少年(YSミニ辞典)

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少年院(しょうねんいん) : 家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容し、社会不適応の
    原因を除去し、健全な育成を図ることを目的として矯正教育を行う国立の施設(少年院法1条)。
    また、懲役や禁錮の言い渡しを受けた16歳に満たない者のうち、少年院での矯正教育が有効と
    認められたものを、16歳に達するまで収容することもある(同法1条、少年法56条3項)。
    矯正院の後身で、1948(昭和23)年の少年院法で定められ、法務省矯正局の管理下に置かれた。
    少年院の種類
     初等少年院 : 心身に著しい故障のない、14歳以上おおむね16歳未満の者を収容する。
     中等少年院 : 心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容する。
     特別少年院 : 心身に著しい故障はないが犯罪傾向の進んだ、おおむね16歳以上
               23歳未満の者を収容する。ただし、16歳未満の少年院収容受刑者も収容できる。
     医療少年院 : 心身に著しい故障のある、14歳以上26歳未満の者を収容する。
    医療少年院を除けば、それぞれに男子と女子に別々の施設が設けられる(同条6項)。
    女子を収容する少年院は、正式名称ではないが「女子少年院」と呼ばれる。
    少年院の処遇の区分 : 非行の進み具合に応じての区分があり、
     さらに一般短期処遇と長期処遇には、少年の問題性、教育の必要性等に応じた処遇課程を設けている。
     一般短期処遇
      対象者 : 早期改善の可能性が大きい少年
      処遇課程 : 教科教育課程・職業指導課程・進路指導課程
     長期処遇
      対象者 : 短期処遇になじまない少年
      処遇課程 : 生活訓練課程・職業能力開発課程・教科教育課程・特殊教育課程・医療措置課
     特修短期処遇
      対象者 : 早期改善の可能性が大きく、開放処遇に適する少年
少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし) : 若いと思っているが直ぐに年老いてしまい、
    志(こころざ)す学問は遅々として進まない。年月は移りやすいので寸刻を惜しんで勉強せよということ。
    朱憙「偶成詩」の「少年易老学難成、一寸光陰不可軽、未覚池塘春草夢、階前梧葉已秋声」を
    漢詩訳した、少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んず可からず、未だ覚めず池塘春草の夢、
    階前の梧葉已に秋声、の先頭部分より。全体の口語訳は、少年時代は時の経過が早く、
    いつのまにか年老いた時を迎えがちなものであるが、それに反し、学業はなかなかに
    成就しないものである。それゆえ若い時代には、わずかな時間でもゆるがせにしてはならない。
    池のほとりの堤に萌え出る若草のような少年時代の夢がまだ覚めきらないうちに、
    階段の前の青桐の葉は、はやくも秋風に吹かれてさびしく音をたてて散っている。
    【類語】●光陰矢の如し
少年鑑別所(しょうねんかんべつしょ) : 少年法17条1項2号の規定により、
    家庭裁判所から観護措置として送致された少年を収容するとともに、少年に対する調査・審判や
    保護処分及び懲役又は禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、
    医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づき、少年の資質の鑑別を行う
    施設をいう(少年院法16条)。少年鑑別所は、単なる拘禁施設ではなく、少年の資質の鑑別を通じて、
    少年の科学的処遇を実現することが重要な役割である。
    所管は、法務大臣(法務省矯正局)に属する(少年院法17条)。 参 : 矯正局
少年刑務所(しょうねんけいむしょ ) : 16歳以上20歳未満の少年で、刑事裁判を受け、
    実刑(懲役または禁錮)の言い渡しを受けた少年を収容し矯正するための刑事施設。
    現在は26歳未満の青年受刑者も収容している。
    少年刑務所は全国に、函館、盛岡、水戸、川越、松本、姫路、奈良、佐賀の8カ所有り、
    川越少年刑務所は初犯の青少年を収容している。函館少年刑務所に収容されているのは、
    少年の受刑者や初犯など犯罪傾向の高くない成人の受刑者で、
    ここでは全国の刑務所から受刑者を選抜し職業訓練を行っている。
    少年新受刑者数は1951(昭和26)年の3119人をピークとした後、減少傾向が続き、
    平成8年には41人となった。その後は緩やかな増加傾向にある。
    平成14年の新受刑者数は87人で、罪名別に見ると刑法犯が81人、特別法犯が6人である。
    刑法犯のうち、最も多いのは強盗関係で30人、次いで傷害関係25人、殺人7人、
    業務上過失致死傷と窃盗がそれぞれ6人となっている。
    参 : 矯正局財団法人矯正協会附属少年非行問題相談センター仮釈放
少年の保護処分(しょうねんのほごしょぶん) : 家庭裁判所による少年の保護処分には
    @少年院への送致A児童自立支援施設・児童養護施設への送致B保護観察の3種類があり、
    保護観察はこの中で最も活用されている処分で、少年を施設に収容せず家庭に置いたまま、
    保護監察官や保護司の指導によって改善・更生を図る。
    少年院への送致は最も厳しい処遇である。但し14歳以上の場合は、
    通常の刑事処分を受けることもある。犯してしまった犯罪を償う意味がある成年の刑事処分と違い、
    少年の保護処分は、少年を更生させ再び社会に参加させるためのもので、
    生活や周囲の環境を改善して、当事者の健全な育成を目指している。
少年法(しょうねんほう) : 少年の健全な育成のために、非行のある少年の性格矯正および
    環境調整に関する保護処分と、少年の福祉を害する成人の刑事事件に対する
    特別措置について定めた法律のことで、1922(大正11)年に制定された旧少年法を全面改訂して
    1948(昭和23)年に制定された。2001年4月1日より改正少年法が施行され、
    刑事罰対象年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に「引き下げ」られ、
    16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死に至らしめた場合、
    原則、検察官送致となる。また観護措置期間の延長が2週間プラス延長2週間が8週間までになった。
    少年法61条
     氏名、年齢、職業、住居、容貌などにより、少年時に罪を犯した本人を推地できるような記事または
     写真を新聞・出版物に掲載することを禁じている。罰則規定はない。

    少年法(58条)には「少年の無期刑は7年で仮出獄できる」とある。
    1999年4月14日、当時18歳の元会社員が山口県光市内の会社員・本村洋さん(30歳)方の
    社宅アパートに入り、妻の弥生さん(当時23歳)を絞殺して暴行し、
    生後11カ月の長女夕夏ちゃんも泣きやまなかったため床にたたきつけ、
    首をひもで絞めて殺害した「光市母子殺害事件」で、殺人や強姦致死などの罪に問われ、
    山口地方裁判所で行われた裁判では1999年12月の論告求刑で検察側は死刑を求刑したが、
    2000年3月の山口地裁の判決では「未熟で矯正の余地がある」と無期懲役を言い渡し、
    この判決に検察が控訴したが2002年3月広島高裁は1審判決を支持し、控訴を棄却した。
    検察は最高裁へ上告し、最高裁で2006年3月14日に口頭弁論を開く予定だったが、
    2006年2月に被告の弁護人を引き受けた安田好弘弁護士ら2人が日弁連の仕事などの
    理由にならない理由でドタキャンしたために4月18日へ延期された。
    2006年4月18日に最高裁で口頭弁論が開かれ、検察側は「動機、殺害手段、
    結果の重大性などを考えれば、死刑にすべきだ。2審判決は判例に違反し、著しく正義に反する。
    本村さんの処罰感情も峻烈(しゅんれつ)を極めている」と指摘した。
    2006年6月20日午後3時に判決が言い渡され、浜田邦夫裁判長は、2審・広島高裁判決を破棄し、
    審理を差し戻した。同小法廷は、被告が当時18歳1カ月で、更生の可能性が否定できないとした
    一、二審判決について「死刑を回避すべき決定的事情とまでは言えない」と指摘し、
    「無期懲役判決は甚だしく不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」との判断を示した。
    同高裁で改めて審理されるが、元会社員に死刑判決が言い渡される可能性が極めて高くなった。
    【本村 洋】1976(昭和51)年堺市生まれ。広島大学工学部卒業。1998年春より新日鐵入社。
     2000年4月14日、1年前の同日に少年に殺された妻弥生さんとの手紙の交換を中心とした
     「天国からのラブレター」を新潮社から出版(四六判・255ページ・定価1155円)。
     この作品が新進の女性監督、山口円さんによって映画化されることが2006年6月15日に分かった。

    弥生さん一人にしぼり、強姦する目的で事前に計画のうえ、排水検査などとうそまでついて不法侵入し、
    殺人と強姦致死に至らしめたことは事実だし、友人への手紙から被告人の反省の情はまったくないのに、
    何故裁判に7年もの歳月が必要なのだろうか。無期懲役判決は甚だしく不当と言うのなら、
    最高裁で判決を下して結審すればすむことだ。遺族の無念の思いや犯罪被害者の権利を、
    懸命に訴えてきた本村さんは、これからまた何年公判に付き合えばいいのだ。
    一刻も早く願いが叶えられ、まだ若い本村さんには再婚による幸せな家庭を再び取り戻してほしい。






































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