クマノミ(YSミニ辞典別掲)
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クマノミ(anemonefish:
アネモネフィッシュ)くまのみ : 熊の実。隈魚。学名は「Amphiprion clarkil」。
硬骨魚綱スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科の海水魚およびクマノミ属の近縁種のハマクマノミ、
カクレクマノミなどを含む総称。成魚の体長は10〜15cm。体は楕円形
(だえんけい)で側扁し、
ほかのスズメダイ科の魚類とは、鱗
(うろこ)が細かく1縦列に50枚以上あること、
歯が円錐
(えんすい)状で1列に並ぶことなどで区別される。
体色は暗褐色で、頭部・中央部・尾部に3本の白い横帯がある。
クマノミ(Yellowtail clownfish)
大阪・海遊館のクマノミ
大形のクマノミイソギンチャクと共生し、触手の間にひそみ外敵から身を守る習性があり、
1尾の大きな優位な雌、2〜3尾の中形の雄、数尾の幼魚からなる雌中心の集団をつくる。
雌がいなくなると、雄のうち最も体が大きい最優位の成魚が性転換をしてボスとなる。
サンゴ礁にすむ魚には性転換するものがたくさんいるが、大半は雌から雄へ変化する。
クマノミのように雄から雌に変わるものはまれで、グループのトップに君臨していた雌が死ぬと、
ナンバーツーだった雄が、雌に性転換をしてトップの座につき、
その次に体の大きい若者が雄となってナンバーツーに繰り上がる。
夏に2週間に一度くらいの頻度でイソギンチャクの近くの岩を掃除し、岩肌などに
200〜300個の楕円形の卵を産み付ける。親はつねにひれで新鮮な水を送り、また死卵を取り除く。
卵は数日後の夜に孵化
(ふか)し、かえったばかりの透明な仔魚
(しぎょ)は1〜2週間、
海面近くを漂った後、1cmに満たない稚魚に変態し、サンゴ礁に下りてクマノミイソギンチャクに定位する。
クマノミイソギンチャクと長期間接することができなかった稚魚は、クマノミイソギンチャクに捕食されるか
死んでしまう。数千種いるイソギンチャクのうち、わずかに10種だけがクマノミの宿主となる。
クマノミの体表を覆う粘液がイソギンチャクによる刺胞毒から身を守るとされる。
防護膜を身にまとったクマノミは、イソギンチャクを捕食者から守る役目も果たすようになる。
クマノミはイソギンチャクと互いに利益をもたらす共生関係にあり、生涯を宿主のイソギンチャクとともに過ごす。
数メートル離れることさえまれだ。食べるのはカイアシなどのプランクトンや藻類である。
飼育が比較的容易なので観賞魚として飼育されるが食用とはしない。
千葉県以南の太平洋、インド洋の磯にに広く分布している。
日本には南西諸島に本種を含め6種のクマノミ類がいるが、いずれも大形イソギンチャクと共生し、
特異な泳ぎ方と斑紋
(はんもん)で互いに区別される。クマノミ属のうち和名クマノミが分布が広く、
もっとも北方にまで生息する。普通カクレクマノミがハタゴイソギンチャクを、
ハマクマノミがタマイタダキイソギンチャクを、トウアカクマノミが砂底のイソギンチャクを、
ハナビラクマノミがシライトイソギンチャクを、というように共生する相手は種によって異なる。
カクレクマノミ(Clown anemonefish)
大阪・海遊館のカクレクマノミ
大阪・海遊館のスパインチーク・アネモネフィッシュ(Spinecheek anemonefish)
セジロクマノミ(弘前のデジカメダイバーより)
トウアカクマノミ(T2’s Photo Galleryより)
大阪・海遊館のトウアカクマノミ(Saddleback clownfish)
ハナビラクマノミ(Pink anemonefish)
大阪・海遊館のハナビラクマノミ
ハマクマノミ(弘前のデジカメダイバーより)
優しい眼差しで、成長する卵の面倒を見るハマクマノミの雄。胸びれであおいで、
酸素の豊富な海水を送りこんだり、死んだ卵はすくって取りのぞいてやったりする。(ECOマネジメントより)