YSミニ辞典(公務員)

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公務員制度改革(こうむいんせいどかいかく) : 「縦割り行政の打破」「政治主導の強化」を目指し、
    「内閣人事局」を設置することが柱で、内閣人事局が省庁の幹部人事の情報をとりまとめ、
    首相、官房長官、大臣が協議して任命する仕組みにする。
    福田政権下の2008年、与野党の合意で「国家公務員制度改革基本法」が成立したが、
    内閣人事局設置のための関連法案は衆院解散で廃案となっている。
    参 : 給与構造改革

    前・自民党政権下での公務員制度改革
    公務員の人事制度を年功序列型から能力実績型に変えたり、天下り規制を強化する
    半世紀ぶりの改革。政府は2000年に閣議決定した行政改革大綱で改革の方針を盛り込み、
    2001年の公務員制度改革大綱で実施時期を2006年度と決めた。2004年8月に公表された
    骨子案では「能力等級制」を導入し、昇給や昇進に反映させ、民間企業への再就職は内閣による
    承認制に変更するなどとしている。関連法案は労組側と調整がつかず法案提出は先送りされている。
     政府は国家公務員退職手当法を改正し、2006(平成18)年度からの新算定方式導入を目指す。
    公務員制度改革全体の理念である、年功重視から能力・実績主義への移行の流れにあわせるもので、
    (1)退職直前の役職のランクに応じて「貢献度」を加算する仕組みを設け、実績を反映させる。
    (2)終身雇用や年功序列を前提に在職年数が長いほど高くなる支給率を見直し、
      中途採用・退職の増加に対応する。   などを柱としている。
    国家公務員の退職手当は、退職時の月額基本給に、勤続年数と、定年や自己都合などといった
    退職理由ごとに0.6〜59.28の間で決まっている支給率を掛けて算定する。
    新たに導入する「貢献度」加算は、退職前5年間の役職を反映させる。役職ごとに決めた金額に
    5年間のうちの在職年数を掛け合わせ、従来方式で算定した退職手当に上積みする。これにより、
    勤続年数が同じ2人の課長でも、昇進時期に差があれば退職手当にも差が生じることになる。
     阿倍前首相が2007年7月に設置した「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が、
    議院内閣制における官僚の位置づけや人事管理のあり方などを議論し、
    キャリア制廃止や政官の接触制限などを盛り込んだ報告書を決定した。
    阿倍前首相から福田首相の私的懇談会に換わった同懇談会は、2008年1月31日、最終答申を決定し、
    公務員の人事を一元管理する「内閣人事庁」の設置法案を2009年の通常国会に提出するなどを提言し、
    キャリア制を廃止する一方、幹部候補を同庁が一括採用したうえで、
    省庁や官民の枠を超えた人材交流を促した。公務員と政治家との接触については、
    原案にあった「原則禁止」の文言を削除し、閣僚の命令がある場合に限ることとした。
     定年退職をして退職金をもらっているのだから、民間企業と同じく「天下り」は規制ではなくて
    廃止すべきである。しかし、「能力等級制」については何割かは能力実績を採用してもよいが、
    年功序列は残すべきで、子供が大きくなるに連れて養育費用はかさむばかりなので、
    才能はあり仕事は切れても、上司の機嫌取りなどで運悪く落ちこぼれた者は大変なプレッシャーになる。
    18年度からは退職金についても「貢献度」を導入することにしているが、すでに同じ役職でも
    「能力等級制」で基本給与に差がついているので、ここまでやる必要があるのだろうか。
    また、「貢献度」は誰が評価するのだろうか。評価するなら基準レベルを設けておくべきで、
    評価する上司の気持ちしだいで、何百万円もの差が出ることは避けなければならない。

公務員の政治活動の制限(こうむいんのせいじかつどうのせいげん)
    公務員が公権力を背景に政治資金集めにかかわることは、公正さを欠くことになるため、
    政治資金規正法22条9項は、国と地方自治体の公務員ながその地位を利用して、
    政治資金パーティーへの参加、パーティー券の購入などを求めることを禁止している。
    違反すると6カ月以下の禁固か30万円以下の罰金が科される。公訴時効は3年。
公務員の労働基本権(こうむいんのろうどうきほんけん) : 労働三権(ろうどうさんけん)とは、
    労働基本権のうち、団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)の三つを指す。
    日本国憲法第28条にその規定が設けられている。なお、労働三権を労働基本権と呼ぶこともある。
    しかし、この権利は一般労働者においては認められているが、日本の多くの公務員には
    団結権はあるものの、団体交渉権と団体行動権は保障されていない。
    公務員は「政府が代表する使用者としての公衆」(国家公務員法)に対しストライキを禁じられるなど、
    労働三権を制限されている。基本的に、郵政など現業公務員、公共企業体職員、
    特定独立行政法人の職員(国家公務員)など「現業」にはスト権(争議権)が認められていない。
    また、一般の行政機関の「非現業」にはスト権と団体協約締結権が認められていない。
    警察職員・海上保安庁職員・自衛隊員など治安関係や消防職員には三権のすべてが認められていない。
    公務員制度改革に対する政府の考え
    2000年12月の行政改革大綱の閣議決定、そして2001年12月の公務員制度改革大綱の
    閣議決定以降、政府は公務員制度改革法案を再三に渡り国会に提出しようとしている。
    現在、政府が検討を進めている主な内容は、「能力・実績主義の人事管理」「再就職管理の適正化」
    などで、キャリア公務員を中心に過度の年功序列による横並び人事が独善・閉鎖性を生み、
    士気や倫理感の低下につながり、早期勧奨退職が天下りによる官業癒着に連動しているからである。

    日本政府の進めている「公務員制度改革」をILO(国際労働機関)「結社の自由委員会」は
    条約違反だと勧告した。日教組などの参加する連合、連合官公部門連絡会が提訴してきた
    案件について、ILOは2002年11月21日の理事会で、訴えを全面的に認める勧告を承認した。
    同勧告は87号(結社の自由、団結権の保護)、98号(団体交渉権など)の両条約にもとづいて、
    公務員への労働基本権制約策を再検討し、組合との誠実な交渉、
    協議の上で公務員制度改革と法改正を進めるよう、政府に強く求めている。

    自民党の中川政調会長は2006年3月18日、公務員制度改革で焦点となっている公務員への
    労働基本権付与について、「政府と労組側との協議で、労働基本権問題について
    協議する場について政府側から提案してもらおうと考えている」と述べた。
    その政府と連合による「政労交渉」が3月20日、東京都内のホテルであり、
    制約がある公務員の労働基本権について、5月にも両者の検討会議を設けることで合意した。
    スト権を認めるかどうかや、スト権を認める場合の公務員の範囲などを話し合う。
国家公務員(a national public official)こっかこうむいん : 地方公務員とともに公務員の一つで、
    国に雇用されて、省庁など国の公務に従事し、労働を提供し、報酬、給料、手当てなどを
    受けている者をいう。総理大臣・国務大臣・国会議員・政務次官・大使・公使・
    裁判官などの裁判所職員・防衛庁職員(自衛官を含む)・日本郵政公社の役員・国立大学の教授などの
    特別職と、国家公務員法の適用を受けるその他の非現業職員(行政、税務、公安職等)・検察官・
    四現業職員(郵政、印刷、造幣、林野)・特定独立行政法人の職員などの一般職とに分かれる。
    給与は国家、地方などそれぞれの法律で決められていて、職務と責任に応じて支給される。
    また、国家公務員には、法令や上司の命令に従う義務、秘密を守る義務(守秘義務)、
    職務に専念するなどの義務がある。 参 : 国際公務員国家公務員倫理審査会(HP)

    人事院は2006年3月2日、国家公務員に特権的に認められていた「休息時間」制度を廃止する、
    と発表した。休息時間は有給扱いで、正規の勤務時間に算入できる。従来は8時間勤務のうち
    30分間が休息時間だったが、廃止により実働時間は30分長くなる。これにより、
    これまで7時間半だった実働時間は8時間となり、民間企業と同様に名目と実働が一致することになる。
    人事院規則を2006年3月3日に改正し、2006年7月1日から施行する。全国のほとんどの自治体も
    休息時間を設けており、総務省は各自治体にも制度廃止を求める方針である。人事院規則は
    1949年以降、国家公務員に対し、無給の「休憩時間」を「おおむね4時間勤務後に30分間」、
    休息時間を「おおむね4時間勤務ごとに15分間」認めている。これを踏まえて、各省は運用上、
    昼休み1時間のうち、初めと終わりの15分ずつを休息時間、真ん中の30分を休憩時間としている。
    人事院は休息時間の廃止にあたり、昼休みの1時間枠は変えず、終業時刻の30分延長を各省に求める。
    ただ、夕方に子どもを保育園に迎えに行くなどの事情がある職員については、
    昼休みを30分間にする特例を認める。また、交代制で勤務する職員は当面、休息時間を残す。
    国家公務員宿舎の家賃見直せ
    (朝日新聞2012.2.17「声」より、福岡県久留米市の主婦・西 由紀さん(36歳)の投稿文紹介)
     福岡県大野城市に完成間近の国家公務員宿舎があるのを知った。
    家賃は近隣相場の半額以下の月約3万円、駐車場は月約2千円を予定している。
    財務省は家賃を値上げする方針を打ち出したものの、
    関連法案が未整備のため今回は引き上げないという。
    財政難の折、身内に甘い官庁体質に民間の私たちは驚き憤るほかない。
     低所得者向けに県営住宅などの公営住宅がある。家賃は所得に応じて変わり、地域差などもあるが、
    新築時は今回の国家公務員宿舎より高い場合が多いのではないか。国家公務員の給与は
    民間の平均給与より恵まれているはずだ。相場の家賃が払えない理由はないと思う。
     野田佳彦首相は「自ら身を切る改革」を掲げ、国会議員や国家公務員も痛みを我慢するから
    消費増税もさせてくれと主張する。確かに少子高齢化の中で社会保障を維持していくには
    財源確保は重要だが、増税する前に国家公務員宿舎のように省ける無駄はまだあるのではないか。
     国家公務員宿舎や県営住宅などは税金を使って建てられる。
    国家公務員も民間の私たちも、受ける行政サービスが平等であるべきなのは言うまでもない。
国家公務員法(こっかこうむいんほう) : 一般職の国家公務員について適用すべき
    職階・任免・服務・給与などの根本基準を定めた基本法(法律第120号)で、
    もっぱら日本国憲法第73条にいう官史に関する事務を掌理する基準を定めるものである。
    1947(昭和22)年10月21日に公布、同年11月1日に附則第2条(臨時人事委員会(人事院の前身)に
    関する条項)のみ先行施行、他の条項は1948(昭和23)年7月1日から施行された。
    職階制を中心とする人事行政制度を導入し、その実施のための専門的総合調整機関として人事院の
    組織・権限・運営規定を定めるほか、一般職の義務・権利等についての大まかな内容が規定されている。
    団結権、団体交渉権、争議行為のいずれも制限、禁止している。
    国家公務員法の守秘義務違反 : 国家公務員法100条で、
     「職務上知ることのできた秘密」について、在職中はもちろん、退職後も漏らすことを禁じていて、
     違反者した場合の罰則として、1年以下の懲役か50万円以下の罰金に処せられる。
     最高裁の判例は、同法でいう「秘密」を@公には知られていない事実で
     A実質的にも秘密として保護するに値するもの、と定義し、その判断は裁判所がするとしている。
     官公庁が形式的に「秘密」と指定したかどうかは直接関係ないとされる。
    参 : 国家公務員法(法律)
地方公務員(a local public service worker)ちほうこうむいん : 国家公務員とともに公務員の一つで、
    都道府県や市町村などの地方公共団体で勤務し、労働を提供し、報酬、給料、手当てなどを
    受けている者をいう。大きく分けると都道府県知事、市町村長、県市町村の議員、副知事、助役、
    地方開発事業団の理事長、理事及び監事の職などの特別職とそれ以外の一般職とに分けられる。
    職員を採用する場合、それぞれ地方公共団体ごとに試験があり、上級(大卒程度)、
    中級(短大卒程度)、初級(高卒程度)に分けられる。主に地方上級(地上)は都道府県庁で、
    政令指定都市(大阪市、横浜市、福岡市など)、東京233区の大卒程度も上級程度に分類される。
    地方公務員には国家公務員と同様の義務が発生する。
    また、勤務地は原則として特定の地方に限られる。































































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