在外公館(YSミニ辞典)

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公使館(Legation)こうしかん : 公使がその駐在国で事務を取り扱う公館のこと。
    国際法上、不可侵権・治外法権が認められる。
    フランス公使館は、1858(安政5)年の日仏通商条約締結後、
    三田の聖坂(ひじりざか)にある浄土宗の済海寺に初めて設置された。
    その後、神奈川宿の商人伊勢屋甚兵衛が自分で建て住職となった甚行寺に移る。
    英国は、1859年以降日本に外交団を常設していて、最初の公使館は、当時の江戸にある
    臨済宗の東禅寺に設けられており、寺院は品川駅近くに今も残っている。設置されてからの15年間、
    公使館は外交上の緊張や不満を抱く侍による襲撃などで、横浜、御殿山、泉岳寺、
    そして再び横浜へと移動を余儀なくされた。皇居前の一番町に位置する現在の敷地は、
    当時の公使、サー・ハリー・パークスが外交団の任務の大半が集中していた東京に
    横浜から移転することを主張した1872年以降使用されている。この敷地は、それ自体、
    明治政府の好意の印として提供されたもので、英国政府に永遠に賃借されている。
    高杉晋作は幕府と長州を戦わせるため、1862年12月12日に品川御殿山に建設中だった
    イギリス公使館を伊藤博文、久坂玄瑞、品川弥二郎、井上聞多らの同志と共に焼き払い、
    尊王攘夷を唱えた。
    アメリカ公使館は、幕末の頃、824(天長元)年に弘法大師が開いたと言う麻布十番の善福寺が
    日本で最初のアメリカ公使館となり、アメリカ初代公使ハリスが滞在していた。
    また、国の天然記念物にも指定されている樹齢750年の大イチョウの樹、
    「柳の井戸」の湧き水や壱万円札の肖像画で有名な福沢諭吉のお墓があることでも有名である。
    公使館は1875年に築地外国人居留地に設置され、
    1990年に現在の赤坂に移転するまで公館が置かれていた。
    日本とスイスの間で最初の和親通商条約が結ばれたのは1864年にさかのぼり、
    同年に領事館、1906年には公使館が開設されている。
    日本とベルギーとの国交は1886年の江戸条約と称せられる修交通商条約の蹄結によって開かれ、
    ベルギーは1870年に東京に公使館を開き、我が方は1873年にブリュッセルに公使館を開設した。
    第一次世界大戦後の1921年、それぞれ大使館に昇格した。第二次世界大戦中国交は断絶したが、
    1952年サンフランシスコ平和条約の発効に伴い再開された。現在、ベルギーは、東京に大使館を、
    大阪に総領事館、また札幌、名古屋、広島、福岡に名誉領事を置いている。
    日本は、ブリュッセルに大使館、アントワープに名誉総領事を置いている。
    日本とロシアとの関係では、1874(明治7)年に日本国公使館を設置し、
    1908(明治41)年には大使館に格上げされたが、ロシア革命後の1918年には引き揚げとなった。
    1971(昭和46)年、日本国総領事館が開設され、現在に至っている。
    日本とカナダの間で外交関係開設が合意されたのは1928(昭和3)年1月で、
    これを受けて日本は同年7月20日、オタワに総領事館を開設し、
    カナダは翌1929年5月20日に東京に公使館を開設したが、これはカナダにとりワシントン、
    パリに次ぐ3番目の公館開設であり、アジア外交の拠点として日本を非常に重視したことを
    示すものであった。この年、日本もオタワの総領事館を公使館に格上げしている。
    日本とニカラグアとの国交は1935年に樹立され、在メキシコ特命全権公使がニカラグアの公使を
    兼任した。第二次世界大戦中の1941年12月8日にニカラグアは対日宣戦を布告したが、
    1952年11月4日対日講和条約を批准し国交が回復された。
    日本は1963年公使館を大使館に昇格させ、ニカラグァ側は同年、日本に大使館を設置した。
    日本はエジプトの独立を1922年4月7日承認し、1936(昭和11)年1月にカイロに公使館を設置した。
    また1926年よりはアレキサンドリアに総領事館がおかれており、公使館設置と共に領事館となった。
    この公使館は、第二次大戦中閉鎖されたが、1952年12月に再開され、
    1954年4月に大使館に昇格した。アレキサンドリア領事館も第二次世界大戦勃発に伴い閉鎖されたが、
    1982年よりアレキサンドリア駐在官事務所が設置された。
    一方、エジプトは1953年8月に在本邦公使館を設置したが、1954年に大使館に昇格した。
    日本とイラクとの外交関係は、1939(昭和14)年、バグダッドに日本の公使館が
    設置されたことに始まる。古代遺跡の発掘やイラクの文化財保護といった文化面での関係に加え、
    両国には経済面での深い関係がある。一方、石油収入を基に工業化を進めていたイラクは、
    日本からの重電機器をはじめとするプラント関連機器や輸送機械などのインフラ整備に関わる
    輸入を増やし、1975(昭和50)年には、日本はイラクにとって最大の輸入相手国となった。
    日本とレバノンの外交関係は、1957(昭和32)年に在京レバノン公使館が開設され、
    1959年大使館に昇格した。貿易は日本の大幅な輸出超過となっている。
    参 : 在外公館
国際連合日本政府代表部(Permanent Mission of Japan to the United Nations
    ニューヨークの国連本部に隣接するビルに居を構え、国連へ加盟した1956(昭和31)年より、
    日本政府の外交政策を踏まえて、国連各加盟国(日本を含め189カ国)や
    国連諸機関を相手とする国連外交に取り組んでいる在外公館の一つである。
    国連が取り組む諸問題に対する日本の取り組みを国際社会に説明するとともに、
    それらの解決に向けた日本の提案を示したり、他の加盟国との協力について
    交渉するといった業務を行っている。 参 : ホームページ(国際連合日本政府代表部)
在外公館(diplomatic establishments abroad)ざいがいこうかん : 外国にある外務省の出先機関。
    海外の日本の役所のことで、大使館公使館国際連合日本政府代表部総領事館
    領事館などの総称をいう。
    大使館は各国の首都に置かれ、その国に対して日本を代表して相手国政府との交渉や、
    その国の政治、経済などの情報収集、分析などを行う。
    政府代表部は国際連合などの国際機関に対して日本を代表するもので、
    ニューヨークの国連や国連軍縮会議代表部(在ジュネーブ)などにも政府代表部はある。
    総領事館、領事館は世界の主要都市に置かれ在留邦人の保護、通商問題の仕事、
    広報・文化活動を行っている。なお、大使館にはふつう領事部があり、領事館の仕事も行っている。
総領事館(a consulate general、voluntary appeararance)そうりょうじかん
    世界の主要都市に設けられている日本の総領事館は、自国民の保護、旅券(パスポート)・査証の発行、
    出生届などの証明手続き、他国の情報収集、友好親善、国際会議・交渉の準備といった
    海外で生活する日本人のために設置された「領事業務」の窓口となっている。
    大使館は国の代表者が外交業務のために国交のある国にひとつだけ設置する機関で、
    総領事館は日本人のいるところでパスポートや貿易の事務処理をしたり、
    相手国で日本の広報活動を担当するために設置する。
    したがって日本人の多いところに設置するので一箇所とは限らず、国交のない国でも設置することがある。
    総領事館の職員は、総領事(a consul general)や副領事という外務省から派遣された職員をはじめ、
    専門調査員などの契約職員で構成され、受け入れ先の国との合意に基づき設置される。
    相手国との関係が悪くなると自国に引き揚げる大使館とは異なり、
    総領事館は、たとえ外交関係が断絶したとしても業務を続けることが多い。
    その国に住む日本人のための機関という役割が大きいからだ。
    従来、このような領事関係は、2国間で通商航海条約や領事条約などの個別の条約を締結することで
    成り立っていた。現在は、1963(昭和38)年に採択された領事関係に関するウィーン条約によって、
    詳細が定められている。この条約によると、火災などやむを得ない場合を除き、
    領事館の敷地内の主権は派遣元の国に属するとされている。
    総領事館ができること
     旅券を紛失した : 旅券の紛失の受付は、月曜から金曜までの
                   開館時間(午前9:30〜12:00、午後2:00〜4:00、休日等を除く)。
     事件・事故にあった : 関係当局に連絡等を行う一方、親族に対して直接、または外務省を通して
                   連絡を取り、事件・事故に関係する法律制度や手続きなどの援助・助言を行う。
     逮捕・拘禁された : 本人及び関係当局と緊密に連絡を取り、
                   必要に応じて親族、知人と直接、または外務省を通じて連絡をとる。
     緊急入院した : 適切な助言などをするとともに、医師から病状などを聴取し、
                  その結果を必要に応じて親族または知人に直接または外務省を通じて知らせる。
     自然災害、騒乱、大規模な事故が発生した : 無事であっても、確認された情報を必要に応じて
                                    外務省を通じて親族または知人に通報する。
     所持金を紛失した : 緊急であると領事が判断した場合、領事が直接または外務省を通じて、
                    親族や知人に航空切符の手配や金銭的援助の依頼を連絡する。
                    法律に定められた要件を満たすと領事が判断した場合、
                    外務省の承認を得て、日本までの帰国旅費を貸与する。
     6カ月以上音信不通 : 領事は親族の依頼に基づき、外務省の指示によって、
                      その所在確認の調査を行う。
     その他 : 送金方法に関する助言、旅券の発給、戸籍・国籍関係の諸届けの受理、
             身分に関する証明、在留証明など、各種証明書の発給。
    総領事館でできないこと
     宿泊費、入院・治療費、航空切符代、その他の個人的費用を立て替えること、
      またはその支払を保証すること。
     旅行業者、航空会社、銀行、弁護士、探偵、警察、または病院の業務や役割を担うこと。
     犯罪の捜査や被疑者の身柄拘束。
     逮捕・拘禁された場合の通訳、または弁護士の費用、保釈費用、訴訟費用の支払、
      またはその支払の保証をすること。
     遺失物の捜索。
     入国許可、滞在許可や就労許可の取得を本人の代わりに行うことや、その便宜を図ること。
    参 : 在外公館領事館
大使館(an embassy)たいしかん : 駐在国において、特命全権大使が公務を執行する公館をいう。
    国際法上、本国の領地と同一にみなされ、不可侵権が認められる。
    大使館は海外旅行や留学でトラブルがあったとき役立ち、海外でパスポートを紛失するなどした場合、
    現地の大使館にまず連絡を取り、対処方法を相談できる。
    ビザの発行も大使館の主要な業務の1つである。入国に厳しい国は、観光目的でもビザを求めている。
    発展途上国は特にその傾向が強く、ビザ発行の手数料を1つの収入源にとしているとされる。
    その場合、入国前にその国の大使館を訪問し、ビザの発給を受ける必要がある。大使館の中に
    領事館も含まれていて、首都に大使館を設置し、地方都市には領事館を設置することが多い。
    外国にいる大使は、日本の代表として、その国の政府と色々な外交交渉をすることで、
    要人と会って情報を集め、分析もしている。現地に住む日本人のお世話や、日本を紹介する
    広報文化活動も行っている。大半は各国の首都にある日本大使館を拠点に活動している。
    大使はそこに勤める外交官のトップで、正式には「特命全権大使」と言う。
    大使には141のポストがあり、国連本部みたいな大きな国際機関の日本政府代表部にも大使がいる。
    こうした特命全権大使とは別に、外国元首の葬儀などに参列する特派大使や、
    女優の紺野美沙子さんの国連開発計画親善大使のように国際機関が任命する大使もいる。
    伊藤忠商事で会長を務めた丹羽宇一郎さんの中国大使のように民間の人でも大使なれる。
    大使の大半は外務省の出身者だが、2002年の外務省改革で、
    民間からも積極的に起用することにした。民間の中国大使は1972年の
    日中国交正常化以降初めで不安視する声もあったが、岡田克也前外相が強くこだわった。
    特命全権大使を任命する時は、外相の申し出を受けて内閣が決定し、天皇が認証する。
    ただし、日本が勝手に決めただけじゃだめで、内閣が決定する前に、派遣先の国から、
    大使の人選について同意を得なければいけない。この同意を「アグレマン」と呼んでいる。
    派遣されたとき、天皇から預かった信任状を、相手国の元首に届ける。 参 : 在外公館
領事(a consul)りょうじ : 外国に駐在し、自国民の保護及び自国の通商の促進にあたる外交官の一種。
    領事が職務を行う機関として領事館がある。また、領事には大使等、
    その他の外交官と同じ様に外交官特権が認められている。
    領事の種類
     領事には階級として一般に総領事、領事、副領事、領事代理及び名誉領事がある。
     名誉領事は現地の人に領事業務を委託する制度でこちらにも名誉総領事等の上下が在る。
領事館(a consulate)りょうじかん : 領事が駐在国においてその職務を行う役所。
    分かりやすく言えば「外国にある市役所」的な存在で、自国のビジネスの促進と、
    自国民の保護を主な任務とし、ビザの発給などの事務手続きを行なっている。
    首都には大使館を設置し、主要な地方都市に領事館を設置するパターンが多い。
    領事館の内部には、通常、階級として総領事・領事・副領事などがある。
    例えば、アメリカ・南カルフォルニア周辺には日系人などが5万人おり、事務量も多い。
    参 : 在外公館総領事館

    一部週刊誌が2005年12月、2004年5月に在上海日本総領事館の男性職員が中国側から
    外交機密に関する情報提供を強要されたとの遺書を残し自殺していたと報じて、明らかになった。
    遺書の存在や内容などは明らかにしていないのに、外務省の塩尻孝二郎官房長は
    2006年2月16日午前の衆院予算委員会で、自殺した中国・上海の日本総領事館員について、
    2003年11月にイラクで殺害された奥克彦大使らと同様、殉職扱いとしていることを明らかにした。
    奥氏らのケースは、公務遂行中に事件に遭遇した特別公務災害を適用し、
    通常の1.5倍の遺族補償年金を支給している。同官房長は「『国を売るつもりはない。死を選ぶ』と
    遺書に書いてあり、国のために身を投げたと思っている」と指摘した。


























































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