錦帯橋(YSミニ辞典)
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錦帯橋(Kintai bridge)きんたいきょう、きんたいばし : 凌雲
(りょううん)橋。五竜橋。そろばん橋。
山口県岩国市にある川幅200mの錦川(山口県最大の河川)にかかる直線の全長が
193.3m(橋面に沿っては210m)、幅5m、橋台の高さが6.64m、反り橋の最高部から河床まで
12mある
橋で、東京の日本橋、長崎の眼鏡橋とともに「日本三名橋」であり、
江戸時代より甲斐の猿橋(山梨県大月市・桂川)、日光の神橋(栃木県日光市・大谷川)、と並び、
「日本三大奇橋」にも数えられており、1922(大正11)年3月8日、
当時の「史跡名勝天然記念物保存法」にもとづき「名勝」に指定された。
三大奇橋は神橋に代わり、かずら橋(徳島県祖谷)の説もある。
4基の橋台に5つのアーチを連ねる木造橋で、
「山は富士、滝は那智、橋は錦帯」と言われるほどに有名で、力学的にもすぐれている。
アーチ1つの径間35.1mは、現代工法を除けば、現存する木造アーチ橋として世界最長という。
その昔土木建築技術の幼稚で機械器具の乏しい時代に、稀に見る美しさと、
特異な構造の木橋を架設したことは、まことに驚嘆の外なく、
しかもその技術が現代の橋梁工学に合致しているに至っては更にその感を深くする。
中国杭州の西湖にある「錦帯橋」をモデルにし、川の増水にも耐えられるよう研究が重ねられ、
岩国藩主3代・吉川広嘉
(きっかわひろよし)によって1673(延宝元)年に架橋され、
翌年の5月に流失した。原因を徹底的に究明し、その年の秋には2代目が完成した。
2代目は1950年の台風で橋脚ごと流されるまで、部分架け替えを繰り返しながら持ちこたえた。
不落を誇った錦帯橋も、1950(昭和25)年9月に発生したキジア台風により流失したが、
3年後に再建された。西湖の錦帯橋とは2004年に姉妹橋となっている。
2005(平成17)年9月6日から翌7日にかけて九州北部・山陰沖を通過した台風14号により、
第1橋の橋脚2基が流失した。総事業費26億円をかけ、50年ぶりとなる「平成の架け替え」と呼ばれる
4代目の架け替え工事が2004(平成16)年3月20日に完了し、渡り初め式が行われた。
4月29日の大名行列などが行われる「錦帯橋まつり」、6月1日〜8月31日までの「
鵜飼い」、
8月第1土曜日の6000発の花火が上がる「錦川水の祭典」などの錦帯橋に関わるイベントがある。
錦帯橋は24時間渡ることができるが、夜10時以降は照明が消える。
岩国市では現在、錦帯橋と岩国の碁盤目状の町割を、ユネスコの
世界遺産にしようと取り組んでいる。
錦帯橋の3つの秘密(架け替え工事を指揮し、錦帯橋を守る11代目の大工・海老崎粂次さんによる)
@
人に優しい : 表面は水に強いヒノキ、骨組みは強くて堅いケヤキと柔らかいマツを組み合わせて
柔軟性を持たせている。揺れを吸収するとともに、渡る人の腰に負担をかけない配慮がされている。
A
メンテナンスしやすい : あまり大きな部材を使っていないので、
傷んだ個所にはすぐに木材を調達して対処できる。
きゃしゃな部材でも組み合わせによって強度を高め、丈夫な構造物を造る技術が生きている。
B
くびれ : アーチのてっぺん部分の橋板の幅は、両端より10センチほど狭い。
同じ幅だと、真ん中が太く見えて不格好なことから、「きれいに見せるための知恵」である。
参 :
(社)岩国市観光協会(HP)、
岩国市(HP)、
蓬莱橋
テレカ画像
1977(昭和52)年1月2日撮影
夜桜に錦帯橋(周南市の二家本さん提供)
夜景(周南市の二家本さん提供)
1977(昭和52)年1月2日当時の入橋券で、現在の大人は300円
現在の小人は150円
数年前の入橋券(現在の大人入橋料は300円になっています)
朝日新聞「アスパラクラブ」会員によるアンケートで、「日本一の橋」のベストテンでのトップは
回答総数の3分の1以上を占めた
錦帯橋で、2位が
渡月橋(京都市)、3位は
明石海峡大橋(兵庫県)、
4位は
眼鏡橋(長崎市)、5位に
瀬戸大橋(岡山県−香川県)、6位は
横浜ベイブリッジ(横浜市)、
7位に
レインボーブリッジ(東京都)、8位に
かずら橋(徳島県)、9位に
余部鉄橋(兵庫県)、
10位に
しまなみ海道(広島県−愛媛県)が入った。
錦帯橋の鵜飼 →
鵜飼い
アクセス : JR岩国駅からバスで約20分(240円)。
山陽新幹線の新岩国駅からバスで約15分(280円)。
車の場合は山陽自動車道の岩国インターチェンジから10分ほどで着く。
駐車場は錦帯橋近くの河原にある。
錦帯橋で初の夏ライトアップ
岩国市の国名勝の錦帯橋で2009年8月18日、夜間ライトアップが始まった。
鵜飼い船が浮かぶ錦川に、五連のアーチを浮かび上がらせ、幻想的な世界を演出。
夏のライトアップは初めて。9月27日まで。
午後7時、8基の照明を点灯。照らし出された五橋の木組みが、黄金色に輝きを放った。
近くの篠原定人さん(69)は「闇(やみ)に錦帯橋が浮かび上がりきれい」と、光の演出を満喫していた。
広島・宮島・岩国地域観光圏推進協議会の企画で原爆ドーム(広島市中区)、
厳島神社(廿日市市)と連携イベントの一環。