YSミニ辞典(漬物関連)

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赤かぶ漬け(あかかぶづけ) : 赤蕪漬け。「赤かぶら漬け」ともいう。
    赤かぶの漬物で、塩漬け・酢漬け・甘酢漬けなどにする。
    酢を用いると、最初は白かった中味も赤みを帯びて美しくなる。
    かぶと茎を適当な大きさに切り、一日水浸してアクを抜き塩漬けにする。その後、
    酢と砂糖で漬け込むが、好みによって味噌を入れる人もある。当座漬けは5日ぐらいで食べられる。
    北海道の赤かぶの「千枚漬け」や岐阜県高山市のものが知られるが、ほかに山形や愛媛なども名産地。
    
    赤かぶ漬け
浅漬け(vegetables lightly pickled)あさづけ : @当座漬け。野菜を短時日にぬかや薄塩で漬けること。
     また、その漬物。一般的には、保存漬けに対し、短期間で仕上げる漬物を浅漬けとよぶ。
     胡瓜、大根、茄子などの野菜を調味液や塩に短時間漬けた漬物のことで、
     「即席漬け」、「一夜漬け」、「お新香(おしんこ)などとも呼ばれる。
     材料名を付し、「なす浅漬け」、「かぶ浅漬け」などと呼ぶことが多い。
      昔の浅漬けは麹(こうじ)も加えた、べったら漬けのようなもので、
     大根などを多めの塩分で漬け込んでいたが、戦後に入り、漬け込む作業が敬遠されたり、
     減塩志向が高まったりして、袋に入った浅漬けや「即席漬けもののもと」が売られるようになった。
     浅漬けを作るには、特別な器具は必要なく、切った野菜を塩で揉み、お好みで昆布、
     唐辛子などと共にタッパーや袋に入れておくだけでできるため、家庭でよく作られ、
     好みの塩加減で野菜をたっぷりととれる優れものである。
     またお酒のつまみとしても、とても重宝である。[季語]冬−生活。
    
     胡瓜の浅漬け
    
     茄子の浅漬け
    
     白菜の浅漬け
     簡単に浅漬けを作る方法
      食材を軽く塩でもみ、ラップをかけて電子レンジでチン。冷蔵庫で5〜10分冷やして、出来上がり。
      食材によってチンする時間が違うので、下記を参考にして下さい。
       ★白菜 : 白菜8分の1に対し、塩小さ2。レンジ600Wで60秒。
       ★キャベツ : キャベツ4分の1に対し、塩小さじ2.レンジ600Wで45秒。
       ★キュウリ : キュウリ1本に対して塩小さじ1.レンジ600Wで30秒。
     塩昆布を使っての簡単浅漬け : 塩昆布で揉むだけですぐにできる。
      <材料>キャベツ…1/4個、きゅうり…1/2本、人参…1/4本くらい、塩昆布…大1
      <作り方>キャベツは一口大にキュウリは輪切りにする。にんじんはせん切りにする。
            市販の塩昆布と一緒にポリ袋に入れて揉む。ポリ袋に入れてよく揉む。
            2時間くらいするとしんなりして頂けるようになる。
            浅漬けに使う塩は精製されている食塩ではなく、
            野菜とのなじみが良い自然の塩を使いましょう。
            家には食塩しかない時は、ちょっと水で湿らせると良い。
     浅漬けのレシピ(料理研究家の渡辺あきこさんによる)
      <材料>(多めの2人分)キャベツ…2枚(130g)、カブ…1個(90g)、
       彩りに使うチンゲンサイ…1株(120g)、昆布…4センチ角1枚、塩…小さじ1、水…1/4カップ
       新ショウガやミョウガなど香味野菜を加えるのもいい。
       野菜が漬け汁に浸っている状態ならば、冷蔵庫の中で1週間は持つ。
      <作り方>@キャベツは2〜3センチ角、カブは皮をむいてタテ半分に切り、
              それを5ミリ幅に切る。チンゲンサイは根元を切ってはずし、2センチ幅に切る。
             A昆布はしめらせて、キッチンばさみで細切りにする。
             B鍋にたっぷりの熱湯をわかし、切った野菜を何回かに分けて入れ、
              10秒ほどで取り出す。あみじゃくしなどでザルにすくい上げ、広げて冷ましておく。
             CボウルにBと塩を入れ、全体になじませる。昆布と水を加え、皿を載せ、
              その上に別のボウルや水を張った保存容器などを載せて重しにし、30分以上おく。
    A「べったら漬け」の別名。
梅干(pickled plum)うめぼし : 青梅を取って塩漬けにしたものを、真夏の強い日に干したあと、
    赤ジソなどを加えて塩漬にしたもの。梅干は他の果実と比べて有機酸とカルシウム鉄分
    ナトリウムなどのミネラルが多量に含まれている。酸味の主成分であるクエン酸は疲労回復、
    血液の浄化や、腸内殺菌などに効果があり、カルシウムの吸収率を高め、老化の防止にもなる。
    例えば栄養価が高いとされているバナナと比べ、カルシウムは6倍、鉄分は5倍以上含まれている。
    [季語]夏−生活。
    
    梅干
    梅干しの健康効果
     ●梅干には血糖値を下げるだけでなく中性脂肪コレステロール
      下げる効果があり、梅干しを叩いてから緑茶に1個入れて
      食前に一緒に摂ると糖尿病高脂血症に効果が高い。
     ●梅干には疲労回復に効率的なクエン酸が多く含まれているので、
      海苔・ネギとご飯を一緒に摂るとさらに効果が高まる。
     ●血液ドロドロを正常に戻して脳梗塞を予防するには、水分を十分に補給することだが、
      水に梅干しを加えて飲むとさらに効果がある。
      梅干しジュースの素の作り方
      【材料】(3杯分) : 梅干し…3個 (45g)、砂糖…大さじ1、水…120cc
      【作り方】 : 梅干しの種を取り、水と砂糖を加えて実をほぐしながら弱火で15分煮る。
              冷えてから冷蔵庫で1週間保存可能。
              コップ1杯の水に大さじ1杯の素を入れて混ぜて飲む。
    焼き梅干し湯 : 血液(赤血球)を柔らかくする梅干しのクエン酸と糖質が結合してできる
                化合物(ムメフラール)は梅干しを加熱しないと生まれない。
     作り方@アルミホイルに梅干しを乗せ、オーフブントースターで6〜7分焼く。
         Aコップに焼いた梅べし1個を入れて熱湯を注ぎ、ほぐして1日3杯を食前に飲む。
    参 : 漬物
京漬物(きょうつけもの) : 京都府産の野菜からつくられた漬物のことで、郷土料理の一つである。
    そのうち「柴漬け」、「千枚漬」、「すぐき」は京都の三大漬物と言われ、
    地域ブランド(地域団体商標)として認定されている。
    
    京漬物
柴漬け(しばづけ) : しば漬け。正しくは「紫葉漬け」で、茄子を刻んだ赤紫蘇の葉で塩漬けにした、
    京都の伝統的な京漬物の一つで、「すぐき」、「千枚漬」と並んで京都の三大漬物と言われている。
    紫蘇の赤紫色が鮮やかで、酸味が強い。京都の漬物であるが人気が高く、
    日本全国ほぼどこでも売られている。しば漬けは本来、茄子などの野菜を塩だけで漬けて
    自然に乳酸発酵させたもので、保存性も良く、栄養価的にも優れた漬物で、酢は使用しない。
    現在この酢を使用しない本来の製法のものは「生柴漬」「生紫葉漬け」などという名称で
    販売されることが多く、熟成まで一年近くかかるとされる。
    現在、しば漬けとして巷で売られているもののほとんどは、自然発酵させるかわりに
    醸造酢や梅酢を使った調味料漬けで、胡瓜や茗荷などを入れることもある。    
    平家が滅亡した後、平家の数少ない生き残りであり、京の大原に隠棲した建礼門院(平徳子)が、
    慰めのために持ち寄られた地元の漬物を気に入り、
    紫葉の入った漬物=「紫葉漬け」と名付けたと伝えられている。
    
    しば漬け
ショウガの酢漬け(しょうがのすづけ) : 新生姜を酢漬けにしたもので、お寿司屋さんにある「ガリ」のこと。
    漢方薬にも使われている生姜は、とっても体にいい野菜で、
    昔は風邪をひいたときに生姜湯を飲んで治していたという。
    
    ショウガの酢漬け
    
    同上
    レシピ : 新しょうがは、茎の付け根が赤く、肌の白い物を 選ぶ。
    材料 : 新ショウガ(約500g)、米酢(400cc、2カップ))、砂糖(三温糖150g)、
          みりん(100cc)、水(120cc)、塩(小さじ1)
    作り方 : @新生姜は皮をむき、繊維にそってスライサーなどでごく薄切りにして、水に30分ほどさらす。
     A水にさらした生姜を熱湯にくぐらせ、ざるにあげる。
      全体に塩をまぶして、ざるに広げて粗熱を取る。粗熱が取れたら手で軽く絞って水気をよく切る。
     B鍋に酢、三温糖、みりん、水を入れて火にかけ、沸騰させて甘酢を作る。
      保存容器に水気をしぼった生姜を入れ、そこに熱々の甘酢をかける。
      ふたをして粗熱がとれるまで待ち、冷めたら冷蔵庫で半日置いて味をなじませる。
      うっすらとしたピンク色になる。
すぐき(酸茎) : カブの変種である酸茎菜(すぐきな、すぐきかぶら)を原材料とする、漬物の一つ。
    塩を使わず、まったく味付けをしない調味なしの日本唯一の自然漬物ともいわれ、
    現代の日本では数の少ない乳酸発酵漬物である。京都の伝統的な漬物(京漬物)の一つであり、
    「柴漬け」、「千枚漬」と並んで京都の三大漬物と言われている。
    そのまま食べるほか、好みで醤油などで味を調えて、ご飯のおかずにすることが多い。
    他に、細かく刻んで、サラダに混ぜたり、うどん、スパゲティ、カルパッチョなどのトッピングに使ったり、
    炒飯、焼きそば、卵焼き、味噌汁などに入れて加熱して食べたりすることもできる。
    
    すぐき
千枚漬け(せんまいづけ) : @薄切りにした聖護院(しようごいん)蕪菁(かぶら)と昆布や唐辛子を重ね、
     塩・味醂(みりん)・麹(こうじ)で漬けた漬物。薄く切ったカブを何枚も重ねて漬けるので、千枚漬けの
     名がある。京都の名産品で、京漬物として地域ブランド(地域団体商標)として認定されている。
     カブは皮をむいて2.5〜3mmくらいの厚さの輪切りにし、塩をして下漬けする。
     本漬けは、みりんや砂糖、酢をふりかけながらカブと昆布を交互に積み重ね、重石(おもし)をする。
     4〜5日で漬けあがるので、ミブナの塩漬けを添えて包装する。
     昆布のぬめりと、軟らかな酸味と甘味のある漬物で、かつてのように乳酸発酵を伴わない浅漬けである。
     もともと塩漬けして乳酸菌発酵をさせた聖護院蕪の漬物を、御所の料理人であった大黒屋藤三郎が、
     1865(慶応元)年に考案したとされる。聖護院蕪の生産時期(11月〜翌年3月頃まで)に合わせて
     「千枚漬」の漬け込みが行われ、販売時期もこの期間に限定される旬の漬物である。
     京都の冬を代表する漬物であり、「千枚漬」のほかに「すぐき」「柴漬け」を合わせて京都の三大漬物、
     京都みやげの一つとなっている。[季語]冬−生活。
    
     千枚漬け
    Aシソの葉を重ねて味噌などで漬けたもの。宮崎県の名産。
高菜漬け(たかなづけ) : アブラナ科の越年草で、カラシナの変種の高菜を茹でて塩漬けにした漬物。
    乳酸発酵させて食べるが、近年では発酵させず調味液で浅漬けにした「新高菜漬」も人気がある。
    塩漬けのほか、醤油漬け、味噌漬けなどがあり、各地にさまざまな漬け方がある。
    高菜の種類や栽培方法によって変化するが、葉や茎は柔らかく辛味がある。
    西日本一帯で広く栽培されるが、特に九州地方の高菜漬けが有名で、3月末から4月中旬頃までが
    旬の時期である。そのまま食べるほか、高菜にはイソチオシアン酸アリルの強い辛味が含まれるため、
    料理の材料として油炒めにしたり肉と一緒に煮込んだりという使われ方もする。
    
    高菜漬け
沢庵(たくあん、たくわん) : @沢庵漬け(たくあんづけ)のこと。
    大根を糠と塩などで漬けた漬物で、主に日本で食べられる。[季語]冬−生活。
    
     皿に盛られた「たくあん」
    A1573〜1645年は、江戸時代初期の臨済宗の僧。諱(いみな)は宗彭(そうほう)
     父は但馬(たじま)(兵庫県)出石(いずし)城主・山名宗詮(そうせん)の家臣の
    秋庭綱典(あきば・つなのり)。10歳で出石の浄土宗・唱念(しょうねん)寺に入り、
    その後、東福寺派宗鏡(すきょう)寺塔頭(たっちゅう)勝福寺の希先(きせん)
    大徳寺派の董甫宗仲(くんぽそうちゅう)、春屋宗園(しゅんおくそうえん)
    大安寺文西(だいあんじもんさい)に従い修行を重ね、春屋の法弟一凍紹滴(いっとうしょうてき)
    印可を受け、37歳で大徳寺153世の住持となった。その後、諸氏の招きを辞退しつつ
    聖胎長養(しょうたいちょうよう)(悟後の修行)に努め、また戦禍に焼けた南宗(なんしゅう)寺や
    荒廃した宗鏡寺を再興。1629(寛永6)年に大徳寺の強行派を率い幕府の宗教行政に抵抗し
    流罪となる(紫衣(しえ)事件)。のち将軍徳川家光の帰依(きえ)を受け品川に東海寺を創建。
    彼が禅僧として必須(ひっす)の後継者育成を断念したことに紫衣事件の影響がうかがえる。
    柳生但馬守(やぎゅうたじまのかみ)に書き与えた『不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)』は
    剣禅一如(けんぜんいちにょ)の思想を示すものとして著名。
     沢庵漬けは、沢庵宗彭が考案したという言い伝えがある。沢庵が創建した東海寺では、
    「初めは名も無い漬物だったが、ある時徳川家光がここを訪れた際に供したところ、
    たいそう気に入り、『名前がないのであれば、沢庵漬けと呼ぶべし』と言った」と伝えられている。
    東海寺では禅師の名を呼び捨てにするのは非礼であるとして、沢庵ではなく「百本」と呼ぶ。
漬物(つけもの) : 野菜、果実などの植物性食品、あるいは魚貝、肉、卵などの動物性食品などの食材を、
    食塩、酢、糠(ぬか)、味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)、酒粕(さけかす)、油脂など高い浸透圧を生じたり
    pHを下げる効果を持つ、あるいは空気と遮断する効果を持つ漬け込み材料とともに漬け込み、
    保存性を高めるとともに発酵・熟成させ、まろやかな旨味と風味を良くした保存食品のこと。
    国の規定では主に野菜や果物、きのこ、魚介類、お肉などを食塩で調味・貯蔵してあるものも
    「漬物」とされており、「漬物」という他に、「香の物」・「お新香」とも呼ばれる。
    漬物の種類により、乳酸発酵などの発酵と、それによる保存性や食味の向上が伴う。
    微生物による発酵を利用するものと、しないものがある。漬物の多くには塩が用いられる。
    粕漬け、みそ漬け、酢漬けなどは、いったん塩で下漬けしてから本漬けにすることが多い。
    漬物は、加工食品の中でも最も古く歴史を持ち、古代のすし(なれずし)である鰒鮓(あわびずし)
    鮎(あゆ)鮓、猪(い)鮓、鹿(しか)鮓、あるいは魚醤(うおびしお)(塩辛)なども、
    魚肉、獣肉の漬物と考えてよい。
    「香の物」という呼び名は室町時代からで、その後「香々」となり、「おこうこ」となった。
    江戸時代に入り、古漬けに対して当座漬けの漬物を「新香」と呼んだ。おしんこは「お新香」である。               
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順位 漬物 記    事 票数
浅漬け 塩やぬかなど漬け汁や漬け床はさまざま。漬物独特の味わいと
いうよりも、旬の野菜の風味や歯ごたえを好む人が多い
1584
梅干し  和歌山県の「紀州の梅干し」が有名だが、東北から九州まで
全国各地に産地がある。強烈な有機酸の酸味が特徴
1532
たくあん 干したダイコンを塩と米ぬかで漬けて発酵させるのが
伝統的な製法。全国各地で作られ、土地によって味わいも違う
1402
ぬか漬け かつては各家庭で漬けられていた最もポピュラーな漬けもの。
米ぬかに漬けることで、素材の栄養価もアップする
1393
野沢菜漬け 江戸時代に長野県野沢温泉村の寺の住職が京都から
持ち帰った「天王寺かぶら」が野沢菜のルーツといわれている
1312
しば漬け 京漬ものの代表格。ナス、ミョウガなどをシソの葉と一緒に
仕込んで発酵させるのが伝統的製法
1038
千枚漬け 直径20cmもある京野菜「聖護院かぶら」を使う。
ごく薄く切り、昆布やみりん、砂糖を使って漬ける
1032
らっきょう漬け らっきょうは甘酢漬けが人気だが、みそ、しょうゆ、
塩など漬け汁は様々なバリエーションがある
1027
わさび漬け わさびの茎や根を細かく刻んで、酒かすに練り合わせる。
漬け床の酒かすも一緒に食べる
932
10 奈良漬け 奈良県が本場のかす漬け。ウリが代表的だが、
ダイコン、キュウリ、ナスなども使われる
775
11 高菜漬け
12 ショウガの酢漬け
13 水ナス漬け
14 松前漬け
15 べったら漬け
16 赤かぶ漬け
2011.9.3、朝日新聞「beランキング」掲載。アスパラクラブ会員のアンケートによる。
調査の方法は、ぬかやみそなど漬け床によって分類した漬物と、
手に入りやすい郷土の漬物から計41の選択肢を用意し、好きなものを選んでもらった
(複数回答/回答者数2926人)。
奈良漬け(ならづけ) : 代表的な白うりの他、なす、胡瓜、未熟の小さい西瓜、大根、
    生姜などの野菜を塩漬けにし、何度も調味・熟成した酒粕(さけかす)に漬け替えながら、
    べっこう色になるまで漬け込んできた漬物で、粕漬けの代表的なものの一つである。
    奈良漬けは、元々1300年以上も前より「かす漬け」という名で存在しており、
    平城京の跡地で発掘された長屋王木簡にも「粕漬瓜」と記された納品伝票らしきものがある。
    当時は上流階級の保存食・香の物として珍重されていたようで、
    高級食として扱われていたという記録がある。その後、江戸時代に入り幕府への献上や
    奈良を訪れる旅人によって普及し、庶民に愛されるようになる。
    そして「奈良漬け」という名前に変わったのは、奈良の漢方医糸屋宗仙が、
    慶長年間(1596年〜1615年)に名付けたからという。
    現在では一般名詞化し、奈良県以外で製造したものも奈良漬けと呼ばれる。
     原料の白うりは縦2つ割りにして種をとり、下漬け、中漬け、本漬けの順に漬ける。
    下漬けは塩だけの場合と、酒粕を用いる場合がある。酒粕使用の場合は、古い酒粕に塩を混合して使う。
    中漬けは本漬けに用いたあとの古酒粕を利用する。中漬けは20〜30日ごとに酒粕をかえて
    回数を多くするほど風味のよいものができる。普通、酒粕の入れ替えは1〜4回行う。
    本漬けに近づくにつれてウリの塩分は少なくなり、酒粕の糖分やアルコール分が移行して風味がよくなる。
    本漬けは新しい熟成酒粕を用い、焼酎、みりん、砂糖などをあわせた中に、中漬けの終わったウリを
    漬け込む。漬け込み後1カ月くらいから食べられるが、べっこう色になるまで漬けたものが味にこくがある。
    
    奈良漬け(ふる里のHPより)
ぬか漬け(ぬかづけ) : 糠漬け。米糠を乳酸発酵させて作った糠床(ぬかどこ)のなかに
    食材を漬け込んで作る日本を代表する漬物の一つ。糠味噌漬け(ぬかみそづけ)・どぶ漬け・
    どぼ漬けとも呼ばれ、また漬け込む方法のことを指す場合もある。
    一般に胡瓜・茄子・大根といった水分が多い野菜を漬けこむことが多いが、
    肉、魚、ゆで卵、蒟蒻などを漬けてもよい。あまり漬かっていないものは浅漬け、一夜漬けと呼ばれ、
    漬かりすぎたものは古漬け、ひね漬けなどと呼ばれる。また、干した大根を糠に漬けたものを沢庵という。
    以前はどこの家庭にも糠床があり糠漬けを作っていたが、近年、糠床の手入れの面倒さや
    臭いの問題からスーパーマーケット等小売店で買って済ませる人が多い。
    しかしながら糠漬けは現代でも人気のある食べ物であり、ご飯、味噌汁、
    糠漬けの朝食を日本人の原風景の一つと考える人も多い。お酒の肴としてもよく食べられている。
    
    ぬか漬け(2011.8.27、朝日新聞より)
    
    ぬか漬け
野沢菜漬け(のざわなづけ) : アブラナ科の野菜でカブの一品種「野沢菜」の葉と茎を塩などで漬けたもの。
    1756年、野沢温泉村の健命寺の住職が京都に行った時、天王寺蕪を持ち帰った。
    しかし、野沢温泉地域では根はあまり育たず、葉と茎が50〜90cmにもなった。
    この野沢菜をカブが大きくなる前に葉と茎を漬物にしたものが、野沢菜漬けである。
    長野県下高井郡野沢温泉村を中心とした信越地方で栽培され、別名、シンシュウナ(信州菜)とも云う。
    寒冷な環境で作られ保存されるため発酵はあまり進まず、臭いは少なめであっさりした味わいが特徴で、
    漬物にするには、根を切り落としてから塩漬けにする。常温で放置しておくと急激に軟化して
    歯ざわりが変化し酸味が増すため、保管には低温を維持する必要がある。
    シャキシャキとした歯ごたえがあり、茶受けや酒の肴としてそのまま食べたり、
    また、炒め物などに用いたり、細かく刻んで納豆に薬味として混ぜるなど幅広く利用される。
    また、酸味が強くなったものは、しょうゆや砂糖、油で炒めて「佃煮風」にして食べることもあるが、
    各家庭それぞれの味付けで食されている。野沢菜漬は、信州の食の文化財に指定されている、
    信州の代表的な食の特産品ですが、今では、保存技術と輸送方法や販売方法の発達により、
    日本全国何処でも、入手し味わうことが出来るほどにポピュラーな食品となった。
    野沢菜漬の最も旨い時期は、漬け込んでから、1カ月半以降、
    野沢温泉なら、スキー客で賑う12月半ば以降の厳寒期である。
    
    野沢菜漬け
    野沢菜漬けの作り方
    @野沢菜の根株を切り落とし、根元の断面に十字に切り込みを入れ、1日干してしんなりさせる。
    A桶の底に野沢菜をすき間なく並べて、塩を薄霜程度に振る。
     その上に野沢菜を並べて塩を振り、これを繰り返す。
    Bよく押し込んでふたをし、重しをのせる。
     1日たって上に出てきた水はひたひた程度に残し、あとは捨てる
    Cおおいをしてでき上がり。1株づつ取り出していただく。漬け込むほどに味がしみておいしい。
    参 : [YouTube](野沢菜漬け:前処理)
べったら漬け(べったらづけ) : 大根を薄塩で漬け、さらに米麹(こめこうじ)・砂糖を加えて漬けたもので、
    東京では「浅漬け」ともいい、東京都中央区観光協会推奨名産品となっている。
    表面についた甘酒の麹がべとべとしていることからこの名がついた。
    毎年、10月19日・20日に、宝田恵比寿神社がある日本橋大伝馬町界隈では
    「べったら市」が開かれ、秋の下町恒例行事となっている。
    ダイコンは皮を筋目が残らないよう厚めに剥き、塩で下漬けしたあと砂糖、米、米麹で本漬けにする。
    麹はぬるま湯で溶いて保温し、固めの甘酒にして用いると甘味が強くなる。
    下漬けしたダイコンは麹、砂糖をふりかけながら漬け込み、重石(おもし)をする。
    5日目くらいから食べられ、15日くらいが食べごろだが、風味が変わるのも早く、貯蔵性はない。
    類似する沢庵漬けとは、大根を干さずに漬け込む点で大きく異なっており、水分量は80%を超える。
    食べる際にはたくあんを切る場合の3倍程に大きく切るのが定法とされている。
    ポリポリした歯ざわりと甘いが淡白な味が特徴である。
    
    べったら漬け
松前漬け(まつまえづけ) : 細切りのするめ・昆布・人参などに数の子を加えて調味し、
    酢・醤油・酒・みりんなどで漬け込んだ食品。イクラやカズノコなどを入れる場合もある。
    北海道の松前藩(現在の松前郡松前町周辺)の郷土料理で、正月料理の一つでもある。
    元来は数の子が豊富にとれて余っていたのでそれにスルメと昆布をあわせ、
    塩で漬け込んだものであったが、 後に数の子がとれる数が減り、希少品となったため、
    スルメ、昆布を主体にした物が主流となり、 スルメと昆布のみを漬け込んだ物も増えて来た。
    味付けも、味覚の好みの変化もあって醤油や醤油を主体に配合した調味液によるものへと移っていった。
    乾燥したままのスルメと昆布の表面を濡れ布巾で拭いてからはさみで細切りにし、
    数の子は小さく切っておく。人参、生姜はスルメ・昆布よりも細い千切りにする。
    このように下ごしらえした材料に、酒、醤油、みりんを鍋に入れ、一旦煮立ててから冷ました
    調味汁をかけ、唐辛子(なんばん)をあわせて混ぜ合わせ、1週間冷所に保存して作る。
    ただし、地元周辺のスーパーで売られている本場の松前漬けには人参・生姜・唐辛子などは
    入っていない。スルメと昆布の旨味が程よく引き出され、昆布のぬめり、
    スルメと数の子の歯ごたえが心地よい食感を織りなす珍味である。酒の肴にもご飯の友としても良く合う。
    郷土料理の松前漬けは山形屋により1937(昭和12)年に商品化され全国的に知られることとなる。
    
    松前漬け
    
    同上(大阪のK.Kさん提供)
水ナス漬け(みずなすづけ) : 果長11cm、幅7cm、180g程度の水なすは、
    泉州(大阪府堺市周辺)地域特有のなすの品種で、泉州の気候風土や食習慣、生活実態に対応して
    育成されたものと思われ、江戸時代初期には栽培されていたと伝えられている。
    水なすは他のなすに比べてその名の通り水分が多くて皮が薄く柔らかく、
    あくが少なく独特の甘みを持つため、生でも食べられる。
    昔は田畑の片隅に植え、炎天下の農作業でのどが渇いたときに食べて、渇きを癒したともいわれている。
    水なすは皮が非常に柔らかく、軽く塩もみしぬか漬けにすると、
    翌朝には鮮やかな紫色に漬けあがり、食べることができる。
    泉州水なす漬は平成7年に安全・優良を認証する「Eマーク食品」の第1号に大阪府より認証された。
     和歌山では、昔から、「泉なすのぬか漬け」として、親しまれていた漬け物で、
    その美味しさを知った大阪の漬物屋が、泉州の名産として全国的に紹介して広まったとも言われ、
    水なすの漬け物の歴史としては泉州よりも、紀州和歌山の方が古いそうだ。
    
    水ナス漬け
らっきょう漬け(らっきょうづけ) : 有機玄米くろ酢などに蜂蜜や砂糖を加えて漬け込んだらっきょうのこと。
    
    らっきょう漬け
    ラッキョウの甘酢漬けの作り方 :  材料…●ラッキョウ 500g(下ごしらえしたもの)
     ●水 カップ1●酢 カップ1●砂糖 カップ1●厚生塩 大さじ2●赤唐辛子 2本
    @下ごらえをして、水気を切ったラッキョウを煮沸消毒した保存ビンに入れる。
     (注)買ってから出来るだけ、早く漬けた方が歯ざわりよく、カリッと出来る。
        置いておくならビニール袋に入れ冷蔵庫に入れる。
        長く水に漬けておくと水を吸って歯触りも悪くなり、痛みやすくなる。
    A赤唐辛子の種を除いて輪切りにする。
    B鍋に酢・水・砂糖・厚生塩・赤唐辛子を入れて沸騰させる。鍋は酸に強いホーロー製をおすすめ。
    C@にB注ぎ入れる。Bは熱いまま入れてもかまわない。
    DCが完全に冷めたらガーゼやラップで覆い液からラッキョウが出ないようにする。その後フタをして、
     冷蔵庫で保存する。常温で保存すると、ラッキョウの歯応えがなくなるのが早くなってしまう。
     1カ月後位から食べ頃になり、冷蔵庫で保存すれば1年位は美味しく食べられる。
    らっきょうの塩漬け(下漬け)の作り方 : 材料…●らっきょう 1キロ●粗塩 大匙5ハイ
    @らっきょうは1粒ずつにばらし、しそのあとに流水で洗って汚れを落とす。
    A髭根を切り落として芽先も切りそろえる。
    B薄皮を剥く。この時流水の下で薄皮を剥くと剥きやすくなる。
    C鍋に水2カップと粗塩大匙5を入れて、火にかける。
    DボウルにBまで処理をしたらっきょうを入れて、煮立ったCの塩湯を注ぐ。
    E皿などで重しをし、そのまま冷ます。
    F消毒済の保存瓶に移して冷蔵庫で保存する。(注)保存瓶は完全に乾燥させること。
    だいたい、2週間後〜1年後が食べ時で、もし、塩分が強すぎたら、
    水につけて塩抜きをして食べるとよい。
    参 : [YouTube](らっきょう漬けの作り方)、[YouTube](ラッキョウ塩漬け)
わさび漬け(わさびづけ) : 山葵漬け。粕漬けの一種。静岡県の名産。
    ワサビの根と茎をみじん切りにし、塩で下漬けする。数時間で水があがるので、取り出して水けを絞り、
    熟成させた酒粕(さけかす)に和えて食塩、砂糖、みりんなどを練り合わせた漬物。
    ワサビの鋭い香りと辛味が酒粕の甘みによって和らげられ、口当たりを良くしていることが特徴。
    ご飯のおかずとしての他に、酒の肴としてそのまま、あるいはカマボコなどに和えられる。
    ワサビを漬け物として加工する手法としては江戸時代から糠漬け・どぶろく漬けなどが存在したが、
    粕漬けは清酒が普及した江戸時代後期に府中(現在の静岡市)の商人が創案したとされる。
    1889(明治22)年に開業した東海道本線静岡駅で土産物として売られるようになり、
    ここから各地に広まった。現在では、香辛料・香料・わさび調味料などを添加して
    風味を強めたわさび漬けが大半で、昔ながらの製法のわさび漬けは希少化しつつある。
    わさび漬けは新鮮なもののほうが風味がよいので、長い貯蔵は避けたほうがよい。
    
    わさび漬け
    
    葉わさび漬け




















































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