YSミニ辞典(松の関連)
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五葉松(Japanese white pine)ごようまつ : 学名は「Pinus parviflora」。
山地に自生するマツ科の常緑高木。枝は水平に出て、針状の葉が5枚ずつ束につく。
5月頃、新枝下部に雄花を、先端に雌花をつけ、球果(松かさ)は卵状長楕円形。
樹皮は暗褐色。庭園木、盆栽に用いられ、最も盆栽に適した樹種とされている。
とくに愛媛県の石鎚山の五葉松は、非常に珍重されている。東日本ではヒメコマツ(姫小松)ともよぶ。
福岡市の東公園そばの日蓮聖人銅像護持教会(身延山福岡別院)の境内にある五葉の松
東寺の庭園にある五葉の松
参 : [
YouTube](五葉松の剪定)
松(a pine) : @学名は「Pinus」。マツ科マツ属の常緑針葉樹の一種で、日本に広く分布している。
日本でマツといった場合、クロマツ、アカマツを指すことが多い。
また日本でマツを名前に含む樹種にはカラマツ等マツ属でないものもある。
北アフリカ、西インドならびにマレーシア以北の北半球に広く分布し、約115種が知られる。
とくに北アメリカに種類が多い。ハイマツなどを除き、多くは高木となる。雌雄同株。
いずれも短枝の上に葉が2本、3本および5本束生する。まれに1本、4本のものがある。
特に、アカマツ、クロマツ、ゴヨウマツ、ハイマツなどマツ属の植物をさす。
ほかにエゾマツ、カラマツ、スプルース、紅松
(べにまつ)、ツガ、ベイモミ、トドマツ、モミ、北洋唐松、
ヘムロックなど多くの種類がある。松は、強度は大きいが、ヤニが多いと言う特徴がある。
球果は「松かさ」と呼ばれる。建材、器具材、造作材、家具材、建具材、パルプ材、電柱、
薪炭、盆栽、庭木、バイオリンなど用途は広い。
松脂(
まつやに)は様々な分野に利用される。松の葉は針状であり、幹には堅い殻が形成される。
古来、日本では、神のよる神聖な木、節操・長寿を象徴する木と尊ばれ、
門松の風習があり、また松竹梅の筆頭とされる。
都内では最大級の黒松「浜離宮の三百年の松」(20104.9撮影)
松の花 : 松の木の花。新しい枝の頂部に2〜3個の雌花が、
その下方に多くの雄花がついて花粉を散らす。[
季語]春−植物。
松の花(フォト蔵より)
薬用としての松 : 松は中国では仙人が不老長寿のために常食していたといわれ、
仙人の食べ物とされていた。そのため、常に緑でその姿に独特の味わいがあり、
樹木の王といった風格がある。それだけにカロリーも、その他の栄養価も高いのが特徴である。
とくに脂質は60%を超えているが、体内では作ることのできない必須脂肪酸が多く、
その中でもリノール酸が半分近くを占めるため、質のよい食品であるのは見逃せない。
ビタミンB1は木の実類の中ではトップクラス。このB1は水溶性のため、調理による損失が大きいほか、
体内で蓄積されないので、必要量1日成人男子1.0mg、女子0.8mgの摂取に気をつけたい。
★
松葉 : 針状であり、幹には堅い殻が形成される。薬用には主に赤松の葉が利用され、
葉緑素、ビタミンC、松脂が含まれている。胃腸病には松葉を煎じて飲むか、
生のままで1〜2本ずつ、よく噛んで汁を飲み、かすを出す。
また、冷え性、美肌には松葉湯が有効で、2センチ位にきざんだ松葉を布袋に入れて、
浴用剤として風呂に利用する。このほか乗り物酔いには、生の松葉を乗る前に噛むと、
葉緑素の効果で鎮静作用がある。動悸、息切れには青い松葉を20本ほど細かく刻み、
朝鮮人参を2g加えて煮詰めて服用すれば、心筋を賦活する。
松葉酒 : 高血圧、不眠、食欲不振、ぜんそく、リウマチなどに効果がある。
松葉酒の作り方 : 密封可能な消毒したビン容器を準備→よく洗った赤松の新芽400gと
砂糖300g(砂糖のほかハチミツをカップ2分の1入れてもよい)を入れ、
果実酒用のアルコール35%の焼酎1.8リットルを注ぎ、軽く栓をする
(固く栓をすると発酵したガスの勢いで栓が吹き上げられることがある)→
5日毎に瓶をゆすり混ぜ、フタをとりガス抜きをする→
これを冷暗所に1カ月以上置いておき、気泡が出終わったら飲みごろとなるが、
6カ月ぐらい熟成させた方がよい。松葉は3〜4カ月後に引き上げる。
(砂糖は100〜600gまで好みに応じて入れる。熟成に時間がかかるようなら砂糖を増量する)
これを高血圧の人は盃に1〜2杯を1日2回、不眠症は寝る前に1〜2杯飲むと効果的である。
松葉と松笠(癒し憩い画像データベースより)
★
松の実 : 松ぼっくり
(まつぼっくり)もしくは松笠
(まつかさ)の間にある球状の種(果実)のことで、
この種により松は繁殖することができる。黒松や赤松のものは実が小さく、食用に適さないことから、
中部地方の山間に自生する食用松の実である朝鮮五葉松の種子を用いる。
朝鮮五葉松は木の高さが30mにもなる高木で葉が五葉、中国、韓国、シベリアの一部に自生し、
松かさは長さが10〜15cmにもなり中には硬い殻で覆われた白っぽい実が入っている。
松の実は、脂肪、たんぱく質、食物繊維、鉄、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンEを豊富に含んでいる。
松の実を生で食べると、不老長寿、滋養強壮、がん予防に効果があるとされ、
十二腸虫を駆除するといわれる。
松ぼっくり(みすま工房HP)
大小の松笠を利用したクリスマスツリー
★
松脂(まつやに) : 松を傷つけると松脂が取れるが、時を経ると固まって琥珀
(こはく)になる。
松脂の中にはテンペル、セキステルペンという成分が含まれ、血中のコレステロールを低下させ、
腎臓の働きを促し、胃炎や胃かいようにも効果があり、現在も医療用として使用されている。
また、強壮、強心、咳止め、神経痛、リウマチに効き目があるといわれている。
外用薬として、アカギレ、肩凝りにも効能があり、松の成分に末梢血管拡張作用があり、
風邪、高血圧、強精に有効とされる。歯痛には、痛い部分のかみ合わせにこれを詰めるとよい。
松脂が自らの傷を覆って治す力があることは古来より知られているが、
大腸菌や緑膿
(りょくのう)菌、黄色ブドウ球菌などを抑える働きがあることが分かっている。
2000年前の中国最古の薬物書「神農本草経」にも不老長生の薬として分類されているほどである。
参 : [
YouTube](松の剪定:ハサミ仕上げ)
木材としての松 →
マツ(
木材に別掲)
蝦夷松(えぞまつ) : マツ科トウヒ属の針葉樹で、北海道〜南千島、樺太、朝鮮半島、中国東部、
シベリアにかけて分布している。建築用の板類をはじめとして挽き割・挽き角類、造作材、
建具材、集成材、さらに家具や楽器材としても幅広く用いられている。
ちなみに中国東部〜シベリアから輸入されるエゾマツを「北洋エゾマツ」と呼ぶことがある。
から松 : マツ科カラマツ属の落葉針葉高樹で、高さ30m、直径30cmほどに育つ。
根曳の松(ねびきのまつ) : 京の都で平安時代末期から鎌倉時代にかけて
根をつけたままの若松を和紙で包み、紅白の水引で結び、玄関などの柱につけて、
歳神様
(としがみさま)のよりどころとして、行く末の発展を祈念した、
今では正月に使われている「門松」の原型である。
築地松(ついじまつ) : 民家の北西に防風林として植えられている黒松のこと。
見越しの松(みこしのまつ) : 庭に植える松の様式のことで、塀際に植えた松の
下枝から2番目の枝を壁の外側にわざわざ出すという植え方や枝づくりの方法のことをいう。
壁に囲まれた屋敷の中では、世の中の動向を見失うことがある。その事を松に託して、
壁の外を歩く人々の動きや流行現象、人々の噂や不平不満など、世の中のさまざまな動向に
常に注意をしておくようにという教訓を、庭に植える松の木を通じて教えようとしたものである。
根上り松(ねあがりまつ) : 「値上り待つ」という言葉に掛けたもので、値上りとは、
自分の価値を上げるということをさしている。松は、浅根性という性質をもった陽木に分類されるが、
浅根性の木は、根が地面からむき出しになったような状態のときに勢いがよく、
逆に、根が地面の下に隠れているような状態のときには樹勢は低下していく。
松を枯らすようでは、家や商売を絶やしてしまうおそれがあって、
自然や人の節理を知っていれば、生き物をダメにすることはなく、それが繁栄を続けるもとになる。
そうしてだんだんと人の価値が上がっていくものだということを根上り松は教えている。
なめら松 : 山口県最大の国有林である滑国有林から出材される、樹齢200年生の目込みの
天然アカマツのこと。「滑
(なめら)」という名前の由来は、昔そのあたりの山で滑石
(かっせき)が
取れたことから、滑山の名がつき、そこから「なめら松」の名前がついたという。
東大寺の改修や1964(昭和39)年の
錦帯橋の改修などにも使われたほどの銘木である。
今でも滑官林にはモミやツガとともに、なめら松も残っているが出材されることは稀で、
もはや一般に流通する量は望むべくもなく、幻の銘木となってしまった。
A門松 =
門松(別掲)
B家紋の一つ。松の幹・枝・葉・実を図案化したもの。
Cたいまつ。(例)御さきのたいまつほのかにて/源氏(夕顔)。
D遊女の階級で「松の位
(くらい)」、すなわち太夫
(たゆう)。
(例)「抱
(かか)への―あり/浄瑠璃・寿の門松。
E〔女房詞〕マツタケ。[御湯殿上(文明九)]
松の剪定(まつのせんてい)
最初、少しずつ、はさみを入れ葉を落とし、松の枝ぶりが解かるように丁寧に作業を行う。
春先(5月〜6月)に行う剪定は「ミドリ摘み(芽摘み)」といい、伸びた新芽を摘む作業である。
松の新芽が伸びてきて松葉が2cm位になり緑色がはっきり分かるようになった頃が適期で、
その年の新芽は指かハサミで全て取り除く。
次に今ある去年出た枝のうち必要でない枝をよく見極め、半分くらいに減らす。
一番上の枝から順に切り落としていくが、この時にそれぞれの枝の大きさ、
バランスをよく見極めるのが大切である。最後に去年に出た松葉を半分程度に切る。
こうしておくと秋の剪定「古葉のもみあげ」」が楽になる。
11月頃になると、枝の下の古い葉を手でしごく剪定、「もみあげ」の季節になる。
松は、日当りを好む常緑樹である。この「もみあげ」は、古葉をしごき取ることで、
下の枝に日を差し込みやすくするために行う大事な剪定作業になる。
参 :
植木、[
YouTube](マツ剪定:ハサミ仕上げ)
松の剪定は年2回が基本だが、私は5月頃のミドリ摘みと7月頃の古葉を半分残す弱剪定、
12月の古葉をほとんど落とす強剪定の3回行う。
無人となった隣の家の松がはびこって下葉が枯れてきたので剪定することにした。
一番上の枝と2番目の枝の左半分の剪定が終わったところ(2011.7.13撮影)
3年前までは門かぶり以下を私が剪定していたが、私が70歳を過ぎて怪我が心配だと
昨年85歳で亡くなられたご主人が2年前からシルバーに依頼されていた。
多分、他の数本の松と庭木の剪定がきつくなったからでしょう。
この位の松でも、朝の5時過ぎからの3時間、夕方の2〜3時間ほどの剪定で10日かかった。
7月に入っての剪定は新芽が短くなってきれいに整枝できるが、芽を摘み取ってしまうと
その枝は枯れることが多いので、気を使う分5〜6月の剪定の倍以上の時間がかかる。
私は剪定ばさみは使わず、松葉1本でも摘みとれる植木ばさみのみを用いている。
剪定が終了した松(2011.7.30撮影)
敷地内からの撮影
同上。剪定終了時。前の家の塗装が始まり、ガレージが白に変わった