食品(YSミニ辞典)
[ホーム]
[索引]
[前項]
[次項]
食品安全委員会(Food Safety Commission) : 中立公正な立場で、食品による健康への悪影響が
出る率とその程度(リスク)を科学的に評価する機関で、牛海綿状脳症(
BSE)問題をめぐって
国内で肉骨粉の使用禁止が遅れるといった不手際が起きたのを受けて、2003年7月1日に発足した。
内閣府に属するが独立した第三者機関として2003年5月16日、食品の安全性の確保に関する施策を
総合的に推進することを目的とする「
食品安全基本法」が国会で可決されて成立し、第3条で
食品安全委員会についての記述があり、同委員会は安全性についての科学的な知見だけでなく、
食品を摂取する国民の安全を確保するために総合的な判断を行うもので、具体的には食品添加物や
遺伝子組換え食品、健康食品、家畜の飼料、米の肥料、農薬の安全基準などを検討する。
食品の科学的な分析・評価結果を農水、厚労省に伝え、必要な政策を勧告する。
これまで両省で各々行っていた安全性に関する判断は、委員会に一元化し、両省は勧告内容に基づき、
省令や通知などを作成、畜産家や食品メーカーなどを監視することになる。BSE感染牛の発見など、
国内外で突然発生した食の危機に対応できるよう、緊急を要する場合は委員会が暫定的に対処方法を
策定できる。同委員会は委員会、専門調査会、事務局からなり、委員会は寺田雅昭氏
(元国立がんセンター総長)を委員長とする7分野(毒性学、微生物学、有機化学、公衆衛生学、
食品の生産・流通システム、消費者意識・消費者行動、情報交換)の委員からなる本委員会と、
その下に添加物、プリオンなど16分野の専門調査会が設置されている。
専門委員は非常勤で約200人で、官庁の施策も監視し、対策を勧告する権限もあり、
消費者らが意見交換するリスクコミュニケーションの推進も図る。
2004年8月末までに308件の評価案件があり、94件の審議が終了している。
2006年6月までには534件(うち2件は安全委の発議)の案件があり、257件の評価を終えている。
参 :
特定保健用食品(トクホ)
※食品安全委員会(HP) →
http://www.fsc.go.jp/
食品安全基本法(しょくひんあんぜんきほんほう) : 消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を
確保するための法律として制定され、2003(平成15)年7月1日から施行された。
参 :
食品安全基本法(法律)
食品衛生法(しょくひんえいせいほう) : 飲食による衛生上の危害の発生の防止、
公衆衛生の向上・増進を目的として1947(昭和22)年に制定された法律のこと。
食品および
添加物、器具および包装、表示および広告、検査、営業などについて規定されている。
暫定規制値 : 福島原発の事故を踏まえて政府が食品衛生法に基づき設けた、
放射性物質で汚染された食品の出荷や販売を規制する基準。
広島・長崎の
原爆被爆者の長期調査などから、
被曝線量が約100ミリシーベルト以下なら
がんなどの明確な健康影響があるとみられておらず、こうした数値をもとに、
さらに幅をもって設定された国際放射線防護委員会の勧告が土台になっている。
放射性ヨウ素で飲料水・牛乳1キロあたり300ベクレル、野菜類が同2000ベクレル。
放射性セシウムで飲料水・牛乳1キロあたり200ベクレル、野菜類・穀類・肉類など500ベクレル。
農産品から暫定規制値超える放射能「健康に影響ない値」
枝野幸男官房長官は2011年3月19日の記者会見で、福島県内の牛乳と茨城県内の
ホウレンソウから、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性ヨウ素などが検出されたことを
明らかにした。菅内閣は、東京電力
福島第一原子力発電所の事故の影響と見て調査し、
同原発から一定区域内の産品の摂取制限や出荷規制などの対応を検討する。
枝野氏は、日本人の平均的な年間摂取量で、検出された放射性物質濃度の牛乳を
1年間飲んだ場合でも被曝
(ひばく)量は胸部CTスキャン1回分程度であり、
ホウレンソウも同様の想定で被曝量は胸部CTスキャン1回分の5分の1程度、と説明。
「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではないということを十分ご理解いただき、
冷静な対応をお願いしたい」と呼びかけた。
厚生労働省は19日、福島県と茨城県に対し、該当する牛乳とホウレンソウの入手先や
流通先を調べ、その結果に基づき販売の禁止など必要な措置をとるよう要請した。
基準値の7.5倍ものヨウ素131が検出されたのに、
「健康に影響を及ぼす数値ではない」はないだろう。何のために基準値を設けているのだ。
CTは皮膚からの被曝だが、農産物の場合は体内に直接取り込むので条件は違い、
他の毒物・劇物との複合して蓄積する危険性は大いにある。
参 :
食品衛生法(法律)、社団法人
日本食品衛生協会(HP)
最近、カップラーメンやピザ、ハムなどに毒物が混入しているニュースをよく目にするが、
すべてに「毒物は微量で人体には影響ない」と報じられているいるが、
それなら何十万個と回収することはないわけで、食品衛生法上の基準値を超えているからでしょう。
したがって、影響はないとは言い切れるはずはなく、ほとんどの食品には合成保存料や
合成着色料など人体に良くない添加物を毎日のよう摂取しているうえに
このような毒物・劇物が微量であっても複合して蓄積しているのである。
基準値は、人体に影響を受けるとされる最大量を規定しているので、
通常は毒物の含有量は「0」でなければならないのに、2倍や10倍混入されていても
「人体には影響ない」というのはおかしく、「生命には影響ない」ということでしょう。
食品偽装 : 食品表示偽装のことで、表示している食品とはまったく違う食品を入れたり、
別の食品を混入したり、容量や賞味期限を偽ったりすること。
食品偽装事件の背景に企業の倫理観の欠如、行政の指導の甘さが指摘され、「偽装は昔からあった。
企業は消費者の方を見ようとせず、行政は把握しても問題にしてこなかった。内部告発で事態が
大きく取り上げられ、ようやく社会問題化した」と日本消費者連盟の水原博子事務局長は話している。
フランスでは食品偽装監視システムは1905(明治38)年に始まっているのである。
ある米穀商は「新米に古米を混ぜるのは、米流通業界の常識」と、うそぶいているのか
本音か知らないが、テレビの取材に平然としゃべっているのには、あきれてものも言えない。
新米か古米かはグアヤコール法という鮮度判定があるが、一般家庭では酸性・アルカリ度判定の
ようには簡単にできないので、行政の監督・指導・罰則の強化以外に方法がない。
それにしても、80%もの古米をまぜた新米をおいしいといって食べている日本人は、
味覚が鈍化してきている、新米の表示にだまされているだけ、のどちらでしょうか。
食品添加物(しょくひんてんかぶつ) : 食品を調理・加工・製造する時に、
加工や保存などの目的で食品に添加する物質のこと。天然物から抽出するものと化学的合成品がある。
調味料・香料・着色料・保存料など1500種類以上があり、それぞれに食品の味を調えたり、
色をきれいに見せたり、保存性を高めるといった役割がある。
食品衛生法という法律で許可を受けた後、使用が認められている、指定添加物(化学合成添加物)と、
天然物から抽出、分離されて、申請して使用できる既存添加物(天然添加物)に分けられ、
成分や使用基準などが定められている。原則として、食品に化学合成品を加えることは禁止されてる。
しかし、その例外として一部の化学合成品を、厚生大臣が許可したものが指定添加物である。
天然添加物は、特に有害でなければ、登録して使用できたが、現在は新規の登録は中止されている。
今後は、天然由来の添加物であっても化学合成品と同様に許可を受けた後、指定添加物となる。
日本での食品添加物の種類(平成16年10月現在)
分 類 |
品 目 数 |
例 |
指定添加物 |
345種類 |
グルコン酸、リン酸三カリウム、キシリトールなど |
既存添加物 |
489種類 |
エビ色素、クチナシ色素、カフェインなど |
天然香料 |
約600種類 |
カニ香料、バニラ香料など |
一般飲食物添加物 |
約100種類 |
イチゴジュース、緑茶など |
食品添加物の目的別分類
食品の保存性を高めるもの |
保存料、防かび剤、殺菌料、酸化防止剤、防虫剤、品質保持剤など |
食品の風味や外観を良くするもの |
発色剤、着色料、漂白剤、甘味料、酸味料、調味料、香料、
色調安定剤、光沢剤、苦味料など |
食品の製造上不可欠なもの、
及び作業効率を高めるもの |
豆腐用凝固剤、かんすい、消泡剤、膨張剤、
抽出剤、粘着防止剤、溶剤、酵素など |
食品の品質を向上させるもの |
増粘剤、糊料、乳化剤、チューインガム軟化剤、
結着剤、品質改良剤、保水乳化安定剤など |
食品の栄養価を高めるもの |
栄養強化剤 |
その他 |
pH調整剤、イーストフード、醸造用剤など |
加工食品の食品添加物リスト(●は避けたい食品添加物)
加工食品 |
主な目的 |
食品添加物 |
対処法(毒抜き) |
豆腐 |
豆乳を固める |
●にがり
(塩化マグネシウム)
●グルコノデルタラクトン |
遺伝子組み換え大豆を避けるため、
国産大豆100%使用のものを選ぶとよい。
水にさらすと、臭みと有害物質が溶け出る |
凍り豆腐 |
柔らかくもどす |
●アンモニア |
|
納豆 |
|
|
遺伝子組み換え大豆を避けるため、
国産大豆100%使用のものを選ぶとよい。
よくかきまぜて、納豆菌を活性化させると
抗酸化作用を発揮する |
油揚げ |
|
|
遺伝子組み換え大豆を避けるため、
国産大豆100%使用のものを選ぶとよい。
油抜きをすると、有害物質と余分な
脂が溶け出る |
カマボコ・
チクワなど
水産練製品 |
弾力を与える |
●リン酸塩 |
薄く切って湯ぶりをする |
たんぱく
変性防止 |
●ソルビット |
微生物を抑える |
●ソルビン酸 |
着色料 |
●赤色3、赤色106、
コチニール色素 |
ハム・
ソーセージ・
ウインナー・
ベーコン |
肉の色を保つ
(発色剤) |
●硝酸、亜硝酸塩、
コチニール色素 |
ゆでるか、湯ぶりをする(小さく切るか、
切れ目を入れればなおよい) |
風味の向上 |
●調味料、香料 |
肉を結着させる |
●リン酸塩 |
保存料 |
●ソルビン酸 |
チルド
ハンバーグ |
肉を結着させる |
●リン酸塩 |
湯通しをする。漬け汁(ソース)は捨てて、
新しく作るとよい |
タラコ |
着色料 |
●赤色102、赤色104 |
無着色で、
ビタミンCの表示があるものを選ぶ |
発色剤 |
●亜硝酸塩 |
弾力を与える |
●リン酸塩 |
シラス |
漂白する |
●漂白剤 |
白すぎるものは避ける。湯通しをする |
漬け物 |
保存料 |
●ソルビン酸 |
漬け汁を捨てて、水にさらす |
着色料 |
●黄色4、赤色102、
赤色106、青色1 |
インスタント
ラーメン |
保存料 |
●プロピレングリコール、
リン酸塩 |
麺を下ゆでして、スープはお湯をとりかえて
作る。カップ入りのインスタント麺も、
熱湯を入れて1分間おき、お湯を捨てて
から再び熱湯を注いで作る
(出来上がり時間から1分ほどおく) |
ポテトチップス |
|
|
遺伝子組み換え食材やポストハーベストを
避けるため、国産ジャガイモ100%使用の
ものを選ぶ |
清涼飲料水 |
保存料 |
●安息香酸 |
多飲は避ける。ジュースを飲む場合は、
果汁100%のものを選ぶ |
着色料 |
●黄色4・5、赤色2・
106、コチニール色素 |
甘味料 |
●アスパルテーム |
炭酸飲料 |
爽快感を与える |
炭酸ガス |
|
風味をつける |
酸味料(クエン酸など) |
カロリーを
減らす |
甘味料
(アスパルテームなど) |
自然の色を補う |
着色料 |
植物油 |
油をとりだす |
ヘキサン |
|
不純物を除く |
カセイソーダ |
脱色 |
白土 |
マーガリン |
油に水を混ぜる |
乳化剤(グリセリン
脂肪酸エステル) |
毒洗いの方法がないので、選ぶ段階で、
できるだけ無添加のものを選び、
避けたい添加物が含まれている場合は、
多食を避ける |
色をつける |
着色料 |
香りをつける |
着香料 |
保存料 |
●ソルビン酸など |
アイスクリーム |
乳脂肪を
均一にする |
乳化剤(グリセリン
脂肪酸エステル) |
同上 |
舌ざわりを
良くする |
安定剤
(アルギン酸ナトリウム) |
香りをつける |
着香料 |
着色料 |
●赤色2、
コチニール色素など |
冷凍食品 |
発色剤 |
●亜硝酸塩など |
同上 |
参 :
硝酸塩、
日本食品添加物協会(HP)
食品リサイクル法(Food Recycling Law)しょくひんりさいくるほう
正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号)」。
食品製造工程から出る材料くずや売れ残った食品、食べ残しなどの「食品
廃棄物」を減らし、
食品資源を有効に利用し、減量を図るために2001(平成13)年5月に施行された法律。
農林水産省・環境省所管。大量生産・大量消費社会から循環型社会への転換を促す目的で、
食品会社、小売り、外食など食品を扱う全事業者に食品廃棄物の減量、リサイクル、
熱回収などの促進を求めている。とくに食品廃棄物の年間発生量が100トン以上の
食品メーカーや流通業者、外食産業などの大規模事業者には食品廃棄物の削減や、
飼・肥料化などのリサイクル率(再生利用実施率)などの報告を義務づけ、
取り組みが不十分な場合には、企業名の公表や罰金などの厳しい措置をとる。
再生用途は飼料のほか肥料、油脂、メタンなど。家庭の消費者は対象外だが、
廃棄物の発生抑制と再生利用製品の利用についての努力義務がうたわれている。
点検結果を受けて、2007年に改正された。
主な改正点は@食品関連事業者に対する指導監督の
強化(多量発生事業者の定期報告義務付け、フランチャイズチェーンは店舗ごとではなく
1事業者として取り扱う)A再生利用事業計画認定制度の見直し(肥料化・飼料化による
農林水産業との連携強化を図る場合に、主務大臣の認定によって市町村域を越えた
食品廃棄物等の荷積み・収集・運搬の許可不要)B再生利用等に熱回収を追加、の3点である。
食品リサイクル法は、ロスの原因になっている売れ残り、食べ残し、
食品産業の廃棄物の発生抑制と減量化を図り、飼料や肥料として再生利用することが狙い。
食品循環資源の肥料化・飼料化を行う登録再生事業者は2006年10月時点で91社。
参 :
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律