発電・電力関連(YSミニ辞典)

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原子力発電所 = 原子力発電所(核関連に別掲)
コンバインドサイクル発電(Combined Cycle)コンバインドサイクルはつでん
    最初にガスと圧縮空気を燃やして1100〜1600度に上げてガスを発生させ、
    その圧力でジェットエンジンのようなガスタービンを回す。
    その後の600度の排気熱でも蒸気を作り、蒸気タービンを回すという、
    ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電方式をいう。
    この発電方法を使うと同じ量の燃料で、通常の火力発電より多くの電力をつくることができる。
    同じ量の電気をつくるのに、二酸化炭素(CO)の排出量が少ないすぐれた発電方法である。
    東京電力では、火力発電所の平均発電効率が1%上がれば、
    CO排出量は年約190万トン減らせるという。
    世界トップクラスの発電効率のガスタービンがある東京電力の川崎火力発電所では、
    2011年の夏は連日、ほぼフル稼働だった。
    コンバインドサイクル発電のメリット
    始動時間が短い : ガスタービンエンジンの特徴として、同じ出力の蒸気タービンよりも
                 始動・停止が簡単で、電力需要に敏速に対応できる。
    熱効率が高い : ガスタービンの排気から熱を回収し、2重に発電を行うため、熱効率が高い。
               構造は一般的な火力発電よりも複雑だが、
               小型の発電機をたくさん組み合わせて大きな電力を得ることができる。
    冷却水量・温排水量が少ない : 熱効率が上昇する分、廃棄される熱エネルギーも少なくなる。
地熱バイナリー発電(じねつばいなりいはつでん) : バイナリーサイクル(Binary−Cycle)発電。
    50〜60度以上の熱水の持つ熱エネルギーをペンタンやアンモニアなどの低沸点の媒体に伝えて
    気化させ、高圧の媒体蒸気を作り出し、その蒸気によりタービンを駆動させて発電する方式である。
    加熱源系統(水)と媒体系統(ペンタン)の2系統の熱サイクルを利用して発電するのが名前の由来で、
    「バイナリーサイクル発電」や「温泉発電」とも呼ばれ、地熱発電の一つとして利用されている。
    地熱バイナリー発電では、低沸点媒体を利用することにより、
    媒体の加熱源に従来方式では利用できない低温の蒸気・熱水を利用することができる。
    発電システムとしては、加熱源としての蒸気・熱水サイクルとペンタンを用いた媒体サイクルで
    構成されており、これに対して、従来方式は蒸気・熱水サイクルのみで構成されている。
    現在、国内の電力会社では九州電力が1基動かしているだけだが、
    国内の「地熱資源」をフルに生かせば原発8基分もの電力をまかなえるという試算もある。
地熱発電(Geothermal power)じねつはつでん、ちねつはつでん
    地熱(主に火山活動による)を用いて行う発電のことである。再生可能エネルギーの一種であり、
    枯渇性エネルギーの価格高騰や地球温暖化の対策手法としても利用拡大が図られつつある。
    地熱は風力や太陽光などと違い、天候に左右されずに安定して発電できる強みがある。
    政府のエネルギー・環境会議が2011年12月にまとめた発電別のコスト試算で、
    地熱は1kW時約8〜10円で、石炭火力や原子力と同水準と、コスト面での強みも明らかになった。
    通常は「蒸気発電(flash steam)と呼ぶ方法で、地下のマグマだまりの熱エネルギーによって
    生成された天然の水蒸気をボーリングによって取り出し(最初から160℃以上の高温・高圧の
    水蒸気の場合と、高温・高圧の熱水を減圧沸騰させて蒸気を得る場合がある)、
    その蒸気により蒸気タービンを回して機械的エネルギーに変換し、発電機を駆動して電気を得る。
    蒸気を採取するための坑井(蒸気井)の深さは、地下の構造や水分量などによって異なり、
    数10mから3000mを超えるものまでさまざまである。
    東北と九州を中心に全国18カ所、計53万kW分の発電所がある。
    経産省や環境省の調査によると、国内の地熱資源量は最大で原発20基分程度の約2千万kWある。
    ただ、実際に開発が見込めるのは430万〜640万kW程度とみられる。 参 : 日本地熱学会(HP)

    火山国生かし地熱発電進めよ
    (2011.5.26、朝日新聞「声」より、神奈川県大和市の関 喜代司さん(63歳)の投稿文紹介)
     原発事故で、自然エネルギーが注目されていますが、太陽光、風力に比べ、
    日本が世界有数の資源量を持つ「地熱発電」はあまり話題になりません。
     日本地熱学会によると、資源の豊富なところの8割は国立公園で開発行為が禁止されており、
    温泉の枯渇を心配する温泉事業者の反発で、資源が生かされてきませんでした。
     火山国で豊富な資源がありながら、発電コストが高いことと、
    国立公園などでの開発規制が厳しいことから、国内の設備の容量は53万キロワットしかなく、
    過去10年間新しい発電所はできていません。資源探査や開発許可がでるまでに長い時間と
    お金がかかり、電力会社も高い価格で買い取ってくれず、採算がとれないからです。
     日本地熱学会は、政府に地熱発電の促進を求める提案書を提出し、
    地熱法を制定して開発しやすくし、高額の固定価格で電力会社が電気を買い取る制度を求めています。
     この分野やで日本の技術はレベルが高く、昨年ニュージーランドに完成した世界最大規模の
    発電所の建設に貢献しました。その技術は国内でこそ生かすべきです。
    原発事故によるリスクの大きさを考えれば、ぜひ、国策として取り組んでほしい。
     核兵器・核実験や原発事故で地球を汚し続けている原子力は、世界が廃絶に向けて進むべきだ。
    関さんの言われる通り、リスクが大き過ぎる原子力原発は、資源が豊富で安全な地熱発電や
    太陽光・風力発電などの自然エネルギーによる発電に代替していく必要がある。

    地熱発電の開発支援 経産省、出資や債務保証(2012.1.19、朝日新聞より)
     経済産業省は、地熱発電の開発を促すため、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」
    (JOGMEC、旧石油公団)が、開発会社に資金支援することを決めた。火山列島の日本は、
    世界3位の地熱資源国。経産省は「脱原発依存」の観点からも、地熱の開発に力を入れている。
     地熱の開発は、熱水が出る場所まで井戸を掘る。
    ただ、多くの穴を掘る必要があり、投資しても失敗するリスクが高い。
     このため、石油・天然ガスの開発と同じように、JOGMECが開発の準備段階の会社に出資したり、
    開発資金を借りる際に債務保証したりできるよう、石油天然ガス・金属鉱物資源機構法を改正する。
    経産省は、改正法案を今通常国会に提出する方針だ。
需給調整契約(じゅきゅうちょうせいけいやく) : 電力の需給調整契約。
    電力の大口需要家(大規模製造業者など)に、電力需給が逼迫した際の消費を抑えるよう求める契約。
    緊急的に操業の停止を求める「随時調整契約」のほか、
    あらかじめ休日などに操業を振り替えてもらう「計画調整」もある。
    契約者は操業の振り替えや一時停止などの見返りとして、平常時の電気料金の割引などを受ける。
    電気の使用の抑制の度合いや、通知から実行までの時間に応じて割引率が変わる。
    電力の需給調整 : 電気はためられないので、変動する消費電力に合わせて、
     各発電設備の発電量を調整して需要と供給を釣り合わせることをいう。
     原子力発電は「ベース電源」と呼ばれ、一定の出力で運転を続けているが、風力発電
     太陽光発電などの自然エネルギーから生まれる電力は、天気によって変化する。したがって、
     消費電力に合わせて出力を上げたり下げたりして調整できるのはもっぱら火力発電である。
     しかし、火力に頼る割合が増えると二酸化炭素の排出量増加につながり、
     地球温暖化対策との両立が難しくなる。
水力発電(hydroelectricity、hydroelectric generation)すいりょくはつでん
    河川水の流れを貯水ダムに一時的に貯え、水が落下するときのエネルギー(水力)によって
    羽根車(タービン)を回し、それに直結した発電機を駆動して電気エネルギーを発生させる発電方式。
    発電容量は、水量×落差×効率、で求められ、効率は80〜90%と高い。
    環境に対しては、温暖化ガスを含めて大気汚染の発生しないことが長所であるが、
    ダム建設による自然景観の破壊、取水による河川の水量域、膨大な土砂の堆積、植生の破壊、
    動物の移動ルートの遮断等の問題がある。日本では大規模立地の適地は開発し尽くされて
    ほとんどなくなり、揚水発電や小規模(1万kW以下)発電が見直されている。
    小水力発電(しょうすいりょくはつでん) : 小規模水力発電。小川や農業用水など、
    小さな水流を利用した発電。ダムなどの大規模な施設を用いて発電するのではなく、河川や農業用水、
    上下水道など、小さな水流を利用した発電のこと。水力発電は出力の規模によって区分されているが、
    一般的に「小水力発電」と言った場合、数千kW程度の
    比較的小規模な水力発電の総称として用いられることが多い。
     水車などを利用した小規模な設備で発電するため、CO排出量が非常に少ない
    クリーンなエネルギーであることや、国内の豊富な水資源を使った純国産エネルギーであること、
    短時間で設備の設置が可能なことや、生態系を脅かす心配が多い大型水力発電より建設時に
    自然環境への負荷が少ないことなどのメリットがあり、エコロジーの観点から注目されつつある。
    また、余った電力は電力会社に売電できるなど、太陽光発電と同じように利用することも可能。
    さらに、夜間に発電できない太陽光発電や、発電が一定でない風力発電と違い、
    安定した発電が見込めるというメリットもある。
     ただし、小水力発電は、河川法及び電気事業法の適用が必要であることや、
    農業用水路を利用する場合は水利権の調整が必要など、設備を施設するまで関係各所の認可が
    必要となる。また、設備を施設するコストに対して利用できる電力や世帯数のバランスがとれない
    ケースもある。さらに、現状の買電価格が低いことなど、さまざまな課題も指摘されている。
総括原価方式(そうかつげんかほうしき) = 総括原価方式(別掲)
太陽熱発電(たいようねつはつでん) : 太陽光を鏡の反射で集めて油を熱し、その油を1カ所に集めて
    水を沸騰させ、火力発電などと同じように蒸気タービンを回して発電する方式をいう。
    電力に比べて熱はためやすいので夜も発電できる。
    @集中形のタワー集光式とA反射鏡やフレネルレンズを使う放物面(とい型または皿型)集光式がある。
    @は、多数の数m角の鏡で太陽を追尾し、太陽光を反射してタワー上の1点に集める。
    Aは、放物面で太陽を追尾する。高温の熱を貯蔵する溶融塩蓄熱器を備え、
    日射変動を緩和して夜間も発電が可能である。
    旧通商産業省のサンシャイン計画では、香川県仁尾町(現・三豊市)で実験を行ったが、
    経済性が低いと評価されて終了。米国では、砂漠地域で継続的に研究され、大規模化しつつある。
太陽光発電システム(solar power generation system)たいようこうはつでんシステム
    太陽電池パネルを使って発電するソーラー・システムで、
    太陽電池の半導体の光起電力効果を利用して太陽光のエネルギーを電力に変換する発電方式。
    具体的にはP半導体とN型半導体で構成された太陽電池の接合面に太陽光が当たると発電するもので、
    太陽電池モジュールで発電された直流電力を、家庭で使える交流電力に変換する
    パワーコンディショナー(変換装置)を介して負荷に電力を供給すしてくれるのが太陽光発電システム。
    太陽電池の出力は直流電圧なので、直流システムの場合、
    変換装置は直流から直流へ、また、負荷が交流の場合、直流から交流に変換する。
     太陽電池は、使われる半導体の材料によって大きくシリコン系と化合物系に分類される。
    シリコン系の半導体は結晶系と薄膜のアモルファス系に分けられ、
    結晶系には、さらに多結晶シリコンと単結晶シリコンの二種類が存在する。
     現在は、変換効率(光のエネルギーを電気に変える効率)が15%の多結晶シリコンが
    主流となっている。一方で、アモルファス系は性能面に課題があるものの、
    製造時のシリコン量が結晶系に比べて数百分の一の量で済むこと、製造温度が低いこと、
    シリコン原料ガスの制御によって膜の性質を制御できること、などから、低コスト大量生産に向いている。
     太陽電池の製造では、材料の半導体製造過程を中心に大量のエネルギーが消費される。
    その製造に要したエネルギー相当分を自らの発電で回収・相殺するのにかかる期間を
    EPT(エネルギー・ペイバック・タイム)と言い、太陽電池の性能を表す指標として使われている。
    NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構HP)では、
    多結晶シリコンのEPTは約2年、アモルファス系のEPTは約1年と試算している。
     太陽光発電システムは、発電した電力を自宅で使ったり、余りを売電したり、
    発電量が足りないときは電力会社からの電気を使えるように自動で切り替わるので、
    普段は発電量を気にせず、電気を使える。
     2009年2月現在で約40万戸の住宅に設置され、昼間に発電した電気は家庭で利用し、
    余剰分は電力会社が「電気代と同じ値段」で買い取ってくれる。
    また、曇りや雨の日など発電した電気では足りない時や夜間などは
    必要分のみを今まで通り電力会社から購入する。
    太陽光発電の費用 : 太陽光発電はシステムの価格が10年間で約3分の1になり、急激に発電量が
     伸びている。経済産業省によると、2003年度は前年度より4万6千世帯多い約16万世帯で設置され、
     発電量は96万キロワット。2010年度には原発5基分の482万キロワットを目標にしている。
     2010年1月現在での設置費用の目安は3kWの発電容量で、新築の一戸建てで185万円、
     中古住宅は225万円程度である。これに対し、導入時には国の補助金と減税で45万円前後、
     自治体も補助金(地域で異なる)などで約20万円を助成する。
     電気代は年間約3万5千円節約でき、2009年11月から「太陽光発電の新たな買い取り制度」が
     開始され、余った電力を買い取る新制度では年間10万円の収入が見込まれるとされる。
     この結果、これまで設置費用を回収するには20年といわれたが、今後は10〜15年程度に
     短縮されると期待され、リフォームのついでにパネル設置を勧める業者が増えている。
    住宅用太陽光発電はシステムのしくみ(詳細は「シスケン」のHPで)
    
     @太陽電池モジュール及び架台 : 太陽の光を電気に変換する装置。
                           架台は太陽電池モジュールを屋根に固定するためのもの。
     Aパワーコンディショナー : 太陽電池で発電した直流電力を交流に変換。
                       システム全体の運転を自動管理する。
     B屋内分電盤 : パワーコンディショナーの出力を既設の屋内分電盤につなぎ込む。
     C電用メーター : 電力会社に売却する余剰電力を計る「売電用メーター」を追加設置する。
    (注)一般的な家庭用の太陽光発電システムには自立運転機能を使うための
      「自立運転コンセント」が付いていて、停電になったときに、自立運転機能に手動で切り換えると、
      天気のよい日中であれば発電した電気を家庭内で使うことができるが、
      自立運転コンセントを備えていない太陽光発電システムでは使えず、
      また、自立運転時に使える電気量は、設備の大小にかかわらず最大1500Wと、
      それほど大きくはないので、炊飯器やホットプレートなどとの併用はできない。
    太陽光発電でまかなえる電気の量
     地域や設置方法によっても異なるが、1kWのシステム当たりの年間発電量は
     約1000kWと言われている。1世帯当たりの年間総消費電力量を5500kWh/年とすると、
     3kWシステムなら、1年で55%程度を太陽光発電でまかなえる計算になる。
      出力4キロワット(設置費用二百数十万円)のパネルをつければ家庭の電気代はほぼ0になる。
     ただし日本では、電力会社が電気を高い価格で買い取ることが義務化されているドイツなどとは違い、
     価格設定は電力会社に任され、将来の買い取りや価格が
     法的に保証されていないなどの不安定要素も残っている。
    太陽光発電の補助制度を利用するための申請窓口は各都道府県にあり、
     申請書などは太陽光発電普及拡大センターのウェブサイトより取り出せる。
    太陽光発電の買い取り : 家庭や事業所の太陽光発電による電気が、自宅等で使う電気を
     上回る量の発電をした際、その上回る分の電気を、電力会社が買い取る制度で、2009年11月から
     始まった。電力会社は余剰電力を買い取った費用を、翌年度の電気料金に上乗せして回収する。
     つまり、買取りに必要となる費用は、電気の使用量に応じて電気を利用している全員で
     負担する「全員参加型」の制度となっている。2011年度の買い取り価格を家庭用は
     1キロワット時当たり現行の48円から6円引き下げ、4月から42円となり、
     病院や学校など家庭用以外は16円引き上げ40円となる。政府は2012年度にも、
     対象を風力や地熱などにも広げ、発電した全量を買い取るよう制度を拡充する方針である。
      我が国のエネルギー自給率の向上や、地球温暖化対策などに貢献できることは分かるが、
     システムが高価で設置できない家庭の電気料金にまでしわよせする制度には反対で、
     政府は電力会社に甘すぎる。原子力発電にかかる膨大な費用もすべて電気料金に
     上乗せされるのだから、これらの費用は電源3法交付金や補助金などとともに税金でまかなうべきだ。

    参 : 買取制度ポータルサイト
    住宅用太陽光発電の導入推進策
     現行制度は購入時の補助金と、家庭で余った電力の買い取りが2本柱。
     補助金は2009年1月に再開し、出力1キロワット当たり7万円。
     独自に補助金を上積みする自治体もある。
     2009年11月からは余った電力を1キロワット時当たり48円で電力会社が買い取る制度も始まった。
     政府は太陽光でつくった電力を全量買い取る制度を2011年度にも導入する検討を進めている。
    参 : 日照権IHクッキングヒーターエコキュートスマートグリッド京セラ(HP)、エネファーム
        水力発電JPEA太陽光発電協会(HP)、住宅用太陽光発電システム(三洋電機HP)

    地球温暖化対策として家庭に太陽光発電を普及させようと、政府は2009年1月から、
    設置する際の補助制度を復活させたが、それでも購入費などに200万円以上かかる。
    補助は1KWあたり7万円(独自支援のある東京都は+10万円)で、
    3〜4KWのシステムで20万円台となり、ほぼ1割引きという。
    光熱費は節約できるが、国の補助を利用した場合でも元を取るのに20年前後もかかるという。
    その上、電力会社が買取価格を下げたり、経営不振で買取りをストップした場合の
    補償がないことに普及が進まないのだと思う。早急にドイツ方式を取り入れるべきた。
    問題は現在のところ電池の寿命が20年程度とされ、
    やっと元が取れる頃には買い替えなければならないことだ。
    台風や落雷などの自然災害による保険も必須となる。

    太陽光発電工事、雨漏り相次ぐ(2010.1.6朝日新聞より)
     太陽光発電のパネルを取り付けようとして、屋根に穴が開いて雨漏りするトラブルが相次いでいる。
    地球温暖化対策に取り組む政府の後押しでパネルの売れ行きは激増。
    一方で、パネルの取り付け業者の育成が間に合わず、ずさんな工事も横行しているためだ。
    国土交通省は、パネル設置に検査機関が目を光らす仕組みづくりに乗り出す。
     「太陽光パネルを取り付けたら、子ども部屋で雨漏りするようになった。
    販売代理店は倒産し、パネルメーカーからは建物には責任は負えないと言われた」
    「雨漏りするので業者に見てもらったら、屋根の防水シートが破れていた」――。
    欠陥住宅の相談を受ける財団法人・住宅リフォーム・紛争処理支援センターには2009年度、
    太陽光発電に絡む相談が64件寄せられた。2008年度までは太陽光発電に関する相談は、
    ほとんどなかった。2009年度分では施工ミスが原因とみられるトラブルが目立つという。
     2009年10月から新築住宅の売り主には、欠陥に備えた保険への加入が義務づけられた。
    住宅保険を運営する六つの法人へも「パネルを設置したら雨漏りするようになった。
    保険は適用されるのか」などの問い合わせが急増。
    日本住宅保証検査機構には、2009年度、太陽光発電絡みの相談が約40件、寄せられたという。
     屋根には雨水が建物にしみこまないように防水シートが敷かれている。
    パネルは屋根を斜めに支える垂木に固定させることが多いが、
    知識や経験の乏しい業者が垂木の位置を確認せずにクギを打ち込んで、シートを破る例もあるという。
     パネル設置に対する国の補助金は一度打ち切られたが2009年1月に復活し、
    パネルの売り上げは前年度(5万5千台)のほぼ倍。
    今年度の補助金申請件数は9万6千台を超え、2009年7月以降は毎月1万台を超えるペースだ。
    余った電力は従来より割高で電力会社に買い取ってもらえる新制度も始まり、
    家庭でできる温暖化対策として今後も需要は高まりそうだ。
     一方で、リフォームのついでに太陽光発電を導入する例も多い。専門業者だけでなく、
    工務店や電器店、台所やトイレの設置業者、空調業者といった異業種からの参入が急増している。
    設置工事に絡んだトラブルが急増している背景には、こうした点が影響しているとみられ、
    パネルメーカーや電力会社でつくる業界団体・太陽光発電協会の広報担当者は
    「安心して屋根に取り付けてもらうため、業界共通の施工資格も検討したい」と話す。
     国交省は2010年春から、悪質工事に備えたリフォーム保険をスタートさせる。
    工事の規模に応じて施工業者が保険料を支払い、
    建築士の資格を持った保険法人の検査員が欠陥がないかを点検する。
    リフォームの依頼者は、保険に入った業者を選べば、手抜き工事をされても保険でやり直せる。
     国交省は、太陽光パネルの設置工事でも、この仕組みを適用する考えだ。
    専門家グループを立ち上げ、最低限、設置業者が守るべき施工基準について検討を始めた。
     太陽光パネルの国内4大メーカーは各社とも施工業者を増やそうと、設置方法の研修を開いている。
    しかし、メーカーの研修期間は1〜4日間と短い。
     住宅を巡るトラブルを扱う住宅リフォーム・紛争処理支援センター(03・3556・5147)では、
    パネル設置によるトラブルの相談を無料で受け付ける。
    荻原邦光相談課長は「パネル設置の契約前に、業者のミスで屋根に不具合が生じたら
    誰の負担で補修するのかを確認し、記録しておくことが大事」と話す。
    太陽光発電、規格統一を望む
    (2011.9.23、朝日新聞「声」より、兵庫県姫路市の農業・岡本 弘之さん(79歳)の投稿文紹介)
     再生可能エネルギー特別措置法が成立した。
    「脱原発」機運が高まり、再生可能エネルギーの一つとして太陽光発電が注目を浴びている。
     私の家も9年前に4キロワットの発電設備を設置した。
    パネル108枚の組み合わせで現在は順調に稼働、夏には月額1万5千円近い売電があるが、
    この先、パネルの故障や出力の低下を心配している。
     発電能力が20%低下したら故障でパネルを交換するのがメーカーとの約束だ。
    最低20年は稼働しないと採算が取れないのに保証は10年で終わる。
    それもメーカーが健在だった場合の話だ。
     太陽光発電は、現在、外国メーカーを含めて数十社が売り込みに力を入れている。
    問題はパネルの大きさ、形状がメーカーごとに異なり互換性がないことだ。
    メーカーの倒産や故障交換、増設の場合の代替対策を考えると国、
    業界はパネルの統一規格を早急に決めてほしい。
     再生エネ法の成立で普及に弾みがつけば技術の進歩で発電効率も向上するだろうが、
    利用者の立場からは統一規格で20年の保証を望みたい。
     瓦が動力で上げられるようになったためか、規格が大きくなったことから台風で数枚が飛んでも、
    瓦全体を取り替えるはめになると同様に、パネルの規格を早急に統一しなければ
    同じような問題が起きる。我が家の太陽熱温水器でも、タンクなどの接続部の大きさなどの
    規格統一がなく、メーカーが倒産したために故障したら買い替えとなるのだ。
    台風や地震などの被害もあり、災害保険と併用してでも、せめて採算の取れ始める20年は
    保証してくれないと、すべての交換は難しことから、故障したら屋根の飾りになるのは見え透いている。
    我が家は太陽電池を取り付ける目的で陸屋根にしたのだが、
    パネルの部分交換と保証期間の問題で二の足を踏んでいる。

太陽光発電促進付加金(たいようこうはつでんそくしんふかきん) : 太陽光発電からの電気のうち
    使い切れず余った電気を電力会社が国の定める価格で10年間買い取るという平成21年11月から
    始まった「太陽光発電の余剰電力買取制度」により、太陽光の余剰電力の買取りに必要となった費用を、
    電気の使用量に応じて使用者全員で負担していく仕組み。
    「低炭素社会の実現」という観点から、エネルギー源の多様化を図るとともに、
    地球温暖化対策や景気対策としても有効な制度と期待されている。
    太陽光発電促進付加金単価は、法令などにもとづき、前年の太陽光発電からの
    余剰電力購入費用の総額をもとに算定される。なお、太陽光発電促進付加金単価は、
    買取制度小委員会(経済産業大臣の諮問機関)の審議を経て、年度(4月〜翌3月)ごとに、更改される。
    発電事業目的で設置されたもの等は、本制度の対象外となる。
    本制度は、平成21年11月からすでに開始しているが、諸般のな理由により
    実質的な負担は平成23年4月分の電気料金からとなっている。
    参 : エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び
        化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律

    太陽光発電促進付加金(中国電力の例) :  太陽光発電の余剰電力買取制度では、
     月々の電気料金の一部として、買取に要した費用を「太陽光発電促進付加金」とし、
     電気のご使用量に応じてすべてのお客さまにご負担いただきます。
    
    皆様にご負担をお願いする理由資源エネルギー庁、再生可能エネルギー推進室より)
     太陽光発電の余剰電力買取制度によって、電力会社により買い取られた余剰電力は、
    電気をご利用の皆様に電気の一部として供給されます。
    このため、太陽光発電促進付加金は、電気料金の一部として位置づけられております。
    (なお、太陽光発電促進付加金の単価算定の際、買取りに要した費用から、
    電力会社が余剰電力を買い取ることにより節約できた燃料費等は差し引いております。)
     このように、太陽光発電の導入拡大は、化石燃料に依存しない電力需給構造の構築に資するとともに、
    燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えるといった観点から、
    太陽光発電を設置している方もしていない方も、
    すべての電気をご利用の皆様にメリットがあるものだと考えています。
     さらに、太陽光発電は燃料を使用することなく自然の力で発電可能であることから
    国産エネルギーととらえることができ、エネルギー自給率の向上や
    地球温暖化対策、さらに日本の技術の優位性を活かし、エネルギー・環境関連産業の
    育成を進めることは新たな市場や雇用の創出などの効果につながると期待されており、
    これらの効果は、すべての方に関するものといえます。
     本制度により住宅向け太陽光発電の導入は制度開始前に比べ約3倍に伸びており、
    価格低下も進んできているなど、一定の成果をあげているところです。
     制度に伴うご負担に、ご理解をお願い申し上げます。
     と言われても年金暮らしの私にとっては、何百万円もする太陽光発電システム
    取り付けることはできない。購入価格の一部を国が補助して購入しやすくするというのなら分かるが、
    システムを取り付けたくても購入資金がなくて取り付けられない人からも
    一律に徴収するという制度には納得できない。我家は23年4月分に46円を徴収された。
    すでに原発関連の費用は電気料金に上乗せされているし、単なる筋の通らない値上げとしか思えない。
    原発関連料金上乗せにしても、原発を誘致した自治体には大金が入って財政は潤うが、
    他の自治体の住民からも一律に搾取するのはどうみてもおかしい。
    原発事故が起きれば、何百キロも離れた地域まで被害を被っているではないか。
    それよりも使用者からの搾取とも言うべき年収7200万円という電力会社のトップの収入を、
    せめて一般サラリーマンの4〜5倍程度とする改革を進めるべきだ。
    電力会社は国と有利な関係を持つために、関連省庁からの天下りを多用することから、
    いまだに電力会社は独占事業になっている。
    電力法を改正し、安全な地熱発電事業などが容易に参入できるようにすべきだ。

電源開発(でんげんかいはつ)
    @電力を得るために、必要なダムや発電所などの発電施設を整えること。またその事業。
    A電源開発促進法に基づく国の特殊法人として1952年9月16日に設立
     (資本構成は66.69%を財務大臣、残りを9電力会社が保有)された。
     愛称「でんぱつ」を2002年4月に「Jパワー(J−POWER)」に改称した。
     政府は、2004(平成16)年10月6日に保有株式をすべて放出して完全民営化を果たし、
     東証1部に上場された電源開発株式会社のことで、日本最大の卸電気事業者である。
     全国的な電力不足解消や国内炭の利用促進のため、
     石炭火力や大規模水力など割高な電源開発を担った。
      全国に佐久間発電所など水力59カ所、火力8カ所の発電所を持ち、
     電力大手10社に電力を卸販売し、約2400キロの送電線網、周波数変換所など基幹設備も保有する。
     2006年3月末時点の発電出力規模は1638万キロワットで、
     東京、関西、中部など一般電力大手に次ぎ6位に位置している。
     2007年3月期の売上高は5732億円。当期利益は351億円。
     参 : 電源開発(HP)、電源開発促進法(法律)、電源開発促進法施行令(法律)
電源3法(でんげんさんぽう) :  1974(昭和49)年6月制定の「電源開発促進税法」
    「特別会計に関する法律(旧・電源開発促進対策特別会計法)」
    「発電用施設周辺地域整備法」の3つの法律の総称で、
    原発など発電所や核燃料施設が立地する自治体や周辺自治体に対して、
    国が交付金を支払うことを定めた法律である。電気代に上乗せされた
    電源開発促進税(目的税)が財源で、発電所立地市町村などへの交付金や補助金に使われる。
    会計は、特別会計になっていて、「電源開発促進対策特別会計」といい、
    平成16年度で3179億円もの巨額の予算を有している。
    ここから、地域振興に使われる交付金が支払われるという仕組みとなっている。
     一連の法律はいずれも内閣による提案で成立した。
    時の総理大臣は田中角栄、大蔵大臣は福田赳夫、通商産業大臣は中曽根康弘という顔ぶれだった。
    国会議事録によれば、発電所周辺地域整備法の導入が主目的であり、
    他の2法はそのための資金調達に関するもので一括審議可決されている。
     1974年5月24日、第72 回衆議院本会議で、
    濱野清吾議員は同法の提案目的について概要以下のように説明している。
    電力需要が今後とも相当伸びることが予想されるが、発電所建設は
    地元の同意が得られない事例が多いため、おくれが目立っており、電力不足の深刻化が憂慮される。
    同意が得られない理由のひとつは「環境問題および原子力発電所に対する安全問題があり」、
    いま一つは「発電所が立地しても雇用の増大その他地域経済の振興に寄与するところが、
    他産業に比してきわめて少ないという点があげられる」。そこで、「発電所等の周辺地域におきまして、
    住民の福祉向上に必要な公共用施設の整備を推進することにより、電源立地の円滑化をはかって、
    電力の安定供給に資する目的をもって提案されたものであります」。また、同国会商工委員会で、
    中曽根康弘通産大臣(当時)は「ダムをつくるとか、あるいは原子力発電所をつくるとか、
    そういうところの住民の皆さんは、かなりの迷惑を実は受けておるところでございます」、そこで、
    「住民の皆さま方にある程度福祉を還元しなければバランスがとれない」、
    かつ電源の開発に「積極的に協力してもらおうという要望も込めてできておるもの」と説明している。
     発電用施設周辺地域整備法案に対して、社会党(当時)、共産党、
    公明党などが反対意見を述べている。党に共通した反対論点は、ニュアンスの差はあるものの、
    同法が札束による住民(反対)運動の切り崩しにつながると指摘していた点である。
    例えば、板川正吾(当時、日本社会党)は次のように発言した。「反対理由の第一は、本法案は、
    政府が発電所建設に反対する地域住民の真意を理解せず、悪税といわれる電源開発促進税を新設し、
    札束で住民の反対運動を切りくずし、原子力発電所の建設を促進しようとするものであります。
    このやり方は、いかにも思いつきの金権万能的発想で、人間の尊厳を無視する悪法であるという
    点であります。」交付金制度は成立時点から、原子力施設は「迷惑」施設であることを認めたうえで、
    この「迷惑」への見返りとして位置づけられていたのである。 参 : 原発交付金
電源3法交付金(でんげんさんぽうこうふきん) :  原発などの発電所建設を円滑に進めることを目的に、
    電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の電源3法に基づき、
    電気料金に上乗せされている電源開発促進税をもとに、原発など発電所が立地する、
    あるいは立地を予定する自治体や周辺自治体に対して国が支払う交付金のことで、
    原発立地市町村および隣接市町村に産業振興や観光振興のための
    施設建設の費用などとして使われる。1974(昭和49)年に設けられた。
    他に、核燃料施設も交付対象になる。2003年度予算は約1700億円。
    2008年度予算では電源立地地域対策交付金1104億円など計約1300億円が計上されている。
     一般的な家庭で月約110円が電気料金に上乗せされている。
     資源エネルギー庁の試算では、出力135万キロワットの原発を新設する場合、環境影響評価から
    運転開始までの10年間で約480億円、その後の40年間で約900億円が支払われる。
    2011年度予算額で全国の自治体に配られる交付金は1318億円(一部補助金も含む)となっている。
    参 : 原発交付金上関原発建設計画A9

    交付金のほとんどは地方議員が喜ぶ箱物であるスポーツ施設や図書館などの建設に使われており、
    利用しない住民にはほとんどメリットがないし、最近法改正をして福祉にも使えるようにしたが、
    それでも受益者は偏在する。原発立地の住民は、「迷惑施設」を金のために受け入れているが、
    原発の爆発事故でも起きれば何百キロも離れた住民まで被害を受けることになることから、
    国民から搾り取った税金(国の予算)をアメとして特定地域に使うことは納得できない。
    こんなことに膨大な予算を使うことより、電源開発促進税をなくして
    電気代を値下げする方が全国民にとっての得策である。
     原発が立地する市町村の多くは人口が少なく、交通の便が悪く、
    もともと財政基盤が弱く、予算規模も小さいことから企業誘致には向いてない。しかし、
    一旦電源3法の交付金・補助金が入り始めると、あっというまに原発頼みの財政体質に変わっていく。
    だが、税収の柱となる原発の固定資産税は減価償却で急速に減る。
    財政面、経済面での効果は一時的なものに過ぎず、膨らんだ財政規模、
    建設業中心の経済体質は、なかなか以前の状態に戻らない。
    原発の事故や地震などで運転が止まったりすると、自治体はたちまち財政難に陥る。
    頼みが原発の増設のみでは、財政規模を縮小するほかに破綻を免れる手立ては難しい。

電源立地等初期対策交付金(でんげんりっちとうしょきたいさくこうふきん)
    原発に限らず、発電所の建設を地域で円滑に進めるための
    電源開発促進税法など「電源三法」に基づく「電源立地地域対策交付金」の一部。
    電力会社が発電所の建設が可能かどうかの調査を始めた時点から運転開始までが、交付の対象期間。
     国の2010年度予算では電源立地交付金1097億円のうち55億円を初期対策交付金が占める。
    参 : 原発交付金

    南相馬、新原発の交付金辞退へ(2011.8.4、朝日新聞より)
     東北電力の原発新規立地計画がある福島県南相馬市は、発電所の立地計画や建設が進む
    自治体に配分される「電源三法交付金」の受け取りを、2011年度から辞退する方針を固めた。
    原発の見返りに自治体財政を潤してきた交付金だが、
    東京電力福島第一原発の事故で、自治体の判断にも変化が生じている。
    交付金よりも住民の安全を優先させた被災自治体の判断は、全国に広がる可能性がある。
     南相馬市が辞退するのは、電源三法交付金の一つで、建設計画のある自治体に交付される
    「電源立地等初期対策交付金」。東北電の計画では、同市と浪江町の境で、浪江・小高原発の
    2021年度運転開始をめざしている。南相馬市は1986年度から、交付金を受けている。
    2010年度は約5千万円で、これまでの累計は約5億円にのぼる。
     交付金の対象自治体は例年5月と10月に、国に交付申請する。
    南相馬市は、東日本大震災の影響で5月分を申請していないが、10月も申請しない方針だ。
     桜井勝延市長は、朝日新聞の取材に「今回の原発事故を受け、将来的にも住民を脅かす原発を
    認めない。交付金を申請しないことで、新規立地に反対する市の立場を明確にできる」と説明している。
     南相馬市は東京電力福島第一原発の関連でも、近隣自治体として年5500万円の交付を受けている。
    この交付金の辞退については、今後検討する方針。今年度の市の一般会計当初予算は
    約277億円なので、交付金辞退による財政への影響は小さいとみられる。
     南相馬市は東北、東京両電力の株主。6月の両社の株主総会では、脱原発の株主提案に賛成した。
    福島県も知事や民主、自民両県連などが「脱原発」を掲げ、原発に依存しない地域づくりをめざしている。
     電源三法交付金をめぐっては、九州電力川内原発の3号機増設計画について、
    鹿児島県川内市(現薩摩川内市)が、2000年の計画発表当時に知事が容認しなかったため、
    最初から申請しなかった例がある。
    ただ、南相馬市のように途中での辞退は「少なくとも近年は無い」(資源エネルギー庁)という。
電源立地地域対策交付金(でんげんりっちちいきたいさくこうふきん)
    原子力・水力・地熱・火力発電用施設の周辺地域における電源地域で行われる公共用施設の整備等を
    促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置に係る地元の理解促進等を図ることを
    目的とし、発電用施設立地自治体等に対して、発電用施設の建設準備段階から発電用施設の
    運転終了までの期間において交付金を交付する制度である。
     同交付金は、2003(平成15)年10月1日に電源立地促進対策交付金、
    電源立地特別交付金等を統合して創設された。統合された各交付金等の従来の対象事業に加えて、
    新たに地域活性化事業 (ソフト事業)が交付対象事業に追加され、幅広い事業が実施可能となった。
    電源地域 : 交付金の対象となる「電源地域」とは、建設準備中・工事中・運転中の
             発電用施設が所在する市町村とその周辺の市町村のこと。
    参 : 原発交付金財団法人・電源地域振興センター(HP)、
        電源立地地域対策交付金を活用した事業概要の公表について(資源エネルギー庁HP)
電力会社の地域独占(でんりょくかいしゃのちいきどくせん) : 電力供給の地域独占。
    明治時代に数百社が乱立していた電力会社は、大正時代に5社に再編された。
    戦時中には電力事業が国家管理となったことで、国策会社「日本発送電」が発電と送電を支配。
    電力を供給する配電を9社が担うようになった。
    日本の電力市場は誕生から1939(昭和14)年までは国の認可事業ではあったが
    完全な自由競争市場だった。全国に発電会社、送電会社、配電会社が乱立していた。
    発送電会社、送配電会社もあった。その数は最大で数百を超えていたと思われる。
    その後、大資本による集約が進み、5大電力会社が君臨するようになったものの、
    それでも1937年時点で62社もあった。1938年1月、近衛文麿内閣が国家総動員法案などとともに
    電力国家統制法案を立案、帝国議会に提出した。目的は、日中戦争=総力戦体制のためである。
    政府の統制によって生産力を集中させる、つまり社会主義政策の導入である。
    資本家、経営者による反対運動は激しかったが、けっきょく議会で可決、1939年4月より施行される。
    第2次世界大戦後から6年経過した1951年、国家管理の日本発送電が分割・民営化されて
    9電力会社が誕生し、発送電一体型の地域独占体制が確立した。
    沖縄復帰に伴って1972年に発足した沖縄電力を加え、現在の10電力体制となっている。
     地域独占を認められた電力会社は、大きな資金力や設備投資を背景に、地域経済の中核を担う。
    電力自由化が一定程度進んだ現在も、関東を除く北海道から九州までの
    各地の経済連合会の会長職を電力会社が占め、財界を束ねている。
     海外に目を向けると、英国では1990年に、当時国営だった電力会社の発送電を分離し、欧州でいち早く
    電力自由化に踏み切ったほか、日本同様に地域独占形態だったドイツも送電部門を子会社化した。
    これらの国では「グリーン料金」と呼ばれる制度も導入され、家庭は風力発電など
    再生可能エネルギーを供給する専門業者からのみ供給を受けることも出来る。
    こうした海外における電力自由化の高まりを受けて、日本でも1996年に電力会社に
    電気を販売する卸発電事業、2000年には大口顧客に対する電力販売が自由化された。
    工場の広大な敷地に大規模な自家発電設備をもつ鉄鋼・化学メーカーなどが、
    余剰電力を利用した発電事業に参入した。
    自由化の対象はその後、工場やデパートまで拡大されたが、新規参入の動きは限定的にとどまった。
    電力会社は「電力を安定的に供給するには現行の供給体制維持が不可欠」と主張、
    地域独占見直しや発送電分離といった改革には反対してきた。こうした動きもあり、
    経産省の総合資源エネルギー調査会は2007年、一般家庭も含めた全面自由化について
    「家庭に電力を供給する新規参入事業者が見込めない」といった理由で見送った。
    原発事故を踏まえて、政府は太陽光発電などの再生可能エネルギーを強化していく方針となった。
    菅直人首相は2011年5月、電力会社の発電と送電の分離など
    事業形態の在り方まで含めて議論する考えを示した。

    橋下知事、電力会社地域による独占に言及
     関西電力の節電要請に関連し、大阪府の橋下徹知事は2011年6月11日、
    「1社独占の弊害が出ている」と述べ、電力会社の地域独占体制に疑問を示した。
    大阪市で行われた国の施策や予算にからむ府の要望説明の場で、
    首都機能のバックアップ体制に関連して言及した。
     橋下知事は民主党国会議員らを前に「関西電力とは意見のすれ違いがある」とし
    「根拠が見えないなかで節電を求められても、府民は言われっぱなしになる。
    電力会社が地域独占になっている弊害が出ている」と改めて批判した。
     橋下知事は報道陣にも「複数の電力供給源があって、
    利用者が選択できる状況にするべきで、健全な競争が必要」と語った。
     続いて行われた大阪市による民主党国会議員に対する施策要望の場では、
    平松邦夫市長も節電について言及。
    「早急にできることは実施したいが、関西電力には早急な情報開示も求めたい」と語った。
    電力会社の地域独占の検証を(2011.7.30、朝日新聞「声」より、
    北九州市小倉南区のフリーライター・飛嶋 正明さん(61歳)の投稿文紹介)
     「やらせメール」問題にはじまり、2度の原発関連データの入力ミスが明るみにでるなど、
    最近の九州電力は地域住民の信頼を失うような不祥事を次々と起こしている。
     不祥事が起きる理由を考えた時、電力会社が地域独占を認められていること、
    電気料金については事業コストに一定の利潤を加えた「総括原価」方式が採用されていることが
    挙げられるのではないだろうか。電気料金に関していえば、燃料費調整制度によって、
    自動的に電気料金を調整できる。これにより九電管内は7月で5カ月連続の値上げとなった。
     電力会社は競争原理とは無縁の企業なのである。競争原理が働いていれば、
    企業は消費者に理解され、支持されるよう常に変革と改革を繰り返す。ところが電力会社は、
    電気料金を下げるための、また安全性を高めるための努力をしなくても経営ができるため、
    変革の意欲が減退しているように思える。最悪のケースとして組織防衛に走る。
    やらせメール問題は、そのような構造的な欠陥から起きた不祥事ではないだろうか。
     電力の安定供給という目的のために、電力会社は地域独占を認められている。
    これが果たして国民のためになっているのか、検証すべき段階にきていると思う。
     原発関連データは入力ミスではなく、都合のいい数字に故意に入力したものと思える。
    すべてが九電側にとって有利になるようなデータが入力されるのが不思議なことだ。
    国家総動員体制の時代ではないのだから、早急に電力会社の発送電を分離すべきだ。
    原発をはじめ料金制度など、各所に独占事業の弊害がでている。
    私は独身時代に3年間も全く利用していない深夜電力のコンセントのみに月3万円近くも
    中国電力に支払っていた。全く使用しない夏季でも1カ所のコンセントに2000円前後の基本料が
    加算される仕組みになっているのだ。自動振り込みで料金の確認をしなかった私も悪いが、
    一般の企業ならわずかの使用電力に膨大な電気料金なので、調査後に知らせてくれるはずだ。
    深夜電力の機器をコンセントに挿入したときに申請して基本料金を払う方式でよく、
    こんな制度にすること自体、独占企業の利用者を顧みない親方日の丸のやりかただ。

電力自由化(でんりょくじゆうか) : 国際的に割高な電気代を競争によって下げようと、
    「不磨の大典」と言われた電気事業法が、1990年代後半から改正された。
    1996年に卸発電事業(IPP)が解禁され、2000年3月21日に、
    10電力会社によって独占されていた電力市場での小売りが、
    改正電気事業法の施行により一部自由化となったことをいう。
    独占禁止法の地域独占を認める適用除外規定も廃止された。
    電力自由化の対象は、原則として受電電圧2万V以上、
    使用規模2000KW以上の特別高圧需要家(全需要電力量の約30%)で、
    対象需要家は、電力会社の送電線を利用して新規参入者から電力供給を受けることが可能となり、
    供給者と自由に契約を結ぶことができる。
    地域電力会社の送電ネットワークを「接続供給約款」により使用し、
    対象需要家に電気の供給を行う事業者は「特定規模電気事業者」(PPS)と呼ばれる。
    2004年4月以降、高圧500KW以上の需要家までが対象となり、
    2005年4月からはコンビニや中小のオフィスビルなど50KW以上まで範囲が広がり、
    2008〜2009年頃には全面自由化になりそうだったが、
    販売電力量の約6割が自由化対象なのに新規参入が広がらず、利用者の選択肢は増えていない。
    家庭までの自由化範囲の拡大は先送りされたまま、いまに至る。

    日本の電気料金は世界で最も高額で、どの先進国と比べても2〜3割以上は高い。
    電力業界も、以前の電話業界のように独占事業社の既得権益業界になっているので、
    供給自由化になれば競争原理が働き供給効率の見直しやコスト削減効果で、
    電力価格が欧米並みに下がることが期待されているが、カリフォルニア州のように自由化以前に比べ、
    電気料金が倍以上に高騰する場合もあるので、やり方を間違えないようにして欲しいものである。

電力使用制限令(でんりょくしようせいげんれい) : 夏場の停電を防ぐため、
    電気事業法に基づき、大口需要者(契約電力が500kW以上の使用者)である企業に対し、
    政府がピーク時の最大使用電力の制限を求める措置。
    東京電力と東北電力管内では、2011年7月1日から9月9日までの平日の昼間に
    「昨夏の同じ期間・時間帯の使用最大電力から15%減らした値」を上限に制限する。
    医療施設や鉄道などは制限が緩和される。故意に違反すると100万円以下の罰金。
    過去には第1次石油危機の1974(昭和49)年に発動された。
電力使用を規制する方法(でんりょくしようをきせいするほうほう) : 料金などを定めた電力会社の
    「電気供給約款」には「非常変災」の場合、電気の供給を中止することがあると書かれている。
    計画停電は、この約款に基づいて電力会社が送電を止めるものである。
     一方、送電は止めずに電力使用を制限する方法が電気事業法による規制である。
    経済産業相は契約電力が500kW以上の大口需要者に一定期間、
    使用電力量の制限を命じることができる(電力使用制限令)。
    制限値を上回ると100万円以下の罰金が科される。(2011.3.19、朝日新聞より)
風力発電(ふうりょくはつでん) : 風のエネルギー(風力)を回転力に変えて発電機を回し、
    電気エネルギー(電力)に変換する発電方式で、代表的な再生可能エネルギーの一つであり、
    企業、行政、市民団体などさまざまな主体による設置・運営が進んでいる。
    電力需要に応えながら地球温暖化を防止する有力な方法として、
    日本も含め世界各国で風力発電への期待が高まっている。
     その一方で、風況に左右されやすく安定供給しにくい、騒音問題、
    バードストライク(野鳥が発電設備に衝突する死亡事故)、
    台風の多い地域では破損が多いなど解決しなければならない課題も残されている。
    
    風力発電の仕組み
    
    風の岬「竜飛」といわれる青森県竜飛崎の風力発電の風車群
    風力発電が生み出すメリット
     地球温暖化問題への対応から、発電時に温室効果ガスを発生せず、
     また、エネルギー変換効率が比較的高く、原油高によって発電単価の上昇した火力発電に対する
     価格競争力が高まっている風力発電に、世界的な注目が集まっている。
     風力発電は、利用可能なエネルギー量(賦存量)が大きいことも特徴の一つで、
     全世界で少なくとも7200万MW(メガワット)の電源開発が可能と推測されている。
      このほかにも、風力発電にはいくつかのメリットがある。例えば、エネルギー源が
     各地に遍在していることもその一つ。安定して風が吹く場所であれば分散型電源として
     電源開発できるため、離島など送電コストの高い地域でも電力自給が可能になる。
     さらに、火力発電や原子力発電のように燃料を必要としないため、エネルギー自給率の低い国では、
     エネルギー安全保障の観点でも純国産の非枯渇性エネルギーとして期待されている。
     また、太陽光発電と異なり、夜間でも発電が可能である。
 
     経済産業省・資源エネルギー庁は、2007年、電力会社の新エネルギー利用義務量を
     大きく引き上げることを決めた。なかでも期待されているのが風力発電で、
     2014年度に想定する利用量を72億〜82億KWh(キロワット時)と
     2005年度実績の19.1億KWhの約4倍としている。

     風力発電の羽根はなぜ細くて3枚なのか?
      発電用の大型風車が風を受けると、羽根の先端はすごく高速で動き、時速200キロにもなる。
      羽根の長さが50メートル近く、発電能力が2千数百キロワットの風車も出現している。
      遠くから見ると一見ゆったり回っているように感じるが、羽根の先は「ヒュン、ヒュン」と音を立てて
      猛スピードで回っている。回転数を抑えてもっと羽根の数を増やすとか、幅の広い羽根にするには、
      羽根に使う材料が増えて重くなるし、高額になってしまう。また、台風などのとき、
      多数の羽根や、幅の広い羽根を抱えていると、強風に耐えるだけの強度を持たせるのも
      大変なことから、最小の3枚にしている。2枚は回転のバランスと安定性が悪い。
      しかし、街中や、施設の脇、屋上などに据え付けられる小型風車は、
      風切り音を小さくするためにも、羽根の枚数を増やしたり、羽根の幅を太くしたりして、
      風を受ける面積を広くする、という方法もとられている。
     携帯型風力発電機 : 「低風速超軽量風力発電機」が正式名称で、愛称は「ニューパワー」。
      世界初の「携帯型風力発電装置」を開発した岡田弘(おかだ・ひろむ)さんが社長の
      「ニューパワー有限会社」で製造・販売され、価格は20万円程度という。
      その特徴は通常、頑丈に作る支柱を「しなる柔らかい支柱」にしたことで、
      しなる支柱は風に逆らわない為折れにくく同時に軽量化にも成功し、特許も取得している。
      風車の羽根は木製で驚くほど軽く、本体がたったの2kgで、支柱や付属の機器を加えても合計で
      4kgくらいにしかならない。細くて軽く作られた支柱は急峻な山道の杖の役目もする。
      例えば、歩いて山へ登る時この発電機を他の荷物といっしょに背負って登ることができる。
      そういった用途も考えて作られた発電装置なのである。
      風車の羽根の直径は1m、発電機の機械そのものは両手で包み込めるくらいの大きさしかなく、
      風速毎秒2メートルのそよ風から発電でき、最大出力は30w。
      冒険家 三浦雄一郎氏もこの携帯型風力発電装置を使用し、2008年のエベレスト登頂時には、
      標高5000mのベースキャンプで医療機器やパソコンの電力としても活躍した。
      参 : 水力発電ニューパワー有限会社(HP)
木質バイオマス発電(もくしつバイオマスはつでん) : 間伐材や木材の廃材・端材などの木質材料を
    燃やした熱で蒸気を作り、その蒸気の圧力でタービンを 回して電気を起こす発電方式。
    木の廃材を燃やして二酸化炭素(CO)が発生しても、木が成長する際に光合成で(CO)を吸収する
    循環が見込めるので、温暖化防止にもつながる発電方式とされ、環境保護やエネルギー確保のため、
    日本各地にこうした木質バイオマス(生物資源)発電所が増えつつある。
    林野庁によると、木材を専門に使ったバイオマス発電所は全国に約50カ所あるが、
    化石燃料を使う発電よりも割高なことが普及の壁になっているという。

















































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