鏡関連(YSミニ辞典)

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(a mirror、a looking glass)かがみ : @光の反射を利用して形・姿を映して見る道具。
     原始古代のわが国において、鏡は単に身を装うための道具ではなく、
     美しく磨かれた鏡面の金属の輝きや、鏡背を装飾する目にしたこともない
     珍(めず)らかな文様などに格別の意味をこめた権威のシンボルとしての宝器であった。
     一般にこの時代の鏡は青銅を素材とした銅鏡だが、稀(まれ)に鉄を材料にした鉄鏡がみられる。
     古くは青銅や白銅などの銅合金や鉄などの表面に水銀に錫(すず)をまぜたものを塗って
     磨いた金属を用いたが、現在は、ガラス板の裏面に可視光を反射する
     金属膜(アルミ、銀鍍金(ぎんめっき)など)のコーティングをして作る。
     他に、プラスチックやポリエステルフィルムの表面に金属を蒸着したものなどもある。
     形は方円・八つ花形などがある。古来霊的なものとみなされ、神社の神体とし、
     荘厳具や魔除けの具とされる。また、婦女の魂として尊重する風があった。(例)鏡のような湖面。
     鏡のうち、人が自らの姿を映す為に用いる「スタンド鏡」などを特に姿見(すがたみ)ということがある。
     銅鏡(どうきょう) : 中国・朝鮮の古代、日本の弥生・古墳時代に主に製作された
      銅合金製(青銅製)の鏡で、遺跡などから発掘されることが多い。
      獣帯鏡・画像鏡・画文帯四獣鏡・三角縁神獣鏡・斜縁神獣鏡などがあり、
      円形の鏡面の背につまみと文様がある。
     
     三角縁獣文帯四神四獣鏡(椿井大塚山古墳出土)
     
     三角縁波文帯四神二獣鏡(岐阜県、一輪山古墳出土)
     
     Yahoo!オークションに出されていた銅鏡で、
     中国唐代の海獣葡萄鏡(龍紋)重さ1.07kgとのことだが、入札価格は1600円だった。

     
     我が家の直径14cmの銅鏡(家宝の一つ)。「光長」という男性が使っていた手鏡ではなく、
     江戸時代中期から後期にかけての鏡師「藤原光長」作のものらしく、
     大量生産されているので美術品としての価値はあまりないという。
     しかも、私たちが小さい頃に柄を折ってしまっているので、細かな図案だけを鑑賞しましょう。

     鉄鏡(てっきょう) : 漢から唐の時代、なかでも魏晋南北朝時代に多くみられる。
      わが国にも数面が伝来しているが、大分県日田市日高町のダンワラ古墳から1933(昭和8)年に
      出土した一例は「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡(きんぎんさくがんしゅりゅうもんてっきょう)」と呼ばれ、
      国内唯一の極めて華麗な遺品として国の重要文化財に指定され、東京国立博物館が所有している。
      鏡は金、銀、トルコ石などをちりばめた鉄製で、直径21.1cm、厚さ約5mmで、
      反りはなく平面である。装飾は、腐蝕のために剥落した部分が多いが、約3分の1が残存しており、
      原状をうかがうことができる。鏡背文の中心的なモチーフは、金および銀の象嵌で表わした
      龍文である。鈕(ちゅう:紐を通す孔をもった把(つま)み)のまわりには金銀の線で四葉を描き、
      葉の中心にはガラス玉をはめ込んでいる。各葉の間には「長」「宜」「(欠落)」「孫」の吉祥句を置く。
      主文様は、各葉の先端に、角を立てて口を大きく開き、体躯をくねらせて相対する龍を
      金象嵌で表現したものであるが、角の先や唇など、ところどころに銀線を使って変化をもたせている。
      この外周には、よく似た形の細長い龍を 絡(から)みあわせるように配置している。
      これらの龍の両眼や身体の節々には青緑色の珠玉を嵌(は)め込んでアクセントをつける。
      珠玉を嵌め込む前には赤漆を充填(じゅうてん)したとみられる。
      鏡の外周には、幅広く力強い渦雲文をめぐらして、全体をひきしめている。
      この鉄鏡は2〜3世紀の中国の後漢か三国時代の工房で製作され、
      弥生時代中期に日本に伝来したものと思われるが、
      その伝来ルートや古代の対外交渉の実態を考えさせる重要な遺品である。
      
      金銀錯嵌珠龍文鉄鏡(2009.11.5の朝日新聞よりコピー)
      
      金銀錯嵌珠龍文鉄鏡の右横部分(ブルーはトルコ石)
      参 : [YouTube
     シェイプアップ・ミラー : 裏側に金具が取り付けてあってそれを調節することで
      フラットな鏡を少しだけ凸面鏡にして細く映すようにした「痩せて見える鏡」のことで、
      高さ1.8mの鏡の場合、上から5分の1、下から5分の1、真ん中の3個所、
      それぞれ顔、足、ウエストの部分が細く見えるように金具が取り付けてある。
      業務用として開発されたが、金具を元に戻せば通常のフラットの鏡として使える。
     スーパーピュア・ミラー : 普通の鏡は実際の肌よりも色が暗く、やや青っぽく見えることから、
      透明度の高いガラスを使った「より実物の肌色に近く見せる鏡」のこと。
      高透明のガラスはもともと色かぶりを嫌う絵画ケースなど美術館用として開発されたものである。
      参 : 伊部鏡店(HP)、鏡空間(HP)
    A(鑑・鑒)人の手本。模範。(例)人の鏡。
    B「鏡餅(かがみもち)」の略。
    C形が古鏡に似ていることから、酒樽の蓋(ふた:head)。(例)鏡を抜く。
     古鏡とは、主に青銅や白銅で鋳造し、その表面を平直あるいは凸状に磨きあげたもの。
    D提出あるいは送付する書類の一枚目に、あて先・標題・日付・作成者などを記して添える文書。
    E「鏡物(かがみもの)」の略。書名に「鏡」のつく、和文の歴史物語の総称。
     「大鏡」「今鏡」「水鏡」「増鏡」など。鏡類。
    F茶碗の茶だまりで、丸く一段くぼんでいる部分。
     高麗茶碗によく見られるもので、熊川(こもがい)茶碗の約束事の一つ。
鏡開き(かがみびらき) : 正月の間、神佛前に供えていた鏡餅を1月11日に下げ、
    一家の円満を願って「雑煮」か「汁粉」にして食べる行事。昔は鏡餅を刃物で切るのは切腹を
    連想されるために敬遠され、餅は切らずに手で欠いたり木づちで割ったり、砕いたりしていたことから、
    「切る」を「開く」と言った。結婚式などのお祝いごとに「終わり」と言わずに「お開き」を使うことと
    同じことである。地方によって日が違い、京都では早めの4日、そのほか20日に行なう地方もある。
    神事や結婚披露宴、竣工式、創業記念など、
    様々な催しで会場のムードを盛り上げる菰冠(こもかぶり)の酒樽を割る「鏡開き」も、
    鏡餅を割って食べる『鏡開き』とともに新たな出発や区切りに際し、
    健康や幸福などを祈願しその成就を願うことに変わりないが、ここでは餅の方を指す。
    この鏡餅を食することを「歯固め」ともいう。[季語]新年−生活。
鏡餅(かがみもち) : お供え。おかがみ。のように丸く平たく作った餅。
    大小2個を重ねて、正月に神や仏に供えたり、めでたいことのある日の祝い物としたりする。
    神様の宿る「鏡」と神様の食べ物とされている「餅」に由来し、
    古来、神前には円形の鏡をおいて祀るのが日本の礼式で、また餅も神前の捧げ物として
    用いられていたのが、奈良時代の頃から、鏡餅が神に供える物として用いられ、
    特に正月飾りとしては新年の神、歳神様へ供える餅として欠かすことのできないものとなった。
    室町時代になると、床の間が出現し、鏡餅は武家礼式の中の単なる床飾りとなって、
    食礼の意味は薄れた。この武家の床飾りが後世、鏡餅飾りとなって広く普及した。
    鏡餅は三種の神器の一つとして神と人を仲介するものであり、神様に一年間無事であったことを
    感謝する気持ちをこめて飾られ、また、神前に捧げた餅を皆で分けあって食べることで
    1年間の幸せを願い、神様からの祝福を受けようという信仰・文化の名残りである。
    つまり、鏡餅は神様にお供えしてからいただく尊い餅なので、
    「お供え」が鏡餅の別名となっているのはこうしたことに由来している。
    鏡餅は新年11日までお供えし、鏡開きを待ってお下がりを頂く。[季語]新年−生活。
    
    鏡餅
    鏡餅の飾り方
     @三宝(三方とも書く)の上に紙(半紙又は奉書紙、または四方紅)を敷き
      その端が三宝から垂れるようにする(四方紅とは赤い色紙)。
     Aその上に裏白(うらじろ)を白い方が上になるようにのせ、するめを置いてもよい。
     Bその上に餅を2段が重ね(大きいのが下、小さいのが上)にし、
     Cその上に橙(枝と葉付が望ましい)を載せる。ゆずり葉は、小さいものなら、橙の下、
      大きいものなら、おもちの周りに(三方の上)、見栄えよく飾ればよい。
      昆布は、おもちが二段重ねのものなら、上のもちと下のもちの間に敷く。
      おもちが二段一体になっているものなら、裏白とするめと同じ、おもちと三方の間に敷く。
      扇は、おもちの後ろから見えるように飾る。この他に、御幣(四手、餅と餅の間)や
      串柿(餅の間か三方の上、餅の前)、末廣(扇、餅の後)、伊勢海老などを飾ったりする。
    脇役の意味
     ★(だいだい) : 「代々」(繁栄する、家系が継続する)という縁起の語呂合わせ。
      橙のヘタの形が、台を二つ重ねたような形になっているから、との由来もある。
      また、実が熟しても、木に付いたままで翌年の夏には、青く戻ってまた熟れる。
      そして約5年から10年それを繰り返し木から落ちないという生命力から
      代々繁栄するようにとあやかられた。小さなミカンを橙の代わりにすることもある。
     ★裏白(うらじろ) : 常緑のシダで左右の葉が対となっており、夫婦円満を意味する。
      また、古い葉が落ちずに新しい葉を生ずることから家族の長寿と繁栄を願う気持ちも込められている。
      さらに裏が白く、白を上にして飾るのは「裏を返しても心は白い」(心が白く二心が無い)と
      清浄潔白を表わすためと言われる。
     ★ゆずり葉 : 新しい葉が成長してから、古い葉が落ちることから、
      代々、親から子へ、孫へ、家が栄えていく象徴として、のちの世代まで長く福をゆずる。
     ★御幣(ごへい) : 紅白の紙を稲妻状に折ったもので、赤い色は魔除けの意味がある。
      紅白ではなく白一色のものは四手(しで)と言う。
      四方に大きく手を広げ、繁盛するように、という意味がある。
     ★串柿(くしがき) : 柿は長寿の木であり、「幸せをカキ(嘉来)集める」などといわれ縁起物と
      されている。柿は外側2個づつ、内側に6個串に刺しているが、
      「外はにこにこ、中(仲)むつまじく」の語呂合わせになっている。
     ★海老(えび) : その姿になぞらえ、腰が曲がるまで長生きできるようにと願われた。
     ★(おおぎ) : 末広(すえひろ)ともいい末長く繁栄していくようにとの願いが込められている。
     ★昆布(こんぶ) : 喜ぶ、悦ぶ。子生(こぶ)=子供が生まれる、の意味がある。
      古くは昆布の事を「広布(ひろめ)」と言い、広めるの意味がある。
      また蝦夷(えぞ)で取れるので、夷子布(えびすめ)と呼ばれた。
      えびすめは七福神の恵比寿に掛けて、福が授かる意味合いである。
     ★するめ : 昔からの神様へのお供え物で、永久不変の意味があり、
      食べ物に困らないようにとの願いが込められている。
    参 : 日本鏡餅組合(HP)





























































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