心臓関連(YSミニ辞典)

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狭心症(angina)きょうしんしょう : アンギーナ。心臓近くの胸骨(後)部に起こる一過性の
    しめつけられるような疼痛(とうつう) 発作や、呼吸困難が突然起こる病気。
    原因は、冠動脈の内側にコレステロールなどがたまって狭くなり、心臓壁血管(冠状動脈)の
    動脈硬化や痙攣(けいれん) ・狭窄(きようさく) ・閉塞(へいそく) などによって心筋に
    十分な酸素が送られず、虚血状態になることで起こる。硝酸薬で発作を鎮めることができる。
    症状は、坂道や階段など、急に激しく体を動かした時、胸につまるような痛みや圧迫感を感じる。
    微小血管狭心症(びしょうけっかんきょうしんしょう)
     心臓の筋肉内を走る300マイクロ・メートル(1マイクロ・メートルは1000分の1ミリ)以下と
     髪の毛ほどの極細血管が狭くなったり、詰まったりして胸痛を起こす。40〜50歳代の女性に多く、
     胸だけでなく、のどや背中など、様々な部分が痛むことがあり、痛みは1時間以上続くこともある。
      米国で1980年代に、一つの病気として認められた。
     血管を広げる作用がある女性ホルモンのエストロゲンが減る更年期以降の女性に
     発症することが多いことから、心臓の細い血管が収縮しやすくなり、痛みが出ると見られている。
     大きな血管が詰まるほどではないので、心電図検査などで見つけることが難しい。
      心臓に細い管(カテーテル)を入れ、特殊な薬を使って極細血管の狭さくを調べるなどして
     確定診断できる。しかし、検査は体に負担がかかるので、症状から診断されることが多い。
      同じ臓器の病気でも、男女で症状が異なる点に注目する「性差医療」の代表例として
     注目され始めている。   
普通の狭心症と微小血管狭心症の主な違い
  普通の狭心症 微小血管狭心症
病状(起因) 心臓表面の直径2ミリほどの
太い冠動脈が動脈硬化などで
狭くなったり、けいれんしたり
することで、血流が悪くなる
血管を広げる働きのある
女性ホルモンの減少で、
髪の毛ほどの極細血管が
狭くなったり、詰まったりする 
症状 心臓近辺がキリキリ痛む 胸だけでなく、のどや背中など、
様々な部分が痛むことがある
患者の性別 中高年の男性に多い  圧倒的に更年期の女性に多い
胸痛発作の時期 発作時に起きることが多いが、
安静時に起きるタイプもある
安静時に起きることが多い
胸痛の持続時間 5〜10分程度 長い傾向にあり、1時間以上、
半日以上続く人もいる
心電図・カテーテル検査 診断に有効 異常か見つかりにくい
ニトログリセリンによる治療 胸痛を抑える効果あり 効果は薄く、カルシウム
拮抗財が有効な場合が多い
    参 : 心不全心筋梗塞生活習慣病
心筋梗塞(cardiac infarction、myocardial infarction)しんきんこうそく
    動脈硬化などで心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈に血栓などが生じて血液の循環障害が起き、
    その部分の心筋が壊死(えし)する疾患で、死に至ることがある恐ろしい病気である。
     厚労省の調査では2008年の急性の心筋梗塞の患者は4万9千人。
    研究班によると、2000年に調べた全国23地域の患者759人の死亡率は21%、
    半数は病院に着く前に心停止していた。
    原因 : 狭くなった冠動脈の内側に、血栓(血の固まり)ができて、血液が送られなくなり、
     心臓の筋肉の一部が死んでしまうことで、メタボリックシンドロームになると
     発症の危険性が急速に高まる病である。
    症状 : 狭心症とは比べものにならないほど胸部前面に激しい痛みが起こり長時間持続し、
     むかつきや脂汗をかくといった症状のほか、呼吸困難・不整脈・チアノーゼ・ショック状態などを呈する。
     主な初期症状
      ●圧迫感や膨脹感、痛みなど胸に感じたことのない不快感
      ●胸や背中、首、あご、みぞおちなどに痛みや不快感
      ●息切れ、冷や汗、吐き気、頭がフラフラするなどもある
    
    埼玉県医科大学の心臓血管外科チームは2005年8月27日、
    重い心筋梗塞で補助人工心臓を着けた61歳の男性患者に、本人の骨髄から採った細胞を
    心臓の血管に注入した結果、人工心臓なしで自宅療養できるまでに回復した、と発表した。
    自分の細胞の移植(自家細胞移植)で血管や筋肉の再生を目指す再生治療を心臓病治療に
    併用する試みは、国内で数例あるが、重い心筋梗塞からここまで劇的に回復した例は初めてという。
    心臓移植以外に回復の見込みがなかった重い心筋梗塞などの人にとって、
    拒絶反応の心配がない自分の細胞を使う再生治療が新たな選択肢に育つ可能性が示された。
    参 : 心不全生活習慣病
心筋症(cardiomyopathy)しんきんしょう : 心筋に病変を有するすべての疾患の総称。
    明らかな原因なしに、心臓の壁が厚くなったり、逆に薄くなって、
    心臓から血液を送り出せなくなる病気のこと。
    ただし、虚血性心疾患・心臓弁膜症・肺性心など、病因の明らかなものを除く。
    分類
     ●拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM) : 内腔の過剰な拡大ならびに、
      それによる収縮力の低下を特徴とする。
     ●肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM) : 左心室の異常な肥大があるが、
      内腔は拡大せず、中隔の肥厚によってむしろ狭くなる。
     ●閉塞型心筋症
     ●非閉塞型心筋症
     ●拘束型心筋症(restrictive cardiomyopathy) : 心内膜の繊維性肥厚および
      心筋の繊維化によって心室の拡張が制限される心筋症。
     ●アルコール性心筋症 : 断酒で軽快する。
    症状 : 肥大型心筋症では動悸、胸部圧迫感などを訴えることがあるが、とくに非閉塞性では
     明らかな自覚症状はなく、健診などの心電図あるいは胸部単純写真から診断されることが少なくない。
     閉塞性ではめまいあるいは失神発作を認めることがある。
     拡張型心筋症では心不全症状である呼吸困難、動悸、浮腫(ふしゅ)、疲れやすさなどを認める。
    診断 : 診断のきっかけは心電図および胸部写真だが、診断の確定は心エコーによる。
     心エコーにより心筋の厚さ、内腔の拡大程度、心筋の収縮力などを患者に負担を与えず、
     比較的短時間に診断できる。より正確な診断をするためには心臓カテーテル検査を行い、
     心臓の機能を調べるとともに心臓の組織を採取(心筋生検)することもある。
     ともに合併症として重症心室性不整脈を認め、それが心臓性急死の原因となることがあるので、
     24時間心電図(ホルター心電図)などによる不整脈に対する検査も重要である。
人工心臓(Artificial Heart)じんこうしんぞう : 心臓の機能を代行する装置。
    心筋梗塞や心筋症、心臓手術後などで不全に陥った心臓に対し、機能を失った心臓をそっくり取り除き、
    そこに人工心臓を埋め込む「完全(全置換型)人工心臓」と、残したまま足りない心拍出量の一部を補う
    「補助人工心臓」の2タイプがある。補助用人工心臓は、強い力を必要とする左心室の補助に使われる
    「左心補助用人工心臓」が一般的で、ほかには右心室を補助するもの、両心室を補助するタイプなどが
    あり、症状に合わせて使い分けられる。 以前はポンプを外に置く体外式が一般的だったが、
    今はポンプを体内に置く埋め込み式が主流になっている。バッテリーも小型化し、携帯できるように
    なってきた。将来は、駆動系や制御系も体内に埋め込むことができるようになると言われている。
    人工心臓のポンプには、血液の流れが脈を打つ「拍動流型」と、血液の流れが連続する「連続流型」の
    二つがあり、拍動流型は本来の心臓の動きに近く、連続流型はより小型化が可能であるなど、
    それぞれに利点がある。補助心臓をつけている間は、基本的には安静が必要だが、
    車椅子などでゆっくりと動くことも可能である。人工心臓の研究は、1957(昭和32)年に
    アメリカで日本人の手によって開始された。現在の国産の補助心臓は、1つにつき約350万円。
心臓(the heart)しんぞう : @循環器系の原動力となる中枢器官。収縮と拡張を交互に繰り返し、
     静脈から戻ってくる血液を動脈に押し出し、全身に送るポンプの働きをする。
     人では握りこぶし大で、胸腔内の横隔膜のすぐ上、やや左側にあり、3層の膜に包まれ、
     内腔は隔壁・弁膜によって左右の心房・心室の四部分に分かれる。
     魚類では1心房1心室、両生類では2心房1心室、鳥類・哺乳類では2心房2心室に分かれる。
    A組織や物事の一番大事なところ。
    B「心臓が強い」と言うことから厚かましいこと、ずうずうしいこと、押しが強いことなどの意の、俗な言い方。
心臓再同期療法(しんぞうさいどうきりょうほう) : ペースメーカーをつかって心臓のポンプ機能を
    取り戻す方法で、中〜重度の心不全患者の方への新しい治療法である。
    健康時と同様、心室が全体にできるだけ同時に収縮するように人工的に電気信号を送りつづけて、
    心臓のポンプ機能を取り戻す。欧米で行われた臨床試験の成績では、手術の成功率は90%以上、
    症状が改善したのは全体の7割だが、不整脈に対するペースメーカ治療と違って、
    心臓再同期療法は重症の心不全の方を対象としているので、
    手術を受けても症状が改善しない可能性もある。新型ペースメーカーが2004年の保険適用以降、
    順調に広まり、最近は月約100人に使われるようになってきた。
    2006年7月からは、突然死を防ぐ助細動機能を備えた「CTR−D」型も保険適用になり、
    手術にかかる費用は、70歳未満の方で区分が「一般」の場合、患者さんが支払う金額は
    約10万円くらいである。患者さんが負担する金額はその方の所得や支払った医療費の金額によって
    異なるが、国民健康保険や政府管掌健康保険などに加入している場合は高額療養費制度が利用でき、
    自己負担限度額を超える分は後日払い戻される。
    心臓再同期療法を受けるための条件 : 以下の条件すべてにあてはまる方で、
    心臓再同期療法を行うかどうかは、医師の判断が必要である。
     ●中等度〜重度(NYHAクラスIII〜IV)の心不全で
     ●電気信号の伝わりかたに異常があって心室の収縮がうまくいかない「心室同期障害」のある方
     ●心臓のポンプ機能が非常に弱い方(左室駆出率35%以下【正常値:55%以上】)
     ●いろいろな薬で治療しているが症状が改善しない方
    参 : 心不全.com
心臓病(a heart disease)しんぞうびょう 
    心臓の疾患の総称をいい、心臓疾患(しんぞうしっかん)や心疾患(しんしっかん)とも呼ばれる。
    全身へ血液を送るポンプという働き上、重篤な症状を起こすものも多い。
    1985(昭和60)年からは脳卒中などの脳血管疾患を抜き、がん(悪性新生物)に次いで、
    日本人の死亡原因の第2位となっている。心臓病にはさまざまな種類があり、
    風邪などのウイルスが心臓に付着して起きる「心筋炎」、心臓への血液の逆流を防ぐ、
    弁の不具合による「心臓弁膜症」や「心内膜炎」、「心臓神経症」なども、心臓病と呼ばれるもので、
    心臓に栄養を補給する冠動脈が狭くなったり、詰まる、
    心臓自身の力が弱まる、心臓の鼓動が不規則になる、などの病気のことである。
    そして、心臓疾患があると、動悸(どうき)、息切れ、胸痛、むくみ、手足の冷え、
    めまいや立ち眩み、呼吸困難などの、いろいろな症状が出てくる。
    食生活の欧米化などの生活習慣の変化により年々増加傾向をたどっている。
    虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞などの虚血性心臓病)
     心臓の筋肉(心筋)に血液を送る3本の動脈(冠状動脈)が狭くなったり、塞がったりして、
     そこから先の心筋に十分な血液が供給されなくなることによって酸素不足に陥る状態をいい、
     心臓病のなかでも死亡者の3割を占める狭心症心筋梗塞などがある。
     原因としては、動脈硬化や冠動脈の痙攣、血栓等による塞栓等が挙げられる。
     心筋に血液を運ぶ冠動脈が動脈硬化になると、心筋に十分な血液が供給されなくなる。
     すると正常に機能するためのエネルギーや酸素が不足して心臓の働きが低下し、
     軽い心臓発作・狭心症を起こし、動脈硬化がさらに進んだときに心筋梗塞は起きる。
     滞った血液が固まって血栓となると冠動脈が塞がれ、血液の供給は完全にストップするので
     心筋組織は壊死し、心臓はパニック状態となる。
     強烈な痛みにおそわれ、そのまま死亡してしまうこともある怖い病気である。
     治療として、内服治療、カテーテル治療、手術がある。
     冠状動脈が細くなり(狭窄)心筋が一時的に酸素不足に陥るのが狭心症で、
     冠状動脈が完全に詰まってしまう(閉塞)のが心筋梗塞である。
     現在治療中の患者数は14万人いるといわれている。
    心臓疾患の前兆
     @動悸、息切れがし、脈がおかしい。
     A胸に圧迫感、痛みを感じる。
     Bめまいがする。
     C左背部に痛みや著しい不快感がともなう。
     D喫煙時に@かAのどれかがおこる。
     E急に寒さにさらされたときとか運動中に@かAのどれかがおこる。
     F冷汗が出て失神する。
     Gストレスがあると15〜20分間以上、動悸、息切れがつづく。
    心臓病を予防するには
    食事で予防
     ■コレステロールを摂りすぎない : 動物性脂肪のなかでも特に肉の脂身やバター、生クリームなど
      常温で固まっている脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれ、血液中のコレステロールを増加させる。
      脂肪の摂りすぎのほか、喫煙・ストレス・食べすぎ・飲み過ぎなどの生活習慣は、動脈硬化に
      直結し、高血圧糖尿病高脂血症も動脈硬化を増長するので、これらの病気への注意も必要。
      一方、植物油にはコレステロールを減らす働きのある不飽和脂肪酸が含まれている。
      また、イワシサンマ、サバなど青背の魚にはEPADHAが多く含まれ、
      体内でコレステロールが作られるのを抑えたり、血栓を予防する効果がある。
      但し古くなると酸化して老化の原因になるいわれている過酸化脂質に変化しやすいので、
      新鮮なものを食べましょう。
     ■腸でのコレステロール吸収を抑え、排泄を促進する働きがある食物繊維をとる : 
      野菜、きのこ類、豆類など食物繊維をたくさんとるようにしましょう。
     ■塩分の制限 : 食塩のとりすぎは高血圧の原因になる。目標は1日10グラム未満。
       (調理方法にもよるが、ラーメン1杯で5〜6グラム、みそ汁1杯で1.5〜2グラム含まれる)
     ■心臓の栄養の補給法 : 心臓の栄養となる脂肪は肉類から摂るのがよく、
      肉を醤油に漬けた後、ラップに包んで500Wの電子レンジで2分加熱する。
      また、毎日充分な水分を摂るとともに、1日1杯の牛乳を飲むと良い。
    運動で予防
     ■有酸素運動を行う : ウォーキング、水泳など、体内に酸素を取り込みながら行う有酸素運動は、
      心臓病のほか、さまざまな生活習慣病に効果がある。身体に無理な負担をかけないで行いましょう。
      また肥満は、動脈硬化を促進するだけでなく、酸素やエネルギーを余計に消費するので
      心臓の負担が大きくなり、発作が起きやすくなる。
      適度な運動で心臓を鍛えるとともに減量をこころがけましょう。
心臓マッサージ(しんぞうマッサージ) : 心マッサージ。心臓が止まったときの応急処置。
    外力により人工的に心臓を動かすこと。外から胸骨部を圧迫する方法と、
    開胸手術をして直接心臓をマッサージする方法とがある。
    効果的な心臓マッサージ : 救急車が来るまでは気道の確保、口から口への人口呼吸、
     心臓マッサージを行う必要があるが、これらの手順が分からない人は、
     心臓マッサージだけでも十分効果があり、救命率が2倍高くなるとされている。
    心臓マッサージの方法
     @傷病者を固い床面の上に上向き、水平位にねかせる。
     A救助者は、傷病者の片側、胸のあたりに膝をつく。
     B救助者は胸部の側方の肋骨の縁に、人差指と中指の2本の指を置く。
      人差指が顔側となるように置き、2本の指を、肋骨の縁に沿って最中央部に移動させる。
      さらに中指を窪んだところに置き、人差指が胸骨の上となるようにする。
      さらに、圧迫部位を確認した手を胸骨に置いた手の上に重ねる。
     C両肘をのばし、脊柱に向かって垂直に体重をかけて、体の中心線と両乳首を結んだ線の
      交わった部分の胸骨を垂直に両手で3〜5cm(8歳以上)押し下げる。
     D手を胸骨から離さずに、速やかに力をゆるめる。
     E心臓マッサージは、毎分80〜100回の速さで行い、「強く、早く、絶え間なく」が基本であるる。
    乳児・幼児の場合 : 胸骨上で乳頭を結ぶ線と剣状突起の間を圧迫する。
     乳児は、1〜2本の指で毎分100〜120回の速さで胸骨を1〜2cm押し下げる。
     幼児は、片手の手のひらのつけねで毎分80〜100回の速さで胸骨を2〜3cm押し下げる。
    参 : AEDPCPS
心肺機能(しんぱいきのう) : 心臓の働き(持続力)。
    血液中に酸素を取り込み、血液中の炭酸ガスを体外に排出する肺の働きと、血液を循環させ、
    肺で取り込んだ酸素を全身の組織に送り、各組織が出した炭酸ガスを肺へ運ぶ心臓の働きをいう。
    加齢や運動不足などによって機能が低下し、必要な酸素を取り込めなくなったり、
    血液を体の隅々まで送れなくなったりする。
    運動などで強い負荷をかけると息切れ、動悸、めまい、疲労感などが生じる。
    心肺機能が低下してくると、動脈硬化などの症状につながり、
    狭心症心筋梗塞脳梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こしてしまうこともある。
    心肺機能は、運動をしないでいるとどんどん衰え、それにつれてスタミナ(持続力)もなくなってくる。
    スタミナの衰えを防ぐには、心肺機能を強化する運動が不可欠になる。
    心肺機能が増大するということは、最大酸素摂取量(激しい運動をした時の、
    運動中の酸素の摂取量の最大値)が増大するということである。
心不全(cardiac failure)しんふぜん : 「心臓の働きが不十分な結果、起きた体の不健全な状態」をいい、
    心筋変性・心臓弁膜症・高血圧症・心膜炎などのため、
    心臓が身体の必要とする血液を十分に送り出せない状態のことで、症状としては、
    動悸や息切れ、呼吸困難、むくみである。最初は坂道や階段を上る時に動悸や息切れが起こり、
    病状が進行すると平地を歩いても息苦しくなる。さらに進むと、
    夜、床につくと咳が出たり、息苦しさで寝られなくなったりする。また足にむくみが出ることもある。
    他にも倦怠感、疲労感、食欲不振、体重減少、動悸、不整脈、尿量減少、浮腫、呼吸困難、喀痰増加など。
    日常的には、脈拍が速くなる(100/分以上が続く)というのが分かりやすい指標。
    これらの症状は、ポンプ機能低下に伴い全身の臓器に十分な血液が流れないことから起こる症状と、
    全身の血液が心臓に戻りにくく、うっ滞することによって起こる症状に分けられる。
    心不全はその出現の仕方により2つに区別されており、心筋梗塞などによって起こる場合を急性心不全、
    高血圧症や心臓弁膜症などによって徐々に起こってくる場合をうっ血性心不全と呼んでいる。
    また、左心室の機能の低下による心不全は左心不全で、症状は息切れで、とくに運動後に起こる。
    右心室の機能の低下による心不全を右心不全といい、倦怠感と体の各部の浮腫がある。
    心不全の治療方法
    心不全は心疾患の35%を占めているが、早く治療すれば危険はさけられ、早く医師に相談し、
    血圧、血液、尿、X線、心電図などの検査をして、医師の指示に従って治療する。
    内科的療法としては強心剤や利尿剤の投与が行われる。
    日常生活では、心臓に負担をかけないようにすることが最も大切である。はじめは肉体労働を制限し、
    安静に寝ていて、状態が良くなってきたら、徐々にふつうの生活に戻る準備をする。
    食事にも注意が必要で、消化しやすいものを何回にもわけてとるようにし、
    特にビタミンB1の補給に心がける。特に注意を要することは、食塩を制限することである。
    参 : 狭心症生活習慣病
心房細動(しんぼうさいどう) : 規則正しかった脈拍が突然、乱れる不整脈の一種で、
    心臓の心房が洞結節からの刺激に応ずる正常の収縮を行わず、
    心房各所に不規則な刺激を生じて無秩序に興奮する状態をいい、
    それに伴い心室の収縮も不規則かつ頻繁となり心拍数100を越える(絶対性不整脈)ことをいう。
    心房のいろいろな部分で電気刺激が発生し、それが心房の中でくるくる回って起こる不整脈で、
    心房の筋肉がブルブルと振動するような状態になる。
    そのため、心房がしっかりと収縮しなくなり、血液や心室に送り込む機能が低下してしまう。
    ただし、肺や全身に血液を送り出す心室に比べ、心房は戻ってきた血液を一時ためておく部分なので、
    たとえ機能が低下しても、それで命にかかわることはない。
    不快で不安を感じるものの、それ自体は命にかかわるものではないが、
    問題なのは、心房内に血液がよどんだ状態になることで、
    血液が心房内にたまることによって心房内に「血栓(小さな血液のかたまり)」ができやすく、
    これが血流に乗って心臓の外へ流れ出すと危険で、
    に行って血管を詰まらせると、脳梗塞を起こす危険がある。
    心房細動は、期外収縮に次いで多い不整脈で、特にお年寄りや高血圧の人によく見られる。
    老化や高血圧によって、心房の壁が伸びたり、線維化することが関係していると考えられている。
    僧帽弁膜症・高血圧性心疾患・バセドー病その他の心不全の際にも見られる。
    心房細動の推定患者は約100万人。うち1年間で約4万人が脳梗塞の一種、
    心原性脳塞栓症になると考えられている。脳内の太い動脈が詰まるため、
    広い範囲が障害を受け、重症化しやすく、死亡率も高い。
    心房細動の危険要因 : ●ストレス●高血圧●高齢(70歳以上)●アルコール
     ●甲状腺の病気●心臓弁膜症●心筋症などがある。
    参 : 日本心臓財団(HP)

    心房細動に新薬「ダビガトラン」
     2011年1月に承認された抗凝固薬のダビガトラン(商品名プラザキサ)は、「血液サラサラ」状態を保ち、
    血液の塊が引き起こす脳卒中を予防する新薬で、3月に半世紀ぶりに発売された。
    治療の選択肢が増え、脳梗塞の患者を減らすと期待される一方で、重大な副作用の報告が相次いでおり、
    安全性の確保が課題になっている。
    ダビガトランの特徴
     長所 : ●納豆や青汁、野菜などの食事制限がない
           ●1カ月ごとに飲む量の調整がいらない
     短所 : ■出血リスクを事前に知る手段が限られる
           ■腎障害があると使えない
           ■抗血小板薬と併用すると出血しゆすい
           ■値段が従来より使われてきたワルファリンより高い
    ダビガトランの副作用による死亡例報告で警告欄追加
     厚生労働省は2011年8月12日、直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(商品名プラザキサ)の服用で、
    薬剤との関連が否定できない出血性副作用による死亡例が5例報告されていたとして
    改めて注意喚起を行った。これを受け、発売元の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は
    安全性速報(ブルーレター)を出し、添付文書に警告欄を新たに設けるなどの
    対応を行うことを明らかにしている。一方、同じ日には日本循環器学会が
    「心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント」を発表した。
不整脈(arrhythmia、Cardiac Dysrhythmia)ふせいみゃく
    心臓の刺激伝導系のどこかに異常が生じることにより、一定の間隔で起こるはずの脈が速くなったり、
    遅くなったり、不規則になったりするなど、脈の打ち方や心拍動が乱れた状態をいう。
    自然のペースメーカである心臓の洞結節で電気刺激が規則正しく発生し、それが
    刺激伝導系を正しく伝わっていれば、心臓は1分間に約60〜80回のリズミカルな収縮を繰り返す。
    ところが、洞結節以外の部分で異常な電気刺激が発生したり、
    電気刺激が刺激伝導系をうまく伝わらなかったりすると、心臓が収縮する速さやリズムに乱れが生じ、
    その結果脈がみだれます。この脈のみだれが不整脈である。
    不整脈の種類
     ●頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく) : 通常より脈が速くなり
      動悸を感じるタイプの不整脈で、1分間の脈が100回以上になる場合をいう。
      命にかかわる危険な頻脈もあるが、健康な人でもちょっと緊張しただけで
      脈が速くなることがあるように、多くの場合は心配のないものである。
     ●徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく) : 通常よりも脈が遅くなる、
      もしくは脈が途絶えるタイプの不整脈で、1分間の脈が50回以下になる場合をいう。
      スポーツ選手などにはよく見られる状態で、命にかかわるようなケースをまれである。
      ただし、極端に脈拍数が少ない場合には、失神などを起こす危険性があるので、
      「ペースメーカー」などによる治療が行われる。
     ●期外収縮 : 洞結節以外の部分で発生した電気刺激によって、規則的な収縮のほかに、
      予定外の収縮が起きる不整脈をいう。最も多く見られる不整脈だが、大部分は治療を必要としない。
    危険な不整脈 : 危険な不整脈としては、脈が速くなる不整脈(頻脈性不整脈)が中心で、
     そのなかでも、次のようなものがあげられる。
     ■心房細動 = 心房細動(別掲)
     ■心室頻拍(ひんぱく) : 心室に異常な電気刺激が発生し、
      それが心室内でくるくると回転しておこる不整脈で、
      この異常な電気刺激によって、心室の筋肉は速いリズムで収縮を繰り返すようになる。
      脈はかすかに振れる程度になり、心室から血液を送り出すポンプ機能が低下する。
      数分以上続く場合には、「心室細動」に移行することがあるので、素早い処置が必用である。
      心室頻拍は、心臓の異常のない人に突然起こることはほとんどなく、
      「心筋梗塞」や「心筋症」など、ほかの心臓病があって起こるケースが大部分である。
     ■心室細動 : 心室頻拍と同じように、心室に異常な電気刺激が発生することで起こる。
      心室頻拍のさらに悪化した状態で、心室の筋肉はブルブル震えるだけで、きちんと収縮できなくなる。
      血液を肺や全身に送り出さなくなるために、すぐに治療しないと死に至る最も危険な不整脈である。
      この不整脈も、大部分は心筋梗塞や心筋症など、ほかの病気があって起こる。
    不整脈の要因 : さまざまで、先天的なもの、年齢によるもの、外的影響によるもの、
     高血圧やストレス等の影響によるもの、自律神経系のバランスが崩れておきるもの等がある。
    不整脈の診断 : 不整脈は発作中でなければ健康診断でも発見することは通常できないが、
     病院では電気生理検査で発見し、治療することができる。まずは心電図を調べる。
     健康診断でも行われており、脈の早さ、心房、心室の電気的興奮を記録することができる。
     正常の脈なのか、不整脈なのか、どの種類の不整脈なのかを調べることができる。
     また時々しか現れない不整脈を調べる、24時間の心電図検査(ホルター心電図)がある。
     さらに電気生理学的検査といって、電極の付いたカテーテルを心臓へ挿入し、刺激を人工的に与えて、
     不整脈を誘発し、心臓のどの部位に異常があり、心臓内をどのように伝導しているかを調べ、
     不整脈の種類、原因を正確に診断することができるものがある。
ペースメーカー = ペースメーカー(別掲)
補助人工心臓 = 補助人工心臓(別掲)
































































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