児童(YSミニ辞典)

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児童虐待防止法(じどうぎゃくたいぼうしほう)
    保護者による子どもへの虐待に歯止めを掛けることを目的に、2000(平成12)年11月20日に
    「児童虐待の防止等に関する法律」(法律第82号)として施行された。
    同法では、児童相談所による立ち入り調査権が強化され、虐待の可能性があれば、
    警察官同行で家の中に入って調査できる規定など、
    子どもの早期救済と未然防止のための数々の手段が盛り込まれた。
    児童相談所で一時保護している子どもを保護者が強引に引き取り、
    再び虐待を加えるケースも後を絶たない。そこで、保護中の子どもと面会するのを、
    相談所長が制限し、民法の「親権の一時停止」に相当する行為ができることも規定している。
    あいまいだった児童(18歳未満)虐待の定義も、法律で初めて明確化し、
     (1)身体的暴力:児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える。
     (2)性的虐待:わいせつな行為をする、させる。子供の前で性交や性器を見せることも対象になる。
     (3)ネグレクト(育児放棄):心身の正常な発達を妨げるような著しい減食や長時間の放置など
        保護者としての監護を著しく怠る。登校させない行為も対象になる。
     (4)心理的虐待:子供の前で配偶者に暴力をふるうなど、著しい心理的外傷を与える言動をおこなう。
    ことに分けて定義し、虐待の禁止を打ち出している。
    車内放置は「児童虐待」!
     「保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)が
     その監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ。)に対し、
     次に掲げる行為をすること」(第2条)と定義され、その行為として
     「児童を長時間放置することや、保護者としての監護を著しく怠ること」(第3項)があげられている。
     児童を車内のみならず、自宅などに放置することも、この法律に抵触する「児童虐待」になる。
     また、同法律においては、「発見した者全てが児童相談所等に通報の義務がある(第5条)」
     とも定められている。ホール駐車場における車内放置を含め、
     「児童虐待」を発見した際は、各児童相談所、もしくは警察に通報しましょう。
    両親がパチンコなどに興じ、駐車場の車内に幼児が放置されて熱中症で亡くなるという
    痛ましい事故が毎年のように起きている。こうした事故が社会問題化した2004年4月から、
    最低1時間に1回はパチンコ店の店員が駐車場を巡回しているが、この巡回で車内放置を見つけ、
    熱中症などの事故を未然に防いだケースが2006年4〜8月に全国6道県で17件あったことが
    業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会」(約1万5000店加盟)の調査で分かった。
    計27人の子どもが車内から助け出され、難を逃れている。

    厚生労働省のまとめでは、2002年度の児童相談所への相談は2万3738件で、
    伸びは抑えられたが過去最高になった。
    虐待が疑われる家庭への立ち入り調査は167件で施行前の約4倍、
    虐待された子を家庭から引き離して保護する一時保護は8369件で約2倍に上がった。
    2007年度の全国の児童相談所の対応件数は4万618件である。
    参 : 職権保護

    栃木県小山市神鳥谷(ひととのや)で、幼い兄弟が虐待のあげく橋から生きたまま川に投げ落とされて、
    2人とも遺体で発見された事件で、下山容疑者のしたことは卑劣で許されない犯行だが、
    上記の児童虐待防止法の「虐待を発見した場合には、
    児童相談所が自らの目で子供の安全を確認すること」を履行していなかった児童相談所にも責任がある。
    同所に「何としても子供を守る」という責任感も使命感も優しさも感じられなく、
    その後も虐待が続いていることに気づきながら手をこまねいていたと言うのも、信じられない。
    後で「助けられなくてごめんなさい」と謝っている所長の言葉は空々しく感じる。
    しかし、私は虐待の事実を知りながら、祖母が引き取る児童相談所との約束を破り、
    2人を連れて再び容疑者の所に身を寄せた実の父親が最も責められるべきではないかと思う。
    「目の前にいたら殺します」とまで言えるほど子供を愛していたのなら、
    暴力を振るわれ傷だらけになった我が子を見たときに「こんなひどいことをして2度と一緒に住まない」と
    家を出て行くのが、世の中の普通の父親ではないだろうか。
    約束通り2人を祖母に預けて自分だけ元の場所に転げ込めばよいものを、
    1人だけなら同居させてもらう理由がなくなるとでも考えたのだろうか。
    容疑者への暴力行為もあり、実際、「このまま連れて帰れば虐待したことがわかり、
    また殴られるかと思った」と供述しているように、兄弟を殺害する一因にもなっている。
    また父親は、容疑者の覚せい剤常用による異常行動も知っていたと思われるのに、
    2人をライオンの檻の中に投げ込んだのと同じ行為だともいえる。
    容疑者が薬物を使用していたとしても、妄想や思考力低下までには至っていなかったのだから、
    殺人として裁かれるのは当然で、投げ落とされる時に一緒にいた実の子供2人には
    全く危害を加えていなくて、流れの速い所を狙って投げ落としたことからも明白である。
    今回の事件のように親権などの絡みで対応が難しい面があるものの、
    大人同士のいさかいや都合で子供が犠牲となるような事態は、何としても防がなければならないが、
    どんなにこのような法を整備し、システムを構築しても、
    担当者に使命感や積極性が欠けていたのでは、これからも問題は解決しない。
    毎日が恐怖の連続で、誰にも本当のことが言えなかった一斗ちゃん、隼人ちゃん、
    天国では幸せになってね。2人の父親である小林容疑者も8月下旬から9月上旬にかけ、
    自宅で覚せい剤を使用したとして、9月30日に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されたが、
    どちらが朱に交わったのか、覚せい剤が2人の幼い命を奪ったといえる。
    下山明宏被告(40)に対し、宇都宮地裁は2005年9月8日、求刑通り死刑の判決を言い渡した。

児童自立支援施設(じどうじりつしえんしせつ) : 児童福祉法7条及び44条などによって規定された
    「児童福祉施設」のこと。児童福祉法に規定された「不良行為をなし、又はなす恐れのある児童及び
    家庭環境その他の環境上の理由により、生活指導などを要する」と判断された児童が、
    一時親から離れて生活し、個々の児童の状況に応じて常駐する専門員らの指導を受けることにより、
    その自立を支援することを目的とする更生労働省管轄の施設で、各都道府県に設置され、
    現在、国公立、私立合わせて全国には同種の施設が58カ所あり、
    7〜18歳の1659人(2002年10月現在)が生活している。
    その実際は、あくまで「不良行為」への「生活指導」で、
    凶悪犯の「矯正」、「更生」を行うことを念頭においた「医療少年院」とは、根本から異なる。
    従来、「教護院」という名称であったが1998(平成10)年4月の改正児童福祉法で
    児童自立支援施設に名称が変更された。 参 : 強制的措置
児童相談所(じどうそうだんじょ) : 児相。児童(満18歳に満たない者)の福祉の充実と権利擁護を目的に、
    児童福祉法第12条に基づいて各都道府県・指定都市・中核市に1箇所以上設置される行政機関。
    児童の生活全般に関して保護者や学校からの相談に応じ、児童や家庭について調査や判定を行ない、
    問題児童の指導・一時保護などの必要な指導や措置をとる。
     都道府県、政令指定市、神奈川県横須賀市、金沢市が設置しており、
    2006年4月1日現在、全国に191カ所ある。職員総数は7662人。
    寄せられる相談は虐待のほか、障害、発育、非行、しつけ、不登校など多岐にわたる。
    2005年度に全国の児童相談所に寄せられた相談の受付総数は34万9873件で、
    うち障害相談が47%を占める。虐待相談は約1割だが、年々増加している。
    京都3歳男児餓死事件
     京都府長岡京市で、父親と内縁の妻から虐待されて3歳の男児が餓死した事件で、
     男児の体重は3歳児平均のわずか半分の約7キロしかなく、顔には無数のあざがあった。
     警察や児童相談所は長女(6)に対する虐待を半年以上前に把握しながら、
     男児の命は救えなかった。2006年10月22日夜会見した同児童相談所の黒川洋一所長は、
     長女には西村容疑者から虐待とネグレクト(育児放棄)があったと判断したが、
     拓夢ちゃん虐待は把握していなかったと説明した。
     民生委員から6月、9月、10月と拓夢ちゃんについて児童相談所に3回も報告があったのに、
     職員は父親の貴正容疑者と電話連絡を取っただけだったという。
     黒川所長は「父親と話をして大丈夫だと思った。判断に甘さがあったかもしれない」と話しているが、
     姉の長女が虐待を受けて4月から大阪府内の施設で保護されていることから、
     親が虐待をしていることは判っていたことだし、報告の都度、家庭を訪問して確認をするのが
     児童相談所の業務であり、判断が甘かったのではなくて判断誤りである。
     拓夢ちゃんの虐待を把握していなかったではなく、把握しようとしなかったのである。
     また、長女への虐待で捜査しなかった理由について、向日町署の松岡英人副署長は
     「児童相談所職員から被害届を出さないという報告を受けたため」と説明したことについて、
     黒川所長は「長女の件は警察から通告があったので、立件するしないは警察の判断のはず」と
     話しているが、捜査は警察としても、保護責任は児童相談所でしょう。
     言い訳のみが目立つ所長は、餓死児童についての責任をとるべきだ!

児童福祉施設(じどうふくししせつ) : 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第35条〜第44条に
    規定されている児童福祉に関する事業を行う各種の施設をいう。
    さまざまな理由で親と一緒に暮らせない原則18歳までの子どもが入所する。児童福祉施設は、
    国、都道府県、市区町村が設置できるほか、社会福祉法人等の者が設置することもできる。
    1997(平成9)年の同法改正によって、児童福祉施設の名称が一部改められ、
    母子寮は母子生活支援施設に、養護施設は児童養護施設に、
    教護院は児童自立支援施設に改称され、虚弱児施設は児童養護施設とみなされることとなった。
    また、児童家庭支援センターが新設され、乳児院、情緒障害児短期治療施設の機能は一部改められた。
    各施設はおよそ次のように規定され、1998年4月より施行された。
    児童養護施設は2011年1月現在、全国約570カ所あり、約3万人が入所している。
    職員は保育士や、大学で心理学や教育学を専攻した児童指導員などである。
    ほかにも乳児院(全国約120カ所、約3100人が入所)、
    情緒障害児短期治療施設(同約32カ所、約1200人が入所)、
    不良行為などをした子どもが入所する児童自立支援施設(同約58カ所、約1800人が入所)などがある。
    里親に委託されている子どもも約4千人いる。

    施設児童らへ虐待59件、「養護」職員が最多(2010.12.8、読売新聞より)
     虐待を受けた子や家庭で育てられない子供たちを養育する児童養護施設などで、
    施設職員らによる虐待が2009年度に59件あったことが厚生労働省の調べでわかった。
     虐待を見つけた際の通告が2009年度に義務化され、全国の実態が初めて把握された。
     調査の対象は、家庭に代わり18歳未満の子を養育する児童養護施設や児童自立支援施設、
    乳児院、里親など。2009年の児童福祉法改正で、こうした児童福祉施設の職員や里親から
    入所児童への暴行やわいせつ行為などの虐待を見つけた場合、通告義務が導入された。
     厚労省によると、2009年度に都道府県や児童相談所などが受けた施設虐待の届け出や通告は
    計214件。そのうち、自治体で事実確認を行い、虐待行為があったと確認されたケースは59件だった。
     虐待行為が最も多かったのは児童養護施設で29件(49%)で、次いで児童自立支援施設と里親が
    各9件(15%)、児童相談所の一時保護所と知的障害児施設が各4件(6%)だった。
     虐待の内容は、身体的虐待が41件(69%)と最も多く、
    心理的虐待と性的虐待が各7件(11%)、ネグレクト(放置)が4件(6%)。
児童扶養手当(じどうふようてあて) : 18歳になった最初の3月31日までの
    児童(または20歳未満の障害を持っている児童)を扶養している人に支給される手当てのこと。
    ただし、そのためには、国民年金(老齢福祉年金を除く)、厚生年金、恩給など公的年金を
    受けることができるときや、前年の所得によって、などいくつかの制限がある。
    また、都道府県知事の受給資格の認定を受けなければならないことになっているので、
    詳しくは市区町村の窓口で相談する。
     母子家庭は所得に応じて月額9850〜4万1720円が受給できる。
    2人世帯(子供1人)の場合、年収130万円未満の世帯は満額を受給し、
    それ以上は減額され、365万円以上は受けられない。
    2人目の子供には5千円、3人目以降は3千円が加算される。 参 : 生活保護制度
児童養護(じどうようご) : 厚生労働省によると、虐待などが原因で養護が必要な子供は全国に4万人。
    2000年代に虐待が急増し多くの施設は飽和状態だが、いまでも9割ほどの子が乳児院や施設で暮らす。
    里親が主流の欧米諸国とは対照的である。こうした実情を受け、国は「家庭的な環境のもと、
    地域の中で育てられるべきだ」との方針を打ち出し、2009年4月に児童福祉法を改正した。
    養子縁組を前提としない「養育里親」を増やすため、2008年度まで月額3万4千円(一人目)の
    里親手当を7万2千円に倍増し、里親をベースに3人の養育者が5〜6人の子どもを育てられる
    「ファミリーホーム」も制度化した。2009年10月現在、都道府県や政令指定市に登録の里親は
    7326人で、うち養育を委託されているのは2810人である。
     杉本一義氏編著の「養護原理」の中で、児童養護とは、人間形成の事業にほかならない。
    また現代の児童養護においては、教育的な配慮と合わせて福祉的な配慮が不可欠である。
    したがって、1人ひとりの児童に向かって、教育と福祉とが統合化されていなければならない。とある。
児童養護施設(じどうようごしせつ) : 「環境上、養護を要する(家庭環境が悪く、家庭での生活が困難)」と
    児童相談所長が判断した児童を養育する児童福祉施設である。
    児童福祉法第41条で、「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童、
    その他環境上養護を要する児童は入園させてこれを養護し、あわせて退園した者に対する相談
    その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする」とし、また第7条では、
    児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、
    知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、
    情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。と規定している。
     入所対象は1歳以上18歳未満であり、場合によっては20歳まで延長できる。
    なお1歳未満の場合は乳児院がある。2005(平成17)年の児童福祉法改正によって、
    安定した生活環境の確保などの理由で特に必要な場合は、乳児も入所させることもできるようになり、
    同じように乳児院では1歳以上の幼児を入所させることができるようになった。
    施設では児童指導員や保育士が働いている。
     全国に約560施設があり、約3万入が入所している。20人以上の大規模施設が7割を占め、
    9割の子供が生活している。最近は、被虐待児や知的障害児の入所が増えている。
    環境上養護を要する児童
     ●父母と死別した児童
     ●父母に遺棄された児童
     ●家庭環境不良の児童(父母の行方不明、長期入院、拘禁、離婚、心身障害など)
     ●保護者がいても虐待されている児童(最近入所理由に占める割合が特に増加し、
      2006年3月の調査では6割に達した)など、保護者の健康上・経済上の理由などで
      監護を受けられない児童・保護者の元で生活させるのが不適当な状況にあると
      児童相談所が判断した児童をいう。





















































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