肛門関連(YSミニ辞典)
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ALTA療法(エイエルティーエイりょうほう) : アルタ療法。痔核手術の一つで、
硫酸アルミニウムカリウム(Aluminum Potassium Sulfate)及びタンニン酸(Tannic Acid)を
主成分とするジオンという注射液を注入する痔核硬化療法(四段階注射法によるもの)のことで、
ジオン硬化療法(ジオン注)ともいわれ、2004(平成16)年7月に承認された。
特に「第3度」の
内痔核(脱出後、手などで押し込まないと戻らない痔核)や従来は手術による治療が
行われていた「第4度」の内痔核(排便と無関係に常時脱出している)に適応するが、
肛門の外にできる
外痔核、
裂肛(切れ痔)、
痔ろう(あな痔)に使えず、
内痔核でも適応できないこともある。
ALTA療法のメリット : 従来の手術療法とほぼ同様の効果が得られ、
麻酔は原則として局所麻酔で済む。肛門の痛みを感じない部分に注射をするため、
痔核を切り取る手術より出血や痛みが少なく患者の負担の軽減及び入院期間が1泊2日程度と
短縮(軽度であれば日帰り手術も可能)されることなどから、社会生活への早期復帰が可能となる。
治療費用は日帰りの場合、入院を伴う標準的手術療法の1/4〜1/5と安価である。
ALTA療法の副作用 : 一過性の発熱、血圧低下、頭痛、吐気など
参 :
内痔核治療法研究会(HP)
外痔核(がいじかく) : ゴルフのスウィング時のいきみなどで生じる
肛門皮下の
静脈のうっ血による血栓や血種で、歯状線より下の部分にいぼ状にふくらんだもの。
強い痛みを伴う。さらに血栓性の静脈炎を併発すると激痛を感じるようになる。
指で硬いしこりとして触れることができる。腹圧のかかる仕事、スポーツ、
妊娠、出産、冷え、刺激性食品の摂りすぎなどに、便秘が重なるとなりやすい。
肛門(an anus)こうもん : 尻の孔
(あな)。消化器官の末端、直腸の終わる所で、大便を排泄する孔。
肛門は「肛門上皮」がくぼんだもので、お尻の出口より直腸側3〜5cmまでをいう。
ここは、筋肉、括約筋が複雑に入り組み、肛門を被っているものにも、
皮膚、移行上皮、粘膜と3種類ある。肛門は肛門括約筋という筋肉に囲まれている。
そして肛門括約筋は詳しくは内括約筋と外括約筋に分けられ、外括約筋は肛門を開けたり閉めたりする。
直腸と肛門の間には肛門腺という組織があり、この腺によって分泌される粘液によって
痛みを感じることなく排便が可能となっている。元々は皮膚の一部なので、痛みを感じる神経がある。
便秘症などで便が硬くなると排便時に肛門上皮が切れて出血や痛みがでる。
繰り返していくと痛みも強くなり、体が無意識に排便を拒否するようになってくる。
すなわち、大腸の筋肉の一部である内肛門括約筋が痙攣し肛門が狭くなってしまうのである。
そうなると悪循環で、直りにくい
痔・
裂肛(難治性裂肛)になる。また、裂肛は肛門の怪我なので、
裂肛の肛門側・口側で炎症をおこし、肛門上皮が肥厚していく。口側の肥厚を「肛門ポリープ」、
肛門側を「みはりいぼ」というが、こういうものがある方は裂肛を繰り返している。
肛門上皮の強い・弱いは個人差があり、トイレットペーパーで拭くだけでも切れる人がいる。
参 :
人工肛門
肛門皮垂(スキンタグ)こうもんひすい :
肛門の周囲にできた皮膚のたるみのこと。
多くは嵌頓痔核
(かんとんじかく)、血栓性外痔核
(けっせんせいがいじかく)、
裂肛(れっこう)などにより
一時的に肛門部がはれ、その後、はれが萎縮したあとに残ったものである。
なかでも肛門前方にできるものは女性に特有で、出産後や裂肛が長期間存在する時にできる。
症状 : 裂肛や肛門周囲の湿疹などに併発することが多いので、肛門部の違和感やべとつき、
かゆみ、便が拭ききれないなどと訴える。徐々に大きくなるので本人は気がつかなが、
大きくはれたり、便秘でむくむと苦痛を伴う。
治療 : 皮膚の清潔を保ち、便通を整え、併存病変の保存的治療を行うことにより、
多くは症状が消失する。保存的治療でも症状が消失しない場合には、切除の対象になる。
痔(piles、hemorrhoids)じ : 痔疾。
肛門やその付近に生じる病気の総称で、比較的女性に多い
疾患である。痔には痔核(
内痔核、
外痔核)・
痔瘻(じろう)・
裂肛(れっこう)・脱肛
(だっこう)などが
あるが、一般的には痔核、痔瘻、裂肛に大別され、これらがお尻の病気の90%を占めている。
内訳は50%が内痔核、外痔核、脱肛などの「いぼじ」、25%が肛門の周囲が化膿する「じろう」、
15%が硬い便で切れて痛い「きれじ」で、残りの10%は、この狭い場所に様々な大変な病気が
潜んでいるので注意を要す。つまり、ガンなどの腫瘍性の病気、腸がとび出る直腸脱、
お尻を洗いすぎて起きる肛門周囲皮膚炎、年齢や手術後の肛門機能不全、
お尻が気になる肛門神経症、クローン病や潰瘍性大腸炎の随伴病変など色々ある。
いずれにしても、怖がったり、恥ずかしがったりせずに早期発見・早期治療することが最も大切である。
痔の予防と痔を悪化させないための注意事項
@お風呂は毎日入るA肛門を清潔に保つB便秘や下痢をしないように注意する
Cトイレではシャワー付き・便座ヒーター付きを利用するD強くいきまないEアルコールは飲まない
Fおしりを冷やさないG長く座ったままの状態でいない。などがある。
痔瘻(じろう) : あな痔。直腸と
肛門の境目、つまり歯状線の小さなくぼみから大腸菌などが入り込み、
直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍という。膿瘍(おできのようなもの)が切れるか、
あるいは自然に敗れたりするとうみが出て、直腸、肛門とつながったうみの管ができるものをいう。
人工肛門(ostomy)じんこうこうもん、オストミー : 直腸切除や閉塞症状に対する処置として、
腸管を体外に引き出して、内容物を排出できるように造設された人為的な
肛門のこと。
下腹部に十円玉くらいの穴をあけ、そこから腸の先を出し(人工肛門)、
垂れ流し状態のその部分から便が漏れないように、
ストーマと呼ばれる400ccほどの特殊な
ビニール袋を両面テープのようなもので腹部に貼りつけ、排便されたものがそこに溜まる仕組み。
便意をもよおすことはなく、無意識のうちに排便される。溜まった便はトイレで洗浄する(日に3、4回?)。
袋の交換は1日おき2日おき…と個々で違い、最大5日おきのタイプがある。
平成15年4月1日より全ての
オストメイト(一時的を除く)が、身体障害者として認定され、
コロストミー(下行・S状結腸人工肛門の結腸ストマー)の場合も、イレオストミー(回腸ストーマ)、
ウロストミー(人工膀胱)と同様に、ストーマ造設時から、身体障害(4級)の認定が
受けられるようになり、『身体障害者手帳』を持っていると各種の優遇措置がある。
患者の手記では、何時外れるか・何時外れて排泄物が漏れるか等、慣れたとは言え
十分有りうることなので、乗り物等に長い時間乗る時や、夜寝る時等も、心配はつきまとう。
お風呂も通常通りに入れるが、もしものこと(便が漏れる)があるといけないので一番最後に入る。
参 :
直腸癌、
(社)日本オストミー協会(HP)
内痔核(ないじかく) : いぼ痔。痔核。痔のなかで最も多く、男女とも患者の半分以上を占めている。
肛門周辺の粘膜の下には、血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分がある。
肛門への負担が重なると、クッションを支える組織(支持組織)が引き伸ばされ、
クッション部分が大きくなり、出血したり肛門の外に出たりするようになることをいう。
痔核には出来る場所により、直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核がある。
また、内痔核が大きくなって脱出するようになると肛門側の痔核、
つまり外痔核を伴って内外痔核という状態になることもある。
内痔核の主な原因 : ■便秘・下痢■長い排便時間■過度の飲酒■長時間の着席
■ストレス■体の冷え■妊娠・出産
参 :
ALTA療法
裂肛(れっこう) : 切れ痔。太くて硬くなった便の排泄や下痢によって無理に通過した為に、
肛門の出口付近が切れて起こる痔である。症状としては、排便時に紙につく程度の出欠と痛みがある。
裂肛が慢性化してしまうと傷口が潰瘍状になり、強い痛みが排便後も続く場合がある。