鯨関連(YSミニ辞典別掲)

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海豚(a porpoise、a dolphin)いるか : クジラ目の哺乳類のうち、小形のハクジラ類の総称。
    一般に、体長4メートル以下の種類をさし、それ以上のものはクジラと呼ぶ。
    体形は紡錘状で背びれのあるものが多く、上下の顎(あご)に多数の歯をもち、
    多くは口の先がくちばしのようにとがっている。
    世界中の海に広く分布し、淡水にすむ種類もある。マイルカ・スジイルカ・ハンドウイルカ(半道海豚)・
    カマイルカなど大部分が海洋性であるが、カワイルカなど淡水にすむものもある。
    多くは群れをなして泳ぎ、イカ類や魚類を主食とし、知能が高い。[季語]冬−動物。
    
    名古屋港水族館のバンドウイルカ
鰯鯨(sei whale)いわしくじら : 学名「Balaenoptera borealis」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ナガスクジラ科のヒゲクジラの一種。
    体はスマートな円すい形で、鎌(かま)形の背びれがあり、泳ぎは極めて早い。
    背面は青黒色で白斑が点在し、腹面は白いが、中間にぼかし模様がみられる。
    顎胸(がくきょう)部の体軸に沿って走る約60本の畝(うね)(筋状の溝)はへそまでは達しない。
    口蓋(こうがい)に黒色のくじらひげ板が櫛(くし)状に伸びる。出生時の体長は4.4mで、約9歳で成熟。
    成体の体長は平均12〜17mに達し、体重は15〜25トンになる。雌は雄よりやや大きい。
    北太平洋・北大西洋・南氷洋など世界の海の至る所に生息しているが、
    我が国では小笠原より北の方が多く、オホーツク海の西海岸でも見られるが、
    氷海や付属海には入らない。イワシやタラとともに回遊し、
    動物プランクトンの橈脚(とうきゃく)類を好み、オキアミ・イカ・小形の群集性魚類も食べる。
    イワシを大量に飲み込む生態的特徴からこの名が付けられた。
    捕鯨の対象となっていたが、1986(昭和61)年から国際捕鯨委員会(IWC)により、
    全世界で捕獲が禁止されている。生息数は世界全域で約2万4000頭以上と推定される。
    
    イワシクジラ
    
    下関水族館(海響館)のイワシ鯨の骨格標本の一部(頭骨)
(a whale、a bull whale:雄、a cow whale:雌)くじら : @勇魚(いさな)
     哺乳(ほにゅう)綱クジラ目に属する水生動物の総称。鯨類(げいるい)とも総称される
     この目(Cetacea)のなかで、一般に体長4m前後以上の種類をクジラといい、それ以下の小形種を
     「イルカ」とよんでいるが、その区別ははっきりしたものでなく、動物学的には両者に差はない。
     鯨類は全体に大形であり、体長は最小種でも1.5m、最大種のシロナガスクジラは35mに達し、
     体重170トンに及び、地球史上最大の重量をもつ動物で、かつては冬、日本近海にも現れた。
     一生水中で生活し、陸上では生きられない。海洋に広く分布し、淡水にすむ種も少数ある。
     外形は魚に類似し、流線形で、頸(くび)は短く外見からは区別ができない。
     くちばしが伸びて口が大きく、鼻孔は頭頂に位置する。前肢は胸びれになり、
     後肢は退化して消失し、尾部は発達して先端の皮膚が水平に広がって尾びれとなっている。
     そのほかに背側の皮膚が隆起して背びれとなっている種類が多い。
     皮膚は肥厚し、皮下に厚い脂肪層が発達して体温を保つ。
     体毛はハクジラ亜目ではまったく消失し、ヒゲクジラ亜目では口唇部に感覚毛としてまばらに残る。
     肺で呼吸し、俗に「潮吹き」と呼ばれるのは鼻孔から吐き出された温かい呼気である。
     クジラの潮吹きは呼吸行動で、連続して小さな呼吸をしたあとに大呼吸して潮を吹き、
     そのあと潜水に入る。潜水時間は種類によって異なるが、
     シロナガス鯨は約15分、マッコウ鯨の場合は約1時間にもなる。
     一産一子で、子は水中で母乳を飲んで育つ。歯をもつ歯クジラ亜目と、
     歯が退化して代わりに鯨鬚(くじらひげ)をもつヒゲクジラ亜目に大別される。
     前者にはマッコウクジラ科・イッカク科・マイルカ科など、
     後者にはセミクジラ科・コククジラ科・ナガスクジラ科などがある。
     ハクジラ亜目の歯は、どの歯も形状が同じである同歯性で、
     オウギハクジラ(Mesoplodon stejnegeri)のように下顎(かがく)にわずかに2本しかない種類から、
     ハシナガイルカ(Stenella longirostris)のように上下顎に合計220本も生える種類まで存在する。
     ヒゲクジラ亜目には歯はなく、かわりに口蓋(こうがい)
     くじらひげというざるの役目をする特殊な口器が生じる。
     江戸時代から、和歌山、南房総、高知、長崎などの近海で捕鯨を行い、
     沿岸を中心に捕獲したクジラを産地消費のかたちで食用とするようになった。
     そして南極を中心とした日本のクジラ捕獲量の最盛期は1962(昭和37)年で、
     年間約22万トンを捕獲したうえ輸入まで行われていた。その後国際的に捕鯨反対の動きが高また結果、
     1982(昭和57)年に商業捕鯨は禁止され、南氷洋の母船式捕鯨の船団は姿を消した。
     肉は食用にするほか全身無駄なく利用できる。乱獲により激減した種もある。[季語]冬−動物。
    A「鯨尺」の略。
克鯨(gray whale)こくくじら : 学名は「Eschrichtius robustus。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目で、1属1種のコククジラ科のヒゲクジラの一種で、「コクジラ」ともいう。
    セミ鯨やナガス鯨とは別の科に属し、それぞれの科の形態を半分ずつそなえている。
    全長12〜15mで、全身暗青色で、背びれはないが、尾部背面の後部に凹凸の小隆起が数個、
    山脈状に連なる。咽喉(いんこう)部に2〜4条の縦溝がある。くじらひげは黄白色で厚く、
    片側に160枚生える。出生体長4.6mで、成熟した個体の平均体長は雄13m、雌14mになる。
    
    コククジラ
    
    水面に頭を出すコククジラ(ナショナルジオグラフィックより )
    数百年前までは北大西洋にも分布していたが絶滅し、現在は北太平洋にのみ2つの系統群が存在する。
    東側系群はカリフォルニア半島南部の沿岸で冬季に繁殖し、夏季にはベーリング海北部と
    北極海で索餌(さくじ)し、その2カ所の間を沿岸沿いに大きく回遊して生活する。
    西側系群は冬季は南シナ海の沿岸で繁殖して過ごし、夏季はオホーツク海の索餌場へ移動する。
    海底の砂中にすむ動物プランクトンの端脚(たんきゃく)類を好んで食べる。
    東側系群は19世紀後半から捕獲により資源が減少したが、現在では2万7000頭に回復し、
    シベリアと、アメリカのワシントン州では先住民のための捕獲が許されている。
    西側系群の資源は絶滅寸前の状態で、強い保護を要する。
巨頭鯨(pilot whale)ごんどうくじら : 哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科ゴンドウクジラ属に含まれる
    ハクジラの総称。この属(Globicephala)には暖海性のコビレゴンドウ(G.macrorhynchus)と
    寒海性のグロビセファラ・メレーナ(G.melaena)の2種がある。
    「ごんどう」は「ごとう(五島)」の転とも言われている。鯨目マイルカ科の哺乳類のうち、
    比較的大形の数種を指す名称である。狭義ではコビレゴンドウとヒレナガゴンドウの2種を指し、
    広義ではオキゴンドウ、ハナゴンドウなどを含む。世界に広く生息しているが、
    紀伊半島、伊豆半島でも見られる。体長は6〜8mで、背ビレが前の方にある。
    イルカと異なり吻(ふん)がなく、ずんぐりした頭部をもち、歯は上下左右とも10本前後あり、
    直径10mmぐらいである。胸びれは細長く、前後に広がった背びれは雄ではとくに顕著である。
    胸部、目の上、背びれの後方を除き全身黒褐色。数十頭の群れをつくり、イカや魚を捕食するものが多い。
    寒冷種は体の白色部が明確であり、胸びれが体長の22〜27%、体長は6.2mに達する。
    
    オキゴンドウクジラ
    
    オキゴンドウクジラ
    南北両半球に分布する。日本からは半化石が知られているが、北太平洋では現生は未確認である。
    一方、コビレゴンドウは生態、形態ともにこれに似るが暖流域に生息する。
    日本近海産2系統の一つマゴンドウでは、胸びれは体長の15〜20%である。
    4、5月に交尾し、15カ月後に1子を出産する。2〜3年で離乳し10年で成熟する。
    出産は3〜5年に1回。寿命は約60年。三陸方面には同種の別系統タッパナガが知られている。
    マゴンドウより体が大きく、白斑(はくはん)が顕著であるが、その分布、形態、生活史などは明らかでない。
座礁鯨(Whale stranding、Beached whale)ざしょうくじら : 何らかの理由により、
    クジラ類が浅瀬や岩場などの海浜に乗り上げ、自力で泳いで脱出できない状態になること。
    日本の古い言葉では、「寄り鯨」や「流れ鯨」という。
    専門的にはイルカを含め、座礁鯨類ともいい、小型の鯨類(イルカ)の場合は座礁イルカとも呼称される。
座頭鯨(humpback whale)ざとうくじら : 大翅鯨。学名は「Megaptera novaeangliae」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ナガスクジラ科に属するヒゲクジラの一種。
    体長は10〜15mで、体はずんぐりした紡錘形である。
    昔、座頭とよばれた盲目の法師が演奏した琵琶(びわ)に形が似ているのでこの名がついたとされる。
    両顎(りょうがく)唇部にこぶし大のこぶが多数並んでおり、下顎先端下部に大きな突出がある。
    胸びれはきわめて長く、体長の3分の1くらいあり、その前縁は凸凹している。
    14〜35本の幅広い畝(うね)が胸腹部に存在する。
    背びれは小さく三角形をなし、尾びれも長く後縁にも凸凹がみられる。
    上顎口中には黒色のくじらひげが片側270〜400枚櫛(くし)状に並び、
    動物プランクトンやアミ類、小ニシンなどの群集性小魚類を漉(こ)して食べる。
    体の背面は黒く、腹面は白い。胸腹部には種々の広がりの白色斑(はん)が存在する。
    
    ザトウクジラ
    
    ザトウクジラ(ナショナルジオグラフィックより )
    
    水面に躍り出るザトウクジラ(ナショナルジオグラフィックより )
    世界の海洋に広く分布し、寒帯、温帯、熱帯のいずれでも見られる。
    繁殖は冬期亜熱帯のバンク上で行われ、夏には索餌(さくじ)のために高緯度海域に回遊する。
    本種は国際捕鯨取締条約によって商業的捕獲が禁止されており、
    最近では資源の回復が世界の各地から報告されている。
白長須鯨(blue whale)しろながすくじら : 学名は「Balaenoptera musculus」。
    哺乳(ほにゅう)綱鯨偶蹄目ナガスクジラ科ナガスクジラ属に属するヒゲクジラの一種。
    体長35mの測定記録がある現存する世界最大の動物である。
    長須とは長身の意味で、水面に浮かび上がる際に水上からは白く見えることからこの和名がある
    (江戸時代には「長須鯨」とだけ呼ばれて、ナガスクジラとは区別されていなかった)。
    英語では腹側に付着した珪藻によって黄色味を帯びて見えることから「sulphur bottom」 )とも呼ばれる。
    紡錘形で、背びれは比較的小さい。全身灰青色で、淡色斑(はん)が多数点在する。
    水面に浮かび上がる際に水上からは白くみえるのでこの和名がある。畝(うね)は下あごから
    へそまで達し、黒色の三角形のくじらひげ板が口蓋(こうがい)に片側約230枚生える。
    舌はゾウを乗せて運べるほど大きく、動脈は小柄な成人がすっぽりおさまるほど太い。
    その大口径の動脈に血液を送る心臓は、およそ10秒に1回、重厚な鼓動を打つ。
    
    シロナガスクジラ
    
    水中のシロナガスクジラ(ナショナルジオグラフィックより )
    南極海・太平洋・大西洋北部などの海洋に広く分布し、南半球ではパックアイス(浮氷群)域まで
    分布するが、付属海には入らず、北太平洋ではベーリング海やオホーツク海に入る例はまれである。
    夏は高緯度海域に、冬は低緯度海域に大きな季節移動を繰り返す。オキアミ類を好んで食べる。
    出生時は7m、2.5トンで、南半球産の系統は平均26m、110トンにまで成長する。
    シロナガスクジラは泳ぐスピードが非常に速いうえ、陸から遠くて冷たい南極海を
    主な生息域としていたこともあって、20世紀初頭まで人類の脅威をほとんど受けずに暮らしていた。
     だが、爆薬を仕込んだ銛や船足の速い蒸気船などが発明されると捕鯨の対象となり、
    1900年から1960年までに36万頭が殺された。南大西洋に位置するサウ ス・ジョージア島付近にいた
    個体群も、日本の沿岸を餌場としていた個体群も全滅し、シロナガスクジラは絶滅の淵に追い込まれた。
    近代捕鯨時代に入ってからの主対象種であり、乱獲の結果資源が減少し、
    1966(昭和41)年から国際捕鯨条約により全世界で捕獲禁止されている。
    世界の海洋にピグミーシロナガスクジラという亜種を含めて約1万頭が生息していると推定される。
    
    国立科学博物館の外に展示されている実物大のシロナガスクジラのモニュメント(2009.8.3撮影)
背美鯨(right whale、black right whale)せみくじら : 学名は「Eubalaena glacialis」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目セミクジラ科のヒゲクジラの一種。体長14〜18mであるが肥満型で、
    体重は100トンに近いものもある。北大西洋と北太平洋の温暖な海に分布するが、生息数が減少した。
    南半球にいるものは、本種の亜種または別種と思われる。
    全身黒色で腹部に白斑(はくはん)のあるものが多い。頭部は大きく、体長の約4分の1を占めている。
    背びれはなく、畝(うね)もない。吻(ふん)の上面と下顎(かがく)の縁に、
    表皮の変形してできた角質の隆起物が散在する。そのうち吻端付近のものをボンネットという。
    口の中には片側に250枚内外の長いくじらひげがあり、これで浮遊性のカラヌスを漉(こ)して食べる。
    
    
    
    水面のセミククジラ(ナショナルジオグラフィックより )
    19世紀には全世界の温暖な海洋において捕鯨帆船で多獲され、日本では江戸時代に、
    南は三重県から高知県まで、日本海側では山口県から長崎県にかけて、網取式捕鯨で捕獲された。
    現在は国際捕鯨条約により捕獲が禁止されている。
槌鯨(Baird’s beakrd whale)つちくじら : 学名は「Berardius bairdi」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目アカボウクジラ科のハクジラの一種。
    歯鯨の中ではマッコウ鯨に次いで体長は大きく6〜12mある。
    頭部は丸く、吻(ふん)が棒状に伸びて、頭の形が木槌(きづち)に似ている。
    下顎(かがく)先端部に2対のおむすび状の歯があり、ほかの歯は退化している。
    体の前から3分の2の位置に直角三角形の背びれがある。全身濃い灰色で、
    成熟した雄は頭背部に闘争による歯形がつき、その部分は淡色となる。
    
    ツチクジラ
    イカ類を主として、魚類その他の底生動物を食べる。北太平洋の特産で中・高緯度の近海域に分布する。
    これに対し、近似種は南半球海域に分布する。数頭から30頭の群れをつくって生活し、
    1000mの深海にまで、80分間も潜水できる。日本では17世紀から捕獲され、
    千葉県南部ではこの鯨(げい)種の肉の塩干し品が「たれ」と称して好んで食べられる。
長須鯨(fin whale)ながすくじら : 長簀鯨。ノソ。学名は「Balaenoptera physalus」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ナガスクジラ科のヒゲクジラの一種。
    鯨(げい)類のなかでシロナガスクジラに次いで大きく約20mで、26.8mの体長測定記録がある。
    雄は雌よりやや小さく、遊泳中、鎌形のひれが高く突き出て見えるのが特徴である。体は紡錘形で、
    鎌(かま)形の背びれがあり、腹側に下顎(かがく)からへそまで約60本の畝(うね)が並んでいる。
    くじらひげは口蓋(こうがい)の両側に、片側約400枚ずつ生え、灰緑色で、右側前部は白黄色である。
    背部は黒色、腹部は白色であるが、左右不相称で腹面前半には多数の黒条が体と平行に走る。
    肛門(こうもん)部と胸びれ部に特徴的な黒条がみられる。
    
    ナガスクジラ
    
    大阪市東住吉区の長居植物園に展示のナガスクジラの骨格標本(2011.4.7撮影)
    1990年4月8日、堺泉北港に流れついた死体を、7年かかって骨格標本にしたもの。
    この骨格は全長19mあり、日本近海で採集され展示されているクジラ類では、最大の標本である。

    
    同上、右側
    世界の海に広く分布し、地中海や日本海などの付属海にも生息しており、
    群れをなして遊泳するが、かつての乱獲によって生息数は減少した。
    夏は高緯度海域で索餌(さくじ)し、冬には中・低緯度海域で繁殖する。
    動物プランクトンのオキアミ類や橈脚(とうきゃく)類を餌(えさ)にするが、群集性魚類やイカも食べる。
    本種は多くの系統群に分かれるが、近代捕鯨の開発初期の資源量としては、南半球に40万頭、
    北太平洋に5万頭、北大西洋に4万頭が存在していたと推定される。
    近代捕鯨の主対象種で、資源はそれによって減少したため、捕獲を禁止して回復が図られている。
似鯨(Bryde’s whale)にたりくじら : 学名は「Balaenoptera edeni」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ナガスクジラ科のヒゲクジラの一種で、
    外見上イワシクジラに似ているが、下あごから腹部にある畝の数と長さがナガス鯨に似ていることから
    ニタリクジラと命名された。暖海性のクジラで、北緯40度と南緯40度の間の、
    水温20℃以上の海に広く分布し、カタクチイワシ、プランクトンを餌としている。
    イワシクジラの近縁種であるが、吻(ふん)の上面の左右両側に
    吻端から鼻孔付近にかけて各1条の隆起線があること、畝(うね)が長く先端がへそに達していること、
    くじらひげが短くて幅が広いこと、ひげ毛が太いことなどで、外形的に区別される。
    体長もイワシクジラよりやや小さく、最大14mぐらいである。
    
    ニタリクジラ
    ニタリクジラはかつて南アフリカ沿岸にだけ生息するとされていたが、第二次世界大戦後、
    小笠原(おがさわら)諸島周辺で発見され、北太平洋にも広く分布することが判明した。
    国際捕鯨委員会は1970(昭和45)年に捕鯨条約の付表を修正して、
    本種とイワシクジラを別種として扱うこととした。南アフリカ沿岸では沿岸型と遠洋型の2つの型があり、
    外形的にも生態的にも、若干の差が認められている。
捕鯨(whale fishinf)ほげい : くじらとり。いさなとり。(くじら)を捕獲すること。
    いわゆるイルカを対象とするものも含む。主に鯨肉や鯨油採取目的で行われていた。
    捕鯨の歴史は有史以前にまでさかのぼることが出来るが、
    近代になってからの捕鯨は欧米では鯨油を取るためだけに行なわれ、
    極めて一部の国(アイスランド、日本など)でのみ、食用として行なわれていたという特徴がある。
    現在は国際捕鯨委員会(IWC) 「加盟88カ国」はクジラの保護のため、1982(昭和57)年に
    商業目的の捕鯨の一時禁止を決めた。管理対象の13種類の大型鯨類については
    日本・ノルウェー・アイスランドと「原住民生存捕鯨枠」による
    アメリカ・ロシア・デンマーク(グリーンランド)の北極圏先住民族が継続している。
    国際捕鯨委員会「非加盟国」においては、管理対象種の捕鯨はフィリピン・インドネシアが継続しており、
    カナダは先住民の申請があった時に行っている。その他、国際捕鯨委員会の「管理対象外」の71種類の
    いわゆるイルカなどの比較的小型の鯨類については、各国の自主的な水産資源管理の範囲としていて、
    その詳細(捕鯨を行っている国や捕獲数量など)は把握されていない。
    日本は1988(昭和63)年4月から商業捕鯨を中止している。[季語]冬−生活。
    商業捕鯨(Commercial Whaling)しょうぎょうほげい
     クジラを捕獲・利用する産業は10世紀に確立した。商業捕鯨はその漁法により、
     @手投げ銛を使って仕留めて陸上で処理をする古代捕鯨(オランダ捕鯨)、
     A銛を使って仕留めた後に船上で油を絞るアメリカ式捕鯨、
     B大砲を使って銛を打ち込む近代捕鯨(ノルウェー捕鯨)、の3つに分類できる。
     当初の捕鯨産業の主な生産物は、灯油やろうそくとして利用する鯨油と、
     コルセットやペチコートの材料として利用するクジラひげであった。
     セミクジラは泳ぎが遅いうえ、脂皮が厚いために死んでも海面に浮かぶなど、
     技術が未熟な初期の捕鯨には、うってつけのクジラだったための乱獲による激減で、
     1937(昭和12)年から全世界で捕鯨禁止となっている。
     ヨーロッパ近海のセミクジラはほぼ絶滅状態であり、いまだ復活の兆しはみられない。
     日本では、1945(昭和20)年、国際捕鯨協定の全面的遵守と、捕獲したクジラを最大限食糧として
     国民への供給を条件に、マッカーサー・ライン(戦後、日本の漁船が操業できる海域を規制した線)
     内での捕鯨が許可され、その後、捕鯨産業は活発になっていった。
     しかし、1982(昭和57)年に国際捕鯨委員会(IWC)の年次会議で、
     1986(昭和61)年以後の商業捕鯨一時停止(モラトリアム)が採択されたため、
     1988(昭和63)年4月以降はIWC規制対象外の沿岸小型捕鯨を除き、
     日本の商業捕鯨は行われていない。したがって、1962(昭和37)年に22万6千トンあった
     鯨肉の国内生産量は、ここ数年5千トン前後で推移している。
    調査捕鯨(Scientific Whaling)ちょうさほげい
     商業用でなく、生息数・分布状態などを調査し科学的研究に役立てるための捕鯨のこと。
     IWCは1982(昭和57)年、乱獲によるクジラの減少をうけて1986(昭和61)年からの
     商業捕鯨のモラトリアム(一時中止)を決めた。
     現在、まとまった数の捕鯨を行っている国は、日本とノルウェーだけで、
     ノルウェーの場合には、IWCの商業捕鯨モラトリアム決定に意義を申し立て続け、
     商業捕鯨がいっこうに再開にならないのに憤慨し、
     ついに1993(平成5)年から自国の沖合いでミンククジラの商業捕鯨を再開している。
     日本は1986(昭和61)年から商業捕鯨一時停止(モラトリアム)に従い商業捕鯨を凍結していたが、
     捕鯨再開に向けた調査を目的に、翌1987年から南極海でミンククジラの捕鯨を開始し、
     1994年から北西太平洋でも捕鯨を始めた。調査捕鯨は国際条約で認められているが、
     規模や方法は加盟国が独自に決められることから、
     捕鯨反対の国や団体はクジラが回復できないほど減る恐れがあると中止を求めている。
     最近では南極海と北西太平洋の日本近海を合わせ、資源の豊富なミンククジラ、ニタリクジラ、
     マッコウクジラだけの540頭を捕獲している。2007年11月18日に下関港から南極海に向かった
     調査捕鯨船は、2008年春までに850頭のミンククジラのほか、
     ナガスクジラ、ザトウクジラ各50頭を加えた約千頭の捕獲を予定している。
     しかし、愛好家の反発でザトウクジラの捕獲は中止した。
     2009年は北西太平洋も含めて年間に1300頭をとる計画を持ち、
     鯨肉は売却されて調査費用に充てられている。この捕鯨は資源量の管理を目的にしたものであり、
     捕獲もあらかじめ立てられた調査計画に沿って行われている。
     また、さまざまな生物学的情報を得るという目的もあることから調査捕鯨と呼ぶ所以である。
     商業捕鯨と違い、調査捕鯨においては母集団から地理的、生物学的(性別、年齢など)に
     片寄りのないサンプリングをするのが大事なため、船団のコースは数学的に決められ、
     鯨の群れを発見した際には乱数表を用いてどの鯨を捕獲するのかが決められる。
     また、鯨の体から採取されるサンプルの項目も多岐にわたる。
     
     目視採集船:キャッチャーボート「第二勇新丸」(747トン)
     
     調査母船「 日新丸」(7575トン)
     水産庁では、捕鯨でなく調査であるという観点から、調査捕鯨という言葉は使わずに
     「鯨類捕獲調査」と呼んでいる。しかし、捕獲した後の鯨肉が市場に供給されるなど曖昧な点が
     あるのも事実で、反捕鯨団体からは事実上の商業捕鯨ではないかと強い批判を浴びている。
     このほか、わが国の沿岸では、ツチクジラやコビレゴンドウなどが、古くから断続的に捕獲されている。
     これらのクジラはIWCの管理外の種であるために、規制に触れることはない。
     イルカの追い込みや突きん棒漁なども古くから伝わる伝統漁業で、水産庁の管理のもとに
     行われており、科学的な調査によって捕獲枠が決められている。最近では保護団体などの
     反対のためにだいぶ少なくなったが、それでも現在いくつかの地域で行われている。
      実際に調査船を運航するのは民間会社で、鯨肉や皮などに加工し、
     調査費に充てるため市中で販売している。「調査の名を借りた商業捕鯨(ニュージーランド)」
     との批判がある一方、捕獲量は当初の4倍に増えているのに価格が高く、
     消費が伸び悩んでいる実態もある。調査費用54億円の1割は国の補助金で、
     9割は鯨肉の販売収入で賄われている。
     調査捕鯨には国の予算が毎年5億円も拠出されているし、調査後、
     鯨研などが捕獲した鯨の肉を各地の卸売市場を通じて販売、収益を調査費に充てていることから
     「形を変えた商業捕鯨だ」との批判がある。このような批判もあることだし、
     調査だけなら数10頭のサンプルで十分だと思うので、何百頭も捕獲する必要はないし、
     約65億円の収益があるのなら国からの援助も必要ないでしょう。
     水産庁は鯨肉を売るために学校給食などに活路を目指しているそうだが、
     昔のように安く販売すれば完売できるでしょう。
     調査という名目で収益を求めるから他国から批判されるのだ。

     参 : 日本捕鯨協会(HP)、財団法人日本鯨類研究所(HP)

    日本の調査捕鯨船に米環境団体の船が衝突
     水産庁によると、ニュージーランド南方の南極海で2007年2月12日、
     調査捕鯨を行っている日本鯨類研究所の海幸丸(860・25トン)と
     米環境保護団体シー・シェパードの船が衝突、双方の船の一部が損傷した。けが人はなかった。
     水産庁は、シー・シェパードの船がぶつかってきたとしている。
     2月9日にもシー・シェパードの船2隻が日本鯨類研究所の船団の調査母船、日新丸に接近、
     化学物質の液体入りの瓶を投げるなどし、日新丸の乗組員2人が軽傷を負った。
     参 : [YouTube](シー・シェパードのテロ行為)、[YouTube](テキサス親父)
    不明乗組員、遺体で発見 日新丸、火災は完全鎮火
     2007年2月15日未明にニュージーランド南方にある南極海のロス海で
     航行中に火災を起こした日本鯨類研究所の調査捕鯨母船、日新丸(8、030トン)で
     行方不明になっていた牧田和孝さん(27)=鹿児島県川辺町=が17日午前、
     火元とみられる船内の鯨肉加工工場で遺体で見つかった。日新丸を所有する共同船舶(東京)が
     明らかにした。火災は同日午後、工場での消火活動が終了し完全に鎮火した。
     調査捕鯨に反対する国際環境保護団体グリーンピースの抗議船がえい航を申し出たが、
     鯨類研究所側は断ったという。日新丸は2006年11月に下関港を出発。
     南極海でミンククジラ約850頭、ナガスクジラ10頭を捕獲する予定だった。
    南極海の調査捕鯨中止=火災で調査機材損傷−水産庁
     水産庁は2007年2月28日、南極海で実施していた調査捕鯨活動を中止すると発表した。
     調査船団の母船、日新丸で火災が起き、調査機材がすすや消火用の海水で損傷し、
     使用できなくなったため。日本の調査捕鯨は1987(昭和62)年に始まったが、中止は初めてとなる。
     日新丸は火災発生の6日前、捕鯨に反対する米国の環境保護団体「シー・シェパード」から
     海上で妨害行為を受けた。海上保安庁が出火原因を特定し、妨害行為との因果関係も調査する。
    火災発生の前に米国の環境保護団体「シー・シェパード」のメンバーが
    日新丸に酸化物を投げ入れるなどしていて、今回の火災は放火ではないと見られているが、
    ニュースでも見たが、煙や火の出る物を投げ込むだけで器物損壊罪になると思うし、
    火災により日新丸乗組員が亡くなられていることから、徹底的に調査し、
    シー・シェパードの投げ込んだ酸化物などが火災の原因だったら、殺人罪で提訴すべきである。
    原住民が平和に暮らしていたアメリカ大陸へ乗り込んできて、
    インディアンの虐殺やバッファローなどの哺乳類をゲーム感覚で殺し、絶滅寸前まで追い込みながら、
    大昔から捕鯨を行っていた日本に、鯨を殺すなという資格がアメリカ人にあるのだろうか。
    アメリカでは鯨と同じ哺乳類の牛や豚などは大量に消費しているではありませんか。
    なぜ牛や豚は良くて鯨はいけないのだ。それも調査捕鯨の下に数を制限しているのである。
    イヌイットにはカリブーやアザラシなどの海獣の捕獲を許しているが、
    日本も昔から捕鯨を行い鯨肉を貴重なタンパク源にしてきたのである。
    地球温暖化の原因となる温室効果ガスを多量に排出しているアメリカが、
    温暖化防止の国際的な協定である「京都議定書」にいまだに批准しないように、
    自国は何をしてもよく、他国には規制や妨害をする国民性が、「シー・シェパード」のような
    環境保護を隠れ蓑に、過激な行動を起こす団体が生まれてくるのだと思う。

    調査捕鯨妨害許せぬ行為だ
    (朝日新聞2008.3.11「声」より、山口県周南市在住の木原 陽一郎さん(61歳)の投稿文紹介)
     7日、南極海で調査捕鯨をしている調査母船「日新丸」が、
    米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」に、また襲撃された。今年に入って4回目の妨害活動という。
    3日には薬品が入った袋や瓶を投げ込まれ3人がケガをしたばかりだ。
     今回は、海上保安官の警告を無視し、薬品入りの瓶などを投げ込んでおきながら、
    捕鯨船側が初めて使用した警告弾をとらえ「銃撃を受けた」と宣伝している。
     「シー・シェパード」の燃料補給などのための寄港を許可している豪州政府は、
    日本の捕鯨に反対の立場だ。ギャレット環境相は、日本の調査捕鯨を「科学的な調査の名の下で、
    鯨を無差別に殺している」と非難した。それでは今回の一連の襲撃は
    「環境保護の名の下に行った危険行動もしくは破壊活動」ではなかったのかと問い返したい。
     農林水産省や外務省は、日本の調査捕鯨の必要性や妨害活動の実態を、
    映像やデータを使って、後手に回ることがないように、国際捕鯨委員会や各国にもっと強く訴えてほしい。
北極鯨(bowhead)ほっきょくくじら : 学名は「Balaena mysticetus」。
    「グリーンランド鯨」とも呼ばれ、哺乳(ほにゅう)綱クジラ目セミクジラ科のヒゲクジラの一種である。
    体長は15〜16mで、頭部は体長の3分の1を占め、上顎(じょうがく)は弓状に湾曲する。
    セミクジラに似ているが、頭部にボンネットやいぼ状隆起はない。
    全身黒色であり、下顎前部は白く、尾部の後部が白い個体も多く存在する。
    ヒゲは左右各300〜400枚あり、上あごから下に垂れている。
    ヒゲ鯨中で最も品質がよく、ヒゲも弾力に富んでいる。
    
    ホッキョククジラ
    北緯55〜78度の北極海とその近くの氷海でのみ生活し、
    オキアミ類と動物プランクトンの橈脚(とうきゃく)類を餌料(じりょう)としている。
    古代捕鯨とアメリカ式捕鯨により資源は極端に減少したが、ベーリング海系群は現在7500頭が存在し、
    アメリカとロシアの先住民族が、「先住民生存捕鯨」の名で捕獲を許されている。
抹香鯨(sperm whale)まっこうくじら : 学名は「Physeter macrocephalus」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マッコウクジラ科のハクジラの一種。ハクジラ類のなかの最大種で、
    南氷洋に生息するものは15〜18mで雌は雄より小さいが、雄には20mの体長記録がある。
    潜水艦のような外形で、成長すると雄の頭部は体長の3分の1に達する。
    潮吹きの形が前方に傾いているのが特徴である。
    下顎(かがく)は細長く、片側18〜28本の犬歯状の歯が並ぶ。
    上顎歯は退化し、多くは歯肉に埋没している。背びれは山形をなし、その後ろに数個の隆起が連なる。
    全身黒色で、へその部分に白斑(はくはん)のある個体がみられる。
    この体色が抹香の灰色に近いのが名の由来である。
    成熟した雄の頭部から背部にかけて闘争の際に負った歯形の白条が多数みられる。
    
    マッコウクジラ
    
    マッコウクジラに波紋を映し出す日光(ナショナルジオグラフィックより )
    世界中の比較的暖かい海にすみ、生息分布は南緯50度と北緯50度の間とされている。
    黒潮に乗って日本近海にも現れが、浅海には入らない。まれには集団で座礁することがある。
    成熟した雄は高緯度にまで分布するが、雌と子は暖水塊にとどまる。
    イカ類と底生魚類を餌料(じりょう)とする。大形の雄は3000mの深海に90分間も潜水することができる。
    一夫多妻の生殖生態を有し、性的二型が著しい。雌と子は20〜30頭の群れをつくって生活し、
    繁殖期に闘争に勝った雄がその群れに加わり、ハレムを形成する。
    妊娠期間は15カ月で、2年間哺乳し、その後も子は群れが育てる。
    アメリカ式捕鯨時代から捕鯨の対象となったが、1986(昭和61)年以来、
    国際捕鯨委員会(IWC)によって捕獲を禁止されている。資源量は現在でも豊富で、絶滅のおそれはない。
    なお、アンバーグリス(竜涎香(りゅうぜんこう))は、
    本種の直腸からまれに発見される高価な香料の原料である。
ミンク鯨(minke whale) : 学名は「Balaenoptera acutorostrata」。
    哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科のヒゲクジラの一種である。
    小鰯鯨(こいわしくじら)ともよばれたが、小さいイワシクジラと誤解されやすいので、
    近年ではこの名はほとんど使われない。平均体長8.5mで、ヒゲ鯨中最も小さく、
    ずんぐりした身体に細長い胸びれをもち、くちばしがとがっている。
    背側が黒く、腹側が白いが、中間に特徴ある模様がみられる。胸びれに白帯があるが、
    南半球産の近縁種クロミンククジラ(B.bonaerensis)ではそれが明瞭(めいりょう)でない。
    くじらひげは黄白色で、クロミンククジラでは外側に黒帯がみられる。出生体長は2.7mで、
    成体の平均体長は系統と性によって差があるが、8〜9mであり、その体重は約6トンである。
    
    ミンククジラ
    氷海から熱帯の海まで広く分布し、オホーツク海、北太平洋、カムチャッカ半島はじめ南氷洋にも生息し、
    小さな付属海にもこの種がみられる。クロミンククジラは南極ではパックアイス(流氷)の中にも侵入する。
    オキアミ類を主食とし、群集性小魚類も好んで食べる。
    ほかの鯨は2年に1回出産するのに対し、ミンク鯨は1年か1年半に1回出産する。
    古くから世界の捕鯨の対象となっていたが、
    1986(昭和61)以来国際捕鯨委員会(IWC)によって商業捕鯨による捕獲が禁止されている。
    資源量は豊富で、クロミンククジラだけでも76万頭以上が生息する。
    ミンククジラは北太平洋で3万2000頭、北大西洋で20万頭が生息する。
ミンククジラの生息数 : 1990年代に推定された世界に生息するミンククジラの頭数は93万5,000頭で、
    この数はIWC(国際捕鯨委員会)で合意されている。
    現在、すべての種類のクジラが絶滅の危機に瀕しているわけではなく、
    約80種類いるクジラ類のうち13種が国際的に管理されているが、
    1982年にそのすべてについての商業捕鯨の一時停止が決められてから、多くの種類で増えている。
    とりわけ、ミンククジラは、100年前の約10倍に増えているものと推定されている。
    我が国では、商業捕鯨ができない現在でも、
    捕獲調査による副産物などとして年間約4,500トンのクジラが供給されているが、
    これは商業捕鯨がピークだった昭和37年(約23万トン)の約2%にすぎない。
    クジラを食べる習慣については、欧米の一部の国などが感情的な理由などから反対している。しかし、
    食習慣・食文化は、それぞれの地域のおかれた環境によって歴史的に形成されてきたものであり、
    お互いの伝統・文化を尊重することが必要です。
    クジラ問題は、食習慣・食文化の問題にとどまらず、クジラは、サンマやイワシなど
    人間が獲っている魚の3〜5倍(年間約2億8,000万〜5億トン)も食べていると推定されている。
    つまり、クジラのみを一方的に保護することにより、海洋生態系が壊れてしまうのです。
    世界の人口が爆発的に増えても食糧危機が起こらないよう、クジラや魚については、
    資源量のバランスを保ちながら、持続的に利用していくことが重要です。
    IWCの年次総会でも、我が国の立場を主張し、
    科学的事実に基づいたクジラの資源管理制度を確立したうえで捕鯨を再開することを目指している。
    参 : 水産資源の持続的利用を考えるページ(水産庁HP)














































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