公的関連(YSミニ辞典)(こ)
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公的医療保険(こうてきいりょうほけん) : 加入者(被保険者)およびその家族が通院や入院など、
医療が必要になった際、公的機関などが医療費の一部を負担する制度のこと。
1961(昭和36)年より「国民皆保険」として、誰もが必ず何らかの種類に加入するよう定められ、
原則すべての国民が加入することが義務付けられている。もちろん、国民皆保険制度のため、
退職後も国民健康保険に加入しなおすなど、何かしらの公的医療保険に加入しなければならない。
公的医療保険に加入すると、保険料を支払う必要があるが、病気や怪我のとき、
一般に、医療費の30%を支払うだけですむ。
また、出産したときや、高額の医療費を支払ったときに、払い戻しがある。
医療保険に加入しないで医療機関にかかる場合、医療費は全て自己負担となり、かなり高額になる。
財源は加入者(被保険者)が収入に応じて支払う保険料で、これを
社会保険庁や健康保険組合、
各種共済組合、市区町村(保険者)が受け取り、審査機関である支払基金や国保連合会の審査を経て、
医療費が支出される仕組みになっている。加入者の医療負担は原則として3割である。
この公的医療保険制度には職域、地域や年齢に応じ、
下表のような種類があり、職業の形態により加入する制度が異なる。
公的医療保険の種類
制度 |
@健康保険 |
A
共済
組合 |
B
共済
制度 |
C
船員
保険 |
D国民健康保険
(国保) |
E高齢者
医療制度 |
協会
けんぽ
※1 |
組合管掌
健康保険
(組合
健保) |
日雇
特例
※2 |
市区町村
国保 |
組合国保
※3 |
前期
高齢者
制度 |
後期
高齢者
制度 |
保険者 |
国保組合 |
健保組合 |
政府 |
共済組合・事業団 |
政府 |
市区町村 |
国保組合 |
市町村 |
加入者 |
中小企業
のサラリー
マンと
その家族 |
主に
大企業の
サラリー
マンと
その家族 |
日雇
労働
者と
家族 |
国家・
地方
公務員と
その家族 |
私立
学校
教職員
とその
家族 |
船員と
その
家族 |
農業、自
営業者、
年金
生活者、
無職など |
医師、
建設業
など一部
業種の人
と従業員 |
65〜
74歳 |
75歳
以上か、
寝たきり
の65歳
以上の人 |
※1協会けんぽは、「全国健康保険協会管掌健康保険」の略称。
※2日雇特例は、「日雇特例被保険者制度」の略称。
※3国保組合には健康保険の協会けんぽ、健康保険組合や市区町村国保への加入者もいる。
毎年、国保組合全体で国から約3000億円の補助金を受けている。
●前期高齢者制度の自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は2割。
(退職者医療制度や任意継続被保険者制度に代わるもの)
●後期高齢者制度(長寿医療制度)の自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は1割。
(老人保健制度に代わるもの) |
公的医療保険への国庫補助 : 国庫補助は、加入者の所得水準が低い医療保険の財政支援が
目的で、医療費支払額などを基準に算定される。市区町村が運営する国民健康保険や、
中小企業のサラリーマンが入る協会けんぽにも国庫補助が出ている。
大企業のサラリーマンが入る健康保険組合(組合健保)には医療費への国庫補助は原則出ないが、
財政が窮迫している組合には一定の補助がなされている。
医療保険は、私たちが納める保険料と、医療サービスを受けた場合の自己負担だけで、
給付費用をまかなえていない。医療の必要度が高い高齢者が多く加入する市町村国保においては、
給付費の43%が国庫負担となっている。協会けんぽ(旧・政管健保)においては、
給付費用の13%が国庫負担となっている。老人医療費の拠出金は16.4%が国庫負担である。
国庫負担の対象となる保険給付 : 療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、
保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費、
家族移送費、高額療養費、高額介護合算療養費、傷病手当金、出産手当金
公的給付(こうてききゅうふ) : 法令の規定により国又は地方公共団体がその給付に要する費用を
負担・補助することとされている給付(給与その他対価の性質を有するものを除く)で、
法令の規定により譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないとされているもの。
公的給付の例
国民年金法 : 老齢基礎年金,障害基礎年金,年金給付
厚生年金保険法 : 老齢厚生年金,障害厚生年金,老齢年金
生活保護法 : 保護費
恩給法 : 恩給
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 : 一般疾病医療費,認定疾病医療費
公的懸賞金制度(こうてきけんしょうきんせいど) : 懸賞広告制度。殺人や強盗などの凶悪事件の
捜査が難航した場合に、事件解決に結びつく情報の提供者に公費で懸賞金を出す制度。
警察庁では2007年5月にスタートし、警察庁や関係警察本部のホームページ、ポスターに
掲載し情報を受け付ける。期間は原則1年間。原則、容疑者が手配されている場合は100万円、
それ以外は300万円が上限額で、特に必要がある時は1000万円まで引き上げることができる。
導入の背景には社会情勢の大きな変化が挙げられている。
とくに捜査を取り巻く環境の悪化を警察庁は指摘している。
大量生産・大量消費が進み、遺留品から犯人をたどる「物からの捜査」が困難になっている。
また地域社会の人間関係が希薄化しており、「人からの捜査」もむずかしい。
また、被害者の遺族らが私費で懸賞金を設定する例が増えたことで、
制度への理解が得やすくなっていると、導入を求める声につながった。
懸賞の対象になる事件の選定基準などは未定で、警察庁でまとめて都道府県警に通知する。
捜査の攪乱やいたずら目的の「情報」提供にどのように対処するかも、大きな問題として浮上している。
市橋容疑者逮捕、懸賞金1000万円支払い<警察庁初適用>
市橋達也容疑者が逮捕されたことで、警察庁は2009年11月10日、
逮捕に結びついた有力情報の提供者に総額1000万円の懸賞金を貢献度に応じて支払う
手続きを始めた。殺人など重要未解決事件に公費で懸賞金を支払う懸賞広告制度の適用は初めて。
リンゼイさん事件は、制度導入直後の2007年6月に懸賞対象に指定された。
2009年6月で2回目の延長となったが、毎月約150件の情報が寄せられ効果がみられるとして、
17件の対象事件で唯一、最高額に引き上げていた。
1000万円の支払先を巡っては、
▽大阪市内のフェリー乗り場で「似た男がいる」と大阪府警に110番した人物
▽1年2カ月間の潜伏先だったことを通報した大阪府茨木市の土木会社関係者
▽整形手術をしたことを通報した名古屋市中村区のクリニック などが対象となるとみられる。