人工(YSミニ辞典)

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人工衛星(an artificial satellite)じんこうえいせい
    ロケットによって打ち上げられ、地球などの惑星の周りを公転する人工の物体のことで、
    軌道上に静止しているものや、地上の任意の上空に留まるため、
    地球の自転の速度に同期して移動している物(静止衛星)がある。
    気象観測・科学観測・地球環境観測・通信中継などを目的に利用される。
    人工衛星は通常地球を周回する軌道にあるものが大部分であるが、
    惑星探査目的で火星や土星などの他の惑星を回る軌道上に観測機が到達しており、
    各惑星の人工衛星となっている。これらは惑星の観測を行ったり、火星探査機などのように
    他惑星の表面に着陸した探査機からの各種観測データを地球まで中継送信している。
    軌道上に静止しているものや、地上の任意の上空に留まるため、
    地球の自転の速度に同期して移動している物(静止衛星)がある。
    ロケットにより人工衛星を「第1宇宙速度」と呼ばれる秒速7.9キロメートル(時速約2万8000km)を
    超える速さで打ち上げると、地上に落ちないで地球を回りはじめる。宇宙には空気抵抗がないので、
    人工衛星は打ち上げたときと同じ速度で地球のまわりを回ることになり、
    「人工の月」すなわち「人工衛星」となる。人工衛星は、「地球の引力から飛び出そうとする力」と
    「地球が引きつける力」がつり合っているので、落下せずに地球のまわりを回り続けることができる。
    地上から500〜600キロぐらいの低い軌道では、薄くても空気があるので、その抵抗を受けて
    だんだん軌道が下がってくる。大気の状態や衛星の形にもよるが、1年に数キロ低くなることもあり、
    衛星は時々、エンジン噴射をして軌道を上げる調整をしている。
    人類史上初の人工衛星は、1957(昭和32)年10月4日に旧ソ連が打ち上げたスプートニク1号である。
    日本初の人工衛星は、1970(昭和45)年2月11日、
    4回の失敗を乗り越えてラムダ4型5号機によって打上げられた「おおすみ」で、
    これにより、日本はソ連、アメリカに次ぎ、世界で3番目に人工衛星を自力で打ち上げた国となった。
    それまでのイギリス、カナダはアメリカとの共同打ち上げである。
    しかし有人飛行では、中国が2003年10月15日午前9時(日本時間同10時)、
    中国西部の甘粛省酒泉市郊外にある酒泉衛星発射センターから、
    有人宇宙船「神舟(しんしゅう)5号」の打ち上げに成功し、
    ロシア(旧ソ連)、アメリカ、についで世界で3番目の有人飛行を成功している。
    参 : 衛星H2AロケットM5ロケット情報収集衛星スパイ衛星ALOS
人工関節(じんこうかんせつ) : 間接が変形して磨り減るなど、障害のある関節を外科的に置換するため、
    コバルト合金やチタンなどの金属や特殊なポリエチレン、
    セラミックスなどの人工物で作製された関節のこと。人工股関節(人工骨頭)や人工膝関節などがある。
    最近は手術方法、人工関節とも改良が進んでいて、多くの場合、立つ、座る、歩く、
    階段の上り下りといった動作がスムーズになり日常生活に不自由がないほどの回復が可能となった。
    人工関節は摩耗しにくい材質で作られているが、10年、20年という長い年月のうちには
    少しずつ擦り減っていく。過度の磨耗のためにゆるみが生じ、人工関節を入れ直すことがある。
    最新の人工関節は、正しく使えば股関節で15年、膝関節で25年はもつと推定されている。
     膝や股関節の痛みに長年悩んでいる人は、薬による治療にばかり頼らず、
    一度は整形外科医に相談してみましょう。
    人工関節置換術の適応となる症状
     ●関節リウマチや変形性関節症などが原因で、関節の痛みがひどく日常生活に支障をきたす。
     ●薬物療法、理学療法、運動療法などでも改善の見込みがない。
     ●検査などで、関節炎の進行やその他の病気が認められる。
     ●骨折の後で関節の回復が困難だと判断される場合。 などに患者や家族の同意を得て実施される。
    厚生労働省は2004年4月から、年間に50件以上の人工関節手術を実施し、手術経験が
    10年以上の整形外科医が1人以上いる医療機関に対して、診療報酬を5%加算する措置を始めた。
    この5%加算が適用された医療機関は全国で400余りあり、その他の医療機関を含めると、
    年間の人工関節の手術件数は約3万件にものぼるという。手術には、健康保険も適用されている。
人工肛門 = 人工肛門(肛門関連に別掲)
人工呼吸器(Mechanical ventilator)じんこうこきゅうき : 数時間から数年と言う長い時間に渡って、
    病気が治るまで人工呼吸を自動的に行うための医療機器である。
    さまざまな原因によって自発呼吸ができなくなった人に、肺に空気を押し込み、酸素を取り入れる
    人工呼吸を補助または強制的に行う器械で、ベンチレーター、レスピレーターともよばれる。
    1〜2週間たっても呼吸器を外す見込みがないときは、のどに穴を開ける気管切開をして
    チューブを入れる。終末期の場合、呼吸ができずに苦しんでいる時に人工呼吸器を装着すれば、
    呼吸だけは楽になるが、外すと死に直結するため、なかなか外せない。
    現在よく使われるのは、チューブを口や鼻から入れる気管挿管で、
    呼吸の状態を様々な形で持続的に測定する機能のついたもの、呼吸器の離脱を
    自動的に進めて行くもの、在宅人工呼吸に使用する小型で医療従事者以外でも操作できるもの、
    マスクを使用し気管挿管の必要ないもの(非侵襲的人工呼吸)まで実に様々な種類が使われている。
    参 : 人工呼吸器を使う人の相談窓口厚労省HP)、社団法人・日本呼吸器学会(HP)、
        「バクバクの会」(人工呼吸器をつけた子の親の会HP)
人工授精(Artificial Insemination with Husband’s semen:AIH)じんこうじゅせい
    卵子を取り出すことなく、男性の精液を女性の胎内へ注入器具を用いて直接送り込む方法のことで、
    男性の精子過少症や勃起障害(ED)による不妊症に有効な不妊治療の一つである。
    非配偶者間人工授精(Artificial Insemination with Donor semen:AID
    ひはいぐうしゃかんじんこうじゅせい : 夫が無精子症などの夫婦のため、
     「夫以外」の精子を使って人工授精させる方法で、日本では戦後間もない1948(昭和23)年に
     初めて慶応大学で実施された。1949年の最初の赤ちゃんが誕生して以来、
     これまでに慶応大だけで1万人以上が生まれたとされる。
     しかし現在ではART(生殖補助技術)の進歩により、無精子症や乏精子症でも
     「顕微授精(ICSI)」により妊娠を得られるようになり、AIDは「絶対的無精子症」に
     限られるようになってきた。日本産科婦人科学会は1997(平成9)年に会告(指針)を定め、
     営利目的での精子提供を禁じるなどしたうえで、現状を追認した。
     AIDの実際は「精液を通じての感染」「AID児同士の婚姻」「法律の上での親子関係」
     「出自を知る権利」など、いくつかの問題点も残されている。
    参 : 体外受精精子バンク死後生殖日本産科婦人科学会(HP)
人工心臓 = 人工心臓(心臓関連に別掲)
人工知能 = AI(別掲)
人工透析(じんこうとうせき) : 血液透析。透析療法。腎不全や尿毒症で血液の老廃物を
    除去できなくなった場合などに、腎臓の機能を代行する装置を用い、人工的に透析を行って
    血液を体外に導いて浄化し、必要な電解質などを補給して体内に戻す治療法のこと。
    人工腎臓を用いる方法や、腹腔内に灌流(かんりゅう)液を注入し腹膜を通して行う方法などがある。
    薬物中毒や高度の浮腫などにも適用される。
    腎不全になって腎臓の働きが悪化すると、腎臓そのものがほとんど機能しなくなり、
    生命を維持していくために最終的に人工透析か腎臓移植を選択するしか道がない。
    30年前までは腎不全になると、尿毒症で死ぬしかなかったが、この血液透析が発明されたことで、
    腎臓の働きが0になっても寿命を全うすることができるようになった。
    現在全国で約20万人が透析療法を受けている。
    近年急激に増加している「糖尿病」の合併症である「糖尿病性腎症」を発症し、その後「慢性腎不全」に
    移行、ついに「糖尿病性腎症」発症により人工透析導入ということになるケースが多い。
    そのためには、普段から血糖と血圧を管理して深刻な状態にならないようにすることが大切である。
人工妊娠中絶 = 妊娠中絶
人工林(artificial forest、man−made forest)じんこうりん : 種をまいたり、挿し木や植樹したりして
    人の手で育成した森林のことで、主として自然の力によって造成された「天然林」に対する語として
    使われている。人工林は、住宅や家具などの資材を供給する産業化された森林であるため、
    価格競争や需要減少などにより供給先が減少すると簡単に放置される。
    放置されても、世代交代が進んで極相に達していなければ、人工林と称す。
    日本にはスギ、ヒノキといった有用樹種があったため、植林の歴史はきわめて古い。
    人工造林の先進地域といわれる奈良県の吉野地方の事例をみると、
    近畿地方を中心に貨幣経済の発達しだす室町時代後半ごろから、スギ、ヒノキの造林が始まったとされる。
    現在の先進林業地といわれる静岡県の天竜地方や大分県の日田(ひた)地方なども、
    江戸時代に造林が始まり、いまにみるような人工の美林を生み出すまでになっている。
    全国的に人工林化が進むのは第二次世界大戦以降であるが、造林補助金などの政策助成と相まって、
    いまや全国の森林の約4割(約1千万ヘクタール)にも達する人工林をつくりだすまでになっている。
    国有、自治体所有、私有に大きく分かれ、私有が670万ヘクタールで最も広い。
    私有林では、保有面積1ヘクタール以上3ヘクタール未満の小規模な山主が6割を占める。
    間伐は10年おきくらいに必要で、30%前後を間引く。人工林では年間35万ヘクタールで
    実施されているが、全国森林組合連合会の推定では、必要面積の約半分にとどまるという。
    つまり、山主の多くは所有林が狭く、採算がとれないなどから、
    人工林が各地で放置され、荒廃が進んでいるのである。
    京都市南丹市では、森林組合が複数の山主の所有林を集約し、高性能の機械導入などでコストを削減し、
    山主の費用負担がない仕組みを生み出し、森の保全を進めている。
    参 : 全国森林組合連合会(HP)





























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