食物(YSミニ辞典)

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食物繊維(dietary fiber)しょくもつせんい : ダイエタリー・ファイバー(DF)。食餌性(しよくじせい)繊維。
    定義としては、「人の消化酵素では加水分解されない食品中の難消化性成分の総体」となり、
    代表的なものとしては、植物に含まれるセルロース、ペクチン、動物に含まれるキチンなどがある。
    植物の繊維や細胞壁などを構成する多糖類で、ヒトでは消化できないか、消化の困難な物質。
    食物繊維には水分を吸収する性質があり、腸にたどりつくころには水分をたっぷり含んでいる。
    それが便を軟らかくし、排泄しやすくする。便が長く腸内にとどまるのを防ぐことで、
    大腸癌の発生を抑え、コレステロールの吸収を抑制し、
    食塩のナトリウムを排出させるため、心臓疾患だけでなく、
    動脈硬化高脂血症高血圧糖尿病肥満直腸癌などの予防にも効果がある。
    食物繊維が不足すると
     便秘、糖尿病、高脂血症、動脈硬化、胆石、高血圧、肥満、大腸癌などにかかりやすいなど。
    食物繊維を過剰にとると
     ビタミンミネラルの吸収阻害、下痢、消化不良など。    
食物繊維の種類
食物繊維成分 主に含まれる成分や食品 備      考


ペクチン(水溶性) 果物、トマトなどの野菜に含有。
ジャム、マーマレードの
ねばねば成分。
細胞内に含まれる多糖類、
粘性強くでんぷん
たんぱく質とよく混じり合う
グルコマンナン こんにゃく、山芋の成分。
ガラクトマンナン、
グア(植物)ガム
オーツ麦、豆類、大麦、などの植物
細胞に含まれる粘りけのある成分。
寒天 寒天
アルギン酸 昆布ひじきワカメ、などの
褐藻類(海藻)のヌルヌル成分。
水に膨潤させて冷やすと
ゼリー状に固まる
カラギーナン のり、天草(寒天)などの
紅藻類(海草)の成分。


セルロース 野菜、豆類、穀類のふすま、
米ぬかなどに豊富。
細胞壁の主骨格になる多糖類
ヘミセルロース 豆類、キャベツカボス
穀類のふすま、米ぬかなどに豊富。
         〃
ペクチン(不溶性) 未熟な果実・野菜などに豊富。 未熟な間は細胞壁の中にある
木質素ともいわれセルロースなど
と化学結合で結ばれている
リグニン ココア、豆類、人参大根
穀類のふすま、米ぬかなどに豊富。
キチン(キトサン) エビやカニの殻、いなご、に豊富。 その他かびや酵母の細胞にも
    @水溶性食物繊維(水に溶けるもの)
        糖分の吸収速度をゆるやかにするので、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、
        インスリンの分泌が無理なく行われ、糖尿病の予防や治療に大いに役立つ。
        さらに、血液中のコレステロール値を減少させて、
        動脈硬化症や胆石症を予防する働きもあり、不溶性食物繊維より効果が高い。
        保水性が高いのが特徴。
     主な働きは、◎コレステロール低下作用◎血糖の急激な上昇を防ぐ。◎血圧の上昇を抑制する。
             ◎吸水膨潤作用(水を吸って膨らむ)があり満腹感を生じやすい。
    A非水溶(不溶)性食物繊維(水に溶けないもの)
        発ガン性物質などの、腸内の有害物質を体外へ排出させるはたらきを持っているので、
        食物繊維が不足すると便秘になりやすく、
        ひいては大腸ガンなどの大腸の病気になりやすくなってしまう。
     主な働きは、◎食物の消化管通過時間の短縮や便量の増加や快適な排便に有効である。
               (大腸がんや大腸憩室症の抑制)




































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