいうが、
柄の部分が多数合体している別種もあり、区別するため普通
ホンシメジという。
なお、ヒラタケの栽培品種を「○○シメジ」と称しているものが多い。[
季語]秋−植物。
シメジの健康効果
食物繊維が多く、便通をよくし、血液中や肝臓の
コレステロール値を下げ、
動脈硬化予防に
効果がある。
ビタミンB2も多く、口内炎や目の充血を防ぎ、皮膚や髪を健康に保つ働きがある。
また、
血糖値を下げて
糖尿病を予防し、血液サラサラ効果もある。
その効果を余すところなく得るには、干したものを食べると良い。
また、ジャガイモ、昆布などの
カリウムを含む食材と一緒に摂るとさらに効果的。
干しシメジの作り方 : @シメジを1本づつバラしてザルに広げ天日で干す。
A夜間は室内に入れ、2日で完成する。
B食べる時は干しシイタケのように水で戻して料理する。
シモフリシメジ(霜降占地) : キシメジ科の茸で、地方によりギンタケ、ヌノバイ、ユキノシタとも
呼ばれる。傘は直径4〜10cm、初め丸く開くとやや中高になる。
傘の表面は多少ぬめりがあり、表皮は剥げやすく、鼠色で周辺部は黄色味を帯びる。
襞
(ひだ)や茎は黄色っぽい白色、茎の高さは8〜10cm、太さ1.5〜2cm、肉質はやや脆
(もろ)い。
マツ林、モミ、ツガ林のほかミズナラやカンバ林にも生える。
秋も遅くなってから出盛りを迎えるため、「霜降り」の名前が付けられたが、
落ち葉が地面に積もった処に生えるので見付けにくい。
歯切れがよく、酷
(こく)のある旨味を持った一級品のキノコである。
生では脆い肉質も、調理すると弾力が出て歯切れ舌触りがよく、極めてよい出汁が出る。
食べ方と効能 : シモフリシメジの旬は10〜11月で、冬の早い東北地方の鍋料理には、
「ギンタケ」と呼んで欠かせない、人気の高いキノコである。風味には全く癖
(くせ)がないので、
味噌汁や炊き込みご飯、煮物、鍋物、ソースや煮込み、マリネ、グラタンやピザ、炒め物など、
どんな料理にも合う。シモフリシメジは黒い土の上に生えるため、細かい襞の中に土が残りやすいので、
指の間で茎を挟んで、傘の上からポンポンと軽く叩いて土を落とす。
ショウゲンジ(正源寺・性賢寺) : フウセンタケ科の茸で、地方によりコムソウ、コモソウ、ボウズ、
ボンサンタケとも呼ばれる。傘は直径4〜10cmで。始め俵型後開いて平らになる。
傘の表面は初め白色〜紫色の絹糸状の光沢のある繊維に覆われ、やがて開いて淡黄褐色の
皺
(しわ)を生じる。襞
(ひだ)は白色、後に錆褐色になる。茎は長さ6〜15cm、太さ0.7〜2.5cm、
白色〜黄土色で傘よりも淡色である。秋にアカマツなどの針葉樹林に生えるが、
ショウゲンジが生えると、
マツタケの発生が少なくなると云われている。
名前 の由来は、正源寺(又は性賢寺)の僧が食用出来るとして広めたとされている。
茎は堅く締まっていて、歯切れが良く、爽やかで上品な風味がある。
食べ方と効能 : ショウゲンジの旬は秋で、色合い、姿形の美しいキノコで、歯切れ、舌触りも良い。
淡白で上品な風味に活かすよう、薄い味付けにする。
貝や白身魚との相性が良く、汁物や鍋物に良い出汁が出る。
貝の酢の物やぬた、吸物、白身魚を使ったエスカベー シュやパエリヤなどの料理のほか、
風味に癖
(くせ)がないためどんな料理とも相性が良い。
セイヨウショウロ(西洋松露) : セイヨウショウロタケ科の茸で、西欧名をトリュフ、トラッフル、
トリュッフルという。地面の下に出来る黒いジャガイモ状のキノコで、高級なフランス料理や
イタリア料理には欠かせないトリュフだが、発生量が少なく、見付けることが難しいため、
極めて高価で、キャビア、フォアグラと並んで世界の三大珍味に喩えられる。
料理には、フランスのペリゴール産の黒トリュ フと、イタリアのピエモンテ産の白トリュフが
最上級として用いられる。最近は安価な中国産も出回っている。
トリュフの採集には、トリュフ独特の匂いを嗅ぎ分けるように訓練された豚や犬を使う。
わが国でもトリュフの仲間は生えている。
食べ方と効能 : トリュフは強く独特な香りがあるので、他の材料と組み合わせて、
その香りを移させることがトリュフ料理の楽しみ方である。フランスでは黒トリュフに人気があり、
イタリアでは白トリュフを貴重とする。新鮮なものは冬に出回り、傷みやすいので、
普通瓶詰や缶詰を用いる。また切り屑も捨てずにオリーブオイルに漬けて、トリュフオイルを作り、
香りの移ったオイルは、そのまま料理に振り掛けて使う。サラダやオムレツ、鶏のクリーム煮、
卵のココットなど、あまり熱を通さないことが、香りを残すポイントである。
チチタケ(乳茸) : ベニタケ科の茸で、地方によりチタケ、チダケ、ドヨウモダシ、とも呼ばれる。
傘は直径3〜10cm、黄褐色或いは赤褐色で、初め丸く、開くと平らから漏斗型になる。
肉は厚く、締まっていて白色、香りには幾分癖
(くせ)があ り、乾燥すると干しニシンに似た匂いがする。
襞
(ヒダ)は白色で後淡黄色になり、褐色の染みができやすい。茎は傘と同色である。
傷付けると白色の乳液を分泌することから、この名前が付いた。
梅雨時から秋まで広葉樹林に生る。肉質は堅く、弾力 がないため、口当たりはボソボソしてるが、
こっくりした旨味のある出汁が出る。多少渋味はあるが、生のままでも味噌やマヨネーズを付けて
食べられる。栃木県では、「チタケ」と呼んで、異常な人気がる。
食べ方と効能 : チチタケの旬は夏から秋にかけてで、山々にキノコの少ない時期に採れる、
希少価値の高いキノコである。乳液が渋いものは、さっと茹でてから料理する。
肉質は堅くボソボソしているが、酷
(こく)のある旨味を持っているため、
料理においては他の素材の味を引 き立てる。和風、洋風、中華風など何れの料理にも用いられるが、
肉や魚など脂肪 質の素材と合わせた料理によく合う。また、汁物、スープ類には独特の旨味を発揮する。
トリュフ(truffe:フランス) : @トラッフル。トリフ。フランス松露。西洋松露。
子嚢菌
(しのうきん)類セイヨウショウロ目の
きのこ。カシ属の植物の根に寄生し、
径3〜10センチメートルの塊状で、土中にできるきのこの一種である。
独特の芳香があり、すこぶる
珍味である。「黒いダイアモンド」と呼ばれ、高級フランス料理で珍重され、
キャビア、
フォアグラとともに世界三大珍味の一つとして知られる高級食材である。
トリュフ
2001(平成13)年11月24日、山口県内では初めて秋吉台(美東町)で見つかった
クロアミメノセイヨウショウロで、ヨーロッパ原産の黒トリュフと近縁種とのことで、
磯の海苔のような甘い芳香が漂うという。
主にフランス・イタリアに産し、ブタやイヌの嗅覚を利用して探すので有名。
火が通ると黒くなり、大きくて、真っ黒で、固くしまった香りのつよいのが最高級品で、
大きさは、栗からじゃがいも程度である。
A@に形が似ていることから、生クリーム・洋酒などを混ぜたチョコレートを直径3センチメートルほどに
丸め、さらにうすくチョコレートなどで覆ったもの。
ハタケシメジ(畑占地) : キシメジ科の茸で、地方によりウリシメジ、ニワシメジとも呼ばれる。
傘は直径4〜12cm、初め丸くやがて平らになり、表面は灰褐色から茶褐色、肉は白色で厚く、
引き締まっている。多少粉臭い。襞
(ひだ)は白色で細かく、茎は灰白色で直径1cm前後、
長さ3〜8cmでしっかりしている。姿形全体が天然の
ホンシメジによく似ているが、
ハタケシメジは梅雨時から秋にかけて、畑、道端などに株状に群生する。
シャキシャキした独特の歯応えがあり、味、香り共に癖
(くせ)がな く、良い出汁が出る。
地面に生えるため、襞の中の土をよく落として調理する。よく似た毒キノコに
クサウラベニタケがあるが、
クサウラベニタケは襞が肉色になるので、注意すると見分けが付く。
食べ方と効能 : ハタケシメジの旬は秋で、短期間の保存は、新聞紙に包んでビニール袋に入れて
冷蔵保管する。長期保存は乾燥又は冷凍、塩漬けにする。全く癖がなく、歯切れ、舌触りも良いので、
土瓶蒸しのような薄味に仕上げるなど、品の良い料理にすると風味が活きる。
その他、ヒラタケやシイタケ同様、味噌汁や澄まし汁、炊き込みご飯、煮物、醤油煮、
洋風のソースや煮込み料理、ピクルスやマリネ、グラタンやピザ、
中国風の炒め物や餡掛けなど、どんな料理にもよく合う。
ハツタケ(初茸) : ベニタケ科の茸で、地方によりロクショウモダシ、アイタケ、アイズリとも呼ばれる。
傘は直径3〜12cm、淡赤褐色で表面に濃色の同心円状の模様があり、初め丸く、徐々に平らになり、
最後は漏斗形になる。茎は直径1〜2cm、長さ2〜5cm、色は傘と同色、肉質は堅いが脆
(もろ)い。
襞
(ひだ)は傘より少し淡色で細かい。夏から初秋にかけてアカマツ、クロマツなどの林内に生える。
他の食用キノコに先駆けて出るので、この名前が付けられた。傷付くと緑青色に変色する。
他に紛らわしいキノコがないので、安心して採取出来る。
肉質はボソボソしているが香りがよくて美味しく、旨味のある出汁が取れる。
食べ方と効能 : ハツタケの旬は初秋で、マツタケと並んで古くから日本人に親しまれてきたキノコで、
全国各地において利用される。個性的な特徴を持ったキノコだが、香りがよく、
どんな料理にも利用され、取り分け吸物、ピクルスやマリネ、たれを付けての付け焼きなどによく合う。
また四国では、ハツタケの炊き込みご飯の人気が高い。
ハナイグチ(花猪口) : イグチ科の茸で、傘は直径4〜15cm、初め丸く後平らに開き、
表面には著しいぬめりがあり、黄金色から赤褐色、肉は厚く柔らかで淡黄色。
傘の内側は最初 は膜に覆われている。茎は高さ5〜10cm、太さ1〜2cm、黄色から錆褐色で、
上部に 網目模様があります。傘の裏は網目状で初め黄色で後茶褐色になる。
夏から秋にかけて、カラマツ林の日当たりの良い道路際などに生える。
ナメコに似たツルツル感とシャキシャキした食感で、様々な和風料理によく合い、
味噌汁を主に大根おろしの酢の物などの和え物、蒸し焼きがおいしく、
ピクルスやマリネ、グラタン、ピザなどにも合う茸である。
大きく生長したものでも、傘裏の網目は取り 除く必要はない。煮るとレバー色に変色する。
単にイクチやイグチという方が多く、地方によってジコボウやジゴボウ、リコボウ、ジコンボ、ラクヨウ、
ラリヨウモダシ、カラマツイグチ、マツパキノコなどと多くの名称がある。
ヒラタケ(平茸) : 学名はPleurotus pulmonarius。担子菌類ハラタケ目ヒラタケ科の食用茸で、
地方により、カンタケ、ワカイ、ヨノミタケなどと呼ばれる。
春から秋、林内の広葉樹の枯れ木や切株などに重なりあって多数発生する。
若い時はシメジにきわめて似る。傘は半円形ないし扇形で幅5〜15cmになり、
表面ははじめ黒っぽく、やがて灰白色、白色となる。茎は短く片側につく。
人工栽培されたものが、「シメジ」という名で市場に出ている。
傘の色は天然物は白っぽいが、人工栽培されたものは濃灰色となる。
食べ方と効能 : きのこ類の平均値をはるかに上回った
ビタミンB1、
ナイアシンを含み、
ビタミンB1は、デンプンや砂糖など
糖質をエネルギーに変える「代謝作用」を助ける事から、
穀類を主食とする日本人には大切な栄養素である。また、ナイアシンは口内炎・胃腸の
病気・皮膚炎を防ぐもので、野菜の約15倍含まれている。その他、ミネラルによる貧血予防、
抗しゅよう活性を持つグルカンも含まれる事から、
ガン予防にも期待が寄せられている。
味・香りともあっさりしており、洋、和風共に広く食用される。鍋物などにしてもおいしい。
(注)毒キノコの「
ツキヨタケ」とよく似ているので気を付けよう。
ブナシメジ() : 学名:Hypsizygus marmoreus。シロタモギタケ属(Hypsizygus)・
キシメジ科のキノコで、別名カブシメジ、ダイコクシメジ。「香りマツタケ、匂いマツタケ、味シメジ」と
いわれるほど味がよく、歯切れもよく、色・形もまたよいキノコである。
秋にブナなどの倒木(ときに生木)に発生し、束生または輪を描いて群生する。
傘表面にある大理石模様(亀甲模様)が特徴だが、
傘が開いてくると不明瞭になり、終いには真っ白ののっぺらぼうになる。
最近ではブナピーと呼ばれる白いアルビノの品種まで登場している。
傘は濃い黒褐色で、軸が白くて太く締まっているいるものを選ぶ。
保存する際はラップに包み、保存袋に入れて冷蔵庫へ。早めに使い切ること。
食べ方と効能 : 料理方法は、炒め物や鍋物など和洋中の多くの料理に利用される。
動脈硬化などの成人病予防に効果があるといわれている。これはシメジに豊富に含まれる
ビタミンB2の組織が酸化するのを防ぐ作用を向上させる働きのためである。
ビタミンB2は、細胞の再生を助け成長の促進もするので、口内炎や疲れ目の予防にも
有効であるといわれている。また、このキノコには、細胞が突然変異する作用を
抑える物質を含んでいるともいわれ、
癌の予防効果が期待されている。
ブナシメジ(教育用画像素材集HPより)
ホウキタケ(箒茸) : ホウキタケ科。地方により、ネズミタケ、ネズミアシ、ハキモダシ、ヌキウチなど
とも呼ばれる。珊瑚状に枝分かれしている姿が箒の穂に似ているところから、この名前が付けられた。
また、枝の先端が鼠の足先によく似ている。直径、高さ共に10〜20cm、
枝や根元は白色で、先端は淡紅色或いは淡紫紅色、根元は太い塊状である。
よく似た仲間に、下痢を起こすハナホウキタケ(オレンジ色)やキホウキタケ(黄色)など
有毒のものがあるので、注意しましょう。秋に主として雑木に松の混じった林に生える。
歯切れ、舌触り共に良く、風味は鶏笹身を想わせる。殊に根元の塊部分のスライスは鮑
(アワビ)に
似た歯応えがあり、風味は天然のホンシメジに匹敵し、和風・洋風・中華風とどんな料理にもよく合う。
食べ方と効能 : ホウキタケの旬は秋。少量の湯でさっと茹で、その茹で汁ごと冷まして
冷凍保存するか、煮沸殺菌した瓶に保存する。風味は全くなく、どんな料理にも合う。
味噌汁や炊き込みご飯、煮物、醤油煮、佃煮、洋風の煮込みやソース、
ピクルスやマリネ、グラタン、ピザ、炒め物や餡掛けなどによく合う。
ホンシメジ(本占地、本湿地) : 学名:Lyophyllum shimeji。
キシメジ科の茸で、地方によりダイコクシメジ、クロシメジ、ウエツコ、カンコなどとも呼ばれるが、
普通
シメジといえば「匂いマツタケ、香りマツタケ、味シメジ」と云われるこのホンシメジや
ブナシメジのことを指す。傘は直径3〜10cm、灰色で細かい霜降り模様が見られる。
襞
(ひだ)は白色で細かい。茎は白色で下は膨らんでいる。
秋に山の尾根筋に近いアカマツと雑木の混じった林に生える。
ホンシメジ
シメジの中においてもこのホンシメジの風味は抜群で、
マツタケと共に日本人が昔から最も好んできた
最上級のキノコである。しかし、野生のホンシメジは栽培が難しく、店頭で「ほんしめじ」として
売られているのは正式にはブナシメジと呼ばれるきのこで別のきのこである。
風味、歯切れ、舌触り共に申し分なく、正に味の王様の名に恥じない。
食べ方と効能 : ホンシメジの旬は秋です。旨味成分のグルタミン酸やアスパラギン酸などの
アミノ酸をたっぷり含んでいる。味の良さを活かして、じっくりと旨味を出す料理がお薦めで、
炊 き込みご飯も煮汁毎炊き上げると一層美味しくなる。澄まし汁や土瓶蒸し、卵綴 じ、
天麩羅などは勿論、味噌汁や炒め物、洋風の煮込み料理、ピクルスやマリネ、グラタンや
ピザなどどんな料理にも合うが、矢張り薄味で仕上げる料理の方が、ホンシメジのよさが活きる。
マイタケ(舞茸) : 担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ科のきのこ。
無数の傘が重なり合う姿が、舞っているように見えることからこの名が付いたとされる。
秋、クリ・ナラなどの広葉樹の大木の根もとに生える。
白い太い茎が繰り返し分枝して、高さ・幅とも20〜30センチメートルになる。
枝先に上面灰色の扇形またはへら形の傘をつけ、表面は灰白色または暗褐色で裏面は白い。
黒マイタケ(山釣り紀行より)
白マイタケ(山釣り紀行より)
かつては「幻のキノコ」とされていたが、1970年代に人口栽培に成功し、
菌床栽培で安定的に生産されるようになった。
使い道は幅広く、特に秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」には欠かせないとされる。
歯ざわりがよく、美味だが、選ぶには肉厚で傘の色が濃いものがよい。
保存する際は保存袋に入れて冷蔵庫へ。早めに使い切ること。[
季語]秋−植物。
マイタケの健康効果
マイタケには、身体の新陳代謝を活発にして、
老化を防ぎ、
アレルギー予防効果も発揮される。
マイタケに含まれるβ−グルカンには、低下した免疫機能を高め、
ガン細胞の増殖を抑える
働きがある。また
活性酸素の働きを抑制する
ビタミンB2の含有量はキノコ類の中でトップである。
マイタケは、みそ汁・みそ煮など、みそ味で煮るのがよい。
ただし、火の通し過ぎは禁物で、加熱は3分以内にすること。
マイタケの有効成分は酸に弱いので、胃酸から有効成分を守るために、
ネバネバ食品と一緒に食べると良い。
マッシュルーム(mushroom) : 本来はキノコを意味する英語であるが、
日本では欧米で栽培されてきた西洋マツタケ(標準和名ツクリタケ)をさして使われる。
フランスでハラタケを栽培用品種として改良して出来たキノコで、
フランス語では菌類またはキノコを意味するシャンピニヨン(champignon)と呼ばれ、
ホワイト、ブラウン、クリームなどの品種があり、「西洋のまつたけ」とも呼ばれている。
ブラウン種は最近よく見かけるようになり、味が濃いのが特徴である。
日本ではマッシュルームと同義に用いられている。マッシュルームは日本のシイタケ、
中国・東南アジアのフクロタケとともに、世界の三大栽培キノコの一つ。
生産量は第2位のシイタケの数倍に上り、第1位を占める。
ツクリタケは、担子菌類、マツタケ目ハラタケ科に属する。傘は初め半球形で白色。
普通、傘が開く前に収穫するので、成熟したキノコを見る機会は少ないが、成熟した傘は平たく開き、
径10〜15cm、白から淡黄褐色を帯び、やや鱗皮
(りんぴ)を有する。
肉は厚くて白い。ひだは茎に離生し、初め白、しだいに桃色から暗褐色、やがて紫黒色になる。
茎は長さ4〜8cm、径1〜3cm、太くて充実し、上のほうに膜質のつばがある。胞子紋は紫黒色。
胞子は7〜9μm×5〜7μmの楕円
(だえん)形で、担子柄の先端に2個ずつつく。
マッシュルーム
マッシュルームの健康効果
口内炎を防ぐ
ビタミンB2や
カリウムも豊富。塩分の排泄を促し、
高血圧の予防に効果がある。
食物繊維も多く便通を促す。また腸内の異常発酵を防ぐため、
口臭や体臭を抑える効果がある。
選び方と調理法 : 肉厚でもっこりした形のカサを持つものがうまい。
カサの裏側がしっかりと締まっているものは鮮度もいい。かさは丸く、よく引きしまっているものを選び、
裏返したときにカサが大きく開いているものは鮮度に難がある。カサの表面が茶色や
赤色がかっているのは、収穫後に漂白処理をしていないため、安心して食べていい。
下処理は、きのこの風味を残すためにも泥を落とすだけで水洗いの必要はない。
缶詰ではホワイトマッシュルームの水煮が多く売られているが、生のマッシュルームは
切り口が空気にふれると変色するため、調理直前に切ることをお奨めするが、
レモン汁や酢、白ワインをふりかけておくと変色を防ぐことができる。
また、軸からも美味しいダシがとれるので、上手に使いましょう。
スープや煮込み料理やソテー、グラタン、サラダなどに利用される。
日持ちしないので、早めに使い切ること。
マツタケ(松茸) : キシメジ科。マツタケの傘は直径7〜20cm、初めは丸く、後に平らになり、
周辺部が反り返る。傘は褐色で表面は繊維状のささくれに覆われ、やがて濃褐色に変わる。
肉は白色、特有の香りがある。茎は太さ1.5〜3cm、長さ10〜20cm、
褐色で繊維状のささくれがあり、上部は白色、堅く締まっている。
秋にアカマツ、コメツガ、トドマツ、シラビソなどの林内地上に生え、東アジアに分布している。
肉質は堅く、歯応え、風味満点,、「匂いマツタケ、味シメジ」の通り香りの王様として、
日本人の最も好むキノコである。[
季語]秋−植物。
まつたけの 姿でさそう 八百屋かな
松茸は1940年代をピークに年々収穫量が減っており、その原因の一つに山の土壌環境の
変化があげられている。ひと昔前は山から薪や落ち葉を取り燃料材として利用していたが、
昭和30年代頃、燃料が石油系に変わり、肥料も化学肥料が登場するなど、
わざわざ山から燃料材を取る必要がなくなった。
その結果、山の地面には落ち葉などがたまり積もってしまい、富栄養化が進む原因となった。
松茸は栄養が貧しく比較的乾燥した土地に生える性質があり、
どんどん富栄養化した土地では収穫が望めなくなった。
再び松茸のために「落ち葉掃き」や「落ち木拾い」「雑木の間伐」などを行なっている地域もあるが、
整った山に胞子が落ちて松茸が生えるまでは早くて8年かかるといわれている。
いただいた巨大マツタケ(2004.11.2撮影)皿の直径は21.5cm
マイタケの健康効果 : 食用きのこの中で抗がん作用が最も高い貴重なきのこである。
他に
ビタミンB2が多く、口内炎や目の充血を防ぐ働きがある。
また
ナイアシンが血行をよくし、冷え性を改善する。
食べ方と効能 : マツタケの旬は秋で、韓国や中国、カナダからの輸入ものが8割を占めているが、
国産マツタケとは別種のものや、香りの成分の含有量の少ないものが大部分である。
傘が開ききっていないものが上等品で、傘や茎が黒ずんでいないもので、
色のあ まり濃くないものが採れたての新鮮な松茸である。柄は太くてずんぐりしたものが良く、
摘んでみて弾力のないものは、虫食いの可能性がある。
マツタケなどは水洗いしないことが美味しく食べるポイントだが、虫が食っていたら、
塩水に暫く浸けてから料理する。香りを十分に堪能したいときは、シンプルにただ焼くだけが一番。
マンネンタケ(万年茸) : マンネンタケ科マンネンタケ属のきのこで、夏〜秋に広葉樹腐朽木等に
発生する
木材腐朽菌で、ヒダナシタケ類の薬用きのこである。傘の形は不規則で、
一般的には円形や腎臓形をしており、硬い殻皮に覆われ、表面はニス状の分泌物で光沢をあらわし、
傘が小さく、柄が長く伸びるのが特長である。肉質はコルク質で硬く、特有の強い苦味があることから、
中国では「霊芝」と呼ばれ、民間薬の中では不動の地位を占め、古来より数々の薬効が
伝承されている。日本でも薬用きのこの王者として古くから愛用されており、きのこの抗腫瘍作用を
世に知らしめる原動力となったきのこである。中国では薬用きのことしてのみならず、
10万本の古木に2〜3本しか発生しないような極めて稀少なきのことされてきたことから、
天下泰平のしるしの「吉兆きのこと」しても古くから珍重されている。
学名は菌傘の光沢に因んで、また、和名はきのこを乾燥させると多年に渡り原型を保ち続けることに
因んで、「万年茸」と命名されたものである。薬効面においては、抗ガン作用を有するきのことして
広く知られているが、最近の研究では、苦味成分である「トリテルペン類」に抗アレルギー作用、
血圧降下作用、コレステロール・中性脂肪降下作用など、
様々な
生活習慣病を予防する効果のあることが解明されてきている。
ムキタケ(剥茸) : キシメジ科の茸で、地方によりカタハ、カワムキ、ノドヤケ、ハドコロとも呼ばれる。
丸みのある傘は直径4〜15cmの半円形で、大きいものには重量感がある。
傘の表面は黄褐色のビロード状、茎には微毛があり、襞
(ひだ)は細かく ほぼ白色である。
茎は1〜3cmで短く、木に傘の一部が付くように生える。
晩秋にブナ やミズナラなどの広葉樹の倒木や切り株に群生する。
香り、味共に癖クセがなく食べやすいが、少し水っぽいところがある。ムキタケによく似た毒キノコに、
ツキヨタケがあり、形もよく似て、生える処(枯木の部位)も同じなので十分注意して下さい。
ツキヨタケの見分け方は、縦に裂いてみて、茎の内部に黒い染みがあること、
襞には弱い発光性があることなどで識別できる。
食べ方と効能 : ムキタケは晩秋の10〜11月が旬で、表皮下にゼラチン層があるため独特の
舌触りがあるが、ナメコとは質が異なる。このぬめりと滑らかな舌触り、歯切れの良さ、
そして風味には少しも癖
(くせ)がないのが、ムキタケの特徴である。
天麩羅やフライ、塩焼きにはあまり向かないが、汁物や鍋物、煮込みには適し、
味噌汁、酢の物、和え物、雑炊や麺類、醤油煮、佃煮、ピクルスやマリネ、
グラタンやピザ、中華風スープ、餡掛けなどによく合う。
メシマコブ : 学名をフェリナス・リンテウス(Phellinus Linteus)と言い、
原産地は日本(本州以南)、フィリピン、オーストラリア、北アメリカ、中国などで、
タバコウロコタケ科キコブタケ属の担子菌類のきのこである。長崎県の男女群島にある
「女島
(メシマ)」に野生する桑の幹に寄生する「コブ」状のキノコであることから、
その名がついたとされるが、中国では「桑黄
(そうおう)」と呼ばれている。
多糖体にたんぱく質がついたヘテロマンナンタンパク複合体マンノースやガラクトースその他
複雑な多糖体によって構成されるβ−D−グルカンなどの高分子多糖体が豊富な
栄養補助食品で、
抗ガン作用に関するデータが1968年に明らかにされ、研究が進んできた。
メシマコブの成分ヘテロマンナンは、マクロファージ、NK細胞、T細胞を活性化して
免疫賦活作用を現すと言われる。
健康効果 : 栄養補助品としての効能には、抗ガン効果(ガン細胞の増殖や転移を抑制する等)、
抗アレルギー効果(免疫機能を正常化する)、血糖降下効果(
血糖値を抑制する)、
血圧調整効果(血圧を正常なレベルに保つ)、抗動脈硬化効果(
動脈硬化を防止する)、
抗ウイルス効果(外部から侵入する抗原を遮断して疫病を予防する)、
抗血栓効果(血栓を予防し血液の流れをスムーズにす)、
骨粗しょう症予防効果、
等があると言われている。これらの効果から
生活習慣病の予防や改善を期待する事ができる。
(注)症例報告は2件あるが臨床試験はなく、結果の解釈には冷静な判断が必要と、
厚労省の研究班が2006年5月に手引きをまとめている。
ヤナギマツタケ(柳松茸) : オキナタケ科の茸。シャッキリタケの商品名が付けられ、
地方によりヤナギモダセ、カエデモダセとも呼ばれる。傘は直径5〜15cm、
表面は滑らかで黄土褐色から灰褐色、浅い皺
(しわ)がある。襞
(ひだ)は細かく灰褐色、
縦に筋のある柄の上部に白い膜質の鍔
(つば)があり、上に胞子が落下して暗褐色となる。
肉はほぼ白色である。初夏にハコヤナギ、カエデ、ニレなどの広葉樹の枯れ木や、
都会の街路樹の枯れている部分にも生える身近なキノコである。
コリッとした歯切れのよさが身上で、癖
(くせ)のない風味がある。
食べ方と効能 : ヤナギマツタケは
マツタケとは別種のキノコで、よくヤナギに生え、
しかも旨いので、この名が付けられた。味が良く、傘は薄茶色、茎は白く美しい。
わが国においてはあまり馴染みがないが、フランスでは20年程前からポプラの木を用いて栽培し、
「フオリヨット・デュ・ププリエ」の名前で登場している。
汁物、鍋物、炒め物など、和・洋何れの料理にもよく合う。
ヤマドリタケ(山鳥茸) : イグチ科の茸で、西欧名はセップ、セープ、ポルチーニ、スタインピルツ。
わが国にも多いイグチの仲間で、全体にずんぐりした形、淡黄褐色〜茶褐色で、
傘の裏は細かい網目状になっている。フランスではセップ、ドイツではスタインピルツ、
イタリアではポルチーニなどと呼ばれ、西欧では最高級のキノコとされる。
肉質は堅く、歯切れ、風味ともに申し分ない。わが国に生えている殆どはヤマドリタケモドキで、
セップとよく似ているが、発育環境の違いからか、肉質もあまり堅くならず香りも弱い。
わが国において食用にする地域は少ないが極めて味の好いキノコで、
西欧のヤマドリタケに近い風味を持つ。
食べ方と効能 : ヤマドリタケの旬は夏から秋で、イグチ化科キノコ特有のぬめりはあまりなく、
ぬめりを嫌う西欧人に特に好まれる。香りがよく少しも癖
(くせ)がないため、
どんな料理にもよく合う。フランスでは大きな傘を利用して、窪みに詰め物をする。
豚挽肉、
玉葱、
大蒜(ニンニク)、パセリ、セップの茎を微塵切りにしたものを傘に詰めて、
オー ブンで焼く。その他、バターで炒めて肉料理の付け合わせにしたり、フライにしても美味しい。
和風の鍋物や煮物、汁物にもよく合う。
ヤマブシタケ(山伏茸) : 学名をヘリシュウム・エリナセェウム(Hericium erinaceum)といい、
東アジア原産の担子菌類ヒダナシタケ目サンゴハリタケ科ヤマブシタケ属に分類されるキノコで、
日本にも古くから自生しており、「針千本
(はりせんぼん)」「ウサギタケ」など、
さまざまな地方名も持っている。秋、シイ・ナラ・カシ・ブナ・クルミなどの樹幹に生える。
白い卵形で、表面に1〜4センチの長い針を密生しハリネズミ状で、
大きさは直径5〜10センチ前後だが、大きいものは20センチくらいのものもある。
表面を柔らかい針状の突起が垂れ下がって覆い、突起の表面に子実層が発達する。
中国では、古くから「猴頭
(ホウトウクウ)」と呼ばれていて、
「猴頭」は、中国語でサルの頭、「磨vは、キノコという意味である。
日本では、蓑
(みの)や、山伏が着る鈴掛衣の胸の部分にある結袈裟
(ゆいげさ)という
丸い飾りに似ていることから、大正時代の薬草の大家である白井光太郎氏が命名したとされている。
乾燥または缶詰にして保存する。
ヤマブシタケ(教育用画像素材集HPより)
ヤマブシタケの健康効果
ガン抑制・予防のβグルカンが豊富で、脳細胞を血流不足から守って、
脳梗塞を防ぐ効果がある。
また、アルツハイマー型
認知症への効果が報告されている。
脳梗塞を抑制するには1日30g(1/3個)ずつ食べると効果的である。
お吸い物にして食べるのがより効果的で、他の材料に火が通ってからヤマブシタケを入れ、
すぐに火を止めて3分間蒸し煮する。
きのこの日 : 10月15日。「日本特用林産振興会」が1995(平成7)年の総会で、
きのこの需要が高まる10月の真ん中15日を記念日に制定した。 参 :
日本特用林産振興会(HP)
毒きのこ =
毒きのこ(毒に別掲)