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ゴッホが描いた「ドービニーの庭」(Le jardin de Daubigny)
1890年、53.2×103.5cm、油彩・画布、バーゼル市立美術館
1890年、53×103cm、油彩・画布、ひろしま美術館蔵
CGでの補正画
やはりいた「庭の黒猫」、 ゴッホ作品の謎解ける
「黒猫」は、やはり庭に隠されていた。ゴッホ(1853〜90)作で同じ題名が付いた2枚の作品
「ドービニーの庭」について、スイスのバーゼル美術館所蔵の絵の左下には青っぽい黒猫が描かれているのに、
ひろしま美術館(広島市中区)所蔵の絵には加筆して茶色く塗りつぶしたような跡があるが、
黒猫が描かれていない謎を調べていた同美術館と吉備国際大学文化財総合研究センター(岡山県高梁市)は
2008年10月3日、広島の絵にも当初は黒猫が描かれていたと発表した。
同大大学院の下山進教授が広島の絵に低レベル放射線を当てて絵の具の組成を解析すると、
青色絵の具の主成分の鉄元素が検出された。X線分析顕微鏡を使って鉄元素を中心に解析したところ、
茶色い部分の下に猫の姿があることが確認された。
さらに文献などから、1901年に別の画家が猫を塗りつぶしたとほぼ断定した。
同美術館は、猫がいた部分以外の色あせた部分なども解析。
コンピューター・グラフィックス(CG)を使って、ゴッホが完成させた当時とほぼ同じような色彩で再現した。
担当の古谷可由主任学芸員は「一見『いいかげん』に描かれたように見える猫が、
当時の感覚で作品の評価が下がるからと加筆したのではないか」と推測している。
ナチの時代に「退廃芸術」の烙印を押されたが、米国に逃れてきわどく助かったという。
そして、絵の具の下ながら黒猫も生き延びてきたのである。