薬草(YSミニ辞典)
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薬草(a medicinal herb)やくそう : 薬の材料になる草。薬用植物。
薬の生い立ちは、その昔「草を用いて病を治し、
楽にする」という意味から楽に草冠
(くさかんむり)を冠し薬という文字が生じ、
古代において、長い年月の経験の積み重ねにより知り得たもので、
その多くは草根木皮を用いて身体の回復を図ったのが薬草の始まりと考えられる。
薬草とは疾病治療に役立つ植物のことで、
古くから伝承されている
生薬であり、主に漢方薬か民間薬として利用される。
漢方薬は漢方(中国から伝承された医術)に基づいて処方されるもので、
生薬のいくつかの種類を、混ぜ合わせて使われ、
混ぜる種類、分量、服用の時期や方法に法則や制限がある。
これに対して民間薬は厳しい法則、難しい制限もあまりなく、手軽に使れている生薬類で、
言い伝えに従い薬草を単味で用いるという違いがある。普通の人が薬草を使う場合は民間薬として、
1種類だけ選び、煎じ飲用して健康に役立てる利用法であろう。
一般的なのはヨモギ・ドクダミ等の家の庭にも生えている植物で、煎じてお茶にしたり、
傷や火傷の薬として使われる。薬酒にする事も多く、梅酒や花梨酒は飲み物としても人気がある。
薬草の効果は普通緩やかであり、慢性化した病気の治療や、
体質的にかかりやすい病気の予防に使われることが多い。
中にはトリカブト類(附子)やハシリドコロなど強い効果を示す薬草もあるが、
それらは毒性も強い植物なので、民間薬としてはあまり使用されない。
薬草茶の煎じ方
@水(1.5Lくらい)とお茶(1パック)を土瓶、ガラス、ホーローなどに入れ、強火にかける。
A沸騰してきたら、弱火にして煮出す。5〜10分程度が目安で、お好みに応じて調節する。
B火を止め、お茶を出したら、薬草茶の出来上がり。
※薬草を煎じる場合は、鉄や銅などの金属製のものは避ける。
薬草に含まれる有効成分と金属が反応を起こしやすく、
薬効を減少させたり、薬草本来の風味が損なわれることがある。
乾燥の仕方
葉をもんで臭いのするものは陰干しにする。臭いのないのは天日に干すとよい。
乾燥しているかどうかは、茎の葉が折れるぐらい。保存するときは紙袋に入れ、
湿気の少ない直射日光の当たらないところにおく。絶対にポリ袋に入れてはいけない。
薬草と効能(●は主な効果)3大民間薬は、
ゲンノショウコ、
センブリ、
ドクダミである。
秋の七草 =
秋の七草(別掲)
アサガオ =
朝顔(別掲)
薊 =
薊(別掲)
明日葉(あしたば)アシタバ : せり科の多年性の植物で、別名アシタボとも言い、
花が咲く頃には茎が1メートルほどになるる。花はハマウドに似て、セリのような独特な香りがある。
原産地は伊豆諸島で、伊豆半島、三浦半島、房総、紀州など黒潮の流れに沿った海岸に自生し、
中でも八丈島は産量が最も多い。八丈島の島民は昔から、明日葉を長寿・回春の薬草として使い、
また野菜としても食べてきた。そのため、八丈島は
高血圧の人が少なく、
健康長寿の島として知られていることから、別名「八丈草」ともいわれた。
今日葉を摘んでも、明日にも新芽が出てくることから、「明日葉」と名付けられたという。
明日新芽が出るほどではないが、3〜4日で生えてくる生命力がとても強い植物であることは確かだ。
アシタバ
健康効果 : 明日葉の茎を切ると、他のせり科の植物には見られない黄色の汁が出るのが特徴で、
この液体の
フラボノイドという成分は、利尿、緩下作用のほか代謝を促進、便通、排尿に効果があり、
また母乳の出をよくするといわれている。明日葉の主要成分で貴重な酸化防止成分が
多く含まれている
カルコンには「抗
ガン作用」、「
血糖値低下作用」、「抗潰瘍作用」、「抗血栓作用」、
「抗菌作用」、「抗
エイズ作用」などの薬効があることが臨床的に確認されており、
実際にガン予防、ストレス性潰瘍や血栓を予防し、
コレステロール値の改善、
糖尿病の治療に使用され、各方面で大変注目を浴びている。
また「カルコン」は明日葉に含まれる
カリウムと共にむくみを解消し、
年齢、体型に関係なく、セルライトを分解すると言われている。
この他にも、明日葉には、食べる酸素と言われる有機ゲルマニウムなどの豊富な栄養素、
ビタミンB2など種々の
ビタミン、
ミネラル、フラボノイド(黄色の汁)、鉱物、
アミノ酸、
食物繊維、
鉄分も多く含まれ、カルコンと共に作用し合い、驚異的な薬効を発揮し、
健康増進、虫刺されの化膿予防、寄生虫駆除、
貧血や
便秘を防ぐなどの効果がある。
また、さらに明日葉には、血管増強作用のルチンやサポニン成分含まれ、
血液サラサラ効果、肌の活性化作用による美肌効果、血行促進による手足の冷えの改善 、
宿便、便秘の解消など様々な効果が期待できることが知られている。
血糖値の上昇を抑える明日葉カルコンを多く含む茎の部分は、繊維が堅く壊れにくいので、
カルコンを効率く摂取するための調理法は、「明日葉をサッとゆでたあと凍らせる」とよい。
若い茎や葉はおひたし、天ぷらにすると美味しく食べやすい。
老葉は陰干しして粗くきざんで紙袋に保存しておくとよい。精油を含んでいるので、
布袋に入れて入浴剤として風呂に入れると冷え性に効能がある。
★
明日葉バナナジュース(毎食後1杯飲むと糖尿病予防効果が得られる)
材料 : 凍らせた明日葉 50g、バナナ 1本、牛乳 200cc、ハチミツ 大さじ1〜2杯
★
明日葉の白和え : 茎を1分茹でてから葉を加えて1分茹で、すぐに冷水(氷水)につける。
【材料】 アシタバ:250g、しょうゆ:小さじ1、いりごま:大さじ3〜4、絹ごし豆腐:1丁(水切りしておく)
<A> 砂糖:大さじ2杯半、白みそ:大さじ1、ときがらし:小さじ1、塩:少々
【作り方】(1)アシタバを塩ゆでし、氷水にさらしてよくしぼってから、しょうゆ洗いをして細かく刻む
(2)すり鉢にいりごまを入れ、よくすり、<A>と水切りした豆腐を加えて、さらにすりまぜる
(3)(2)に(1)を加え、まぜる。
アマチャヅル : 日本全国の山野で見られるつる性の植物で、
巻きヒゲで他の樹木に絡みつくようにして育ち、全草に特有の甘味があることからこの名が付けられた。
ちなみに、よく似た名前の「甘茶
(アマチャ)」は、
4月8日の花まつり(釈迦降誕会)で使われるユキノシタ科の植物で全く別の種類のもの。
朝鮮人参の有効成分オタネニンジンに類似したサポニンが含まれている。
●胃弱や喘息発作●
胃潰瘍●十二指腸潰瘍●
肝臓病●
糖尿病●
前立腺肥大
●花粉アレルギー●
眼精疲労●
水虫●
リウマチ●偏頭痛●神経痛。
アロエ =
アロエ(別掲)
イカリソウ(錨草) : 本州の東北地方以南の太平洋側、四国の半日陰の山野や林間に生息している。
薄紫の花弁に長さ2センチくらいの距
(きょ)があり、
その姿が船のいかりに似ているのでこの名がついた。本州の日本海側にはトキワイカリソウ、
ウラジロイカリソウ(トキワイカリソウの変種で葉の裏に細毛がある)が分布し、
イカリソウと同様に薬用とする。[
季語]春−植物。
イカリソウ
●強壮、強精の目的で、乾燥した地上部の茎葉を1日量8〜10グラムに水0.5リットルを加えて、
煎じながら約半量になるまで煮詰めたものをこして、3回に分けて食間に服用する。
粉末にした場合には、1日量3〜5グラムを3回に分けて服用する。
●神経衰弱、健忘症や強壮強精にもよいとされるが、
心臓の悪いひとや胃腸の弱い人は飲まないようにする。イカリソウの地上部には、
イカリインという成分が含まれていて、このイカリインを用いての動物実験では、
●精液の分泌を促進する働きのあることが確認されている。
また、
ホザキノイカリソウは、
●神経衰弱●健忘症●慢性気管支炎●手足のしびれ●更年期の高血圧症
●小児麻痺症の治療に用いられて1日量3〜9グラムを煎用する。
ホザキノイカリソウの根は淫羊霍根
(いんようかくこん)といい、●腰気
(こしけ)●月経不順
●ぜんそく●鳥目などに1日量9〜15グラムを煎用する。
鉢植えの年間の管理・作業 : 日当たりのよい所に置き、夏場は半日陰に避難させる。
用土は、水はけがよく適度な保水力のあるもので、一般には、硬質の赤玉土4、
日向土4、鹿沼土2の割合の小粒を用いる。これらの単用でもかまわないが、
2,3種類を混合して用いた方が失敗が少ない。バケツなどに、それぞれの割合で入れてから、
後々の水はけをよくするために、必ずふるいにかけて粉末状の土を取り除いておくこと。
根腐れ防止のゼオライトと元肥のマグアンプを少量ずつ加えて均一に混ぜる。
混ぜ合わせた土を山状に入れ、株を置くと土が崩れ、根の間に入り込むようにする。
縁から数センチ空けるようにして、周りにも土を流し込む。
水やり : 基本は、やる時はたっぷりと与え、鉢土の表面が乾くまで待ち、再びたっぷりと与えると
いうことのの繰り返しで、夏期は乾燥に注意し、冬期は乾き気味にする。
肥料 : 置き肥を春先と秋に2回与え、花が終わってから1カ月後と、
夏の暑さが一段落した頃に与える。
植え替え : 2〜3年に1回、開花の半年前をめどに植え替える。
無花果(いちじく) =
無花果(別掲)
ウコン(鬱金) : 黄染草。ショウガ科クルクマ属の多年草。熱帯アジア原産の緑黄色野菜の一種。
根茎から、長い柄を持った楕円形の葉を叢生する。草丈50センチメートル内外で、
秋、花茎の先に、淡緑色の苞
(ほう)に包まれカンナの花に似た黄色の花を開く。
一般にウコンの呼称を持つものとして、春ウコン・秋ウコン・紫ウコンがあげられるが、
春ウコンは学名をキョウオウ、紫ウコンは
ガジュツと呼ばれる植物で、外見的に似ているため
このような名前がつけられているが、正しくは「秋ウコン」を指す。[
季語]秋−植物。
春ウコン
昔から●
肝臓の特効薬といわれ、●二日酔いに効果的だと、日常生活の中でも用いられていた。
根茎部分は粉末にして黄色染料や、●健胃●止血剤とする。●抗炎症作用がある。
市販されているスパイスの「ターメリック」は秋ウコンが原料で、
カルコンを多く含み、
しかも吸収しやすい形になっているが、さらにウコンカルコンの効果を引き出すには、
調理酒に溶いてから使うとよい。
ターメリック調理酒 : ターメリック10gほどを日本酒100ccによく溶いてから沸騰させ
アルコール分を飛ばしたもので、料理に使う時は、15分以上煮込むことが大切である。
エビスグサ(ハブチャ) : アメリカ原産のマメ科の植物で、熱帯性の植物なので、
日本でも中南部以西の地域では容易に栽培することができる。
ちなみにエビスグサの名は、「夷の国」、つまり異国から渡来したという意味からつけられた。
薬用として用いるのは実(種)の部分で、漢方薬では「決明子
(けつめいし)」と呼ばれている。
主な成分は、クリソファノール、フィスチオン、オブツシフォリンなどのアントラキン誘導体と
その配糖体など。●緩下作用(
かんげさよう=急激ではなくおだやかに便通をよくする働き)・便秘
●胃液の分泌を促進・消化不良●整腸●利尿薬●むくみ●急性腎炎など。
エビスグサの種子を焙煎したものが、健康茶として一般に「ハブ茶」の名で市販されている。
もともと「ハブ茶」の原料は「ハブソウ」という別 の種類の薬草の種子が使われていたが、
現在は「エビスグサ」の種子がはぶ茶の代用とされている。
オウゴン : シソ科の植物コガネバナの根。内服では胃の薬などに利用されている。
●美白作用●収れん作用がある。
オオバコ(大葉子、車前草) : 日本列島やアジア各地の幅広い地域に生息し、
道端などの雑草の中に常に見かけることができる植物で、葉が広くて大きいことから
「大葉子」と名付けられた。日本全国で見られることから、地域によって、オンバコ、カエロッパ、
ギャーロッパ、マルコバ、フィラファグサなどという方言名がある。[
季語]秋−植物。
根を切り、乾燥させた葉や種を煎じて飲むと●健胃薬としての効き目が出てくる。
●利尿●解熱●整腸●強壮作用●腫れ物●タンをきるなどにもよい。
カキドオシ(垣通、連銭草
:レンセンソウ) : シソ科の蔓姓多年草。
茎が地面を這い、垣根をくぐりぬけることからこの名がついた。4〜5月に薄紫の花をつけ、
6月頃には1メートル(横に)にもなる。野原や空き地に見られる。[
季語]春−植物。
●子供の「疳の虫」の薬として知られ、生の葉を絞った汁は水虫に良い。●
血糖値降下作用がある。
カラスウリ(a snake gourd)烏瓜 : 学名は「Trichosanthes cucumeroides」。
11月15日の誕生花。花言葉は「よき便り」。ウリ科の蔓
(つる)性多年草。巻きひげで他物にからみつく。
雌雄異株。夏の夕方、縁が糸状に裂けた五弁の白色花を開く。果実は大きな楕円形で赤熟する。
カラスがよく好んで食べることから付いた名で、秋によくみかける実のひとつだが、
アケビなどのように食用にすることはできない。[
季語]秋−植物。「烏瓜の花」は [
季語]夏−植物。
カラスウリの実(フォト蔵HPより)
健康効果 : お酒に漬けてしもやけなどの薬にしたり、種を咳止めに利用したりする。
根はイモのようなでんぷんの塊で、これは汗疹
(あせも)の薬、天瓜粉
(てんかふん)の代用になる。
また、漢方で根を通経・利尿剤に、種子を
痰
(きょたん)・鎮咳剤
(ちんがいざい)に用いる。
カンゾウ(甘草) : マメ科カンゾウの根。●美白作用がある。
キキョウ(桔梗) : 山野の草地に生える多年生草本で、北海道〜九州・奄美(請島)に分布している。
観賞用としても栽培もされ、園芸品種もある。
7〜8月に青紫色の花をつけ、淡紫色や白色のものもある。[
季語]秋−植物。
北海道の利尻島にて(2007.9.4撮影)
同上
めずらしい白いキキョウ。山口県下松市内にて(2009.7.11撮影)
白キキョウ
キキョウには太い根茎があり、この根茎を水洗して細根を取り去り、
乾燥した物が漢方の桔梗根で、薬用にされ、●咳や痰をとり、●気管支炎などに効く。
キササゲ : ノウゼンカズラ科の落葉高木で、高いものは10メートルにもなる。
6〜7月に咲く花は、浅黄色で唇形をしていて、中心部に紫色の斑点がある。
9月には、花のあとに長さ30センチほどの細い果実(さや)が実り、熟すと茶褐色になってはじける。
この形がササゲのさやに似ているところから木のササゲからキササゲの名がある。
葉には長い柄があり、形はキリに似ていて秋になると残らず落ちてしまう。
全国の山すそ、川原や川岸などのよく日の当たるところに自生し、神社や寺でもよくみかける木である。
中国から渡来してきたのはかなり古い時代だが、民間薬として広く使われ出したのは
江戸時代の
始めといわれている。雷が落ちないという迷信があり、一般の家庭でも庭の隅に植えることがある。
薬用の部分は果実(さや)で、果実は熟すとはじけてしまうので、一歩手前の果実を採る必要があり、
熟し加減を見ながら9月下旬から10月上旬頃に採取する。
果実はそのまま日の当たるところで乾かし、長さ2〜3センチに切り刻んでおく。
健康効果 : 果実に含まれている
クエン酸、パラオキシアンソツコウ酸のほか、特に
カリウムは、
体内の過剰の
ナトリウムを排泄し、●
動脈硬化の予防や利尿作用があるので●利尿剤として、
●かっけのむくみ、●腹膜炎にも煎服するとよい。このほか腫れものの膿の吸い出しは、
生の葉をよく揉んで、患部に貼り付け、葉が乾いたら繰り返し張り替える。また子癇
(しかん)といって、
妊娠末期に突然襲ってくる●
腎臓病に、このキササギの煎じ汁を連用するとよい。
●急性腎炎の場合は、完熟した果実を1日5〜15グラムをコップ一杯の水で半量になるまで煎じ、
3回に分けて食後に温服すると効果がある。●膀胱炎、●妊娠時のむくみの場合も利用するとよい。
●
水虫には葉を煎じた液中に15分ほど患部をつけ、その後稀ヨードチンキ(薬局で購入)を塗るとよい。
根気よく毎日続けるのが大切である。
(注)キササギは病院で処方される薬の中にも調合されるほどで、
副作用の心配がないすぐれた薬草だが、未熟果は青酸配糖体を含むので使ってはならない。
ギョウジャニンニク =
ギョウジャニンニク(別掲)
クコ(枸杞) : 日本から中国、台湾、マレー半島などのアジア東部に広く分布する落葉の低木で、
茎が蔓状に伸び、枝には短いトゲがみられる。中国の古書には、「枸
(からたち)のようなトゲがあり、
杞
(こりやなぎ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けた」という記載があり、
古代から不老長寿の薬として珍重されてき。淡紫色の可憐な花を咲かせた後には、
卵形の小さな赤い実をつける。[
季語]春−植物。
●利尿作用●血管を強化●消化を促進して
肝臓に脂肪がつくのを抑制
●
高血圧や
動脈硬化の予防●
肝機能の強化●血行促進に効果がある。
クチナシ(a gardenia、a cape jasmine) : 梔子。山梔子。ガーデニア。6月13日の誕生花。
花言葉は「洗練」。天国に咲くといわれ、邪悪なものを追い払うといわれている。
花のオイルは甘く清楚な香りで、争いやもめ事を回避する効果があるという。
秋のキンモクセイ、早春のジンチョウゲと初夏のクチナシが、香りのよい花木の代表選手でしょう。
我家の大輪咲き(直径10cm前後)のクチナシの花(2011.6.30撮影)
@アカネ科の常緑低木。本州(静岡以西)、四国、九州(栽培もされる)の暖地の南斜面に自生している。
また、観賞用に本州以西の暖地に庭園で植栽されている。葉は対生し、長楕円形。
夏、枝先に香りのよい六弁の純白色の花を開く。八重咲き・大輪咲きなどもある。
果実は倒卵形で黄赤色に熟す。果実は古くから黄色染料として用い、また漢方で消炎・利尿剤とする。
和名は、果実が熟しても裂開しないところからの称。[
季語]秋−植物。梔子の花の[
季語]夏−植物。
健康効果 : 梔子には、イリドイド配糖体、カロテノイド、フラボノイドが含まれている。
クチナシに含まれる栄養が身体に与える健康効果は、ゲニポサイドなどのイリドイド配糖体や
フラボノイドは、黄疸、肝炎、腰痛などの改善や解熱、鎮痛作用、血圧降下作用などの効果が期待でき、
カロテノイドであるクロチンは 血圧降下作用や胆汁分泌の調整に効果があると言われている。
クチナシの果実の乾燥したものを、生薬で山梔子
(サンシシ)または梔子
(シシ)といい、
山梔子を煎じた液の薬理実験では、●胆汁分泌の促進●鎮静●血圧降下作用などが認められている。
また、古くから●消炎●利胆●止血薬●黄疸●肝炎●血便●血尿●不安●不眠
●吐血に用いられていた。吐血の場合は、熱いうちに服用すると逆に吐血を誘う場合があるので、
必ず冷ましてから服用する。山梔子を、1回2〜3グラムを0.2リットルの水を加えて、
煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、食前に飲む。
胃の弱い人が多量に用いると胃の働きを弱めるので、用量には注意が必要。
きのこ中毒には、5〜15グラムを煎服したり、また、のどがはれて痛むときには煎液で、
うがいをすると効き目があるとされる。
塗布として用いるには、山梔子5〜6個を粉末にして少量のうどん粉、卵白、
おろし生姜とよく練り合わせたり、黄柏末
(オウバクマツ)「キハダの樹皮で、
コルク層を除いた皮部を乾燥して粉末にしたもの。」粉末と酢でよく練り合わせたものを和紙にのばして、
打ち身やくじいた患部に貼り、乾いたら取り替える、消炎効果があり痛みが和らぐ。
クチナシの白色の花弁は、芳香がありわずかに甘味があって、
生のままでも、煮ても食用にすることができる。
A「梔子色」の略。
ケイトウ =
鶏頭(季語の花木に別掲)
ケツメイシ(決明子) =
エビスグサ
ゲンノショウコ(現証拠) : フウロウソウ科フウロソウ属の多年草で、別名に「ミコシグサ」がある。
お腹の薬として寝冷えや食当たり、腹痛に効き目があるので、「現の証拠」と呼ばれてこの名がついた。
日本全土の各地の山野や道端に自生する。茎や葉には毛が生え、夏に開く花は五弁で、
色は西日本に多い赤紫色、東日本に多い白い花などがある。果実はみこしの屋根のような形に熟す。
若葉は毒草のウマノアシガタ、ニリンソウなどと似ているので、注意が必要である。
葉は掌状
(しょうじょう)に深く3〜5裂し、葉柄は長い。茎はやや地を這うように斜上し、
長さ50センチくらいになる。花のあとには細長いくちばしのような形をした果実をつけ、
熟すと5つの殻片に裂けて、それぞれの裂片は、付け根が軸から離れ、外側に巻いて種子をとばす。
[
季語]夏−植物。
現の証拠の花。野に咲く花の写真館(フリー素材)より
作り方 : 夏期に地上部の茎や葉を刈り取り、水洗いして日干しにする。雨をあてないように
注意しながら3〜5日くらい干すと乾燥する。粗く刻んで紙袋などに入れ、乾燥した場所に保管する。
健康効果と服用方法 : 1日量20グラムを400ccの水で半量になるまで煎じ、熱いうちに服用する。
収れん作用のある
タンニンがたくさん含まれているが、3回に分けて食後に服用すると下痢止めに
効果がある。また、ウルシなどのかぶれや湿疹、あせも、ただれ、カミソリ負け、靴ずれなどには、
患部を煎じ液を冷まして湿布するとよい。扁桃腺炎の場合は、同様に煎じ液でうがいをする。
また、乾燥した茎と葉100グラムを布袋に入れて、風呂に入れると、ただれ、湿疹といった
皮膚疾患や
冷え性などに効能がある。整腸には、乾燥した茎と葉20グラムに同じ量の
決明子(けつめいし)を加えて煎じ、毎日お茶がわりに飲むのがお勧めである。
(注)ゲンノショウコは毒性は低いが長期間連用すると
肝臓を痛めるような薬草なので、
使用には注意が必要である。
ゴーヤー =
ゴーヤー(別掲)
ゴシツ(牛膝) : ヒユ科イノコズチ属の多年草である「牛膝
(イノコヅチ)」の根を乾燥させた漢方薬。
[
季語]秋−植物。
健康効果 : 月経不順、利尿、排尿困難、打撲、腹痛、関節痛、強壮などに利用される。
サンショウ(a Japanese pepper)さんしょう : 山椒。さんしょ。はじかみ。
日本全土の山野の林の中や林縁に自生しているミカン科の落葉低木で、庭などにも
植栽されている。刺が多く、小枝の葉の基部に1対ある。葉は、奇数羽状複葉
(うじょうふくよう)で、
小葉は長さが1〜3.5センチで11〜19枚あり、長楕円形で、縁
(ふち)はぎざぎざで、
春になると葉の付け根に、緑黄色の小型の花を多数つける。
雌花と雄花が別々の雌雄異株
(しゆういしゅ)で、秋には表面がでこぼこした小さい球形の果実をつける。
やがて、果実は赤く熟して、果皮
(かひ)が裂けて中から黒い種子がこぼれ出る。
若葉は香気が強く、「木の芽」といい、果実は香辛料にするほか、健胃・回虫駆除などの薬用。
また、材はすりこ木にする。山椒の実の[
季語]は秋−植物。山椒の花の[
季語]は春−植物。
苦味
(くみ)チンキの原料でもあり、●芳香辛味性健胃●整腸剤などに用いる。
山椒
(さんしょう)の成分のサンショオールやサンショウアミドは大脳を刺激して、
●内臓器官の働きを活発にする作用があるとされていて、
胃腸の働きの弱くなった消化不良や消化不良が原因の●胸苦しさ●みぞおちのつかえ●腹の冷え
●腹部のガスの停滞、それに伴う●腹痛に効果がある。
山椒は刺激が強いので、炎症性やかいよう性、発熱性のような激しい病気の場合は使用を避ける。
1日量は2〜5グラムで0.3リットルの水で、約半量まで煎じて1日3回に分けて食後に服用する。
民間での利用も多く、種子は●利尿
(りにょう)剤として15グラムを適量煎じて食間に1日3回服用する。
●胃腸病●胃下垂症●胃拡張症●駆虫などに果実8グラムを、約0.6リットルの水で煎じ、
1日3回に分けて温服。●利尿●胃腸病●膀胱炎●健胃として、
果実の粉末を1回量2グラムを服用。果実の煎じ汁を●
水虫に塗布。生の葉をもんで虫刺されに塗る。
また、●ハチやアブに刺されたときは、生葉を塩でよくもんで汁をつけるとよい。 参 :
柚子、
鰻
シオン =
紫苑(別掲)
シコン(紫根) : ムラサキという植物の根が使用される。●美白作用●抗炎症効果などがある。
シソ(紫蘇) : 梅干し作りや刺身のつま、薬味、寿司や懐石料理の彩りなど、
シソは日本人にとって最もなじみが深く、日常生活に欠かせない植物。
本来のシソは薬用に用いられる赤シソのことで、青シソはその変種。[
季語]夏−植物。
赤シソの葉に含まれるペリルアルデヒドという成分が、●中枢神経を鎮静させ、ストレスやノイローゼ、
不眠などに有効で、ペリルアルデヒドには、●
ウイルスに抵抗する作用●解熱●解毒●発汗●殺菌
●防腐作用もあるといわれている。またアントシアニンという赤色系の色素が含まれ、
アントシアニンとは、
ポリフェノールの一種で、●
活性酸素の抑制●
動脈硬化の予防●抗癌作用がある。
煎じて飲むと●気管支炎や●胃腸炎に効く。
シソの種(紫蘇子)には全く別の薬効があり、●痰を伴う咳や便秘に有効といわれている。
最近は、シソの種から採取した油にはα−リノレン酸が豊富に含まれており●
抗酸化作用に優れ
●免疫力を高めたり●花粉症などのアレルギーに有効であるとして人気が高まっている。
青シソにも、赤シソと同じように薬効があり、●食中毒の予防にもなり、
また、
ビタミン、
ミネラル類を豊富に含んでいることから、様々な料理に添えられたシソの葉や花穂は、
積極的に食べるようにしたいものです。
シャクヤク(a peony) : 芍薬。夷草
(えびすぐさ)。夷薬。貌佳草
(かおよぐさ)。
学名は「Paeonia」。ボタン科の多年草。アジア北東部原産。
日本には、古く中国から薬用として渡来した。その後園芸化され、江戸時代には熊本地方で発達した
ヒゴシャクヤクなど多くの改良種が作出され、花壇・切り花用として観賞されるようになった。
これら日本で改良された品種をニホンシャクヤクと呼ぶが、原種はシベリア、中国、モンゴルなどに
分布している。根は太い塊根状、葉は二回三出複葉で小葉は卵形、全縁で先端がとがる。
茎は直立し、草丈0.5〜1mとなり、5月頃、茎頂にボタンに似た径10cm内外の花を1個つける。
花色は淡紅・紅・桃・白・黄色などで、雄しべは時に弁化して翁咲きや八重咲きになる。
洋種はおもに八重咲きで、芳香のあるものが多い。日本種には花心がいろいろと変化した
独特なものがあり、一重咲き、八重咲き、金ずい、おきな咲き、冠咲き、手まり咲きなどの花形がある。
葉は花期後充実し、夏から秋まで残り、養分を根に蓄えて枯れるが、この間に来年の花芽が分化する。
分化した花芽や葉芽は秋から春にかけて充実し、4月上旬ころから伸び始める。
漢方で根を鎮痛・鎮痙薬とする。観葉植物としても有名。[
季語]夏−植物。
管理方法 : 寒さに強く、暖地よりは東京以北の地方でよく育つ。おもに株分けで殖やす。
株分け、移植は新根が発生する9月下旬から10月中旬に行う。
春の移植は新根の発生が少なく、株の回復が悪いので好ましくない。
移植時は、太いごぼう根の先を折ったり切ったりしないよう注意する。
掘り上げたあと2〜3日、日陰干しにし、1株に2〜3芽つくように株を分ける。
植え場所は日当りと排水のよい、肥沃
(ひよく)な場所にする。
植え付けにあたっては、堆肥
(たいひ)、油かす、化成肥料などを元肥として十分に施し、
覆土は芽の上4〜5cmにする。鉢植えの場合は20cm以上の大鉢を使う。
シャクヤクは肥料を十分に与えないと花芽を形成しにくいので、
芽出し時期と花期後に化成肥料などを施す。また、同じ場所で長年育てるので、
油かすなどの遅効性の肥料を毎年寒肥として補充する。
健康効果 : 漢方では根を水洗いしたあとに乾燥したもの、また湯通ししたあとに乾燥したものを
芍薬
(しゃくやく)または白芍
(びゃくしゃく)と称し、●鎮痛●鎮けい●補血●止血剤として、
●腹痛●下痢●てんかん●産前産後の諸病●小児のけいれん体質などの治療に用い、
●皮脂分泌抑制効果●保湿作用などがある。
薬用に供するときはつぼみを全部小さいときに摘み取る。
十薬 =
ドクダミ
仙人草(せんにんそう) : キンポウゲ科センニンソウ属のの蔓性
(つるせい)の多年草で、
「タカタデ」や「ハレグサ」とも呼ばれている。また、葉や茎の汁には心臓毒「プロトアネモニン」という
クレマチスの仲間なので良い香りがするが、アルカロイドが含まれている有毒な植物で、
馬や牛などは絶対に食べなことから「馬食わず」の名もある。
学名は「Clematis temiflora」。日当たりのよい山野に自生し、茎は長さ1.5m以上に達し、
葉は卵形の小葉からなる羽状複葉の対生である。
8〜9月、葉腋
(ようえき)に4枚の萼
(がく)の白い花を多数つけ、羽毛のある痩果
(そうか)を結ぶ。
この果実の白毛を仙人の髭に見立てたところから付いた名とされる。[
季語]秋−植物。
仙人草(ふれあいサロン館より)
「家畜有毒植物学」によれば、皮膚および粘膜への刺激が強く、皮膚炎の原因になる。
主症状は口内の腫脹、胃腸炎、疝痛、下痢などで、さらに重症の場合、黒色敗臭便あるいは
血便を排泄し、嘔吐、神経症状、呼吸緩除、瞳孔散大を経て死に至ることもある。
かつて北海道では、草の少ない早春に放牧牛がかなり中毒を起こすことがかなりあり、
上記の症状以外に、血尿や、苦みのある赤色乳の排出がみられと記載されている。
しかし葉や茎の汁を直接口にしない限りは薬草として、葉や根は鎮痛・利尿薬や扁桃腺の
炎症と発熱を抑える治療に利用される。漢方薬「イレイサン」の原料としても用いられる。
センブリ(bitter−stem)千振 : 日本全土の日当たりと、少し湿り気味で、
水はけがよい山野に自生する2年草。発芽した芽のまま冬を越して、翌年の秋に開花する。
初夏のころには、高さが10〜20センチになり、茎は四角で普通根元から数本に分かれて生えている。
茎の太さ1〜2ミリで、葉は細長く対生し、形は線形、大きさは長さ1〜3.5センチ、巾1〜3ミリ程で、
葉縁は全縁。花は枝先に円錐花序をつくり、色は白で、縦に紫の線がある。花冠は5深裂し、
裂片は長さ11〜15ミリ程の大きさで、雄しべが5つ雌しべ1つある。花冠裂片の基部には、
2個の密腺があり、それには毛状の付属物がある。果実は朔果
(さくか)で、花冠よりも少し長く、
披針形をしている。花、葉、茎、根はすべてかむと苦く、全草を薬用に用いる。
花言葉は「義侠の愛」。[
季語]秋−生活。
センブリの花(岡山のK.Iさん提供)
センブリの花(鳥取の錦織梨園・錦織さん提供)
主に苦味健胃薬
(くみけんいやく)として●消化不良●食欲不振●胃痛●腹痛●下痢などに用いる。
乾燥した全草を粉末にして、1日3回0.03〜0.15グラム(耳かき一杯ぐらい)を内服する。
煎剤として使用する場合は、乾燥したセンブリ1〜2本をそのまま折って、茶わんにいれ、
熱湯を注ぎ、苦味成分が溶け出してから、冷やして飲む。2〜3回使用できる。
又、センブリには、毛根を刺激し、●発毛効果を促す作用があり、50パーセントのアルコールに
約5パーセントの割合でセンブリ粉末を入れて、1カ月ぐらい冷暗所においたものを、
マッサージしながら患部塗布する。
ソウハクヒ(桑白皮) : クワの根の皮が使われる。●美白作用などがある。
タンポポ =
蒲公英(季語の花木に別掲)
トウキ(当帰) : セリ科トウキの根。●保湿作用などがある。
ドクダミ(十薬
:じゅうやく) : 日陰や湿地に群生し、白十字の花が咲くドクダミ科の多年草で、
スペード型の葉はよく知られ、独特のニガ味がある。
日本で初めての本格的な薬草についての学問書、本草書「大和本草」(1708年刊行)の中に、
「十種の薬の効能があるので十薬という」と記されているように、
ドクダミは万病に効く民間薬として古くから利用されてきた。ドクダミの葉には特有のきつい臭いがあり、
「なにかの毒が入っているのでは」と思われたことから、「毒溜め
(ドクダメ)」と呼ばれるようになり、
それが「ドクダミ」に変化したともいわれている。[
季語]夏−植物。
ドクダミの花(2009.6.5撮影)
臭気の成分には●強い抗菌・解毒作用や●抗かび作用があるため、生葉をすり込んで
●
水虫の治療や●腫れ物の吸い出しに使われる。また青汁を服用すれば●胃痛や
●十二指腸潰瘍にも効果 があるといわれている。乾燥させればこの臭気は消えるので、
これを煎じて●
便秘の改善●利尿作用●
高血圧の予防などに用いられる。
また煎じた液を
入浴剤として用いれば、●皮脂分泌抑制効果●保湿作用
●あせもや湿疹にも効果がある。●腫瘍や●ニキビには生葉をもむか、弱火であぶって練り、
ガーゼにたっぷり付けると膿が早く出て治りがよい。
ナンテン(南天) : 東海道から近畿以西の本州、四国、九州の暖地の山地渓間に自生している。
茎は叢生
(そうせい)して、高さが2メートル以上になる。葉は複葉で、茎の上部に集まって互生し、
披針形で革質で表面は光沢があり先は尖っている。5〜6月に、茎の先端に白い花を多数つける。
果実は、直径6〜7ミリの大きさの球形で、初冬に赤く熟す。
また、変種で果実の色がやや黄色をおびた白色のものがあり、シロミナンテンとして区別されている。
赤味のものにくらべてやや大きく、葉、茎など全体に赤味がない。[
季語]冬−植物。
薬用には果実、葉、茎、根いずれも利用されるが、南天実
(なんてんじつ)は、
一般に最もよく知られているが、赤実も白実も効き目には全く差はない。
南天の実(2009.11.8、防府市大道にて)
南天実の成分はアルカロイドの一種で、知覚神経や運動神経の末梢に対して●マヒ作用があり、
●百日ぜきやぜんそくなどの咳止めに効果がある。●視力の回復にも良く効くとされる。
用い方は1日量5〜10グラムを約0.5リットルの水を加えて熱し半量になるまで煎じつめる。
煎液は布でこして1日3回に分けて食前に服用する。南天実と黒豆とを同量、同じように煎じ、
氷砂糖かハチミツで甘味をつけて服用するといっそう効き目がある。
葉は南天竹葉
(なんてんちくよう)といい、果実と同様の効き目があるとされ、
民間では●解毒薬として用いられている。とくに魚の中毒のときに新鮮な葉をよく噛んで飲み込むが、
吐いた方が効果的といわれている。赤飯の上にナンテンの葉を置く習慣には、●毒消しの意味がある。
解毒作用のあるチアン水素がごく微量に発生して、これが●殺菌効果をあげて腐敗させないからで、
ハチに刺されたとき、生の葉をよくもんで、その汁をつけると●痛み止めになる。
また●乗り物酔いには生の葉を噛むとよいといわれている。
茎は●咳止め●強壮剤に1日量10〜15グラムを、煎じて用いる。根は●
頭痛●黄疸
●
リウマチ●疲労筋肉痛などの痛み止めに1日量30〜50グラム(生のもの)を煎じて用いる。
茶材として、●せき●中風●疲労回復●強壮にナンテンの果実、葉を刻んで、お茶代わりに飲用する。
●のどの痛み●腫れがひくには、果実を生のまま飲みくだすと効果がある。
ニガウリ =
ゴーヤーへ
ノアザミ(野薊) : 山野に自生しているほか、人里や草っ原に普通に見られるキク科の多年草で、
茎の高さは1メートルほどにもなるものもある。アザミ属は日本だけで60種ほどもあり、
オニアザミなどの夏から秋にかけて咲くものが多いが、春に花をつけるアザミとしては
ノアザミとキツネアザミが知られている。ノアザミは茎の表面に縦の条線があり、
白色の綿毛が密に生えている。5〜8月、枝の先に紅紫色で4〜5センチほどの頭状花を直立してつけ、
総苞にはねばり気がある。園芸品はドイツアザミと呼ばれ、紫・紅・淡紅・白などの花色がある。
アザミ属に共通しているのは、鋭い棘がある葉で、羽状に深く裂け、先端が尖っている。
ノアザミは花の付け根の部分をつまむと、粘着性があるので、ほかのアザミ類とは見分けやすい。
[
季語]春−植物。
健康効果 : ノアザミで薬効があるのは葉と根だけである。
葉 : たむし、かぶれ、湿疹などの皮膚疾患には、生の葉をすりつぶして患部につけるとよい。
乳腺炎には同じく生の葉をすりつぶして冷湿布すると効くとされ、葉の生汁を顔にできるハタケに
つけるとよいなどと伝承されている。葉には
フラボノイドのペクトリナリンを含んでいるからとされる。
根 : 利尿、神経痛、健胃、止血などに用いる。5〜8月の開花期、あるいは地上部が枯れ始める
時期に根を掘り採り、よく水洗いしたあと、薄く輪切りにして日干しにする。
漢方ではクロロゲン酸と言われている。
利尿、神経痛、止血には乾燥させた根8〜12グラムとカップ3(600cc)の水で半量になるまで
煎じて1日量とし、3回に分けて毎食前に服用する。健胃には乾燥させた根10〜15グラムを同様に
カップ3の水で半量になるまで煎じ、3回に分けて毎食前に服用するとよい。また、火傷や腫れもの、
毒虫に刺された場合などには、生の根をすりおろして汁をつけるとよいともいわれている。
薬草を煎じる容器 : 土瓶や土鍋などの陶器、あるいは耐熱ガラス製の鍋などを用い、金属製のものは
避けたほうがよい。金属製のものは、薬草の成分と化学変化を起こし、さびてしまうことがある。
ハトムギ(adlay、adlai) : 鳩麦。四国麦。川穀
(せんこく)。
東南アジア原産のイネ科の1年草で、熟した実を食用や薬用に利用し、葉は茶の代用とする。
茶褐色の固い殻に包まれたジュズダマによく似た種実は、コメやムギよりも
タンパク質やビタミンB群、
カルシウム、
鉄分などの栄養価に富み、東南アジアや中国では、古くから重要な食物として
利用されてきた。日本には、7〜8世紀に中国から渡来し、民間で薬用として用いられていが、
江戸時代中期以降になってから、国の主導により栽培が進められた。
ハトムギは、古来は「唐麦
(トウムギ)」、「朝鮮麦
(チョウセンムギ)」、また、1反(約10アール)から
4石(約180リットル)の収穫ができたことから「四石麦
(シコクムギ)」などと呼ばれていたが、
明治以降、鳩が好んで食べることから「ハトムギ」の名が定着したといわれている。
●利尿●胃腸病●神経痛や
リウマチなどの痛みに効果があるとして、実を煎じて飲んだり、
お粥に混ぜて食べたり、最近では清涼飲料水のブレンド茶の原料としても盛んに利用されている。
また、ハトムギは美肌、イボ取りの薬草としても知られている。
これは、ハトムギに含まれるコイキセラノイドという成分に、●腫瘍抑制作用
●新陳代謝を高める作用があるためで、お茶やお粥にして内用するほか、
ハトムギの粉を洗顔や美容パックに用いても効果が期待できる。
内用の場合は、お茶よりはお粥として摂取した方が顕著な効果が期待できることが
経験的に明らかになっている。さらに、最近はハトムギの腫瘍抑制効果が、
●
ガン細胞の増殖の抑制効果のほか、●解熱●鎮静●鎮痛
●消炎効果も期待できるとして注目されている。
ベニバナ =
紅花(季語の花木に別掲)
マツ →
松(薬用としての松)
モロヘイヤ(Jew’s marrow、mulukhiya:エジプト) : 学名は「Corchorus Olitorius」。
エジプト語で「野菜の王様」という意味で、
クレオパトラの美の源だったとも言われている。
シナノキ科ツナソ属の野菜で、原産地は東地中海地方あるいは熱帯アフリカ、インドの西部だと言われ、
中国大陸南部原産地説はその後の伝来地だと思われる。
東南アジアから地中海沿岸、アフリカ、エジプトで好まれている。
草丈25〜30cmで、葉は
シソに似た長楕円
(だえん)形の単葉で、先はとがっている。
モロヘイヤ
若い葉、茎を食用にする。生葉を刻むとオクラのような粘りがあり、くせがなく、かすかな甘味がある。
昔アラビアの王様が内臓の病気になったとき、
モロヘイヤのスープを食べて元気になったという話により「マリク(王様)のスープとよばれていた。
また古代エジプトでもすでに食用とされていたが、日本に入ってきたのは1980年代である。
きわめて栄養価が高いために健康野菜として注目を集めている。
カルシウム(
ホウレンソウの9倍)、
カロチン(ホウレンソウの4.6倍)がとくに多く、
ほかに
カリウム、
ビタミンB2、
ビタミンC、
ビタミンE、
鉄分なども豊富である。
効能としては、
便秘、
高血圧、
低血圧、
貧血、
血糖値や尿酸値の改善、疲労回復などがある。
旬
(しゅん)は7〜9月で冬場は岩手産の水耕栽培物が出回っている。
茹
(ゆ)でてから細かく刻んでスープにしたり、おひたしにする。また生葉を天ぷら、
炒
(いた)め物にするほか、粉末状にして小麦粉と混ぜ、パン、麺
(めん)などにした商品もある。
三重県のモロヘイヤの栽培は、1992(平成4)年から本格的に産地化され、
日本一の栽培面積を誇っている。
管理方法 : 生育適温は20℃くらいで、通気性、保水性のよい土壌を好み、
灌水をたっぷりと行うことが収穫を増やすポイントである。
草丈30cmほどで芽先を摘むと、側枝が伸びてきて、こんもりと茂る。
草丈40cmくらいで倒伏防止に支柱をたて、50〜60cmに伸びたら順次芽先や葉を摘んで利用する。
ユキノシタ(鴨足草、虎耳草
:こじそう) : 野山や、意外に家の庭などに生えている薬草。
日陰に生える、
シクラメンの葉に似た形をした葉が特徴。[
季語]夏−植物。
幼児がひきつけを起こしたときなどに効き目がある。その他●美白作用●抗シワ効果
●
DNA修復効果などがある。生葉10枚くらいを塩でもみ、汁をしぼって飲ませるとよい。
●耳だれが出るときは、葉をあぶってやわらかくし、傷口に貼ると●消炎作用と●排膿作用がある。
生葉を塩でもんで貼るか、葉の煎じ汁で温湿布をすると●ウルシのかぶれによい。
ユズリハ =
譲葉(別掲)
ヨモギ(蓬、艾葉
:がいよう) : 正式名は「ニシヨモギ」で、キク科の植物である。
お灸のモグサの原料にはオオヨモギが使われる。
本土のヨモギはそのままではアクが強くて食べられないので、
重曹を入れたお湯で生の葉をよく湯がいて、水気を絞ったものを餅に混ぜたりして使う。
沖縄のヨモギ(フーチバー)は生の葉をそのまま食べることができ、
沖縄そばに盛りつける具として日常的に使われている。[
季語]春−植物。
成分 : ヨモギの葉には、あの独特の香りのもとになっている精油分が豊富に含まれ主に、
シネオール、ツヨン、β−カリオフィレン、ボルネオール、カンファー、脂肪油のパルミチン酸、
オレイン酸、リノール酸、
ビタミンA、
ビタミンB1、
ビタミンB2などが含まれている。
ヨモギの薬効は以外に広く、●解熱●神経痛・
リウマチ●子宮出血●老人婦人諸症●吐血
●嘔吐●下痢止め●喘息●
貧血●
腰痛●痔●保湿作用などに効果 があると記されている。
●切り傷には生の葉の青汁を塗るとよい。
●止血には、乾燥させた葉約10gを1リットルの水でよく煎じて飲むとよいとされている。
●ヨモギを
入浴剤として使うと、汗疹や皮膚のさまざまな症状に効果があるとされている。
●
ガン予防効果を充分に得るには、ヨモギを5分間煮る。さらにガン予防効果を高めるには、
味噌汁に納豆とともに入れるとよい。
竜胆(りんどう) =
竜胆(別掲)
参 :
薬掘る(季語)
薬草のことなら「イー薬草・ドット・コム」や「仲善(なかぜん)」のホームページをお奨めします。