糖尿病関連(YSミニ辞典)

[ホーム] [索引] [前項] [次項]

インクレチン(incretin) : 食事をとると、消化管(胃や小腸の腸管など)から分泌され、
    膵臓(すいぞう)のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を増強させる消化管ホルモンの総称である。
    インスリンは血糖の細胞への取り込みなどに働くが、
    そのインスリンの分泌や作用が低下すると、高血糖となり、やがて2型糖尿病をまねく。
    インクレチンは小腸上部に存在するK細胞から分泌されるGIP(Gastric Inihibitory Polypeptide)、
    小腸下部のL細胞より分泌されるGLP(Glucagon−Like Peptide)−1の2種類が知られ、
    このうちGLP−1(グルカゴン様ペプチド1)はインスリンの分泌促進に加え、食欲を抑制し、
    さらにインスリンが分泌される膵臓のβ細胞の増殖を促す作用があるとされている。
    糖尿病患者はGLP−1の分泌が減っており、
    そのため食事の際に出てくるインスリン量や出るタイミングに問題が生じてくることがわかってきた。
    このことに注目して、GLP−1の皮下注射薬の開発が進められている。
    また、GLP−1はDPP−4と呼ばれる酵素によって活性を失うが、
    この分解酵素の働きを阻害することでGLP−1の作用効率を高める経口内服薬(DPP−4阻害薬)が
    開発され、副作用も少なく、血糖値を良好にコントロールできる新しい治療薬として期待されている。
    これまでの治療薬に無い特徴として、低血糖が出にくい、膵臓を元気にする、体重・食欲の抑制作用や
    心血管保護作用などがある。一方、薬によっては強い吐き気を生じることもある。
インスリン(insulin)インシュリン
    膵臓(すいぞう)ランゲルハンス島(ラ氏島)のベータ細胞から分泌されるホルモンの一種で、
    血液中に含まれる糖を体の細胞に取り込む働きをする。食事で血糖値が上がると大量に分泌される。
    ベータ細胞の機能がおかしくなってインスリンが不足する「インスリン依存型」と、
    これとは別に、肥満などが原因でインスリンが働きづらくなる「インスリン非依存型」に大別される。
    肝臓でのグリコーゲン合成に働くほか、筋肉や脂肪組織でブドウ糖の利用を促進させ、
    結果として血糖値を低下させるため、糖尿病の治療に注射薬として使われている。
    以前はウシやブタのインスリンが使われていたが、
    現在は、ヒトのインスリン遺伝子から遺伝子組み換え法によって得られる、ヒトインスリンが、
    アレルギー反応がほとんど起きないので主流となっている。
    作用発現時間によって、超速効型、速効型、混合製剤、中間型、持続型などの種類がある。
    1921(大正10)年にインスリンを発見したカナダの医師バンティングとトロント大学教授マクラウドは
    1923(大正12)年にノーベル賞を受賞した。また、その後インスリンのアミノ酸配列を解明した
    イギリスのサンガー、インスリンの立体的な分子構造を確定した同じくイギリスのホジキンも
    1958(昭和33)年と1964(昭和39)年にノーべル賞を受賞している。
    治療で使うインスリン製剤は、遺伝子組み換え技術を使って人工的につくる。
    国内でインスリン治療をしている患者は80万〜100万人といわれる。
    インスリンの働き
    インスリンは食事量にあわせて分泌され、常に血糖値が一定になるように調節している。
    食事にあわせてインスリンが速やかに分泌され、その結果、血中に吸収されたブドウ糖は、
    筋肉、脂肪組織に取り込まれ、一方、その間、肝臓からの糖の放出は抑制される。
     @筋肉、脂肪、肝細胞へのブドウ糖の取り込み促進
     A細胞内でのブドウ糖からグリコーゲンの合成を促進
     B肝臓での糖新生および糖放出の抑制
     C肝臓での蛋白合成の促進
    ノボペンV : デンマーク製の最新型インスリン注射器で、「ペン」にインスリンの入った
     カートリッジを差し込み、ペン先に注射針を取り付け、ダイヤルを回して目盛りを合わせ、
     注入ボタンを押すだけという簡単な操作で、糖尿病患者自身がインスリンを注射できる。
     目盛りがきめ細かく、注射針も細く、一般の注射器のように空気が入ることもなく、
     ひんぱんに打っても苦にならないという。自己注射に対して、
     日本では1981(昭和56)年から保険が適用されており、「ノボペン」も注射として扱われている。
    インスリンの保存方法
     @冷蔵庫内に食物などとは区別して包装箱に入れたまま満潔にして保存する。
       しかし凍らせてはいけないのでフリーザーの中には入れないこと。
       なお、旅行等に際して短期間ならば室温に置いてもさしつかえない。
     A直射日光のあたるところ、自動車内などの高温になる恐れのあるところには置かないようにする。
     B主治医から指定された注射器を使う。
    参 : エクスベラタクティールケア
エクスベラ(Exubera) : 吸入インスリン薬。遺伝子組み換え技術で製造されたヒトのインスリンの粉末で、
    眼鏡ケース大の専用吸入器を使って食前に口から吸い込み肺に吸入する。
    効果が表れるのが早いため、即効型のインスリン注射の代わりになるが、
    作用が遅いタイプのインスリンも必要な患者は注射と併用になる。
    米医薬最大手ファイザーとフランスのサノフィ・アベンティス、ネクター・セラピューティクスの3社によって
    共同開発されたもので、注射をせず体内に入れられるインスリン製剤として世界初で、
    糖尿病患者の治療の選択肢を広げる手段となる。
    臨床実験では、注射と同様に血糖値レベルを維持する結果が出たが、FDA(米連邦食品医薬品局)は
    「インスリン注射の完全な代用ではなく、選択肢が増えたということだ」としている。
    また、同委員会は、喫煙者に対しては、肺内のインスリンが過剰吸収される恐れがあるため、
    処方上の制限が必要としている。臨床試験では、インスリン注射との薬効の差はほとんどなかったが、
    被験者の一部に咳や肺活量の低下などが見られた。開発各社は、今後も2019年まで
    同薬の作用について長期的に研究を行い、長期的な肺機能への影響などを調べる。

    FDAの諮問委員会は2006年1月27日、吸入インスリン「エクスベラ」の販売を認可した。
カーボカウント(Carb Counting) : 炭水化物に注目した糖尿病患者の食事管理法。
    面倒でわかりにくいうえ、食事内容に制限が多い「食品交換表」に変わって広がりつつある
    新しい食事療法のことで、血糖値に影響を与えやすい炭水化物だけに着目した食事療法及び
    血糖コントロール方法である。食後の血糖値を食前の血糖値に戻すという考え方で、
    食べるものに合わせてインスリンの打つ量を調整して血糖コントロールを行う方法なので、
    従来の食事療法に比べて食事に対するストレスがかなり軽減される。
    また、1型糖尿病患者の様に各食前に超速効型または速効型のインスリンを打っている人に有効である。
    カーボカウントでは、炭水化物15gを1カーボと考えて、摂取量を決める。
    例えば1日16カーボに抑える必要がある人は、朝昼夕を5カーボずつ+間食を1カーボのように
    割り振って制限するが、その範囲内なら何を食べてもよい。
    食パンは1枚2カーボなので、朝食で5カーボとすると、食パンだけなら2枚半までは食べられる。
    パンの量を減らせば、ジャムを塗ったり、紅茶に砂糖を入れることも可能で、
    炭水化物をほとんど含まない野菜サラダやゆで卵は、自由に加えられる。
     炭水化物の摂取量は食後の血糖値上昇と関連する。食前の血糖値と摂取するカーボ数から
    インスリンの注射量を決めれば、血糖コントロールをしやすくなるのも、カーボカウントの大きなメリットだ。
     計算が簡単でわかりやすいうえ、食事の自由度が大きいため、患者にとっては楽で守りやすい。
    糖尿病になっても、ある程度自由な食事を楽しめるというのは、とてもありがたいことである。
     ただし、病状によってはカーボカウントが向かない人もいるという。実際に行うときには、
    医師や栄養士と相談して、どの方法をどのように行うか指導を受ける必要がある。
子どもの糖尿病(こどものとうにょうびょう) : 子どもの糖尿病は、これまでほとんどがインスリン依存型の
    1型糖尿病だったが、最近は食生活の変化などから、インスリン非依存型の2型糖尿病が増えている。
    1992(平成4)年度から学校健診に、尿糖スクリーニングシステムが導入された。
    この検査によって、顕著な症状が現れていない子どもにも、糖尿病が発見されるケースが出てきた。
    学校検尿で発見されるのはインスリン非依存型糖尿病が多くなっている。
    学校検尿で糖尿病が疑われた場合は、両親は迷わず、糖尿病に詳しい小児科もしくは内科、
    できれば糖尿病専門医に診てもらいましょう。
     まず食生活は、食べ過ぎの解消が第一で、専門医や栄養士の指導に基づいて、
    栄養バランスの良い、適正カロリーの食事を摂る。一方、運動は無理しないで続けるのがポイントで、
    それには生活の中で好みにあった運動を、楽しみながら行うようにさせるとよい。
    例えば、両親は子供と一緒に散歩する、スーパーまで一緒に買い物に行き、手伝ってもらう、
    犬を飼っているなら犬の世話を引き受けてもらい、散歩も一緒にさせるなど、
    肩に力を入れないで生活習慣に組み込んでいくことである。途中で挫折しがちだが、
    これまで少しでもできたことを褒めてあげ、続けるよう勇気づける。
    高血糖状態から、成人後に取り返しのつかない合併症を発症しないためにも、
    家族ぐるみで一緒に行うことが大事である。
    自己管理 : 乳幼児期に発病した糖尿病も、いずれは子どもが自分で管理していく必要がある。
     そのためには、年齢に応じて、自分自身で出来ることを徐々に増やしていくように、
     医療スタッフや親が指導していく必要がある。自己管理が必要なのは、インスリン注射や
     尿検査だけでなく、食事療法や運動療法、低血糖などの異常が起きたときの対処法も含まれる。
     加えて、血糖自己測定器を使用して、週に何度か血糖を自分で測ったり、
     それに応じてインスリンや食事、運動の量を調節する必要も出てくる。
     これらをすべてマスターし、年齢ごとの環境変化に応じて、
     きちんと血糖を自己コントロールできるようになるのが最終的な目標となる。
血糖自己測定(SMBG)けっとうじこそくてい : 穿刺器具を使って血液を採取し、
    試験紙のブドウ糖酸化酵素(GOD)もしくはグルコース脱水素酵素(GDH)に反応させ、
    結果を電流で測る方法(電極法)と、試験紙の色の変化で測る方法(比色法)で測定する。
    ニプロ血糖測定スタートセット : 測定器である「フリースタイルメーターフラッシュ」に穿刺具、
     穿刺針、専用電極、パッドなどをセットにした製品である。測定器は手のひらにおさまるサイズの
     わずか40グラムで、ニプロによれば世界最小(2007年6月現在)だという。
     測定時間もおよそ7秒という手軽さで、指先からの採血だけでなく、前腕部や手のひらからの
     ごく少量の血液で測定できる。計測に必要な血液量は0.3マイクロリッターでよい。
     メモリー機能により約250回分の測定結果を記録できるほか、14日分の平均値を表示する。
     お知らせアラーム機能を内蔵、1日4回の設定ができる。普段から血糖値を測定している方はもちろん、
     健診などの結果が気になるという方にもおすすめの測定キットである。
     「ニプロ血糖測定スタートセット」は国産品で、
     総合通販会社「いいもの王国」のWebサイトで購入(2万2890円)できる。
血糖値 = 血糖値(別掲)
世界糖尿病デー(せかいとうにょうびょうでー) : 拡大を続ける糖尿病の脅威を踏まえ、
    2006年12月20日、国連は国連総会義で、IDF(国際糖尿病連合)が要請してきた
    「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を加盟192カ国の全会一致で採択し、
    同時に、従来、IDFならびにWHO(世界保健機関)が定めていた
    インスリンの発見者であるバンティング博士の誕生日である
    11月14日を「世界糖尿病デー」として指定した。IDFは決議に先駆け、
    ”Unite for Diabetes”(糖尿病との闘いのため団結せよ)というキャッチフレーズと、
    国連や空を表す「ブルー」と、団結を表す「輪」を使用したシンボルマークを採用。
    全世界での糖尿病抑制に向けたキャンペーンを推進している。
    日本でも、2007年11月14日には東京タワーや鎌倉大仏、
    通天閣などを「世界糖尿病デー」のシンボルカラーである青にライトアップし、
    糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発活動が展開された。
    なお、国連が「世界○○デー」と疾患名を冠した啓発の日を設けたのは、
    12月1日の「世界エイズデー」に続き「世界糖尿病デー」が2つ目である。

    糖尿病デーにライトアップ、14日に全国各地で
     糖尿病について考えてもらおうと、世界糖尿病デーの2009年11月14日、
    東京タワーなど建造物をブルーにライトアップするイベントが全国各地で開かれる。
    ブルーは啓発活動のシンボルの色。札幌市の時計台や東寺の五重塔(京都市)、通天閣(大阪市)、
    熊本城などが青く照らされる予定。計画した日本糖尿病協会などによると、
    糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性が否定できない人は、1997年には計1370万人だったが、
    現在は2210万人に増加。だが医療機関への受診率、治療の継続率は低下しているという。
    ライトアップのほか、血糖測定や健康相談、講演会などをする会場もある。
    実行委員会のホームページ、http://www.wddj.jp/に掲載されている。
    世界糖尿病デーは、2006年に国連が認定。日本では2007年からライトアップが始まった。
糖質制限食(とうしつせいげんしょく) : これまでの糖尿病の治療食は、カロリー制限と低脂肪中心であった。
    だが、近年の研究により、従来の糖尿病食は、心筋梗塞などの大血管性の病気に
    悪いとされるようになったことから、近年登場したのが「糖質制限食」と呼ばれるものである。
    「糖質(炭水化物)の摂取を徹底的に抑える」ことを旨とし、肉や魚などの脂肪や
    たんぱく質の多い食品、酒も摂取可能という糖尿病患者にとっては夢のような療法で、
    本質は「主食を抜く」食事療法のことである。その治療効果は高く、
    中にはインスリン注射を中止できた患者もいる。糖尿病は血糖値が異常に上がる病気であり、
    その原因はほとんど糖質にある。だから、糖質を摂らない糖質制限食は効果が大きいのである。
    糖質制限食の内容
     ●朝食と夕食は主食(ごはん、パン)を抜く。
     ●昼食時は適量の主食(ごはん1膳程度)なら摂ってもよい。
     ●おかずはタンパク質と脂肪を含んだ肉、魚、チーズ、卵、大豆の加工食品などを中心に摂る。
     ●揚げ物や炒め物は執ってもい(脂肪の制限はなし)。
     ●酒はウイスキーや焼酎などの蒸留酒なら適量OK。
糖質制限食品一覧(▲は控えめにしたほうがよい食品)
食 品 食べてよいもの 要注意食品
肉類 牛肉、豚肉、鶏肉、
加工品(ハム、ベーコン、ソーセージ、コンビーフ)
味付け缶詰め
魚介類 魚類、貝類、水煮缶詰め、エビ、カニ、タコ、イカ つくだ煮類、練り製品▲、
味付け缶詰め
乳製品 チーズ、生クリーム、バター、ヨーグルト(無糖)
鶏卵、鶉卵
豆類 ゆでた大豆、
大豆製品(豆腐、油揚げ、湯葉、納豆、おから)
煎り大豆▲、きな粉▲、
小豆、いんげん豆
(金時豆、うずら豆)
野菜類 あさつき、ごぼう、たけのこ、パセリ、グリーンアスパラ、
小松菜、たまねぎ、ピーマン、ホワイトアスパラ、しそ、
ししとう、青梗菜、ふき、ブロッコリー、うど、トマトジュース、
トマト、ミニトマト、冬瓜、ほうれんそう、枝豆、春菊、
三つ葉、絹さや、しょうが、みょうが、ずいき、なす、もやし、
オクラ、せり、菜の花、モロヘイヤ、かぶ、セロリ、ニラ、
レタス、カリフラワー、ぜんまい、ねぎ、サラダ菜、キャベツ、
大根、貝割れ大根、野沢菜、わけぎ、きゅうり、白菜、わらび
かぼちゃ、レンコン、
ゆり根、そら豆、
とうもろこし、くわい、
にんじん▲、
にんじんジュース、
甘酢漬けなど、
甘い煮付けの漬け物
種実類 アーモンド、かぼちゃの種、松の実、ひまわりの種、ゴマ、
くるみ、アカデミアナッツ、ピーナツ
ぎんなん、とちの実、栗、
はすの実、ピーナッツバター
きのこ類 えのき、マッシュルーム、まいたけ、しいたけ、ひらたけ、
しめじ、きくらげ、まつたけ、エリンギ、なめこ
藻類 あらめ、ワカメ、のり、コンブ、ひじき、ところてん、寒天 つくだ煮類
調味料 しょうゆ、マヨネーズ、みそ(白みそ除く)、
塩、香辛料、酢、みりん
ソース、コンソメ▲、ポン酢、
顆粒風味調味料、
各種ルー、酒かす、砂糖、
はちみつ、甘みそ(白みそ)、
ケチャップ、焼肉のたれ、
油脂類 サラダ油、ゴマ油、ラード、バター、ヘット
嗜好飲料 焼酎、ウォッカ、ウイスキー、ジン、ブランデー、ラム、
コーヒー(砂糖なし)、紅茶(砂糖なし)
清酒、ビール、発泡酒、
ワイン(赤ワインは▲)、
紹興酒、梅酒、白酒
いも類 こんにゃく さつまいも、くずきり、山芋、
マロニー、ジャガイモ
春雨、かたくり粉、くず粉、
サトイモ、コーンスターチ
穀類 米、小麦、そば、ビーフン、
コーンフレーク
果物類 アボカド▲、イチゴ▲、リンゴ、
夏みかん▲、びわ▲、
その他果実全般、缶詰類、
ジュース類、ドライフルーツ
菓子類 砂糖入りのもの、
スナック菓子、米菓子、
清涼飲料水
    ビールに含まれるホップは血糖値を下げる働きがあるので、たまの缶ビール(350ml)1本はよい。
      詳しくは、高雄病院理事長・江部康二著の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」
      (東洋経済新報社:1,575円)で。記事は「健康」(2006年6月号)などを一部引用。
糖尿病(Diabetes Mellitus)とうにょうびょう
    膵臓ランゲルハンス島という場所から分泌されるインスリンというホルモンの作用が弱くなり、
    血液中のブドウ糖のエネルギー源としての利用が低下して起きる、
    高血糖と糖尿とが持続的にみられる慢性の病気のことで、血液はドロドロになり、血管がもろくなる。
    のどの渇き・多尿・空腹感・倦怠感(けんたいかん)などの自覚症状があり、長引くににつれ、
    感染症・動脈硬化白内障網膜症、失明、腎臓障害神経障害脳梗塞心筋梗塞などの
    病気を併発(合併症)するので、最も怖い成人病とも言われる。
    この中で糖尿病の三大合併症といえば、網膜症、腎症、神経症であり、
    コントロールが悪いと眼と腎臓と神経がやられる。
    神経症になるのは、かなり長期間治療が不十分だった場合がほとんど。
    その際、末梢神経が侵されると動脈硬化の変化も絡んでいるため、例えば足の指先から
    血流障害のために壊死を起こし、最終的に下腿を切断しなければならないことすらある。
     糖尿病はいずれも動脈硬化に起因するもので、
    糖尿病性網膜症になると眼底出血を起こし、数カ月に渡り出血した側の視力を失う。
    糖尿病性腎症で腎臓が悪くなると腎機能が低下して最終的には透析や腎移植の対象になってしまう。
     糖尿病は遺伝により発病するケースもあるが、大半は日頃の生活習慣が原因で、
    現在の日本人の生活スタイルが変わってきたことが原因であることから生活習慣病の一つになっている。
    というのも1960年に20万人程の糖尿病患者が、1990年代には500万人を超えていることからも
    うなづけるが、2006年12月現在では740万人、予備軍を合わせると約1600万人といわれ、
    年々増えている。食生活の欧米化や過食、運動不足、ストレスなどが原因とされている。
    糖尿病の病型分類
     @1型糖尿病 : 1型糖尿病の発病は多くが急激で重症になり易い特徴がある。
       糖尿病はインスリン不足により引きおこされた代謝異常の病気で、
       1型糖尿病では、生活習慣に関係なくこの異常が急激に出現する。
       血糖値を調節するホルモンのインスリンを出す膵臓の
       膵島(ランゲルハンス氏島)が自分の免疫による異常な攻撃でβ細胞が壊される病気で、
       インスリンの絶対的不足によって1型糖尿病が発症する。
       β細胞破壊の原因はウイルス感染、
       そしてそれを引き金におこる自己免疫異常との推測がなされている。
       1型糖尿病は、治療上1日に4〜5回のインスリン注射をして不足分を補う必要があり、
       いずれの年代に於ても発症の可能性があるが、大部分は15歳未満の子供にみられる。
     A2型糖尿病 : インスリン分泌異常やインスリン抵抗性といった遺伝的異常に、
       発症因子として過食、偏食、運動不足、ストレスなどの
       生活習慣(ライフスタイル)の影響が加わり無症状のうちに発病する。
       肥満の関与は最重要とされ、中高年での糖尿病の予防にはまず太らないことが大切である。
       日本人の糖尿病のうち9割以上がこのタイプ。
     Bその他の特定の機序、疾患によるもの
       遺伝因子として遺伝子異常が固定されたのと他の疾患、条件に伴うものの2つのタイプがある。
     C妊娠糖尿病 : 妊娠に際してみられる糖尿病状態を指し、
       出産後改めて糖尿病についての診断が必要になる。
     D隠れ糖尿病 : 筋肉の衰えとともに、食事で摂った糖がすぐ分解できなくなり、
       食後の数時間だけ高血糖状態になる、いわゆる食後高血糖である。
       この食後高血糖を「隠れ糖尿病」と言い、肥満でもないため、健康診断でも見つけにくい。
       欧米では、糖尿病の危険ありと判定する血糖値(空腹時)を100に引き下げるなど、
       食後高血糖の早期発見につながる対策がすでに始まっているが、
       日本では、検査値の見直しなどの具体的な動きはとられていない。
       糖尿病の人は、全体的に血糖値が高いが、「隠れ糖尿病」の人は、
       食後は、糖尿病の人並みに血糖値が上がる。しかし数時間後には低くなってしまう。
       検査をするのは空腹時だから「異常なし」という診断が下されるのである。
       しかし「隠れ糖尿病」もとても危険であり、心筋梗塞を引き起こした人の中で、
       糖尿病ではなかった人のうち、約45%が「隠れ糖尿病」だったとのである。
        「隠れ糖尿病」の特徴である食後高血糖は、それだけで心筋梗塞や脳梗塞の原因となる
       動脈硬化を進めることがわかってきた。空腹時の血糖値が正常でも、食後の血糖値が高いと、
       死亡率が2倍も高くな。「隠れ糖尿病」が進み、1日中血糖値が高い状態が続くようになると、
       されに、眼や腎臓、神経に障害をきたす危険性も高まる。 これらの合併症を防ぐためには、
       「隠れ糖尿病」の段階で「早期発見」「早期治療」することが大切である。
        空腹時の血糖値が100mg/dL以上、またはヘモグロビンA1C(HbAic)が5.8以上の場合には、
       「隠れ糖尿病」の可能性があるので、食後の血糖値の検査をしておきましょう。
       糖尿病予備群や隠れ糖尿病の診断には「ブドウ糖負荷試験」を受けるとよい。    
1型と2型糖尿病の違い
  1型糖尿病(IDDM) 2型糖尿病(NIDDM)
発症年齢 10代が多い 中高年が多い
推定患者数 1万5千から2万人 約800万人 
症状  急激な発病のため、
喉の渇き、多飲多尿、
全身のだるさ、
そして著明なやせ症状も
急に出てくる
その大部分が潜在的にゆっくり発病して来る。
中年を境に太り出し、そのうち尿糖、
血糖検査で糖尿と診断されることが多い。
肥満ということを除けば無症状なのが、
2型糖尿病の特徴で、放置して進行すると体重減少、
疲れ易さ、無気力、おでき、かゆみ、性欲低下等の
症状でようやく糖尿病と診断される場合もみられる。
糖尿病の早期診断には定期的な検診が必要である
原因  ウイルス感染などで、
膵臓の細胞を免疫が攻撃
遺伝的な原因の他、生活習慣などもある 
治療  インスリンは必ず必要。
飲み薬は効かない 
基本は飲み薬。
インスリンを使うこともある 
2011.2.10、朝日新聞などより 
糖尿病の判定(1999年日本糖尿病学会
血糖値(mg/dl)
〜109
110〜125
126〜139
140〜199
200〜
空腹時(FPG)
正常型
境界型(IFG)
糖尿病型
75gOGTT2時間値
正常型
境界型(IGT)
糖尿病型
随時血糖
糖尿病型
血糖コントロールの指標と評価
指標 コントロールの評価とその範囲
優  良  不可
不十分 不良
HbA1c(%) 5.8
未満
5.8〜6.5
未満
6.5〜7.0未満 7.0〜8.0未満 8.0以上
6.5〜7.0未満 
空腹時血糖値
(mg/dL) 
80〜110
未満
110〜130
未満
130〜160未満  160以上
食後2時間血糖値
(mg/dL)
80〜140
未満
140〜180
未満
180〜220未満  220以上
河盛隆造・順天堂大学医学部内科学教授監修の糖尿病パンフレットより
    ヘモグロビンA1cが6.5%以上の時も糖尿病と診断される。(正常値は5.8%以下)
    IFG=空腹時血糖異常、IGT=耐糖能異常、OGTT=経口ブドウ糖負荷試験(静脈血漿)
    200mg/dlというのは水分100ml中に0.2gの糖が含まれているということ。
    糖尿病の正確な診断には『ブドウ糖負荷試験』があり、食事を摂ってから医療機関へ行き、
    食後1〜2時間の血糖値を調べる方法である。
    糖尿病にかかりやすいタイプ : 次のタイプの人は特に気を付ける必要がある。
     @親兄弟が糖尿病の人。体質遺伝で、片方親なら30%以上、両親なら50%の数字でかかりやすい。
     A肥満の人。太っているため膵臓に負担をかけ、インスリン不足になる。
     B流産、早産を繰り返している人。
     C胃の手術後の人。
    糖尿病予防 : 糖尿病はかかってからでは遅い、かかる前にガードしよう。
     T.インスリンの分泌を高める : 血液中の糖の量を減らす。
       ●分泌を阻害するカロリーを抑えるとともに、血糖値の急変動を抑えることが重要。
       ●スープや味噌汁をまずはじめに摂ることで、に食事を始めたことが素早く伝わり、
        ゆるやかにインスリンが分泌される。おすすめの具は「玉ねぎ」である。
       ●筋肉を動かさない夜はなるべく食事を少なく、エネルギーとして使われる朝・昼の食事を
        バランスを重くするとよい。週に1日は夕食を軽くする。
     U.インスリンの力を強める : 血液中の糖の量を正常に保つ。
       ●インスリンはストレスによって働きが弱まる。ストレスを低減させる抗酸化力の強い緑黄色野菜
        保護し、免疫機能を高める淡色野菜で力を高める。週1回摂るのが効果的ななのが、
        緑黄色野菜の「にがうり」と、淡色野菜の「大根」「キャベツ」で、1対2の割合で摂るとよい。
       ●コーヒーカフェインに含まれるマグネシウムがインスリンの分泌を高め、
        クロロゲン酸が機能を高めてくれる。毎食後コーヒーを飲み、
        1日1杯のシナモン入りコーヒーを飲むとさらに効果的である。
     @腹7分目を守り、食べ過ぎにならないようにする。
     A糖分は控えめに。
     B脂っこいものは避ける。
     Cカロリーを考えた食事をする。良質の蛋白質と良質のビタミンを多くとる。
     D朝食抜きはいけない。
     E寝る前の食事はやめる。
     F酒の飲みすぎは自分から糖尿病を呼び込んでいるようなもの。
     Gでんぷん質のものは減らし、海草、小魚、野菜を中心とした食事にする。
    糖尿病の治療
     糖尿病は、生活習慣を変えることでコントロールできる病気なので、
     自立の意識を持って、食事療法と運動療法を実施するのが治療の基本で、
     インスリン注射などで血糖値を下げる薬物療法にたよらないようにすることが大切である。
     食事療法 : 医師から指示された摂取カロリーを守って、
       甘い物や油分が多いものを控えることが大切で、
       食事記録を付けることも今後の指針を立てる上で役に立つ。
       甘い物は極端に減らさなくてよく、洋菓子(ケーキなど)は3日に1回、
       和菓子・果物は1日に1回摂っても問題はないそうである。
       チョコレートは、「インスリン」の働きを活発にして糖尿病を予防する効果があることがわかり、
       特に苦味の強いビターチョコレートが効果的で、1日約30gを食後2時間たって食べるとよい。
     運動療法 : 摂取カロリーの10%〜20%を消費することを目指し、急激に無理な運動をせず、
       ウォーキング、ダンス、ヨガなど、毎日楽しく続けられる工夫が大切。
       運動は余ったカロリーを燃やすためにも、インスリンの利用効率を上げるにも重要な治療で、
       300kcalをウオーキングで燃焼しようとすると約80分間のサッサ歩きが必要である。
       しかし、網膜症腎臓病神経障害など合併症をおこしている場合、
       狭心症など心疾患や脳血管疾患を持っている場合は、医師とよく相談して行う。
       運動の強さの目安に脈拍数があり、運動をした直後の脈拍が
       1分間に100〜130回を数えるくらいがいいでしょう。決して頑張り過ぎないように!
       運動を始めて最初の15分は体内のブドウ糖をエネルギー源として体を動かしてくれる。
       貯蔵脂肪の利用は運動開始後10〜15分後から始まるので、
       インスリンの感受性を良くする為には1回に付き15〜30分は
       運動を続けなければ体内で脂肪がエネルギー源として活用されにくい。
       運動は続けることが大切で、1日2回、1回20分程度の持続運動を毎日行うことが効果的だが、
       最低条件としては週3日でよいとされている。
       運動で良くなったインスリンの感受性(脂肪の燃焼)は運動後も約48時間続くと言われているので、
       持続的な効果を持たせるためには少なくとも週に2〜3回以上は運動しよう。
       運動を始めるのに適している時間帯は、血糖が上がり始める食後1時間から始めることだが、
       まずは何時でもいいので出来るところで運動を続けることが大切である。
       坂道や階段をゆっくり下るだけでも効果があり、軽い運動の後に冷たい飲み物を摂ると
       エネルギー消費量が30%増え、糖尿病予防効果がさらに高まる。
       有酸素運動(持久力運動:心拍数+10%程度)の勧め
       酸素を十分取り込みながら血液中のエネルギー源である血糖を燃やし、
       またその後は皮下脂肪などを取くずしながらエネルギーの補給を行う「ハアハア」と
       息がはずむ程度の運動をいう。(例:ジョギング、歩行、自転車、エアロビクス、ダンス、水泳など)
       ちなみに無酸素運動(短時間に最大の力を出しきる運動:心拍数+30%程度)とは、
       瞬発力を必要とする「ゼイゼイ」と息がきれるような運動が中心で、
       酸素を利用せず筋肉内に貯めているグリコーゲンを主なエネルギー源とする。
       (例:100m短距離走、筋肉トレーニングなど)
       小股歩きでお尻の筋力を高めると、糖尿病予防になる。
       太ももに雑誌を挟んで、食後に1日3回5mほど小股歩きをする。
     薬物療法 : 糖尿病内服治療薬には、その作用機序などからいくつかのグループに分けられ、
             医師が糖尿病のタイプと患者の状態によりどの薬を投与するかを決めている。
糖尿病内服薬(経口血糖降下剤)日本で使用されている薬剤
種  類
主な薬剤
主 作 用
スルホニル尿素(SU)剤 アマリール
オイグルコン
ダオニール
グリミクロン
ラスチノン
ジメリン
デアメリンS
インスリン分泌促進作用
ビグアナイド(BG)剤 グリコラン
メルビン
ジベトスB
細胞でのブドウ糖利用促進
肝での糖生成抑制
α−グルコシダーゼ阻害剤 グルコバイ
ベイスン
消化管での糖消化吸収抑制
インスリン抵抗性改善剤 アクトス インスリン抵抗性改善
速効型インスリン分泌促進剤
ファスティック
スターシス
グルファスト
インスリン分泌促進
    糖尿病とED治療 : 海外のデータではあるが、があります。ED(勃起不全)は糖尿病男性の
     ありふれたトラブルで、年齢と共に増加し、60歳以上ではなんと約60%の人が影響を受けるというから
     切実な問題である。ちなみに糖尿病のない60歳以上は20%なのである。
     特に病歴の長さと、心・血管系の病気との合併が大きな因子という。
     EDだけでなく、リビドー(性的衝動)の低下や射精未達も糖尿病者に起こりやすくなる。
     糖尿病は全身の血管と神経にダメージを与えるからである。
     多くの糖尿病者ED治療のファーストラインは経口剤で、
     日本ではバイアグラ(一般名シルデナフィル)やレビトラ(バルデナフィル)が使われている。
     欧米では半減期36時間のサイアリス(タダラフィル)もある。
     これは一回飲めば週末はOKというもので、フランスでは「ル・ウィークエンド」と呼ばれている。
     これらの薬は副作用もあるし、狭心症のニトログリセリンなどとの併用は厳禁などもあり、
     医師の指導が必要になる。
     EDが心配な糖尿病者が自分で取り組むべきこと
      ●糖尿病コントロールを真剣に
      ●アルコールを減らす
      ●禁煙
      ●服用している薬を全部持参して医師に相談
    つぼの主要経穴 : 脾兪三陰交天柱腎兪手の三里足の三里大巨天枢・地機などがある。
    糖尿病によく効く温泉
    万座温泉(群馬県) : 硫黄・マグネシウム・ナトリウム・硫酸塩泉。
      特に「湯の花旅館」には、「猿のこしかけ風呂(延寿の湯)」や、
      他の漢方薬を混ぜて煎じた「猿のこしかけ茶」やニジマス、
      天然自然薯笹蒸しなどのほかに低カロリーの糖尿食を摂ることができる。
      1泊2食7500円のほかに3700円からの自炊による素泊まりもできる。
    糖尿病によい食材
    メカブ、オクラ、ナメコ、アシタバなどのネバネバ食材には
    血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する働きがあることが判った。
    アシタバ = 明日葉(薬草に別掲)
    アロエ = アロエ(別掲)
    オクラ = オクラ(別掲)
    シナモン = シナモン(別掲)
    ナメコ : ナメコには血液をササラサラにして血流を良くする働きがあり、血中の糖代謝を高め、
          糖尿病の予防効果が期待できる。
     (ナメコのかき揚げ)ナメコは短時間で加熱し、天ぷら粉にきな粉を加えると効果的!
      【材料】(2人分) ナメコ:1袋(100g)、小麦粉:大さじ2
          <A> きな粉10g、小麦粉:30g、ベーキングパウダー:小さじ1/4、塩:少々
          <B> 冷水:55cc、卵:1/4個
      【作り方】(1)ボウルに<A>を入れ、<B>を加えて、さっと混ぜる。
            (2)ナメコに小麦粉をふり、よくからめる。
            (3)(1)に(2)を加えて、さっくり混ぜたら170〜180℃の油で揚げる。
               (水分がとぶので注意)
    海藻類 : 海藻に含まれる食物繊維には血糖値を下げるホルモン「GLP−1」を分泌させる効果が
           あることがわかり、その効果をさらに高めるにはオリーブ油を加えて摂るとよい。
     (メカブ) : メカブに多く含まれるアルギン酸は、腸内の余分な糖分やコレステロールを吸い取って、
            排泄するため血糖値の上昇を抑える。
            生のメカブにさっと熱湯をかけて包丁でよく叩き、
            粘りを出したメカブを味噌汁に入れて食べる。1日30gを夕食に摂ると効果的!
     (コンブ) : コンブはインスリンと似た働きをする食材である。
             コンブ40g(6人分)をミキサーにかけ細かくし、食事中にふりかけにして摂ると効果的!
             コンブのふりかけ炊き込みご飯は、米3合にコンブのふりかけ20gを加え、炊き込む。
    白ネギ(夏ネギ) = (別掲)
    スダチ = 酢橘(別掲)
    杜仲茶 : アディポネクチンを増やして糖尿病予防するには、杜仲茶を熱湯で抽出し、
           湯呑み茶碗に1日6杯を食前に飲むと効果的!
    ジャガイモ : ジャガイモに含まれるクロロゲン酸は、糖の吸収を抑えて糖尿病予防に効果があるが、
             クロロゲン酸は水溶性のため、茹でないで電子レンジで調理し、
             ポテトサラダなどに油を少量たらしチーズを加えて皮ごと食べるとさらに効果的!
    糖尿病の合併症 : 糖尿病そのものより、合併症が怖く、次のようなものがある。
     細小血管症 : 全身に分布する毛細血管が弱くなり、とくに目の網膜腎臓に異常があらわれる。
     神経症 : 足先などがしびれる。
     動脈硬化症 : 脳梗塞心筋梗塞などになる。詳細は動脈硬化で。
     感染症 : 肺結核、胆嚢炎にかかりやすい。
    参 : 低血糖症糖質制限食壊疽エクスベラ人工透析マゴットセラピー
        糖尿病ネットワーク(HP)、日本糖尿病協会(HP)

    厚生労働省の2002年の糖尿病実態調査の速報値によると血中の糖化ヘモグロビン濃度が
    6.1%以上で糖尿病が「強く疑われる人」は約740万人、
    ヘモグロビン濃度が5.6〜6.1%の予備軍に当たる「可能性が否定できない人」を含めると、
    成人の6.3人に1人に当たる約1620万人にのぼると発表され、毎年数百万人の勢いで増加している。
    
    1型糖尿病患者は交通事故を起こしやすい
     糖尿病患者に対する厳格な血糖管理が進む中、無自覚性低血糖による交通事故の増加が
     危惧されているが、欧米5カ国の1型、2型糖尿病患者を対象とした調査で、
     1型糖尿病患者の交通事故率は糖尿病がない人の2倍以上になることがわかった。
     ただし、1型糖尿病患者でも運転前に血糖値を測定する人や、皮下持続注入ポンプ(CSU)による
     インスリン投与者では事故が少なく、交通事故を防ぐ適切な手立てがあることも浮き彫りになった。
     一方、2型糖尿病患者では、非糖尿病配偶者と事故率に統計学的な有意差はなく、
     インスリン使用者と非使用者にも事故率の有意差はなかった
     研究結果は、Diabetes Care誌2003年8月号に掲載された。
      車の運転中の女性(34)が1型糖尿病による低血糖発作で意識を失い、対向車と正面衝突して
     3人が死傷する事故が2005年8月、大分市内で起きた。この事故で業務上過失致死傷罪に
     問われた女性に対し、大分地裁は2006年7月5日、禁固1年8カ月執行猶予4年の判決を言い渡した。
     宮本孝文裁判官は「結果は重大だが、被告は運転中に意識を失う発作を起こしたことはそれまでなく、
     運転を中止しなかったのは悪質な過失とまでは評価しがたい」と述べた。
     が、被告は運転中、発汗など低血糖発作の兆候に気付き、危険を自覚しながら運転を続けたが、
     その理由が目的地が近かったと言うが、主治医からも運転の危険性を指導されていたし、
     発作の兆候が出れば一旦停車して飴やジュースを口にすればよく、
     今までに意識を失ったことはなかったことは減刑の理由にはならない。38歳の主婦を死亡させ、
     2人の子供に大怪我をさせた被告に、4年の執行猶予付きとは納得できないね。
     患者が運転中に低血糖発作を起こしたことによる死亡事故が相次いだことから、
     2002年6月にインスリンで血糖を調節できる場合を除き、
     「無自覚性の低血糖症」の場合は、運転免許の取得や更新を制限できるように
     法改正されているのである。このように重大事故につながることは分かっていたはずで、
     運転前の血糖値の測定や甘いジュース所持などの配慮不足もあり、
     被告の自己管理が不十分だったとしか思えない。
     裁判官、あなたの妻や子が、このような患者の車に突然車線をはみ出して正面衝突され亡くなっても、
     悪質な過失とは言えないとのことで、執行猶予だけで済ませますか?

    糖尿病で壊死した手足、うじ虫治療が有効<米研究チーム>
    (2011.9.26、MSN産経ニュースより)
     糖尿病で手足の壊死(えし)した細胞を治療するのにうじ虫を使った治療法「マゴットセラピー」が
    有効であると、米ハワイ大学などの研究チームが、シカゴで開催された学会で発表した。
     うじ虫の分泌物で壊死した細胞が液化され、うじ虫はそれを体内に取り込んで分解。
    その結果、傷が改善し、肉芽組織の形成を可能にするという。
     チームは糖尿病患者37人の患部に、ストッキングのような袋に入れられた
    ヒロズキンバエの幼虫50〜100匹を当て2日間放置。
    その後、2日おきに平均5回、新たな幼虫に代えるということを繰り返した。 
     その結果、37人のうち21人の患者で、壊死した細胞の完全除去や結合組織の形成などに成功した。
    しかし、傷の周辺の炎症がひどい場合や過度の出血を伴った場合などでは効果は得られなかったという。
    研究を率いたローレンス・エロン氏はロイターに対し、「マゴットセラピーは
    (糖尿病による壊死の治療に)非常に効果がある。1回の治療でも傷の改善が見られた」と述べた。

    最近、起床時にのどが渇く(実際には舌)ので、病院に血糖値の検査に行き、
    耐糖検査と言われる糖負荷試験(75gGTT)を受けたら60分時の血糖値が300を超えていたので、
    24時間尿比例採集器という器具を自宅に持ち帰り、1日分の尿の量を調べることになったが、
    なんとこの「コリンメートP」という尿採集器は、50分の1の尿が正確に採集できるので、
    病院でもこれを使えば、尿瓶から多くの尿を容器に溜めておく必要がないのである。
    しかし、糖負荷試験では最初の採血(採尿)から30分、60分、90分、120分、
    180分後の6回も針を刺されるうえに3時間もかかるのをどうにかしてもらいたいもんだね。
    また、75グラムの糖が入ったジュースも炭酸を入れない方が飲みやすい気がする。

糖尿病性眼病 = 糖尿病性眼病(眼の関連に別掲)
ヘモグロビンA1c(HbA1c)ヘモグロビン・エイワンシー : 糖化ヘモグロビン。グリコA1C。
    糖尿病のように血糖値が高い状態が続くと、
    グルコース(血糖)は多くの蛋白質と結合して本来の機能を失わせ、さまざまな障害を引き起こす。
    赤血球の中にあって酸素の運搬をしているヘモグロビンもグルコースと結合して糖化ヘモグロビンとなる。
    血液中のブドウ糖が徐々にヘモグロビンと結合し、低くなると分離する。
    このヘモグロビンがブドウ糖と結合したものがヘモグロビンA1cで、タンパク質の一つである。
    ヘモグロビンは約120日の寿命があるため、その糖化の状態であるヘモグロビンA1c(%)は
    長期の血糖の状態、実際には過去1カ月間の血糖レベルを反映していると考えられている。
    つまり、結合と分離の速度は非常にゆっくりで、数日レベルの細かい血糖値の変動には左右されない。
    そのためヘモグロビンのうち何パーセントがヘモグロビンA1cになっているかを見れば、
    過去1、2カ月の血糖値の平均的な状態がわかる。
    過去1、2カ月の状態がわかれば、糖尿病かどうかは、すぐに判定できるというわけである。
    ヘモグロビンA1cの量は、血糖値と赤血球の生きている期間(赤血球の寿命)に比例している、
    ということになり、このヘモグロビンA1cの値は、血液の中のブドウ糖の量を教えてくれることに
    なるわけで、9%を超えると糖尿病合併症である網膜症を発症して失明することもある。
     ヘモグロビンA1cは、これまでも糖尿病の進行具合のチェックなどに使われていて、かなり広まってきた。
    そこで、最初からこれを診断基準にしよう という声が国際的に高まり、2009年6月に米国糖尿病学会、
    国際糖尿病連合、欧州糖尿病学会が合同で「ヘモグロビンA1cが6.5%以上なら糖尿病とする」という
    新しい診断基準を発表した。日本糖尿病学会もそれに従う方針で、
    近い将来、「血糖値に替わる糖尿病の診断基準」として、
    糖尿病の診断は基本的にヘモグロビンA1cで行われるようになるという。
    ヘモグロビンA1cの基準値=4.3〜5.8%
    




























































inserted by FC2 system