YSミニ辞典(り)

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りんご(an apple) : 林檎。
    @古く中国から渡来し、西欧系のリンゴの普及以前に栽培された果樹。和林檎(わりんご) 。地林檎。
    Aバラ科の落葉高木。黒海とカスピ海にはさまれたチェチェン共和国を含む
     コーカサス地方で古くから果樹として栽培され、日本には明治初期にアメリカより苗木が輸入された。
     花が咲くと、摘花(てきばな)→摘果(てきか)→葉摘み(はつみ)→玉回し(たままわし)→袋かけと続き、
     収穫1カ月前からは、袋はずし→葉摘み→玉回し、と収穫まで多くの人手をかけ、
     丁寧に育てられる果実である。
     春、枝頂に微紅色の五弁花をつける。果実はほぼ球形で、果皮は紅色・緑黄色など。
     果肉は花托が発達したもので、甘酸っぱく芳香があり、生食のほかジャム・ジュース・酒などにする。
     西洋林檎。大林檎。[季語]秋−植物。「林檎の花」は [季語]春−植物。
    
    りんごの花
    
    津軽りんごの花(朝日家庭便利帳1995年4月号より)
    りんごは、お日様にあたって赤くなるので、「玉まわし」といって、りんご農家は果実を手で回して、
    まんべんなく日に当てている。上手に回さないと、落としてしまう。
    また、木の根元には反射シートを敷き、下の部分まで赤くする「尻あぶり」ということまで行う。
    手間をかけ、愛情をかけ、りんごを育てているのに、台風や異常気象で大きな被害を受けることがある。
    「りんごの皮むき」は、の前頭前野(理性・判断力)を活性させるそうです。
    11月5日は、『いい(11)りんご(5)の日』です。
    選び方・調理のポイント : 実がよくしまり、下まで赤く色づいているものが甘くておいしい。
     へたの周りの実に亀裂が入っていると完熟で、へたが黄ばんでいるのは熟し過ぎである。
     お菓子作りには、「紅玉」「ジョナゴールド」など甘すぎずほどよく酸味が含まれているものを選ぶと、
     焼いてもほんのり酸味が残ってお菓子の甘みとよく合う。
    りんごの健康効果 : 「1日1個のりんごは医者を遠ざける」というのはヨーロッパ、
     「りんごを食べると医者いらず」は中国でいわれることわざでもあり、
     りんごは体の調子を整える栄養素がいっぱい詰まった食べ物で、昔から特別な存在であった。
     りんごはカリウムカルシウム食物繊維ビタミンCなどを多く含み、ビタミンCを素早く吸収させ
     血中濃度を高め、美容にも効果的といわれている。
     ●肌荒れ予防●疲労回復●動脈硬化の予防●血圧安定●高血圧予防●整腸作用、
      などの効果があり、ビタミンCの効果をさらに高めるには、
      細かく刻んだりんごを10時と3時のおやつに分けてよく噛んで食べるとよい。
     ●冬に起こりやすい脳卒中を予防改善するりんごの血管拡張効果は加熱して摂ると3倍高まる。
品種による特徴(パナソニックのハイホーより引用)
品 種
味(1〜5)
適した料理・特徴
甘味 酸味
紅玉 煮崩れしないので、アップルパイ・ジャム・焼きりんご・
りんごの赤ワイン煮などお菓子作りに適する。
ふじ サラダ・煮物・デザートにもよい。日本で一番食べられているりんご。
つがる 生食向き。ゴールデンデリシャス×紅玉
ジョナゴールド 火の通りが早く、煮崩れも早いので、ゼリー・りんごジャムなどにむく。
陸奥 適当な固さがあるので、肉料理・アップルチップスなどがよい。
王林(青りんご) 生食向き。香りに特徴がある。ゴールデンデリシャス×印度
    
    陸奥(むつ)
    
    王林(おうりん)
    
    ジョナゴールド
    
    金星(きんせい)
    
    サンふじ
    
    北斗(ほくと)
    りんごの変色 : りんごにはポリフェノールという物質が含まれていて、果肉が空気中の
     酸素にふれると酸化酵素のポリフェノールオキシターゼ(PPO)の働きで茶色に変化する。
     変色するかしないかはポリフェノールと酵素の量に関係する。
     ポリフェノールを多く含む「ふじ」は変色しやすく、少ない「千秋(せんしゅう)」はあまり変色しない。
     また、りんごの成長期には酵素が活性化されるため、とり立ての新鮮なものほど変色しやすくなる。
     りんごの他、桃、バナナ、なし、なす、じゃがいも、レタス、
     れんこんなどの切り口が変色するのも同じ理由である。
    りんごの不思議な力 : 収穫したリンゴの実は、エチレンというガスを出しているため、
     果物や野菜の成熟を早くする効果を持っている。例えば、リンゴを固いキウイと一緒の袋に入れておくと、
     キウイが早く熟し、食べごろが早くなる。逆に、野菜と一緒に保存すると、野菜の鮮度が
     すぐに失われてしまう。リンゴのほかにも、エチレンを多く出す果物として、メロンやバナナなどがある。

    2005年10月、切っても、すり下ろしても茶色にならない新種のリンゴが青森県りんご試験場で誕生した。
    カットフルーツで売りやすく、「むくのが面倒」「1個は多い」と、敬遠していた人にも食べてもらえると
    期待されている。このリンゴは「青り27号」と呼ばれ、甘くて香りの良い新種を作ろうと、
    1983年に2品種を交配、糖度や酸度の測定過程で、変色しないことが分かった。
    27号は酸化酵素のPPOの働きが弱いとみられる。
    農家で栽培実験中で、3〜4年後に収穫し、安定した品質が確認できれば、接ぎ木して増やす。
    早ければ2011年には市場に出る予定となっている。
    りんごの変色を防ぐ方法
    ●味をそこねない程度(0.85%)のうすい食塩水に浸す(食塩が酸化酵素の作用を抑える)
    ●レモン汁を加えた液に浸す(V.Cが酸化を抑制する)
    ●りんごを金属のおろし金でおろすと、金属イオンによって酸化速度が速まり、変色がすすむことがある。
     陶器やプラスチックのおろし器でおろす、おろし器にうすい塩水をかける、などの工夫をするとよい。
    りんごの毒洗い : @流水の下で、スポンジを使って30秒ほどこすり洗いをすることで、
     表面の残留農薬やダイオキシンを落とすことができる。
     A皮をむき、切り分けてから塩水に10分ほどさらすことで、
     果肉にしみ込んだ農薬などが溶け出すとともに、酸化による変色を防ぐ作用もある。
    参 : 食品保存法りんごの種類社団法人・青森県りんご対策協議会(HP)、
        日本一のりんごづくり(HP)、りんごのページ(弘前市HP)、
        りんご主要品種かけ合わせ(片山りんご株式会社HP)    
この秋、食べたいリンゴは?
順位 品  種  票 数 記事(収穫期は青森産りんご)
ふじ 1970 栽培面積は約2万ヘクタールで、日本のリンゴ畑の半分を
占める。青森県藤崎町にあった旧農林省の試験場が開発
したことから、、1962年、町名にちなんで命名された。
果汁が多く、甘味と酸味のバランスに優れている。
果肉は硬く、シャキッとした歯ごたえ。蜜が入りやすい。
収穫してからの日持ちも長い。
晩生種で、青森での収穫期は11月上旬ごろ。
味は「ふじ」とほとんど同じで、収穫が1カ月ほど早い
(9月下旬〜10月中旬)「早生ふじ」もある。
また「ふじ」を袋かけしないで育てた「サンふじ」もあり、
果汁が多く奄美が強い。収穫は11月上旬
紅玉(こうぎょく) 1320 米ニューヨーク州原産で、日本には1871年に導入。
濃い紅色で、小ぶり。さわやかな香り。果肉がち蜜で
酸味が強く、菓子や料理用として人気が高い 。
収穫は10月中旬
王林(おうりん) 1201 ゴールデンデリシャスと印度(インド)を交配。
「リンゴの中の王様」という意味を込め命名。
果肉はきめ細かく硬めで、果汁が多くて、
酸味は少なく、甘味が強い。収穫は11月下旬
つがる 1001 ふじに次いで生産量が多い。ゴールデンデリシャスと
紅玉を交配。果肉は硬めで、果汁が多く、酸味は少なく
甘味が強い。収穫は9月中旬〜下旬 
ジョナゴールド
(Jonah Gold)
 829 米国で生れ、1970年に日本に導入。風味は紅玉に
似るが、甘酸っぱくて香りがよく、酸味は紅玉ほど強くなく、
果肉は硬めで加工用にも向く 。収穫は10月中旬〜下旬
陸奥(むつ)  805 青森県のりんご試験場が育成し、1949年に品種登録。
果肉は硬めで、収穫後の日持ちもよい。
「キング・オブ・アップル」と評されたりんご。
香り豊かですっきりとした味。収穫は10月下旬 
ゴールデンデリシャス
(Golden Delicious)
 800 世界中で栽培され、欧州では最もポピュラーな品種。
様々な品種と交配されている。皮は黄色で、甘味が強い。
収穫は10月下旬〜11月上旬 
世界一(せかいいち)  509 果実は500g程度と大ぶりで、1kgを超えるものも。
「世界一大きいリンゴ」という意味を込めて命名された。
歯ごたえがよく、果汁が多くて甘い。収穫は10月中旬 
スターキングデリシャス
(Starking Delicious)
 469 米ニュージャージー州原産で、1929年に日本に導入。
紫がかった紅色で、強い芳香があり、甘い。
収穫は10月中旬 
10 シナノゴールド
(Shinano Gold)
 404 長野県果樹試験場で育成され、1999年に品種登録
された。皮は黄色で、果汁が多い。
収穫後の日持ちもよい。収穫は11月中旬頃〜(長野県)
11 弘前ふじ
(ひろさきふじ)
「ふじ」の枝変わり品種で、通常の「ふじ」より約1カ月早い
10月上旬頃に収穫されるりんごの早生種で、食味は
ふじに似ているが果肉はやや軟らかく程よい甘みと酸味
がある。果形は長円形で、鮮やかな紅色のシマが入る 
12 千秋(せんしゅう) 東光×ふじの交配で、つがるに似た果肉を持っているが、
少々縦長な形をしている。酸味と甘みのバランスがよく、
果汁が多く、果肉のしまったしゃっきりとした味。
収穫は10月上旬 
13 シナノスイート
(信濃スイート)
(Shinano Sweet)
「ふじ」に「つがる」を昭和53年に交雑して得た実生から
選抜・育成した。平成5年に品種登録された。
果汁の量は多く、果肉に蜜は入らない。収穫は10月中旬 
14 レッドゴールド
(Red Gold)
 
「ゴールデンデリシャス」と「リチャレッドデリシャス」との
交配。甘味が強く、蜜が入り食べやすいりんご。
収穫は10月中旬頃〜
15 アルプス乙女
(アルプスおとめ)
「内山紅玉」の自然雑種実生の中から生れたりんご。
ヒメリンゴの一種で、20〜25gと小さく、甘味、酸味が
ほど良い。収穫は9月下旬〜11月中旬(長野県) 
16 新世界(しんせかい) 「あかぎ」と「ふじ」との交配により生れた。
甘味が強く、蜜が入る。収穫は11月上旬頃〜(長野県) 
17 秋映(あきばえ) 「千秋」と「つがる」との交配。甘味と酸味のバランスが良い
収穫は9月下旬〜10月上旬(長野県) 
18 陽光(ようこう) 「ゴールデンデリシャス」の自然雑種実生の中から生れた。
甘味が強く、食べやすく、大玉な上に日持ちがよい。
収穫は10月中旬〜下旬(群馬県)
19 金星(きんせい) ゴールデンデリシャスと国光の交配。鮮やかな黄金色の
りんご。果肉はち密で、酸味が少なく、とても甘い。
収穫は11月上旬 
20 あかね 1939年に「紅玉」と「ウースターペアメン」を交配され、
命名は1970年。りんご本来の酸味がある。
収穫は9月下旬〜10月上旬 
2010.10.2、朝日新聞「be」掲載。「アスパラクラブ」会員のアンケートより
回答数3439人。農林水産省の統計などを参考にし、生産量の多いリンゴ品種を中心に
35種類を選択肢に設定。「食べたい」と思う品種を好きなだけ選んでもらった。












































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