YSミニ辞典(鶴関連)
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鶴(a crane)つる : @千歳鳥
(ちとせどり)。ツル目ツル科の鳥の総称。学名は「Gruidae」。
大形の鳥で、頸
(くび)と足が長く、背の高さ1.5メートルに及ぶものもある。
南極大陸と南アメリカ大陸を除く4大陸に、2亜科・4属・15種類が分布する。
気管が長くとぐろ状で、鳴き声が共鳴して遠方にまで届く。
湿地や草地に編隊を組んで飛来し、穀類や小魚を食べる。繁殖期などに、いわゆる「鶴の舞」を舞う。
日本では北海道で留鳥の
タンチョウのほか、鹿児島県・山口県などにマナヅル・
ナベヅルが渡来する。
体形優美で、長寿を象徴するなど吉祥の鳥として古くより尊ばれ、民話や伝説などにも登場する。
歌語としては、古くは「たず」が用いられ、平安時代以降「つる」も用いられるようになった。
[
季語]冬−動物。
A家紋の一つ。鶴の文様ををもとに作られたという。舞鶴・鶴の丸・折鶴など。
丹頂(a sacred crane、Japanese crane)たんちょう : 丹頂鶴
(たんちょうづる)とも呼ばれるが、
和名はタンチョウというのが正しい。学名は「Grus japonensis」。
鳥綱ツル目ツル科の鳥で、日本の鳥のなかでも姿がもっとも優美であり、
また「鶴は千年」の言い伝えから、古来長寿やめでたいことのシンボルにされている。
また、国産鳥類では最も大形の鳥で、全長140cmほどになる。
全体が白色で、眼先
(めさき)、喉
(のど)から頸側
(けいそく)にかけてと、
翼の内側の次列・三列風切
(かざき)り羽の部分が黒く、飾り羽状に長く伸びて、尾の上を覆う。
このため、一見尾が黒いようであるが、尾羽は白い。頭頂に赤色裸出部がある。
シベリア南東部、中国東北部、北海道の釧路
(くしろ)・根室地方で繁殖する。
大陸のものは冬期に朝鮮半島、中国東部に渡るが、北海道東部の個体群は留鳥として周年生息し、
2009年1月の調査では1065羽が確認された。本州や九州ではまれに飛来する。
広い湿地にすみ、種子、芽、若根、穀物、水生の小動物などを食べている。
湿地の中にアシや枯れ茎を積み上げて、直径1m以上、高さ70〜80cmに及ぶ大きな巣をつくり、
1腹2個の卵を産む。抱卵は雌雄交代で行い、抱卵期間は約33日。
雛
(ひな)は黄褐色の綿毛に覆われ、2個の卵から1羽だけ生き残ることが多いようである。
各種のディスプレーのなかでは、ダンスと鳴き合いがよく知られていて、とくに春先によくみることができる。
姿が優美であり、長寿でめでたい鳥として、日本では古くから画題とされ、親しまれてきた。
絶滅危惧種。1952(昭和27)年タンチョウと生息地は特別天然記念物に指定され、
1964年(昭和39)に北海道鳥、1967(昭和42)年区域を定めず特別天然記念物となっている。
[
季語]冬−動物。
道東・鶴居村鶴見台のタンチョウ(フリー写真素材集「旅Photo」より)
鍋鶴(なべづる) : ツル目ツル科の鳥。全長約1メートルでタンチョウに似るが、
成鳥で体長1メートル、体重4キロほどの小形の鶴で、
全世界に1万羽前後がいるとみられ、大半が鹿児島県出水平野で越冬する。
全体が灰色か灰黒色で頭と首は白いが、頭頂は毛がなく赤い皮膚が裸出する。
シベリア・中国東北部・モンゴルなどで繁殖し、日本や朝鮮半島で越冬する渡り鳥で、
国の特別天然記念物に指定されている。日本では鹿児島県出水
(いずみ)市と、
本州唯一の越冬地・山口県周南市の八代盆地などに冬鳥として渡来する。
伝染病などによる大量死の恐れもあり、越冬地の分散が課題になっている。
[
季語]冬−動物。 参 : [
YouTube](八代ナベヅルの北帰行、2010.3.27)
八代のナベ鶴(2003.12.14撮影)
冠鶴(crowned crane)かんむりづる : 学名は「Balearica pavonina」。
鳥綱ツル目ツル科の鳥。頭上に金色の扇状冠羽のある美しいツル。全長1m内外。
全体に黒色で、上下雨覆
(あまおおい)は白色、次列・三列風切
(かざぎり)は栗
(くり)色である。
顔は皮膚が裸出し、上半分白色、下半分ピンク色。エチオピアからセネガルまでの
熱帯アフリカ中部・南東部の草原にすむ。湿地や川岸にすみ、しばしば農耕地に飛来して、
穀物や昆虫類を食べる。草むらのバッタを採食するときには、足踏みして追い出してとる習性がある。
アフリカ西部では半家禽
(はんかきん)的に飼養され、
畑の昆虫やヘビを退治させている所もあるので有益な鳥であるが、作物を荒らすこともある。
姿がよいため、世界各地の動物園や公園で飼養されている。
近縁種にホオジロカンムリヅル(B.regulorum)があり、アフリカ東部と南部に分布する。
徳山動物園の説明板
徳山動物園のカンムリヅル
同上。手前のメスに求愛?
ンゴロンゴロ国立公園の野生のカンムリヅル
折鶴(おりづる) : 正方形の紙を折って鶴に似せた形に作るもので、折り紙の一種。
一枚の紙に切り込みを入れて、多数の折鶴を完全に切り離さずにくっついた状態で折る連鶴や、
単体の折鶴を多数折って繋げていく
千羽鶴などもある。
他に尻尾を引っ張ることで羽を動かすものもある。
また、折り終えた際に鶴の下部に息を吹き込むことで、胴体部分を膨らませることができる。
全国マイカー独り旅の途中、釧路湿原でいただいた折鶴(2007.9.8撮影)
千羽鶴(せんばづる) : 千羽の
折り鶴を糸でつないだものや、千羽のツルを描いた絵、
また模様などに数多くの鶴を染め出したものをいう。日本では昔から鶴はめでたい鳥とされ、
それが千羽そろったのをことさらに吉兆とした。千羽は多数の意で、
かならずしも正確な数をいうのではなく、折り鶴を糸でたくさんつないだものの意もある。
起源は明らかでないが、いまも古い社
(やしろ)に奉納されている昔の額などに
千羽鶴の絵をみることができる。また、折り鶴を祈願の意で社寺に奉納する風もあった。
最近は社寺だけでなく、祈願や、病気回復のために作り、また、その意をこめて贈り物ともする。
広島平和記念公園内「動員学徒慰霊塔」の千羽鶴(以下2009.3.28撮影)
広島平和記念公園内「原爆供養塔」横の千羽鶴
広島平和記念公園内「原爆の子の像」横の千羽鶴
広島平和記念公園内「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」の千羽鶴