時効(YSミニ辞典し)

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公訴時効(こうそじこう) : 公訴時効。公訴時効制度。
    刑事上の概念で、犯罪行為のあと、一定期間(公訴期間)が経過した場合、
    容疑者が判明しても公訴が提起できなくなることをいう。
    期間は刑の重さによって異なり、刑事訴訟法250条に定められている。
    犯人が海外に逃亡している間は、時効の進行が停止する。
    確定判決後に刑の執行が免除される「刑の時効」とは異なる。
    刑事事件では、検察官が被疑者を起訴して刑事裁判にかける。
    ところが、刑事訴訟法では、犯罪行為が終わってから一定期間が過ぎると、
    その犯人を起訴できなくなることを定めている。
     @時間の経過で証拠が散逸するA被害者や社会の処罰感情が薄れる
    B罪に問われずに一定期間が過ぎた犯人が培った社会での関係を尊重する、
    などが存在意義と説明される。容疑者が国外にいる間は進行が停止する。
     何かの犯罪事件についてその時効が成立すると、警察はその犯人を逮捕できなくなる。
    時効が成立した事件について、警察は関連書類などを被疑者不詳のまま検察官に書類送検する。
    事件はそれで終了する。犯罪の種類によって、時効期間はいろいろある。
    たとえば、殺人など死刑にあたる罪は時効なし、殺人未遂の時効期間は30年である。
    時効廃止対象の12罪(@〜Eは「刑法」関連、F〜Kは「特別法」関連)
     @殺人A強盗殺人・強盗致死B強盗強姦(ごうかん)致死C汽車転覆等致死
     D往来危険による汽車転覆等致死E水道毒物等混入致死F決闘による人の殺害
     G航空機強取等致死H航行中の航空機の墜落等致死I組織的な殺人
     J人質殺害K船舶強取・運航支配等致死    
公訴時効の期間
第250条 条  文
時効は、次に掲げる期間を経過することによつて完成する)
強盗殺人、殺人などの死刑に当たる罪については時効なし
強姦致死などの無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
有期刑上限である20年の傷害致死、危険運転致死などの
長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については14年
自動車運転過失致死、業務上過失致死などそれ以外の
長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については6年
拘留又は科料に当たる罪については2年
    ●なお、刑法第31条から第34条の2までの規定は、刑の言い渡しを受けた者が、
     当該条文にある期間の経過により、その執行が免除される規定(刑の時効)であり、
     刑事訴訟法の公訴時効とは制度的に異なる。
    ●犯人の犯行時の年齢は関係なく、仮に最高刑が死刑にあたる罪を
     死刑が適用されない18歳未満が犯したとしても、公訴時効はない。
    ●公訴時効の停止は、公訴の提起があって、はじめて停止する(刑事訴訟法第254条1項)。
     つまり、被疑者の身柄を確保(あるいは逮捕)しただけでは、公訴時効は停止しない。
     官僚たちが勝手に考えた制度だと思うが、何年経っても遺族や社会の処罰感情が
    薄れるわけがない。他人を殺して逃げ回っている者が時効後は堂々と生きていける
    ことは許せない。重大事件をめぐる時効は先進諸国と同様に撤廃すべきである。

    時効廃止法が成立、即日施行
     殺人事件などの凶悪事件の時効廃止を盛り込んだ刑法と刑事訴訟法の改正案が
    2010年4月27日午後1時ごろ、衆議院本会議で可決・成立した。
     時効制度の改正案は「人を死亡させた罪」を対象としたもので、
    最高刑が死刑にあたる殺人や強盗殺人などの罪は時効を廃止し、
    それ以外の「人を死亡させた罪」については、これまでの時効期間を2倍に延長するなどとしている。
    また、時効を迎えていない未解決事件にも適用される。改正案は、即日公布・施行される見通し。
     この法律が施行されると、1996年に起きた上智大生・小林順子さん殺害事件のほか、
    2010年7月に時効が迫っていた、1995年に東京・八王子市のスーパー「ナンペイ」で
    女子高校生ら3人が射殺された事件や、2000年に東京・世田谷区で
    宮沢みきおさん一家4人が殺害された事件などの時効も廃止されることになる。
    警察庁によると、この改正を受けて時効がなくなる殺人事件は、全国で373件あるという。
    また、時効がなくなる殺人事件で、警察庁が指定する重要指名手配容疑者は11人に上る。
    時効の廃止・延長は、施行までに時効が完成しなかった過去の事件にも適用される。

    殺人事件には時効をなくせ(朝日新聞2008.3.7「声」、主婦・稲葉 千登勢さん(47歳)の投稿より)
     三浦和義元社長を、米警察当局が逮捕したというニュースが流れました。
    それにより、米国では一定の重罪には公訴時効がないことを知りました。
     しかし、日本では殺人を犯しても25年(2005年の法改正前は15年)という時効があります。
    時効があること自体、人の命を軽んじているとしか思えません。
     2004年8月、警備員だった男が「26年前に殺し、床下に死体を埋めた」と自首しました。
    時効が成立していたから自首したのです。
    もし、家族が殺されて、「時効になりました」の一言で納得できるでしょうか。
     刑法とは、被害者家族が復讐できない代わりに、犯人に罰を与えるものではないでしょうか。
    それを25年過ぎれば刑事罰がないとは、納得できません。
     「人権、人権」と言いますが、日本では被害者の人権があまりにも軽視されているように思えます。
    被害者の人権尊重の立場から、殺人事件の時効は撤廃すべきだと思います。そして、
    死刑制度は廃止して、釈放なしの終身刑を新たに設け、殺人犯には終身刑を科すべきだと思います。
    私も時効は不要だとする一人ですが、厚顔で私利私欲の政治家や公務員は、
    自分たちで作り上げた既得権益は決して手放すことはないでしょう。
    常に被害者側の身になって法をつくるべきで、何の関係もない何の罪のない人が殺されて
    家族が崩壊することもあるのに、犯人はわずか25年で刑事罰はなくなるとは考えられない。
    死にたくない人を一人殺したら死刑になるのが当然だ。時効なんて必要ない。

    横領罪などの時効はなくせ
    (朝日新聞2008.3.15「声」、山口県小野田市在住の熊本 雅之さん(47歳)の投稿より)
     最近、製品の不具合を知らせるCMや新聞広告をよく見かけます。謝罪や回収への理解や協力を
    求める言葉が、企業の誠実さを感じさせます。もちろん不具合のないことが、一番いいことなのですが。
     ところが、「ねんきん特急便」の広告には、これらの言葉がありません。
    まるで自然災害の保障制度を説明しているかのようです。
    このような事態になったのは、厚生労働省や社会保険庁のずさんな年金管理が原因です。
    舛添大臣は広告を見て、彼らの無責任さを感じなかったのでしょうか。
     アメリカでは殺人事件には時効がないようです。日本も検討したらどうでしょう。
    殺人事件(公訴時効25年)はもちろんのことですが、
    収賄罪(同5年)や業務上横領罪(同7年)などの時効もなくすのです。
     時効がなくなれば、政治家や公務員は自分の行動に責任を持つようになるのではないでしょうか。
    真実が明らかになり、再発防止に役立つ法改正がされることを願っています。
時効(じこう) : 法律用語の一つで、ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、
    現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わずに、
    その事実状態に適合するよう権利又は法律関係を変動させる制度。
    一般に民事における取得時効消滅時効、刑事における公訴時効とに大別される。
取得時効(しゅとくじこう) : 民法の規定による「時効」の一つで、所有の意思をもって他人の物を
    占有した状態が、一定期間継続することによって、権利取得の効果が生じる時効のこと。
    「所有」の意思をもって占有していることと、平穏かつ公正であること(凶暴でなく、
    占有保持を隠さないこと)の2点がそろって20年経過すると自分のものとなり、
    さらに、占有しはじめたときに自分に所有権があると思いこんでいて、
    そう思いこむことに過失がなければ、10年で所有権を認める制度である。
    この制度で2003〜2005年度に民間に無償譲渡された国有地は計約120億円分に上がるという。
    参 : 消滅時効

    国立公園や国定公園および国有林などの国の所有物は国民のものでもあり、
    これに取得時効を悪用して個人のものにできる制度は廃止すべきである。
    こんな馬鹿げた制度をつくったからには、林野庁はすべての山林を定期的に見回るべきで、
    今まで最低の10年間も怠っていて国有地を取られたのは、役人の怠慢のなにものでもない。
    「あんな広域な山林のすべての定期巡回はできない」と言うのなら、
    衛星写真やヘリコプターからの写真撮影による確認という方法もあるだろう。
     山口県下関市の吉母(よしも)漁協沿いの国有地計3200平方メートルが約30年にわたり、
    漁協の集会場や地域の駐車場として無償で使われていたことも一例で、
    1970年に当時の大蔵省(現・財務省)から農林省(現・農林水産省)に所管替えされた際に、
    土地を管理する山口県の漁港漁場整備課が登記替えもせず、引継ぎもしなかったというのだ。
    長年占有してきた漁協に取得時効が成立する可能性があり、
    認められると、何億という国民の財産が国の収入にならないまま処分されることになるのである。
    どこの漁協も財政が逼迫していることから、取得時効を主張して転売することでしょう。

消滅時効(しょうめつじこう) : 民事における「時効」の一つで、一定の期間の経過の後、
    当事者が時効を援用することによって、権利の消滅をもたらす制度のこと。
    時効によって債務者が時効を主張できるようになるまでの期間を時効期間といい、債権の時効期間の
    原則は10年(民167)だが、商行為により生じた債権の時効期間は5年(商522)になる。
    時効期間が開始する時期を時効の起算点といい、民法では時効の起算点は権利行使ができる時
    されている(民166)。消滅時効は権利の上に眠る人を保護しないという制度なので、
    たとえば返済期限が定められている貸付金はその返済期限が到来した時が時効の起算点となる。
    時効によって権利を取得するものは「取得時効」という。

    1956(昭和31)〜1959年にドミニカ共和国へ移住した日本人とその遺族約170人が
    「日本政府は広大な農地を無償譲渡する約束を守らず、劣悪な環境下で過酷な生活を強いられた」
    として、国に総額約31億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2006年6月7日、
    国の賠償責任を認めた上で、賠償請求権は除斥期間(権利の法定存続期間、20年)の経過で消滅した
    として請求を棄却した。金井康雄裁判長は判決理由で「外務省と農林省(当時)は移住に際し、
    調査や説明を尽くす義務に違反した」と国の不法行為を認定した。
    ドミニカ移民は「戦後移民史で最悪のケース」とされるが、司法は“時の壁”を理由に救済しなかった。
    訴訟は@調査、説明を尽くさなかった国の不法行為責任A募集要項に記載された「約18ヘクタールの
    農地無償譲渡」との条件が守られなかった債務不履行B除斥期間と時効などが争点となった。























































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