鍾乳洞関連(YSミニ辞典)

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秋芳洞(あきよしどう) : 山口県美祢市東部に立地する、秋吉台(あきよしだい)の地下100mにある鍾乳洞
    1926(昭和元)年、昭和天皇が皇太子の時、鍾乳洞を探勝になり、
    「あきよしどう」という読みで命名された。しかしながら、地元の方が「しゅうほうどう」と読んだことから、
    合併時の町名まで「しゅうほうちょう」となったが、その後、宮内庁に問合わせた結果、
    鍾乳洞の読みが、「あきよしどう」と分かり、現在、鍾乳洞の正式名称は、
    本来の名称である「あきよしどう」となり、「しゅうほうどう」と読むのは誤りである。
    しかし、町名は「しゅうほうちょう」のままとなっていたが、美祢市に合併した。
     山口県中央部の日本最大のカルスト台地「秋吉台」南端の
    地下約100メートルにある東洋一の規模をうたう巨大な鍾乳洞で、
    学術上価値が高いことから、文化財保護法に基づき、国の「特別天然記念物」に指定されている。
    

    
    
    
    百枚皿(高画質壁紙写真集無料壁紙HPより)
     数百万年前にできた石灰岩の地層が雨水による浸食を受け、地下水路が周りの岩を溶かし、
    洞窟が出来た。総延長は約10kmあるとみられるが、観光用に公開されているのは1.5kmほどである。
    川や滝もあり、「黄金柱(こがねばしら)」、「大黒柱」、「百枚皿」、「くらげの滝登り」など
    様々な形をした石柱や石筍(せきじゅん)などの鍾乳石を見ることができる。
    洞内の温度は四季を通じて17℃で一定し、夏涼しく冬は温かい。
     秋吉台にある他の2つの鍾乳洞の景清洞(かげきよどう)、大正洞と合わせ、
    秋吉台地下水系という名称で2005年11月、ラムサール条約の登録湿地となった。
     長い歳月をかけて自然が作り出した神秘的な造形美が人気で、山口県の観光地としても有名だが、
    観光客は山陽新幹線が開通した1975(昭和50)年度の198万人をピークに減り続け、
    2006年は61万5千人だった。
     秋芳洞に照明が始めてついたのは1925(大正14)年で、現在は278基の蛍光灯や水銀灯が
    歩道や鍾乳石を照らしているが、この照明と洞内の改造が原因らしく、
    1960年代の後半から、もともとは存在しなかったシダ、コケ、カビが広範囲に現れ、
    一定だった気温も場所によって差が生じている。植物が入り込んで岩盤が割れる恐れもあり、
    コケやカビによる景観悪化で観光価値も落ちるなどが懸念され、県と山口大学は2007年度から、
    光が当たる場所の温度がほとんど上がらず光合成もしにくい発光ダイオード(LED)を使うなどし、
    洞内環境の保護と観光の両立を図る実験に乗り出した。
    参 : 玉泉洞秋吉台・秋芳洞観光サイト(HP)

    「百枚皿」7色にライトアップ概要発表
     国の特別天然記念物「秋芳洞」の開洞100周年を記念し、
    美祢市は2009年5月27日、目玉事業として計画している洞内のライトアップイベント
    「光響ファンタジー・水と大地の神秘」(7月25日〜8月2日)の概要を発表した。
     照明デザイナーの石井幹子さんが演出を手掛け、自然、環境、感動、
    普遍をテーマに洞内7か所で実施。棚田のような「百枚皿」を青や紫、緑など7色の光で染め、
    巨大な石柱「黄金柱」には黄色の光を照らして「水のダイナミズム」を表現するという。
     石井さんは東京タワーやパリのセーヌ川などのライトアップを手がけ、
    1998年には下関市の海峡ゆめタワーの照明で国際照明デザイナー協会の優秀賞を受賞している。
     この日、石井さんと村田弘司市長が東京都内で記者会見し、
    村田市長は「秋芳洞の魅力をさらに引き出したい」と意気込みを語った。
    石井さんは、照明器具89台のうち61台を発熱量の少ない発光ダイオード(LED)とするなど
    環境にも配慮することを紹介し、「光と音で感動を呼び起こしたい」と述べた。
     1909年に観光施設として「開窟かいくつ)式」が行われて今年で100年。
    美祢市などが11月まで行う開洞百周年祭記念事業の一環で、7月25日から始まり、
    棚田のような「百枚皿」が7色に照らし出されると、観光客はうっとりと見入った。
    石井さんは「豪雨被害を受けた山口県の人たちを元気にしたい」と話していた。
     ライトアップは8月2日までで、秋芳洞の入場料(大人1200円、中学生950円、小学生600円)のみで
    観覧できる。無休。問い合わせは市総合観光部(0837・62・0304)へ
    
    ライトアップされた百枚皿
玉泉洞= 玉泉洞(別掲)
鍾乳洞(a limestone cave)しょうにゅうどう : 石灰洞(せっかいどう)とも呼ばれるが、
    「鐘乳洞」と書くのは誤り。石灰岩中の割れ目または層理面に沿って流れる雨水や地下水の
    溶食作用によってできた洞穴(どうけつ)である。カルスト地形の一種で、石灰岩地帯に存在する。
    海底でサンゴなどが堆積することによってできた石灰岩が地殻変動によって地上に隆起した場合、
    雨水や地下水によって侵食を受ける。但し一般の岩石とは異なり、
    石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは炭酸ガスを含む酸性の液(地下水)によって溶ける。
    この反応によって石灰岩が溶け、洞穴ができると、天井からにじみ出てくる重炭酸カルシウムの溶液が
    洞中に水滴となって落下し、炭酸カルシウムを晶出する。
    これが長年の間に天井からつらら状に成長して鍾乳石をつくり、
    一方、水滴の落下する洞床上にはタケノコ状の石筍(せきじゅん)をつくる。
    鍾乳石と石筍とが接続して石灰柱を形成することもある。洞底を流れる地下水流が、
    滝や早瀬で多数の皿を重ねたような形の石灰華(せっかいか)段丘(百枚皿)などを形成し、
    洞穴はしだいに閉塞(へいそく)されていく。
    つまり、二酸化炭素が溶解した地表の水にはよく溶けるので、通常の岩石より激しく浸食され、
    その内部に多くの空洞を生じるようになる。結果として、表面には溶けた石灰岩の残りが突出し、
    内部には空洞を生じ、あちこちでその空洞に通じる縦穴が生じるという、特異な地形となり、
    これをカルスト地形と呼ぶ。鍾乳洞はカルスト地形の地下に生じる構造である。
    鍾乳洞の天井には、地上に続く穴が開くこともよくある。地上からこれを見ると、
    窪地の真ん中に穴が開いているように見え、これをドリーネという。
    さらに浸食がすすめば天井が薄くなってやがて崩壊し、洞窟の形のくぼ地となる。
    これをウバーレと言い、これがいわば鍾乳洞の死である。
     世界最大の鍾乳洞は、アメリカのケンタッキー州にあるマンモス・ケーブ国立公園のもので、
    長さ580km以上、最大幅150km、高さ80mにも及ぶ。
    アドリア海に沿ったバルカン半島のディナル高原地帯には20余りの大きな鍾乳洞が分布しているが、
    スロベニアのポストイナの洞窟(どうくつ)は有名で洞内に軌道が敷かれ、
    機関車に乗って見物するほどのものである。
    日本では、岩手県の安家(あっか)洞が長さ23.7kmで、日本で最長である。
     鍾乳洞は、陸水学、地質学、生物学、考古学などの研究対象として重要で、
    これらを総合した洞穴学という学問分野がある。
    鍾乳洞は、まだまだ調査研究を行うべき段階にあると考えられている。
    なお、洞穴内の地下水や地下川(ちかせん)の水は、一般的にカルシウム硬度に起因しての総硬度、
    蒸発残留物、pH(水素イオン濃度)などがきわめて高く、飲料水には適さない。
    日本三大鍾乳洞
     秋芳洞(山口県美祢(みね)市)、龍泉洞(岩手県岩泉町)、龍河洞(高知県土佐山田町)
    参 : 八重山鍾乳洞動植物園    
日本一の鍾乳洞    
順位 場所(都道府県) 回答数(人)
秋芳洞(山口)  12736
龍泉洞(岩手)  3468
玉泉洞(沖縄)  3603
あぶくま洞(福島) 2689
日原(にっぱら)鍾乳洞(東京)  2143
龍河洞(りゅうがどう)(高知)  2125
飛騨大鍾乳洞(岐阜) 1456
竜ケ岩洞(りゅうがしどう)(静岡)  1178
井倉洞(岡山)  1066
10 石垣島鍾乳洞(沖縄)  721
この他、広島県帝釈(たいしゃく)台の白雲洞、
大分県の風連(ふうれん)洞などが有名。
2008.8.27掲載、朝日新聞「アスパラクラブ」
会員によるアンケートより
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