自治体関連(YSミニ辞典し)
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自治体間の災害時相互応援協定(じちたいかんのさいがいじおうえんきょうてい) : 大規模災害発生時には、
ライフラインや情報通信網の途絶、パニックの発生、庁舎や公共施設の損壊、職員の負傷などにより、
被災自治体の災害対応能力は著しく低下する。このため、被災自治体(特に市町村)単独では、
多岐の分野に渡り、かつ膨大な量の応急復旧活動を満足に遂行できないという事態が生じる。
このような事態に対処する手段の一つとして、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動等の
各種応急復旧活動について被災自治体をサポートする旨の協定が、多くの自治体間での
相互応援協定も全国的に締結されており、自主的・積極的な応援出動、被災自治体への応援に関して
必要な調整を行う幹事自治体の事前決定など、
阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた
スムーズな応援を達成するための体制整備が図られている。これらの動きは、
迅速な応急復旧対策について多くの教訓を残した阪神・淡路大震災をきっかけに増えた。
総務省消防庁によると、2010年4月現在、全国1750市町村のうち9割にあたる
1571市町村が締結し、政令指定市と東京都では、20の大都市災害時相互応援協定がある。
自治体クラウド(じちたいくらうど) :
住民基本台帳、
税務、
国民健康保険、
介護保険などの
自治体の基幹業務に限り、これらの情報システムを複数の市町村を統合した民間の
データセンター(DC)に預け、自治体向けの専用ネットワークを通じ、
データを送受信できる取り組みを指し、共同利用することで効率化を目指す。
総務省は、サーバーなどITシステム構築に必要な機器をDCに置いて、ネットワークを介して
共同利用を可能にするクラウドコンピューティングを地方自治体に普及させる動きとして、
2009年から「自治体クラウド」の言葉を使って開発実証事業を推進し、
各自治体で取り組みが本格化している。
自治体クラウドは、各自治体がサーバーなどのIT機器を所有するのではなく、
共同で利用するので、厳しい財政状況に直面している自治体にとって、
多額のコストをかけずにITインフラを構築することができるという利点がある。
参 :
自治体クラウドポータルサイト(総務省HP)
自治体財政健全化法(じちたいざいせいけんぜんかほう) : 地方公共団体財政健全化法。
自治体の財政破綻
(はたん)を未然に防ぐための法律。
連結決算の考え方で、公立病院や第三セクターまで含めた自治体全体の財政状況を集計し、
自治体に公開を義務付ける。破綻する前に早期の健全化を促すのが目的である。
自治体財政健全化法の指標(じちたいざいせいけんぜんかほうのしひょう)
北海道夕張市のような財政破たんを未然に防止するため、
「早期健全化」と「財政再生」の2段階で自治体の財政悪化をチェックする仕組みを規定。
実質赤字比率など4指標のうち1つでも一定基準を超えると、
外部監査のほか財政健全化計画の策定を義務付けて改善努力を促す。
将来負担比率を除く3指標がさらに悪化して1つでも基準を超えると破たんとみなし、
一部起債を制限するなど国の関与を強める。
2007年度決算から各自治体に4指標のデータ公表が義務付けられ、
2008年度決算から適用され、2009年から本格施行された。
財政健全化の4指標
2007年6月に成立した自治体財政健全化法は連結決算の考えを導入し、
以下の4つの指標で赤字や借金の重さを見る。いずれも通常の年間収入額に対する比率で、
@自治体のいわば本体(主に一般会計)の赤字の重さを示す
実質赤字化率
A本体から病院や下水道事業など全会計の赤字を測る
連結実質赤字比率
B一部事務組合などを含み、年間の借金返済の重みを示す
実質公債費比率
C借金残高から自治体が出資して設立した会社の将来の負債まで点検する
将来負担比率
2008年度決算以降、一つでも黄信号の指標がある自治体には「再建計画」の策定が課せられ、
@〜Bのいずれかが赤信号だと国の管理下で財政再建が義務付けられる。
参 :
財政健全化法
夕張「財政破綻」、21市町村「黄信号」2008年度集計
総務省は2009年10月2日、自治体財政健全化法に基づく指標を2008年度決算に適用すると、
北海道夕張市が実質公債費比率が42.1で「破綻」にあたる財政再生団体になり、
長野県王滝村(実質公債費比率32.1)や大阪府泉佐野市(実質公債費比率18.4だが、
他の指標で基準を上回った)、鳥取県日野市(実質公債費比率30.2)など
12道府県の21市町村が「黄信号」の早期健全化団体になるとの集計を発表した。
同法が2007年に制定されてから初めての本格的な集計となる。
早期健全化団体の内訳は5市11町5村。都道府県や政令指定都市はなく、小さい自治体ほど財政が
厳しい傾向がうかがえる。うち19市町村で、収入に対する借金返済額の割合を示す「実質公債費比率」が
基準を超えており、借金が財政運営の足かせになっている現状が浮き彫りとなった。
健全化団体の多くは人件費や事業の削減に取り組んでいる。
今後、保育料や下水道料金の引き上げを検討中の自治体もあり、住民サービスが犠牲になる恐れもある。
再生団体に転落すると国の関与が強まり、国が予算の変更を勧告できるようになる。
財政健全化を果たせるかどうかは、今後の地方交付税や税収の動向もかぎとなる。
今回の集計では、総務省が2008年に試行的に実施した試算に比べれば、破綻は2市村減り、
黄信号は40市町村から半減した。その一因は公立病院特例債だ。
経営難の病院事業を抱える自治体を対象に、2008年度に限って発行が認められた。
2008年、財政再生団体と試算された北海道赤平市は特例債を利用し、破綻状態を回避。
ほかにも、北海道で留萌市と美唄市、青森の黒石市と鰺ケ沢町、大阪府泉大津市の5市町が、
特例債や歳出削減で「黄信号」を免れた。ただ、この特例債は7年程度で全額償還する必要がある。
単年度の返済額は少なくおさえられるが、長期的な財政運営を縛ることにかわりはない。
自治体破綻 =
財政再建団体
自治体予算(じちたいよさん) : 自治体によるが、普通は7〜8月、予算をまとめる財政課が各部署に
新年度に取り組みたい事業を募集する。その後10月頃に予算の方針が示された後、
本格的な議論が始まり、2、3月頃に地方自治法に定められた方法、様式によって
予算書として作成され、議会で審議されて可決される。
住民への予算の中身は、予算決定後、年度初めの4月ごろの広報で知らせる自治体が多い。
教育や介護、ごみ処理まで地域生活にかかわる仕事がたくさん載っていて、
生活に身近な予算なのに住民が口を出す余地はほとんどない。
北海道のニセコ町は議会用の予算書とは別に、事業ごとの財源や使い道を丁寧に説明した冊子
「もっと知りたい今年の仕事」を毎年、住民に配り、「誰が読んでも分かる」と評判で、
各地の自治体に広がっている。
国と自治体の財政の仕組みを大きく変える「
三位一体の改革」などにより、自治体予算編成は、
地方交付税の大幅削減の半面、補助金の廃止や税源移譲による恩恵はほとんどなく、
歳入・歳出ともにやりくりを強いられた市町が多い。
新年度の当初予算ができるまで(ある市のケース)
7月下旬 |
各課が新年度の取り組みたい新事業の内容と費用の見積もりを財政課に出す |
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10月下旬 |
市長らが課長クラスに新年度の予算編成方針を説明する |
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11月下旬 |
各課が正式な予算要求書を提出する |
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12から1月下旬 |
財政課職員が各課の要求を聞き取り、事業の予算額を固める |
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12月中旬 |
政府が地方財政対策を公表 |
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1月下旬 |
財政課長が予算化する事業を示す。却下された事業の復活を求める各課と協議 |
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1月下旬〜2月上旬 |
市長が事業内容や予算額を聞き取り、新年度の事業を決める |
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2月中旬 |
新年度の当初予算案が決まる |
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3月上旬 |
市議会に提案 |
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3月下旬 |
市議会で審議、可決 |
朝日新聞2008.2.15「ニュースがわからん!」より引用
市町村合併特例法と合併新法(しちょうそんがっぺいとがっぺいしんぽう)
少子高齢化と地方分権の時代を迎え、自治体の基盤を強化しようと、国は「平成の大合併」を計画し、
町づくりの資金を有利な条件で借金できるようにする「合併特例債」の発行を認めて財政面からも
合併を促進するため、1999(平成11)年に合併特例法を改正した。
当初は2005年3月末までに合併する自治体だけが対象だったが、
2005年3月末までに知事に合併申請し、2006年3月末までに合併する自治体にも拡大された。
合併特例法を引き継ぐ形の合併新法は2005〜2009年度の時限立法だが、
合併特例債の恩恵は受けられない。都道府県に合併促進の介添え役を務めさせているのが特徴で、
都道府県は合併組み合わせなどを盛り込んだ構想を策定し、市町村に合併協議会の設置などを
勧告できる。事実上、知事や県の姿勢に左右されるところが大きい。
市町村の数は2010年3月末で、1727になる。1999年の3232市町村が、
「平成の大合併」で激減した。