医療関連(YSミニ辞典)

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ATL = 成人T細胞白血病(別掲)
HDLコレステロール → コレステロール(別掲)
LDLコレステロール → コレステロール(別掲)
SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)サーズ : 重症急性呼吸器症候群。
    香港、中国広東省や米国などへ感染が拡大している原因不明の感染症のことで、
    「新型肺炎」とも呼ばれている。2003年4月8日現在、19の国・地域で延べ2,671名の感染者、
    103名の死亡者が出ている。これらの地域に、やむをえず渡航せざるを得ない方には、
    手洗い・うがいの励行やマスクの使用などの予防策をとったり、
    人混み(特に患者の集まる医療機関)をできるだけ避けるようにし、
    帰国後10日以内に咳または呼吸困難をともなう38度以上の急な発熱症状がある方は、
    事前に受診予定の医療機関に連絡のうえ、受診しましょう。
    SARSの主な症状は、38度以上の急な発熱、痰を伴わない咳、息切れや呼吸困難です。
    これまでのところ、感染源や病原体は完全には特定されておらず、予防や治療に効く薬はない。
    しかし、感染者の飛沫や体液に接触しない限り感染しないものと考えられており、
    感染力はインフルエンザより低いものとみられている。日本国内の空港や港においては、
    香港・広東省などからの乗客・乗員について、健康状態の確認を行うなど検疫体制を強化しており、
    検疫所などの職員に対しても、旅行者などからの二次感染を防ぐための十分な予防措置をとっている。
    参 : SARS関連情報(厚生労働省HP)、
        SARSに関する危険情報の発出(外務省HP)
SAS(Sleep Apnea Syndrome)サス : 睡眠時無呼吸症候群。
    肥満やへんとうなどの腫れで睡眠中(7時間以上)にのどの奥が詰まり、呼吸が止まったり
    再開したりする状態が繰り返され、一晩に10秒以上の無呼吸(呼吸が止まった状態)が30回以上、
    または、1時間に5回以上の無呼吸が起き、眠りが浅くなる症状のことで、
    昼間に眠気に襲われて交通事故を起こしたり、高血圧糖尿病など
    様々な生活習慣病を引き起こしたりする。1時間に15〜20回を超えると治療が必要となる。
    夜寝ている時に、いびきをいつもかく、家族から時々息が止まっていると言われる、
    苦しくて目が覚める、夜トイレに何度も起きる、口が渇くなどのうち2項目以上の該当項目があり、
    昼間にいつも眠い、居眠りする、だるい、疲れる、仕事に集中できないなどの症状があったり、
    高血圧なのに薬がよく効かない、心臓の病気がある、肥満や糖尿病がある時、
    SASの可能性が考えられる。無呼吸症では血中の酸素不足により心肺機能に多大な負担が掛かる。
    また、脳の酸欠を招くことから、死因は脳梗塞心筋梗塞やその他の合併症などがある。
    睡眠中や朝方に死亡する例が多いとされている。
    症状等から、SASが疑われたとき、まず自宅に持ち帰って簡易に呼吸状態を検査できる機器があり、
    呼吸が何秒止まっているか、何回無呼吸が起きているのか、
    血液中の酸素濃度等が判る。簡易な方法では1時間当たりの無呼吸回数が、
    20回以上あるような時には、睡眠ポリグラフ検査で脳波等も含めて検査して、
    より詳しく睡眠の状態を調べて、治療の必要性を診断する。
     厚生省研究班の調査では、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が20回以上おこる場合、
    5年生存率は84%(死亡率は16%)と報告している。
    8年ではさらに下がって60%という報告もされている。
    治療 : SASは多くの場合、主な原因は、空気の通り道である上気道(軟口蓋や舌、扁桃腺など)が
     塞がって呼吸ができなくなった状態なので、扁桃腺が大きければ手術で切除する場合もある。
     現在多くの患者に用いられるようになってきたCPAP(経鼻持続陽圧呼吸療法)という方法があり、
     これは、鼻にマスクを装着し、圧力をかけた空気を鼻から持続的に上気道に送り込み、
     上気道を押し広げるという治療方法で、医療保険が適用され、3割負担でも月3〜4千円程度である。
    国内のSAS患者は人口の2%程度で、200〜300万人とみられ、男性の方が多い。
    患者の7割は肥満状態にあるという。肥満でなくても、あごが小さい人は仰向けに寝ると
    気道が狭くなる傾向があり、SASになりやすい。飲酒量の多い人も要注意である。
    参 : メタボリック症候群

    睡眠時無呼吸症候群の人は交通事故を起こしやすいとの報告もあり、実際に多くの事例があるが、
    大阪で起きた居眠りによる正面衝突で相手の3人に重症を負わせたSASの人は、
    裁判で無罪になったのである。元はと言えば、欲望のおもむくままに食べ過ぎて
    肥満となるような個人の健康管理を怠ったことの責任もあるのに、こんな判決では、
    SASの患者はすべて「事故の時の記憶がない」と言えば無罪になることになる。
    こんな患者が突然センターラインを超えて突っ込んでくれば、回避するすべがない。
    相手が大形トラックなどの場合は、ルールを守って運転していても、即死は免れない。
    したがって、重症のSAS患者は免許停止や免許取得禁止にすべきで、早急の法改正を望む。
    運転中に突然、何秒間も何も分からないようになる人を、野放しにしている国はどうかしているね。
    そして、その時は病気のために何も分からなかったので無罪とは、あいた口が塞がらない。
    山陽新幹線の運転士の居眠り運転や、名鉄・新岐阜駅の急行衝突にしても、SASが原因と
    されているが、いかなる状況でも自動停止装置が利かないのであれば、企業の利潤追求は
    二の次にして昔のように2名乗務させ、SASや脳・心疾患などから乗客の安全を確保すべきである。

アクロメガリー(Acromegaly) : 先端巨大症。脳下垂体の病気の一つ。
    顔つきの変化や手足の肥大が特徴的な症状で、
    発症率が100万人中3〜4人と希少であるがゆえに、本人も周囲もなかなか気づきにくい病気である。
    脳下垂体という器官にできた腫瘍によって成長ホルモン(GH)が過剰に分泌されるのが原因で、
    手足や内蔵の肥大のほか、眼、額やあごが突出したり、鼻、口、唇、舌などの軟部組織が大きくなるなど、
    数年のうちに顔つきや身体の一部が変貌する。また、発症に男女差はないが、成長期に発症すると、
    骨の成長にも影響し、手足や身長が異常に伸びる、いわゆる「巨人症」になる。
    脳下垂体に腫瘍ができる原因は、いまのところはっきりしていない。
    なお、日常の食事や生活習慣とは関係なく、遺伝することもないといわれている。
    大部分は良性の腫瘍だが、適切な治療が行われずに、長期にわたって成長ホルモンの分泌が
    続いた場合には、糖尿病や高血圧、高脂血症といった合併症を併発し、さらには脳血管障害、
    心臓病などの深刻な病気を引き起こすこともあり、平均で10年程度寿命を縮めるといわれている。
    また、腫瘍により他のホルモン分泌が低下することで、疲れやすくなったり、
    月経不順や勃起不全などの症状を引き起こす。さらに腫瘍が脳内を圧迫することで、
    視神経や硬膜が圧迫され、視野が狭くなる、頭痛に悩まされるなどの症状も発生する。
    過剰なホルモンが舌を肥大させ、気道を圧迫することによってイビキがひどくなる。
    主な特徴
     1つ目は、唇が厚くなること。
     2つ目は、鼻が横に広がり、大きくなること。
     3つ目は、額が突き出してくること。
     4つ目は、下あごがせり出してくること。
アスペルガー症候群(Asperger syndrome:AS)アスペルガーしょうこうぐん : 高機能自閉症。
    一般的には「知的障害がない自閉症」と言われ、
    コミュニケーションや想像力に困難を抱える広汎性発達障害の一つである。
    広汎性発達障害の特徴は@社会性:状況や相手の感情が読み取りにくい社会性の障害、
    Aコミュニケーション:言葉の遅れや冗談・比喩(ひゆ)が通じにくいなどのコミュニケーションの障害、
    B想像力:限られた興味への没頭など想像力の障害、に代表される。
    このうち、言葉の遅れが少ないものを「アスペルガー症候群」と呼ぶ。
    先天的な脳の働きの隔たりから起きると考えられ、通常の自閉症と違い知的障害、
    認知や言語発達の遅れが無い。発達と共に症状が目立たなくなる。
    障害であると分かりにくく、周囲の理解不足によるトラブルが多い。
    同症候群が犯罪に直接結びつくことはないとされる。精神医学において頻用される
    アメリカ精神医学会の診断基準(DMS−IV−TR)では「アスペルガー障害」と呼ぶ。
     対人関係の障害や、他者の気持ちの推測力、すなわち心の理論の障害が特徴とされる。
    特定の分野への強いこだわりや、運動機能の軽度な障害も見られる。
    しかし、カナータイプ(低機能)自閉症に見られるような言語障害、知的障害は比較的少ない。
     1944(昭和19)年、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーによって初めて報告されたが、
    第二次世界大戦のため、その論文は戦勝国側では注目されていなかった。
    1981(昭和56)年、イギリスの医師ローナ・ウィングがアスペルガーの発見を紹介することにより、
    1990年代になり世界中で徐々に知られるようになった。しかし、
    日本ではドイツ精神医学の影響が強かったことから、ローナ・ウィングの紹介以前に知られていた。
    2002年の文部科学省の調査では、アスペルガー症候群など知的に遅れがない
    広汎性発達障害と思われる子供は1%近くいた。
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis) : 遺伝的な素因をもとに、アトピー体質の人にいろいろな刺激が
    加わって生じる慢性的に湿疹病変を繰り返す皮膚の病気で、カサカサと乾燥した皮膚にも特徴があり、
    一種のアレルギー反応と考えられる。年齢によって現れる症状が異なり、
    乳児では顔面・頭部が赤くただれて湿性となり、成人では主に関節屈側に丘疹が集まり、乾燥している。
    一般にかゆみが強い。しばしば喘息(ぜんそく) ・鼻炎・花粉症などを伴う。
    アトピー性皮膚炎という病名は昭和35(1960)年にザルツバーガーというアメリカの医師によって
    初めて日本に紹介された。「アトピー」がギリシャ語で「奇妙な」と意味しているように、
    この病気の原因はいまだに明確には判っていない。 参 : アレルゲンハウスダスト
    アトピー性皮膚炎によく効く温泉
     塚原温泉(大分県)山の湯 : 鉄・アルミニウム、強酸性(PH1.6)の硫酸塩泉
     午後6時までで、入浴料は大人2時間で500円。Tel:0977−85−4101。
     宿はなく湯治用の火口乃泉(かこうのゆ)の建物だけなので、
     ふもとの1泊1人6300円からの貸別荘(どんぐり村)などを利用する。患者でも温泉卵は食べられ、
     乾燥させた「火口泥」を買って帰ると、自宅の風呂で同じ効果の湯治ができる。
    参 : 円形脱毛症
アルツハイマー病(Alzheimer) : 主として40〜50歳代に発症し、
    徐々に進行する認知症の一つで、の神経細胞が変形または減って脳が萎縮し、
    記憶力や判断力などの脳機能が低下していく原因不明の慢性の病気で、
    ドイツの神経科医アロイス・アルツハイマーが報告したことから名が付いた。
    一度発症すると、現在の医学では脳の萎縮を止めることができない恐ろしい病気である。
    ただし、アルツハイマー発症の2〜3年前に始まる軽度認知障害(MCI)の段階で早めに治療をすれば、
    発症を遅らせる可能性がある。初老期および老年期に進行性認知症を来す代表的な疾患であり、
    年齢とともにその頻度は急激に増加し、老年期の認知症の半数近くを占め、
    男性より女性の方が3倍なりやすいるといわれている。
    今聞いたことや食べたことを忘れる、慣れた道に迷うなどの「物忘れ」の症状で始まり、
    ひどくなると徘徊から寝たきりとなり、末期には認知症が高度になり、全身衰弱で死亡する。
    一般には、より若くして発症した場合の方が、進行が速く症状もはっきりしているといわれ、
    抑うつ、不安・焦燥、興奮、不穏、せん妄、幻覚・妄想など認知症の周辺症状を伴うか否かでも
    違った経過をとる。βアミロイド蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が脳全般に蓄積するために、
    脳の神経細胞が変性・脱落する病気で、そのために、脳の萎縮が進行し、
    認知症を示すと考えられている。根本的な治療法はなく、現在、原因物質とされる
    アミロイドの発生を抑える薬や、アミロイドを除去するワクチンの研究が進められている。
    認知症の高齢者は国内に約160万人。65歳以上の15人に1人とされ、2015年には
    250万人に増えると推定されている。認知症の原因疾患は脳血管性痴呆など約70があるが、
    脳の神経細胞が死滅して起きるアルツハイマー病が最も多い。
    欧米ではアルツハイマー病が多数で、認知症の総称のように使われている。
    アルツハイマー病の予防法 : 脳に酸素と栄養そして刺激によって防ぐことができる。
    とにかく、話す、考える、有酸素運動、バランスのとれた食事につきる。
    アルツハイマー病は「老人斑」と「神経原線維変化」が原因であることが最近になって判ってきた。
    それを抑えることが予防の決め手になるという。
    ●老人斑を発生させない食材として、野菜や果物のジュースとカシスブルーベリーを一緒に摂る。
     カシスに多く含まれるアントシアニンポリフェノールは過酸化水素による神経毒性を強力に防ぐことが
     判った。野菜・果物のジュースを週1回未満しか飲まない人に比べると週3回以上飲む人は、
     アルツハイマー病の発症率が76%低く、週1〜2回飲む人でも16%低いことが判った。
    ●老人斑を増やさない食材に、体内のレプチンを増やす糖質を摂るのが効果的で、それには「おかゆ」を
     朝食に摂るとよい。また、生活行動として39〜40℃の湯船に最低1〜1分30秒入るとよい。
    ●神経原線維変化を防ぐ食材として、チロシンが多く含まれる生の「たらこ」を
     1日1/2腹摂るのが効果的で、糖質とレシチンを多く含む納豆と一緒に摂るとさらに効果が高まる。
     付け合せは野菜がおすすめ。アミノ酸の一種であるチロシンはアルツハイマー病の原因、
     神経原線維変化を引き起こす物質を排泄させる働きがあることが判った。
    ●アルツハイマーの芽を早期発見し早期に治療する。
     早期発見の手がかり : ■ダイエットもしていないのに1〜2年の間に体重が10%減った
      ■濃い味付けを好むようになる■買い物などでお金の計算ができなくなる
      ■いつも着ている洋服や下着の場所が分からなくなる■最近のことをよく忘れる
    ●食事には様々な匂いがある。この香りを楽しむことによって脳の疲れもとれる。
     更に味が加わることでアルツハイマー病の元凶ベータアミロイドもつくられにくくなる。
    ●脳細胞に充分な酸素が送られなくなるとベータアミロイドの生産・蓄積が進み、脳細胞を殺してしまう。
     このベータアミロイドとABADという酸素がくっつかないようにすると神経細胞の死ぬ割合が大幅に
     減ることがわかった。酸素を充分に入れるために深呼吸という方法があるが、常に行うことが
     できないので、その変わりに散歩をすることでスムーズな酸素吸収が行なわれ、血流も良くなるので
     効果的といえる。それにはダラダラ歩きが、酸素の取り入れ量を増やして脳に新鮮な酸素を送る。
    ●脳の記憶に関与する「海馬」という細胞を調べると細胞膜を構成している脂質のうちDHAは17%
     アラキドン酸が12%で、アラキドン酸もなければ正常な細胞膜が出来ない。
     卵にはアラキドン酸が多く含まれているので、魚(DHA)と1日1個の卵で脳細胞を丈夫にする。
     不飽和脂肪酸DHAを多く含む食品が
     アルツハイマー病を引き起こす老人斑の形成を40%減少させた。
    ●昼寝の前に、目が覚めた時の脳のリフレッシュ効果が高い緑茶紅茶など
     カフェインの入った飲み物を飲み、うたたねや身体を少し倒すくらいの姿勢で寝て、
     30分以内の規則的な昼寝をとると、脳のリフレッシュ効果でストレスがとれて
     アルツハイマー病の発症率を80%下げることが確認されている。
     また、昼寝から目が覚めたら外光を浴びるとよい。ただし、1日1時間以上の昼寝を続けてしまうと、
     記憶力が低下すると言われているので、注意が必要である。
    ●ウコンに含まれるクルクミンを多く摂取すると
     アルツハイマー病を引き起こす老人斑の形成が30%減少した。
    ●イチョウ葉エキスで神経細胞を保護するフラボノイドを摂取する。
    ●トマトに多く含まれているリコピンを摂取する。
    ●アルツハイマー病の予防に緑茶のカテキンが効果がある。それには煮出し緑茶が良い。
     煮出し緑茶の作り方
     @沸騰したお湯500mLの中に10gの茶葉を入れ、弱火で5分間煮出す。
     A茶漉しで茶葉を取り除いたものを冷蔵庫で冷やす。
    アルツハイマーにならないために毎日食べられる簡単家庭料理
    以下の2種類の常備菜は冷蔵庫で1週間くらい保存できる。1日分は約15gでよい。
    @サバそぼろ(常備菜) : 火にかけていないフライパンの上にサバの水煮1缶を丸ごと入れ、
     これにトマトペースト(100g)を混ぜ合わせる。ハチミツ大さじ1/2と醤油大さじ1を入れ、
     さらにサバの臭みを抑えるために、生姜小1片をフライパンの上でおろす。
     これらの食材をよく混ぜ合わせたところで、弱火で水分を飛ばし煮詰めていく。
     2分ほどでそぼろ状になったら火を止めて乾燥パセリ(5g)を入れて混ぜ合わせて完成。
     ご飯の上にのせて食べてもよいが、下記のアレンジ料理にしてもよい。
     《アレンジ
     サバそぼろ餃子 : 餃子の皮にサバそぼろとサイコロ状に切ったチーズをのせ、
                  ヒダを寄せずに包み込み、少量の油で揚げる。
     サバそぼろ寿司 : 巻き簾(す)にキュウリ、サバそぼろ、シソの葉を重ね、酢飯にのせて巻く。
     サバそぼろぶっかけうどん : 茹でたうどんを氷水にさらしてもみ洗いし、
                        その上にサバそぼろと麺ツユをかける。
     サバそぼろ厚揚げ : 厚揚げにサバそぼろをのせて炒める。
     サバそぼろチーズトースト : マヨネーズを塗った食パンにサバそぼろをのせ、
                        チーズをちらしてトースターでこんがり焼く。
    Aトマト味噌(常備菜) : 煮干(50g)をミルミキサーにかけて粉末にし、味噌(150g)と合わせ、
                     これにトマトペースト(100g)を混ぜ合わせる。
     《アレンジ
     トマト味噌汁 : トマト味噌に、具として豆腐やワカメなどを加え、きざみネギを添えた味噌汁。
     トマト味噌ホイコーロー : キャベツ(100g)をざく切りにし、厚揚げ(1/2丁)を適当な大きさに切り、
                 熱したゴマ油でキャベツと厚揚げを炒める。豆板醤(小さじ1/2)、ゴマ油(少々)、
                 ハチミツ(大さじ1/2)にトマト味噌を加え、混ぜ合わせながら炒めて完成。    
アルツハイマー病と脳血管性障害の違い
アルツハイマー病 脳血管障害
発症後の進行 徐々に進行する。
緩やかに悪化
急性発症〜脳卒中(脳梗塞)
などがきっかけで発症する。
階段状にに悪化
経過 迫伝性悪化 階段性悪化
発生年齢 40歳代から。加齢・老化に
関係し、70歳以降に多い
50〜60歳以上。
脳血管疾患あれば年齢に関係なし
男女比 女性に多い 男性に多い
知能機能低下 記憶力、判断力を中心に
全体的に悪化
部分的(まだら痴ほう)で、
比較的に正常なところもある
性格・人格 早期崩壊、かなり変化 初期は変化せずに
比較的よく保たれる
病気に対する
意識
比較的症状が
早い段階でなくなる
比較的症状が進んでも
自覚している
病識 早期になくなる 末期まで残る
症状 「いつ」「どこ」「だれが」が
わからなくなる
物忘れに手のしびれ
歩行障害が伴う
神経症状 少ない  出やすい
周辺症状 徘徊・移動 感情失禁
    参 : タクティールケアピック病世界アルツハイマーデー脳内物質

    適量のコーヒーでアルツハイマー病の発症リスクが低下、研究結果
     コーヒーを適度に飲む中高年はアルツハイマー病の発症リスクが極めて低いことが、
    2009年1月15日発表されたフィンランドとスウェーデンの合同チームの研究で明らかとなった。
     研究を率いたフィンランド・クオピオ大学およびスウェーデン・カロリンスカ研究所教授の
    Miia Kivipelto氏によると、コーヒーを1日3〜5杯飲む中高年は、
    高齢になった時に認知症やアルツハイマー病を発症するリスクが60〜65%低いという。
     研究チームは、フィンランドで20年以上にわたり1409人を対象に、聞き取り調査を繰り返し実施した。
    まず50代の被験者にコーヒーを飲む習慣について質問し、
    その後1998年に65〜79歳になった被験者の記憶機能を調べた。
    その結果、1998年までに被験者のうち61人が認知症を、48人がアルツハイマー病を発症していた。
     同教授は、コーヒーにはアルツハイマー病に有効とされる抗酸化剤が多量に含まれていると
    指摘している。ただし、認知症の発症を遅らせたり回避するのに効果がある
    正確なコーヒーの摂取量は、不明だという。
     一方、前日発表された、コーヒーを多量に摂取すると幻覚症状を起こしやすいとする研究結果について、
    同教授は「過剰に摂取するべきでないということだろう」と述べた
医師の偏在問題(いしのへんざいもんだい) : 研修医は全国各地の大学病院の医局に残り、
    診療や研究業務を下支えしてきたが、2004年度に研修医の臨床研修(2年間)が必修化された。
    手薄になった大学病院の医局は関連病院に派遣していた医師を引き揚げ始め、医師不足が問題化した。
    訴訟リスクの高さなどで敬遠されがちな産婦人科や激務の小児科、手術の急増で需要が高まっている
    麻酔科で医師不足が顕著になっている。背景には医師の都市部集中や、
    一般的に開業医より収入の低い勤務医が嫌われる傾向もある。
    医師偏在(地域偏在7診療科偏在)の問題は、1948(昭和23)年の医療法制定以来の課題であるが、
    21世紀に入っても57年間根本的解決には至っていない。国民全員に平等な医療を提供できるという、
    世界に冠たる国民皆保険制度の理念からいえば、医師偏在問題は近代医療国家日本の抱える
    暗闇である。この最大のネックは、都会に住む、あるいは働く医療行政担当者(医師会も含む)の
    低認識であろう。いずれにせよ、へき地と称される地域の窮状は、都会では窺(うかが)い知れない
    絶望的課題である。しかし、地域偏在、診療料偏在こそ国民の利益を損っているのではないか。
    最近、厚労省より病院に対して勤務医師の労働時間の遵守の指導が入っているが、遵守したら、
    24時間体制の救急医療はどこの病院も不可能になるであろうし、交代制にすれば、
    医療の機能を大幅に低下させ、経営も困難になるであろう。勤務医師の必要数は少なくとも現在の
    3倍は必要となる(日本医師会のホームページへの病院院長の投稿より部分抜粋)。

    医師の偏在を解決するには、@病院の適正な配置(県立病院と市立病院を隣接させない)。
    A地域の中核病院や大学病院と密接なつながりを持たせる。
    B医学部入試で地元出身者を優遇する。Cへき地医療の報酬を増す。などがあるが、
    すぐにでも実現可能なのはCだけと言われる。
医師不足(いしふそく) : 「医師の偏在」が問題化しているが、
    医師が都市部に集中し、へき地における医師不足という地域偏差だけでなく、
    都市部においても診療科における産婦人科や小児科の医師不足が深刻さを増している。
    医師の数そのものは毎年少しずつ増えており、
    医師が減ったせいで医師不足になっているわけではなく、原因は医師の絶対数ではなく、
    「医師の診療科偏在」にあり、小児科や産科で若い医師のなり手がいないのである。
    2004(平成16)年4月に始まった医師研修制度改革の影響も大きいといわれている。
    これまで研修医は各大学に所属して、そこから各地の病院へ派遣されるのが一般的で、
    中には医師が極端に少ない無医村のような地域へ出向くケースもあった。
    ところが医師研修制度改革によって、研修医と病院側のマッチングで研修先が決まるようになり、
    研修医の希望が中央の有名病院に集中、大学に籍を置いて研修を受ける医師が減った。
    研修医にとっては給料が高く、早くから“戦力”と見なされるケースが多い有名病院の方が魅力的なのだ。
    また、中央の有名病院に研修医が集中することで、おのずと大学病院は人手不足になる。
    地方ほどその傾向が顕著だ。地方大学の医局員は日常の診療に追われることになり、
    「診療・教育・研究」を三本柱とするはずの大学病院が、その機能を果たせなくなるのではと
    危惧(きぐ)されている。さらに、大学が医局の医師不足を補うために市中病院へ派遣していた
    医師を引き上げるケースが相次いでいることも、地方の病院の医師不足を加速させている。
    これらの結果、小児科や産婦人科などでは閉鎖に追い込まれる病院も出始めた。
    医師不足問題
     @臨床研修制度の義務化に伴い大学病院で研修を受ける医師が地域によっては激減し、
      大学医局の医師派遣機能が失われつつあること。
     A累次の診療報酬の引き下げにより悪化した病院の経営環境の下で、不採算部門である小児科などが
      病棟閉鎖を余儀なくされたり、労働条件の悪化により勤務医の退職を引き起こしたりしていること。
     B女性医師の増加により診療科目の志望が変化したり、子育てと仕事の両立支援を含めた
      労働環境の悪さが就労の継続を困難にしている場合があること。
     C地域における医療機関の統廃合による効率的な医療提供体制の構築がなかなか進まないこと。
     など、多くの要素が複雑に絡み合って生じている。
    厚生労働省の2004(平成16)年調査では、人口10万人当たりの医療機関で働く医師数は、
    全国平均で201人だが、県庁所在地などの都市とそれ以外の格差が顕著になっている。
遺伝病(hereditary disease、genetic disease)いでんびょう : フェニルケトン尿症、血友病、
    鎌状赤血球貧血病、筋ジストロフィー、色盲など、遺伝子配列の突然変異によって次世代に伝わる
    疾患のことで、高血圧アレルギー糖尿病なども遺伝が関係していると言われている。
    特別な遺伝子によって支配される形態的な異常や生化学的な欠陥(先天的代謝疾患)、
    あるいは生体の構成成分の分子構造の異常などの総称をいう。
    リウマチ、てんかん、ハンセン病は遺伝病ではない。    
遺伝病の種類
常染色体優性遺伝病 常染色体2本のうちどちらかに異常があると発症する病気。
つまり片方の親由来の遺伝子だけが異常で発病するもの。
異常遺伝子が子に伝わる確立は50%となる。 
常染色体劣性遺伝病 常染色体2本のうち、1本に異常あっても正常な方が
優位に働いて発病せず、両方とも異常な場合には発病する病気。
つまり両方の親から異常な遺伝子を受け継いで発病する病気。
劣性遺伝病は1本が異常でも見かけ上はわからないため
「保因者」と呼ばれ、だれでもいくつかの保因者になっているという。
伴性遺伝病  性染色体における遺伝子に異常がある場合に発病する病気。
男性はX染色体が1本しかないので(女性は2本)、
X染色体に異常があると発病する病気。
男児のみ発症するものを伴性劣性遺伝病、
女児のみ発症(男子は早期に死亡する)するものを
伴性優性遺伝病といい、男性に多く発病する。 
医道(いどう) : 医者の道。医学。

    ネットで、医道とは「医師のとるべき病める人への無限の愛情(同情)である」と説いていたが、
    そんな医師にお目にかかってみたいものだね。

医道審議会(いどうしんぎかい) : 医師法及び医道審議会令で設置が規定されており、
    厚生労働大臣の諮問機関として事件や不正や医療過誤を起こした医師や歯科医師の行政処分の
    調査・審議をする所で、2001(平成13)年に現在の形になった。7つの分科会があり、「医道分科会」は
    医師や歯科医師が事故や罪を犯した際に免許取り消しや医業停止などの行政処分の内容を決める。
    学識経験者や医師会関係者ら委員10人で構成され、年に数回開催される。
    医道審議会では、2002年12月13日に、「医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について」
    というガイドラインを作成しているが、医道審議会の審議内容は原則非公開なので、
    どのような行為をしたときにどのような処分になるのかは、明確な基準を知ることはできない。
    日本の医道審議会での処分理由を見ると、傷害、殺人致死、詐欺、贈収賄、文書偽造、放火、監禁、
    証拠隠滅、医療廃棄物違反、覚醒剤違反、児童福祉法違反、わいせつ罪などの破廉恥罪、
    所得税違反などいろいろあるが、処分内容の半分はお金に関することで、診療報酬の不正請求と
    脱税とあとは詐欺であり、これを合わせると、医道審議会の処分理由の半分以上を占めている。

    自民党旧橋本派の政治団体「平成研究会」の1億円献金隠し事件など、
    日本歯科医師連盟をめぐる一連の日歯連事件で、診療報酬改定をめぐり逮捕された会長の
    臼田貞夫容疑者(73)が医道審議会委員であり、2005年4月21日付で委員を辞任したが、
    刑事罰等を受けた医師・歯科医師の行政処分を検討する医道審議会委員が
    不正をするようでは医道も地に落ちたもんだ。

医薬品の承認と医療保険(いやくひんのしょうにんといりょうほけん)
    医薬品を製造販売するには、薬事法などの法令で実施方法が詳細に定められた
    臨床試験(治験)を行い、そのデータを提出して厚生労働大臣の承認を得る必要がある。
     ただし、ある病気への効能で承認を受けている薬に別の病気への効能があることがわかり、
    使うことのできる病気の対象を広げたいときの仕組みもある。国内で新たに治験をしなくても、
    海外での臨床試験データなどで承認するルールで、1999(平成11)年に導入された。
     公的医療保険が適用されるためには、基本的に薬事承認されていることが必要である。
医薬品の治験(いやくひんのちけん) → 治験
医薬分業(いやくぶんぎょう) : 医師は患者を診察・治療し、処方箋を発行し、
    薬剤師はそれに基づいて調剤・服薬指導・薬歴管理を行う制度。
    医薬品の重複投与や、相互作用を防止する目的がある。

    「医薬分業」で治療費増えた
     (朝日新聞1996.4.16「声」、三島市在住の主婦・石井 公子さん(47歳)の投稿文より)
     花粉症で注射と薬の治療に通っている病院が4月から医薬分業となり、
     初めて処方箋を持って近くの薬局に行くと薬代940円(1週間分)を請求された。
     病院での注射代860円と合計すると1800円である。3月までの病院の請求では1回1370円だった。
      全く同じ薬と注射でこの430円の差額は何かと薬局に尋ねると指導料だと言われた。
     1月から飲み続けている薬の指導など、何を今さらと思いつつ、
     薬局の方のやけに愛想の良い態度も料金に含まれているのではなどと勘ぐってしまう。
      合理化とはいえ、今まで1カ所ですんでいたものをわざわざ移動するわずらわしさ(特に雨の日など)。
     それに月にすると1720円にもなる差額。まるで病院と薬局へのリベートを
     払っているような気になってくるし、これでは患者中心とはいえないのでは?
     一体だれのためのメリットかと腹立たしくなる。
     花粉症も治ってきたので、もう行くのはよそうかと思っている。
     その通りで、私も眼科と歯科とも5割増から倍近くになった。
     分業で医師の負担が軽減されたのであれば、窓口で支払う薬代分は減るはずなのに
     倍近くになることは、医師会のカラクリのほかならないと思う。
     眼科の目薬は白内障の防止用で何年も変わらないのに、毎回カラー印刷の説明書を付ける。
     もらった薬はすべてパソコンで管理しているので要らないと言うのに、
     紙減らしが叫ばれている昨今、印刷代が含まれているのか止めようとしない。
      完全に分業するのならまだしも、一部の薬は病院で処方しているのである。
     つまり、病院にも薬剤師を配置することは、かえって医薬品の重複投与が起きるのではないだろうか。
      石井さんの投稿に反論した薬剤師は、費用だけを考えたら、病院内に薬局を設けて、
     そこで薬を出すのが一番です。そこをあえて院外処方にするのは、薬局で薬歴をとり、
     適切な服薬指導を行い、薬害を未然に防ぐようにしようという意図があったはずです。
     と言っているが、病院内の薬剤師だけでも薬歴をとり、適切な服薬指導は行えるでしょう。
     何かにつけ患者から金を巻き上げる一方策だと思える。

医療(medical traetment)いりょう : 治療。療治。医術・医薬で病気やけがを治すこと。
医療過誤(いりょうかご) : 誤った治療、誤診・誤薬投与など、医療上の過失によって患者に傷害・
    死亡などの事故を起こすこと。その状況により刑法・民法・行政法上の責任を問われる。
    医療過誤は医療事故につながる医療側のミスで、医療過誤の一部が医療紛争に発展する。
    時効の観点から医療過誤による損害を請求する原因(理由)
    (1)不法行為責任(民法709、715など)
      民法724条で、「消滅時効」が、被害者(または法定代理人)が、
      損害および加害者を知ったときから3年、で完成「除斥期間」というのが、
      不法行為(手術など)から20年経過で成立し、それぞれ請求できなくなる。
      時効の3年は、不法行為(手術など)の時からでなく、損害および加害者を知ったときからスタートし、
      時効の中断事由(加害者が一旦債務を認めたとき、など)があるので、
      必ずしも進行していないことがある。例えば、症状が固定していないときには、損害はまだわからない、
      として時効はスタートしていない。あとの20年という除斥期間は、
      そういうのとは関係なく、不法行為(手術など)から20年経過で請求できなくなる。
    (2)債務不履行責任(民法415〜)
      一般の消滅時効期間の10年で時効が成立し、
      その起算点は債務不履行行為(手術など)の時であるのが原則だが、
      やはり、損害が確定しなければスタートしないのではと言われている。時効の中断もありえる。
      事案の内容によっては、3年立てば不法行為請求権につき時効が成立している可能性があり、
      20年たてば、時効とは関係なく、不法行為による請求はできない。
      しかし、20年たっても、まだ債務不履行に基づく請求は、時効が中断していればできる可能性もある。
      例えば、事故から7年たっていても、不法行為による請求ができる場合もあるし、
      債務不履行による請求はできる。
      不法行為による請求と、債務不履行による請求で、そんなに内容は変わらない。
      できれば、両方の請求原因をかける方がよい。原則として債務不履行による請求が残ればいいが、
      個別の医師との間に医療契約の締結が認められなければ、
      場合によっては執刀医自身の責任を追求できないということになる可能性がある。
    いずれにせよ、できるだけ早く弁護士に相談をする。
医療観光(medical tourism:メディカル・ツーリズム)いりょうかんこう
    治療や健康診断のために外国に行き、滞在先で観光もすること。
    医療といっても、がんや心臓手術などの高度医療から美容整形、健康診断まで幅広い。
    一般的に「ヘルス・ツーリズム(health tourism)」と称され、心臓などの移植手術など
    専門的な医療を目的とする「メディカル・ツーリズム(medical tourism)」、
    自然治癒を目的とする「ホリスティック・ツーリズム(holistic tourism)」などに分別される。
    医療観光では、タイ、マレーシア、シンガポール、インド、ドバイ、南アフリカ共和国などが受け入れて
    いるが、タイでは性転換手術、シンガポールでは心臓関連の手術を目的に訪れる人が多いという。
    本来は先進諸国でこそ享受できるはずの最先端の先進医学の恩恵が、
    いわゆる治療費の安い開発途上国で受けられるところに特徴がある。
    外国人患者の受け入れ数が世界で最も多いのはタイで、年間約140万人(2008年)にのぼり、
    医療観光による年間収入は約1920億円という。政府の後押しと治療費の安さが理由である。
    米民間会社の推計では、2010年の医療観光の世界市場は1千億ドル(約9兆3千億円)規模とされる。
    日本でも、高水準の医療を売り物に外国人を誘致する取り組みが始まっている。
医療計画(いりょうけいかく) : 地域の体系的な医療提供体制の整備を促進するため、
    医療資源の効率的活用医療関係施設間の機能連携の確保等を目的として、
    各都道府県が5年ごとに医療を提供する体制の確保に関する計画を定めるものであり、
    昭和48(1973)年〜57(1982)年の老人医療費無料化で急増した病床数を抑制することを主として、
    昭和(1985)60年の改正医療法で創設された。
    人口や年齢構成、入院実績などをもとに、医療圏ごとの入院ベッド(病床)数を決めている。
    厚生労働省が示した算定式にあてはめて総病床数を示すだけで、
    地域の事情や病気ごとに患者数などに対応していないなどの問題がある。
    厚労省は、全国370の地域ごとに人口や年齢構成から機械的にベッド数を決めるだけの「医療計画」を、
    病気別の患者数などニーズに合った計画に変更する方針を固め、病院の役割分担を明確にし、
    病院間の連携を図ることにした。2005年度予算で年200億円ある使い道が決められている
    補助金を見直し、計画をつくる都道府県の自治体の裁量で使える交付金などに変えて、
    病院の改築や調整費用などに充て誘導策にする考えだが、
    私立の病院や診療所なども含めた機能再編だけに、日本医師会などとの調整が必要となる。

    老人医療費無料化の制度は、昭和57(1982)年の老人保健制度の創設により廃止されたが、
    同法制定の背景には、特に高齢者比率が高く老人医療費負担の大きい国民健康保険が、
    深刻な財政面に直面し改革を迫られたことにあると言われている。
    すでに老人保健制度の医療の対象者の患者一部負担は、
    所得や年齢により定率1割〜2割負担になっていて、それでも急速に進む高齢化社会を迎え、
    老人医療費の助成率を下げ、平成14年健康保険法の改正により、
    15年度から医療費の保険給付率が7割に統一されている。
    老人保健制度の医療の対象者の年齢もどんどん引き上げられ、
    恩恵に与る期間の短い75歳以上の者になるのである。厚労省はこのような
    その場しのぎの改定のみで対応してきたつけを、今頃になって方針転換することにしたが、
    老人保健制度の導入時から高齢者比率の予測による長期計画を立てるべきだったのである。
    もともと老人医療費を無料にしたから、入院する必要もない患者がベッドを専有して
    病床数が不足になるということから老人保健制度の医療計画を導入したのでしょう。

医療刑務所(いりょうけいむしょ) : 医療的な処置が必要な者を収容するために設けられた刑務所のこと。
    「医療刑務所」は刑務所などの矯正施設に収容されている受刑者の中で、
    精神上の疾病や障害がある重症患者を受け入れ、心身ともに健康を回復するための医療等を施し、
    釈放後の円滑な社会復帰が可能となるように設けられている施設で、
    薬物やアルコール依存症も対象となる。全国に下記の4施設がある。
     ●八王子医療刑務所 : 東京都八王子市子安町(東京都昭島市に移転予定)
      「総合病院」としての機能があり、身体に疾病がある受刑者も対象とする。
      准看護師養成所が設置されている。
     ●岡崎医療刑務所 : 愛知県岡崎市上地(精神障害者を対象とする)
     ●大阪医療刑務所 : 大阪府堺市堺区田出井町(身体に疾病がある受刑者も対象とする)
     ●北九州医療刑務所 : 福岡県北九州市小倉南区葉山町

    タオルで首吊り自殺は刑務所に過失…賠償命令 (読売新聞より)
     2005年9月、北九州市小倉南区の北九州医療刑務所でタオルなどを使って
    首つり自殺した男性受刑者(当時25歳)の母親(54)が「自殺を予見できたのにタオルを貸し、
    安全配慮義務を怠った」として、国に約4550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が
    2009年10月6日、福岡地裁小倉支部であった。
     青木 まこと)) 裁判長は「刑務所全体で改善すべき組織的過失がある」として、
    約2090万円の支払いを命じた。
     原告側の代理人弁護士によると、受刑者の自殺防止を巡って、
    医療刑務所の賠償責任が認められたのは初めてという。
     判決によると、男性は2004年4月、覚せい剤取締法違反で実刑判決を受け、
    同8月から佐世保刑務所で服役。幻覚、幻聴を訴えて自殺を図り、
    2005年8月、精神疾患の受刑者を治療する北九州医療刑務所へ移された。
    同9月、独居房で備品のタオル(長さ37センチ)とふきん(長さ33センチ)を結び、
    床から高さ約30センチのタオルかけに掛けて、首をつった。
     国側は「男性に特異な言動は見られず、想定し得ない手段による自殺だった」と主張。
    これに対し、青木裁判長は「男性は度々幻聴、幻覚を訴え、自殺を試みていた。
    自殺の方法も十分予測可能だった」と判断。
    看護日誌の記録も極めてずさんだったなどとして「医師や病院を選択できない受刑者に対し、
    医療刑務所は安全に配慮する万全の注意を払うべきだ」と指摘した。
     北九州医療刑務所は控訴について「関係機関と協議して決めたい」としている。
医療圏(いりょうけん) : 都道府県が病床の整備を図るにあたって設定する地域的単位のこと。
    医療法第30条の4による。
    1次医療圏 : 身近な医療を提供する医療圏で、医療法では規定されてはいないが、
     保健所(地域保健法第5条の2)や介護保険制度等との兼ね合いから、
     市町村を単位として設定されている。
    2次医療圏 : 医療法第30条の4第2項第10号に基づいて線引きされた地域。
     特殊な医療を除く一般的な医療サービスを提供する医療圏で、
     「地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、
     一体の区域として病院における入院に係る医療(前条に規定する特殊な医療並びに療養病床及び
     一般病床以外の病床に係る医療を除く)を提供する体制の確保を図ることが相当であると
     認められるものを単位として設定すること」(医療法施行規則第30条の29第1項)と規定されている。
     手術や救急などの一般的な医療を地域で完結することを目指す。厚生労働省が、
     医療法にもとずいて、地理的なつながりや交通事情などを考慮して、一定のエリアごとに定める。
     複数の市町村を医療的に一体の地域とみなし、一つの都道府県内を3〜20程度の区域に分ける。
     人口などに応じて必要なベッド数を決めたり、重症の入院患者に対応できる救急病院を
     置いたりするときの単位として使われる。市町村単位を基本とする1次医療圏、
     都道府県を単位とし、より高度な医療拠点の整備をめざす3次医療圏との間に位置づけられる。
     2008年度の2次医療圏は全国で348カ所。
    3次医療圏 : 医療法第30条の4第2項第11号で規定。最先端、
     高度な技術を提供する特殊な医療を行う医療圏で、「都道府県の区域を単位として設定すること。
     ただし、当該都道府県の区域が著しく広いことその他特別な事情があるときは、
     当該都道府県の区域内に二以上の当該区域を設定し、また、当該都道府県の境界周辺の
     地域における医療の需給の実情に応じ、二以上の都道府県の区域にわたる区域を
     設定することができる」(医療法施行規則第30条の29第2項)と規定されている。
     原則都道府県を一つの単位として認定される。
     現在、複数の医療圏を定める都道府県として、北海道と長野県がある。
医療行為(いりょうこうい) : 免許をもった医師のみが行うことのできる診断・治療など。
    参 : 医療的ケア
医療Gメン(いりょうジーメン) : 医療費Gメン。正式名は「指導医療官」で、1981(昭和56)年に設けられた。
    厚生労働省が社会保険庁の技官として医科・歯科別に採用し、
    各都道府県にある厚生局の事務所に配置する。
    医師か歯科医の免許を持ち、過剰診療や診療報酬の水増し請求がないか監査する。
    不正が見つかった病院・医院には保険医指定の取り消しなどの処分が出る。
    各都道府県の社会保険事務局に計約100人配置され、医師と歯科医師で担当が分かれている。
    少人数で同じ事務局に長年勤めるケースがあり、不正の温床になっているとの指摘もある。
     医科では「プライドの高いベテラン開業医にも指導するから、並の医師ではダメ」とされ、
    公立病院の副院長クラスから人選するのが一般的で、歯科でも治療の経験を重視する。
    ともに公募はせず、大学や公立病院から推薦してもらうことが多い。
    壁になるのが、Gメンが公務員のため、通常の医師より収入が低いことで、
    年収が半分以下になった人もいるという。
    なり手不足は慢性的で、医科・歯科とる定数を確保できず、不在県を解消できない。
     2008年10月時点の定数は医科73、歯科50だが、実際は医科44人、歯科41人である。
    医科・歯科いずれかで不在の県は17、その中で両方不在の県は6県ある。
    診療報酬の不正請求対策強化へ<厚労省>
     厚生労働省は2007年7月26日、診療報酬の不正請求対策として、架空請求や
    水増し請求等の不正を摘発する「医療Gメン」と呼ばれる指導医療官を増員する方針を固めた。
    今後増員幅を詰めて来年度予算概算要求に盛り込む模様。
    「医療Gメン」の増員により不正に請求された診療報酬の返還額を
    現在の計60億円程度から100億円超へと引き上げることを目指す。
医療事故(いりょうじこ) : 医療の過程全般の結果として、患者が傷害などの予期しない不利益を被ること。
    医療事故は「過失による事故」と「過失のない事故」に分けられ、「医療ミス」や「医療過誤」は前者の
    「過失による事故」と同義に使われ、過失が証明されてなければ単に「医療事故」とされる。
    誤診や誤った処置、投薬、機器トラブル等が原因となる。
    以下、ポイント協力医(加藤良夫執筆)より抜粋
    医療事故を疑ったときやっておくべきこと
     ●当該医療事故で問題となる疾患について、医師にかかるまでの状況はどうであったか。
     ●前医があれば、そこでどのような治療を行ったか。
     ●医師の治療を受けた時期およびそのときの診断・治療・予後についての説明の内容はどうであったか。
     ●医療事故発生の直前までの医師の診療内容の詳細、症状の推移の詳細。
     ●医療事故であると思った時期とそのきっかけ。
     ●医療事故発生時の状況。事故、副作用、合併症などについての
      事前の説明の有無およびその説明の内容。
     その他関係があると思われることは何でも記録にとっておきましょう。
    医師に説明を受ける際の目安となる事項
     ●患者の異変発生までの投薬や処置の内容と、それについての事故・副作用・合併症の可能性。
      これらについて事前の説明と食い違っていた場合に、その食い違いの理由。
     ●医療事故発生時の状況と医師・看護婦等の対応。
      事故直後に受けた説明と現在の説明とに食い違いがあれば、その食い違いの理由。
     ●患者の異変の原因についての医師の意見。
     ●後遺症、治癒の可能性について。
医療制度改革(いりょうせいどかいかく) : 少子高齢化を背景に、社会保障費は2005年度当初予算で
    20兆4千億円、一般歳出の4割超に膨張。その抑制が財政上の懸案になっているが、
    中でも医療給付費は現行制度のままなら25年度に56兆円へ倍増すると見込まれ、
    最大の焦点になっている。このため政府は2005年6月、経済・財政の方向性を示す
    「骨太の方針」第5弾で「医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標」と
    具体的な措置を年内に決めることにした。
    経済財政諮問会議の民間議員案と厚生労働省の試案に基づいて論議を行い、政府案をまとめる。

    財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が2006年度予算編成の基本方針を提言する
    建議(意見書)の素案が2005年11月10日、明らかになった。
    焦点の医療制度改革について「2006年度から効果が生じるような公的医療給付費の
    抑制策に取り組む必要がある」と指摘。70歳以上の医療費自己負担割合の引き上げや、
    診療報酬の大幅な引き下げ、医療費の一定額を保険対象から外す「保険免責制」の導入などを求める。
    11月21日に谷垣禎一財務相に提出する。
    建議内容
     医療費に占める高齢者医療費の割合が現在の約4割から2025年度には約6割に増加し、
     70歳以上の医療給付費を賄う1人当たり国民負担(税と保険料)は現在の年約9万円から
     30万2000円に増加する見通しと指摘。「高齢者を一律に弱者ととらえる考え方を改め、
     負担能力に応じ公平に負担する仕組みに見直す必要がある」とした。
     現行の70歳以上の自己負担割合は原則1割で現役世代並みに所得がある人は2割だが、
     これを原則2割、現役並みの人を3割に引き上げ、低所得者は1割に据え置く案を示した。
     厚生労働省が10月発表した医療制度構造改革試案は、65〜74歳を「前期高齢者」として
     自己負担を2割にするなど3案を示したが、財政審は最も厳しい案を求める。
     医師などの診察や投薬の技術料の単価を決める「診療報酬本体部分」は、
     1999年度以降の民間給与や物価の動向などと比べると5・3%高いとして、
     「相当規模の引き下げ」を提言する。とくに「医療費の約半分は医師らの人件費」と指摘し、
     「近年のデフレで、保険料や税を払う者の給与は下がり続けているのに、
     それを受け取る側の報酬にはデフレの影響が反映されていない」と批判している。
    高齢者医療の自己負担増
     医療、年金など国民生活に身近な社会保障分野の新制度が2006年10月1日からスタートした。
     医療分野では、現役並み所得がある70歳以上の高齢者は窓口負担が2割から3割に上がる。
     また、長期療養の療養病床で入院する70歳以上の患者は、食費や光熱費など居住にかかる
     費用が原則、自己負担になる。相部屋利用の場合、現在月額2万4000円(食材費に相当)が
     月額5万2000円となる。ただ、難病や人工呼吸器が必要な患者は負担を据え置く。

    老人医療費無料化の制度も廃止されたあげく、今まで保障を受けられる高齢者の年齢を
    どんどん引き上げてきた上に、これからは医療費の負担額を大幅に増額するという建議の素案には
    納得できないね。社会保障というものは財源がないから抑制するというものではないでしょう。
    厚生労働省の試案としても、結果的には財務省の予算内でのことなので、
    すべての省庁の支出抑制策の取り組みを最優先すべきである。
    人口割合が高くなった高齢者が、足が痛いや外に出たくないなど、総選挙に1票を投じる人が
    少ないからこんなことになるのかも。今後は不在投票なども活用して政治に参加しましょう。

医療的ケア(いりょうてきケア) : 医師の許可により、医師や看護師の指導支援体制のもと、
    本人あるいは本人に代わって家族・介護者・特別支援学校(旧盲・ろう・養護学校)の
    教員などが行なう医療的介助行為のことで、医師法上の「医療行為」と区別して呼ばれている。
    次の二つの医療的介助行為があるが、特にAだけを言うことが多い。
     @保険診療において在宅医療として認められている医療的な行為。
      例えば、インスリン自己注射、ヒト成長ホルモン自己注射、血液凝固第VIII因子製剤自己注射、
      顆粒球コロニー刺戟因子(G−CSF)自己注射など。
     A急性期の治療目的ではなく、生活支援のために行う医療的な行為。
      例えば、吸引、注入、導尿、呼吸管理など。
      吸引 : 電動または手動の吸引器で、口腔や鼻腔または
            気管切開部のカニューレ内の痰(たん)や鼻汁、唾液などの分泌物を吸引すること。
      注入 : 呼吸障害、摂食・嚥下の障害などがある人に、
            経管による栄養及び水分、薬液の注入を行うこと。
      導尿 : 排尿困難のある人に対し、数時間ごとに尿道からカテーテルを挿入し、排尿する方法。
    医療的ケアができるのは医師、看護師、保護者だけだったが、厚生労働省と文部科学省の通知で、
    2004(平成16)年10月以降、看護師が配置された特別支援学校では、教員が
    @痰の吸引A経管による栄養注入B導尿補助の三つができるようになった。
     文部科学省の2006年5月調査では、医療的ケアが必要な子供が在籍する
    全国の特別支援学校642校のうち、4割に看護師が配置されていない。
    東京都や徳島県などでは全校に配置されている一方で、
    配置されている学校が1割に満たない県があるなど、地域格差もみられる。
    しかし、特別支援学校で医療的ケアを受けていても、
    卒業後にケアを受けられる福祉施設が足りず、生徒の親たちが困っているという。
医療費(medical expenses)いりょうひ : 自分や家族の病気やけがなどにより支払う費用のこと。
    医療費控除に関する医療費とは、診療費、入院費など医療機関に支払ったもののほかに、
    通院に使った交通費、薬屋で買った薬などの費用も含まれる。
    また、共働きの夫婦など所得のある人が複数いる場合でも、
    家族全員の医療費を収入の最も多い人の所得から控除できる。
    厚生労働省の推計によると、2004年度の医療費(公費負担分)は約10兆円で、
    約8兆円の年金を上回る。高齢化の進展などで25年の医療費は約28兆円と2.8倍に膨らみ、
    伸び率は年金(1.8倍)を上回る。政府の経済財政諮問会議の民間議員らは、
    医療給付費の伸びを経済成長率の伸び以下に抑えるように主張している。 参 : 国民医療費

    国民健康保険で450万人が保険料を払うことができずに保険証を持っていないというのに、
    2003年3月に閣議決定した医療制度改革は断行どころか、
    2006年になってもほとんど進展していないのは何故だろうか。

    高額化する医療費を誰が払う(兵庫県尼崎市の長尾クリニック院長・長尾和宏氏)
     医学の進歩に伴い、医療は高度化。従って医療費の増大は、必然です。
    今日は高額医療費の話を少しだけ。おまけに少子高齢化の要因もありますね。
    高齢出産に伴い、先天性の病気が増えます。一方、老化に伴い様々な病気が増えます。
    多くの要因で医療費は増大しますが、高額医療費の問題は、大変重要です。
    月に1千万以上する医療費もあるそうです。がん医療の高度化は、医療費の高額化を伴う。
    その背景には、医師側の訴訟不安もあります。終末期医療費が大きいことも、有名な話です。
    様々な延命治療の医療費も増大の一因です。
    しかし、全ての医療費は国民皆保険制度の中で賄われています。
    実質的な自己負担は月8万円程度に過ぎません。それを超える医療費は、あとで還付されます。
    大半を健康保険制度がカバーしてくれるのです。しかし保険財源は、天から降ってはきません。
    みんなの保険料と国費の投入から成り立っています。国費と言っても、元は国民の税金です。
    困った人を、余裕のある人が助けるのが保険の原点。
    しかし、困った人の方が増えてきました。しかも、高額化が問題を複雑化しています。
    国民皆保険制度を守るなら、高額医療費をどうするか、国民議論する必要があります。
    そこで混合診療という考え方が出てきます。
    保険が効く医療と、保険が効かない医療に分けようという考えです。
    保険の効く歯と、効かない歯、と同じ話です。しかし以前より根強い反対意見があります。
    混合診療を容認すると国民皆保険制度が崩壊すると。それが本当かどうか、私には、よく分かりません。
    一つ言えることは、何かを変えないと維持できない。正確に言うと、何かを犠牲にしないと維持できない。
    いったい何を犠牲にすれば、いいのでしょうか?(2011.9.26、朝日新聞アスパラクラブより)
医療費控除(いりょうひこうじょ) → 確定申告(税関連に別掲)
医療保障(いりょうほしょう) : 医療に関する社会保障のこと。医療保険・医療扶助などのほか、
     医療サービスの確保などを含む場合もある。
胃ろう(Percutaneous Endoscopic Gastromy:PEG)いろう、ペグ : 胃瘻。経皮内視鏡的胃ろう造設術。
    病気のため口から十分な食事を摂取することが困難な状態になった患者のための栄養補給法の一つで、
    内視鏡(胃カメラ)を用いて、に栄養を送るための小さな穴(この小さな穴のことを胃瘻という)を
    おなかにつくる手術(胃瘻造設術:PEG)のことで、できた穴が患者にとっての新しい「第二の口」となり、
    その穴にチューブ(胃ろうカテーテル)を通し、体外から胃に直接栄養剤(流動食)を流し込む方法である。
    内視鏡を使って胃ろうをつくる方法は1979(昭和54)年に子供の患者用に米国で開発された。
    内視鏡とレントゲンでの透視を使用し、局所麻酔をした状態で針を刺し、
    カテーテルを挿入する。カテーテルは直径7mm程度のやわらかいもので手術後の痛みもほとんどない。
    手術時間は15〜20分程度で終わる。胃の手術後の患者は、皮膚から腸(Jejuna)に管を挿入し、
    『腸ろう』を作る。合併症は出血や腹腔内臓器の損傷などがあるが、頻度は少ない。
    取り付けたチューブは、1カ月で交換が必要なタイプと半年のタイプがある。
    いままで鼻から管を挿入して栄養剤を注入していたのが一般的だが
    肺炎や自己抜去などの欠点が多くみられ、最近ではPEG主体となってきた。
    PEG造設後の日常生活に制限は特になく、在宅介護もできる。
    使わないときは長さ約1.5cmのボタンでふたをしているので、
    入浴はシャワーはもちろん、そのままバスタブにつかってもおなかに水がはいることはない。
    リハビリもボタン型のカテーテルにすればひっかかることもなく胃瘻が取れる心配もない。
    PEGは患者と家族が一緒に過ごす大切な時間をつくるための選択肢となる。
    栄養剤の注入を含む胃ろうの管理は医療行為であり、医師や看護師が行うのが原則だが、
    患者本人か家族が行うことは例外的に認められている。
    日本では「鼻から管を入れるより本人の苦痛が少ない」などの理由で2000年代に広まり、
    飲み込む機能などが落ちた高齢者にはよく使うが、がん治療の現場ではまだ普及していない。
    抗がん剤や放射線などによるがんの治療中に、いろいろな副作用が起き、
    食欲が無くなって栄養不足に陥った患者に対して、従来のような点滴ではなく、
    胃にチューブを通すなど腸経由で栄養補給(経腸栄養)する手法が広がり、
    治療成績が上がったり入院期間が短縮したりすることも報告され、注目を集めている。
    現在、高齢者のほかに障害者・難病患者らも含め、導入している人は推定40万人ともいわれる。
    しかし、医学的理由のほか、「家族の希望」「苦痛を長引かせる」との判断で、
    44%の医師が中止を経験していることが医師会員へのアンケートで分かり、
    日本老年医学会など7学会は、人工栄養法の導入や中止の基準、手続きの指針作りの検討を始めた。
    PEGのメリット
    患者側
     ★チューブが邪魔にならないので口から食べるリハビリや言語訓練が行える。
     ★のどの不快感が軽減されるため、チューブのように自己抜去などの心配も少なく、
      患者の苦痛が少なくなり表情が豊かになる。
     ★鼻からの栄養補給に比べて、吐いたりムセたりしにくくなるので、
      誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になる危険性も減り、口から食事をとる訓練もしやすくなる。
    介護側
     ★経鼻胃管(鼻から胃に挿入するチューブ)よりも管理が容易なため、
      介護者の負担が少なく自宅でも患者の介護ができる。
    厚労省の「高齢者の医療の在り方検討委員会」調査報告書(2007年)によると、
    患者・家族107人のうち27%が「手術前に受けた説明と違う」と感じていた。
    その理由を聞くと「再び口から食べられるようにならなかった」「合併症が少なくなかった」
    「介護負担が軽減できなかった」「栄養管理に手間がかかった」などが挙がった。
    参 : 胃ろうの造設と管理(聖マリアンナ医大東横病院HP)、
        NPO法人PEGドクターズネットワーク(HP)、胃ろうのトラブル難病ALSの人生HP)
院外処方箋(いんがいしょほうせん) : 発行した病院外の薬局で調剤される処方箋。
    医薬分業の推進により増加している。
院内感染(in−hospital infection)いんないかんせん : 病院感染。
    入院中の患者あるいは新生児、未熟児、さらに医療従事者、職員、外来患者、
    見舞い客などにも起こり得る病院内で病原体の感染を受けること。
    また、院内で感染発症したものはもちろんのこと、院内で感染し退院してから発症したものも含まれる。
    なお、入院中の患者としては本来の病気とは関係のない感染症にかかり、
    最悪の場合は死にいたることもあるが、一般的に病院内において抵抗力の弱くなった患者や高齢者が、
    薬剤耐性菌(抗生物質の効かない菌)や結核菌などに感染することが多い。
    従来、院内感染といえば外因生感染が主だったが、
    最近は宿主の抵抗力に減弱によって引き起こされる内因性感染が多くなっている。
    このような感染症の変貌には、微生物と宿主の相関関係ばかりではなく、
    抗生物質の乱用と高齢化社会の到来という新しい局面が要因となっていると考えられる。
     ほかに、針刺し事故などによって医療スタッフが病院で感染するケースも院内感染にあたる。
    いずれもほとんどの場合が医療事故である。
     院内感染は細菌ウイルスカビ、ダニが原因になる。中でも細菌が一番多い。
    院内感染を起こす細菌
     @結核菌やレジオネラなど強毒菌
     Aサルモネラや病原性大腸菌O157などの食中毒菌
     Bメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)など、
      抗生物質が効かない耐性菌
     Cセラチア菌や緑のう菌など、病原性は弱いが環境中のあちこちにいて、
      医療器具を汚染しやすい「日和見菌」
     多くの病院が、針刺し事故防止とMRSA感染防止を院内感染対策の主眼にしているが、
     ここ数年は、病原性が弱く、薬が効くため軽視されがちだったCの菌での死亡例が相次いでいる。
    MRSA(Methicillin−Resistant Staphylococcus Aureus)
    メチシリン・レジスタント・スタヒロコッカス・アウレウスの略語で、変異によるメチシリンなどの
    抗生物質に対する耐性を獲得したグラム陽性球菌の一種の黄色ブドウ球菌のことで、
    化膿性疾患(皮膚化膿疾患、中耳炎、結膜炎、肺炎)、腸炎(食中毒含む)など創傷感染、
    呼吸器感染、消化器感染、敗血症などを起こし、院内感染の原因となることから、
    院内感染と言えばMRSAと言われることが多くなった。
    MRSAは1961年に英国で最初に報告され、米国では1970年代に、
    国内では1980年代になって報告されるようになった。
    MRSA出現の背景には、医療現場での抗生物質の乱用が指摘されている。

    父は交通事故でリハビリ設備のある病院に入院したが、保険会社が交通事故の患者だと
    病院に知らせなかったために、初期にリハビリを受けることができずに足が固まってしまい、
    歩行ができなくなり寝たきりとなった。しかし、1週間に1〜2度くらい洗濯物などの
    交換を含めて妻と見舞っていたが、何故か部屋変えが頻繁に行われていた。
    父が入院して3年目のある日、主治医から「お父さんは院内感染により肺がかなり弱っているので、
    いつ亡くなってもよいように準備しておいてください」と通告され、その年に肺炎で亡くなった。
    父の亡くなった前後に10人近くの患者が院内感染と思われる肺炎で亡くなっているのに、
    なぜ患者を隔離しないで4〜6人の大部屋を転々と移動させたのだろうか。
    院内感染で死亡したことの、病院からの謝罪の言葉は一言もなかった。
    患者の家族としては、今後お世話になるかもしれない病院には、何も言えないつらさがある。

ウイルス性肺炎(ういるすせいはいえん) = ウイルス性肺炎(肺の関連に別掲)
鬱病(depression)うつびょう : 鬱憂症。抑鬱症。気分の抑鬱、意欲や生命感の低下など
    鬱状態を特徴とする精神障害をいう。躁鬱病(そううつびょう)のうちの鬱病相をさすことが多いが、
    ほかに心理的原因による反応性鬱病、中毒や脳病変による鬱病など広い範囲のものを含む。
    健康な人でも、失恋や仕事、試験などの失敗など、日常的なコトで憂鬱な気分になることがあるが、
    鬱病とは、それと異なり毎日のように気分が憂鬱になったり、悲しくなったりして、
    何をするのもおっくうになるようなことが続く。睡眠障害や疲労感など身体症状として現れることもある。
    少なくとも2週間以上続くものを鬱病という。
    といった説もあるが、脳内神経伝達物質のバランスの乱れが原因としてあげられている。
    うつ病ではその症状が高齢者特有の痴呆(認知症)と誤って理解されることがあり、
    適切な治療による回復の機会が失われてしまうことが問題となっている。
    初診に適した科は精神科・心療内科で、適する医療機関は外来診療所・
    特殊専門病院・研究機関病院(大学病院)が診断・急性期治療である。
    躁鬱病も含む患者は約100万人とみられている。
    鬱病の多く見られる精神的な症状
     @意欲低下。A外に出るのを嫌がり、ひきこもりがちになる。B常に疲労感を感じる。
     C現実喪失感。D自殺行為など自虐的思考。E虚無感。Fマイナス思考。
     G思考力・集中力の低下。H劣等感。I取り残され感。
    その他、身体的に感じる症状
     @不眠。または過眠。A食欲減退。B性欲減退。女性の場合、月経不順。
     C体重の異常増減(1カ月に2kg以上)D肩こり、背中や腰の痛み。E頭痛、めまい。などがある。    
うつ症状の比較
非定型うつ病 メランコリー型うつ病
気分 楽しいことがあると明るくなる
(気分反応性)
常に落ち込んでいる
リズム 夕方から夜に具合が悪化 朝から午前中にかけて調子が悪い
睡眠 いくら寝ても眠い(過眠) なかなか眠れない(不眠)
食欲 食べることで気を紛らわせる(過食) 食欲が落ちる(食欲減退)
    従来のメランコリー型うつ病とは異なるタイプの非定型うつ病が、20〜30代の女性に増えている。
    非定型うつ病の症状は上記の表のほか、手足が鉛のように重い感覚がする(鉛様まひ)や
    人間関係において拒絶されることに過敏になる(拒絶性過敏)などがある。
    症状は似ているが「躁うつ病(そううつびょう)」(双極性U型障害)と非定型うつ病の治療法は異なる。
    参 : 自殺とうつパーキンソン病日本うつ病学会(HP)

    抗うつ薬パキシルなど「攻撃性」注意喚起<厚労省審議会>
     抗うつ薬「パキシル」などSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の副作用が疑われる症例が
    相次いだ問題で、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は2009年5月8日、
    服用により他人への攻撃性が増したり、激高したりする場合があることを添付文書に盛り込み、
    医師や患者に注意喚起することを決めた。
     対象は4種類の成分で、製品名ではパキシルやルボックス、デプロメール、ジェイゾロフト、
    トレドミンなど。このうちパキシルは、国内のSSRI市場の約半分を占め、
    2000年の発売以後、推定100万人超が使用した。
     厚労省などには2009年春までに、攻撃性などの副作用報告が268件あった。うち実際に
    他傷行為などに至ったのは35件。分析すると、4件で服用が行為につながる可能性を否定できず、
    残りは、他の病気によるものか副作用のためか区別できなかった。
    部会に参考人として参加した樋口輝彦・国立精神・神経センター総長は
    「典型的なうつ病以外での処方で、攻撃性を示す例が多い印象だ」という。
     日本うつ病学会も、患者や医師に適正使用を呼びかける委員会を新設することを決めた。
栄養サポートチーム = NST(別掲)
エコー検査 → 超音波エコー(別掲)
壊疽(gangrene)えそ : 脱疽。血行障害などによって局所的に壊死(えし) に陥った組織が腐敗、融解し、
    組織の表面が黒変した状態をいう。時間が経つと黒色や褐色に変色し、悪臭を放ち、
    壊死部分が脱落する。糖尿病動脈硬化症が進むと、血流の障害や足の小さな傷がもとになって
    壊疽を起こす場合があり、感染症の危険から全身を守るため、壊疽を起こした足を切断することもある。
    ガス壊疽(Gas gangrene)がすえそ : ガス壊疽菌などの細菌が不潔な傷口などから入って感染し、
     筋肉など体の一部の組織が死んでしまう(壊死する)創傷感染症(炎症)の一つで、菌の種類により
     クリストリジウム性ガス壊疽(主にウェルシュ菌による)と非クリストリジウム性ガス壊疽に大別される。
     壊死した組織で毒素が作られ、局所の筋肉が急激に破壊されてガスが発生して悪臭を放ち、
     全身状態が著しく悪化する。進行が急速で、切開してウミを出して壊死部分を切除するなど
     早期治療ができないと死に至る確立が高い。第一次世界大戦中の戦傷者に多発し、
     多数の死者を出して注目されたように、戦争や災害での外傷で起きる例が多い。
     かつては四肢の高位切断が行われたが、近年は化学療法や高圧酸素療法の効果が認められている。
エボラ出血熱(Ebola Hemorrhagic Fever)えぼらしゅっけつねつ
    エボラウイルスによる急性熱性疾患で、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱と共に
    ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Faver:VHF)の感染症である。
    1976年6月、スーダン南部のヌザラという街で、綿工場の倉庫番の男性が発熱、頭痛、
    胸部痛を訴えて入院し、数日後に鼻口腔および消化管より出血して死亡したのがはじまりです。
    名前の由来は、初めてウイルスが分離された患者の出身地にあるエボラ川からとられた。
    ウイルスの元々の出どころ(自然界の宿主)は未だ不明で、アフリカのサルから人へ感染し、
    さらに人から人へ感染した例が報告されている。最も重要な特徴は、
    血液や体液からの感染により多数の死者を出すことであり、まさに最強の殺人ウイルスといえる。
    潜伏期間2〜21日(通常は7日程度)で、発症は突発的である。
    症状の進行の仕方は重症インフルエンザ様で、高熱とともに、眼結膜炎、咽頭痛、
    筋肉痛および頭痛があり、次いで胸・腹部痛および出血(吐血、下血)を示す。
    死亡者の90 %以上は消化管出血を示し、死亡率は50〜80%になる。
    対症療法のみで、確立された治療法は今のところありません。
    参 : 西ナイル熱リフトバレー熱
円形脱毛症(えんけいだつもうしょう) : 円形禿髪(とくはつ)。台湾坊主。
    頭部の一部が境目がはっきりした円形状に脱毛する皮膚疾患のこと。
    一般的には10円玉くらいの脱毛と思われているが、まつげ、体毛などに及ぶ場合もある。
    自律神経障害・アレルギー・栄養障害などによるといわれる。本来外の細菌などから体を守る
    免疫作用が、逆に自分の毛をつくる細胞を壊す方向に働くことにより生じる病気で、
    いわゆる、リウマチと同様の自己免疫疾患の1つとして考えられている。
    異常な免疫反応を起こすきっかけとして、精神的なストレスなど様々なものがありえる。
    円形に毛が抜けるが、1から数個にとどまる場合もあれば、徐々に数、
    面積ともに拡大し多発する場合もある。多発性脱毛症の場合は、頭髪がすべて抜ける全頭脱毛、
    さらに、眉毛、まつげなども含めて毛が抜ける汎発(はんぱつ)性脱毛の状態に進展することもある。
    しばしば、アトピー性皮膚炎を合併しており、とくに全頭脱毛や汎発性脱毛の場合はその頻度が高くなる。
    ストレスによって発症した軽症の場合ほとんどは6か月程で自然治癒するが、
    完治するかの見通しがつかない為、本人や家族の精神的苦痛ははかり知れない。
    脱毛が進行している場合は、脱毛周囲の髪を軽く引っ張ると、痛みや抵抗がなく抜けるのも特徴的だが、
    円形脱毛症だと思っていても、実は違う病気という場合もある。円形脱毛症に似ている病気には、
    トリコチロマニア(抜毛症)、甲状腺機能低下症や全身性エリテマトーデスの合併症などがある。
    また、円形脱毛症が起きたときに、爪に横筋や小さなへこみが現れたりしたときは、
    重度の貧血症なども疑われる。世間ではストレスのせいだとか言われているが、根拠はないそうで、
    免疫やウイルス性の風邪が円形脱毛症とかかわっているという仮説が近年有力になっている。
    参 : 円形脱毛症百科(HP)、日本円形脱毛症コミュニケーション(HP)
嚥下困難(dysphagia、difficulty of swallowing)えんげこんなん : 飲食物がうまく飲みこめない、
    むせる、飲みこんだ物が食道でつかえるといった障害をいう。認知症や寝たきりの高齢者、
    特に脳卒中パーキンソン病などにより運動障害や失行のある人に多く、
    また舌癌や咽頭膿瘍、食道潰瘍や食道ガンなどによってもおこる。
    嚥下障害時には誤飲による嚥下性肺炎に注意する必要がある。
    原因 : 嚥下運動は口腔、咽頭、食道の秩序だったスムースな運動により行われており、
     この一連の運動には、三叉・舌咽・迷走・舌下神経とそれぞれが支配する筋肉が関与している。
     したがって、口腔から胃の噴門にかけてのいずれかに狭窄を引き起こす局所性病変や
     周囲からの圧迫病変、あるいは神経麻痺および筋障害などが嚥下困難の原因になる。
     このうち神経・筋障害では言語障害を伴うことが多い。
物を飲み込みにくい(嚥下困難)ときの原因と対処法
原因 対処法
顔面に痛みがある、排尿をしにくい、背骨全体に痛みがある、
ぐるぐる回るようなめまいがする、などの徴候があったら
多発性硬化症の可能性あり⇒内科へ
顔色が青白い、動悸息切れがする、たまに目の前が暗くなり
倒れそうになる、食が細い、生理が重い、爪が弱く薄い、
耳鳴りがする、のどの奥が痛い、などの徴候があったら
鉄欠乏性貧血の可能性あり⇒内科へ
口をあけようとすると皮膚が突っ張って開けにくい、
指先がいつも冷たい、空咳が多い、
胸焼けがするなどの徴候があったら
強皮症の可能性あり⇒内科へ
最近痩せてきた、目の前が暗くなって倒れそうになる、
動悸息切れがする、などの徴候があったら
咽頭・咽喉周辺の悪性腫瘍の
可能性あり⇒耳鼻咽喉科へ
急に声がしゃがれてきた、血を吐いた、
動悸息切れがする、などの徴候があったら
大動脈炎の可能性あり⇒内科へ
瞬きを繰り返していると、次第にまぶたが落ちてあがらなくなる、
最近ろれつが回らなくなってきた、などの徴候があったら
重症筋無力症の可能性あり⇒内科へ
まぶたの縁に赤い腫れがある、指先に原因不明の
赤い結節がある、最近呼吸が苦しい、などの徴候があったら
多発性筋炎の可能性あり⇒内科へ
延命治療(えんめいちりょう) = 延命治療(別掲)
オーダリングシステム(orderring system) : 医療情報管理システム。
    検査・処方などに係る情報伝達システム。
    診療の現場で、医師や看護婦などの医療従事者が直接パソコンを操作し、処方や検査などの
    オーダ(従来の処方箋や依頼伝票にあたるもの)を入力する医療情報の電算システムのこと。
    医療現場の一部業務を電子化し、病院業務の省力化と、サービス提供の迅速化を目指すものである。
    コンピューターに入力された薬や検査指示などのオーダ内容は、薬剤部門や検査部門などの
    関連部門に決められたタイミングで直接伝達されるとともに、医事会計部門にも直接伝えられる。
     e−Japane戦略Uの重点分野の一つである「医療」の施策の中で、
    電子カルテを含めた保健医療分野の情報化が謳われたが、これらを実現する第一段階として、
    「2003年までに全病院の2割以上にオーダリングシステムの導入を目指す」ことが目標として掲げられた。
    医療機関は医療サービスの主要な提供主体といえるが、その他に自治体、福祉施設、
    民間事業者(介護事業者等)など多様な機関/団体が連携して地域の保健・医療活動を
    支えていくことが望まれてきている。
    職員が首から提げているカードにはチップが内蔵されており、IC機能とともに身分証明にもなっている。
    このシステムが導入された医療機関は、患者の受付から診療(検査、処方など)後の会計および
    薬の受け取り方法が変更になる。    
オーダリングシステムの流れ(山口県周南市の徳山中央病院の例)
初診の方   再診の方   
                            
@番初診受付・
 入院案内窓口に
 「診察申込書」を提出 
  「再来受付機」の操作
平日の毎日、
午前7時半から運用開始
(11月中に限り6時半から)
※1
  毎月始めの
保険証の確認
     
「患者受付票」が発行されるので、
各診療科の受付窓口に提出
  受付を済ませてから
「B保険証確認窓口」
に保険証の提示 
                         
各科で受診・検査・薬の投与 
                                
会計のある方    お薬のある方 
                            
「D番伝票受付窓口」で
「会計受付番号票」をもらう
  院内で薬をもらい
会計がある方 
  院内で薬をもらい
会計のない方 
   
「会計待ち表示盤」に
受付番号が表示されたら
「自動清算機」で
支払いを済ませる 
  領収書のお薬引換券番号を
「E番お薬お渡し窓口」に
提出し、薬を受け取る※2 
  「D番伝票受付窓口」で
お薬引換番号を記入した
「院内処方箋(控)」をもらい
「E番お薬お渡し窓口」に
提出し、薬を受け取る※2 
※1診察券はどの科も共通なので、複数科の診察券は1枚に整理する
※2院内で薬をもらう方は、薬の準備が出来ると、
  「お薬待ち表示盤」にお薬引換番号が表示される
お薬手帳(おくすりてちょう) : 病院・医院・歯科・薬局で医療用の薬をもらった時や、
    市販の薬を購入した時に、今まで服用したり、使ったりした薬の名前や効能、飲む量 、回数、
    飲み方、注意すること、そして過去に経験した副作用などの記録を残しておくための冊子のことで、
    2000年4月より薬局や病院で希望の患者に無料で配布されている。
    全国一律の規格はないが、都道府県薬剤師会が発行する手帳には薬局側が記録する薬や検査値、
    注意点などが、患者側には副作用やアレルギーなどの記入欄がある。
    2000年から、手帳を記入すると、
    薬局側が健康保険法に基づく診療報酬を請求できるようになり、利用を広める動きが本格化した。
    2008年4月には、病院内の薬局でも診療報酬を請求する要件が加わり普及を後押しした。
    「お薬手帳」はかかりつけ薬局の薬剤師に相談すれば手に入れることができる。
    医療用薬品の場合は通常、医師、歯科医師、薬剤師が記入する。
    利点
    ●手帳に記録があると、何月何日、何処の診療機関から、何の薬が、
     どのような服用量と服用方法で、何日間処方されたかがすぐにわかる。
     また、メモなどの備考欄には、何月何日、何の薬で、このような副作用が出た。と、
     副作用も記入するので、それらを参考にして、医師・歯科医師は病状に適した、また
     他の医療機関と処方的に重複しない薬を処方・調剤できる。
    ●病院・診療所・歯科医院など複数の医療機関にかかった時、この手帳を医師、
     歯科医師や薬剤師に見せることで、どのような薬をどのくらいの期間使用しているかを判断でき、
     投薬の重複や副作用事故を防止することができる。
    ●外出時に急な事故にあった時など、この手帳を携帯することでいつも服用している薬の内容がわかり、
     医療機関による救急救命処置が円滑に行いやすくなる。
    ●手帳の記録をもとに医師、歯科医師、薬剤師の連絡が円滑に進む。
    ●アレルギーや副作用が出た場合は お薬手帳の該当する薬品に印を付けることにより、
     投薬されるのを防げる。
    ●万が一の際の緊急連絡先やかかりつけの医療機関がわかる。
    ●旅行先、転居先、入院時など現在服用している薬がすぐに分かり、
     医療機関へ正確な情報を伝えることが出来る。
    使い方
    ●病院、医院、薬局へ行った時には必ず毎回、医師・歯科医師・薬剤師に見せる。
    ●薬局・薬店でお薬を買った時にもその名前を記録しておく。
    ●通院時、外出時には必ず持ち歩く。緊急時必要となるので、写真を貼っておくとよい。
おたふく風邪 = おたふく風邪(別掲)
回復期リハビリ(かいふくきりはびり) : 発症後3カ月以内から最長9カ月(疾患によって期間が異なる)までの
    リハビリで、ADL(日常生活動作)改善による在宅復帰を目的としている。
    これは、脳神経系疾患のみが対象ではなく、整形外科(大腿骨頸部骨折、腰椎圧迫骨折など)も
    主な対象疾患である。回復期リハビリは、一旦失われた脳機能を少しでも回復させることにより、
    家庭内できれば社会復帰を目指すことを目的としている。 参 : 急性期リハビリ
外反母趾(hallux valgus)がいはんぼし : の親指が付け根の関節で外側(小指側)に曲がり、
    「くの字」になる状態をいい、赤くはれて痛みを伴う疾患である。
    発生の原因として、偏平足などの先天性あるいは遺伝性の解剖学的要素と、
    先の狭いハイヒールや合わない靴など足の指に外から加わる環境因子とが組み合わさり発生したり、
    関節リウマチなどの病気で発生する。男女の発生では女性が男性の10倍ぐらい発生し、
    好発年齢は初経期(13〜14歳頃)と閉経期(50歳代)の2つのピークがみられる。
    また前者には高頻度の家族内発生がみられる。
    中学生の外反母趾の割合は約7%で、予備軍も含めると女子は全体の6割で10年前の2倍以上に増え、
    男子でも患者や予備軍が約4割に急増していることが2005年の調査でわかった。
    原因は、車社会の影響や裸足やサンダルで外で遊ぶ機会が減り、
    子供の足の運動能力が低下していることが最も関係しているとされている。
    種類
     @靭帯性外反母趾 : 足先の横幅(横アーチ)を支えている横中足靭帯(中足関節)が伸びたり、
                    緩んでしまい親指が小指側に曲がる。
     A仮骨性外反母趾 : 親指の付け根の骨だけが異常に出っ張り、曲がったように見えるもの。
     B混合性外反母趾 : 靭帯性外反母趾と仮骨性外反母趾が合併したもの。
     Cハンマートゥ性外反母趾 : 生まれつき指がハンマーのように縮こまっていたり、
                        上を向きすぎていたりする要素がある人に起こりやすいもの。
     D病変性外反母趾 : 病的要素(リュウマチ、へバーデン結節)や事故、
                    ケガが加わり著しい変形や脱臼を伴っているもの。
    症状 : 親指のMP関節において親指のそれより先端が外反し、
     関節の内側が飛び出しバニオン(滑腋包の腫脹=bunion)を形成して痛みを引き起こす。
     そして外反変形が進むと親指が人差指の底側に入りこみ、
     人差指・中指のMTP関節の底側に痛みを伴うタコを形成する。
     発症の初期には窮屈な履物をはいて行動した時しか親指の基部に痛みは生じないが、
     症状が進むと裸足で立っているだけで疼痛がでるようになる。
     また症例によっては、親指以外の他の足指の中足骨骨頭部が痛んだり、痛みのあるタコができる。
    予防 : 靴による影響が大きいので踵(かかと)が低く、ゆとりのある靴をはくことで、
     特にハイヒールなどの踵が高く先の細い靴の常用は避けるこで、
     普段履く靴も縦横のサイズの合った正しい靴を選ぶことが大切である。
     また裸足で歩くことや、下駄やサンダルなどの鼻緒のついた履物を履くこと、
     さらにタオルやゴムひもを用いた運動を行うことなども足の筋力を鍛える効果がある。
     また足趾(そくし)のマッサージを行い関節の拘縮(こうしゅく)を予防することも大切である。
     指の変形が小さいうちや痛みの少ない場合には、
     つま先立ちや足の筋肉を鍛える体操などをしたり、靴に中敷きを入れたりして進行を防ぐ。
     不自然な歩き方で腰やひざなどが痛くなることもあるので、手術で変形を治す場合もある。
    男の外反母趾 : 男性で外反母趾になる人は女性の約10分の1.
     @ハイヒールなどの窮屈な靴を履く機会が少ない
     A女性に比べ関節が硬く、筋肉が強い、という理由で、男性の方が曲がりにくいからだ。
     足の付け根に痛みがある時、気にしてほしいのがその場所で、親指の上なら強直母趾、
     付け根全体なら痛風を疑った方がいい。男性の場合、外反母趾と思って受診したら別の病気だった、
     というのはよくあるそうだ。
    
    外反母趾の測り方とその他の足の痛み(2010.11.6、朝日新聞より)
    参 : 日本靴医学会(HP)
解剖(かいぼう) = 解剖(別掲)
化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう) : 住宅を新築あるいは改造した後、
    住宅建材から室内に発生する揮発性化学物質やダニアレルゲンなどが原因で
    体調不良や健康障害を引き起こす事を言う。ある化学物質に過敏になると、
    次々に他の化学物質にも過敏になることから「多種化学物質過敏症」とも言われている。
    シックハウス症候群は住居内での知覚症状が多いのに対し、
    化学物質過敏症はあらゆる環境において化学物質に過敏に反応し、
    排気ガスやタバコの煙など大気中の化学物質をはじめ、
    化粧品や洗剤などに含まれる微量の化学物質にも反応してしまう。このような症状から、
    化学物質過敏症は日常生活にも大きな支障をきたす場合が多く、
    現実に自宅を離れたり、療養生活を余儀なくされている人も少なくない。
過活動膀胱(overactive bladder:OAB)かかつどうぼうこう : 「尿意切迫感(urgency)を主症状とし、
    多くの場合、頻尿や夜間頻尿を伴い、ときには切迫性尿失禁を伴うこともある」と
    定義される自覚症状に基づく症状症候群をいう。
    症状
    @尿意切迫感 : 急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できない。
    A夜間頻尿 : トイレが近い(頻尿)、夜中に何度もトイレに起きる人がトイレへ行く回数は、
     日中で5〜7回、寝ている間は0回が正常と言われている。 日中8回以上トイレに行き、
     夜間も1回以上おしっこのために起きるようなら、それは頻尿(夜間頻尿)と言える。
    B切迫性尿失禁(尿漏れ) : 急に尿をしたくなり、トイレまで我慢できずに漏れてしまうことがある。
     尿意切迫感だけでなく、場合によってはトイレまで我慢できずに尿が漏れてしまうこともある。
    原因
    @神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因)
     脳卒中脳梗塞などの脳血管障害パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの
     脊髄の障害の後遺症により、脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きると、
     「膀胱に尿がたまったよ」「まだ出してはいけないよ」「もう出していいよ」「膀胱を緩めるよ(締めるよ)」
     「尿道を締めるよ(緩めるよ)」といった信号のやりとりが正常にはたらかなくなる。
     その結果、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても尿を出そうとしたり、
     「締める」「緩める」の連携がうまくはたらかなかったりして、過活動膀胱の症状が出る。
    A非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)
     ○骨盤底筋のトラブル : 女性の場合、加齢や出産によって、
      膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることがある。
      そのために排尿のメカニズムがうまくはたらかなくなり、過活動膀胱が起こる。
     ○それ以外の原因 : 上記以外の何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまう場合や、
      原因が特定できない場合もあります。いくつかの原因が複雑にからみあっていると考えられている。
      この原因の特定できないものや加齢によるものが、実際には最も多く存在している。
花粉症(かふんしょう) : ハンノキ、スギ、ヒノキ、サワラ、コナラ、クヌギ、イチョウ、スズメノテッポウ、
    カモガヤ、オオアワガエリ、ヒメガマ、ガマ、イネ、ブタクサ、オオブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、
    セイタカアキノキリンソウ、シラカバなどの植物の花粉に含まれる特定の物質(タンパク質)が原因となって、
    くしゃみ・鼻みずなどのアレルギー症状を起こす病気で、
    発症する季節が限られているので「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれている。
    実は、抗体ができるかできないかの問題ではなく、白血球の消化力(免疫力)、
    つまりアレルゲン(原因物質)やばい菌などの異物を無害化する力が強ければ、何の問題も起こらない。
    花粉タンパクを吸い込んだ上に、大気汚染や、口呼吸、過労、飲酒、喫煙などによって
    白血球の消化力が使われてしまうと、花粉の消化にまで力が回らず、花粉症になってしまう。
    日本ではアレルゲンの一つと考えられている花粉は、約60種類程度あると言われていて、
    その中でも多くの人が悩まされているのがスギ、ヒノキ花粉で、これらの風によって花粉を
    運ぶ植物(風媒花)は、虫などが花粉を運ぶ植物(虫媒花)よりも多量の花粉をつくる上、
    花粉が軽く遠くまで運ばれるのでアレルゲンになりやすいと考えられている。
    アレルギー性鼻炎は、アレルゲンの種類によって2つに分類され、主なアレルゲンが
    ダニ・家の中のちり(ハウスダスト等)・ゴキブリなどの昆虫、ペットの毛・フケなどによって
    一年中起きる「通年性アレルギー性鼻炎と」、花粉症の「季節性アレルギー性鼻炎」である。
    花粉症の症状は、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりの鼻の三大症状だけでなく、
     目の症状(かゆみ、なみだ、充血など)を伴う場合が多く、その他にノドのかゆみ、
     皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがある。
     さらに、シラカバ、ハンノキ、イネ科花粉症などの人がある果物や野菜を食べると、
     口の中がかゆくなり、はれたりする「口腔アレルギー症候群」という症状もある。
     人には病原体に対する防御反応があり、これを「免疫反応」と呼ぶ。
     その免疫反応に異常が起きたものがアレルギーで、花粉を病原体と誤認して起きた
     アレルギー反応(免疫反応)が花粉症である。花粉症は遺伝するが、花粉がたくさん存在することと、
     粘膜の抵抗力の低下という2つの後天的因子が伴わなければ発症しない。
     樹木の少ない都会になぜ花粉症が多いかというと、有名なスギ、ヒノキなどの樹木花粉は
     数10kmから100km以上も飛んできて花粉は広範囲にばらまかれるうえに、
     都会は大気汚染物質が多いためにかえって花粉症が多いという現象が起きるからである。
     花粉対策グッズの一つとして、帝人商事株式会社から2005年2月末に発売された
     「クロスキャビン」という網戸は、使用中の網戸の上に、
     粘着テープで簡単に取り付けるだけで、花粉を80%遮断するそうです。
    風邪と勘違いしやすいので注意
     花粉症は発熱することはないが、体がダルく感じたり、
     くしゃみ・鼻みず・鼻づまりが続くので、初期の風邪と勘違いする人が多い。
     風邪は発熱、ノドの痛みがあり、水鼻が数日後に黄色い鼻汁に変わる。
    自分でできる花粉対策(セルフケア)
     ●外出の際は花粉が付着しにくいなめらかな上着などで、マスク、メガネ、帽子などを着用する。
     ●帰宅したときは、室内に花粉を持ち込まないように衣類等をよくはらい、
       からだに付着した花粉はうがい、洗顔、洗眼、シャンプー等で優しく洗い落とす。
     ●窓やドアは開けっ放しにしないで、開閉は最小限にする。すきまはふさいでおく。
     ●室内の掃除は落ちている花粉が舞い上がらないように、ぞうきんを使ってこまめに行う。
       室内に霧吹きをして15分後に掃除機をかけると、ほこりや花粉の舞い上がりが少ない。
     ●花粉の多い日は室内に干したり、洗濯物の干し方にも注意する。
       洗濯物や布団を外に干したときは、よく花粉を払ってから取り込む。
     ●地域によって差があるが、1日の飛散の多い時間帯は午後1時〜3時頃と言われているので、
      この時間帯の屋外行動や物干しなどの室外作業はなるべく避ける。
     ●天気予報や花粉情報を参考にして行動する。 などが自分でできることでしょう。
    環境省の「花粉症ページ」には花粉総飛散量の予測、保健指導マニュアルなどがある。
    全国43カ所で花粉を測定し、最新の花粉の飛散情報を掲載しているサイ → キッセイ薬品工業(HP)
    参 : シックハウス症候群            
あなたは花粉症ですか?
「はい」(43%)の人が答えました。
どんな対策をしていますか?
(複数回答)
回答
者数
(人)
「対策をしていない」
395人が答えました。
なぜ対策をしないの?
マスクをする 2186 症状が軽い 50
医師にかかる 1717 いずれ治る 16
うがいをする 1599 面倒くさい 15
市販の目薬をさす 1282 薬に抵抗がある 10
甜茶やあめ 785 その他
めがねをする 691
空気清浄機を使う  661
その他  642
症状が出て何年目? 抜本的対策として
有効なのは?
(全員回答)
(二つまで選択)
回答
者数
(人)
16年目以上 37 スギなどの品種改良 4247
〜10年目 18 体質の改善 4180
〜5年目 17 治療薬の開発 4179
〜15年目 14 スギなどの削減 1868
〜3年目 12 その他  528
今年初めて
2009年3月7日付 朝日新聞土曜「be」から。
「アスパラクラブ」会員によるアンケート。回答者数:9199人。
私は生まれた時から花粉の多い田舎に住んでいたためか、
花粉が出始めた杉玉を鼻に詰めても花粉症にはなりませんが、
ひどい方は思い切って「イムノリゾート」に移り住むというのはいかがでしょう
川崎病(Kawasaki Disease:KD)かわさきびょう : 「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」や
    「MCLS」とも言われ、1967(昭和42)年に川崎富作博士(日赤医療センター)が報告したことから、
    「川崎病」と呼ばれる。主に4歳以下の乳幼児に見られる原因不明の全身の中小動脈の炎症で、
    高熱・発疹・頸部のリンパ節腫脹が現れ、回復期には指先の皮膚が膜状にむける。
    血栓性閉塞、心筋障害による虚血性心疾患により突然死を来たすことがある。
    心臓後遺症がなければ1カ月程で炎症は完全に治まり、
    他のリウマチ性疾患のように慢性化することはない。
     致死率は0.3%程度で、同胞発症(1〜2%)があり、数カ月、数年後に再発例もある(2〜3%)。
    しかし、最近は治療法が進歩し、特にガンマグロブリン大量療法により
    冠動脈病変の発症を減少することができるようになった。
     患者は増加傾向で、乳幼児を中心に年に約1万人とされる。
    多くは自然に治るが、20〜25%に冠動脈瘤などの合併症が残る。
    症状
     @5日以上続く発熱
     A手足の指がテカテカ光ってパンパンに張ってくる(後で指先の皮がむけてくる)
     B形の不定な赤い発疹
     C目の充血“ウサギのような目”
     D唇の発赤、舌はイチゴ状に赤くなり、口内の粘膜も赤くただれる
     E首などのリンパ節が腫れる
    参 : 川崎病の子供を持つ親の会(HP)
カルテ(Karte:ドイツ、a medical record、a chart) : 診療録。診療簿。診察簿。医師の診療記録カード。
    医師が患者ごとの病状・処置・経過などを記録しておく診療記録簿のことで、
    医師法により、5年間の保存が義務づけられている。 参 : 電子カルテ情報開示

    日本医師会は、カルテ開示には賛成だが、その法制化には反対という。
    カルテが書き分けられ、医師が最小限のことしか書かなくなる恐れがあるというのが理由だそうだが、
    身内をかばうことしか考えていないようだ。私は5年間の保存期限の後は、
    患者が欲すれば無償供与してもよいと思う。病気の再発時には、過去のレントゲン写真などとの
    比較がかなりの有効手段となるからである。焼却の手間も省けるのだ。
    それにレントゲン写真などは、撮影時に患者が負担しているのでしょう。

    患者にカルテ渡して保存を
    (2004.12.16、朝日新聞「声」より、甲府市の薬剤師・若尾 直子さん(50歳)の投稿文紹介)
     社説「C型肝炎 ともかく検査を受けよう」(10日)を読んで、最後の「手術を受けたら、
    患者もカルテをもらって保存したほうがいい」に大きくうなづきました。まさにその通りです。
     今、医療の常識が変わりつつあり、「自己選択」「自己判断」「自己責任」を求められます。
    でも、それら「自己○○」を求められても、素人である患者には
    自分の医療データを正確に記録する術(すべ)がありません。
     患者の記録を患者本人も保管することになれば、
    インフォームド・コンセント(十分知らせた上での同意)やセカンドオピニオン
    (別の医師による第2の意見)を求めることがより自然に行われるのではないでしょうか。
    また、別の意見が聞きたくて違う病院をたずねても、同じ検査を繰り返す必要がなくなります。
    これは医療費の削減にもつながります。
    納得できる医療を受けるために行われるインフォームド・コンセントにおいても、
    言葉だけによる説明よりはるかに正確な意思の疎通が図られると思います。
     患者は何も知らない方が幸せという考え方もあるでしょうが、
    自分の受けている医療に責任を持つためにも、医療費の削減のためにも、
    カルテや検査結果のコピーが、請求しなくても患者に渡されるシステムを望みます。
    「私の主張」として「情報開示」項に以下を載せているが、若尾さんのカルテや検査結果のコピーのほか
    X線写真やCT、MRI写真まで、せめて保存期限が来て焼却する前にでも無償供与すべきだと思う。
    訴訟のために利用する場合はお金を出してカルテの情報開示を求めればすむことだが、
    焼却の手間などをなくして医療費の削減のためにも、是非、法制化を望みます。
     
訴訟を目的とする場合以外の情報開示によるカルテやX線写真は、基資料を無料で提供すべきである。
    無料に出来ない場合は、せめて健康保険が適用されるようにしてほしい。
    病院を変更したり転勤や引越しの場合の基資料は患者にとって必要不可欠のものであり、
    個人で住所変更先の病院や医院に手渡しする方法が、資源の有効活用にもなり最良と思われる。
    私の場合は、若いときの肋膜炎で肋膜が肥厚し、X線写真では肺の内部が撮影不可なので
    断層写真による検診を受ける必要があり、当時のフィルムがあれば比較検討できるということで、
    会社の診療所のフィルムを借りてきたことがあるが、すでにすべてが焼却処分されている。
    「がん」などの病状が再発の場合にも基の資料は非常に参考になるので、個人が希望する場合は
    5年で焼却するときに、カルテやX線やCT、MRI写真などは無償提供できるようにしてほしい。

がん → がん関連(別掲)
寛解(Remission)かんかい : 病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した(弱まった)状態を言う。
    または見かけ上消滅した状態や好転していたりする状態を指す。
    がん白血病バセドー病、精神分裂病など難治の病気のときによく使われる。
    完全治癒とは違い、引き続き治療を行わないと再発してしまう不安定な状態である。
    治験の場合は治験ごとに寛解判定基準を作って判定する。
    治癒とは異なり、ぜん息は再発もまれではないことから、
    無治療・無投薬で症状がなくなった状態になっても、治癒とはいわず、 寛解と称することがある。
    悪性腫瘍ではがん細胞が残って再発もあるため、完治や治癒という言葉は使いにくく、
    寛解状態を維持することが目的になることが多い。
    日本小児アレルギー学会は、5年以上寛解を維持している状態を「臨床的治癒」、
    さらに肺機能、気道過敏性が正常化している状態を「機能的治癒」と定義している。
    完全寛解(complete remission)かんぜんかんかい
     外見上でも検査でも病気があるとは判定できない状態を言う。
     例えば、がんによる症状がなくなり、検査の数値も正常に近い状態をいう。
     完全寛解を目指して強い抗がん剤などを投与することを「寛解導入療法」、
     完全寛解後に残っている可能性のあるがん細胞をさらに少なくする治療を「寛解後療法」などと呼ぶ。
    部分寛解(partial remission) : まだ認知できる病気が残っている場合を言う。
     例えば、がんが縮小して症状が改善した状態を言う。
感染症(Infectious disease)かんせんしょう : 寄生虫、細菌、真菌など病原性微生物や、ウイルス
    異常プリオンなどの病原体が、経口・経皮その他種々の経路により、
    体内に侵入して増殖し、または毒素を出して発症する病気の総称である。
    せきや発熱、下痢などの症状がでることが多く、一度症状がでるとなかなか治りにくく、
    時には死亡するような感染症もあり、世界では、感染症による死亡者はすべての死亡者数の
    2割以上を占めているほどである。感染していても全く症状が出ない場合もあり、
    その場合には「無症候感染」と呼ばれる。
    感染症の分類
    感染経路によるもの
     @人から人へ感染するもの
      ア)接触して感染するもの(接触感染) : 性行為感染症など。
      イ)咳やくしゃみで空中に漂った病原体を吸い込んで感染するもの
        結核・麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・天然痘などの飛沫核感染とも言う(空気感染)。
        風邪ウイルスやインフルエンザ、通常の細菌性肺炎などの(飛沫感染)。
      ウ)母子感染(垂直感染)
        赤ちゃんが体内で母親の子宮・胎盤から栄養を貰っている時に感染する(経胎盤感染)。
        分娩の際の皮膚の擦り傷から感染する(経腟感染)。
        産後の母乳の授乳で感染する(母乳感染)など。
      エ)血液感染 : 主に輸血、傷口や不潔な医療行為で感染する。
     A動物・昆虫から人へ感染するもの(人獣共通感染症) : 鳥インフルエンザSARSエボラ出血熱
      狂牛病狂犬病マラリア、ペスト、ライム病、オウム病、マールブルグ病、腺ペスト、黄熱、
      サル痘、ウシ結核、ウエストナイル熱、ハンタウイルス肺症候群、ニパなど。
     B細菌が土の中などにいて、傷口などから感染するもの : 破傷風など。
     C食べ物から感染するもの : 赤痢、O157、コレラなど。
    病原体によるもの
     @細菌によって起こるもの : 結核、コレラ、表皮ブドウ球菌、腸球菌、リステリア、
      レンサ球菌(α群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA)、髄膜炎球菌、
      淋菌、病原性大腸菌(O157:H7など)、クレブシエラ(肺炎桿菌)、プロテウス、百日咳菌、緑膿菌、
      セラチア菌、シトロバクター、アシネトバクター、エンテロバクター、マイコプラズマ、
      クロストリジウム、ジフテリア、赤痢、猩紅熱、炭疽、トラコーマ、梅毒 、破傷風、ハンセン病、
      レジオネラ、レプトスピラ、ライム病、野兎病、Q熱などの(細菌性感染症)。
       発疹チフス、ツツガムシ病、日本紅斑熱などの(リケッチア感染症)。
       クラミジア、トラコーマ、性器クラミジア感染症などの(クラミジア感染症)。
     Aウイルスによって起こるもの(ウイルス感染症) : インフルエンザ、ウイルス性肝炎、
      ウイルス性髄膜炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)、成人T細胞性白血病、エボラ出血熱、黄熱、
      風邪症候群、狂犬病、サイトメガロウイルス感染症、SARS、進行性多巣性白質脳症、水痘、
      帯状疱疹、手足口病、デング熱、伝染性紅斑、伝染性単核球症、天然痘、風疹、
      急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹 、咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱、ラッサ熱、
      ハンタウイルス腎出血熱、流行性耳下腺炎、ウエストナイル熱、ヘルパンギーナ、チクングニヤ熱など。
     B寄生虫・原虫によって起こるもの
      エキノコックス症、日本住血吸虫症、フィラリア症などの(寄生虫感染症)。
      アメーバ赤痢、マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症、
      クリプトスポリジウムなどの(原虫感染症)。
     Cその他(真菌など)によって起こるもの
      牛海綿状脳症、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症(FFI)、
      ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)などの(プリオン病)。
       アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症、白癬菌症、ヒストプラズマ症、
      ニューモシスチス肺炎などの(真菌感染症)。
緩和医療(かんわいりょう) : 完全な治癒の望めないがん患者などやその家族に対し、
    身体や心(身体的痛みや精神的苦痛)の苦痛を取り除くことを主眼に置く医療のこと。
    緩和ケア(palliative care:パリアティブ・ケア)とも呼び、WHOの定義では、
    「生命(人生)を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族の、
    QOL(人生の質、生活の質、闘病生活の質)を改善するアプローチである。
    苦しみを予防したり和らげたりすることでなされるものであり、そのために痛みその他の身体的問題、
    心理社会的問題、スピリチュアル(霊的な、魂の)な問題を早期に発見し、
    的確なアセスメントと治療を行うという方法がとられる。」
    病気の進行に伴い起こるさまざまな身体的な痛みや苦しみ、倦怠感(けんたいかん)などを
    和らげる治療を行うほか、精神科医らが抑うつ状態にある患者の話を聞くなど、
    生活の質をを改善することを目指している。
    ほかに治療法がなく、死の直前に受ける終末期医療だと誤解されているが、
    本来は早い段階から始め、「生きる力」を取り戻すために必要なもので、積極的な緩和医療により、
    生活の質を保ちながら、抗がん剤治療を受けたり、自宅で闘病したりすることも可能になる。
    参 : 国立がんセンターのがん情報サービス(緩和ケア病棟のある病院を「病院を探す」から探せる)
        CART研究会(腹水を抜く治療や問い合わせ先)、日本緩和医療学会(HP)
緩和ケアチーム(かんわけあちいむ) : 患者や家族のさまざまな不安を和らげ、
    がんなどの病気にともなう痛みやつらい症状(はき気、便秘、息苦しさ、だるさ、しびれ、不安、不眠など)
    を軽減し、患者がその人らしく療養するために、医師や看護師だけでなく様々な職種が協力し、
    経済的な問題や入院療養中や退院後に生じるさまざまな問題をサポートしていく医療チームのこと。
    身体症状と精神症状を担当する専門医(麻酔科、外科、内科)、看護師、医療ソウシャルワーカー、
    薬剤師、栄養士、臨床心理士、理学療法士などの複数名で構成されている。
    がんに伴う痛みなどの身体症状の緩和や精神心理的な問題への援助などが、
    治療の初期段階から積極的な治療と並行して行われることを目的としている。
    また、患者の希望を踏まえ入院中だけでなく、住み慣れた家庭や地域で
    療養生活を送ることができるような在宅医療の充実を図ることも目的である。
    全国のがん診療連携拠点病院に設置され、患者本人と家族の同意を得た後、
    主治医や担当看護師と相談しながら、緩和ケアチームで治療が行われる。
    緩和ケアチームによる支援を希望する場合、主治医、担当の看護師に相談する。
    活動内容
     ●痛みや不快な症状の治療
     ●治療に伴う苦痛の治療
     ●気分の落ち込みや不安、イライラ、不眠などに対するこころのケア
     ●家族の悩みや負担軽減のためのご相談
     ●療養などに対するご相談
    「がん対策基本法」が2006年6月に制定され、国家対策として、がん患者のQOL(療養生活の質)の
    維持・向上のための環境が整備されつつあり、緩和ケアチームは厚労省が指定する
    がん診療連携拠点病院には必ず設置しなければならない。2008年、要件が厳しくなった。
     @専任(業務の50%以上をチームの活動に当てる)の患者の身体症状に対応する医師
     A専従(業務の80%以上をチームに当てる)の専門知識・技能がある看護師
     B精神的な症状に対応する医師をそれぞれ1人以上配置。
    拠点病院のほかに、独自のチームを持つ病院もある。
    参 : 国立がん研究センター(HP)
緩和ケア病棟(かんわけあびょうとう) = ホスピス病棟
ぎっくり腰(ぎっくりごし) : 急激に起きる腰痛(急性腰痛)の総称で、中でも多いのが腰ついのねんざである。
    腰の周りの筋肉や筋膜の一部が切れ、背骨の両脇あたりに走る痛みのこと。
    主な原因は、重い物を持ち上げたり、体をひねったりした時に起こるもので、
    痛みのため腰を曲げられなくなる。
    ぎっくり腰は、腰の周りの筋肉や筋が異常に伸縮した場合の神経の痛みで、
    ヘルニアは、背骨の間の軟骨が飛び出て背骨の周りの神経を圧迫する痛みの違いがある。
    参 : 座骨神経痛

    ぎっくり腰の予防は、腰の運動をしておけばよいということではなく、
    平素から腹筋を鍛えておくことが大切なことだそうで、
    私はベッドで仰向けになり両足先を15cm前後上げる方法を、毎日1分前後行っているだけで、
    毎年1〜2回激痛に悩まされていたぎっくり腰は起きなくなった。元は両足を上下していたが、
    鍼灸師によると15センチ前後上げて止めておく方が、腹筋には効果が大ということでした。
    ぎっくり腰になったら、針治療をお勧めする。私の最もひどいぎっくり腰のときには、
    7本の筋がからんでいたそうで、針で1本1本ほぐしていく過程で痛みがまったく無くなった。
    針治療は早いほど効果が大きく、痛み止めなどで抑えていたら、
    患部が癒着して慢性神経痛になる危険性があるそうです。

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
    胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease:GERD)の一つで、胃酸や十二指腸液が、
    食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜にびらん・炎症を引きおこす疾患名。
    胃液(1日2リットル分泌)が逆流しないように閉まっているはずの噴門(胃と食道の境目)が、
    何らかの原因で開いたために、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食物が食道に逆流して、
    そこにとどまるために、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が生じる。
    欧米には患者数が非常に多く、日本では比較的少ない疾患だが、高齢化・食事の欧米化・
    診断の進歩などにより、日本でも近年この病気に悩まされる人がふえてきている。
    症状
     ◆胸焼け(heartburn)、みぞおちや上胸部痛などが起こる
     ◆食事中・後、横になったとき、前屈したときに喉や口に胃酸が逆流する
      口の中に酸っぱい物が上がってくる
     ◆胸部違和感、不快感や肋間神経痛のような胸痛がする
     ◆喉の痛みや違和感、又は不快感、声のかすれ
     ◆腹部膨満感
     ◆嘔吐・多くは過度のおくび(げっぷ)を伴う。
     ◆耳痛、耳の違和感がある
     ◆甘いものが食べられなくなった
    要因
     ■ストレス・過飲過食・飲酒・喫煙 : 食べ過ぎたり、脂肪の多い食事をとると胃の働きが悪くなり、
      胃と食道の問にある「噴門」が開きやすくなる。空気がでれば「げっぷ」、胃液がでれば「逆流」になる。
     ■胃液の分泌増加
      胃液の分泌が多くなると、逆流が起こったときに食道粘膜が傷つけられやすくなる。
     ■食道下部括約筋(Lower oesophageal sphincter:LES)の弛緩:喫煙や加齢による機能低下
      本来食道と胃のつなぎ目の部分は括約筋と呼ばれる筋肉などで胃の中のものが
      逆流しないように弁の働きを持っているが、加齢とともにこの働きが弱くなり、
      食道へ逆流してきた胃液を胃に送り込むのが遅れ、食道内にとどまる時間が長くなったり、
      胃炎や胃漬瘍などによって胃の働きが弱まり食物が長時間とどまるようになると起こりやすくなる。
     ■食道裂孔ヘルニア(Hiatus hernia) : つなぎ目の部分の固定が弱くなり、
      本来おなかの中にあるものが胸のほうへとびだしてしまうという食道裂孔ヘルニアや
      胃の手術などで形態が変わることによって起こる。
     ■妊娠・肥満・便秘・運動による腹圧の上昇
      肥満やお腹を締め付けたり、重いものを持つことにより胃が圧迫され、胃液を逆流しやすくなる。
    自己チェック : ネットで、PDF
救急医療(きゅうきゅういりょう) = 救急医療(「き」へ別掲)
救急医療ネット(きゅうきゅういりょうネット) = 救急医療ネット(「き」へ別掲)
救急告示の医療機関(きゅうきゅうこくじのいりょうきかん) : 救急告示医療機関。救急医療機関。
    救急病院等を定める国の省令に基づき、事故その他の理由による傷病者のうち、
    救急隊が緊急に搬送する必要があるものについて収容及び治療を行う医療機関(病院・診療所)の
    ことで、「救急指定」の看板が掲げられている。また、省令の要件を満たした医療機関の
    協力申し出に基づいて各都道府県知事が認定し、告示することとなっている。
    診療報酬や地方交付税が優遇されるが、3年ごとの更新が必要である。
    告示を受けていなくても、2次救急の当番(輪番)病院などとして救急に対応することはできる。
    救急医療機関の条件(厚生省令基準)
    @救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
    Aエックス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備、
     その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
     ●エックス線装置:透視及び直接撮影の用に供し得るもの
     ●輸血及び輸液のための設備(輸血のための血液検査に必要な機械器具を含む)
     ●その他救急医療を行うために必要な施設及び設備:除細動器、酸素吸入装置、人工呼吸器等
    B救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、
     かつ傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
    C救急医療を要する傷病者のための専用病床
     又は当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。
急性期リハビリ(きゅうせいきりはびり) : 発症あるいは受傷からの時期によって
    発症直後に病気の治療と並行して行う急性期、治療が一段落して身体機能の回復を目指す回復期、
    症状が安定してからの維持期の3つに区分されるリハビリのうち、初期段階のリハビリをいう。
    急性期における発症後数日以内から1カ月を目安にに行われるリハビリで、
    主として廃用症候群(簡単に言えば寝たきり状態)の防止を目的としている。
    急性期病床における脳梗塞脳卒中などの脳神経外科疾患における
    片麻痺や失調症など運動障害に対するリハビリが主なものである。
    参 : 回復期リハビリ
急性ストレス障害(きゅうせいストレスしょうがい:ASD) = 急性ストレス障害(別掲)
狂牛病(きょうぎゅうびょう) = 狂牛病(牛関連に別掲)
狂犬病(きょうけんびょう) = 狂犬病(犬関連に別掲)
狭心症(きょうしんしょう) = 狭心症(心臓関連へ別掲)
虚偽診断書等作成罪(きょぎしんだんしょとうさくせいざい) : 虚偽診断書作成罪。
    医師が、市区町村役場などに提出する診断書、検案書や死亡診断書に虚偽の記載をする罪。
    刑法第160条が禁じ、3年以下の禁固または30万円以下の罰金に処せられる。
    医師が主体となる身分犯である。
    
    すり抜けた偽造診断書
     長崎県佐世保市の佐世保同仁会病院で2010年6月、
    当時の理事長だった養母を殺害したとして逮捕された元院長、友広慎吾容疑者(49)が
    「(暴行を加えた後)養母が回復すると大変なことになると思い、怖くなって口を手で塞いだ」と
    弁護士に説明していることが2011年6月8日、分かった。
    友広容疑者は、殺害された友広ハツヱさん(当時87歳)のおいにあたり、
    ハツヱさんに男の子がいなかったことから、2008年に養子となった。
    8日に接見した山元昭則弁護士によると、友広容疑者は昨年6月10日午後、
    理事長室で養母のハツヱさんを殴るなどした後、病室に運び込んで両手で口を塞ぎ、
    居合わせた診療放射線技師の枇杷木(ひわき)紀明容疑者(35)に両足を押さえるよう協力を求めた。
    約30分〜1時間後にハツヱさんの死亡を確認し、死亡診断書を自分で作成し、
    死因の欄に「急性循環不全」と記し、偽装工作も行っていた。
     「医師が自ら加害行為をして、その死亡診断書を自分で書くとは。制度の盲点だった」と
    捜査関係者は話しているが、盲点がないように厳しいチェックを設けるのが法律で、
    医師と届け人が同一の死亡診断書は認めず、別の医師の作成を義務付けるように法を改正すべきだ。

筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)きんいしゅくせいそくさくこうかしょう
    アミトロは略称。運動ニューロン(大脳皮質から脊髄までの運動にたずさわる神経伝導路)が
    変性するため、随意運動だけが進行性に出来なくなっていく疾患で、治療法は見つかっていない。
    Charcotが初めて記載したので、シャルコー病の名前がある。また、米国では有名な野球選手の
    ルー・ゲーリックがこの病気になったために、ルー・ゲーリック病とも呼ばれている。
    国が定める特定疾患(難病)の中の一つで、手足・のど・舌の筋肉がだんだんやせて
    力がなくなっていく病気で、筋ジストロフィーのような筋肉が直接おかされる病気とは違い、
    運動神経細胞が死んでしまうために筋肉がやせて力が弱くなっていくが、視覚や聴覚、
    痛みなどの五感をつかさどる感覚神経や自律神経など、他の系統の神経は侵されない。
    筋萎縮(amyotrophy)という言葉は、骨格筋を支配している脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)に
    原因があって筋肉が萎縮してくるもの(神経原性筋萎縮)を言い、骨格筋自体の病気で筋肉が
    萎縮するもの(筋原性筋萎縮)は含まない。また、側索硬化症(lateral sclerosis)とは、
    脊髄の側索(錐体路:上位運動ニューロンの神経繊維)が変性し、
    グリア細胞の増殖のため硬化していることを示す。このように、筋萎縮性側索硬化症は
    下位運動ニューロンと上位運動ニューロンの両方を侵し、結果として筋肉の動きを低下させる。
    更生労働省によれば、2003年3月の患者数は6646人。
    病状が進むと自力で呼吸できなくなり、現在約2割が人工呼吸器に頼るとされる。
    機器や介護技術の進歩で気管切開後の余命は延び、20年以上に達する例もある。
(くすり) = (別掲)
薬の品質試験(くすりのひんしつしけん) = 薬の品質試験(別掲)
薬の副作用(くすりのふくさよう) : 薬を飲んだとき、本来の目的以外の作用があらわれることをいい、
    @予想しないような作用が現れる場合とA薬が予想したよりも強く作用してしまう場合がある。
    例えば、カゼ薬をのんだら眠くなった場合、「眠ること」を期待してのんだわけではないので、
    「眠気」は副作用とされる。しかし、不眠症のために睡眠薬をのんで眠くなった場合は、
    「眠気」は副作用ではなく、主作用、つまり「効きめ」ということになる。
    副作用の要因
     ●薬そのものによるもの : もともと色々な作用(良いものばかりとは限らない)を持つ薬が多い。
     ●薬剤の使い方によるもの : 治療の役に立つ作用であっても、強く出すぎれば害になる。
                        (薬の量が多すぎたり、使用法を誤った場合など)
     ●遺伝的要因によるもの : 過敏症やアレルギー反応は、
                       どんな薬でも(添加物も含む)起こる可能性がある。
     ●体質によるもの : 使用する人の体質により、薬の作用が強くなったり弱くなったりすることがある。
     ●その時の病状によるもの
     ●2種類以上の薬剤の飲み合わせの相互作用によるもの : 飲み合わせによって、
                                        薬の作用が変化することがある。 などがある。    
降圧薬の主な副作用
(わが国で使われている降圧薬のうち副作用が全くないものは一つもない)
分 類 降 圧 薬 副 作 用
利尿薬 ループ利尿薬 尿酸上昇、血糖上昇カリウム低下、
光線過敏症
サイアザイド利尿薬
カリウム保持性利尿薬 女性化乳房、月経異常
神経
抑制薬
ローウォルフィア薬 鼻づまり、うつ病様症状、胃潰瘍、
立ちくらみ、徐脈、性機能障害
中枢作用薬 眠気、口渇
α−遮断薬 立ちくらみ
β−遮断薬 徐脈、喘息、心不全
血管
拡張薬
血管平滑筋弛緩薬 発疹、関節痛、頭痛、頻脈
カルシウム拮抗薬 顔面紅潮、頭痛、めまい
変換酵素阻害薬 発疹、発熱、味覚障害

薬に影響する食べ物・飲み物(例)
食べ物・
飲み物
影響が考えられる薬
(代表的なもの)
影響
納豆 抗血栓剤
(ワルファリンカリウム)
納豆についている納豆菌は、腸内で
ビタミンKを産生する。このビタミンKが、
薬の作用を弱めることがある。
牛乳 抗生物質(セファレキシン、
テトラサイクリンなど)、
抗真菌剤(グリセオフルビン)
薬の吸収が良くなったり、
悪くなったりすることがある。
コーヒー・
紅茶など、
タンニンを
含む飲み物
鉄剤 お茶と鉄を同時に飲むと、
鉄の吸収が悪くなる。でも、
鉄剤の種類によっては影響を
受けにくいものもある。
グレープ
フルーツ
ジュース
カルシウム拮抗剤
(ニフェジピンなど)、
抗アレルギー剤
(テルフェナジン)、
免疫抑制剤(シクロスポリン)、
睡眠剤(トリアゾラム)
そのしくみはまだ十分に
わかっていないが、
ま全く影響がないとは言い切れない。

(イワシ、
 カジキ、
 マグロなど)
抗菌剤(イソニアジド) このような魚は、ヒスタミンという
アレルギー症状の原因物質を多く
含んでいる。イソニアジドは、
ヒスタミンの代謝を妨げるため、
ヒスタミンが体に蓄積して
アレルギーのような中毒症状
(頭痛、悪寒、顔が赤くなるなど)が
起こることがある。
お酒
(薬の中に
アルコールが
含まれている
こともある)
多くの薬に影響する。 薬の代謝に影響し、作用を増強したり
弱めたりする。思わぬ副作用(例えば、
急性アルコール中毒など)を招くことも
あるため、注意が必要。
    高齢者は避けた方がいい薬 : 若者に比べて薬の副作用にさらされやすい高齢者向けに、
     避けたほうがよい医薬品リストを国立保健医療科学院の今井博久疫学部長らの研究グループが
    つくった(下表参照)。患者の年代に着目して「不適切な薬」がリスト化されるのは国内初という。
     掲載されるのは、睡眠薬や解熱薬、降圧薬、抗血栓薬など約70種類で、医師の処方が必要な薬。
    65歳以上の患者には一般的に、このリストにある薬は避けた方がいいと、
    高齢者の診療にあたる医師らに対して推奨している。年を重ねると肝臓や腎臓の働きが悪くなり、
    副作用の影響を受けやすくなるためだ。患者や家族らにも気をつけてもらいたいと、一般に広く公表する。
     リスト選定の基準は、(1)服薬によってふらついて転倒する、幻覚が出る、尿の出が悪くなるなどの
    リスクがあり、薬効による利益を上回る恐れがある(2)代替できる薬がほかにある、の二つ。
    今井部長は、欧米で広く用いられている米国の医師マーク・ビアーズ博士作成のリストを基に、
    国内外の副作用事例に関する論文を加味し、原案を作成。
    北原光夫・慶応大学病院経営業務担当執行役員ら内科学や臨床老年医学、
    老年精神神経学、薬剤疫学などの専門家の意見を聴いてまとめた。
     70種類のリストのほかに、糖尿病や肥満、胃潰瘍(かいよう)など約25の病気別に、
    この持病を持つ高齢者が特に避けた方がよい薬もリスト化した。
     今井部長は「不適切な薬の使い方で、体力の落ちた高齢者を寝たきりにしてしまう場合もある。
    リストに挙げた薬の使用は避けて欲しいが、どうしても必要な際は副作用の出方を注意深く観察し、
    慎重に使うべきだ」と指摘する。    
高齢者は避けた方がいい薬(抜粋) 2008.4.1朝日新聞より表に変換
分類(症状別) リスクが考えられる一般薬
(カッコ内は代表的商品名)
主なリスク
催眠・鎮静薬、抗不安薬 トリアゾラム(ハルシオン)
フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)
エチゾラム(デパス)
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
ふらつきによる転倒・骨折
解熱・鎮痛・抗炎症薬 ペンタゾシン(ソセゴン、ペンタジン) 幻覚などの中枢神経系副作用
抗うつ薬 塩酸ミルナシプラン(トレドミン) 特に男性患者で排尿障害
抗不整脈薬 ジソピラミド(リスモダン、ノルペース) 心不全、排尿障害
降圧薬 レセルピン(アポプロン) うつ病
メメチルドパ(アルドメット) 脈拍数の減少、うつ病
消化性潰蕩治療薬 シメチジン(タガメット) 錯乱
抗血栓薬 塩酸チクロピジン(パナルジン) 肝障害
アレルギー治療薬 塩酸ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミン)
d−マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン)
排尿障害
    参 : 国立保健医療科学院(HP)

    薬の数を減らしたい : 「私はここ数年間、内科クリニックで、糖尿病、高血圧、不整脈の治療、
     泌尿器科クリニックで頻尿の治療を続けてきました。最近、狭心症が出て、精神的不安も加わったので、
     心療内科にも通っています。このため、3つのクリニックの薬は抗うつ剤を含めて毎日17種類に
     なりました。他に発作時だけの薬がニトログリセリンなど4種類あります。
     この治療では薬づけの害が出るような気がするし、医療費も重荷です。
     自分としては泌尿器科、心療内科を休み、内科も薬をあまり出さないクリニックに変更したいと
     考えていますが、アドバイスを」という内容の回答は以下の通り。
      いやあ、驚きました。毎日、17種類もの薬をどうやって飲んでいらっしゃるのでしょうか。
     そのご努力には敬服します。
      米国では1つの薬で平均4%、4つの薬を同時に服用すると半数以上の人に明らかな副作用が出る、
     といわれ、医師はできるだけ3剤までにとどめる努力をしているそうです。
     早くからこの問題を指摘している大阪府高槻市の北摂総合病院理事、中野次郎医師(内科)は
     「薬でかえって悪くなっているのでは。日本の医師は無責任です」と憤慨されていました。
      中野さんが40年余、医師として働いた米国では初診時に、
     患者さんが飲んでいる全ての薬を聞き出します。滞米中の日本の患者さんが
     10以上もの薬を申告すると、米国の医師は腰を抜かすといいます。
      「日本の医師は一般に、臨床薬理の知識に乏しく、他の医師の出す薬に無関心ですし、
     相互作用にも無頓着です」と中野さん。同じ目的の薬を何種類も出すうえ、
     細かな症状を抑える薬、薬の副作用を抑える薬、胃薬…などと際限なく増やします。
     患者さんも、他の医師から処方された薬のことを黙っています。
     日本の薬は商品名で言うことが主なので、複数の医師から処方された薬を別のものだと思って
     飲んでいたら、実は同じ成分の薬で量が多くなりすぎていた…、
     ということも起こりえます(同じ成分の薬でも、製薬会社によって、商品名は異なるからです)。
      調剤薬局で薬をもらうとそれぞれの薬局でお薬手帳(くすり手帳、くすりの手帳)をくれるので、
     すでに何冊か溜まっている。別の薬局でもらっているから要らないといっても出すのだ。
     一冊に各医療機関の薬をまとめて記入しておくのが薬の相互副作用を防止できるのに、
     厚労省は何らかの策を講じるべきだ。また、毎回同じ薬をもらうのに、
     薬局では薬の働きや飲み方を明記したA4カラー版の薬説明書をくれる。
     いくら要らないと言っても毎回同じものを印刷する。
     用紙や印刷代も何かに加算されていると思うし、紙減らしを考えるべきだ。

クラッシュ症候群(reverse double crush syndrome) : 重量物の下敷きになり、四肢が損傷した状態。
    手足や腹部などの筋肉が長時間圧迫されることによって、筋肉細胞が傷害や壊死を起こし
    循環障害などにより筋肉内の多量のカリウムが流失して高カリウム血症になったり、
    筋肉を構成しているミオグロビンというタンパク質が大量に遊離して腎臓の尿細管を詰まらせ
    急性の腎不全を生じた状態を指す。阪神大震災でも多発した致命率の高い疾患で、
    早期補液管理・透析が有効となる。災害の種類(爆発、火災、ケミカル、バイオ)によって
    気をつけなくてはならない合併症の種類が決まる。
    クラッシュ症候群の主な初期症状
     ●運動、知覚麻痺が局所に起こる●圧迫されていた筋肉部分が腫脹し広範囲に点状出血を生じる
     ●尿が茶褐色に変色し尿量が減少する●軽度の筋肉痛や手足のしびれ、脱力感など。
    参 : トリアージCSM
クローン病 = クローン病(別掲)
痙縮(けいしゅく)MS : 脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺などが原因で、勝手に体が突っ張ったり固まったりする
    疾患で、意思に関係なく、筋肉が過度に筋緊するため、手足の指が曲がったまま伸びなくて痛い、
    肘や膝が屈曲したまま伸びない、膝、足がつっぱってしまい歩きづらい、つま先が引っかかる、
    はさみ足になってしまう、手足がこわばって痛い、時にf視神経が侵されるなどの症状を呈す。
    効果的な治療を受けることで症状は軽減され、患者の運動機能は改善される。
     痙縮のある人は座ったり横になったりするとき正しい姿勢をとり、手足が不自然な状態にならないように
    することが大切である。毎日まっすぐ横になり、痙縮している筋肉を伸ばすように心がけましょう。
    横向きに寝たり立ったりすることで、痙縮している筋肉を伸ばすことができる。
    座っているときの姿勢はバランスがとれ、安定するようにし、
    患者は定期的に身体を動かし、床ずれや拘縮を予防するようにする。
    治療
    ●理学療法 : 有酸素運動・水中運動などの理学療法は、筋力や関節の可動域が改善される。
     理学療法の計画は個々のMS患者の健康状態や能力にあわせて、変更したり調節する必要がある。
    ●薬物治療 : 多くの鎮痙薬が利用でき、例えばバクロフェンはMSで広く使用されている。
     他にも有効な薬剤がある。つっぱった痙縮状態のほうがかえって歩行や移動がしやすい人もあり、
     薬剤の投与は慎重に行われる。
    ●神経ブロック療法 : 筋肉を必要以上に緊張させている神経に、局所麻酔薬、フェノールや
     アルコールなどを注射する。痙縮の程度や関節の動き、麻痺の状態、歩行の様子などを総合的に
     評価した上で、注射の必要な神経を決める。細い電気刺激用の針で神経を確認しながら、
     フェノールという神経破壊剤を注射し、過剰な筋緊張を低下させると、それらの症状は緩和される。
     一般的には3〜6カ月たって状態がもとに戻ったらまた繰り返して投与することになるが、
     そのまま良くなることもある。
    ●ITB療法(バクロフェン髄注療法) : 髄空(ずいくう)内バクロフェン療法ともいい、
     腹部にポンプ(大判焼きほどの大きさで、重さ約200グラム)を埋め込み、
     バクロフェンという薬を脊髄の周囲の髄腔という場所にわずかずつ直接注入する方法で、
     症状が著しく改善する人も出ている。2006年春から公的医療保険が適用されている。
     錠剤だと脳や脊髄に届きにくいので、その分、量を多くする必要があり、眠気などの副作用もあった。
     だが、直接注入なら1千分の1ほどの量ですみ、継続的に送り込むため、効果が切れることもない。
     しかし、薬剤は2〜3カ月ごとに補充しなければならない。これは注射器で簡単にできるが、
     ポンプの寿命が5〜7年で、ポンプごと手術で交換しなければならない。
     また、施設の整備や専門医の育成など、課題も浮き彫りになっている。
     参 : 総合せき損センター
    ●手術療法 : 手術により、筋肉の緊張を緩和が行われる。
    ●ボツリヌス療法 : 海外では、痙性斜頸の治療に使われているが痙縮に対しても用いられている。
     この療法は、ボツリヌス菌の毒素を異常に緊張した筋肉に注射することで緊張を緩ませ、肢位の改善、
     ADLの改善、QOLの向上等が期待できると言われており、日本でも臨床試験が始まっている。
形成外科(Plastic Surgery) けいせいげか : 「皮膚外科」、「体表面外科」、「再建外科」ともいわれ、
    生まれつき、またはケガやがんが原因で変形したり失われた体表面の形態や機能をできるだけ正常に、
    もしくは、もとの状態に近づけることを目的とし、欠損部の補綴(ほてい)、醜形の美化を、
    皮膚移植をはじめとする手術的方法によって行う医学の一分野で、
    広義には、美容外科も含む。口唇裂、外傷または熱傷による瘢痕(はんこん)
    外傷による顔面の変形などの整形や治療、やけどの跡の皮膚移植などを行う。
    以前は外科・耳鼻科・眼科・皮膚科別々でおこなわれることが多かった。
    1975年より、形成外科の標榜(ひょうぼう)がみとめられた。
    診療内容
     @頭蓋顎顔面外科領域 :  顔面軟部損傷(皮膚が切れたり擦りむげたりしたもの)・
                     顔面骨折(鼻の骨が折れたり、頬の骨や顎の骨が折れたもの・先天性奇形)
     Aマイクロサージェリー : 切断指・再建外科
     B皮膚腫瘍 : 良性皮膚腫瘍(母斑=茶あざ 青あざ黒あざなど 、血管腫=赤あざ、その他の腫瘤)、
               悪性皮膚腫瘍(皮膚癌など)
     C皮膚潰瘍 : 放射線障害、褥瘡、うっ滞性潰瘍などで、皮膚がなくなった状態、
               褥瘡・難治性潰瘍の治療
     D後天性欠損 : 悪性腫瘍切除後の再建(乳癌の手術後の乳房再建など)、
                 皮弁・遊離皮弁植皮による再建
     E熱傷 : 急性期・全身性熱傷(やけどのこと)
     F瘢痕・瘢痕拘縮 : ケロイド(やけどやけがの後にできたきずあと、
                   ひきつり、きずが赤く盛り上がったもの)
     G変形 : 口唇裂(口びるが割れているもの)・口蓋裂(口の中が割れているもの)
            耳介変形、小耳症(耳が小さいものないもの)、
     Hその他の変形 : 顔面神経麻痺、顔面片側萎縮、リンパ浮腫など
     I手の外科 : 多合趾症等の先天異常(指がくっついていたり数の多いもの)
     J美容外科 : 外鼻(隆鼻術など)、眼瞼(二重の手術など)、皺(除皺術など)、
               肥満(脂肪吸引術など)、禿髪の治療(医療脱毛、ピアス)
    参 : 整形外科(社)日本形成外科学会
軽度認知機能障害(Mild cognitive impairment:MCI)けいどにんちきのうしょうがい
    単に「軽度認知障害」とも呼ばれ、認知症(痴呆)でもなく健常ともいえない群(知的グレイゾーン)を
    表現するものとして、1991(平成3)年にReisbergらによって提唱された。
    MCIは表面的には軽症であっても、疾患そのものは進行性で、
    将来認知症へと重症化する可能性のある前駆段階と考えられている。
    MCIと診断された患者を追跡すると1年でその12%、
    4年ではおよそ半分がアルツハイマー病に進行したとされる。
    MCIの主な症状
     @物忘れが目立ってきた
     A「あれ」「それ」が増える
     B同時に2つの事ができない
    MCIの診断基準
     @本人の訴えだけでなく、家族による情報を重要視。
     A日常生活動作では単純なものは保持されるが、複雑なものが障害される。
     B全般的認知機能尺度は年齢/教育年齢をマッチさせた場合認知症の範囲に低下しない。
     C記憶や他の認知機能は年齢/教育年齢をマッチさせた正常値のカットオフ値より低下。
     D認知機能障害の日常生活への影響は認知症の診断基準を満たさない。
     E除外診断:抑うつ状態、意識障害、薬物中毒。 など。
経鼻内視鏡検査(けいびないしきょうけんさ) : 鼻から胃カメラ検査。
    鼻の粘膜に麻酔を塗布した後、鼻の穴(鼻孔)から胃カメラ(細径スコープ)をゆっくりと挿入して行う
    胃の検査のこと。現在使われている標準的な経口内視鏡の太さは直径9.4ミリだが、
    経鼻内視鏡の太さは5.9ミリで、鉛筆よりもやや細いサイズである。
    経口内視鏡では、内視鏡が舌の根元を押し下げながら通過していくが、このとき「咽頭反射」が起こる。
    舌の奥を指で触ると「オェッ」という嘔吐感を感じるのはこの「咽頭反射」のためで、
    これが経口内視鏡検査の苦しさの最大の原因になっている。それに対して、経鼻内視鏡の場合は、
    内視鏡が舌根に触れないために、こうした嘔吐感を感じることがほとんどない。
    そのほか経鼻内視鏡には、内視鏡が細いので食道や胃の入り口を通過する際の圧迫感や痛みが少ない
    といった利点もある。さらに重要なのは受診者が話をすることができるということで、
    何か不都合があったときに医師にすぐ訴えられるという安心感もある。 参 : 内視鏡検査
血圧(blood pressure)けつあつ : 心臓の壁が収縮と弛緩をくり返すポンプ作用によって
    血液が全身の血管に押し出されるとき、血管内を流れる血液が血管壁に及ぼす圧力をいう。
    血圧は、動脈血圧、毛細血管血圧、静脈血圧等に分類されるが、
    単に血圧という場合は、通常、動脈血圧のことを指し、その大きさは水銀柱の高さとして表される。
    心臓には弁があって血液は心臓→動脈→毛細血管→静脈→心臓と一方向に流れる。
    動脈の血圧は収縮期(心臓が収縮するとき)に最も大きくなり、このときの血圧を
    「最大血圧(最高血圧)」と呼ぶ。また、拡張期(心臓が弛緩するとき)に動脈の血圧は最小となり、
    このときの血圧は「最小血圧(最低血圧)」と呼ばれ、両者の差を脈圧という。
    心臓に近い動脈の圧ほど高く、毛細血管・静脈の順に低くなる。
    通常、上腕部の動脈で測定した値を用いる。
     日本高血圧学会の基準では、正常血圧は収縮期130mmHg未満かつ拡張期85mmHg未満、
    高血圧は収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg以上である。
    高血圧症の大半は、塩分過剰摂取が発症要因の一つとされている本態勢高血圧症である。
    血圧が高ければ血管壁に障害を与え、動脈硬化が起こって脳軟化症や狭心症の原因となり、
    また血管が破れて脳出血の原因になったりする。また、低ければ低血圧症の疑いもある。
    最小血圧が正常でも、最大血圧が100mmHg以下になったら低血圧症。
    低血圧症の症状としては、朝なかなか起きられないとか、脳貧血を起こしたりする。
     複数の専門家は、手首に帯を巻く血圧計は、不正確になる場合が多いので、
    上腕にカフを巻き付けるタイプの血圧計を勧める。    
降圧目標 診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 130/85未満 125/85未満
高齢者 140/90未満 135/85未満
糖尿病患者・腎臓病患者
心筋梗塞後患者
130/80未満 125/75未満
脳血管障害患者 140/90未満 135/85未満
診察室血圧とは、慣れていない診察室などで測定すると、
それだけでストレスになり、どれも高めの値が出やすいことを
言い、これを「白衣高血圧」とも呼ぶ。数値を超えれば高血圧
(朝日新聞2008.12.7、家庭で測る血圧より) 
血液型(a blood type)けつえきがた : 赤血球表面の抗原(凝集原)の違いによる血液分類。
    代表的な分類であるABO式のほかに、MNSs式・P式・Rh式などがある。
    血液型というのは、55%の液体部分と45%の細胞部分によって構成されている。
    A・B・O・AB型の4通りに分けられる血液型とは細胞部分に含まれる赤血球の抗原部分の
    違いを表したものである。血液型の分類は、1901(明治34)年、オーストリアの
    ウィーン大学病理学教室に在籍していたカール・ラントシュタイナーという人によって始まった。
    ラントシュタイナーはヒトの血液型を発見するという画期的な研究と業績により、
    1930(昭和5)年にノーベル賞(生理・医学)を受賞している。
     日本では、個人の性質を血液型によって決める血液型性格判断が広まっているが、
    世界的には珍しい。血液型と人間の性格に関連があるという科学的な証明はない。
    血液型と性格
    A型 : 世界の人口の43%がこの血液型で、順応性があり、もの静かで、
     自分の個性をおさえて、まわりの人たちと気持ちを合わせようとする。
     すこしくらい変化があっても、心を動かされない。頭で分かるよりも“心で感じる”心情派。
     涙やけなげさやひたむきな献身を大事にし、情けにもろいが用心深い。
     金銭的にもハデな心づかいをせず、貯金するタイプで、どちらかというとケチ。まじめで忍耐強い。
     自分が相手のためになっていないと考えがちで、それが苦しい。
    B型 : ふつうの人が持っていない個性をのばし、行動的でエネルギッシュであり、
     とても派手好きでにぎやかなことが好き。読みが早く鋭い感覚派で、
     情熱家でもあるが、熱しやすくさめやすい。変わり身の鮮やかな、快活な社交性が光る。
     自分が正しいと思えば、反対されても実行していくモウレツ型で、直感と印象でどんどん押し切っていく。
     でもこだわりのなさが、誤解のもとになったとき、プイと横を向いたりする。
     会社では社長型、政治家なら大臣になるような力をのばしていく。
     海外旅行や冒険をして自分を外に出す。
    O型 : A型についで多い血液型。変化を好みユーモアがある。人情家で世話好き。
     ロマンチストでさびしがり屋。頑張り抜く意志と行動力があり、理性的で天才的な素質をもつ。
     正しいと思ったことへ一直線。憧れを実現するために努力を続け、目的達成のためには
     主義主張を変えることも惜しまない。その一本気が挫折すると立ち直りには骨が折れる。
     ビジネスマン、外交官として出世するタイプである。
    AB型 : もっともめずらしい型で、たいへんデリケートで神経質で大胆、やさしそうで冷たい、
     という2つの性格がミックスしている。矛盾を秘めた冷静な天才肌。なかなかつかみにくい性格で、
     感覚的なのにしっかり考える両面性があり、異性交際でいちばん骨がおれる。
     本心がどこにあるのか分からないと言われるほど、
     機敏に気配りをし、あまりにも色々なところに気を使いがちである。
     それだけに先取りする力はあるのだが、風変りな存在にもなりがちである。
     私はAB型で、冷静で無頓着、短気で涙もろいなど、確かに2面性がある。
     冗談を言ったりして場を明るくしようとするが、冗談ととられずに立腹されると、
     こんなことで目くじらをたてることはないと反論しながらも、後で後悔することが多い。
     他人に裏切られると根に持つが、よくされると、より以上の恩返しを心がける。
     妻はB型だが、お互い指図されることが嫌いで、そのことでよく口喧嘩をする。
     夫婦だけの会話なのに、「馬鹿にして!」と立腹するのは血液型のせいだろうか。
     我ながらAB型の性格は嫌いだ。おおらかで、おっとり型のO型に生まれたかったね。
     
血液型と相性などの関連
血液型 イメージ(特徴) の使い方 基本的な力関係
几帳面、、神経質、真面目、繊細、従順、慎重、
平和、情緒的、感情的、ちょっと臆病、直観が鋭い、
好奇心が強い、粘り強い、責任感が強い、
自負心が強い、悲観的、サービス精神旺盛
記憶を司る
側頭葉や海馬が
働きやすい
O型・AB型には
強い
マイペース、自己中心的、楽天的独創的、好奇心、
感覚が鋭い、前向き、機敏で活発、ハイテンポ、
気さく、執着しない、移り気、自己肯定、出しゃばり、
我が道を行く、心の奥の疎外感、
発想・行動を司る
前頭葉が
働きやすい
A型には強いが、
O型・AB型には
弱い
おおらか、大雑把、現実的な行動力、大まか、
決断力、スキンシップ、エネルギッシュ、客観的、
包容力がある、ロマンチスト、強情、利己主義
感覚を司る
後頭葉・頭頂葉が
働きやすい
A型・AB型には
弱い
AB 個性的、二面性、合理的、冷静、多彩性、
協調性、優越感、知的、用心深い、活発、
短気、激情家、シャープ、無頓着
A型脳とB型脳を
使い分ける
O型・B型には
強いが、
A型には弱い
    参 : 血液型、性格・相性判断、アタリマッセ(HP)、血液型の確率(HP)、血液型相性占い(HP)
血球比重(けつえきひじゅう) : 水の重さを1とした場合の、血液の重さで、血液の濃さをあらわす数値である。
    血液には、酸素を運ぶヘモグロビンからなる赤血球や、白血球、血小板などが含まれており、
    水よりも重い。赤血球数が減ると、比重も軽くなることから、貧血を判断するための目安にされる。
    献血できる血液の比重 : 男女とも、200ミリリットル献血、成分献血が1.052以上。
                       400ミリリットル献血が1.053以上。
    日本人の血液比重の標準範囲 : 男性では1.052〜1.060、
                     女性では1.049〜1.056の範囲で、血液比重には個人差もあるが、
                     女性は男性より生理などの影響もあって赤血球の数が少なく低めである。
                     また、血液比重は体調や日時により若干の変動がある。
    献血を申し込んでも、血液が薄いことを理由に「不合格」になる人が全国的に増えている。
    福岡県内のある女子大では2003年末、希望した学生の約7割が献血できないケースもあった。
    鉄分の摂取不足が原因とみられるが、鉄は赤血球中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料になるため、
    深刻な場合は、記憶力や持久力が低下する鉄欠乏性貧血を招く。
    欠食の増加など食生活の乱れが指摘されており、
    専門家は「国は新たな『国民病』と考え、栄養指導を徹底すべきだ」としている。
結核(けっかく) = 結核(別掲)
研修医(an intern)けんしゅうい
    大学病院または臨床研修指定病院で、医療を実地で研修している医師のこと。
    医師免許を取得後の2年間、病院で実際に診察をしながら、ハードな勉強を続ける若い医師のこと。
    大学では教科書での勉強が中心だが、研修医になってからは、注射や患者の治療など、
    具体的な勉強に変わる。こうした勉強には先輩の医師が付き、間違いのないように面倒を見ている。
    参 : 医師の偏在問題

    昔は「インターン」と呼んでいたが、なぜ横文字ではいけないのだろうか。
腱鞘炎(けんしょうえん) = 腱鞘炎(別掲)
献体(けんたい) → 解剖(別掲)
抗加齢医学(こうかれいいがく) = 抗加齢医学(別掲)
口腔内崩壊錠(こうくうないほうかいじょう) = OD錠(別掲)
高血圧(high blood pressure、hypertension)こうけつあつ : 高血圧症。
    心臓から全身に送り出される血液の血管内で示す圧力(血圧)が一定以上に高い状態。
    心臓が収縮、拡張を繰り返すことにより全身に血液を送り出しているが、
    収縮して全身に血液を送り出したときに血管の壁にかかる最も高い圧力を「収縮期血圧」といい、
    一般に、「最高血圧」とか単に「上の血圧」という。心臓が拡張して最も血圧が低くなった時の血圧が
    「拡張期血圧」で、一般に「最小血圧」とか単に「下の血圧」という。
    このように血圧には収縮期血圧と拡張期血圧がある。
    健康な若い人では120/80mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)くらいで、
    正常血圧と高血圧の間には明らかな境界はないが、
    一般に「収縮期血圧が140mmHg以上」か「拡張期血圧が90mmHg以上」の場合を高血圧としている。
    どちらか一方が上回っていても高血圧になる。また、高血圧は原因により2種類あり、
    腎臓副腎、甲状腺の疾患などが原因となる「二次性攻血圧」と、
    原因不明の「本能性高血圧」があり、後者が全高血圧患者の90%を占めている。
     加齢や動脈硬化などで血管がもろくなっている場合、血圧の高い状態が続くと血管が破れたり
    詰まったりする脳卒中心筋梗塞などの致命的な病気につながる危険性が高くなる。
    予防のためには早期の治療が大切である。
成人と高齢者における血圧の分類
分類 収縮期血圧 拡張期血圧 今後の受診や検査
至適血圧 120未満 かつ 80未満
正常血圧 130未満 かつ 85未満 少なくとも2年以内に再検査を受ける
正常高値血圧 130〜139 または 85〜89 少なくとも1年以内に再検査を受ける
高血圧 ステージ1 140〜159 または 90〜99 少なくとも2ヶ月以内に再検査を受ける
ステージ2 160〜179 または 100〜109 1カ月以内に再検査を受けるか
専門医に相談
ステージ3 180以上 または 110以上 できるだけ早く専門医に相談

血圧に基づいたリスク層別化の概要
  血圧分類 
正常高値血圧 T度高血圧 U度高血圧 V度高血圧
  130〜139 140〜159 160〜179 180〜
85〜89 90〜99 100〜109 110〜
リスク層
(血圧以外の
 リスク要因)
リスク第1層
(危険因子がない)
リスクなし 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第2層
(腹部肥満など)
中等リスク  中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第3層
(糖尿病など)
高リスク 高リスク 高リスク 高リスク
2009.3.8、朝日新聞より
    高血圧の原因
     「本能性高血圧」の原因は、なりやすい遺伝体質と、食事や運動などの生活習慣が関係していて、
     この二つがそろうと、高血圧になる。高血圧をきたす生活習慣には、次のようなものがある。
      ●塩分の摂り過ぎ●肥満●運動不足●アルコールの多量摂取●精神的・肉体的ストレス●喫煙
    高血圧の早期発見方法
     低血圧では「朝起きられない、疲れやすい」などの自覚症状があるが、
     高血圧の場合はむしろ元気で活発に人が多く、自覚症状はほとんどない。そのため高血圧は
     「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれている。高血圧を放っておくと、
     ・心臓・腎臓などに重い合併症を引き起こし、本人の知らないうちに血管を蝕んで、ある日突然、
     死の淵に迫ることになる。早期発見のためには、定期的に血圧測定することが大切で、
     正しい測定方法で自己チェックを行うことと、定期検診以外に方法がない。
    高血圧の改善・治療方法
     降圧薬による「薬物療法」と生活習慣を改善する「非薬物療法」がある。
     基本となるのは非薬物療法で、次のようなものがある。
     ★食事療法 : まず、塩分を1日7gまでに控え、ビタミンミネラルなどをバランスよく摂取することが
      大切で、アルコールは適量(酒1合以内)に抑え、脂肪やカロリーの摂り過ぎにも注意する。
      血圧を下げる食物には、カリウムカルシウムマグネシウム食物繊維たんぱく質などがある。
     ★運動療法 : 血圧を下げるホルモンを分泌させ、また適正な体重維持のために重要で、
      早歩きやプールでの水中歩行などの軽い運動でも効果がある。運動する時間がない場合でも、
      ウォーキングなどの全身運動を毎日30分以上、無理のないペースで行う。
     ★薬物療法 : 高血圧の薬は血圧を下げるとともに、心臓、脳、腎臓などの合併症を防ぐことを
      目的に投与される。薬の服用を始めても、食事や運動に気を付けると薬の効果が高まる。
     ★その他の療法 : 睡眠不足やストレスは高血圧の原因になるので、
      十分な睡眠とストレス解消を心がける。禁煙も含めて、日々の生活習慣を見直していく。
    仮面高血圧(かめんこうけつあつ) : 病院の外来で測る血圧は正常なのに、
     早朝や夜間に家庭で測る血圧が意外に高いことを言う。診察室では正常なので 、
     「正常血圧という仮面をつけた高血圧」という意味で、仮面高血圧と呼ばれている。
     仮面高血圧は、高血圧の治療を受けている人にもみられる。
     診察室での血圧が正常なことから見逃されがちだが、実際は一日のうち血圧の高い状態が長く、
     心臓や血管に大きな負担がかかり、放置しておくと脳卒中心筋梗塞を起こしやすくなる。
      早朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」も仮面高血圧の一種で、
     脳卒中や心筋梗塞になる危険がさらに高まるといわれている。
     最近、「複合生活習慣病」と言って、たとえ一つ一つの症状は軽くても高血圧や肥満、糖尿病
     高脂血症、喫煙、高尿酸血、脂肪肝などが重複していくと健康な人より危険度が高くなるので、
     特に高血圧や肥満は治しておく必要がある。
      仮面高血圧に対して「白衣高血圧」というものがある。これは、家庭における血圧測定では
     正常なのに看護師やドクターの前で測定すると緊張して血圧が高くなるもので通常は心配はない。
      仮面高血圧の一つに、昼間に職場のストレスや怒りが原因で上昇する「職場高血圧」もあり、
     東京都老人医療センターが会社や役所で実施した調査では、
     健診で血圧が正常と判定された人の2〜3割が、
     仕事中には「140/90」の基準値を超えていた、という結果が出ている。
     参 : 生活習慣病喫煙率低血圧症
膠原病(a collagen disease)こうげんびょう : 内臓を含む人体の全身の膠原組織(コラーゲン)に
    広範な炎症と変性を来す自己免疫疾患の総称をいう。原因は不明であるが、何らかの免疫現象が
    関与していると考えられる。1942(昭和17)年、米国病理学者Klempererによって膠原病という
    疾患概念がはじめて提唱され、顕微鏡で調べた時「皮膚の膠原繊維が増生する病気」という
    特徴から命名された。現在は、自己免疫の機序で起こる、全身疾患を膠原病または
    膠原病類縁疾患といい、「全身性エリテマトーデス」(systemic lupus erythematosus)の
    頭文字をとって「SLE」、慢性関節リウマチ(RA)、若年性関節リウマチ、回帰性リウマチ、リウマチ熱、
    シェーグレン症候群、強皮症または全身性進行性硬化症、皮膚筋炎・多発性筋炎、ベーチェット病、
    結節性多発動脈炎または結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病(MCTD)、ウェゲナー肉芽腫症、
    アレルギー性肉芽腫性血管炎、側頭動脈炎・リウマチ性多発筋痛症、アミロイドーシス、高安病または
    大動脈炎症候群など多くの疾患が膠原病に含まれ、臨床的な一つの病気を指すものではない。
    共通する症状
     @全身症状 : 原因不明の発熱・体重減少・疲労感・無気力・リンパ節腫大・・など
     A関節・筋症状 : 関節炎・関節腫脹・こわばり・筋肉痛・筋力低下・・など
     B皮膚・粘膜症状 : 紅斑・レイノー現象・結節・紫斑・浮腫・皮膚硬化・色素沈着・脱失・
                   青色皮斑・出血性梗塞・潰瘍・脱毛・粘膜びらん・・など
     Cその他の症状 : 目の異物感・羞明・口内乾燥・鼻汁・鼻出血・視力障害・・など
     D検査異常 : 白血球減少・高ガンマ-グロブリン血症・リウマトイド因子・
                ワッセルマン反応偽陽性・抗核抗体・・など
高脂血症(Hyperlipemia)こうしけっしょう : 高脂質血症。
    血液中の脂質であるコレステロール中性脂肪(トリグリセライド)の一方もしくは
    両方が正常範囲を超えて増加する病的状態をいう。
    朝の空腹時の採血で、コレステロール値が220mg/dl以上、
    または中性脂肪が150mg/dl以上の時、高脂血症と診断される。
    どの成分が高いかによってI型からV型に分類され、治療法も違う。
    また、高脂血症には続発性と原発性があり、種々の疾患や条件下でみられる高脂血症を
    「続発性高脂血症」といい、高脂血症の約40%と大多数を占める。
    このような基礎疾患がなく発症するものを「原発性高脂血症」といい、
    その中で家族歴が明らかなものを「家族性高脂血症」と呼んでいる。
    原発性高脂血症には遺伝子異常の明らかなものがある。
    なお、コレステロールの値が高いものを「高コレステロール血症」、
    中性脂肪が高いものを「高トリグリセリド血症」と言う。
     生活習慣病のうち、高脂血症は動物性脂肪の過剰摂取や運動不足などによって、
    血液中の脂質の量が高くなる病気で、肥満や高血圧症などと同じように、高脂血症もそれ自体では
    日常生活の障害となることは少ないが、生命や生活機能に重大な影響を及ぼす脳卒中
    心筋梗塞などの病気の基盤になるために予防や治療が必要である。
     血液中のコレステロール、中性脂肪などの脂質は、
    生体の機能を支えるためにいろいろな役割を果たしているが、
    その量が増えすぎたり、組成が異常になったりすると病気にかかりやすくなる。
    高脂血症の要因
     ●遺伝的な要素からの体質で、家族性コレステロール血症のように、幼児の頃から発生する
      遺伝性のものだけでなく、一般の高脂血症も体質が大きく関っていると言われている。
     ●脂の多い肉類や乳製品、卵などを過剰に摂取する過食。
     ●運動不足で、あまり動かない生活をしていると、コレステロール値が上昇する。
     ●お酒を飲む人の10%は高脂血症で、その多くはエネルギーの過剰摂取と関係がある。
     ●喫煙は血液中の中性脂肪を増加させ、タバコを吸わない人に比べて
      平均9.1%高い数値になっている。
     ●摂取している薬や現在の患っている病気が原因になることがあり、
      腎臓病糖尿病、甲状腺機能亢進の多くの患者が継発性高脂血症になっている。
     高脂血症になる原因として遺伝的な要素や肥満、過食、運動不足、お酒、タバコなどが、
     あげられるが、食生活の改善や適度な運動に、十分気を配ることで
     コレステロールや中性脂肪を正常範囲に保つことも可能になる。
    症状 : 家族性高脂血症はLDL受容体の欠損や機能異常により生じる。
     高脂血症、黄色腫、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)を3主徴とする。
     幼児期からコレステロール高値を示す。アキレス腱の黄色腫性肥厚は必ずみられる。
     常染色体優性遺伝で、30〜40代で心筋梗塞を起こす例もみられる。
    治療 : 高脂血症の治療は薬物療法と非薬物療法があるが、基本は食事療法と運動である。
     脂肪の少ない食事を心がけるとともに、脂肪をとる場合でも飽和脂肪酸が多い動物性脂肪よりも
     非飽和脂肪酸が多い植物性の脂肪や魚をとることを心がける。
     高脂血症の方は、肥満であるか肥満でなくても脂肪組織が増えていることが多いので、
     減量することが治療の目安になる。また、中性脂肪の多い方は総カロリーを抑制することが、
     とても重要で、こうした食事療法を続けながら、できれば1回40分以上続ける運動を生活に
     取り入れる。運動することにより、悪玉コレステロールや中性脂肪が減少し、
     善玉コレステロールが増えてくるので、高齢者では最も続けやすい歩くことだけでもよい。
     正しい食事と運動は、高脂血症だけでなくその他の生活習慣病の改善にも役立つので、
     高脂血症の治療とだけ思わずに、健康な生活のためのよい習慣だと思って持続しましょう。
    食事療法のポイント
    ●コレステロールの高い人
     動物性脂肪を制限し、コレステロールは1日300mg以下にする。
     コレステロールは卵類(鶏卵、うに、いくら、たらこ等)、干物(丸干し、しらす干し)、
     イカ、エビ類に多く含まれる。蛋白質は動物性より植物性をメインとし、
     食物繊維を多くとり、野菜は1日300gは食べる。
    ●中性脂肪の高い人
     摂取エネルギーは糖尿病に準じて標準体重kg×(20〜30)kcalに制限し、
     特にアルコール摂取は中性脂肪を増やすので控える。
高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい) : 脳卒中(くも膜下出血・脳内出血等)・感染症などの病気や
    交通事故・転落等での細胞が損傷されたために言語・思考・記憶・学習等の面で起こる障害を指す。
    認知(高次脳機能)とは、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と行為の感情(情動)を
    含めた精神(心理)機能を総称する。病気(脳血管障害、脳症、脳炎など)や、
    事故(脳外傷)によって脳が損傷されたために、認知機能に障害が起きた状態を、高次脳機能障害という。
    主な症状 : 少し前のことを忘れるとか、古い記憶は保たれているのに新しいことが覚えられない
     「記憶障害」、注意力や集中力が続かない「注意障害」がある。このほか、
     物事の計画を立てて実行したり、人に指示をしてもらったりしないと何もできない「遂行機能障害」、
     感情や欲求をコントロールできない「社会的行動障害」、よく知っている場所や道で迷う、言葉が出ない、
     ものによくぶつかる等の症状が現れ、周囲の状況に見合った適切な行動がとれなくなり、
     日常生活に支障をきたしてくる。複数の障害が出る人もいる。
     外見上は健康な人と変わらないことが多く「見えない障害」と呼ばれる。
    脳の中の障害のため、外見から障害を見極めるのは非常に困難で、患者本人が自覚していない
    場合も多く周囲からも理解されず福祉政策を受けにくい状況に置かれていたが、
    厚生労働省は2005年7月17日、初めて診断基準を設ける方針を決めたことにより、
    診断で障害者と認定されれば、リハビリなどの介護・福祉サービスを受けられるようになった。
    2006年10月から始まった高次脳機能障支援普及事業では、全国的に支援事業を広げていく。
    厚生労働省によると、高次脳機能障害の人は国内に30万人とも50万人とも推計されるという。推計
    18歳以上65歳未満に限っても約7万人いるとみられている。東京都内で5万人近くいると推計されている。
    高次脳機能障害の診断基準の要旨
     ◎事故による受傷や病気の事実が確認できる
     ◎記憶力や集中力の低下、感情を抑制できないなどの症状があり、日常生活・社会生活に支障がある
     ◎原因と考えられる異常がMRI(磁気共鳴断層撮影)やCT、脳波などの検査によって確認できる。
      ただし、時間がたつと脳の傷が消える場合もあり、入院時の診断書などで確認できればよい
     ◎受傷・発症前からの症状や発達障害、進行性疾患などが原因の場合は除く
    高次脳機能障害支援プログラム
     訓練、社会復帰、生活、介護を支援するプログラム。自治体ごとに拠点施設を決め、
     支援コーディネーターを置く。コーディネーターは当事者や家族からの申請を受けて要望を調査し、
     就業、就学などの「支援計画」を策定する。2006年度からは全国実施を目指す。
向精神薬(こうせいしんやく) = 向精神薬(別掲)
口内炎(stomatitis)こうないえん : 口腔粘膜の炎症の総称。一般的に「口内炎」と呼ばれている疾患は
    「アフタ性潰瘍」という。アフタとは、直径2〜11mm程度の円形の境界明瞭な腫瘍で、
    その周囲に赤みを伴う。感染ウイルスにより、様々な症状をきたす。
    アフタの種類
     (1)孤立性アフタ : アフタが1個〜数個だけできて、すぐに治ってしまう、というもの。
       これに対し、ウイルス性などでアフタが多数できる場合はアフタ性口内炎として区別される。
     (2)ウイルス性のアフタ : ウイルス性の初期に小水疱が形成され、すぐに破れる。
       その結果、皮膚ではびらんに、口腔ではアフタ性潰瘍になるものがあり、
       感染ウイルスにより、様々な症状をきたす。
     (3)白血球減少に伴うアフタ : 
     (4)慢性再発性アフタ : 粘膜疾患のうちで最も頻度が高く、全人口の20%近くは罹患すると
       考えられている。口の中に1〜数個、直径3〜5mmのアフタがくりかえしできる。
       頬粘膜、口唇、舌、歯肉の順にできやすく、20〜30代の女性に多く見られる。
       触ると激しく痛み、10日前後で治り、瘢痕を残すことはない。
       また、時には大アフタ(直径10mm以上の深い潰瘍)になることがある。
     (5)ベーチェット病の口腔内の症状としてのアフタ : 粘膜、眼、皮膚、及び
       その他の臓器に症状を現す全身炎症性疾患。
       @口腔粘膜の再発性アフタA結節性紅斑などの皮膚症状
       B虹彩毛様体炎、網膜ブドウ膜炎などの眼症状C外陰部潰瘍、の4つの主症状がある。
       20〜30代、とくに性差はなく、男性の方が重症化しやすい傾向にある。
広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい) → 発達障害
硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ) : 軽微な頭部外傷や物理的な衝撃後およそ2週間から数カ月経って
    硬膜下腔、すなわち頭蓋骨の内側にある硬膜と言われる厚い膜とを包むクモ膜と言う膜の間に
    血液の貯留(血腫)が出来る症状で、一般には50歳以上の中・壮年の男性に比較的多くみられるが、
    なかには男性で、お酒飲みの人、肝臓の病気などで出血傾向のある人など、若い方でも外傷の
    誘因なく発症するものもある。外傷以外の誘因としてアルコール多飲、脳圧の低下、感染、動脈硬化
    貧血などが知られている。硬膜下腔にでた血液はしだいに被膜に包まれ硬膜下腔で血腫となる。
    硬膜下腔の血腫はふつう吸収されず、被膜から繰り返す出血によりゆっくりと増大する特徴を有していて、
    その結果、意識障害、知能障害、頭痛、嘔気、片麻痺、失語、認知症状、歩行障害、
    手足の麻痺など様々な症状が出現し、放置すると死亡することもある。
    硬膜下出血には急性と慢性のものがある。急性は頭を打った直後から嘔吐や意識障害があり、
    急激に悪化するので、早急に脳外科に運び、開頭手術を必要とする。慢性の硬膜下血腫の場合は、
    比較的高齢の方が頭を打ち、その時は頭が痛い程度で、他に特別な症状もないので、
    そのままにしておき、一月から数ヶ月経って手足の麻痺が起こってきて初めて気がつくことが多い
    病気で、特に酔っ払って頭を打ち、アルコールで麻酔されているため、たいしたことがないと寝てしまい、
    翌日は頭を打ったことも忘れている症例が結構多い。その後、少しずつの出血が続き、
    その血液が硬膜下に溜まって脳が圧迫されるので、神経の症状が出てくる。
    慢性硬膜下血腫の治療法
    神経症状とCTMRIなどの画像所見より、このまま放置すると重篤な後遺症を残したり、近い将来
    死亡する危険性も考えられる場合手術を行う。この病気の治療法は、できるだけ早く血腫を除去し
    脳の構造を正常に復元することで、手術には穿頭血腫洗浄除去術と開頭血腫除去術があるが、
    普通は穿頭血腫洗浄除去術がおこなわれる。これは局所麻酔下に約5cmの小さな頭皮切開を
    設けた後、頭蓋骨に約1.5cmの一つ、時には複数の穴を設けてその穴より血腫内容を除去する。
    その後血腫腔を生理的食塩水にて洗浄するという方法で、その穴を通して血腫腔にドレーンと言う
    チューブを挿入し手術を終えることもある。できるだけ早くこの手術をするのがよいとされている。
硬膜下出血とくも膜下出血の違い
硬膜下出血 くも膜下出血
主な原因 頭部の打撲、頭蓋骨折 高血圧(動脈硬化性出血)
部位 硬膜とくも膜の間 くも膜と軟膜の間
症状例 急性 嘔吐、意識障害など 突発性の激しい頭痛、嘔吐、
けいれん脳動脈瘤など
慢性 1カ月〜数カ月後に
手足の麻痺、言語障害、
意識障害、知能障害など

 霧島酒造のドクター美原の健康塾より
国民健康保険の医療費一部負担の減免 → 国民健康保険
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)こつずいいけいせいしょうこうぐん
    骨髄で血液細胞をつくる造血幹細胞に異常が起きて前白血病状態となり、
    造血障害を起こす病気で、「血液のがん」とも呼ばれている。
    以前から治療のむずかしい貧血で、急に白血病に移行するものがあり、
    「不応性貧血」とか、「前白血病」とか、「くすぶり白血病」とかいわれていた。現在では、
    これらの病気は血球の量や質が異常になる病気として、まとめて骨髄異形成症候群と呼ばれる。
    骨髄異形成症候群では、幹細胞は健常な赤血球、白血球、血小板まで成熟することができない。
    芽球と呼ばれる未成熟な血液細胞は正常に機能することができず、骨髄中または血液中に入ると
    直ぐに死滅する。このため骨髄中で健常な白血球、赤血球、血小板がつくられる余地が少なくなる。
    血液細胞が少なくなると感染、貧血、易出血性の生じることがある。
    骨髄に造血幹細胞の前腫瘍細胞である異型クローンが生じ、正常幹細胞を凌駕して
    増殖する結果として正常の造血が抑制される。また異型クローンから造られる血球細胞は
    異常細胞なので末梢血に出る前に分解されるが、この様な無駄な造血を無効造血と言う。
    形成される血球は形態も異常で寿命も短い。
    原因 : 有機溶剤、化学物質、放射線などが原因とされ、抗癌剤投与による発症も問題となっている。
     骨髄異形成症候群の約半数で染色体異常が見られることと、先天性染色体異常による
     ファンコーニ貧血の患者が高頻度で骨髄異形成症候群を発症することから、
     遺伝子変異が何らかの形で関わっていると考えられている。
    症状 : 発症時の症状はあまり自覚症状がない。無症状かあるいは赤血球の産生が低下して
     起きる慢性の貧血などの症状があり、血液検査で見つかることが多い。
     貧血の型は一定せず、大球性から小球性までとりえる。
     白血球減少が高度な例で感染症の合併、血小板減少が高度な例で出血傾向が見られるものの、
     血液検査で白血球減少、血小板減少、汎血球減少が偶然発見されることも多い。
    治療 : 異常クローンを根絶し、正常造血を回復させるのが目的である。
     唯一の治療法が同種造血幹細胞移植である。
     高齢者の発症が多いが、現在移植の適応は50〜55歳以下に限られている。
     しかし、造血幹細胞移植に伴うGVHDなどの合併症の死亡率が無視できないため、
     リスクを検討したうえで移植を実施するか検討する必要がある。
     移植以外では対症療法となるが、免疫抑制剤が一部で有効であることが判明している。
     シクロスポリンやATG(anti−thymocyte globulin)が使用され、50〜60%の症例で有効である。
     また、現在アザシチジンという新薬が厚生労働省に申請中となっている。
     予後のよい症例では貧血を輸血で是正するだけで日常生活は問題なく送れる。
     好中球減少例ではG−CSFの補助療法が有効である。化学療法はまだ十分な成果が
     挙げられていない。高リスク群に対しては根治療法として、造血幹細胞移植を行う。
     白血病化したら急性骨髄性白血病と同様の化学治療が行なわれたり、
     また、ビタミンなどの薬剤の使用、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の使用など、
     骨髄異形成症候群の症状を抑える治療が行なわれますが、あまり効果があるとはいえない。
     輸血は効果的だが、何回もくり返している間に効果がなくなることがある。
     2010年、日本でも治療薬が処方できるようになった。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう) → 骨粗鬆症(別掲)
細菌(さいきん) = 細菌(別掲)
細菌性肺炎(さいきんせいはいえん) = 細菌性肺炎(肺の関連に別掲)
再診料(さいしんりょう) : 患者が医療機関の外来を受診すると、2回目以降、毎回算定される。
    2010年2月現在、診療所(ベッド数19床以下)710円、病院(同20〜199)600円。
    患者が1〜3割(60〜213円)を払い、残りは公的医療保険から払われる。
    問診や簡単な検査への対価のほか、人件費、光熱費、施設整備費などを賄う計画のお金である。
    再診料は初診料とともに「基本診療料」という位置づけで、すべての診療科に共通に支払われる。
    とりわけ診療所にとっては主要な収入源となる。再診料は現在の点数で総額8600億円。
    全国の病院が保険診療で得た収入のうち再診料は0.7%、診療所では9.1%に上る。
    
    中医協、再診料690円に一本化 開業医20円引き下げ、病院90円引き上げ
     中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)は2010年2月10日、
    平成22年度診療報酬改定で、現在110円の差がある開業医(710円)と病院(600円)の再診料を
    690円に一本化することで決着した。ただ、減収となる開業医に配慮し、休診中でも24時間態勢で
    かかりつけ患者からの問い合わせに電話対応する開業医らには再診料の加算報酬を支払う措置も
    導入することとした。12日に診療報酬全体の改定案が長妻昭厚労相へ答申され、
    2010年4月1日から新たな診療報酬体系がスタートする。
     開業医(ベッド数0〜19)の再診料は現在の710円から20円の引き下げ、
    病院(同20〜199)は600円から90円の引き上げとなる。
    患者の窓口負担(原則3割)でみると開業医で受診する場合は6円安く、病院は27円高くなる。
     再診料をめぐっては、従来「開業医も病院も同じサービスをしているのに料金が違うのはおかしい」
    との批判があり、中医協は2009年12月に再診料を一本化することで合意していた。
再生医療(さいせいいりょう) = 再生医療(別掲)
在宅療養支援診療所 = 在宅療養支援診療所(別掲)
差額ベッド料金(さがくべっどりょうきん) : 「差額ベッド代」、「差額室料(さがくしつりょう)」、
    「個室料」とも呼ばれ、健康保険適用の範囲外で患者に請求される病室の費用のことをいう。
    入院環境の向上を図り、患者の選択の機会を広げるものとして例外的に認められた制度で、
    医療費の中では「特定療養費」(特別なサービス)に位置づけられる。
    そのため、公的医療保険で支払われる病室料とは別に入院患者が室料を全額負担し、消費税もかかる。
    さらに、高額療養費制度や所得税の医療費控除などの対象にもならない。
    差額室料を要する病室を特別療養環境室といい、より良い医療を受けるための
    健康保険適用外の費用を特別の料金という。差額室料も特別の料金の一種である。
    特別療養環境室(通称「特別室」といい、差額ベッド料金を請求できる部屋のこと)
     @1病室の病床数は4床以下(1〜4人部屋)
      1994(平成6)年4月から2人室以下から4人室まで認められ、全病室の5割まで差額ベッドにでき、
      同年10月からは大臣承認を受ければ、全ベッドを差額にすることも可能になった。
     A1人当たりの病室の面積は6.4平方メートル以上
     Bベッドごとにプライバシーを確保するための設備(仕切りカーテン可)がある
     C個人用の私物収納設備、照明、小机、椅子を備えている
    こうした病室を希望した場合に特別料金(差額ベッド代)を支払うことになる。
    差額ベッド代は1日5000円前後から1万円程度の価格帯が最も多いが、
    豪華設備で話題になる医療機関には、1日数万円〜数十万円の部屋もある。
    なお、差額ベッド代の発生する病室への入院には患者の同意が必要で、
    「ほかに空いている部屋がない」「治療上、必要だから」等、
    医療機関側の理由で入室する場合は、料金を請求できないことになっている。
    差額ベッド料金を患者に請求できる場合
     @差額ベッド数、場所、料金掲示する
     A差額ベッド室の設備、構造、料金などについて明確かつ懇切に説明し、患者側の同意をとる
     B料金などを明示した文書に患者側の署名をもらい、保存する
    差額ベッド料金を患者に請求できない場合
     @同意書による患者の同意確認を行っていない
     A治療上の必要がある(救急、術後、感染予防など)
      (例)●救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、
          又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者。
         ●免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者。
         ●集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者。
         ●後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者
          (患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く)
         ●クロイツフェルト・ヤコブ病の患者
          (患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く)
     B病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、
      実質的に患者の選択によらない場合。
      (例)MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者への
        院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者。
      これらの場合に主治医が病院長に出す「室料差額減免願」は
      2009年度で214件(減免額約1213万円)あったが、実際には経済的理由による減免が多かった。
    差額ベッド代をめぐるトラブル : 「個室しか空いていない」と説明され、渋々承知したというものが
     多いという。空きベッドがないのは病院の都合のようにも思えるが、緊急の場合を除き、
     患者が“渋々でも”同意したのであれば支払わなければならない。このような状況に置かれたときは、
     病棟の看護師長に一般病室が空いたら速やかに移動させてもらうように頼んでおくか、
     入院を先延ばししても治療上問題がないかどうかを主治医とよく相談し選択することが大切である。
座骨神経痛(ざこつしんけいつう) : 座骨神経の分布領域に生じる痛み。
    腰椎(ようつい)から出た神経が何本か集まって骨盤の中を通り、お尻・太ももの後ろに降りて、
    膝の裏側辺りで総腓骨(そうひこつ)神経と脛骨(けいこつ)神経に分かれ、
    ふくらはぎ・足の先まで伸びている末梢神経である座骨神経が、
    圧迫されたり刺激されたりすることにより、片側の臀部、大腿の後面、ふくらはぎが痛み、
    かかとやくるぶし、足のうらの方まで痛みが走る神経痛のこと。
    座骨神経は足首を動かすほか、腰や脚に触れられたことを脳に伝える働きをしている。
    症状 : 軽い痛みの症状や、しびれなどの知覚障害、重い麻痺などがある。
          腰、お尻から太もも後面、すねの外側、足の裏つま先にかけての痛み、
          しびれ等があり、坐骨神経に沿って圧痛点がある。立ち上がる時、歩く時、
          横になったりする時に痛みがひどくなる。昼よりも、夜の方が痛みが増すこともある。
          ほかの病気の可能性もあるので、1カ月以上続いたら、整形外科を受診しましょう。
    原因 : 大部分は腰椎の椎間板ヘルニアや中高年者に生じる腰部脊椎管狭窄症(脊髄(せきずい)
          中を通る脊柱管(せきちゅうかん)が狭まって神経を圧迫する)による痛みで、
          ほかに腰椎(骨・神経)の腫瘍、骨盤の腫瘍、変形、カリエス、
          前立腺がんなどが原因になっていることもある。
    治療方法 : 痛みが強いときは、
     安静にして鎮痛解熱剤や非ステロイド性抗炎症財などによる薬物療法により様子を見る。
     痛みがひどいときは、ステロイドホルモンを混合した弱い局所麻酔剤を注射する
     硬膜外ブロックや神経根ブロックという方法を行い、
     それでも効果が得られない場合は手術で治す場合もある。
     ある程度痛みが治まってきたら、温熱・赤外線照射などの理学療法・骨盤などの牽引療法・
     運動療法・骨盤ベルトで補正するなどの治療を行う。中年以上の人は、
     急に重い物を持ち上げたりすると、椎間板ヘルニアから座骨神経痛が起こりがちなので、
     注意が必要である。無理をしないで、自分の痛みの原因を知り時分の症状に合った治療を行う。
    日常生活の注意点 : 普段の生活の中で●長時間同じ姿勢での作業をやめる!
     ●重い物を持ったりしないようにする!●中腰姿勢に気をつける!
     ●脊椎に負担が掛かる肥満にならないように気をつける!
     規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動をし、
     ストレスをためない生活を心がけることが重要。
     カルシウム不足から、正常な新陳代謝が行われず、腰痛、座骨神経痛、肩凝りを引き起こすことがあり、
     思いあたる方は食事の面から気を付けてみるというのも一手段でもある。
    座骨神経痛に有効な食品 : ビタミン12(レバー、いわしカキ、卵、脱脂粉乳など)
(じ) = (肛門関連に別掲)
シェーグレン症候群(Sjogren syndrome)
    主として中年女性に好発する涙腺と唾液腺を標的とする原因不明の臓器特異的自己免疫疾患で、
    全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患の一つでもある。
    全身の外分泌機能を営む腺組織が障害される進行性、難治性の病気で、
    主として涙腺・唾液腺による慢性炎症による機能低下のため、
    目が乾く「ドライアイ」と、口が渇く「ドライマウス」を主症状に、乾燥症状が全身におよぶ。
    涙腺や唾液腺にはCD4+T細胞やB細胞などと呼ばれるリンパ球の浸潤がみられることが特徴的である。
    1933(昭和8)年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレン(H.Sjogren)の
    発表した論文にちなんでその名前がつけられた疾患で、
    日本では1977(昭和52)年の厚生省研究班の研究によって医師の間に広く認識されるようになった。
    分類 : @関節リウマチなど膠原病を合併する二次性シェーグレン症候群。
          A眼や口腔(こうくう)などの乾燥症状のみの原発性シェーグレン症候群(乾燥症候群)。
           原発性シェーグレン症候群の病変は以下の3つに分けることができる。
           1つ目はドライアイとドライマウスの症状のみがある患者で、ほとんど健康に
           暮らしている患者もあるが、ひどい乾燥症状に悩まされている人もある(約45%)。
           2つ目は全身性の何らかの臓器病変を伴うグループで、諸臓器へのリンパ球浸潤、
           増殖による病変や自己抗体、高γグロブリン血症などによる病変を伴う患者(約50%)。
           3つ目は悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症を発症した状態(約5%)である。
    原因 : @遺伝的要因Aウイルスなどの環境要因
          B免疫異常、更に圧倒的に女性に多い(9割)ことから
          C女性ホルモンの要因が考えられている。
          これらの4つの要因が複雑に関連し合って発症するものと考えられ、
          どれか一つの原因で発病するわけではない。
          患者の2割は、関節リウマチを合併する。
    症状 : 口腔の乾燥症状として、唾液が減少し、口や口唇が極度に乾燥した感じがあり、
          咀嚼が困難になったり、虫歯が増えたり唾石ができます。眼の乾燥症状として、
          眼のかゆみや痛みや異物感を感じたり、眼の充血を常時訴えるようになる。
          他の膠原病を合併するとその症状が出現するが、関節炎が最も頻度の高い合併症である。
          その他、慢性甲状腺炎、間質性肺炎、腎尿細管アシドーシスなどを合併することがある。
    診断 : 1999(平成11)年に厚生省の診断基準が改定され、
          @口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある。
          A唾液分泌量の低下がガムテスト、サクソンテスト、
           唾液腺造影、シンチグラフィーや生検などで証明される。
          B涙の分泌低下が、シャーマーテスト(ろ紙を下まぶたに入れ涙の量を簡易測定し、
           目の乾燥程度を調べる)、ローズベンガル試験(角膜の炎症をみる方法として、
           ローズベンガル液を点眼して染色してみる)、蛍光色素試験などで証明される。
          C抗SS−A抗体か抗SS−B抗体が陽性である。
           血液検査では、リウマチ因子や抗核抗体が高頻度で陽性となる。
          その他、血沈亢進、貧血、白血球減少などがみられることが多い。
          この4項目の中で2項目以上が陽性であればシェーグレン症候群と診断される。
    治療
    症状を自覚したときは、この病気を疑って眼科を受診する。その際、目の症状だけでなく、
    口が渇くことも医師に告げる。シェーグレン症候群と診断が付けば、口腔外科、内科、婦人科など
    それぞれの病態に即した治療を要するので、総合的に協力体制の取れる病院で受診した方がいい。
    眼乾燥(ドライアイ)に対する治療
     ドライアイに対しては、防腐剤の入っていない人口涙液や眼球の表面の傷を治す点眼薬のほか、
     涙が鼻に抜けるのを防ぐ涙点閉鎖術など、重傷度に応じた治療法が取られる。
     治療法は@涙の分泌を促進する、A涙の補充、B涙の蒸発を防ぐ、C涙の排出を低下させる。
      @涙の分泌を促進する方法として、
       ステロイド薬による抗炎症作用や炎症細胞の浸潤抑制による効果が一部で期待される。
       塩酸セビメリンがヨーロッパでは涙の分泌にも効能が認められているが、
       日本では適応が取れていない。一部の患者には効果がある。
      A涙の補充には人工涙液や種々の点眼薬がある。これらを1日3回以上使用する。
       点眼薬には防腐剤が入っているので、何回も点眼するときは防腐剤による角膜障害が問題になる。
       この場合は普通の点眼の後に防腐剤の入らない点眼薬(生理的塩水、ソフトサンティア)で
       洗い流すか、防腐剤のはいらない使い捨ての点眼薬(ヒアレイン・ミニ)を使う方が良い。
       傷害された角膜上皮の再生促進や角膜炎の治療の目的で、ヒアルロン酸、コンドロイチン、
       ビタミンA、フィブロネクチンなどを含んだ点眼薬が使用される。
       別の治療として、皮成長因子、ビタミンなどの様々な物質が入っている自己血清を採取して
       これを薄めて使用する方法が推奨されている。
      B涙の蒸発を防ぐために、眼鏡の枠にビニール製のカバーをつけた
       モイスチャー・エイド(ドライアイ眼鏡)がある。
      C涙の排出を低下させるためには、鼻側の上下にある涙の排出口である涙点を閉じる方法がある。
       それには涙点プラグで詰める方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法がある。
    口腔乾燥(ドライマウス)に対する治療
     シェーグレン症候群の患者は虫歯になりやすいので、口内を清潔に保つことが非常に大切。
     まず、口腔乾燥作用を持つ薬剤を服用しているときはこれを中止すること。
     その他(1)唾液の分泌促進、(2)唾液の補充、(3)虫歯の予防や口内の真菌感染予防、
     (4)口腔内環境を改善すること、など。
      (1)唾液分泌の刺戟、促進
        唾液分泌を刺激するものとして、シュガーレスガム、レモン、梅干などがある。
        唾液分泌を促進するものとして、アネトールトリチオン(フェルビテン)があるが、
        効果が不十分で尿の着色、腹鳴などの副作用がある。他にブロムヘキシン(ビソルボン)、
        漢方薬(人参養栄湯、麦門冬湯)なども用いられるが、患者によって有効。
        副腎ステロイド剤も有効であり、症状に合わせて使用される。
        特に、唾液腺腫脹をくり返す時には有効。塩酸セビメリン(エポザック、サリグレン)は
        今までの薬剤に比べて有用性が高く、約60%の患者に有効で患者の評価もかなり良い。
        副作用として消化器症状や発汗などが約30%の患者にある。
        本剤は人により作用、副作用に大きな違いが見られるので、1日1錠から始め、
        副作用を見ながら1週間ごとに1錠ずつ増量するなどの慎重な服用が望まれる。
        水に溶かしてうがい薬として使う方法も検討されている。
        アメリカ、ヨーロッパでは塩酸ピロカルピンが発売されているが、日本では現在治験中である。
      (2)唾液の補充
        サリベートや2%メチルセルロースが人工唾液として使われる。
        サリベートは噴霧式で舌の上だけでなく、舌下、頬粘膜に噴霧した方が口内で長持ちする。
        また、冷蔵庫保存で不快な味が消える。
      (3)虫歯の予防や口内の真菌感染、口角炎を予防
        イソジンガーグル、ハチアズレ、オラドール、ニトロフラゾン、抗真菌剤などが用いられる。
        歯の管理と治療としてブラッシング、歯垢の除去と管理、虫歯、歯周病対策などがある。
        オーラルバランスという口腔保湿剤もある。
      (4)口腔内環境を改善
        食事の改善として乾燥食品、香辛料、アルコール飲料を避けること、禁煙が必要である。
        口内の痛み、乾燥による咀しゃくと嚥下困難に対しては食物をやわらかくする、
        刺激のあるものを避ける、乾燥したものは液体に浸して食べる、温度を食べやすい温度にする、
        などがある。歯の健康に対してはバラエティーに富んだ食物群をとる、糖分を避ける、
        甘い間食をとらない(ガムはキシリトールガムにする)などの注意が要る。
        味覚の変化に対しては食物の水分、温度、食物の組み合わせを工夫する。
        全身性の臓器病変のある人は内科などでステロイド薬や免疫抑制薬などを含めて適した
        治療を受ける。経過については、10〜20年経ても症状に変化のない患者が約半数で、
        残りの約半数の患者には何らかの検査値の異常や全身性の病変が発症する可能性がある。
        その中には白血球減少、高γグロブリン血症や皮膚の発疹、間質性肺炎、末梢神経症、
        肝病変、腎病変などがある。まれにリンパ腫を発症する患者さんもいる。
    参 : ドライマウス研究会(HP)
ジェネリック医薬品(ジェネリックいやくひん) :  後発医薬品。
    ジェネリック(generic)とは 「一般的な」「普及した」という意味の英語で、後発(こうはつ)の意味もある。
    研究を重ねて開発された「新薬」つまりブランド薬(先発医薬品)の特許期間(20〜25年)が切れるのを
    待って、別の製薬会社が売り出す同じ有効成分の(後発医薬品)、いわば「コピー品」のことで、
    「コビー商品」ではない。患者が「ジェネリックを使いたい」と伝え、医師が認めたら処方してもらえる。
    研究開発費が掛からない為、薬価(国の決めた薬の価格)は新薬の2〜7割の低価格であり、
    同じ効き目で自己負担の少ない医薬品であるが、全ての医薬品にジェネリック医薬品が
    発売されているわけではない。2005年だけで約2千のジェネリック医薬品が生まれている。
    2006年4月から、処方箋に「後発品へ変更可」という欄ができ、医師が署名すれば、
    先発品か後発品か患者が選べるようになった。しかし、信頼性に疑問を持つ医師が多く、
    患者からも希望を言い出しにくい状況があるようで、半年経っても思ったほど処方は増えていない。
    日本の市場規模は約4400億円(2006年、薬価での金額)で、
    薬剤費に占めるシェアは5.7%である。医療用医薬品の使用量に占める割合(普及率)は、
    米英独で約60%、仏で約40%だが、日本では約17%である。
    参 : 日本ジェネリック医薬品学会(HP)

    ジェネリック医薬品優先使用、厚労省が処方せん様式変更へ
    厚生労働省は2007年4月14日、ジェネリック医薬品の普及を促進するため、
    医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、
    後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めた。
     処方せんの様式を改め、あえて新薬を選ぶ場合は、
    医師が処方せんに理由を明記することを求める方向で検討する。
    増え続ける医療費を抑制するのが狙いで、2008年度からの実施を目指している。

    特許期間が切れただけの、他の製薬メーカーの信頼できる薬品が製造・販売されているのに、
    医師が「慣れた先発品は副作用も熟知して処方している。後発品は、厳密に先発品と同じなのか
    情報が少なく、メーカーと信頼関係もない。知らない薬は安心して処方できない」などと言い、
    67%もの医師が後発品の使用に「慎重または懐疑的」ということだが、今まで新製品を使うときに
    副作用を考えて処方することはなく、処方後に問題のある薬品も出ているではないか。
    つまり、薬品メーカーを信頼して処方していたことなのに、情報が少ないなどと何故言えるのだ!
    メーカーとの信頼関係がないと言うが、新薬の成分や効果のことで、
    その都度メーカーと情報のやり取りをしている医師は何万人いるのだ。
    医師は、長年使って副作用のないことが確認されていて、
    しかも格段に安い後発品のすべてを「後発品へ変更可」に署名すべきだ!!
    患者も積極的に「後発品がほしい」と希望し、医師や病院の姿勢を変える力になることを願いたい。
    新薬をジェネリック医薬品に替えたときの薬代は、3割負担の健保・国保を例にとると、
    慢性疾患の場合は年間4万円以上も安くなり、患者個々人の薬代の削減が、
    ひいては高騰する医療費の抑制にもつながり、年間1兆1000億円の削減ができるという。

    ジェネリック医薬品でひどい目に遭った
    眼科で「中身は変わらないなくて安い後発の目薬を使ってみますか」と言われたので
    「同じもので安ければ使いましょう」と長年使ってきた目薬を替えた。
    3本420円が、後発品を使うと320円と100円安くなる。
    だが、後発の目薬を使うと、今までしみたことはなかったのに、点眼時にしみるようになり、
    目がしょぼしょぼして眼やにが出るようになり、朝の寝起きには目やにでよく見えないようになった。
    風邪気味だったので体調が悪かったせいかと、1日3回の点眼を1週間続けたが悪くなる一方で、
    別の目薬を使ったら良くなった。3週目に2本目の新しい後発目薬を使ってみたがまた悪くなったので
    眼科の診察に行ったら、「後発医薬品といっても成分は同じではなく、人によって合わない場合がある」
    とのことだったが、それではコピー品とは言えないではないか。
    今までの目薬は「サンコバ点眼液0.02%」で、後発の薬品名は違い「コバラム点眼液0.02%」だが
    成分が違うことには納得できない。こんなことではジェネリック医薬品は使えないことになる。
    一度も使わなかった薬は引き取ってもらえず、診察料の1520円と医薬品代420円が無駄金となった。
    
    右のサンコバ点眼液のジェネリック医薬品が左のコバラム点眼液
    どちらも眼の疲れをとる目薬で、大きさは違うが中身は同じ5mL。

子宮頸がん(しきゅうけいがん) = 子宮頸がん(がん関連に別掲)
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう) : 子宮の内側を覆う子宮内膜は、月経周期によって増え、
    排卵後は成長をやめ受精卵の着床の準備をする。
    本来なら子宮の内側にある子宮内膜の細胞とよく似た細胞が子宮内壁以外で増殖して、
    ホルモンの働きに反応して出血や炎症を引き起こしたりする疾患である。
    内膜症細胞が卵巣内で増殖して卵巣がはれ上がる「チョコレート嚢腫」や、
    下腹部に発生しやすく、内膜症細胞がお腹の中の臓器の表面で増殖し、
    子宮と腸や卵巣が癒着して痛みを引き起こす「腹膜病変」に、
    子宮と直腸が接するダグラス窩(か)あたりにできる「深部病変」などがある。
    生理痛のほか、性交・排便痛や不妊などの症状も伴い、月経量が増える、疲労感などの症状がある。
    成人女性の10人に1人にあるといわれている。
    参 : 日本子宮内膜症協会(HP)
歯垢(しこう) = 歯垢(歯の関連に別掲)
歯周病(ししゅうびょう) = 歯周病(歯の関連に別掲)
思春期前歯周炎(ししゅんきまえししゅうえん) = 思春期前歯周炎(歯の関連に別掲)
歯石(しせき) = 歯石(歯の関連に別掲)
歯痛 = 歯痛(歯の関連に別掲)
シックハウス症候群(Sick Building Syndrome)シックハウスしょうこうぐん(医療関係に別掲)
    欧米での「シックビルディング症候群」の和名で、別名「新築病」とも呼ばれ、
    住宅の新築や改装工事後、床材、壁材、カーペット、カーテン、ビニールクロス、接着剤、塗料、
    防腐・防蟻剤、難燃剤などの住宅建材から室内に発生するホルムアルデヒド、トルエン、
    エチルベンゼン、スチレン、キシレンなどの揮発性化学物質やダニ・カビ・埃が原因で、
    「目やのどが痛い」「頭痛がする」「吐き気がする」「皮膚に刺激を感じる」などの体調不良・
    アトピー性皮膚炎など多様な健康障害を引き起こす事を言い、「化学物質過敏症」の一種。
    シックハウス症候群は、花粉症と同様に体内で原因物質が許容量を超えた段階で発症するとされ、
    危険な環境下で長時間過ごす主婦や高齢者、子供が発症するケースが多い。
    関連各省庁は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、木材保存剤、可塑剤、
    シロアリ駆除剤の6化学物質を削減するように、住宅業界に求めている。
指定感染症(していかんせんしょう) : 感染症法に基づき、政令で1年間に限定して指定された感染症のこと。
    平成11年4月から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では、
    ペストや細菌性赤痢など各種の感染症を危険性に応じて1類から4類に分類し、
    患者の入院や建物の消毒など流行を予防する措置をとることを定めている。
    これ以外で、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがある感染症が発生した場合、同様の
    措置をとれるようにしたのが指定感染症で、都道府県は国の指導を待たずに対策をとることができる。
    指定感染症になった場合、知事が患者の就業を制限したり、
    患者と接触した人に健康診断を勧告することが可能になる。

    世界で100人以上の死者が出ているH5N1型鳥インフルエンザについて、
    厚生労働省は2006年4月14日、感染症法に基づく「指定感染症」にする方針を明らかにした。
    指定感染症は、2003年の新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)以来2件目で、
    患者に入院を勧告するなどの拡大防止策が可能になる。
    鳥インフルエンザは、診断した医師に届け出の義務がある「4類感染症」に分類されている。
    しかし、H5N1が人に大流行を起こす新型インフルエンザに変異する恐れがあり、
    患者の発生地が世界的に拡大してWHO(世界保健機関)が患者の入院を推奨していることなどから、
    指定感染症の対応が必要と判断した。現時点では、人同士の感染力は
    弱いとみられるため、患者がいた建物への立ち入りや付近の交通は制限しない方針。
    このほか、飛行機や船で患者が入国する場合も想定し、検疫法の検疫感染症にも追加する。
    H5N1以外の鳥インフルエンザは、4類感染症のままとなる。
    WHOの2006年4月12日現在の集計では、2003年12月以降、H5N1は9か国で194人が感染し、
    109人が死亡している。国内では患者は発生していない。
歯肉炎 = 歯肉炎(歯の関連に別掲)
自閉症(autism)じへいしょう : 早期幼児自閉症。先天的な脳の機能異常によって、
    乳幼児期に発症し、発達の過程によって状態が変わっていく精神機能の発達障害である。
    自分と自分のまわりの世界、特に対人関係がうまく理解できなかったり普通の理解の仕方とは異なり
    独特の理解の仕方をし、言葉の発達が遅れている、興味の対象が限定され、同じような行動を繰り返す、
    といった行動上の特徴で診断されるが、育て方や環境が発症の原因になることはない。
    発達の障害の特徴は精神機能としての表象機能の障害であり、
    その障害の基礎には、未だ特定できない高次の中枢神経のシステムの障害があると考えられている。
    定義の仕方で幅があるが、1万人に20〜60人の割合で起こるとされ、知的障害を伴うことも少なくない。
    視覚的に伝える、スケジュールを示す、といった支援方法は欧米で研究が進み、日本でも普及しつつある。
    3才以前に現れる特徴
     @他の人との関りかたの質的な障害
      非言語的な対人交流(視線を合わせたり、表情、身振りなど)の障害や、
      仲間関係をつくれない、他者と関心、興味を共有することができない、情緒的な交流が乏しい。
     A意思伝達の障害
      言葉、コミュニケーションの発達の遅れ、会話を開始したり、続けたりする能力の障害、
      常同的、反復的、独特の言語の使用、ごっこあそびや社会性をもった物まね遊びの欠如。
     B行動、興味が限られていたり、強いこだわりをもつ
      興味が強くかたよっていたり、 特定の習慣やものごとの順番に強いこだわりをもつ、
      からだの変わった動き(手をぱたぱたさせたり、くるくるまわることがよくある)、
      物の細部に強くこだわる。
    以上にあげた3つの領域すべてにおいて一定の基準以上の障害が認められる人が、
    (典型的な)自閉症と診断される。
若年性歯周炎 = 若年性歯周炎(歯の関係に別掲)
周産期医療(しゅうさんきいりょう)
    出産を中心として妊娠後期(妊娠22週)から新生児早期(生後7日未満)までの周産期の間の母体、
    胎児、新生児を総合的にケアして、母と子の健康を守る医療のこと。
    周産期を含めた前後の期間における医療は、突発的な緊急事態に備えて産科・小児科双方からの
    一貫した総合的な体制が必要であることから、特に「周産期医療」と表現されている。
    周産期(母子医療)センターは新生児集中治療室(NICU)や妊婦の集中治療管理室(MFICU)を備え、
    24時間体制で高度な医療ができる施設で、常に2人以上の産科医がいることが望ましい、とされている。
    厚労省は各県少なくとも1カ所の総合センターと複数の地域センターの整備を目指している。
    2008年11月1日現在、「総合周産期母子医療センター」は山形、佐賀両県以外の74カ所にある。
    総合センターに近い設備や医療者数を持ち、中程度のリスクのお産を扱う
    「地域周産期母子医療センター」は237カ所ある。
重症急性呼吸器症候群 = SARS(医療関連に別掲)
終末期医療(しゅうまつきいりょう) : ターミナルケア。治癒不可能な病気や外傷によって、
    回復の見込みがない、現在の医療では治らない、高齢のため回復の見込みがないなどのため、
    死が避けられない患者の状態をいう「終末期(terminal period)」から死を迎えるまでの医療を指す。
    終末期医療はこうした状態にある患者に現れている症状や精神的、身体的苦痛の緩和を主眼とし、
    本来の病気に対する医療や苦痛緩和のための医療あるいは生命の維持のための医療等も含まれる。
    具体的には薬物投与、化学療法、人工透析、人工換気、輸血、酸素吸入、栄養・水分補給などを指す。
    患者の状態が「終末期」であるかどうかは、主治医を含む複数の医師が、
    医学的に十分検討した上で判断し、その理由を詳細に診察録に記載する。
    患者の意志を確認するために本人が署名した文書を必要とする。
    本人の署名した文書が得られない場合でも、本人が口頭であるいはビデオや録音テープで
    自分の意志を明確に表明したものがあればよい。本人の意思確認の旨を記載する。
    患者、家族への説明は主治医が行う。患者、あるいは判断能力がない場合は
    患者家族とカンファレンスを行い、説明内容を患者、家族の意向を記載する。
    患者、家族との同意に基づいて、全体的な治療方針だけでなく、具体的に薬物治療をどこまでするか、
    輸液や昇圧剤をどうするか、人工呼吸器の使用をどうするかなどの合意を共有しておく。
    厚生労働省の終末期医療に関するガイドライン
     チーム医療を中心に疼痛緩和と精神的ケアを行うが俗に言う安楽死は認めない。
     治療方針の決定では患者の意思の有無によって異なってくる。
     患者の意思が確認できる場合は患者本人との話し合いを基にし、
     患者の意思が確認できない場合は患者の家族からの情報や助言を参考としながら
     患者にとって最善と思われる治療方針を医療ケアチームで判断する。
    終末期医療をめぐる経過(2009.12.30、朝日新聞より)
     国が本格的に終末期医療の検討を始めたのは1980年代。
     高齢化と医療技術の進歩で多くの人が病院で最後を迎えるようになった。
     2000年代に入り、延命治療の中止をめぐる問題が相次いだ。
      北海道立病院で患者を脳死と判断し人工呼吸器を外した医師が2005年5月に
     殺人容疑で書類送検された(2006年8月に不起訴)。
     東海大安楽死事件(1991年)では、薬の投与で患者の死期を早めた
     「積極的な安楽死」が罪に問われたが、北海道の例は治療中止が問題となるきっかけになった。
      終末期医療のルール作りには慎重な意見も根強い。
     2008年3月の厚労省の調査では、終末期医療について書面に残された
     本人の意思を反映させることに6割が賛成したが、法整備を望む人はそのうち34%。
     62%は「法律を制定しなくても、医師が家族と相談して決めればいい」と答えた。
     参 : リビング・ウイル延命治療
受精卵診断(じゅせいらんしんだん) : 「着床前診断」とも言われ、体外受精で作った受精卵が
    4〜8個の細胞に分裂した初期の段階で、1〜2個の細胞を取り出し、遺伝子や染色体を調べて、
    将来遺伝性の病気にかかる可能性があるかどうかを診断する技術のことで、
    異常がなければ受精卵を子宮に戻して着床させる。異常がある受精卵は廃棄や冷凍保存する。
    羊水などを採って胎児の細胞を調べる「出生前診断」と違って妊娠中絶を避けられるが、
    生命の選別が進むなどの懸念がある。欧米では約200人がこの診断を経て誕生したといわれているが、
    米国では高齢出産を成功しやすくする目的などでも実施されている。
    日本産婦人科学会(日産婦)は、会告(指針)で「重篤な遺伝性疾患」に対しては受精卵診断を
    認めている。だが、神戸市の大谷産婦人科の大谷徹郎院長が、連続して3回以上の流産と定義される
    習慣流産や不妊症での実施を続けたため、日産婦は倫理委員会作業部会で検討を始めた。
    大谷院長は受精卵診断の独自実施を2004年2月に公表し、日産婦から除名されている。
    2004年7月23日、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象にした
    慶応大学の申請を正式に承認し、学会が受精卵診断の実施を初めて承認した。
    2006年2月の理事会で、習慣流産のうち、両親のいずれかで染色体の一部が別の場所に
    入れ替わるなどする「転座」が原因の場合も認める方針を決めた。
    だれにでも起こりうる染色体の数の異常(数的異常)は認めていない。

    慶応大学の10日前に申請した名古屋市立大学の方は認めないというのはどうかと思う。
    同月くらいはさかのぼって認めるくらいの度量があってもよいし、
    倫理観というものは数日で変わるようなものではないのだからね。

出生前診断(しゅっしょうまえしんだん) : 妊娠中の女性に対し、身体の血を採ったり、
    赤ちゃんの周りを満たしている羊水を採ったりして胎児の細胞を調べる検査を行い、病気の有無など、
    生まれる前に子どもの状態を調べる技術。超音波を使って胎内の様子を画像で映し出す方法もある。
    参 : 受精卵診断
小児医療の集約化(しょうにいりょうのしゅうやくか) : 日本小児科学会は2004年3月の学会雑誌で、
    入院小児医療の提供体制の集約化などを柱とする改革ビジョンを発表した。
    具体的には、人口30〜50万人ごとに小児科医を十数人集めた「地域小児科センター」をつくり、
    開業医と連携しつつ、軽症から重症まですべての小児患者を24時間365日診察するシステムをめざす。
     厚生労働省も2005年末、医師確保が難しい地域での小児科の集約化を推進する方針を打ち出し、
    必要性を検討するよう各都道府県に通知した。都道府県が必要とした地域に、
    一般小児科のほかに小児救急専属の医師を3人(目標は4人)を配置して
    重症患者に対応する「連携強化病院」を設定する方針を打ち出した。
    背景には、厚生労働省が1999年度から進めてきた、全国に約400ある小児救急医療圏ごとの
    担当病院「輪番制」導入が進まず、半数程度にとどまる実情がある。
    しかも大半の輪番担当病院に小児科医が2、3人しかいない状況の中で、
    患者には長時間待って数分の診療、医師にも過重な勤務を強いる悪循環が続いている。
     小児科、産科は構造的な不採算要因を抱え、しかも勤務が過重なことから敬遠され、
    主に病院勤務医の不足が目立っている。小児科などへの診療報酬の厚い配分は、
    医療の質の向上を図る観点から重要であり、今後、具体的な対応を明確にする必要がある。
    参 : 日本小児科学会(HP)
小児まひ = ポリオ(別掲)
食餌性イレウス(しょくじせいいれうす) : 腸に何の異常もない人に起きる腸閉塞(イレウス)のこと。
    原因 : 早食いや丸飲みの習慣、入れ歯あるいは歯が無いことによるかむ力の低下、
          胃切除の既往による消化機能の低下などがある。
    原因食物 : 干し柿、昆布、たくあん、もち、しらたき、こんにゃく、ごぼう、たけのこ、などがある。
    予防 : 原因食物を好んで食べる人は、良くかんで食べる習慣を身に付ける。
    治療法 : 絞扼性イレウスと鑑別が困難であるため、開腹したほうが安全である。
           腹腔内に小腸に詰まった食物塊とその上部の拡張した腸管を見つけたら、
           上部の方から食物塊を大腸の中に押し込む。手術はこれだけでよい。
           しかし放射線腸炎などで小腸狭窄を来していて、そこに食物塊などが
           詰まってきた場合には小腸を縦に切って横に縫い合わせる小腸形成を行う。
食中毒(food poisoning)しょくちゅうどく : 細菌、ウイルスが付着した食品や、有毒・有害な物質が
    含まれた食品を食べることによって、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などが起こる疾患の総称で、
    かつて「食あたり」とよばれたものも含まれる。しかし、同様に食品を媒体とする疾患でも、
    赤痢やコレラなどの経口伝染病、回虫や条虫などの寄生虫症、異物による物理的・機械的障害、
    あるいは食品自体による食物アレルギーのほか、食中毒の原因となる食べ過ぎ、飲み過ぎ、
    ビタミン欠乏による栄養障害、食品中に混入したガラス、針などの異物による物理的・機械的障害、
    熱いものの摂取によるやけどなどは、食中毒に含めない。    
食中毒の分類
分類 原因菌等
細菌性 感染型 サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、
病原大腸菌、ウエルシュ菌など
毒素型 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など
ウイルス性   小型球形ウイルスなど 
自然毒 動物性 フグ、毒カマス、貝、生肉など
植物性 毒キノコ、じゃがいもの芽、毒ゼリなど
化学性   殺鼠剤、農薬、メタノール、鉛など
その他 アレルギー様 ヒスタミン
カビ毒  
寄生虫など  クリプトスポリジウム、サイクロスポラなど
広島県保健環境センター資料より 
生や加熱不足の肉が原因の食中毒
こんな症状が出たら… 下痢、腹痛、発熱 激しい腹痛、下痢(血便を含む)
場合によってはこんな症状 ギラン・バレー症候群
(手足のまひ・呼吸困難など)
溶血性尿毒症症候群(HUS)
(腎機能障害・意識障害など) 
発症するまでの時間 平均2〜3日  平均3〜5日 
主な原因食品 ●とりわさ、鶏刺し、牛レバー刺し
 などの生肉料理
●加熱不足の焼き鳥など
●菌のついた手指・器具によって
 二次汚染された食品
●牛レバー刺し、牛ユッケ
 などの生肉料理
●加熱不足の焼き鳥など
●菌のついた手指・器具によって
 二次汚染された食品 
その原因菌の名前は… カンピロバクター  腸管出血性大腸菌
O111、O157など 
生肉・生焼けは新鮮でも危険!                    2011.5.3、朝日新聞より
    食中毒:焼き肉店で食事の男児2人死亡、O111を検出<福井・富山>
     福井、富山両県で同系列の焼き肉店で食事した男児2人が相次いで死亡していたことが分かった。
    2人からは病原性大腸菌「O111」が検出され、うち1人は生肉料理を食べたことが確認されている。
    死亡した2人を含め同系列の3店で食事した計48人が食中毒症状を訴え、
    うち19人が重症で、両県が原因を調べている。
     厚生労働省や両県によると、集団食中毒が発生したのは焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の
    砺波店(富山県砺波市)と高岡駅南店(同県高岡市)、福井渕店(福井市)。
    福井渕店で食事をした未就学男児が2011年4月21日、下痢や腹痛を訴えて入院。
    溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し同27日に死亡した。
     また、同21日に砺波店で家族と食事した10歳未満の男児が同24日に嘔吐(おうと)などの
    症状を訴えて入院し、同29日にHUSで死亡した。生肉のユッケなどを食べていた。
    富山県砺波厚生センターは27日付で食品衛生法に基づき、29日までの3日間、営業停止にした。
     同チェーンは「フーズ・フォーラス」(本社・金沢市)の経営で、北陸3県と神奈川県に計20店ある。
     一方、砺波店で食中毒を引き起こしたとみられるユッケは、厚労省が定めた生食用食肉の衛生基準を
    満たしていなかったことが富山県などの調査で判明。同県警は1日、同店に立ち入り、
    調理手順や肉の保管状況について従業員から事情を聴いた。
     フーズ社に牛肉を販売している東京都内の食肉卸業者は「生食用としては販売していなかった」と説明。
    フーズ社は「生食用ではないと認識していた。
    国の基準に強制力はなく、会社として生でも食べられると判断し、提供していた」と話している。
自律神経失調症 = 自律神経失調症(自律に別掲神経)
人格障害(じんかくしょうがい) → パーソナリティ障害
新型インフルエンザ = 新型インフルエンザ(風邪関連に別掲)
心筋梗塞(しんきんこうそく) = 心筋梗塞(心臓関連へ別掲)
心筋症(しんきんしょう) = 心筋症(心臓関連に別掲)
神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう) : 排尿を司っている神経は、仙髄(せんずい)を中枢として
    膀胱を支配している末梢神経系と、仙髄より上位の神経系であると脊髄(せきずい)からなる
    中枢神経系の2系統に大きく分けることができる。したがって、
    これら神経系のどこかが障害を受けると排尿障害が起こる。この状態を神経因性膀胱という。
神経障害(しんけいしょうがい) : 腎症網膜症と並び、高血糖状態が続くことにより起こる糖尿病
    三大合併症の一つ。
    神経障害の症状 : 手足のしびれや痛み、感覚の鈍麻、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみ、
     味覚が鈍くなる、発汗異常、尿が勢いよくでない、勃起障害など、実にさまざまな形で全身にあらわれる。
     また、腎症や網膜症が自覚症状のないまま5年、10年と経過し病状がかなり悪化してから
     気付くことが多いのに比べて、神経障害は手足のしびれなどの自覚症状がごく初期の段階から
     あらわれてくる。腎症や網膜症は、人工透析の導入や失明につながり、快適な日常生活を妨げる
     重大な合併症だが、神経障害も放置すると服が着られない、シャワーを浴びることができないほどの
     激痛に進展したり、逆に神経が麻痺したり、足の壊疽や突然死の原因にもなる。
     症状がしびれや痛み程度だと思って安易な判断をせず、十分に知識をもっていることが必要である。
     神経障害は、初期のうちは血糖を厳格にコントロールすることで改善させることが可能で、
     改善には1年以上かかることもあるが、希望をもって療養を続けましょう。    
神経障害の症状
感覚神経の障害 自律神経の障害 運動神経の障害
●異常感覚
 しびれ・灼熱感など
●感覚が鈍くなる
●便秘・下痢
●発汗異常
●立ちくらみ
●勃起異常
●筋力低下
●筋萎縮
    感覚神経障害の進み方 : @無症状期…自覚症状なし→
     A前期…足の異常感覚(足裏のしびれ・灼熱感)→
     B中期…異常感覚が広がる(ひざ上や足以外)→
     C後期…感覚が鈍くなる、血行障害などが加わり壊疽の発症→下肢切断にもなりかねない
神経性難聴(しんけいせいなんちょう) → 難聴(耳の関連に別掲)
心神耗弱(しんしんこうじゃく) = 心神耗弱(心神・心身に別掲)
心神喪失(しんしんそうしつ) = 心神喪失(心神・心身に別掲)
腎臓移植(じんぞういしょく) = 腎臓移植(腎臓に別掲)
腎臓癌(じんぞうがん) = 腎臓癌(がん関連へ別掲)
心臓再同期療法(しんぞうさいどうきりょうほう) = 心臓再同期療法(心臓関連へ別掲)
心臓病(しんぞうびょう) = 心臓病(心臓関連へ別掲)
腎臓病(じんぞうびょう) = 腎臓病(腎臓に別掲)
心臓ペースメーカー → ペースメーカー
心臓マッサージ = 心臓マッサージ(心臓関連へ別掲)
じん肺 = じん肺(肺の関連へ別掲)
心肺機能 = 心肺機能(心臓関連へ別掲)
深部静脈血栓症 = エコノミークラス症候群
心不全 = 心不全(心臓関連へ別掲)
新薬価制度(しんやっかせいど) → 薬価
診療報酬請求 = 診療報酬請求(診療関連に別掲)
診療報酬の改定 = 診療報酬の改定(診療関連に別掲)
診療報酬明細書 = レセプト(別掲)
心理療法士(しんりりょうほうし) = 心理療法士(職業に別掲)
水頭症(hydrocephalus)すいとうしょう : 脳水腫(のうすいしゅ)
    脳の真ん中にある脳室または蜘蛛膜下腔(くもまくかくう)に脳脊髄(せきずい)液(随液)が過剰に
    作られたり、吸収され難くなったり、あるいはその循環経路のどこかで髄液の流れが悪くなったりして、
    髄液が異常にたまり脳室が拡大した状態の病状をいう。MRIで見ると髄液の圧力で脳室が
    広がっているのが分かる。先天性のものでは頭囲の増大を伴う。生まれつきの異常で起こっている
    場合を先天性、生まれてから生じた異常で起こってきた場合を後天性と区別している。
    先天性水頭症には胎児期におきる「胎児性水頭症」と生後に診断された「原発性水頭症」がある。
    水頭症が進行すると頭蓋骨の内部の圧力が上昇し、頭痛、嘔吐、意識障害などの症状を
    呈するようになる。また慢性的に水頭症の状態が続くと精神運動発達遅滞、
    視力障害など重篤な後遺症を残す。子どもの水頭症は脳圧が高く頭痛や意識障害などが現れる。
    しかし大人に多い「正常圧水頭症」は、文字通り脳脊髄圧は正常なのに症状が出る。
    水頭症の種類
     ●非交通性水頭症 : 脳室内のどこかで脳脊髄液の流れがブロックされた場合におきる。
      中脳水道が狭くなっている場合が場合が多く、乳児に多く見られる。
      脳圧が高くなり、頭痛、悪心、嘔吐などの症状がでる。
     ●交通性水頭症 : くも膜腔の閉塞または髄液の吸収障害のために脳脊髄液が脳室内に
      溜まっておきる。正常圧水頭症はこのタイプである。
    正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus:NPH)
     脳を守る髄液の循環が悪くなって起こる病気で、認知機能の低下と歩行障害、
     尿失禁が主な症状で、頭のけがや脳出血の後に発症することもあり、
     交通事故などのけがが引き金になることもある。
     水頭症は本来、髄液圧が高いが、正常圧(200mmH2O)以下でも脳室拡大がみられることから、
     この名称が用いられた。原因別には特発性と二次性とに分類される。
    参 : 正常圧水頭症センター(洛和会音羽病院NPHセンター)
    特発性正常圧水頭症(iNPH)の主な症状(2010.11.25、朝日新聞より)
    【歩行障害
     ●小刻みによちよち歩く
     ●少し足を開き気味で歩く
     ●すり足で歩く(足が上がらない)
     ●歩くのが不安定(特に方向を変えるとき)
    【認知症(認知障害)
     ●集中力、意欲・自発性が低下
     ●趣味などをしなくなる
     ●呼びかけに対して反応が悪くなる
     ●軽度の物忘れ
    【尿失禁
     ●トイレが非常に近くなる(頻尿)
     ●尿意を我慢できる時間が非常に短くなる
    参 : 特発性正常圧水頭症(HP)
    髄液シャント(バイパス)手術 : 髄液シャント術という簡単な脳外科手術によって治療が可能である
     認知症として、1965(昭和40)年にハキム(Hakim)とアダムス(Adams)が発表した。
     シャント手術は、発症3カ月以内、遅くとも6カ月以内に行わなければ効果が期待できなことから、
     症状を放置することなく、神経内科医と脳外科医の連携の基に早期診断、
     早期治療が行われることが必要とされる。
     シャント手術は、体内に管を半永久的に入れて脳室内にたまった余分な髄液をおなかの
     腹腔(ふくくう)に流してもとに戻す手術で、@脳室〜腹腔A脳室〜心房
     B腰椎(ようつい)〜腹腔がある。国内では@が多いが、最近は、ふだんよく動く腰に入れても
     耐久性のある管が登場し、脳室に管を入れずに済むBを選ぶ人が増えてきているという。
     ただし腰の変形がないなどの条件がある。
     
     シャント手術の技術の改善も進む。手術で髄液を流し出すのが多すぎると
     硬膜下血腫などの合併症が起きることもあるので退院した後でも経過を見守る。
     最近は、体外から磁石で髄液の出る量を調節できるバルブが使われ、合併症も減ってきているという。
     シャント手術では8〜9割の人が、何らかの症状が改善する。
     共同研究の結果では、歩行障害の改善率は8割、尿失禁と認知障害は6割前後という。
     一般的に、シャント手術の入院期間は2〜3週間で、手術代を含む入院費は約140万円。
     一定額を超えた自己負担分は払い戻しを受けられる高額療養費制度の対象になれば、
     70歳以上で一般的な所得の人の自己負担は4万4400円だという。
睡眠時無呼吸症候群 = SAS
スーパー特区(すーぱーとっく) : 内閣府が採択する「革新的技術特区」の通称で、
    革新的な技術の開発を阻む要因を克服するために、
    研究資金の特例を設けたり規制の緩和などの対策をモデル的に行うものである。
    経済財政諮問会議の「経済財政改革の基本方針2008」で2008年に内閣府が創設した。
    規制緩和にかかわる従来の特区は地域を限定したものだったが、
    スーパー特区はテーマ重視とし、複数拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体を対象としている。
    最先端の再生医療、医薬品・医療機器等について、重点分野を設定した上で、
    先端医療研究拠点を中核とした研究機関や企業に属する研究者又は
    研究グループから成る複合体のプロジェクトを選定し、研究資金の弾力的運用、
    規制を担当する厚生労働省等との並行協議等を試行的に運用し、これにより先端的な医療の実用化、
    産業化や国民へのより迅速な提供に向け、iPS細胞の応用、再生医療、
    医薬品・医療機器の開発・実用化などの研究開発の促進を図ることを目的とするものである。
     先端医療の開発・実用化の取り組みをする「先端医療開発特区」としての通称「スーパー特区」は
    その第一弾であり、地域限定で規制緩和する特区と異なり、先端医療研究を行っている
    研究者グループを支援・促進するのが特徴である。研究費の使用方法の規制緩和に加え、
    開発段階から厚生労働省などに承認申請の相談ができるようにした。
    課題の公募や決定は科学技術政策担当など4大臣と有識者からなる健康研究推進会議が行う。
    国内の研究グループからのテーマの公募が、内閣府、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の
    関連4府省より2008(平成20)年7月25日(金)から開始された。応募件数は143件で、
    体のさまざまな細胞になりうるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の臨床応用プロジェクトや
    再生医療など24件が選ばれた。スーパー特区に採択されることで、
    先端技術を複数施設で試行できる機会が増え、有効性の検証および実用化までの
    スピードが上がることが期待される。例えば、がんのペプチドワクチンはこれまで、
    症例数を集めることが難しいために有効性の検証が思うように進んでいなかったが、
    スーパー特区のプロジェクトでは、複数施設における臨床試験などが計画されている。
    参 : NEDO(技術開発機構HP)
頭痛(headache)ずつう : @心配。苦労。A頭の痛むこと。頭の痛み。とうつう。
    頭に痛みを生じるもの全般を意味し、「症候性頭痛」と「慢性頭痛(機能性頭痛)」の2つに分けられる。
    症候性頭痛とは、くも膜下出血脳腫瘍など、
     頭蓋内の重大な病気が原因の頭痛で、生命にかかわる可能性があるため、
     すぐに医療機関を受診しなければならないが、発生頻度は高くない。
    慢性頭痛とは、頭蓋内に異常がないにもかかわらず起こる頭痛を言う。
     いわゆる「頭痛もち」といわれる頭痛で、発生頻度が高く、
     頭痛全体の約80%はこのタイプであると言われている。
     慢性的に頭痛が起こる人は日本に3000万人程度いるだろうと推定されている。
    慢性頭痛の種類 慢性頭痛には「緊張型頭痛」、「片頭痛」、「群発頭痛」の主な3つのタイプのほか、
     片頭痛と筋緊張型頭痛の2つの頭痛が交互に起こるタイプや、
     くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、髄膜炎などの危険な頭痛もある。
     変形性頚椎症、副鼻腔炎、三叉神経痛、帯状疱疹に伴う神経痛でも頭痛が起こることがあるので、
     必要に応じて血液検査やMRIなどの検査も提携の施設で行われる。
      頭痛には、鎮痛薬の飲み過ぎが原因で起こる「薬剤誘発性頭痛」もある。
     頻繁に鎮痛薬を飲み続けていると、が痛みを感じやすくなり、新たな頭痛が生じ、
     かえって痛みがひどくなる。このタイプの頭痛を解消するには、薬の服用をやめることだが、
     カフェインなどが配合されている鎮痛剤は依存性があるので薬をやめると
     一時的に頭痛がひどくなることもあり、なかなか悪循環から抜け出せない。
     そういう場合、頭痛の専門医に相談すれば、断薬中の辛さを軽減する薬を処方してもらえる。
    (1)緊張型頭痛
     【特徴】緊張型頭痛は慢性頭痛のなかで最も多く、 その7〜8割を占める。
      中高年層の男女によくみられる頭痛で、
      頭全体をギューッと締め付けられる(圧迫される)ような痛みを首筋から後頭部に感じる。
      きつい帽子をかぶっている、あるいはハチマキなどで締め付けられるような痛みである。
      痛みが持続的に続き、短くて30分、長いものだと1週間は続く。
      パソコンをよく使ったり、目を酷使する人に多い。その多くが肩こりを伴う。慢性的で、
      だらだらと痛みが続くのが特徴。痛みの程度は軽度から中等度で、なんとか仕事を続けられる。
     【原因】原因の多くは、肩や首の筋肉、神経の緊張で、ストレスが原因になることもある。
      ストレスの原因は、「精神的なストレス」と「身体的なストレス」に分けられる。
      「精神的ストレス」の場合は、精神的にストレスが溜まり、筋肉・神経が緊張して起こる。
      「身体的ストレス」の場合は、姿勢の異常による首や後頭部、肩の筋肉がこることで頭痛が起こる。
      身体的ストレスによる緊張型ストレスは、
      一定の姿勢で1日中パソコンに向かう人に多くみうけられる(テクノストレス)。
      この場合は、筋肉の緊張をほぐして、頭痛の予防対策をしていく必要がある。
     【治療と予防】日常生活でできるだけ肩こりを起こさないようにすることが基本で、
      そのためには、デスクワークの際に肩や首に負担のかからない姿勢をとるように心がける。
      長時間同じ姿勢をとらないようにし、1時間に1回程度を目安に、ストレッチやマッサージをしたり、
      温めたりすることで筋肉のこりをほぐすようにするとよい。精神的なストレスを解消することも重要で、
      原因となっている問題を具体的に把握するだけでも精神的ストレスはかなり改善される。
    (2)片頭痛(偏頭痛)
     【特徴】
      ●頭の血管がいろいろな原因で大きく膨張し、周りの神経を刺激して痛みを伴うもの
       (ズキンズキン、ガンガンなど脈打つように痛むのが特徴)。
      ●吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことが多い。
      ●光や音に過敏になる。
      ●体を動かすと頭痛が悪化する。
      ●痛みはかなり強く、ときに仕事が続けられないこともある。
      ●こめかみ当たりの頭の片方が痛んだりするため「片頭痛」と呼ばれているが、
       場合によっては、頭全体が痛むこともある。特に20代〜50代の女性に多く見られる症状で、
       痛みは短くて2〜3時間、長い場合は2〜3日続くため、日常生活に支障を来たす。
      ●頻度は多ければ週に1〜2回、少なければ月に1〜2回程度繰り返される。
      ●発作の前に気分や体調の変化、生あくびが出るなどの前兆が出ることもある。
      ●発症1時間ぐらい前に閃輝(せんき)暗点と言って、目の前がチカチカしたり、
       ギラギラしたりする前兆が出るケースもある。
     【原因】動脈を収縮させているセロトニンという物質が何らかの原因によって急激に減少してしまい、
      その結果、動脈が拡張することが原因だとされている。
      また、脳幹から出ている三叉神経の末端から、ストレスなどの何らかの誘因・刺激により
      「痛み物質」である血管作動性の神経ペプチドが大量に放出され、
      その刺激での血管が拡張・炎症を起こすことが原因だとする三叉神経血管説もある。
      母親が片頭痛を持っていると、その子供も片頭痛を起こしやすいとも言われているが、
      いずれにしても、根本的な原因は不明。
     【治療と予防】痛みが軽い場合はこめかみを押さえたり冷やしたりする、
      緑茶コーヒーなどカフェインを含むものを飲む、前兆が出始めたら早めに鎮痛薬を飲む、
      などで痛みを抑えることができる。痛みが本格化してからでは効きが悪くなるので、
      なるべく早めに(できれば予兆や前兆が現れた段階で)飲むのがコツ。
      最近は病態の解明が進み、脳を包んでいる硬膜に分布している血管が
      炎症を起こして痛みを発することが分かっている。この炎症を抑えるのに、
      セロトニンという神経伝達物質の働きを助けるトリプタン系の薬が有効である。
      トリプタンは偏頭痛の画期的な治療薬だが、服用するタイミングが重要で、例えば、前兆がある場合、
      どうしても早めに服用しがちだが、この薬は痛みが生じてから飲まないと効果がない。
      逆に痛みが出て様子を見ているうちに服用が遅れて効かないケースもある。
      適切な治療を受けるためにも、神経内科の専門医に診てもらいましょう。
    (3)群発頭痛
     【特徴】20〜30代の男性に多い頭痛で、年に1、2回1〜2カ月の間に群発的に激しい頭痛が起こる。
      季節の変わり目など、決まった季節にやってくる場合が多い。
      痛みの長さは1〜2時間程度。(夜間、明け方(午前2時・午前4時ごろ)に起こる事が多い)
      「頭をかき回されるような」、「目をキリでえぐられるような」転げ回るほど痛いもので、
      たいてい同じ場所が痛む。頭痛と同時に痛んでいる側の鼻から鼻水が出たり、
      鼻が詰まったり、涙がでたり、目が充血したり、顔面が赤くなる症状も表れる。
     【原因】群発頭痛も目の後ろにある血管の拡張や炎症が原因で起こると考えられている。
     【治療と予防】群発頭痛の発作時の対応としては、医師に相談して適切なセロトニン作動薬(トリプタン)
      などの鎮痛薬を処方してもらい、痛みが起こったときには酸素吸入も効果的です。
    こんな頭痛には注意!
    (1)「バットで殴られたような」突然の激しい頭痛 : 意識障害や嘔吐などを伴うこともある。
      の表面の動脈が破裂する「くも膜下出血」の疑いがあり、一刻も早く脳神経外科にかかりましょう。
      参 : 硬膜下血腫
    (2)早朝や朝方に起こる頭痛 : 慢性的な痛みがだんだんとひどくなり、
      嘔吐、視覚障害、けいれんなどが表れる場合は「脳腫瘍」の疑いがある。
      悪性と良性があるが、できるだけ早く神経外科にかかりましょう。
    (3)風邪に似た発熱を伴う強い頭痛 : 首筋の後ろあたりが硬くなる症状があれば、
      細菌やウイルスによって脳を覆う膜に炎症が起こる「髄膜炎」の疑いがあるので、
      できるだけ早く神経外科にかかりましょう。
    (4)物忘れなどの精神症状が目立つ慢性的な頭痛
      1カ月以上前に頭部打撲などを受けたおぼえがあれば、
      脳を覆う膜の下に少しずつ血液がたまる「慢性硬膜下血腫」の疑いがある。
      お年寄りに起こりやすいため、認知症状と間違えないように。
    頭痛(慢性頭痛)に効果的なサプリメント
     プロポリス : フラボノイドに鎮痛作用がある。
     ナツメ(棗) : 鎮痛作用がある。
     杜仲茶 : 鎮痛作用がある。
     ウコン : 鎮痛作用がある。
     ブルーベリー : 原因の一つになる目の疲れを回復する。
     DHA : 鎮痛作用がある。
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう) : 厚生労働省の定義は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒
    などの生活習慣が、その発症、進行に関与する疾患群」で、1996年12月まで「成人病」と呼ばれていた。
    よくない生活習慣の積み重ねに加え、外部環境や遺伝的素因、加齢の要因が重なり合って起こる病気で、
    おもな生活習慣病は糖尿病(成人に多く起こる2型糖尿病)、高血圧高脂血症肥満症がある。
    特に糖尿病、高血圧、高脂血症の3つの症状はサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ、
    自覚症状がでにくいため放置される場合が多く、動脈硬化や心疾患の原因にもなる。その他にも、
    高尿酸血症や動脈硬化症脳卒中脳梗塞脳出血心臓病心不全狭心症心筋梗塞)、
    慢性気管支炎、肺気腫、大腸がん、アルコール性肝障害(肝炎・肝硬変)、歯周病
    骨粗鬆症認知症痛風パーキンソン病リウマチこう原病白内障などがあげられる。
    現在、日本人の死因のトップ3は、がん、心臓病、脳卒中で、いずれも生活習慣病疾患である。
    生活習慣病を起因する生活習慣
     食習慣   : 過食や高脂肪食、高塩分食、偏食、トマトなどの緑黄色野菜の不足など。
     運動習慣 : 運動不足など。適度な運動は血圧の上昇を抑え、高血圧症の発症を防ぐ。
       また糖尿病では、運動によって血糖値が下がり、病気の発症予防に役立つ。
       さらに運動をすることで体内の総コレステロールが減少し、高脂血症の改善にみ大きな効果がある。
     休養    : 過度のストレス、過労、睡眠不足、不規則な生活など。
     飲酒    : 大量のアルコール摂取は、高血圧、動脈硬化、糖尿病を引き起こされやすくなる。
     喫煙    : がん、高血圧、動脈硬化を引き起こされやすくなる。
    生活習慣病を予防するための注意事項
     (1) 栄養バランスのとれた食事をする。抗酸化作用にすぐれたビタミンCビタミンE
       ベータカロチンを含む緑黄色野菜を多く摂る(2) 食事は規則正しく1日3回食べ、間食はひかえる
     (3) 飲酒は適量にする(4) 禁煙する(5) 息がはずむ程度の運動を定期的に行う。
       ただし、持病のある人、高齢の人は急激な運動は避ける(6) 休養を十分とる
     (7)睡眠は7〜8時間とる(8) ストレスをためない(9)適正な体重を維持する(標準体重)      
生活習慣病に最も重要な栄養素(NTVのおもいッきりテレビより抜粋)
栄養素 1日の
摂取目標量
働きと健康効果 効果的摂取法
食物繊維 男性20
女性17
腸内の老廃物を排泄し、腸内環境を整え
大腸ガンを予防する。
体内の脂質を排泄し、動脈硬化を予防する。
1日3回に分けて
水溶性・不溶性の食物
繊維を同じ割合で摂る。
ビオチン 男性45μg
女性45μ
タンパク質・脂質の代謝を助け糖尿病を予防。
アトピー性皮膚炎などのアレルギーを予防。
イワシを食べる。
パントテン酸 男性mg
女性mg
ボケ症状・認知症・関節痛を予防する。 干し椎茸を摂った後に
牛乳をコップ1杯飲む。
コレステロール 男性750mg
女性600mg
血管の柔軟性を保ち、心臓病を予防する。
細胞膜やホルモンの原料となり
肌の老化を予防する。
卵と大豆食品を
一緒に摂る。
    参 : PFCバランスメタボリック症候群生活習慣病情報 ( 武田薬品工業HP)、
        日本生活習慣病予防協会(HP)、生活習慣病早わかり (全薬工業HP)

    寝不足、寝過ぎで生活習慣病=肥満や高血糖と関連、日大など疫学調査
     寝不足や寝過ぎは、動脈硬化につながる高脂血症、高血糖、肥満といった
    生活習慣病になりやすいことが2008年3月12日、日大医学部の兼板佳孝専任講師(公衆衛生学)らの
    疫学研究で分かった。同講師は「良い睡眠は生活習慣病の予防に重要」としている。
     同講師らは、@2005年の地域住民の健診データ約1000人分
    A2003年国民健康・栄養調査データ約4000人分B職場健診のデータ約2万2000人分を分析、
    睡眠時間と高血糖などとの関連を調べた。その結果、住民健診では血糖レベルを表す「HbA1c」の値が、
    睡眠6時間未満と8時間以上で高かった。また、国民健康・栄養調査では、
    女性の場合に中性脂肪が睡眠6〜7時間で最も低く、それより短いか長いほど高かった。
    動脈硬化を抑制する働きがある「善玉コレステロール」の値は、6〜7時間で最も高い傾向を示した。
整形外科(せいけいげか) : 骨格・関節・筋肉・神経など各運動器官の形態異常を矯正し、
    その機能障害を予防・診断・治療する外科の一分科である。
    整形外科の治療は、単に病気やケガを治すだけでなく、運動機能を元に回復させることを目的とし、
    不幸にして運動機能の回復が十分に得られなかったとしても、残った機能を最大限に活用して、
    元の状態に出来るだけ近く機能を回復させることも整形外科の大きな役割である。
     整形外科はよく形成外科や美容外科と混同されるが、形成外科は
    体の醜形(生まれつきのものやヤケド・ケガなどでの)を治すのを主たる目的とする医学の一分野で、
    美容外科は、主として形成外科医が行なう顔面の醜形を改善する診療科である。
成人T細胞白血病(Adult T cell Leukemia:ATL)せいじんティーさいぼうはっけつびょう
    ヒトT細胞白血病。成人のT細胞が白血病細胞となって異常に増殖するウイルス性の病気。
    HTLV−1(ヒトT細胞好性ウイルスT型)という白血病の一種であるリンパ球に感染する
    ウイルスが原因で、感染から50年ほどたってから発症する血液のがん(悪性腫瘍)のこと。
    ウイルスに感染して悪性化したT細胞(リンパ球の一種)が、
    血液やリンパ液によって、 骨髄や肝臓、 脾臓、消化管、 肺など全身の臓器に広がっていく。
    末期には免疫不全者に見られる日和見(ひよりみ)感染症にかかりやすくなる。
    抗がん剤治療や骨髄移植が行われるが、ウイルスの増殖を抑える効果的な方法がなく根治が難しい。
    このウイルスは、難病の脊髄症(HAM)も引き起こす。白血病と名付けられているが、
    白血病様の病態とともに悪性リンパ腫の病態双方の現れ方をするのが、この病気の特徴である。
    しかし、現在全国でこのウイルスを体内に持っている人は約108万人と推定されているが、
    そのうち年間の発病者は約1100人、HTLV−1関連脊髄症(HAM)の患者は全国で約1400人
    いるという。血液検査でHTLV−1が陽性であっても、
    ほとんどの人は発病しないまま一生を送ることができる。
    感染した母親が4カ月以上母乳で育てた場合の乳児への感染率は15〜20%とされる。
    ATLはウイルス感染で発病するため、当然感染ルートがある。おもな感染ルートは
    @母親→子ども(母子感染)、A男性→女性(水平感染)、B輸血だが、
    輸血の場合1986年に使用される日赤献血が全例がチェックされるようになって以降は、
    この面での不安は解消されている。
    主な症状
     ■リンパ節のはれ(首、わきの下、足のつけ根など)
     ■肝臓のはれ、脾臓のはれ
     ■原因不明の皮疹
     ■全身倦怠感
     ■血液中のカルシウム値の上昇による、のどの渇き、意識障害、不整脈、など
    重症化すると免疫機能が低下し、重症な肺炎などを引き起こす。
    治療 : 重症の場合、抗がん剤などの化学療法を行うが、最近は骨髄移植も成果を挙げている。
精神障害(せいしんしょうがい) : 精神異常。精神に異常がある状態の総称。
    精神疾患のために日常生活や社会生活がしづらくなることを言い、
    「精神病」といわれる精神疾患の総称として使われたり、精神機能の異常を指して使われることもあるが、
    「精神病」が医療的な視野から疾患・病気の側面を強調する言葉であるのに対して、
    「精神障害」は福祉的な視野からハンディキャップとしての側面を強調する言葉として用いられる。
    精神保健法が改正され、精神保健福祉法となってから使用されることが多い。
    精神疾患に対する誤解や偏見もあり、精神障害という言葉で、
    いわれの無い差別により人権が侵害されることもある。
    精神疾患を持つ人でも、普通の職場で働いている人もいる。
    また、他の身体の病気にかかったのと同様に、病気だけれど障害ではないととらえている人もいる。
    このように、実際は、精神疾患がある=障害者とは限らない。
    原因により先天性・内因性・心因性・外因性に分けられる。
    精神遅滞、性格異常(精神病質)、統合失調症、気分障害(躁鬱(そううつ)病、鬱病)、癲癇(てんかん)
    神経症、進行麻痺、中毒性精神病、ストレス関連障害(パニック障害、不安障害、強迫性障害、・・)、
    摂食障害、人格障害、アルコール・薬物などの依存症、認知症など。
    精神障害者の定義 → 精神障害者
    精神障害者保険福祉手帳 : 精神疾患を持つ者うち、精神障害のため長期にわたり日常生活または
     社会生活への制約がある者に対し都道府県知事または指定都市市長が交付するもので、
     一定の精神障害の状態にあることを証する手段となる。ただし、知的障害者は含まれない。
      日常生活での制約の状況に応じて、1級から3級までの区分が設けられている。
     なお手帳の交付を受けると、次のような福祉サービスが受けられる。
      ●通院医療費の公費負担助成
      ●地方税・所得税法上の優遇措置
      ●生活保護受給の際の障害者加算など

    精神障害が急増、300万人突破…2007年白書
    政府は15日午前の閣議で、2007年版「障害者白書」を決定した。
    精神障害を持つ人の数は2005年に約303万人となり、2002年から約45万人増え、
    初めて300万人を超えたことがわかった。
     疾患別では、そううつ病などの「気分(感情)障害」が33・3%で最も多かった。
    高齢化に伴うアルツハイマー病の増加も精神障害の急増の原因になっている。
     精神障害を持つ人のうち、在宅(通院)は2002年から44万人も増えて約268万人に、
    施設入所は1万人増えて約35万人になった。白書をまとめた内閣府は、「現代社会のストレスの増加や、
    心療内科の増加などで医療機関を受診しやすくなったからではないか」と見ている。
性分化疾患(Disorders of sex development:DSDs)せいぶんかしっかん
    染色体・性腺(卵巣・精巣)・性器などが男性型・女性型のどちらか一方に統一されていないか、
    またはあいまいな状態である先天的疾患の総称。英語ではDSDと略されることが多い。
    下垂体、甲状腺、副腎、性腺などの内分泌器官における疾患を総称するもので、
    「性分化疾患」という単一の疾患があるわけではなく、「アンドロゲン不応症」、「先天性副腎皮質過形成」、
    「卵精巣性性分化疾患」、「クラインフェルター症候群」、「ターナー症候群」、「ヌーナン症候群」、
    など、身体的性別に関する様々なレベルでの、70種類以上の症候群・疾患群を包括する用語である。
    患者の持つ身体的特徴もさまざまで、卵巣と精巣を併せ持つ「半陰陽」、
    卵巣と精巣が未分化のままでいる「性腺形成不全」、男性の尿道下裂、陰茎が極端に小さいか
    全く欠損している状態、女性で膣が欠損している状態、などの症状が見られる。
    性分化疾患を伴って生まれる確率は、およそ0.1%と言われている。
    性分化疾患を伴って生まれた場合に性別を正しく判定することは難しく、
    思春期を迎える頃になって自己の性認識と社会的環境との乖離(かいり)に悩む患者は多いとされる。
    担当科は小児外科(小児泌尿器科)となるが、
    国内では主治医として思春期にいたるまで長期にわたるケアが可能な医療体制も不足しているという。
    日本では以前までは男性か女性か区別しづらいことから、「性分化異常症」「性発達障害」「両性具有」
    「半陰陽」「インターセックス」などと呼ばれてきたが、こうした表現は適切でないとする見解もあり、
    日本小児内分泌学会が統一的呼称として「性分化疾患」と定めた。
    身体の性別と自認する性が異なる性同一障害とは異なる。
    参 : 性分化疾患ホームページ(厚生労働省)、日本小児内分泌学会(HP)、
        [YouTube](性分化疾患)

    性別確定「生後1カ月まで」(2011.10.16、毎日新聞より)
     外性器などが未発達で男女の区別が難しい性分化疾患の新生児について、
    日本小児内分泌学会と厚生労働省研究班は性別を確定する目標時期を「生後1カ月まで」とする
    医療者向けの手引を初めてまとめた。戸籍法は出生届の期限を14日以内と定めているが、
    十分に精査されずに性別判定されるケースがあるため。
    学会は法務当局の判断を仰いだうえで、期限の延長が可能としている。
     性分化疾患は2000人に1人の発生頻度との調査があり、1990年代に解明が進んだが
    今も十分な知識を持たない医師が多い。子宮も卵巣もある女児が外性器で男と判断されるなど、
    最低限の検査なしで性別判定されるケースが後を絶たない。
     手引は染色体や遺伝子など必要な検査や、内科と外科それぞれの治療内容を示した。
    性別確定まで1カ月としたのは、検査結果が出そろうのに14日以上かかる場合があるほか、
    経験豊富な医師の意見を仰ぐことを求めたためだ。
     同学会は、手引作成時に東京法務局に問い合わせ、医師の証明があれば性別や名前を空欄で出せる
    ことを確認。後に必要事項を埋める「追完」という方法で、14日を過ぎた届け出ができるとしている。
     厚労省研究班のメンバーで手引作成の中心になった堀川玲子・国立成育医療研究センター内分泌
    代謝科医長は「医学的には男女どちらとも言えない性があるが、『中間の性』という通念はまだない。
    性の変更を社会が受容する環境も整っていない以上、性別の判定は慎重を期すしかない」と話す。
     ほとんどの国民が性の変更を受容し、戸籍上からも男か女かをはっきりしてもらいたいと
    願っているのだから、この期に及んで「性別の判定は慎重を期すしかない」はないと思う。

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい) : 俗に、植物状態といわれる重度の昏睡状態を指す病状。
    高次脳機能障害のほかに、脳挫傷を起因としておこる後遺症があり、
    交通事故のみならず、医療事故でも起こり得る。
    植物状態の患者は脳幹が機能しているため生命を維持でき、長期間生存できる。
    一方、脳死の患者は脳幹が機能していないため、通常は10日以内に心停止に至る。
    ただし、遷延性脳死(長期脳死)の場合、30日以上脳死状態が続く場合がある。
     交通事故の場合には被害者が脳に激しい衝撃を受けて遷延性意識障害になる例が多いことから、
    事故被害者の支援業務を行う独立行政法人自動車事故対策機構では、
    交通事故による遷延性意識障害者専門の療護センター(病院)を設置・運営し、
    植物状態からの脱却を目指した治療・看護を行っている。また、同機構では、
    遷延性意識障害者を始めとして、重度後遺障害となった事故被害者のために介護料を支給している。
     延命のための食事や排泄等が著しく困難で、介護には精神的負担のみならず体力的負担が
    のしかかる。遷延性意識障害ではその重度さの立証もさることながら、
    介護していく上で必要となる人件費や家屋改造、介護器具等が損害賠償の対象となる。
     厚生労働省によると、根本的に回復する可能性は乏しいが、会話や自力摂食ができるまで
    改善した例はある。全国遷延性意識障害者・家族の会によると、全国で推計5万5千人いる。
    約300世帯が会員となっていて、その半数は交通事故が原因という。
    日本脳神経外科学会による定義(1976年)。
     @自力移動が不可能である。
     A自力摂食が不可能である。
     B糞・尿失禁がある。
     C声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
     D「手を握れ」「口を開けろ」「眼を開けろ」などの簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、
      それ以上の意思疎通は不可能である。
     E眼球は動いていても認識することは出来ない。
    以上6項目が、治療にもかかわらず3カ月以上続いた場合を「植物状態」とみなす。
    参 : 全国遷延性意識障害者・家族の会(HP)、日本脳神経外科学会(HP)、
        独立行政法人自動車事故対策機構(HP)
先進医療(せんしんいりょう) : 新しい医療技術の出現・患者ニーズの多様化等に対応するために、
    一般の保険診療で認められている医療の水準を超えた最新の先進技術として厚生労働大臣から
    承認された高度な医療行為のことを言う。大学病院などで研究・開発された難病などの
    新しい治療法のうち、ある程度実績をつみ、治療法として確立しており、保険適応とすべきかどうか
    検討される段階にある評価療養の一種とみなされ、保険診療との併用が認められている。
    先進医療として認められていない新技術による治療を受ける場合は公的医療保険の適用がなく、
    全額自己負担となる。先進医療に認められると、その先進医療にかかる技術料以外の診察料、検査料、
    投薬料、入院料などは、公的医療保険の適用となり、患者の自己負担が軽減される。
    しかし、技術料は患者の全額負担となり、医療機関や治療法によってかなり高額となる場合があるが、
    通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)については保険適用となる。
    先進医療にかかる費用は、医療の種類や病院によっても異なる。
    2006(平成18)年10月の健康保険法等の改正にあたり、従来の高度先進医療と先進医療が
    統合されて新制度の先進医療に再編されたことにより、新制度の先進医療の範囲の方が広くなり、
    2008(平成20)年7月1日現在で81種類、530件の先進医療当該技術の施設が設定されている。
     先進医療は、一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を
    認めた場合に行われる。先進医療を受ける時は、治療内容や必要な費用などについて、
    医療機関より説明を受け、説明内容について十分に納得したうえで、同意書に署名し、
    治療を受ける事になる。先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する
    部分についての一部負担金、食事についての標準負担額などを支払うが、
    それぞれの金額を記載した領収書が発行される。
    この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となるので、保管しておく必要がある。
    最近では、先進医療を受けた際に給付金を受取る事ができる医療保険も発売されている。
     脳血流の変化を測定する「光トポグラフィー検査」は群馬大のほか、東大病院(東京都文京区)、
    国立精神・神経センター病院(東京都小平市)が承認を受け、現在実施の準備中で、
    昭和大も2010年4月からの実施を目指して承認申請中である。
    参 : 先進医療の概要について(厚生労働省HP)
専門医(せんもんい) : ある病気を専門に診療・研究している医師で、
    専門によっては医師会や学会などがその資格を認定している。
    各学会がそれぞれの呼び名で認定制度を行なっているため、
    「認定医」、「専門医」、「認定士」などと呼び方が色々あり、
    規則や要領などもそれぞれの学会で定めていて、はっきりとした区別はない。
    医師国家試験に合格した医師は自由に標榜科目を選ぶことができるが、
    現在、「日本専門医認定制機構」では、5年間以上の専門研修を受け、
    資格審査ならびに試験に合格して、各学会等によって認定された医師のことで、
    一度認定されたらそこで終わりではなく、認定資格の更新を受けなければならない。
    日本内科学会の場合、認定医の資格取得後さらに経験を積んでから専門医の受験ができる。
    内科専門医 : 正式名称は「日本内科学会認定内科専門医」といい、
     日本内科学会が試験を行い、合格した医師に与える資格である。この試験を受験するためには、
     まず同学会の認定内科医試験に合格していなければならない。そして、認定内科医の試験は
     内科の研修を終了し、さらに1年間以上研修した後に(最短で3年)初めて受験資格ができる。
      認定医試験を受けるにあたっては、それまで担当した内科の全ての分野(呼吸器・循環器・
     消化器・血液・内分泌・代謝・神経内科)の患者の診療要約(サマリー)を50症例分と、
     外科手術に回った症例および亡くなった症例のサマリー各数例ずつを前もって提出し、
     審査を受けなければならない。
      内科認定医に合格してさらに2年以上研修し、ようやく専門医の受験資格ができる。
     ここでも20症例分の新たな患者サマリーが要求される。専門医試験では認定医試験に比べ、
     さらに医学知識の要求水準が高くなる。
     また、知識だけでなく患者に対するマネッジメントの試験も出題される。
    医療情報公開の一環として、厚生労働省は2002年4月、患者が医師を選ぶ際の目安にしてもらうため、
    専門医の肩書を病医院の看板などに表示することを認めた。法人格があり★会員1000人以上
    ★8割以上が医師★研修期間5年以上★試験を実施★専門医の名簿をインターネットの
    ホームページで公表★★★など9つの要件を満たす学会の届け出が、厚生省に受理される必要がある。
    「日本では医師の国家試験に合格すると、『外科、内科』というように、2つでも3つでも診療の看板を
    掲げることができる。この制度では、患者にとって一番知りたい医師の知識・診療経験といった
    専門性が不透明になってしまう。欧米では半世紀も前から、一般医と専門医の区分けを明確にして、
    社会に認知されている。開業するにも、専門医の資格をとらないとダメなわけで、
    日本でも、従来は欧米諸国の専門医制度と類似した制度を設け、学会ごとに認定が行われて来た。
    しかし、各学会が独自に発足させた制度であるために、認定の規定も研修カリキュラムもまちまちで、
    水準が一定ではないことと、一般にわかりやすい形で公表されていないことが問題となっていた。
    このような状況を改善し、一定基準を設けて専門医制度を整備するために、昭和56年、
    日本医学会に加盟する認定医、専門医制度を持つ学会が集まって学会認定医制協議会が発足した。
    これが前身となって、さらに制度を発展・充実させるため平成15年に設立されたのが、
    前記の中間法人日本専門医認定制機構である。
    平成16年3月1日現在、厚生労働大臣に資格認定団体としての届出を行い、その届出が
    厚生労働省の審査を経て受理された団体は、(整形外科、皮膚科、麻酔科、放射線科、眼科、
    産婦人科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、形成外科、病理、内科、外科、糖尿病、肝臓、感染症、
    救急科、血液、循環器、呼吸器、消化器病、腎臓、小児科、口腔外科、内分泌代謝科、
    消化器外科、超音波、細胞診、透析、脳神経外科、リハビリテーション科、老年病、
    心臓血管外科
)専門医で、
    他にネットで見受けられるものとして、耳鼻科、内分泌病、甲状腺、小児外科、
    小児歯科、歯列矯正、腫瘍、婦人科腫瘍、血友病、矯正、日本気管食道学会、
    美容外科、プライマリ・ケア、アレルギー、毛髪、毛髪外科、乳腺、周産期のほか、
    変わったものに家庭医療、家庭医学、獣医外科、公衆衛生、スポーツ、鳥類などがある。
    現在、カッコ内の受理されている以外で専門医で受理されているものもあるかもしれないが、
    いずれにしても何でもありの状態で、いまに「歯石除去専門医」なんてのが出てくるかもしれない。
     ちなみに、専門医の上位ランクに「指導医」があり、
    若い医師を指導できる十分な力量と経験を備えた医師のことである。
    厚生労働省の学会への広告認可基準
     ●学術団体として法人格を有していること。
     ●会員数は1,000人以上であり、かつ、その8割が医師又は歯科医師であること。
     ●一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること。
     ●外部からの問い合わせに対する体制が整備されていること。
     ●医師又は歯科医師の専門性に関する資格(以下「資格」という)の取得条件を公表していること。
     ●資格の認定に際して5年以上の研修の受講を条件としていること。
     ●資格の認定に際して適正な試験を実施していること。
     ●資格を定期的に更新する制度を設けていること。
     ●会員及び資格を認定した医師又は歯科医師の名簿が公表されていること。
     歯科関連学会を例にとると、40以上の学会があるのに、
     厚労省からの広告認可を受けている学会は、2006年8月22日現在で下記の3団体だけである。
      ■日本口腔外科学会(平成15年11月19日認可)■日本歯周病学会(平成16年10月5日認可)
      ■日本小児歯科学会(平成18年3月24日認可)
     したがって、条件を満たしていない多くの学会への信頼度はいかがなものだろうか?

臓器移植法 = 臓器移植法(別掲)
鼠径ヘルニア(inguinal hernia)そけいヘルニア : 「ヘルニア」とは医学用語で「正常の位置にあるものが
    他の部位に飛び出してしまうこと」で、腰、つまり椎間板ヘルニアを連想されがちだが、
    「鼠径」とは、太ももの付け根の部分のことで、鼠径部から陰嚢にかけ、膨隆や腫瘤がみられ、
    出たり引っ込んだりする病気で、俗にいう「脱腸」のことである。
    鼠径ヘルニアには先天的なものの乳幼児〜小児期のタイプと、50〜60才代の年をとって
    身体の組織が弱くなるために起こる成人タイプがあり、中年以降の男性に多く見られる。
    小児タイプでは経過観察を行う場合もあるが、成人鼠径ヘルニアは診断が付き次第手術が原則である。
    これは、お腹の内側の膜(腹膜)が鼠径部の腹壁の弱くなっている部分を通って袋状に飛び出し、
    そのなかに腸などの臓器が脱出することによって起こる。
    おもな症状は、立ち上がったりお腹に力を入れると鼠径部がふくらむことで、大きなものでは陰嚢まで
    達することがある。このふくらみは、身体を横にしたり手で押さえると引っ込んでわからなくなることが
    特徴である。このように腸が出たり入ったりしている際は、軽い痛みやつっぱり、便秘が起きる程度で、
    強い痛みなどの症状はありません。しかし、恐ろしいのはお腹の外に出た腸(臓器)が飛び出したまま、
    戻らない場合(嵌頓=かんとん状態)になってしまうこと。激しい痛みや、吐き気、
    熱などの症状が出ることもある。すぐにはさまった腸を元に戻さなければ腸閉塞、
    腹膜炎を引き起こす可能性や腸が腐ることもあるので、緊急手術が必要となる。
    鼠径ヘルニアの分類
     @外鼠径ヘルニア(間接ヘルニア:indirect inguinal hernia)
      出生後も開存している腹膜鞘状突起を嚢とし、外側鼠径窩(内鼠径輪)を門とするヘルニアであり、
      鼠径ヘルニアの大部分を占める。生理的な精巣下降と同じ経路が開存するもので、
      未熟児の男児に多く、右側に好発する。年をとってきて筋膜が衰えてくると鼠径管の入り口が
      緩んでくると、お腹に力を入れた時などに入り口の隙間から腹膜が出てくるようになり、
      次第に袋状(ヘルニアのうという)に伸びて鼠径管内を通り脱出する。
      いったんできた袋はなくならず、お腹に力を入れるとヘルニアのうの中に腸など、
      お腹の中の組織が出てきたヘルニアのことである。
     A内鼠径ヘルニア(直接ヘルニア:direct inguinal hernia) : 内側鼠径窩から鼠径管底を通じて
      直接垂直に腹壁を貫き、外鼠径輪から脱出するヘルニアをいう。腹壁には弱い場所があり、
      年をとってきて筋肉が衰えてくるとここを直接、押し上げるようにして腹膜がそこから袋状に伸びて
      途中から鼠径管内に脱出するヘルニアで、筋の無力によって生じることから
      女児や高齢者に多い。特に50歳以上の高齢男性に多い。
     B大腿ヘルニア : 鼠径部の下、大腿部の筋肉、筋膜が弱くなって膨らみが発生するヘルニアで、
      60歳代の女性に多く、イレウス(腸閉塞)の場合もあり、診断に時間がかかることがある。
      放置すると次第に腹痛が強くなり、腹膜炎を起こすこともあり、早めの手術が必要となる。
     C閉鎖孔ヘルニア : 閉鎖孔を通じて大腿窩の内下方の皮下に脱出するヘルニアをいう。
      ヘルニア嚢は小さく体表から認めることは少ない。従って嵌頓を起こしやすく、
      イレウスを伴い、発見しづらい原因疾患であるケースがしばしば見られる。
      60才過ぎの女性に多く患側の大腿内部から膝関節付近までの放散痛やしびれを感ずる。
胎児性アルコール症候群 = FAS
帯状疱疹 = 帯状疱疹(別掲)
多汗症(たかんしょう) : 体温の調節に必要な範囲を超えて、発汗の量が異常に多いことを指す症状である。
    主に緊張・不安などのストレスから交感神経が狂い、
    体温上昇とは関係なくエクリン腺より汗が過剰に放出される疾患である。
    頭部・手・脇に多く見られる。(内科的疾患の部分症として現れることがあり、
    甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、褐色細胞腫、先端肥大症が重要である。
    先端肥大症では汗腺の肥大により多汗が生じる。
    汗腺(かんせん)そのものの機能亢進(こうしん)状態、汗腺に対し薬理学的作用をもつ薬剤、
    発汗神経の異常など種々の原因でおこる。全身性多汗症と局所性多汗症がある。
    全身性多汗症 : 体質によるほか、有熱性疾患、バセドウ病、リウマチ性関節炎、糖尿病
     妊娠や更年期などでみられる。体温調節中枢の興奮、異常(脳しんとう、パーキンソン病
     交感神経系障害など)や薬剤(抗コリンエステラーゼ剤や解熱薬など)でもおこる。
    局所性多汗症 : 顔面、わきの下、手のひらや足の裏の掌蹠(しょうせき)
     外陰部に精神的な緊張で普通以上に汗をかくものをいう。
    俗に「あぶら手」とか「あぶら足」とよばれているのは「掌蹠多汗症」のことである。
    進行麻痺(まひ)、半身不随、神経炎などでは侵された部位によって顔または全身の左右どちらか
    一側に多汗がみられ、これを「片側性多汗症」という。体質的な多汗症には根治療法はない。
    日常生活で気にしないよう精神の安定を図る。精神安定薬、自律神経遮断薬を用いることもある。
    局所には塩化アルミニウム液、滑石末などが用いられる。
    参 : 日本発汗学会(HP)
胆石症(Gallstone)たんせきしょう : 胆汁が存在している胆嚢(たんのう)や胆道系に石ができる病気の
    総称で、それぞれ部位により、胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内結石症と呼ばれる。
    一般には胆嚢結石が多いため、胆石症といえば胆嚢結石症をさすことが多い。
    胆石は、主たる成分により、コレステロール系石、色素系石などがある。
    胆嚢内に石が収まっているときには、サイレントストーンと言って症状はないが、
    石が胆嚢の出口の胆嚢管に詰まると、激しい発作と痛みを伴う病気で、腹痛・発熱・嘔吐・
    黄疸(おうだん)などの症状を呈することがあるが、無症状に経過する場合が少なくない。
     石が胆嚢の外に出て、十二指腸までの通路をふさぐと「胆管炎」になる。
    こちらは肝機能の低下や膵炎など、重症になる危険がより高いので、尿が赤く見えたら要注意である。
    主な症状 : 右脇腹からみぞおちへの刺すような痛みだが、
    さらに右の背中から肩にかけて痛みが広がることもある。
     発作は通常、数10分から2時間ほどで治まるが、
    放置していると1年以内に半数の人が再発を繰り返し、急性胆のう炎に移行する危険性も高まる。
     症状を自覚したときには、まず最寄の消化器内科を受診する。
    診断は、超音波エコーCTの画像検査により行われる。
    原因 : 石ができる一番の原因は太りすぎで、肉やあぶらの多い食事ばかりとっていると、
    胆汁中のコレステロールが増えて胆石ができる。また、食事と食事の間が長いと、
    それだけ胆汁の濃縮が進み、石ができやすくなることから、朝食を抜くのはよくない。
    肥満につながる高脂肪食だけでなく、無理なダイエットも要注意で、食事を減らして急に体重を落とすと、
    肝臓が異変を察知して胆汁中のコレステロールを上げ、胆石ができやすくなるという。
    治療 : 炎症を繰り返して胆嚢の壁が厚くなったり、石がたくさんあったりする時は、
    手術で胆嚢を摘出する。おなかに小さな穴を開けてする腹腔鏡手術が代表的である。
    かつて、胆石を体外から衝撃波で砕く方法が注目されたが、
    当初期待されたほど石を消すことはできず、最近はあまり使われていない。
    参 : 尿路結石
地域医療再生計画(ちいきいりょうさいせいけいかく) = 地域医療再生計画(別掲)
治験(ちけん) : 治療のききめ。治療の効験。「治療の臨床試験」や「治療試験」を略した言葉。
    医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、薬事法上の承認を得るために行われる臨床試験のこと。
    それ以外の臨床試験は非治験となる。薬事法第2条第16項の「医薬品・医療機器等の
    製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けるために申請時に添付すべき資料のうち、
    臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施」が、治験に相当するとものであると
    考えられる。従来、承認を取得することが目的であったため企業主導で行われてきたが、
    薬事法が改正され必ずしも企業の開発プロセスに乗る必要はなく医師主導でも実施可能となった。
    動物を使用した非臨床試験(前臨床試験)により薬の候補物質もしくは医療機器の安全性および
    有効性を検討し、安全で有効な医薬品もしくは医療機器となりうることが期待される場合に行われる。
    治験は第T相から第W相までの4段階で行われることが多い。
    ただし、第V相試験に多大な時間のかかる抗がん剤に関しては、
    第U相までの結果をもとに第V相の試験実施計画も併せて承認申請を行うことがある。
    医薬品の治験(いやくひんのちけん) : 製薬会社が開発した新薬(品質が未知な薬剤)を
     「治療薬」として厚生労働省から薬や医療用具として承認を得る為に参加ボランティア、
     患者など一般の方々の協力を得ながら、薬の安全性(副作用など)や有効性(効果など)を
     確かめるため、治療を兼ねた研究を目的に医療機関で薬事法に従って実施される臨床試験のことで、
     動物による「前臨床試験(非臨床試験)」で安全と有効性が確認された後に医師へ依頼し、実施される。
     治験は厚生労働省が定めた基準(Good Clinical Practice:GCP)に従い、
     薬や医療用具を開発している企業が結果をもとに医薬品として申請し
     独立行政法人・医薬品医療機器総合機構が審査する。
     患者には治験の目的や他の治療法などを説明し、自由意志で参加することが重要とされる。
     どんなに有効性がある成分も、治験を経なければ国から承認されず、
     薬として私たちの手に届くことはない。まさに治験は新薬誕生の「要」である。
     また、「市販後調査」とは、国からの承認を得た医薬品を医療機関で使用されている実情に即して、
     その安全性と副作用に関する情報を収集する調査のことをいうが、
     治験とともに患者の協力がなければ遂行できない。
     国内の治験体制は十分ではなく、日本で薬になる物質が見つかっても海外の承認が先行する例さえ
     あった。厚労省は2011年度予算の概算要求に新たな医薬品を作り出す拠点整備を盛り込んだ。
    参 : 臨床研究臨床試験の規制ヘルシンキ宣言治験(厚生労働省HP)、
        医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生労働省令)、
        医学ボランティア機構(SVO−HP)
中皮腫(ちゅうひしゅ) = 中皮腫(肺の関連に別掲)
超音波エコー(ちょうおんぱえこー) = 超音波エコー(別掲)
調剤薬局(ちょうざいやっきょく) = 調剤薬局(別掲)
腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう) = 腸内細菌叢(別掲)
痛風(the gout)つうふう : 代謝障害や内分泌障害により尿酸が体内に異常に蓄積し、
    関節炎を起こす疾患をいう。中年の肥満男性に発症が多く、女性の発症は閉経期以降に多く、
    通例足の親指の猛烈な関節痛発作に始まる。慢性化すると尿酸が組織に沈着して結節を形成、
    関節破壊や心臓・腎障害などが起きる。「痛風」は約70%が足の親指のつけ根が痛くなる。
    それ以外にはひじやひざ、かかと、足の親指以外の関節、くるぶしなどで発作が起こり、
    最初の発作では約90%が足の指の関節周辺で起こると言われている。
    ある日突然足の親指のつけ根が激痛に見舞われる。この発作が起こるとたちまち赤く腫れてしまい、
    ほんの少し動いたり、近くを車が通りすぎる音さえも足に響き、新たな激痛を覚えてしまう。
    まさに、名前の由来と言われる「風が当たっただけでも痛い」病気で、
    これほど痛い痛風なのに、激しい痛みは一時的なもので、長くても1〜2週間しか続かない。
    その後は何事もなかったかのように痛みが治まってしまうので、治ったと勘違いしてしまうことも多いが、
    痛みがなくても症状が進行中ということがあるので、注意が必要である。
    西洋では古くからよく知られた痛風だが、日本で初めて痛風患者の報告があったのは、
    約100年前のことで、第二次世界大戦以降の1960年ごろから痛風にかかる人が急増し、
    厚生労働省の国民生活基礎調査(2007年)によると、痛風で通院している患者は約85万4千人。
    そのうち、男性が約9割を占める。長年、患者の動向を調査している帝京大学の藤森新教授(代謝学)は
    「発症するのは30代が最多で、20代もまれではない。痛みがまだ出ていない予備軍を含めると、
    患者の10倍、約900万人はいる」と説明する。
    痛風は「ぜいたく病」とも言われていたたように、美食や大酒が関係した病気であり、
    毎晩のように晩餐会を開いてぜいたくをした上流階級の人がかかる特別な病気だと
    考えられていたが最近では食生活が変化し、ごく一般的な病気へと変わってきている。
    また栄養過多に共通の糖尿病動脈硬化症高脂血症による循環器系合併症として
    虚血性心疾患、高血圧症をきたしやすい疾患でもある。
     痛風は糖尿病の場合ほど、食事に神経質にならなくていいそうで、
    10年ほど前までは、痛風患者や高尿酸血症の人は「煮干」「カツオブシ」「干ししいたけ」「鶏シバー」
    などのプリン体を多く含む食品は厳しく制限すべきという考え方が支配的だった。
    ところが最近は、食事から摂取するプリン体は全体の20%程度ということがわかり、
    「プリン体が多い食品を正しく理解して、できるだけ控え目にする」という程度の食事療法でよいという。
    主な高プリン体の食べ物(100g当たりのプリン体含有量が200mg以上)
     ●肉類…豚、牛、鶏のレバー
     ●魚介類…カツオ、イサキ(白子)、マイワシ、大正エビ
     ●干物…カツオ節、煮干し、干しシイタケ
    痛風の痛みの原因は体内で増加した尿酸である。尿酸は健康人でも常に1200mgくらい存在し、
    毎日700mg生産され、それと同じ量が排泄されている。この生産と排泄のバランスがとれている間は
    何の問題も起こらないが、生産過剰か排泄不足かその両方が起きると、
    いつもプールされている1200mgを超えることになるので、過剰の尿酸は血液の中で飽和状態になる。
    尿酸の蓄積は、健康診断でも示される尿酸値で知ることができる。日本痛風・核酸代謝学会の
    ガイドラインは、1dLあたりの血清尿酸値が7.0mgを超えると、年齢・性別を問わず
    「高尿酸血症」と定義、つまり予備軍の仲間入りとなる。ただ、尿酸値が高くても発症しない人もいる。
    血液に溶ける尿酸は血液1dL中に6.8mgまでで、それを超えると理論的には
    いつ結晶になってもおかしくなく、7.0mg以上では高尿酸血症と診断され、7.5〜8.5mgは要注意、
    8.5mg以上ではいつ痛風発作を起こしても不思議ではない状態と考えられる。
    痛風の痛みの原因はこの結晶化した尿酸で、尿酸の結晶は特に足の親指の付け根の外側が
    好みのようで、他には耳たぶ、腎臓、その他全身の関節などどこにでも集まる。
     尿酸結晶は顕微鏡で見ると針状の形をしていて通常は身体には存在しない物質なので、
    異物として排除する機構が働く。まず出動するのは白血球で、
    白血球は異物の中でも細菌などの生き物を食べて処分することは得意だが、
    尿酸結晶は化学構造式では尿酸ナトリウムという無機の化学物質なので、
    白血球がいろいろの酵素を出して溶かそうとしてもうまくいかず、
    結局白血球自身が自滅する運命になってしまう。そのとき白血球からいろいろの化学物質が出て
    その場所が酸性の環境になりやすく、毛細血管が広がり血液量が増え、局所熱が上がり腫れあがり
    激痛につながっていき、酸性に強い尿酸はますます結晶化しやすくなる。
     治療を開始しないと間欠期が非常に短縮して関節炎発作が相次いで発生し、
    どこかの関節が常に侵されている慢性関節炎発作期に移行する。
    この時期になると痛風結節がでたりする。また経過中、尿路結石を生じて急激な腹部激痛、
    血尿、発熱などの結石症状を起こす症例の割合が非常に高くなる。
    その結果、腎機能は低下し、血圧上昇、浮腫(むくみ)、心悸亢進などを呈し尿毒症になる。
    検査成績では血清尿酸値は通常7mg/dl以上に上昇しており、
    また急性関節炎発作時にはCRP(反応性蛋白)が陽性となり、赤沈亢進、白血球増加が認められる。
    単純X線所見では初期、中期では変化はないが、末期では小骨、特に足の親指のつけ根の
    関節近傍にパンチドアウト(打抜き)像を認められることがあるが、関節腔に異常はない。
    痛風結節の内容は、顕微鏡でみると針状結晶を示し、ムレキシド(murexide)反応が陽性となる。
     痛風発作が怖くて極端な食事制限をすることは、栄養不足になってしまうので良くない。
    食事量は朝、昼、夕にできるだけ均等割りにすることがおすすめで、
    運動はマラソンやトライアスロンなどよりもウォーキ ングや軽いスイミングの方が無難である。
    最近は安全でよく効く薬があるので、食事制限は軽めにして薬でコントロールしながら
    生活することの方が合理的という考え方もある。
    痛風の予防 : 痛風予備軍の高尿酸血症は、それ自体が高血圧や動脈硬化などの生活習慣病
     リスク要因であり、何の症状も出ないうちに、尿酸が沈着して腎臓の働きを悪化させるリスクも
     あることから、定期的に尿酸値を測定することが大切である。
     尿酸値はストレスなどで大きく上下するので、最低でも年に一度はチェックしたい。
     尿酸値が7mgを超えたら危険信号。検査の回数を増やし、もし8mgを超えたら、
     医療機関で腎臓の検査も受けた方がいい。体質以外で尿酸値を上昇させるリスク要因は
     肥満、食事(1日当たりのプリン体の摂取量を100g当たり400mg以下に抑える)、
     アルコール(1日当たり日本酒であれば1合、ビール500mL、ウイスキー60mL、
     ワイン3分の1本以下に抑える)、水分不足、ストレスなどがあげられる。
     ハードな運動はかえって尿酸を増やすので、ウオーキングなどの週3回程度の軽い運動をする。
     尿の酸性度が強いと尿酸が溶けにくいので、野菜や海藻を多く摂るとよい。
    参 : 痛風財団(HP)
椎間板ヘルニア → ヘルニア
ツベルクリン反応(tuberculin reaction)つべるくりんはんのう : ツベルクリン反応検査。
    結核に感染の有無を判定する検査法の一つ。
    ツベルクリン(結核菌の培養液から分離精製した抗原)の少量を皮膚または粘膜の一部に投与し、
    48時間後にその部位に起こる発赤(ほっせき)やしこりの大きさから陽性、陰性を判定する。
    陰性の場合は未感染と考え、免疫をつくるためBCGが接種される。
    陽性ならば、結核感染やBCG接種によって免疫が得られたと考える。しかし、
    結核菌に似た菌によって陽性になったり、結核感染後4〜6週間以内は陰性になることがあるため、
    ツベルクリン反応だけで結核感染を判断することはできない。
    結核菌の感染や結核予防ワクチンのBCG接種を受けた人にツベルクリンを皮内注射すると、
    結核菌に感作(かんさ)された状態になるが、その状態を示すのがツベルクリン反応で、
    典型的な遅延型アレルギー反応である。
    現在ではマントーが創始した皮内注射法が最も広く用いられている。
    検査結果の判定 : 48時間後の皮膚反応を判定(72時間以内は可)
     陰性 : 注射部位の発赤の長径が10mm未満。
           結核に感染している可能性は否定的:感染のハイリスク群。
     弱陽性 : 注射部位の発赤の長径が10mm以上であるが硬結や2重発赤はない。
            結核に感染している可能性は考えにくい。
     中等度陽性 : 注射部位の発赤の長径が10mm以上で硬結を伴う。
               発赤の長径が30mm以下の場合:結核に感染している可能性は考えにくい。
               発赤の長径が30mm以上の場合:結核に感染している可能性を否定できない。
     強陽性 : 発赤の長径が10mm以上で硬結以外に2重発赤、水疱、壊死を伴う。
             結核に感染している可能性が強く疑われる。
手足口病(Hand,foot,and mouth disease:HEMD)てあしくちびょう
    コクサッキーウイルスの一種が原因となっておこるウイルス性疾患で、夏かぜの一種でもある。
    病名は手のひら、足の裏、口の中などに、米粒ぐらいまでの発疹と水疱が発生することに由来し、
    水疱は、まわりが赤く、中心が黄色っぽいのが特徴である。主に生後半年から5歳ぐらいまでの
    乳児や幼児によくみられる疾患であるが、成人も感染する。乳児でまれに死亡することがある。
    夏季を中心に流行し、汗疹と間違えられやすいが、秋や冬にも発生する。
    原因となるウイルスには、ピコルナウイルス科内のエンテロウイルス属に属し、
    腸管ウイルスであるコクサッキーウイルスA16が主で、
    他にA4,5,9,10,B2,5また、エンテロウイウルス71型も原因となる。
    感染者の鼻や咽頭からの分泌物、便などによる接触感染や飛沫感染で起き、
    感染から発症までに3日から6日程度で、38度ぐらいまでの熱や軽いのどの痛みなど始まり、
    1〜2日後に手掌と足底の痛みを伴う水疱性丘疹、口内にも水疱出現し、7〜10日間続く。
    ただし、常に全ての徴候が出現するとは限らない。発疹や水疱に痛みやかゆみはあまりなく、
    多くの場合、1週間から10日程度で自然に治癒するが、まれに急性髄膜炎が合併し急性脳炎を
    併発することがある。顔色が悪い、突然の高熱、長く続く微熱、激しい下痢や嘔吐を繰り返すといった
    症状がある場合は、受診した方が良い。口の中の水疱が破れると、痛みが出て食事がとれないことが
    あるため、水分の補給を心がけることが必要である。エンテロウイルス71の感染症例では頭痛、
    嘔吐などの中枢神経系合併症の発生率が他のウイルスを原因とする場合より高い。
    また、コクサッキーウイルスA16感染症例では心筋炎合併の報告がある。
    一度かかると免疫ができるが、原因となるウイルスが複数あるため、再びかかることもある。
    予防としては、手足口病に有効なワクチンは存在しないため、石鹸での手洗いとうがいを励行する。
     毎年6〜9月に流行し、だいたい2〜3年ごとに大流行している。最近日本では1988年、
    1990年、1995年、2000年に大流行した。1997年にはマレーシアで、1998年には台湾で大流行し、
    心筋炎や急性脳炎などの合併症による死者も報告された。日本でも1997年と1998年の流行時には
    手足口病の経過中に死亡あるいは重篤(じゅうとく)な神経症状を合併した例が多数報告されている。
    参 : 手足口病のページ日本医師会HP)

    手足口病が西日本中心に大流行、手洗い徹底呼びかけ(2011.7.24、asahi.comより)
     夏場に流行し、主に乳幼児の手足や口内などに発疹ができるウイルス性の感染症「手足口病」が
    西日本を中心に激増している。1医療機関あたりの患者数は、1982年の調査開始以降、過去最多。
    国立感染症研究所は、手洗いを徹底するなど感染の拡大防止に注意を呼びかけている。
     同研究所の速報値によると、10日までの1週間に全国約3千の医療機関で診断された患者数は
    約3万人で1機関あたり9.7人。これまで最多だった1995年の7.7人を上回った。
     都道府県別では佐賀県が42.26人と最も多く、次いで福岡県40.96人、熊本県32.65人、
    愛媛県30.97人、山口県26.77人、兵庫県24.72人と続く。大阪府も14.3人などと
    西日本で顕著で、特に近畿や中部地方ではさらに患者数が増える可能性が大きいという。
手足のしびれ = 手足のしびれ(別掲)
低血圧症(hypotention)ていけつあつしょう : 低血圧が持続する状態。
    体質性のものと、他の疾患の一症状として現れる場合がある。WHOの基準では、
    正常値血圧は収縮期血圧が140mmHg以下で拡張期血圧も90mmHg以下とされていて、
    低血圧症とはこれが持続的に110〜100/70〜60mmHg以下を示すものとされている。
    低血圧症には、原因不明の「本態性低血圧」と種々の基礎疾患によって低血圧症を生じる
    「二次性(症状性)低血圧症」、小学生高学年や中学生などに起きやすい「起立性低血圧症」などがあり、
    低血圧を起こす疾患は悪性腫瘍や内分泌疾患など様々である。
    また、高齢者が食後およそ75分以内に急に立ち上がったとき、ふらついたり、
    転倒したりする「食事性低血圧」もあるので、食後2時間は急に立ち上がらないように心掛ける。
    「起立性調節障害(OD)」と呼ばれ、自律神経がうまく働かなくなって、立ち上がったときに
    下半身の方に片寄った血液が、全身、とくに脳にスムーズに流れないようになることが原因になる。
    症状性低血圧は、心臓病やホルモン異常などにより、心臓から送り出される血液量が減ることで
    血圧が下がり、目まいなどが起こる。起立性低血圧は、脳梗塞パーキンソン病など神経疾患、
    糖尿病性神経障害が原因となる。これらの病気によって、血液循環の調節機能に障害が起き、
    血圧が急に低下し、立ちくらみがしたり、時には失神したりすることもある。
    また、女性の生理出血時は、体内の異常出血時にも血圧は下がる。
    低血圧に伴う症状
    「何となく力が入りにくい」とか「疲れやすい」といった全身倦怠感のほか、頭痛、目まい、ふらつき、
    不眠、肩こりといった精神神経症状、「四肢が冷える」「胸苦しい」といった循環・呼吸器症状などがある。
    しかし、これらの自覚症状も直接低血圧と関連するものは少なく、
    血圧を正常化しても症状が改善しないことがあり、多くは心理的要因が関与しているようである。
    低血圧自体は予後に影響を与えるものではないが、問題となるのは起立性低血圧によって
    転倒した時に頭を打ったり、骨折などの事故が起こることである。
    低血圧症の非薬物療法 : 食塩摂取量を増やす方法があるが、
     多彩な症状を訴える場合には自律神経調節剤などを使用することもある。
     本態性低血圧の場合、日中は太陽光を浴びて、散歩などの運動をする。いずれにしても、
     規則正しい生活をして、体に十分な血液量を保つような食事を摂るように心掛けることが大切である。
    参 : 高血圧
低血糖症(ていけっとうしょう) : グルカゴンなど血糖上昇ホルモン分泌の枯渇や、
    薬剤による血糖値の降下により、血液中の糖分が少なくなりすぎた症状のことをいい、
    急に強い異常な空腹感、力のぬけた感じ、発汗、手足のふるえ、
    眼のちらつき等が起こったり、また頭が痛かったり、ぼんやりしたり、
    ふらついたり、いつもと人柄の違ったような異常な行動をとることもある。
    空腹時に起こり、食物を食べると急によくなるのが特徴なので、「寝ていれば治る」というものではない。
    はなはだしい場合には、けいれんを起こしたり意識を失うこともある。
    主に経口薬やインスリン注射で治療している糖尿病患者に起こる症状である。
    低血糖症は危険な状態なので、軽いうちに治しておかなけばならない。
    なお、低血糖が起こっていることを本人が気づかなかったり、
    わからなかったりすることがあるので、家族や周りの方も一緒に注意してください。
    低血糖症には高インスリン低血糖症とケトン血性低血糖症がある。
    原因
    ●食事量が少なかった時。●食事の間隔が開きすぎた時。●運動量がいつもより多かった時。
    ●血糖を下げるお薬が効きすぎた時。●体調不良の時。
    低血糖症の予防
    @薬の量や飲み方は、主治医や薬剤師の指示を正しく守る。
     勝手に量や飲み方を変えるような自己流のやり方は危険。
    A食事を勝手に減らしたり、抜いたりしないように食事療法はきちんと守ることが大切。
     酒の飲みすぎ、激しい運動、下痢などは低血糖症を起こしやすいので注意する。
     食事がとれない時は、主治医に連絡してその指示を受ける。
    B薬剤の中には、いっしょに飲むと低血糖症を起こすものがあるので、
     何か別の薬を飲む時には、主治医や薬剤師に相談する。
     他の医師から薬を処方してもらう時には、すでに糖尿病の薬を飲んでいることを申し出る。
    低血糖症が起こったら
    @低血糖症になっても軽いうちは、すぐに砂糖、飴玉、ジュースなどの糖分を摂ると治る。
     平素から3〜4個の袋入り砂糖(20g前後)を持ち歩き、すぐその場でとれるよう準備しておく。
     決してがまんしないこと。 ただし、α‐グルコシダーゼ阻害薬、アカルボース(商品名:グルコバイ)、
     ボグリボース(商品名:ベイスン)などを併用している場合には砂糖は不適切で、
     砂糖の消化や吸収を遅らせるので、
     必ずブドウ糖(10〜15g)やブドウ糖を含むジュース類(100〜150mL)をとる。
     作用時間の長い薬剤で低血糖を起こした場合、砂糖を飲んでもまた血糖が下がることがある。
     低血糖が続かないように、糖質をとるなどの配慮が必要である。
    A十分注意していても、ときには意識を失うような強い低血糖症が起こらないとも限らないので、
     自分は現在糖尿病で薬を飲んでいることを書いたカードを身につけておき、
     すぐに治療してもらえるようにしておくことが安全である。
    B症状が治まったら、すぐに食事をするか炭水化物を1〜2単位(80〜160kcal)を摂る。
    C低血糖症を起こした場合は、必ず早目に主治医に報告する。
    高所作業や自動車の運転等危険を伴う作業に従事している時
    低血糖症を起こすと事故につながるので、車の運転や危険のともなう機械の操作等は控える。
    運転直前に血糖値を測定し、100mg/dL以上あることを確かめてから運転するのが望ましい。
    運転中に低血糖症状を感じたら直ちに車を停車させ、
    速やかに常備しているブドウ糖を含む食品を摂取する。
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(hypogonadotropic hypogonadism)
    ていゴナドトロピンせいせいせんきのうていかしょう : 中枢性性腺機能低下症。ゴナドトロピン分泌不全。
    視床下部、下垂体の機能不全により精巣でのテストステロン産生が障害されてホルモン分泌が悪くなり、
    2次性徴や精子形成ができなくなる性精巣機能障害で、おおよそ1万人に1 人といわれる稀な
    疾患である。男性では陰茎の発達が悪く、精巣は小さく、陰毛や脇毛が生えない、においを感じにくい、
    といった症状が出ることもある。女性患者の一部では初潮をみるが、
    その後はホルモン補充療法が必要になる。若年では見過ごされることも多く、
    不妊をきっかけに見つかるケースが少なくない。特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定され、
    無精子・乏精子症の治療が公費負担で出来る場合がある。
てんかん(Epilepsy) : 癲癇。脳の神経細胞が過剰に興奮して発作を起こす病気。
    脳細胞のネットワークに起きる異常な発火(以下、てんかん放電)のため
    てんかん発作を来す疾患あるいは症状である。WHO国際疾病分類第10版(ICD−10)では
    G40である。WHOによる定義によると、てんかんとは『種種の病因によってもたらされる慢性の
    脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な放電から由来する反復性の発作(てんかん発作)を主徴とし、
    それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見の表出が伴う』とされている。
    てんかん発作は年齢、性、人種にかかわらず外傷、中毒、脳卒中、脳腫瘍、発生異常など
    種々の原因でも起きるが、脳が成長過程にある小児に多く、成人に近づくにつれて減る。
    一方で、大人になっから初めて発作を起こすこともあり、高齢になると患者は増える傾向がある。
    脳神経細胞はお互いに電気的信号によって通信しているが、
    一群の神経細胞から異常な電気信号が発射されるとてんかん発作が起きる。
    発作の特徴はひきつけやけいれん以外にも、ボーッとしたり、体がピクッとしたりするなど様々である。
    病因が大脳ニューロン由来の過剰な放電であるため、ジスキネジアは大脳ニューロンを
    由来としないため、てんかんではない。また経過が慢性反復性でなければならないことから、
    脳炎、外傷後、薬物中毒の離脱期におこる痙攣はてんかんではない。
    人口の0.5〜1%程度の有病率があり、比較的頻度の高い疾患で、難治例もあるが、
    患者の約8割が適切な薬物によって発作をコントロールすることができ、
    治療の継続によって治癒も期待できる。
    てんかんの種類
    @症候性てんかん : てんかんで原因が明確な場合。
    A潜因性てんかん : 原因が推定される場合。
    B特発性てんかん : 原因不明の場合。最も頻度が多い。    
てんかんの新薬の種類と効果(日本てんかん協会資料)
商品名 発売年 製造、販売 効   能
ガバペン 2006年 ファイザー 部分発作(二次性全般化発作を含む)に
対する抗てんかん薬との併用
トピナ  2007年 協和発酵キリン 部分発作(二次性全般化発作を含む)に
対する抗てんかん薬との併用
ラミクタール 2008年 グラクソ・
スミスクライン 
次の発作に対する抗てんかん薬との併用。
部分発作(二次性全般化発作を含む)、
強直間代発作、レノックス・ガストー症候群の全般発作
イーケプラ  2010年 ユーシービー
(製造販売元)、
大塚製薬(販売)
部分発作(二次性全般化発作を含む)に
対する抗てんかん薬との併用 
2010.1.13、朝日新聞より。国内に患者は100万人いるとされるてんかんで、2006年から
相次いで4種類の新薬が出た。副作用が少ないのが特徴で、眠気やめまいなどの副作用に
悩んできた患者の期待は高い。薬で発作が抑えられない患者の手術や検査に対する
公的医療保険の適用も広がってきた。 
    てんかんと運転免許 : 2002(平成14)年6月施行の「改正道路交通法」で、
     慢性の脳の病気である「てんかん」があっても、発作の抑制状況や発作の種類により、
     一定の条件を満たせば運転免許が取得できるようになった。医師の診断書が必要な場合もある。
     実際の判定については、各都道府県の公安委員会が行っている。
    運転免許取得までの流れ
    @免許センターの申請書にチェック
     主なチェック項目(全員)
     □意識を失ったことがある
     □病気でけいれんやまひを起こしたことがある。
     □睡眠は十分なのに、日中、眠り込むことが週3回以上ある。
     □医師から免許取得や運転を控えるようにいわれた
     以上のいずれの項目に該当なしの場合は、公安委員会が行う運転免許試験を受験できるが、
     いずれかに該当する場合はAへ。
    A担当者の面接で判断
     診断の必要なしの場合は、公安委員会が行う運転免許試験を受験できるが、
     必要有りの場合はBへ。
    B主治医の診断書をもらうか、免許センターの臨時適性検査で判断
     てんかん患者が運転免許証を取得する条件
     □発作が過去5年以内に起こったことがなく、
      医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合。
      この場合は次回免許更新時の主治医の診断書の提出・臨時適性検査は必要ない。
     □発作が過去2年以内に起こったことがなく、
      医師が「今後、X年程度であれば発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合。
      この場合はX年以降、発作の可能性があるため、
      あらためてX年後に主治医の診断書の提出または臨時適性検査が必要になる。
     □医師が1年の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、
      今後症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合。
     □医師が2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、
      今後、症状の悪化がない」旨の診断を行った場合。
     以上の4条件のいずれかに該当すれば、公安委員会が行う運転免許試験を受験できるが、
     いずれも該当なしの場合は受験できず、更新の場合は取り消し処分などになる。
    参 : 社団法人・日本てんかん協会(HP)、日本てんかん学会(HP)
電子カルテ(Electric Hearth Record) : 狭い意味では診療録(カルテ)や検査結果を電子化したシステム。
    広くは医師の検査・処方指示や会計事務なども含めた業務全体をオンライン化したシステムのこと。
    カルテは、患者の病状や診察で得られた各部の状態、受けた処置、薬の内容、検査結果など、
    診療の大切な情報(診療録、看護記録、X線写真、検査レポートなど)を紙にボールペンで書いて
    記録・保存するもので、そのいろいろな情報を直接、コンピューターに記録するのが電子カルテである。
    電子カルテとは、単にいわゆるドクター記録をキーボード入力するだけのものではなく、
    各種検査のオーダー(指示書)およびその結果の参照、処方、注射指示、外来予約、入院予約、
    手術申し込み、紹介状や報告書の作成および医事会計への連動など、
    日常の診療業務のすべてを処理できる総合医療情報システムのことを指している。
    電子カルテの利点
    電子カルテはコンピューターの中に記録されていて、
    従来の診療録のように紙の書類ではないので持ち運ぶ必要がないし、診療中に直接記録するので、
    事務手続きなどで再度コンピューターに打ち込んで計算し直すという手間が省け、
    業務の効率化が図れるとともに、医療ミスの減少にもつながると期待されている。
     ●カルテの検索、移動の迅速化
      従来だとカルテの保管場所に行き、患者のカルテを探すことになるが、
      電子カルテではコンピューター上でカルテ番号から検索するだけなので、迅速に行われる。
      次に探し出したカルテを診察室に持っていき、診察が終わるとそのカルテを回収し、事務処理をする。
      この作業が電子カルテでは、ネットワークでつながったコンピューター同士で
      データのやりとりをするので、人の移動が全くいらず、しかも超高速で実行できる。
     ●大切な記録の紛失の防止
      全ての記録を統合して保存し、検査データなどもカルテ番号で管理されるので、
      検査結果の張り間違いや紛失が起きない。
     ●検査の結果待ち時間の短縮
      X線撮影、CTなどの検査結果はコンピューター上で診察室に転送されてくる。
      レントゲン・フィルムにする手間とその移動に時間がとられないため、待ち時間が短くなる。
      他の検査結果も診察中にカルテをめくって探す手間がなく、瞬時にコンピューター画面で確認できる。
     ●処方箋発行や会計計算に威力
      事務処理中の処置の誤認や処方内容の記載ミスがなくなる。診察室での記録がその後の
      カルテ処理全てに活かされるので、途中の人為的ミスは皆無となり、信頼性の向上につながる。
      また、電子カルテに入力することによりレセプトコンピューター(診療報酬の計算をするコンピューター)
      にも自動的に入力されるので、患者には支払の待ち時間の短縮にもなる。
     ●情報の共有化
      電子的に記録されれば、院内の各部門でカルテを共有し、閲覧することができるので、
      情報を共有する際に、わざわざ書き写したり紙カルテを持って人が移動するよりも
      各部門間での情報伝達も早く正確に行うことができる。また、看護師は、
      これまで医師の手書きの文字をメモに書き写したりして読み解くのが大変だったが、
      電子カルテでは、医師が入力した投薬や検査などの指示を端末で確認することができるので、
      看護師が受け持ち患者の診療情報を熟知し、患者に自信を持って接することができるようになる。
     ●患者に分かりやすいインフォームドコンセント
      電子カルテでは、画面上に画像を表示したり、検査結果をグラフで表示しながら
      説明を受けることができるので、患者にとってよりわかりやすいものとなる。
     ●長期保存が可能
      法律上、カルテは5年保存すればいいが、長く保存するには紙のカルテでは、
      風化の問題や保管スペースの問題もあり長期に保存することが難しい。
      しかし電子カルテではハードディスクだけでなく
      CDにもバックアップを取っているので半永久的に保存することが可能となる。
      聖路加国際病院では入院患者の電子カルテは永久保存にしている。
    電子カルテの欠点
    患者データを蓄積するサーバーシステムダウンの危険性が第一に挙げられ、
    入力データが増えるに連れコンピューターの反応が遅くなることもある。
    また、診療録として確実に保管されるかどうか、コンピューターのデータが消されてしまうことはないか、
    カルテが改ざんされないかどうかのセキュリティの問題がある。これらのことがおこらないよう、
    電子カルテの運用にあたっては、厳しい基準が厚生労働省から課せられている。
    第二の問題はシステムの導入費や維持費が高いことで、
    東京都中央区の聖路加国際病院のケースでは導入に20億円、維持費も年5億円かかるそうである。
    また、将来的にはかかりつけ医と専門医の円滑な連携などのため、
    病院同士をつなぐ情報システムの構想も課題になるが、
    現在の電子カルテシステムは医療機関ごとに個別に使われているケースが大部分なので、
    本格的に普及すると、規格や仕様の整備も必要になる。
    医療の将来像
    グランドデザインでは、@患者の選択の尊重A質の高い効率的な医療提供体制。
                  B国民の安心のための基盤づくり、の3つを柱が提示されている。
    電子カルテの保存に関するガイドライン
     @情報の真正性の確保
      ●故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。
      ●作成の責任の所在を明確にすること。
     A情報の見読性の確保
      ●情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。
      ●情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること。
     B情報の保存性の確保
      ●法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。
    以上3つの基準を満たさなければならないとされている。
    医療機関の3つの自己責任
     @説明責任 : 医療機関で使用されるシステムが電子カルテ基準を満たしていることを説明する責任。
     A管理責任 : 運用面の管理を行う責任。(運用管理規程の作成と遵守)
     B結果責任 : 発生した問題点や損失に対する責任。が示されている。

    1999年4月、旧厚生省の3局長(健康政策局長、医薬安全局長、保険局長)通達により、
    真正性、見読性、保存性が保証されれば診療録の電子保存(電子カルテ)が認めらることになった。
    2001年6月に発表された小泉内閣経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針の中で、
    医療制度改革の要点の一つとして、IT化の促進、電子カルテ、電子レセプトの推進があげられていた。
    さらに2001年12月に発表された厚生労働省の「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」
    の中で、2004年度までに全国の二次医療圏ごとに少なくとも1施設は電子カルテの普及を図る、
    また2006年度までに全国400床以上の病院の6割以上、全診療所の6割以上に
    普及を図るなどの導入目標が設定され、さらに補助金など財政面での後押しも行われる。
    参 : ペンタブレット(パソコン用語)

    電子カルテシステムの規格や仕様などは、電機メーカーやシステム開発会社が独自に行っているが、
    将来の全国の病院同士をつなぐ情報システムがスムーズに進められるためにも、
    厚労省は統一した規格や仕様を早急に整備する必要がある。
    また、システムの導入費や維持費が高過ぎることが導入率の低い要因となっているので、
    このことでも国が立ち入るべきである。聖路加国際病院のケースで、
    サーバー20台とパソコン1200台の年間維持費が何故5億円もかかるかの詳細分析をし、
    保守も入札制度にするなどして切り詰めれば半額以下にできると思う。

点滴(てんてき) = 点滴(別掲)
糖尿病 = 糖尿病(糖尿病関連に別掲)
糖尿病性眼病 = 糖尿病性眼病(眼の関連に別掲)
動脈硬化(どうみゃくこうか) : 動脈は本来、圧力の高い血流を受けており、弾力性があり、
    身体のすみずみまで栄養を行き届かせているが、
    動脈硬化の危険因子のため弾力性が失われて硬くなったり、
    動脈壁に脂肪や石灰などのさまざまな物質が沈着して血管の通り道が狭くなったり(狭窄)、
    詰ったり(閉塞)、あるいは動脈壁が部分的に「こぶ」のように拡張(動脈瘤)したり、
    動脈全体が拡張したり(拡張症)、内膜に亀裂が入り中膜が裂けたり(解離)、
    破裂(出血)することにより、組織や臓器全体に血行障害を起こす病気を総称して
    動脈硬化性疾患と言う。動脈硬化は「おぎゃーと生まれたとき」から始まる老化現象の一つだが、
    高血圧症肥満症糖尿病高脂血症・高尿酸血症・喫煙などがこれを促進する。
    生活習慣の中でみてみると、@塩分の摂りすぎ、A甘いものの摂りすぎ、B運動不足、Cストレス、
    D喫煙習慣、Eアルコール飲料の摂りすぎ、F果物の摂りすぎ、G野菜などの不足、
    Hバランスの悪い食事内容、I脂質の多い食品の摂りすぎ、などがある。
    血管の内側にコレステロールなどの脂肪が沈着し、
    やがて黄色く盛り上がってきたのがアチロームの発生で、アチロームができると、
    表面がザラザラになり、その表面に血液がたまりやすくなりこの固まりが血栓になる。
    血栓は狭くなった血管をさらに狭くしていき、時にはふさいでしまったりもする。
    動脈硬化指数=(血中コレステロール−HDLコレステロール)÷(HDLコレステロール)
     正常値は4以下。動脈硬化指数が5より高いほど、動脈硬化が進んでいる。
     過食、美食を避け、適度に運動して動脈硬化の進行を食い止めよう。
    動脈硬化の症状 : 内臓の血管の侵され方によって違うが、下記の症状が現れる。
     @脳動脈硬化の場合:もの忘れ、めまい、頭痛、耳鳴り、手足のしびれ、
                    舌のもつれなどを呈し、 脳血栓脳出血を起こす。
     A冠状動脈硬化の場合:心臓部の圧迫感や痛み、むくみ、動悸、息切れなどで、
                      狭心症心筋梗塞などの虚血性心臓病を起こす。
     B腎動脈硬化の場合:尿の異常や夜間尿の増加があり、尿毒症を起こす。
     C末梢動脈硬化の場合:手足の冷感、歩行のときの痛みがあり、軽快に歩けなくなる。
    動脈硬化の予防・改善効果
    @1日30分の全身運動
    A脂質は控えめに・禁煙
    B食後の血糖値を上げない食べ方 : 食事の始めに食物繊維の多い食べ物を摂る。
     主食は精製度の低い玄米ご飯やパンなどを摂る。くだものなどの甘いものは食後に摂る。
    ★煮た黒豆(10粒)にキュウリ(1/4本)をスライスして和えると、動脈硬化の予防・改善効果が大きい。
    ★緑茶のカテキンは肝機能を向上し、脂肪を代謝して動脈硬化予防に効果有。
     更にレモンの成分が脂肪代謝を促進させるので効果が高まる。朝昼晩の食事に緑茶を2杯づつ飲み、
     緑黄色野菜を積極的に食べ、十分に洗ったレモンの皮をけずり料理の風味付けにして食べる。
    ★充分に脳内でメラトニンが分泌され、血管を丈夫にするには、日光浴が必要。
    ★ゆっくりと大きな動作で20分以上連続で歩くと有酸素運動になり、
     血管の壁をキレイにして動脈硬化予防に効果有。
    ★食後のデザートにバナナを食べると、バナナに多く含まれるビタミンB6が血中にある
     「ホモシステイン」を無害な形の「システイン」に変え、体外に排出してくれる。これが動脈硬化予防。
     更にカリウムも豊富で、高血圧も予防するので、動脈硬化にはダブルで効果あり。
    動脈硬化検査 : 検査方法はとても簡単で、検査時間は10分程度で終わり、
     結果はすぐ出るので、その場で先生から説明を受けることができる。    
検査方法
ベットに仰向けに寝る   
両上腕、両足首の4カ所にカフを巻く 血圧を同時に測定 
両手首にクリップをつける  心電図を記録 
胸に心音センサ(マイク)をあてる  心音を記録 
測定開始  血圧測定と同じ感覚で痛みはない。測定時間は5分程度
検査内容と判定
  ABI(エービーアイ) PWV(CAVI:キャビィ)
内容 上腕と足首の血圧比  脈波伝播速度(脈波が血管を伝わる速さ) 
血管(動脈)の詰まり具合がわかる  血管(動脈)の硬さがわかる 
肢の閉塞性動脈硬化の診断評価に有効  血管年齢の判定
足首は上腕より血圧が高いのが普通。
しかし、足の動脈がつまったりすると、
上腕の血圧より低くなる。 
血管が硬いほど、その速度(PWV)は速くなる。 
判定 0.9〜1.3 正常値  1400cm/s未満 正常値 
0.9以下
閉塞性動脈硬化症の疑いあり
1400cm/s以上 脳出血(くも膜下出血)、
脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、
などの危険あり! 
1.3以上  動脈硬化症病変 
    参 : 壊疽日本動脈硬化学会(HP)
ドクタートロン = ドクタートロン(別掲)
ドクターヘリ(doctor−heri、Helicopter Emergency Medical Service)
    救急現場で迅速に本格的救急医療を行うための医師派遣システムで、
    「航空救急医療活動」、「ヘリコプター救急医療活動」、「ヘリコプター救急」ともいう。
    消防機関・医療機関からの出動要請に基づき、救急現場での初期治療に必要とされる
    救急専用の医療機器や薬を装備したヘリコプターに救急医療の専門医師および看護師が同乗し、
    消防機関等の要請により救急現場に直行し、救急現場から救命センターなどの医療機関に搬送する間、
    患者に救命医療を行うことのできる救急専用ヘリコプターのことで、救急医療用ヘリコプターとも言う。
    全国では、すでに1府1道10県の計13カ所で運航されている。
    阪神大震災で救急搬送が難航した反省で2001年から厚生労働省が都道府県に運航費の補助金を出し、
    1都道府県に1機を目指しているが、ドリターヘリ1機の運航にかかる年間1億7千万円ほどの経費が
    ネックとなってなかなか広まらない。都道府県や配備先の医療機関が、
    民間航空会社と委託契約を結んで運行し、経費は国が補助する。2011年10月現在、
    23道府県に27機があり、通常は地域の中核となる救急医療機関に配備されている。
     ドクターヘリの運用により、死亡者は4割減り、
    重症にもかかわらず後遺症が残らなかった患者は、1.6倍なったという研究成果も出ている。
     2011年3月11日の東日本大震災では、全国から終結した18機が被災地で活動し、
    孤立した医療機関から患者を搬送するのに威力を発揮した。しかし、乗り込んだ医師によると、
    消防や警察などとの連携不足で、活用されなかった場面も多かったといい、
    災害時の活用について課題が浮き彫りとなった。
    目的 : 救急の専門医師や看護師が搭乗したヘリが現場で治療を開始することで、
     救急搬送時間の短縮による救命率の向上や後遺症の軽減、へき地における救急医療体制の強化、
     災害時の医療救護活動の充実が目的であり、単なる傷病者の搬送とは本質的に異なる。
     さらに、早期の治療開始により重症例も軽症化され、医療費の抑制にも役立っている。
    厚労省は「ドクターヘリは通常時の救急が業務で、災害時の役割をしっかりと決めていなかった」と
    言うが、阪神大震災時の反省でドクターヘリの導入を進めてきたのに、
    10年も経って災害時の役割を決めていなかったはないだろう。

床ずれ(とこずれ) = 床ずれ(別掲)
ドラッグ・ラグ(drug lag:和) : 新薬承認の遅延。海外で開発・承認された新薬が、
    国内で厚生労働省の承認を経て実際に医療現場で使用できるまでにかかる時間差や遅延のこと。
    また、他の国や地域における使用の承認からの遅延を指して使われることもある。
    これらはいずれも、主として規制当局による承認の遅れに起因するものを指している。
    また、海外で危険性が指摘されているにもかかわらず使用の継続が認められる問題も指す。
    日本においては、国外において既にその使用が承認されている薬剤が、
    国内では使用が承認されていないこと、また承認の遅れを指して使われる。
    日本は、新薬の承認審査体制の不備や、治験の基準や環境が整っていないことなどから、
    欧米に比べて新薬の承認が遅れている。
    そのため、欧米ではがんや難病などに対して高い治療効果を上げている薬であっても、
    日本では承認されていないために使用できない問題が起きている。
    そうした薬が認可され、使えるまでには平均で4年かかると言われている。
    厚生労働省は2010年からドラッグ・ラグ解消のため、@製薬企業による治験の早期開始、
    A治験実施期間の短縮、B承認審査の迅速な実施、といった具体的方策を打ち出し、
    2011年度までに申請前のドラッグ・ラグを1.5年短縮、審査に係る時間も1年短縮するとしている。
     海外では長期の治験などで安全性が確認されているのだから、同じ人間を治療するのに
    なぜ日本でダブッて審査する必要があるのだ。短縮ではなくて1年以内に承認とすべきだ!

ナース・プラクティショナー = NP(別掲)
内視鏡(an endoscope)ないしきょう
    内臓や体腔の内部を観察するための光学系を組み込んだ医療器具の総称。
    気管支鏡・胃鏡・腹腔鏡・膀胱(ぼうこう)鏡・大腸鏡・直腸鏡など検査する部位に応じた種類があり、
    直接肉眼で見るもの、グラスファイバーによって伝達される像を見るもの、
    電子技術を用いたものなどがあるが、現在はファイバースコープが広く用いられる。
    カプセル型内視鏡 : 現在広く使われているファイバースコープの内視鏡は、口から入れるものも、
     肛門から入れるものも、普通、小腸には届かない。腸壁を傷つける恐れもある。
     また、長い管を体内に入れ、患者につらい思いをさせる。
     カプセル型内視鏡は、患者が無線による受信機をベルトにより腰に装着し、
     水でゴクンとのみ込むカプセルで、長さが2.3〜2.6センチ、直径は9〜11ミリしかなく、
     これらの欠点を補っている。カプセルは食道からを抜けると小腸に達し、腸管にすっぽり収まる。
     腸の壁が収縮して食物を先へ送る運動により、曲がりくねった内部を撮影しながら約6〜8時間かけて
     小腸から直腸まで巡る。これは0.1mm以下の異常も映し出すことができる。
     その間、撮影された画像は腰に装着された体外の受信機に無線で送信され、
     5万5千枚以上の画像がレコーダに保存される。
     小腸を通過するまでの長時間の撮影はバッテリーの容量に依存する部分があり、
     1秒間に2枚の画像撮影スピードとなっている。最後はトイレへ、の使い捨て型である。
     排出後の処理が心配だが今後の課題ということだろう。
     また、組織採取や治療ができないという欠点もあり、
     口や肛門から挿入するバルーン内視鏡との併用が主流になりつつある。
     カプセル内視鏡は2007年10月から保険適用された。
     ただし、胃カメラや大腸内視鏡の検査で原因がわからず、小腸出血などが疑われる患者に限られる。
     検査の自己負担額は、3割負担の場合で約2万8千円である。
      検査前日の午後10時以降から絶食する必要があるが、
     カプセルをのんだ4時間後からは食事ができる。
      開発でリードしているアールエフ(本社・長野市)の製品「サヤカ」は、
     カプセルが二重になっていて、外筒は腸壁に接し、中で内筒がクルクル回転する。
     内筒にはCCDカメラ(デジカメ)が横向きに備えられ、腸壁を発光ダイオード(LED)で照らして、
     毎秒30コマずつ360度撮影していく。内筒が腸壁にじかに接していないので、容易に回転できる。
     電力は、内視鏡をのむ人が着るベストから電波で供給され、カプセル内のコイルで受ける。
     カプセルから発信する画像情報はベストに内蔵した受信装置にたまる。
     ベストは充電池を備え、検査中も電源コードなしで動き回れる。
     得られた画像データを連続的にまとめると、腸を縦に切り開いたような、
     6〜8メートルの細長い1枚の画像ができる。
     「サヤカ」のカプセルはプラスチック製で、CCDカメラは41万画素。2006年春から臨床試験を始め、
     2007年の実用化をめざす。価格は6000円程度に抑える方針。
    参 : 内視鏡による大腸がん治療
内視鏡検査(ないしきょうけんさ) : 内視鏡診断。体内に入れたビデオスコープで、
    や腸などの内腔を持つ臓器の病変を探り出す検査のこと。
    内視鏡を口または肛門より挿入し、画像で臓器の内腔面を被う粘膜の変化を見つけ
    その一部をつまみ取る(生検と言う)。その後、取り出した粘膜を顕微鏡で観察し、
    構成細胞が良性か悪性()かを判定する。早期に癌を発見することに有効な検査である。
    観察する場所により管の太さは違っているが(食道鏡、胃内視鏡:胃カメラ検査、
    十二指腸ファイバースコープ、大腸内視鏡、気管支鏡など)、
    先端にCCDが装着されている自由に曲げる事が出来る柔らかい管(ファイバー)を、
    @口から食道・胃・十二指腸に、A肛門から大腸に、
    B口から声帯を通り気管・気管支の中に、各々挿入しこれらの臓器を観察する。
    大腸内視鏡検査 : 肛門から内視鏡(先端に高性能カメラがついた細いチューブ)を挿入して
     大腸(結腸と直腸)全体を直接観察し、炎症性腸疾患(腸のただれ、きず)、
     大腸ポリープなどの有無を診断する検査で、検査・診断のみでなく
     大腸ポリープの切除などの内視鏡での治療も行う。
    検査前日(以下は入院しないで、自宅で下剤を飲んで大腸内を空っぽにする場合)
     ●昼食まではいつもどおり過ごし、便秘しないように水分は多めにとる。
     ●夕食は午後5時〜7時(病院が指示)までに、消化の良いものを少なめに摂る。
      食べていい物 : うどん(ネギはダメ)、白米、お粥、白身魚、鶏ササミ、豆腐、お茶、
                 具の入っていないスープ、味噌汁(ワカメはダメ)、ビスケット。
      食べてはいけない物 : 野菜類(ねぎ、キャベツ、ほうれん草、にんじん、ゴボウなど)、
       海草類(ワカメ、昆布)、ゴマ類や繊維のある果物(みかん、キウイ、リンゴなど)、ササミ以外の肉。
     ●午後9時に下剤(プルゼニドを3錠など)をコップ1杯以上の水で飲む。
     ●早めの就寝に心がける。
    検査当日
     ●食事、お茶()などの飲み物、たばこ、薬などは禁止。
      常用薬を服用している場合は、事前に医師に相談しておく。
      私の場合は午後に検査で、検査当日の昼までは水・お茶・スポーツ飲料は
      十分飲用してくださいとのことで、糖尿病のない人は、
      時々砂糖水または透明のアメ玉(2〜3個)をなめてもよいということだった。
     ●午前8時にまず、2リットルの検査用下剤(マグコロールPなど)をコップ2杯(約200mL)飲む。
      その後15分間隔でコップ1杯ずつ飲み腸の中をきれいにする。
      1時間半〜2時間で飲み終わる。
      (注)吐き気、嘔吐、腹痛、、顔色が青白くなる、めまい、気分不快、じんましんなどがあり、
         飲めなくなった場合には服用を止め、すぐに検査を受ける病院(内視鏡室)に連絡する。
      検査用下剤の作り方
       @キャップを開封し、500の目盛(約500mL)まで「ぬるま湯」を入れる。
       Aキャップを閉め、よく振って粉末を溶かす。
       B1800の目盛(約1800mL)になるまで水を加える。
      
      検査用下剤の表裏
     ●トイレに5〜8回位、排便すると便が透明になる。(その都度、便の状態表にチェックする)
     ●下剤を飲み終わって無色の便になったら病院の内視鏡室に電話する。
      パンフレットにそって質問を受け、来院時間を指定される。
     ●着替え易い服装で、指定された来院時間までに病院に出かける。
      念のために替えの下着を1枚持参する。
     ●検査専用の穴開きパンツをはき、腸の運動を抑える皮下注射をして検査開始。
     ●肛門から内視鏡を一番奥の盲腸まで挿入して、戻ってくる時に主に観察を行う。
      検査は20〜30分で終わる。皮下注射は前立腺の働きも弱めるので小便か出にくくなることと、
      のどが渇くが、人によっては目がチカチカし細かいものが見えにくくなるそうで、
      車の運転をされる方は気を付けましょう。
     ●ポリープが発見された場合は、その状態に応じ、
      観察→生体検査→内視鏡的切除術などの処置を行うこともある。
     腹だけが出てズボンがはきづらくなったので、内科で調べてもらったら
     脂肪のつき過ぎとのことだったが、便も細く、寝起きに腰も痛むので
     「一度エコー検査でもして欲しい」と言うと、「ポリープやガンを調べるには内視鏡が良い」と言われ、
     2009年5月1日に大腸内視鏡検査を受けることにした。
     何十年か前に一泊の人間ドックで受けた時は直腸だけの検査だったのかも知れないが、
     今回は麻酔なしに腹にガスを注入され、盲腸近くまでカメラが入ったので、
     便が出そうな気がすることと痛みとで胃カメラより苦しかった。20分くらいで終わったが、
     腸の運動を抑える皮下注射をしているので、食事は3〜4時間後だと言われ、
     夕方6時過ぎに朝食のパンと牛乳を摂ったので、まる1日に1食だけとなった。
     検査では、小さなポリープが1個見つかったが、切ることになるのだったら、
     検査時にやってほしかった。昼から5人検査を受けたが、皆同じ時間に来たので、
     1時間くらい待たされたが、自宅で腸をきれいにして病院が予約時間を指定するのだから、
     各人の予約時間をづらすべきだ。大腸内視鏡検査に抵抗があれば、
     超音波や腹部レントゲン検査、CTスキャン検査でも確認できるので、
     不安があればこれらの検査だけでも受けた方がよいとのことである。
     現在、専門医の使用する内視鏡はどんどん細くなっており、苦痛も激減しているので、
     最近の細い内視鏡かどうかを確認してから検査を受ける方法もある。

     内視鏡によるポリープ除去(内視鏡的ポリープ切除術:ポリペクトミー)
     回転台の上で横になり、肛門から内視鏡を入れると同時にガスを注入して大腸を膨らまして
     内視鏡先端のスネアと呼ばれる器具で、病変部の根元を首を絞めるようにつかみ、
     高周波の電流で焼き切る。時間は20〜30分程度だが、麻酔をしないので痛みはある。
     手術後にFC開始液(リプラス1号輸液500ml)などの点滴があるだけで、
     翌日の朝食からは通常の食事が出る。
     3〜4日くらい入院し、通常の便が出始めれば退院できる。
     手術後の注意事項 : ●手術後1日間は安静にする。
      ●3日間はアルコールは飲まず、刺激物や香辛料は食べない。
      ●14日間は激しい運動や遠出は避ける。
    参 : 経鼻内視鏡検査、狭帯域光観察(NBI
内視鏡によるがん治療(ないしきょうによるがんちりょう)
    ワイヤで病変をひっかけて切り取る「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」や、電気メスではぎ取る
    「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」がある。1980年代から始まったEMRの対象病変は
    大きさ2cm以下であるが、ESDは2000年以降に広まり、より大きい病変の切除が可能になった。
    ESDは胃がんで2006年に公的保険の対象になり、2008年4月から食道がんにも広がった。
    内視鏡による大腸がん治療(ないしきょうによるだいちょうがんちりょう)
     肛門から内視鏡を入れて粘膜を切除する方法で、リンパ節転移がないと判断された
     「早期」の粘膜がんと粘膜下層がん(深達度が1ミリ以内)の大腸がんが対象となる。
     開腹手術に比べて切除部位が小さく、出血や痛みも少ないため患者にとって
     負担が少ないことが大きなメリットである。切除した部分は取り出し、組織を調べ、
     場合によっては追加切除を行いがんの病巣(びょうそう)を完全に切除する。
     一方、内視鏡治療には出血や、胃よりも壁が薄くて穴があきやすい穿孔(せんこう)のリスクがあるため、
     慎重な操作が求められる。大腸がんに対して行われている内視鏡治療は、
     ポリペクトミー、胃がんで実績を重ねた内視鏡的粘膜切除術(EMR)のほか、
     ホットバイオプシーといって、ポリペクトミーのように腫瘍をひっぱりあげ、把時し、
     高周波電流を通電することによって腫瘍を摘除(てきじょ)する方法などがある。
     まれに穿孔や出血がみられることがあるため、手術当日は食事ができない。
     大腸の早期がんの初回治療では約60%に内視鏡による治療が行われるようになり、
     手術に比べて患者の負担が軽減し、術後の生活の質も向上した。
     粘膜に生理食塩水を注射して盛り上がらせ、ワイヤで締め付けて切り取るEMRは、
     ワイヤの輪の大きさの制約で直径約2センチまでしか一括切除できなかったが、
     最近登場した内視鏡的粘膜下層剥離術(Endscopic Submucosal Dissection:ESD)という
     治療法は10センチ程度のものまで一気に削り取れるようになった。
    参 : NBI(狭帯域光観察)、大腸COM(HP)
乳房再建(にゅうぼうさいけん) : 乳がん手術などにより失われた乳房のふくらみや乳頭・乳輪外見を、
    形成手術によって手術前の状態に近くなるよう修復(これを再建と呼ぶ)すること。
    現在行われている乳房再建法は大きく分けて下記の方法がある。
     @自家組織移植法(筋皮弁法) : 自分の体の一部(皮膚、広背筋または腹直筋及び皮下脂肪など)を
      使用する。皮膚が足りているときは筋肉と脂肪だけ移植する「筋脂肪弁」という方法がある。
     Aインプラント移植法(インプラント単純挿入法) : 胸の筋肉の下に人工乳腺を埋め込むだけの
      簡単な方法。ティッシュ・エキスパンダー+シリコンインプラント、生理食塩水バッグなどが使われる。
      皮膚に余裕がないときはティシュー・エキスパンダー(組織拡張器)と呼ばれる大きめの
      インプラントを入れ、皮膚が伸びてから通常のインプラントに入れ替える「組織拡張法」を行う。
      どちらの方法も、乳房切除手術と同時に行う場合(一期再建)と、
      切除手術から時間を置いて行う場合(二期再建)がある。
      この方法は自由診療で70〜100万円の自己負担が必要となる。
     B@Aの併用
     Cその他の移植法
    しかし、いずれの方法にも長所と短所があり、希望する患者のニーズも個人によって異なる。
    乳房再建を行う医師は主に形成外科や美容外科になる。
    乳腺外科や乳腺外来で手術とともに乳房再建も出来るところも増えてきている。
    以前は、人工乳房は健康保険がきかなく、自分の体の組織を使っての再建のみ保険がきいたが、
    2006年の改正によって人工乳房も保険診療の対象になった。
    ただし、保険で決められていない素材を使ったりするとその分は自己負担になるので、
    保険のきかない部分についてはそれぞれの医療機関ごとに料金は異なる。
尿失禁(にょうしっきん) = 尿失禁(別掲)
尿道炎(にょうどうえん) = 尿道炎(別掲)
尿路結石(にょうろけっせき) : 尿石。尿結石。尿路内にできる結石。
    尿(おしっこ)は腎臓で作られ、尿管・膀胱・尿道を通って体外に排出される。
    この尿の通り道である『尿路』にできる結石のことを『尿路結石』という。
    結石はカルシウム結石と尿酸結石が代表的だが、食生活の欧米化に伴い尿酸結石が増えている。
    尿中のシュウ酸カルシウム、マグネシウム、尿酸、リン酸などが腎臓で結石となり、
    尿管や膀胱などにつまって激しい痛みを起こす病気で、痛みは脂汗をかくほど激しく、尿はにごり、
    血尿になることが多くみられる。結石ができた場所によって腎結石(腎杯結石や腎盂結石)、
    尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれている。
      結石は、腎臓や尿管にできる「上部尿路結石」が約95%を占め、
    ぼうこうや尿道にできる「下部尿路結石」は約5%しかない。結石の大部分はカルシウム結石で、
    カルシウムがシュウ酸と結びついたシュウ酸カルシウムや、リン酸と結びついたリン酸カルシウムがある。
    いずれも薬物療法で溶かすことができない。他には、痛風の原因となる尿酸が成分の結石などがある。    
結石の種類と症状
種  類 出来る場所 症  状
腎結石 尿を作り出す腎臓の
中に出来る結石
鈍い痛み・・・(ほとんど症状は出ないので、発見しにくい)
尿の色もオレンジ色などで、なんとなく尿が濃い感じ?
尿管結石 腎臓の中で出来た
結石が尿管で詰まる
尿路結石の中でも、特に痛いのがこの尿管結石!
結石がある側のわき腹から下腹部にかけて、
突然、刺すような激しい痛みが起こる。(痛みは2・3時間続く)
濃い血尿・吐き気などを生じる場合もある。
膀胱結石 尿管の先にある
膀胱の結石
尿管結石ほどの、激しい痛みはないが、下腹部がチクチクと痛くなる。
また、膀胱に結石があるために、トイレが近くなる。
尿道結石 尿管・膀胱を通り
過ぎ、尿道で詰まる
尿を排出する時に瞬間的な痛み、血尿が出る。
    結石の予防法
    ●バランスの取れた食事 : 糖尿病の食事療法ほど、厳密にする必要はないが、
     結石を作りやすい成分、シュウ酸(ほうれん草)・カルシウム(小魚)を
     多く含む食べ物を取り過ぎないとともに野菜を多く摂るように心がける。
     肉食や塩分・脂肪分を控え、全体の栄養バランスを考えた食事が望ましい。
    ●水分を十分に取る : 結石が生まれる瞬間は、尿が濃くなったとき!
     特に汗をかく季節は尿の濃度が高くなって結石ができやすく、また発症しやすくなるので、
     汗をかいたら水を飲むなど、体内の水分調節が必要!
     また、寝ている間、深夜から朝にかけて尿は濃くなる傾向にあるので、
     寝る前にも、コップ一杯の水を飲むようにする。危険なのは飲酒で、
     アルコールの作用で体内が水分不足のまま眠りにつくと、腎臓に濃い尿がたまってしまう。
     飲酒後はしっかり水分をとり、起床後も水を飲むことが大事である。
     一度患った人の再発防止には1日2リットル、かかったことのない人も1.5リットル飲んだ方がいい。
    ●健康診断を定期的に受ける : 健康診断や人間ドックなどで高尿酸血症が指摘されたときには、
     念のため尿路の超音波検査を受けて結石の有無を調べてもらうとよい。
     尿酸結石はクエン酸の内服液で治療できる。クエン酸はレモンやオレンジなどに含まれている
     酸味の元だが、それを多く含む食品を摂ると予防につながる。
    ●適度な運動を欠かさない : 一般に中高年の男性に多くみられ、運動不足が引き金とされる。
     食の西洋化に伴う肥満が、結石を増やしていることから、カロリーを消費する運動は必要である。
    治療 : 西洋医学では結石の大きさによって治療法は異なり、大きいものは内視鏡で取り除いたり、
     体外衝撃波療法で結石を砕いたりする。尿路結石の発作時は西洋医学的な治療法が優先するが、
     軽度な発作や排石の促進、結石の予防に一般的に漢方を長期的にわたって服用する。
     疝痛発作には「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を用いる。芍薬甘草湯は「芍薬(しゃくやく)」と
     「甘草(かんぞう)」の二つの生薬から構成され、消化管、胆道、尿路の急性痙攣による痛みに
     頓服として用いる。発作が無く結石を取り除く目的では、「猪苓湯(ちょれいとう)
     「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」「八味地黄丸(はちみじおうがん)
     「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」「大柴胡湯(だいさいことう)
     「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」などが用いられる。
    参 : 胆石症日本Endourology・ESWL学会(HP)、日本泌尿器科学会(HP)
認知症(にんちしょう) = 認知症(ぽっくり・ぼけ関連に別掲)
認知症疾患医療センター = 認知症疾患医療センター(ぽっくり・ぼけ関連に別掲)
認定医(にんていい) : 内科・外科・神経・麻酔などの各学会から一定の制度によって認定された医師で、
    各学会が1960年代から独自の認定制度を定めて実施している。
    厳格な審査をパスした上位ランクの医師であるが、学会により、専門医を認定医という場合もある。
    内科学会認定医制度 : 内科医としてキャリアを積むために是非、取得しておいた方がよい資格で、
     内科認定医取得には内科学会が認定した教育病院での研修3年以上あれば、
     内科9分野の受け持ち患者の病歴要約の書類を提出して認定内科医資格試験を受験することができる。
     このため、内科認定医を取得するためには、教育病院、教育関連病院での3年以上の研修と
     内科9分野(消化器、循環器、内分泌・代謝、腎臓、呼吸器、血液、神経、アレルギー・膠原病、感染症)
     での病歴要約の提出が必須となる。
     認定医の資格取得後さらに経験をつんでから専門医の受験ができる。
    日本矯正歯科学会認定医制度 : 矯正歯科医療の水準を維持し向上を図ることにより
     国民に適切な医療を提供するために行われている。そのために学会は、
     矯正治療に関して適切かつ充分な学識と経験を有するものを「学会の認定医」としている。
     認定医の資格は、引き続き5年以上日本矯正歯科学会の会員で、
     学会指定研修機関における所定の修練を含めて5年以上にわたり相当の矯正歯科臨床経験を有し、
     学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する報告を発表し、認定医審査に合格し、
     登録した者が認定医として認められる。認定医は5年ごとに認定の更新が必要で、
     認定期間の5年以内に所定の研修ポイントを獲得の上、学会の認めた刊行物又は学術集会において
     矯正歯科臨床に直接関係する報告を行うことが必要とされている。
     ただし、第3回目の更新からは所定の研修ポイントのみで更新が認められ、
     満65歳を過ぎた者は認定の更新を必要とせず、終身認定医となる。
    例を上げたように、各学会で診療内容が異なっているために、認定医としての統一規定はできないが、
    せめて基本部分については厚生労働省がはっきりとした規則を定めるべきである。

寝たきり = 寝たきり(別掲)
熱中症(heat stroke)ねっちゅうしょう : 暑熱障害の総称。熱症。
    高温環境下での運動や労働などで、体の中と外の「熱差(温度差)」によって、
    体の水分や塩分のバランスが崩れて発汗機構や循環系に異常をきたして引き起こされる
    めまいや筋肉痛など様々な症状の総称をいう。専門的には、「暑熱環境下にさらされる、
    あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、
    体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、
    全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」とされている。
    体温上昇、発汗停止とともに吐き気、虚脱・痙攣(けいれん)・精神錯乱・昏睡(こんすい)などを起こし、
    死に至る場合もある。熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、
    暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがある。
    熱中症は暑い環境で起こるもの、との思い込みがあるが、スポーツや活動中においては、
    体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒い時季でも発生する。
    熱中症は発生の原因と症状によって下表のように、「熱痙攣」、「熱疲憊(ねつひへい)」、
    「熱失神」、「熱射病」等に分けられる。熱射病は暑熱障害の中で最も重症であり、
    死亡する危険性が非常に高い症状であることから、熱中症は熱射病のことを指すこともある。

    2004(平成16)年には449人が熱中症で亡くなっている。全国主要14都市で、平成17年度において
    熱中症にかかり救急車で搬送された人数は約2700人。都市別では東京都がもっとも多く
    1000人以上で、年齢別では、65歳以上の高齢者がもっとも多く740人となった。
    また、高齢になるに従って重症患者の割合が増加する傾向が見られた。
     消防庁の調査では、2008年の7〜9月の期間中に救急車で搬送された患者は約2万3千人である。
    京都女子大の中井誠一教授のまとめでは、死亡者数は2007年で900人以上にのぼり、
    うち75%が65歳以上となっている。
熱中症の主な種類と症状
種類 病因 症状 特徴など 体温 発汗 意識
熱痙攣
(第1次段階)
塩分
損失
足、腕、腹部の
筋肉の疼痛、
痙攣など。
大量に汗をかく事により
血液中の塩分濃度が低下。
多い 正常
熱疲憊
(熱疲労)
(第2次段階)
脱水 脱力感、疲労感、
倦怠感、めまい、
頭痛、吐き気など。
大量に発汗して著しい脱水
状態になることにより生じる。
やや
高い
多い 正常
熱失神
(第3次段階)
循環
機能
の異常
顔面蒼白、全身の
脱力感、めまい、
失神など。
皮膚血管の拡張によって循環
不全となり、脳の虚血(酸素が
十分に供給されない状態)
を引き起こすことにより生じる。
やや
高い
多い 異常
熱射病
(日射病)
中枢
神経
機能の
異常
頭痛、めまい、嘔吐
などの症状から
運動障害、錯乱、
昏睡に至る。
脳卒中。死。
異常な体温上昇
(時には40℃以上)によって
中枢神経の異常をきたした
状態をいう。死亡する事もある。
発汗がないのが特徴。
非常に
高い
発汗
しない
異常
    熱中症の応急処置方法
    休息:安静を保つ。安静できる場所に移動させる(木陰やクーラーの入っている涼しい場所が望ましい)。
    症状にあった姿勢:顔色が青いときは足をあげて血が心臓に回るように、
                顔色が赤いときは上半身を起こすようにする。意識がなかったり、
                吐き気があるようだったら、横を向かせて吐いた物がのどに詰まらないようにする。
    冷却:衣服をゆるめ、冷却しやすいようにする(冷水タオルでマッサージをする。
        氷などで首の両脇、脇の下、足の付け根を冷やす。全身を霧吹きでぬらしたり、
        濡れタオルをかけたり、タオルやうちわなどで風を送るのも体を冷やす助けになる。
        ただし、本人が寒いと訴えたり筋肉が震えてくるようなら冷えすぎですので冷やすのをやめる)。
        熱射病などで体温が高い時に行うもので、20分以内に体温を下げることが効果的とされている。
    水分補給:意識がはっきりしている場合のみ水分補給を行う(ミネラルを含んだ生理食塩水や
           スポーツドリンクなどが望ましい)。生理食塩水の代わりに、なめると少ししょっぱいくらいの
           塩水(水1リットルに食塩をティースプーン4分の1杯程度)を飲ませてもよい。
    意識がもうろうとしている、意識がないなどの重度の熱中症は救急車を呼ぶなど
    早急に病院へ搬送することがもっとも大切で、個人搬送をする場合は、
    病院との連絡を取り合いながら医師の指示に従い行動する。    
熱中症になったら
熱中症かも?
めまい、頭痛、吐き気、気分が悪い、筋肉痛、
汗が大量に出る。さわると体が熱い。
   
     意識はあるか?     
         ある
           
 ない、
 もうろうとしている
涼しい所へ 救急車を呼ぶ
服を脱ぎ、水などで
体を冷やす 
涼しい所に移す 
 
 水を自分で飲めるか 服を脱がせて、
水などで体を冷やす 
    
飲める
    
 飲めない
               
水やスポーツドリンク
などを飲む
    
  
病院などへ
                  
           それでも体調が    
         よくならない場合には  
                 
2009.7.28の朝日新聞をもとに作製
    熱中症の予防
    ●日常生活では、木陰や地下道を利用したり、屋外で日陰を歩いたり、日傘や帽子で
     日差しを避けること、のどが乾く前に水分補給を行うこと、急に暑くなる日に注意すること。
    ●外出時には、通気性のいい素材の服を着て、襟、袖元を開け、
     ネクタイをはずし、ドリンクや扇子を持ち歩く。
    ●室内では、余分な熱をためない工夫が大切で、
     特に湯船に入り血液循環を良くしておくことで熱が溜まりにくくなる。
    ●運動をする場合には、その日の気温や湿度などの環境条件を把握すること、
     こまめに水分補給を行うこと、具合が悪くなったら早めに運動を中止して日陰で水分補給を行うこと。
     1日の水の摂取量は、1.5〜2.5リットルで、必ず塩と砂糖を加えて少量ずつ摂ること。
    ●熱中症は梅雨明けの蒸し暑い日など身体が暑さに慣れていないときに起こりやすく、
     7月下旬と8月上旬に特に多く発生している。「環境省熱中症予防サイト」等でその日の状況等を
     確認したり、「熱中症保健指導マニュアル」等で熱中症に関する知識を得つつ、
     熱中症にならないよう日頃から予防に努め、暑さに負けない細胞を作りましょう。
    ●ぶどうのレスベラトロールは細胞の寿命を伸ばす効果がある。
     皮に多く含まれるので凍らすことで吸収が高まり、皮ごと食べるのが良い。
    参 : 児童虐待防止法
脳バンク(のうばんく) = 脳バンク(別掲)
パーキンソン病(parkinson’s disease)
    イギリスの医師ジェームス・パーキンソンの名前からつけられた病名で、難病に指定されている。
    はっきりした原因は不明だが、中脳の黒質という部分に変化が起こり、
    脳内の神経細胞が死んでしまうため、運動や記憶に関連する神経伝達物質であるドーパミンという
    脳内物質の分泌量が減るために、筋肉の微調整ができにくくなり、手足が震えやこわばり、
    足のすくみなどで体が硬くなって歩けなくなるような運動機能の低下などの症状が起きる病気のこと。
    厚生労働省の推計では国内で約14万人の患者がいるとされる。
    50歳以上の中高年の人に発病する率が高いが、40歳以下で発症する若年性もあり、
    手足の震え、筋肉のこわばり、全身の動作が遅くなり歩行困難になる、などの症状がみられる。
    はじめは疲労感や、腕や肩の筋肉痛などを訴えるが、しだいに日常の動作がのろくなってくる。
    手足が震え、顔の表情がなくなる。前かがみの姿勢になり、
    ほとんど手を振らず小刻みにちょこちょこと歩く。症状が進行すると、口、あご、
    頭全体に激しいふるえが見られ、足のむくみ、手足の冷え、めまい、便秘などの症状が出ることもある。
    1日の中で症状の変動が激しいことがあり、午前中なかなか動くことが難しかったのに、
    午後には何でもなかったように動けたりする。
    予防 : 安静にしているときの手のふるえ、筋肉の硬直、歩行障害(小刻み歩行)等の症状が出たら、
     神経内科または老年科で受診し、初期にリハビリなどの予防・治療する。
    治療 : 薬で症状を抑えるが、飲み続けるうち効果のある時間が短くなる。
     薬が効く「オン」と効かない「オフ」の時間を繰り返す。オンは明るいがオフは気分が落ち込んだりする。
     治療の中心になるのは「Lドーパ製剤」と「ドーパミンアゴニスト」という2種類の薬で、
     「Lドーパ製剤」は神経細胞の中で不足しているドーパミンに変わり、神経細胞間の信号伝達を担う。
     効率が高いが、長く続けると、効き目のある時間が短くなったり、
     体が勝手に動く不随意運動や幻覚といった副作用が起きやすくなったりする。
     個人差はあるが、70歳以上の高齢者、または痴呆症状のある患者に使用し、
     改善不十分ならドーパミンアゴニストと併用する。
     「ドーパミンアゴニスト」は、神経細胞にあるドーパミン受容体という受け皿に直接くっついて作用する。
     こちらを先に使った方が、Lドーパ製剤で治療を始めるよりも不随意運動などが起きにくいことが
     海外の研究で分かっている。ただ、痴呆症状があると、アゴニストで幻覚を起こしやすいとされ、
     比較的に若く痴呆症状のない患者に使用し、改善不十分ならLドーパ製剤と併用する。
      ドーパミンの薬を切らさず飲み続け、下記のような副交感神経を高めることをやると、
     パーキンソンの症状が確実に改善されるといわれている。
     @朝起きたら、ラジオ体操を行う。交感神経優位を副交感神経優位にかえられる。
     Aゆっくり入浴を楽しむ。
      副交感神経を高める為に、37〜38℃のぬるめのお湯にのんびりつかるのがコツ。
     Bよく笑う。よく笑うと副交感神経の働きが高まる。
     C食物繊維の豊富な食事で便通を整える。
     D水をたっぷり飲む。
      積極的に水を飲むことにより、排尿を促し、副交感神経優位にすることができる。
      1日1.5リットルの水を飲むと便秘を改善して、生活の質が高まるといわれている。
      しかし、症状が進むと水さえのどを通らなくなり、点滴か胃への流動食で生命をつなぐことになる。
     E爪もみ療法の勧め。手の指の爪の生え際の両角を、親指と人差し指でつまんでもむ。
     F頭部のマッサージ。熊手のように立てた両手の指の腹で、頭頂部から耳の上、耳の前後、
      首へと、頭皮を上下に細かくこすりながら、血液をしごき下ろすようにマッサージする。
     G鍼治療をする。頭皮や手足のつぼに浅く刺す鍼が副交感神経の働きを最もよくする。
    つぼの主要経穴 : 陽池陽谿外関陽陵泉三陰交天柱風池肩井膏肓
      膈兪・腎兪・頭維・百会亜門などがある。
    参 : タクティールケアうつ病認知症ピック病痙縮パーキンソン病(HP)

    てんかん薬、パーキンソン病にも効果、運動機能が改善(日本人医師ら研究)
     てんかんの治療薬「ゾニサミド」が、運動機能が低下する難病・パーキンソン病にも効果があることが、
     村田美穂・国立精神・神経センター武蔵病院神経内科長らの研究でわかった。
     これまでのパーキンソン病の治療薬とは異なった効き方をすることから、
     新しい治療法につながる可能性があるという。2007年1月2日付の米神経学会誌で発表した。
      村田さんたちは、てんかん発作を起こすパーキンソン病患者がゾニサミドを飲むと、
     てんかんだけでなくパーキンソン病の症状も改善することを発見。347人のパーキンソン病患者に、
     てんかんの治療で使う量よりも少ない量のゾニサミドを12週間飲み続けてもらった。
     その結果、パーキンソン病の診断基準で運動機能が30%以上改善した人が3〜4割に上った。
      パーキンソン病の治療は現在、ドーパミンのもとになる物質を脳内に直接投与する方法が中心。
     ゾニサミドを使うと、ドーパミンの産生を促すとみられる。村田さんは
     「これまで、あまり効果がなかった人にも、効果的な治療法につながる可能性がある」としている。

    パーキンソン病がひどくなると、嚥下困難になる場合があり、入院している友人は水も飲めなくなり、
    体力を維持するために腹に穴を開けて流動食を摂っている。
    アルツハイマー病や脳血管障害などにも言えることだが、入院しても病院ではリハビリをしてくれない。
    寝たきりで手足を動かさないでいると、筋が硬直して手の指が閉じたままや手足が曲がったままとなり
    回復しても2度と歩けなくなる。そのため家族は発症すると同時に入院しても積極的に手足を動かし、
    上記のつぼのマッサージや、手の結んで開いて運動や、努めて言葉を引き出す会話をし、
    笑わせてあげましょう。足が動かない場合は足の裏をくすぐるのも効果がある。
    パーキンソン病の人は頭はしっかりしていて、本人は因数分解や微分積分も出来ると言う。
    しかし、その日によって良くしゃべることやふさぐことの感情がまちまちで、決して叱ってはいけない。
    手の指も開くことができず、手足も固まったひどい状態から半年近く、つぼのマーサージに毎日行き、
    5分から10分くらいのリハビリで脳梗塞のある左手は少し、右手はある程度開けるようになり、
    時々足も動かせるようになった。マッサージや手足の運動に、同年の私には我慢しているが、
    教えた奥さんには「痛い」を連発するそうで、少し痛がっても毎日のリハビリを欠かさないようにしましょう。
     テクノエクセルKK(本社・長野県須坂市)と名古屋パナソニック電工KK(愛知県西春日井郡清洲町)が
    製造販売している医療用物質生成器(連続式電解水生成器)「ミズトピア」を友人の奥さんが購入し、
    夫のパーキンソン病の治療に流動食の後に摂ったところ、数カ月経って真っ白な髪の毛のほとんどが
    黒くなった。チューブ入りの水で、1本いただいて飲んでみたが、臭いも味もなかった。
    その後1年経ってもパーキンソン病そのものには効果は出なかったが、
    黒髪にする何かを「ミズトピア」は秘めているのかもしれない。

肺炎(はいえん) = 肺炎(肺の関連へ別掲)
バイオ医薬品 = バイオ医薬品(バイオ関連に別掲)
胚細胞性腫瘍(germ cell tumor)はいさいぼうせいしゅよう : 胚細胞腫瘍。
    卵子や精子などの胚細胞になる細胞(原始生殖細胞)から発生した腫瘍のこと。
    卵子や精子になる細胞から発生した原始胚細胞は胚細胞腫瘍と呼ばれ、
    良性の奇形腫や悪性の腫瘍がある。卵巣精巣(性腺)から発生するものが多いが、
    それ以外の場所(性腺外)にできることもある。胎児期に原始生殖細胞が迷い込み、
    そこから発生すると考えられる。若い男性に多く、体の真ん中付近のラインに沿う縦隔(じゅうかく)
    後腹膜などに目立つ。腫瘍の目安になるマーカー中、AFP、HCGが高まることが多い。
    症状 : 奇形腫と呼ばれる腫瘍は、生殖器やお尻のあたりに多く見られ、
     体の組織のさまざまな成分がまじりあっており、腫瘍の中に神経や皮膚、骨などが入っている。
     腫瘍のできる場所によって、症状は異なり、睾丸や腹の腫れで発見されることもあれば、
     妊娠中の超音波検査で出生前に発見されることもある。
    治療 : 妊娠中に発見されている場合、出生直後から治療が開始される。
     血液検査を行って、腫瘍の種類や効果的な抗がん剤を調べ、手術と化学療法を中心に治療を行う。
     化学療法の効果が高いことが多く、進行している場合は
     化学療法で腫瘍を縮小させてから手術を行うこともある。
梅毒(ばいどく) = 梅毒(性関連用語に別掲)
排尿障害(はいにょうしょうがい) : おしっこのトラブルのことをいい、排尿状態の異常を総称したもので、
    排尿困難、尿線(放尿の際に描く線)の異常、二段性排尿、尿閉、尿失禁および遺尿、頻尿などがあり、
    ほとんどが泌尿器(ひにょうき)、生殖器(せいしょくき)の異常で、
    「排尿時に勢いがない」「トイレに間に合わずに漏れる」などの症状が出ることがある。
    高齢女性の排尿困難、頻尿では、過去に子宮がんの手術などを受け、膀胱を支配する神経が
    損傷されたために起こる神経因性膀胱が原因になっていることが多いようである。
    まれに、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)による膀胱の出口の圧迫、
    尿道狭窄、膀胱結石が原因になっていることもある。
    男性の排尿障害の原因は「前立腺肥大症」と、膀胱が勝手に縮むため、
    トイレが近くなったり、漏れやすくなったりする「過活動膀胱」にあることが多い。
    過活動膀胱の場合、脳梗塞の後で発症することも多いので、メタボリック症候群の予防に
    通じる点がある。適度なな運動と食事で高血圧肥満を避けることが大切である。
    高齢男性に多い前立腺肥大症や前立腺がんの心配もあるので、
    血液中の前立腺腫瘍マーカー(PSA)、専門医による前立腺の触診、超音波検査、
    前立腺生検(前立腺の組織片を取り出して顕微鏡で調べる)で確かめる必要がある。
    高齢の男女に共通してみられる排尿障害の原因として多いのが神経因性膀胱である。
    排尿障害で憂うつなのは、外出・旅行や運動が楽しめなくなることで、
    「漏れるかもしれない」という不安が頭から離れない。
    悪化させないためには、日常生活で、ちょっとした注意を払うことが大切で、
    水分を取るのを控えめにし、下半身を冷やさないようにする。
    お酒やカフェイン、刺激の強い食べ物も避けた方がよい。
    排尿困難(はいにょうこんなん) : 尿が出にくい状態をいい、
     排尿しても膀胱(ぼうこう)が完全に空にならない。1回の排尿に50秒以上かかる。
     途中で止まってしまう。力んで排尿する。まだ尿が残っている。これらの状態が排尿困難にあたる。
     多くは膀胱に尿がいつも残っている感じ(残尿感)を訴え、
     排尿後尿道から膀胱に細い管を入れて導尿すると残尿が証明される。
     前立腺肥大症、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、神経因性膀胱、前立腺がん、
     膀胱・尿道結石などでおこる。排尿困難が進行すると尿閉になることがある。
    尿閉 : 膀胱に尿がたまっているにもかかわらず一滴も出ない状態をいい、
     激しい尿意とともに膀胱が張ってくると非常な苦しみを訴える。前立腺肥大症をもつ人は
     飲酒中に突然尿閉になることがある。膀胱の収縮力が低下すると放尿力が低下し、尿線が細くなる。
    遷延性排尿 : 尿が出始めるまで時間がかかるものをいい、
     膀胱以下の部分に異物ができたり炎症がおこったりして尿道が狭くなったときにみられる。また、
     正常の人でも他人の見ている前で排尿するときは、心因性の遷延性排尿の状態になることがある。
    尿線の異常 : 尿の出口である外尿道口に異常があると、排尿の際に尿線が分かれる。
     排尿中突然、尿線が中絶する場合を尿線中絶といい、
     膀胱結石や凝血塊が膀胱の出口をふさぐためにおこる。
    二段性排尿 : 膀胱壁の一部が膀胱外へ嚢状(のうじょう)に突出した膀胱憩室があると、
     膀胱にある尿が一度出たあと憩室内の尿がふたたび膀胱にたまるため、もう一度排尿することになる。
    尿失禁(にょうしっきん) : 尿が我慢できなかったり、無意識的に尿がもれる排尿障害をいう。
     普通成人女子に多くみられるのは、咳(せき)、くしゃみおよび激しい体動のとき尿が漏れるもので、
     ストレス性尿失禁という。尿失禁は種々の器質的疾患でも多くみられ、
     脳卒中、脊髄(せきずい)損傷、前立腺肥大症、尿路先天性奇形などにおこる。
     オシッコの切れ : トイレが終わったあと、オシッコがぽたぽた垂れてくるのはとても気持ちが悪い。
     ズボンの前にシミができて恥ずかしい思いをすることもある。
     「尿漏れ用パンツは恥ずかしくて買えないし、忙しい出張のときは、
     ブリーフにハンカチを当てておいたこともあります」と話すビジネスパーソンもいる。若い人でも、
     トイレの直後の尿漏れが起こる原因のひとつは、オシッコの通り道、つまり尿道の構造にある。
     「尿道の前立腺に近い部分は、ほかよりもやや太くなっており、
     そこにたまった尿が、少し時間がたって出てくる」のである。
     年齢とともに前立腺が大きくなると、このオシッコのたまりも大きくなる。
     対策は、とにかく用をたすときぐらい、落ち着いて、ゆっくりとすること。
     尿道の中のオシッコを絞り出しておこう。特に冬の期間は、寒さでペニスが縮んでいるため、
     尿道にたまった尿を完全に排出するのに時間がかかるので要注意である。
     また、40代、50代と年齢が高くなると膀胱機能の低下が原因で起こる、
     本格的な尿漏れが重なって起こってくることがある。
     いわば、膀胱の出口にある蛇口が緩んだようなもので、力を出したときにオシッコが微量、漏れたりする。
     予防のためには、若いうちから膀胱の機能を高めておくことが必要である。
     軽い尿意でもすぐトイレに行く習慣が続くと、尿をためる膀胱の機能が低下するので、
     ある程度しっかり尿をためてからトイレに行く習慣をつけることが膀胱機能のトレーニングになるという。
    遺尿症 : 膀胱に尿はたまるが、無意識のうちに排尿してしまうものをいい、普通は夜尿症を意味する。
    頻尿(ひんにょう) : 一般的に「オシッコが近い」と呼ばれる状態をいい、
     排尿の回数が日中10回以上、夜間3回以上、尿が出る回数が多いことを言う。
    排尿時痛(はいにょうじつう) : 尿が出る時に痛い状態をいう。
    原因 : おしっこを膀胱にためる働きを蓄尿(ちくにょう)機能、おしっこをからだの外に出す働きを
     排尿機能という。この蓄尿機能と排尿機能がうまく機能しない場合を排尿障害といい、
     頻尿や尿失禁といった症状が出現するその原因には
     @尿道をしめる力が弱くなる : おしっこは、膀胱にたまる間は、尿道が水道の蛇口のように
      閉まって漏れることがない。しかし、この尿道を閉める筋肉の力が弱いと、
      咳をしたり重たい物を持った時などに漏れてしまう事がある。これを腹圧性尿失禁と言って
      経産婦の女性の方によくみられる。治療は、尿道の筋肉を鍛える体操と薬が中心で、
      ひどい場合は1時間位の比較的簡単な手術で良くなる。
     A膀胱にたまるおしっこの量が少なくなる : おしっこは膀胱に200〜300ccたまると
      トイレにいきたくなるが、膀胱に100ccぐらいしか溜まっていないのにトイレにいきたくなる人がいる。
      この原因で一番多いのは、50才以上の男性にみられる前立腺肥大症という病気である。
      前立腺は、尿道を取り囲むようにしてある臓器で精液をつくるところで、これが大きくなると
      膀胱を刺激し,少ししかおしっこがたまっていないのにトイレに行きたくなる。
      治療は、病気が初期の段階であれば、薬でよくなり、すすんでくると手術が必要になる。
廃用症候群(disuse syndrome)はいようしょうこうぐん
    安静状態が長期に続く事によって起こる心身のさまざまな低下等を指す。
    病気・ケガ・閉じこもりなどがきっかけで、体を動かさないことから筋肉や関節・心肺機能など
    臓器の衰えをきたし発生する、諸々の不具合症状をいう。
    普段健康な人でも、骨折をすると骨折した箇所をギブスで固定するが、
    数週間後にギプスをはずすと筋肉が落ちていたり、関節が動きにくくなっていることがある。
    このように動かないでいること、不活発な生活を続けることで、
    精神的な哀えを含め、筋肉の衰えは意外と速く進行する。
    高齢者の場合は、風邪などで何日も横になって休めていると、
    廃用症候群になって全身の機能がどんどん低下する、
    その結果ますます体を動かさなくなり、歩行不能から寝たきりなどに陥るおそれがある。
    このような悪循環を避けるために適度の運動で体を動かすことが大切である。
    具合が悪いと安静にするの常識もケースによては間違っていることもある。
    高齢者ほど生じやすく、いったん起きると悪循環が生じて悪化が進む。
    症例 : ●筋萎縮●関節拘縮●褥瘡(床ずれ)●廃用性骨委縮(骨粗鬆症
         ●起立性低血圧●精神的合併症●括約筋障害(便秘・用便失禁)
    参 : 介護予防サービス
麻疹(the measles)はしか : 麻疹(ましん)。届出伝染病で、感染力の極めて強いウイルスが起こす
    感染症で、学校伝染病にも指定されている。肺炎や脳炎を合併して死亡することもある。
    麻疹ウイルスの飛沫感染によって起こる急性発疹(ほっしん)性伝染病で、
    感染症予防・医療法(感染症法)では5類感染症に分類されている。
    世界保健機関の分類では、現在AからHの8群、22遺伝子型に分類されている。
    俗に「はしか」とよばれるが、三日ばしかは別の疾患(風疹)である。
    幼児・小児に多く、潜伏期は約10日間で、風邪のような症状に始まり口腔粘膜に小白斑が出、
    やがて高熱と全身に赤い発疹が出るのが特徴である。
    麻疹はほとんどの人が一度はかかる重症の伝染病として古くから知られ、
    昔は「命定め」とよばれて恐れられたが、1978(昭和53)年10月に定期予防接種の対象疾患となり、
    麻疹生ワクチン接種による予防効果で、患者の発生が著しく減少してきたが発症は止まらず、
    世界保健機関から2012年までに排除(診断例が100万人当たり年1例未満)するよう
    対策が求められている。厚労省は2007年末、自治体がワクチンの2回接種を勧めるように
    個別通知したり、学校・医師会と連携したりするよう指針を出した。
    流行株の変異によって、ワクチンで獲得した抗体での抑制効果が低くなることが懸念されている。
    合併症 : 発疹期には全身の抵抗力が弱まって合併症をおこしやすくなる。
     もっとも多くみられるのは肺炎で、麻疹で死亡する患者の多くはこの肺炎併発によるものである。
     このほか、脳炎や中耳炎をはじめ、心筋炎、仮性クループなどがみられることもある。
     発病後8日目を過ぎても解熱しなかったり、また解熱後に再発熱するような場合には合併症が疑われる。
橋本病(はしもとびょう) : 慢性甲状腺炎。1912(大正元)年、九州大学の外科医橋本 策(はるか)先生
    (1881〜1934)により報告されたことから名前がついた病名としても世界的に有名な
    甲状腺腫を主な症状とする自己免疫性の疾患で、甲状腺の組織は炎症性の変化を示す。
    男女比は1対10〜14以上で女性に多く、30〜50歳代に好発する。
    甲状腺機能低下症の代表である橋本病は、バセドウ病と正反対で、甲状腺ホルモンの量が不足して、
    新陳代謝が低下し全てが老けていくような症状がみられる。無気力で頭の働きが鈍くなり、
    忘れっぽく、ひどくなると認知症の原因の1つにもなる。寒がりで皮膚も乾燥してカサカサになったり、
    体全体がむくみ、髪も抜け、眠気がありボーッとして活動的でなくなる。
    非常にまれだが、途中でバセドウ病に変化することがある。
    血縁にバセドウ病の方がいる場合は、他の人よりなりやすい傾向がある。    
甲状腺機能の低下による症状
全身症状 寒がり、疲れやすい、動作が鈍い、食べないわりに体重増加、声かれ、低音
体温 低体温
顔つき・首 むくみ、甲状腺腫大、のどの違和感、ボーッとしたような顔
神経・精神症状 物忘れ、無気力、しじゅう眠い、ボーッとしている
循環器症状 徐脈、息切れ、顔や手足のむくみ、心肥大
消化器症状 食欲低下、舌が肥大、便秘
皮膚 汗がでない、皮膚が乾燥する、脱毛、眉が薄くなる、皮膚の蒼白
筋骨症状 脱力感、筋力低下、肩こり、筋肉の疲れ
月経 月経不順、月経過多
血液値 コレステロール上昇、肝障害貧血
    治療
     ●甲状腺が腫大し、喉に違和感がある人
      甲状腺ホルモン剤を服用し様子をみるが、
      非常に大きくなり気管を圧迫している時は手術も必要な場合がある。
     ●甲状腺機能が正常な人
      甲状腺腫が小さい人の場合は、薬の必要はありません。しかし病気が進行し甲状腺の動きが低下し、
      甲状腺ホルモンが不足する可能性もある。3〜6カ月に1度ずつ必ず診察を受ける。
     ●甲状腺機能が低下の人
      不足している量の甲状腺ホルモンを、薬として服用(補充)する。
      補充療法なので、根本的に治癒しない為に、一生毎日薬を飲み続けることになる。
パスツレラ症(Pasteurellosis、Pasteurella multocida) : パスツレラ(Pasteurella)属菌により
    引き起こされる日和見感染の傾向のある感染症のことを言う。パスツレラ属菌は約1μmという
    小さな短桿菌で多形成を示し、多くの哺乳動物の常在菌として存在している。ネコの口腔内には
    約97%、イヌでは約75%と他の人畜(獣)共通感染症と比較にならない程高率に常在している。
    日本において、動物では、ウシの出血性敗血症をはじめ、ネコのケンカの後の皮膚化膿症、
    各種動物の呼吸器感染症などを起こし、畜産領域では問題となっている。
    ヒトでは、従来、イヌ、ネコの咬み傷、引っ掻き傷による皮膚化膿症が主であるとされてきた。しかし、
    近年の調査結果によると、実は日本では鼻から肺までの呼吸器系の感染が最も多く約60%を占める。
    次に皮膚の化膿症が続き、骨髄炎、外耳炎等の局所感染症をはじめ、
    敗血症、髄膜炎といった全身重症感染症、さらには死亡に至った例も確認されている。
    症状
     ●鼻に感染し起こるのは「スナッフル・鼻かぜ」など。
     ●眼に感染すると、目が充血したり、涙・目やにが出るようになる。
     ●皮膚に感染した場合、膿瘍が出来ます。大きさはいろいろ。
     ●食欲不振や下痢の症状で止まってしまう場合もある。
     ●肺へ入ると肺炎を起こす。
     ●耳・脳内へと侵入した場合、斜頚になる事もある。
     ●放置していると敗血症や髄膜炎など重い病気を起こす恐れもあり、
      突然、症状が無いまま死亡する場合もある。
    他の感染症との鑑別
     パスツレラ症では、咬み傷、引っ掻き傷の約30分〜数時間後に激痛を伴う腫脹と精液様の
     臭いのする浸出液が排液される。(猫ひっかき病では、受傷約2週間後にリンパ節が腫脹する)
    治療
     初期治療を確実に行うことが大切で、幸い、耐性菌はほとんどなく、通常医師が使用する
     抗生物質(ペニシリン系、セフェム系:テトラサイクリン、カナマイシン)が有効である。
    予防
      「危険因子」として、持病(とくに、糖尿病、アルコール性肝障害)、40代からの中高年者、幼児、
     犬や猫などのペットとの過度な直接的接触(キス、寝室に入れる等)、等が挙げられる。
     まずは、これらの危険因子となるような行為を行わないようにし、健康保持に努めること。
     また、鶏肉にはよく火を通す。
バセドウ病(Basedow’s disease) : ドイツの医師von Basedowに由来する病名で、
    バセドウ氏病とも言うが、1835年にアイルランド人医師、Robert J.Graves博士が報告したことから
    アメリカなどでは「グレイヴズ病」と呼ばれる。甲状腺を刺激する抗体(TRAb、TSAb)が原因で、
    甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、この状態を「甲状腺機能亢進症」という。
    自己免疫性甲状腺疾患としては、バセドウ病と橋本病が代表であるが、
    甲状腺ホルモンの量が不足する橋本病とは正反対である。
    甲状腺は普通だんだん大きくなり、ほとんどのケースで首の前にそれとわかるほどに
    大きく突き出してくるが、友達や医師から指摘されるまで何も気が付かないでいることもある。
    一般的に男性より女性に3倍から4倍多く、20歳から40歳の間に始まる。
    甲状腺の病気は、大きく分けて他に「甲状腺機能低下症」「結節性病変」の3種類がある。
    「甲状腺機能亢進症」の典型的なものが「バセドウ病」であり、これは自己免疫疾患の1つで、
    日本では甲状腺機能亢進症の8割から9割はバセドウ病と診断される。
    「バセドウ病」は、甲状腺の細胞の表面にあるTSHのレセプター(受容体)に対して
    自己抗体ができてしまい、この抗体がレセプターを通じて勝手に甲状腺を刺激して、
    活性化させてしまうことが原因と考えられている。
    バセドウ病の症状の1つに「眼球突出」というものがあるが、目の周りの組織の脂肪や筋肉が
    増えたり肥大して、眼球を押し出してしまうもので、単に眼球が出るだけではなく、
    押し出されることで循環障害を起こしたり、瞼が閉まらず感染を起こしやすくなったり、
    視神経が前に出されるため、視神経の障害も引き起こしてしまう。
    また、眼の筋肉が肥大してしまうため、その部分が硬くなり物が二重に見えてしまうこともある。
    最悪の場合には、目の炎症から失明してしまう場合もあるため、
    目が痛む・視力が落ちる・物が二重に見えることがあれば主治医に相談する必要がある。
    さらに、喫煙はバセドウ病を悪化させてしまうので、タバコは止めた方が良いといえる。
    症状
     ●動悸がする●疲れやすい●食欲旺盛になる●息切れする●指先がふるえる●下痢しやすい
     ●微熱がある●イライラする●暑さに弱い●体重が減る●汗が多い●不眠
    治療
     薬、手術、放射線の3つの治療方法があるが、どの治療法にもそれぞれ長所、短所がある。
     アメリカでは放射線の治療を行うことが多いようだが、日本では薬による治療が中心である。
     ただし、薬が副作用で使えない場合や効き目が不十分な場合には若くて甲状腺の大きい人は手術、
     中高年で今後妊娠出産の予定がない人は放射線の治療を行う必要がある。
     早く治したい、確実に治したい、薬を飲みたくない、通院できないので長く薬を服用できないなどの
     理由で積極的に手術や放射線の治療を選ぶ人もいるが、どの治療法が最も良いかは
     人それぞれなので専門医と良く相談して決めるのがよいでしょう。
白血病(leukemia)はっけつびょう : 白血球生成組織の悪性腫瘍、つまり血液のがんのことで、
    血液中の白血球が異常に増加する病気である。19世紀後半にウイルヒョウというドイツの
    有名な病理学者がこの病気を初めて見つけた。この時代には治療法もなく、白血病細胞が
    どんどん増え続けて血液が白くなったために、白い血の病気すなわち白血病と命名された。
    多いのは急性白血病で、病的で未熟な白血球が無制限に増殖し、
    正常な赤血球・白血球・血小板の生成を阻害し、造血・免疫機能が低下し、発熱・貧血
    悪液質・出血傾向・重症感染症や脾臓(ひぞう)リンパ節の腫(は)れなどの症状をおこす。
    慢性白血病は成熟した白血球が増殖するもので、症状は急性に比べると軽度である。
    白血病の種類
     ●急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)
     ●急性リンパ性白血病(ALL:acute lymphocytic leukemia)
     ●慢性骨髄性白血病(CML:chronic myeloid leukemia)
     ●慢性リンパ性白血病(CLL:chronic lymphocytic leukemia)
    他に、ウイルスHTLV−Iなどによる成人T細胞白血病(ATL/acute T−cell leukemia)などもある。
    白血病の症状
     息切れ、動悸、倦怠感、顔面蒼白などの貧血症状、発熱、出血症状などがみられる。
     診断が遅れると、白血病細胞が増殖して臓器に浸潤するため、脾腫、肝腫、リンパ節腫大などが
     みられ、症状もひどくなる。白血病細胞が脳髄膜に浸潤すると、頭痛などの髄膜刺激症状を呈す。
    白血病の治療
     白血病では白血病細胞を抗がん剤で殺し、寛解(一時的に正常に近い状態に戻ること)を目指す。
     まず化学療法(抗がん剤療法)により寛解導入療法(白血病細胞を殺し白血病から回復させる療法)を
     行い完全寛解をめざす。完全寛解とは骨髄中の白血病細胞が5%未満になり他の臓器の浸潤も
     消失し、一時的に良くなった状態をいう。治ったと言わずに寛解というのは、完全寛解になっても
     患者の体内には少数の白血病細胞が残存しているので、放っておけば必ず再発するからである。
     そこで完全寛解のあとに寛解後療法を行う。
     これには導入療法と同じ程度の強さの治療をする地固め療法と、
     退院後外来通院中に行う維持・強化療法の二つがある。
     白血病の治療法は、多種類の抗白血病剤を組み合わせて使う多剤併用療法を行うのが普通で、
     これは、互いの抗白血病作用を増強し、個々の薬剤が持つ副作用を少なくするためである。
    参 : 成人T細胞白血病
発達障害(Developmental Disorders、Developmental Disabillities)はったつしょうがい
    何らかの原因による先天的な脳機能の障害で、運動や認知、言語などの心身の機能の発達が
    滞った状態をいう。通常、低年齢で症状が現れるため、早期発見と適切な療育が重要になる。
    一般的には自閉症のほか、全般的な知的発達に遅れはないのに「読む」「書く」など特定分野の
    習得が難しい「学習障害(LD)」、集中するのが困難な「注意欠陥・多動性障害(AD/HD)」、
    「自閉症スペクトラム障害(ASD)」、「アスペルガー症候群」、「軽度知的障害(MR)」など、
    社会性にハンディを抱えやすい学習や生活、コミュニケーション上の障害の総称をいう。
    言葉や知能に遅れがない場合は、周囲に理解されにくく、
    しかられたり失敗したりを繰り返して自己評価が低くなってしまう子供もいる。
    しかし、早くから苦手なことに配慮した環境を整え、訓練をすれば、適応しやすくなるとされる。
    文部科学省の2002年の調査では、普通学級で発達障害が疑われる児童生徒の割合は6.3%だった。
    潜在的にはもっと多いと指摘する専門家もいる。文部科学省は中央教育審議会に特別委員会を設置し、
    発達障害の子供らの支援充実策を検討し、2006年4月に施行された「発達障害者支援法」で、
    早期発見や療育を自治体の責務としている。お子さんが、生まれつき持っている特性に気がつき、
    それに合った支援や療育・教育をすることが大切で、
    保健所や児童相談所、児童精神科などに相談して早期の対応が必要とされる。
    広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:PDD)こうはんせいはったつしょうがい
     の機能障害とされ、想像する力やコミュニケーションに困難を抱える。
     レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症)や
     小児自閉症とアスペルガー症候群など知的に遅れがない自閉症に近い特徴をもつ
     発達障害の総称をいう。自閉症の連続体の意味で「自閉症スペクトラム」とも呼ばれる。
     言葉の意味を文字通りに理解する傾向が強く、柔軟な対応が苦手で、興味を狭く限定することもある。
     知的な遅れがない場合、アスペルガー症候群などと呼ぶ。反社会的行動に直結することはない。
     WHO(世界保健機関)の定義案によれば、幼児自閉症は遅くとも生後30カ月以内に
     症状が認められる症候群であるとされている。生まれつきの障害で、育て方や環境の問題ではない。
     重症度はさまざまで、軽症の人も含めると、全人口の約1%が該当するといわれ、
     近年では2%前後という報告もある。2002年の文科省調査では、
     小中学校の通常学級で発達障害とみられる児童・生徒は6.3%であった。    
主な発達障害
名   称 主 な 特 徴
自閉症 @対人関係の障害Aコミュニケーションの障害
Bパターン化した興味や活動、という3つの特徴を持つ障害。
知的発達に遅れのある人もいる
アスペルガー症候群 自閉症の特徴のうち、コミュニケーションの目立った
障害がないとされる。知的障害はほとんどない 
学習障害
(LD) 
全般的な知的発達に遅れはないが、読む、書く、話す、
計算するなど特定の技能に困難がある 
注意欠陥多動性障害
(AD/HD)
子供の年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、
注意を持続することができないのが特徴 
知的障害
(MR) 
全般的な知的レベルの発達に必要な、認知や言語などの
技能の発達に障害がある状態(WHOの定義による) 
2010.6.19、朝日新聞より
    参 : 発達障害情報センター(HP)
発熱外来(はつねつがいらい) : 国内で新型インフルエンザの発生が確認された時点で、
    都道府県の要請で医療機関などに設けられる専用外来窓口のことで、
    新型インフルエンザかどうかを見分ける役目を担うほか、国内で流行した段階以降では治療にもあたる。
    保健所などにある「発熱相談センター」に電話相談後、
    新型インフルエンザ感染が疑われる人が最初に受診を指示される専門外来である。
    国内の発生初期は、ここで感染の疑いが高いと診断されたら専門病院に移送される。
    相談の集中を避けるため、医療機関名を公表しない自治体もあり、
    その場合、住民は自治体が開いている電話窓口に相談し、最寄の発熱外来を受診する。
    病院外来の待合室などでせきやくしゃみをすることを通して他の患者への感染拡大を防止するため、
    発症した可能性のある患者と一般の外来患者を分け、新型インフルエンザ患者を効率的に診療して
    混乱を最小限にするために設けられる。特製マスクやガウン、手袋、キャップなどで身を包んだ
    看護師が、患者の呼吸数を調べたり、食欲の有無などを聞いたりする。
    国のガイドラインは「あらかじめ医療機関や公共施設等のリストを作成する」として、
    数や設置基準などには触れていない。
    国の「指針」における発熱外来
     @ 都道府県は、感染拡大の防止の観点から、発熱外来を可能な限り早期に設置することが望まれる。
       新型インフルエンザ発生初期においては二次医療圏内にひとつ程度。
       その後は、患者数や医療従事者の確保状況を踏まえ、数多く設置することが望ましい。
     A 都道府県や医療機関等は(中略)地域住民へ周知し、
       発熱を有する患者は、発熱外来を受診するよう呼びかける。
     B 都道府県は、地域医師会などと連携し、数名の医療従事者がチーム体制を組む等して、
       発熱外来の診療を交替で担当するよう務める。
    発熱外来の設置場所の例
     ●病院における専用外来(通常の患者と接触しないよう入口などを分ける)
     ●既存の診療所
     ●地域検診センター
     ●医療機関の敷地内におけるプレハブ等

    新型インフル準備に格差、16道府県で「発熱外来」確保できず
     新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)のリスクが高まるなか、
    発熱などの初期症状がある「疑い患者」を集中的に診察する「発熱外来」の設置準備について、
    全国47都道府県中16自治体で設置確保ができていなかったことが、厚生労働省のまとめでわかった。
    舛添要一厚労相は2009年4月30日、設置準備を急ぐよう指示したが、
    最前線となる各自治体の取り組みには温度差があり、
    4月29日の時点で31都府県が設置済みだが、16道府県では、病院と調整中という。
ハンセン病(Hansen’s disease、leprosy) : 癩(ライ)菌による慢性の感染症で、
    末梢神経(まっしょうしんけい)や皮膚が侵される病気である。
    以前は「ライ病」と呼ばれ、忌み嫌われた時代が続いた。
    治療薬がないころは国の隔離政策と相まって「不治の病」であるとか、「遺伝病」であると思われ、
    「怖い病」のイメージから偏見と差別を生み、患者の人権を奪ってきた。
    しかし、1873年ノルウェーのアルマウェル・ハンセン博士がライ菌を発見し、
    単なる感染症であることが証明され、日常生活で感染する可能性はほとんどなく、
    世界120カ国で制圧され、以来ハンセン病と呼ばれる様になった。
    ライ菌は結核菌と同様抗酸菌類に属し、感染力は非常に弱い。感染経路としては皮膚の傷口や
    鼻粘膜が考えられ、皮膚とおもに皮膚や筋肉に張りめぐらされた末梢神経などが侵される。
    発病力も非常に弱く個体の免疫力が大きく作用し又、衛生環境や栄養状態などにも影響される。
    乳幼児期における濃厚接触以外は感染しないと言われ、治療中の患者からは感染しない。
    日本では、ハンセン病の療養所が設立されて約100年になるが、
    そこで働いていた職員でハンセン病にかかった人はいなくて、いかに感染しにくいかの証明といえる。
    1943年サルファ剤を中心に特効薬が発見されてからは、かつての“不治の病”が“可治の病”になり、
    1980年代には多剤併用治療(muitidrug therapy:MDT)で後遺症を残すことなく短期間で
    完治できるようになり、新しい感染者はゼロに近く、終息に向かっている。
    わが国では、1907(明治40)年に「癩(らい)予防ニ関スル法律」が公布され、
    その後数回の改正を経て1953(昭和28)年に改称された「らい予防法」は1996年に廃止され、
    約90年に及ぶ隔離政策は消滅した。現在の日本のハンセン病患者数は約7000人で、
    そのうち6000人余が全国13ヵ所の国立療養所と2ヵ所の民間療養所に入所中で、
    90%以上の人はハンセン病自体はすでに完治している。そのために、ほとんどの人は退所してもよいが、
    平均年齢は70歳に近く、それに多くは顔面や手足に変形を残しているので、
    社会に出て生活するのは難しい状態にある。
    ハンセン病療養所も現状では、「身体障害者老人施設」になっている。
     2008年6月11日に成立した「ハンセン病問題基本法」は、
    療養所の医療施設を地域に開放したり、元患者らの名誉を回復したりすることを国に義務づけた。
    未感染児(みかんせんじ) : ハンセン病の親を持つ子供のこと。
     かつては行政が用い、一般的にも呼称として使われてきた。

    ハンセン病療養所入所者の宿泊を拒否した熊本県の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が
    廃業を宣言したところ、入所者や県への中傷が相次ぐ事態となったことは、
    廃業を「最大かつ最善の謝罪方法として決めた」と説明したホテルの親会社アイスターに
    最も責任があると思う。それは、入所者や県の抗議を受けたホテル側はいったんは謝罪したものの、
    親会社アイスター社長が「宿泊拒否は当然の判断」と開き直ったが、この発言は撤回され、
    再び謝罪し療養所と「和解」したものの、「説明不足の県側に責任がある」とも主張するようになった。
    事態を重くみた県側は熊本地検に旅館業法違反で刑事告発する一方、
    行政処分を検討していたところの廃業宣言、といういきさつだからである。
    県の行政処分の直前に廃業を発表する手法は極めて悪質で、
    行政やハンセン病患者への「当てつけ」と言われてもしかたがない。
    入所者も県も、こんな差別をするようなホテルは廃業すへきだとは、一言も口にしていない。
    「おまえらがガダガタ言うから処分されることになったわけで、こんな田舎のホテル一つをつぶしても
    痛くも痒くもない」が親会社の本音だと思う。しかし、廃業を最大の謝罪としても、
    ホテル従業員の職の保証やホテル関連業者への仕事の保証などは謝罪だけではすまされない。
    つぎに県や国立ハンセン病療養所の対応にも責任がある。
    宿泊予約時にはっきりとハンセン病患者の団体であることを告げるべきで、
    ホテルによっては浴室を別々に利用するとか、別棟の利用などでの対応ができるかもしれないのである。
    いくらハンセン病患者を差別しないと口では言っても、まだまだ口と行いとがかけ離れていて
    『差別はしないが、入所者とは同宿したくない』『うつらないと分かっていても、入浴は一緒ではいやだ』
    『大金を払い、くつろぐために来たので同宿はしたくない』など、ご都合主義者が多い。
    患者側からも世間のさらしものになりたくないという人が多いといわれ、
    見た目から人と人との触れ合いが難しい状況にあるので、
    ホテル側としても一人でも多くの客をとりたいための方策として宿泊拒否につながるのである。
    エイズでも言えることで、うつらないと言われても「カポジ肉腫」が出ているような感染者に
    進んで近寄る人はいない。銭湯や遊技場などで、「イレズミはお断り」の札を掲げるのは、
    お客が怖がったり、いやがったりして入店者が減るからで、
    ホテルでもいやがる人が1人でもいない方がよいとするのは同じ理由からでしょう。
    より美しいもの、よりうまいもの、より楽しいもの、より匂いのよいもの、より楽なもの、
    より気持ちのよいもの、などの「よりよいもの」を要求する人間の欲や業(ごう)がなくならない限り、
    このような差別はこの世から淘汰されない。
    規約や条例をたてに「きれいごと」ばかり言っていたのではいつまで経っても前進がなく
    お互いの妥協点をさぐり、差別を少くするように努力するしかない。

ハンセン病問題基本法(ハンセンびょうもんだいきほんほう) : 全国13カ所の国立ハンセン病療養所を
    地域に開放する「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」の通称で、
    国の責任で療養所での医療や介護の体制を整備するため、医師や看護師の確保など
    必要な措置を取るほか、療養所を退所した人たちには生活資金を支給するなどとしている。
    また、療養所に入所している人たちが地域社会から孤立することがないよう、
    療養所を地域住民や地方自治体に開放できるようにすることなども盛り込まれている。
    ハンセン病の隔離政策は1996年のらい予防法廃止で終止符を打ったが、
    廃止法により施設や敷地の利用は入所者に限定されたままだった。
    一方、入所者は2764人(2008年2月1日現在)とピーク時の4分の1に減少し、
    医療や福祉の維持が困難となっていた。
    基本法は@療養所の土地や設備を地域住民や地方自治体にも開放する
          A国や地方自治体は療養所の医師や看護師の確保に努める。 などが柱。
          施行に伴い、施設利用を入所者に限定している
          「らい予防法の廃止に関する法律」(廃止法、1996年施行)は廃止される。
    ハンセン病問題基本法が成立、全国の療養所を一般市民に開放
     全国のハンセン病療養所に入所している人たちを支援・活性化するため、
    国の責任で必要な医療を提供したり、療養所を退所した人たちに生活資金を支給することなどを
    盛り込んだハンセン病問題基本法が、2008年6月11日午前の参議院本会議で賛成多数で可決され、
    成立した。現行の「らい予防法廃止法」は廃止される。
    全国13カ所にある療養所の入所者は現在約2700人。高齢化などで療養所の存続が危ぶまれ、
    療養所の可能性を広げる基本法制定が求められていた。
    基本法は、廃止法が認めていなかった療養所の地方公共団体または地域住民の利用を認めた。
    施行は2009年4月。90年にわたって強制隔離政策が取られ、
    原則として施設利用を入所者に限定していた政策が大きく転換。
    一般市民も利用できるようになり、敷地内への福祉施設などの併設も可能になる。
冷え性(a cold constitution)ひえしょう
    体温は下がっていないのに、手足や腰などがいつも冷たく感じる症状。また、その体質。
    「冷え性」は東洋医学の概念で、西洋医学には定義すらない、やっかいな「病気」である。
    女性に多い不定愁訴の一つ。はっきりとした原因が不明で、
    医学的に表現すれば「抹消血管の血行障害」や「血流不足や代謝の低下による熱生産不足」などと
    いわれるくらいで、冷え性という病気はないが、不快な症状に悩まされている女性は多い。
    「寒いわけではないのに、手足が冷える」「ベッドに入っても足が冷たいまま」といった冷え性は、
    ただの寒がりとは違い、からだ全体は寒さを感じないのに、部分的に「冷え」を感じる症状をいう。
    冷え性は医学的には病気でなくても、慢性的な血行障害が、肩こりや腰痛、肌あれ、肌のくすみ、
    免疫力の低下など、さまざまなトラブルにつながる。また、貧血糖尿病、腎炎、心臓病、卵巣機能障害、
    栄養失調、心不全などの病気がかくれていることもあるので、症状が重い場合には一度検査を受けて
    みましょう。さらに、手足が冷えるといったレベルを越え、痛みをともなうなど症状がひどい場合には、
    まれにレイノー病、バージャー病、膠原病血栓症など血行障害の病気が原因となっていることもある。
    「冷え性」のタイプ
     ●毛細血管の収縮型 : 寒さを感じたときや内臓など体幹部分を正常に働かせるため、
                     手足の毛細血管が収縮する。体が温かくなってもこの状態が
                     解消されない人は毛細血管が常に収縮しているからである。
     ●低血圧 : 心臓のポンプ力が足らないため、血液が末梢の血管にまで行き届かない状態
     ●貧血 : 赤血球ヘモグロビンの不足は細胞での栄養燃焼を不完全にして
              熱を発生しにくくする。
     ●筋肉不足型 : 運動不足によって筋肉が衰えると、末梢の血液が心臓にもどりにくくなる。
      体内のほとんどの熱は筋肉で発生するので、筋肉不足は慢性的な熱の生産不足をもたらす。
     ●自立神経の乱れ型 : 冷え性の状態が長く続くと、交感神経と副交感神経のバランスがくずれて、
      必要な部分に必要なだけの血液がいかなくなり、体温調節機能が麻痺してしまうこともある。
    「冷え性」の主な原因
     ●体温調節をつかさどる自律神経は女性ホルモンの変動にも左右されるため、
      妊娠や閉経をきっかけに冷え性になる人が多い。
     ●生理のある女性は貧血になりやすく、血行障害が起きやすい。
     ●足に合わない靴や、きつい下着を着けることによる体の締め付けで血流が悪くなる。
     ●熱を発生させると同時に、血流を促す血管の収縮に必要な筋肉量が女性は少ない。
     ●無理なダイエットなど。
    「冷え症」の改善 : 適度な運動をして筋肉量をアップさせる。無理なダイエットはせず、
     バランスのとれた食事をする。漢方の考えでは身体を温める食材があるが、
     それを覚えるのが大変だという人は、スープや鍋料理など、物理的に温かいものを摂るようにしよう。
     とくに、冷え症の人は、朝起きたときに、体温がなかなか上がらない傾向があるので、
     朝食にも温かいものを摂るようにする。また、服装にも注意が必要で、冷えというと、
     手足を温めることを考えてしまいがちだが、冷え症を防ぐには身体の深部を冷やさないよう、
     腰や背中()、お腹を保温することがポイントである。そして重ね着を心がけましょう。
     汗をかくと身体が冷えてしまうので、「暑ければ脱ぐ、寒ければすぐに着る」をまめにして
     「汗をかかない、冷やさない」工夫をしましょう。
     肩甲骨の間。ここには褐色脂肪細胞といって熱をつくり出す脂肪がある。
    「冷え症」に効くツボ : 「合谷」「関元」「三陰交」の3つのツボが特に効くと言われている。
非結核性抗酸菌症(Non Tuberculous Mycobacteriosiss:NTM症)ひけっかくせいこうさんきんしょう
    結核菌と癩菌(らいきん)を除く感染症で、土壌やほこり、水回りなど、
    非結核性抗酸菌という菌が肺などに感染し、咳や痰(たん)、発熱などの症状が出る病気である。
    非結核性抗酸菌の排菌に関連して病像や症状が認められ、その排菌が頻回かつ大量である場合に
    非結核性抗酸菌症という。結核の原因である結核菌の仲間を、抗酸菌(こうさんきん)といい、
    結核菌や癩菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症である。
    結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)しないこと、病気の進行が緩やかであること、
    抗結核薬があまり有効でないことなどがある。結核の減少とは逆に発病者が増えてきており、
    確実に有効な薬がないため、患者数は蓄積され、重症者も多くなってきている。
    また、HIV感染者への感染(エイズ合併症)が問題になっている。
    結核症は今でも日本で毎年約35000人発病しているが、
    非定型抗酸菌症は毎年約2000〜3000人が発病していると考えられている。
    神経質になる必要はなく、運動や食事は普段通りで大丈夫である。
    台所が風呂場など湿気が多く菌がすみつきやすい場所の掃除は念入りにしておきましょう。
    症状 : 自覚症状がまったくなく、胸部検診や結核の経過観察中などに偶然見つかる場合がある。
     症状として最も多いのは咳で、次いで、痰、微熱、発汗、血痰・喀血(かっけつ)
     貧血、下痢、全身倦怠感(けんたいかん)などで、重症化した場合は、
     発熱、呼吸困難、食欲不振、体重減少などが現れることもある。
     一般的に、症状の進行は緩やかです。ゆっくりと、しかし確実に進行する。
     非結核性抗酸菌症は、肺気腫(「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」、塵肺気管支拡張症など
     基礎疾患に引き続いて起こることが多いので、基礎疾患の症状が前面に出ることが多い。
    治療 : 結核菌より病原性は弱いが、結核よりはるかに治りづらい菌である。
     1年半ほど3種類の抗菌剤を服用するのが標準的である。
     ただし発熱や体重減がなく、進行が緩やかな場合は薬を飲まずに様子をみることもある。
     処方量をきちんと飲めば、7、8割の人は薬で菌が消失するが、
     1度ダメージを受けた肺の働きは戻らない。
     病気が進めば、外科的に手術で病巣をとることがあるが、その前後にも薬物療法を行う。
     内科的には、結核に使う薬を中心に3種類や4種類の他の色々な薬を組合せて治療する。
     即ち、リファンピシン+エタンブトール+クロファザミン+シプロフロキシン、
     リファブチン+エタンブトール+クラリスロマイシン、アミカシン+エタンブトール+
     リファンピシン+プロフロキサシンなどの治療が行われているが、効果は限定的である。
ピック病(Pick’ disease) : アルツハイマー病の側頭葉と側頂葉に障害が現れるのに対し、
    ピック病は前頭葉を中心に前頭葉から側頭葉にかけて萎縮し、
    40〜50歳台の働き盛りで発病することが多いことから「若年認知症」の範ちゅうに入り、
    若年期(18〜39歳)と初老期(40〜64歳)に発症した認知症の総称で、
    アルツハイマー病型のほか脳血管性、前頭側頭型などがある。
    ピック病は1898(明治31)年に精神医学者アーノルド・ピック氏が初めて報告したことから名付けられた。
    アルツハイマー病や脳血管障害による認知症が過去の体験を忘れたり日時を間違えたりする
    「記憶の障害」である物忘れなどの症状から始まるのに対して、ピック病は同じことを毎日同じ時間に
    繰り返すなど「行動の障害」が特徴である。行動の異変のほかに性格の異変も現れ、
    温厚な人でも怒りっぽくなったり、几帳面な人がずさんになったり、約束を破る、
    同じことを繰り返す、不潔になる、相手を無視するなどの症状が目立つようになる。
    その後は直近のことを忘れというような記憶障害や言語障害などが現れて重度化し、
    家族や友人のことも分からなくなる。言葉が出なくなり、肉体的な衰弱が進む場合もある。
    原因は不明で、治療法も確立されていないし、公的なサービスや制度面での支援がまだまだ遅れている。
    このため発見が遅れて、職場でトラブルになることも多いようだ。患者本人には病気の自覚がない上に、
    まだ若い分、力も強いために施設が受け入れを嫌がるケースも多い。
    ピック病は、アルツハイマー病に比して少なく(アルツハイマー病の1/3〜1/10といわれている)、
    40代〜50代にピークがあり、平均発症年齢は49歳である(アルツハイマー病の平均発症年齢は52歳)。
    アルツハイマー病と違い性差はない(アルツハイマー病は女性にやや多い)。

    ピック病を疑うチェックリスト(群馬県こころの健康センター宮永和夫所長が作成)
    40〜70歳代で3項目以上当てはまると、ピック病の疑いがある。
     @状況に合わない行動 : 場所や状況に不適切な悪ふざけや配慮を欠いた行動をする。
                      周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為をする。
     A意欲減退 : 原因不明の引きこもりや、何もしないなどの状態が持続し、改善しない。
               思い当たる原因は特になく本人の葛藤(かっとう)もない。
     B無関心 : 自己の服装や衛生状態に無関心で不潔になる。周囲の出来事にも興味を示さない。
     C逸脱行動 : 万引などの軽犯罪を犯しても反省したり説明したりすることができず、
               同じ違法行為を繰り返す場合が多い。
     D時刻表的行動 : 散歩や食事、入浴など日常生活の様々な行為を時刻表のように
                  毎日決まった時間に行う。この際、止めさせたり待たせたりすると怒る。
     E食べ物へのこだわり : 毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない。際限なく食べる場合もある。
     F言葉の繰り返し(常同言語、反響言語) : 同じ言葉を繰り返したり、他人の言葉をおうむ返しする。
                                 制止しても一時的に止まるだけである。
     G好みの変化 : 突然甘いものが好きになるなど、食物のし好が大きく変わる。
                アルコールやたばこなどは、毎日大量に摂取するようになる。
     H発語、意味の障害 : 無口になったり語彙(ごい)が少なくなったりする。
                    はさみ、めがねなどの品物を見せても言葉の意味や使い方も分からなくなる。
     I短期記憶の維持 : 最近の出来事など、短期記憶は保たれる。
                   また日時も間違えないし、外出しても道に迷うことはない。
    参 : 若年認知症家族会「彩星の会」(HP)
頻尿(ひんにょう) = 頻尿(別掲)
不育症(ふいくしょう) : 妊娠はするものの、妊娠状態を継続する事ができず、
    流産・死産・早産・新生児死亡を何度も繰り返し、生きた子が生まれない状態を言い、
    2度連続繰り返し流産が起こる事を反復流産、3回以上続く時は習慣性流産や不育症と呼ばれる。
    子宮外でも育つことができる時期以前に発育が止まってしまう状態を「流産」、
    胎児が死亡している場合を「死産」という。厚生労働省の研究班によると、
    2回以上の流産や死産、早期新生児死亡の経験がある場合を指す。
    通常、自然流産の率は15%前後といわれており、6回妊娠すれば、1度は流産するという確率になる。
    患者は推計で約140万人。治療すれば、85%が出産できるという。
    原因 : 子宮の形の異常、子宮頸管無力症などの子宮の形態異常が関係していることもあれば、
     免疫異常で胎盤などに血栓ができやすい抗リン脂質抗体症候群などの血液凝固障害や膠原病など
     全身疾患が関係していることもある。また、夫婦の染色体や免疫の異常、胎児の染色体異常、
     夫の感染症の他に、母親と赤ちゃんの組織適合抗原(HLA)が原因であることもあるが、
     分からない場合も多い。厚生労働省研究班による初の実態調査では、
     不妊症の女性の4割が強い心のストレスを抱えていたという。
     
     2010.11.18、朝日新聞より
    症状 : HLAは白血球における血液型のようなもので、さらに複雑にタイプ分けされている。
     妊娠は母子間でHLAが異なるため、一種の同種移植と考えられる。
     つまり、母親にとって体内に宿った赤ちゃんは異物であり、異物を排除して
     生体を守ろうという免疫のしくみが働いてしまう。通常はある種の遮断(しゃだん)抗体が
     母親の免疫のしくみを制御して赤ちゃんが拒絶されないように守っているが、
     何らかの原因でこの遮断抗体の産生が低下してしまうことがあり、それが流産を引き起こす。
    流産と不育症 : 流産は妊娠で最もよく起きる合併症である。妊娠しても15%が流産するといわれ、
     40歳を過ぎると40〜50%とのデータもある。流産の9割以上が12週未満で流産する。
     不育症は、流産や死産を2回以上繰り返して生児を得られない状態をいう。
     名古屋市立大学の調査では、妊娠を経験した女性のうち、2回以上流産を経験した人は4.2%いた。
プール熱(ぷうるねつ) = プール熱(別掲)
腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ) = 腹腔鏡手術(別掲)
不整脈(ふせいみゃく) = 不整脈(心臓関連に別掲)
不定愁訴(ふていしゅうそ) = 不定愁訴(別掲)
不妊治療(ふにんちりょう) = 不妊治療(別掲)
不眠症(insomnia)ふみんしょう : 十分に眠れない状態が続くこと。夜眠れないことで苦しみ、
    そのために翌日の社会生活が障害されるものと定義されている。
    細かく言うと、下記の通り。
     (1)寝つくのに2時間以上かかる入眠困難。
     (2)途中で2回以上目が覚める中途覚醒。
     (3)いつもより2時間以上早く目覚めてしまう早朝覚醒。
     (4)眠っているかに見えて、眠ったという満足感のない熟睡間の欠如。
     上記4つのうち、少なくとも1つが週3回以上あり、これが1カ月以上続いている状態といわれる。
    神経症・鬱病・分裂病のほか、体の調子の悪い時、興奮している時などに起こる。
    睡眠には個人差が大きく、ナポレオンが3時間しか眠らなかったという逸話が有名ですが、
    それほどではないにしても、短い睡眠時間でぐっすり眠る人と、8時間以上眠らないとだめな人と
    いろいろある。また、加齢とともに、眠りが浅くなったり、朝早く目が覚めたりすることはよく知られている。
    現代の複雑多様なストレス社会にあって、不眠に悩まされている人は多く、
    日本では不眠の出現率は一般人口の約20%といわれている。
    症状
     ●入眠障害 : 寝つきの悪いタイプで、眠ろうとすればするほど眠れなくなるが、
               いったん入眠すると朝まで眠れるというもので、不眠症の中では一番多くみられる。
     ●熟眠障害 : 眠りが浅く、すぐに目が覚める、夢ばかりみて眠った気がしないと訴えるタイプで、
               老人の不眠や慢性的なストレス状態で多くみられる。
     ●早朝覚醒 : 朝早く目が覚め、その後眠れないというタイプで、高齢者に多い傾向がある。
               ただし就眠が早すぎるだけで全体の睡眠量は足りているということもある。
    睡眠障害が多くなった主な理由
     @就業形態の変化、夜働いて日中眠るという生活パターンの人が増えたこと。(不規則な生活)
     A肉体労働の比率が減ったこと。(運動不足による新陳代謝の低下)
     Bストレスの多い生活が多くなったこと。(ストレスがたまる)
     Cカロリーの多いものを食べるようになったこと。(暴飲暴食による肥満など)
     D小さい頃から不眠という人が増えてきたこと(生活習慣の変化)。などが挙げられる。
    診断(米国睡眠障害センター協会(ASDC)の分類)
     (1)精神生理学的要因による不眠
       これは最も一般的に多くみられる不眠であり、時差のある地域への飛行機旅行や精神的ショック、
       外科的手術のための入院など急激なストレス状況に対する一時的な反応として現れるもの。
     (2)精神障害に伴う不眠症
       心療内科、精神科領域では最も多くみられる不眠症で、神経症、うつ病・うつ状態、
       あるいはその他の精神疾患の部分症状として現れるもの。
     (3)薬物使用やアルコール飲酒による不眠
       慢性的な薬物依存やアルコール依存によるもので、特にアルコールは最初はナイトキャップとして
       飲んでいたのが、だんだん飲まないと眠れなくなり、次第に飲酒量が増え、寝つきはよいが、
       すぐに覚めてしまい、また飲むという悪循環を繰り返すようになる。
     (4)身体疾患、中毒性疾患などによる不眠
       夜間の不整脈や呼吸困難、咳、喘息あるいは発熱やかゆみなどの身体的苦痛や
       不快感のために不眠になることがあるので、この場合は内科的診断と治療が必要である。
       その他、まれなものとして、肥満による睡眠時無呼吸症候群や
       特発性周期性四肢運動(夜間ミオクローヌス)などで不眠(中途覚醒)となることがある。
    治療
     ●日常生活で工夫を : 眠れないからといって、すぐ薬局へ走ったり病院へ行かないで
                    日常生活で工夫してみる。寝室や寝具を工夫して眠り易い環境をつくる。
                    日中の精神的緊張や興奮を鎮めるため、適当な食事や飲酒をする。
                    音楽鑑賞、軽い読書、就寝前の入浴、濃いお茶やコーヒーを控える等で、
                    場合によっては眠るまいと努力するくらいの開き直りが効を奏することもある。
     ●無理に眠ろうとしない : 朝、目覚めて太陽の光を目で感じると、これを時報として
      脳の奥の方にある体内時計がリセットされる。すると、体の内部の温度を上昇させるなどして
      脳と体を目覚めさせ、13〜14時間にわたり、体を活動に適した状態に保つ。
      そして、朝に光を感じてから15〜16時間ほどたつと、体内時計は眠りの準備を始める。
      手足から熱を逃がして体の内部温度を下げ、脳と体を休息状態に導く。
      自然に眠たくなるのは、この時で、眠りの準備がスムーズに進むと、気持ちよく寝付ける。
      眠りの準備が自然に進むには、床に入る前の時間をリラックスして過ごすことも大切である。
      無理に眠ろうとしないで、床を離れて本を読んだり、音楽を聴いたり、リラックスして過ごし、
      焦らずに眠くなるのを待つ。
     ●熱い風呂は逆効果
      濃いお茶やコーヒーなどに含まれるカフェインは、眠りを妨げる。カフェインは、
      4〜5時間覚醒効果が持続するので、午後11時に寝付くには、7時を過ぎたら飲まないこと。
      寝る前にあまり熱い風呂に入ると、かえって刺激になり、疲労感は取れても寝つきが悪くなる。
      ぬるめの湯にゆったりと浸かる方が寝付きには良い。
      リラックス効果とともに、体の内部の熱を逃がす仕組みが働き、眠気をもたらす。
     ●どうしても眠れないときは最後の手段として医師に相談する
      原因によって治療法は画一的ではないが、睡眠薬による治療が一般的である。
      睡眠薬は医師の指示に従って、服用量、服薬時間、服用上の注意事項を厳格に守ること。
プロバイオティクス = プロバイオティクス(別掲)
ヘルニア (hernia) : 組織の一部が本来あるべき位置から外に飛び出してしまう状態をいう。
    人間の背骨は24個の骨で構成されている。そして、骨と骨の間にはクッションの役割をはたす
    「椎間板」とよばれる軟骨とともに積み重なっている。さらに椎間板は繊維輪(周辺の硬い部分)と、
    髄核(中心部分)で構成されている。その椎間板がつぶれたり、ひび割れたりすると、
    中のゼラチン状の髄核が押し出される。これが、神経を圧迫して激しく痛むようになる。
    腰椎(ようつい)で起きれば腰椎椎間板ヘルニアだし、頚椎(けいつい)なら頚椎椎間板ヘルニアになる。
    椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ) : 背骨の間でクッションの役目を果たす椎間板のうち、
     繊維輪に亀裂が生じ、内側の髄核(中心部分)という組織が繊維輪を破って飛び出したり
     膨れたりする事を言い、飛び出した(膨れた)椎間板が神経などを圧迫する事により、
     激しい痛みや痺(しび)れなどの症状を引き起こす。20〜40代での発症が多く、
     通常は痛みを抑える薬や注射などを使っているうちに症状が治まることが多い。
     手術は排尿障害や、足のしびれが2〜3カ月ほど続くなどの場合で、全体の1〜2割とされる。
     従来の椎間板ヘルニアに対する治療は、次のようなものがある。
      @痛み止め等の内服薬AリハビリテーションB神経ブロックC全身麻酔下での手術
      薬、リハビリ、神経ブロックには、適応の限界と短時間での再発の問題、全身麻酔下の手術では
      神経を傷つける危険性や術後の合併症、約1カ月の入院が必要などの問題がある。
     内視鏡を使って手術する治療 : 筒を通して内視鏡と手術器具を入れ、ヘルニアを取り除く方法で、
      従来の手術より傷口が小さく、術後の痛みも少ないことなどから、広まっている治療方法である。
     頸椎(けいつい)の場合 : 頸(くび)の痛みと運動制限、肩甲骨周辺の痛み、肩から手にまで
      広がる上肢の痛み・シビレ、時には足の先から躯幹や上肢に及ぶ知覚障害や歩行障害をきたす。
     腰椎(ようつい)の場合 : 腰痛と足の痛み(坐骨神経痛)、
      その他、足の知覚障害、筋力低下などが現れる。
     腰椎椎間板ヘルニアに対するレーザー治療
      経皮的レーザー椎間板除圧術(PLDD:Pericutaneous Laser Disc Decompression)は、
      1986年Choy(アメリカ)、Ascher(オーストリア)の両氏により初めて行われた。
      レーザー治療の理論は、まず椎間板内の髄核を蒸散させることで、椎間板内に空洞を形成し、
      椎間板内圧を減少させる。これによりヘルニア塊の神経根への圧迫を軽減させ、
      症状を軽快させるというもの。    
 従来はヘルニアに対しては全身麻酔下の手術を行い、約1カ月間の
 入院加療が必要でしたが、本治療は約30分の手術時間ですみ、
 しかも入院を必要としない画期的な治療法で、その利点は
  ○出血しない。
  ○局所麻酔で十分。
  ○傷が残らない。
  ○副作用がほとんどない。
  ○短い手術時間(1回15〜30分)。
  ○ほとんどの場合入院を必要としない。 などがある。
 一方デメリツトとしては、手術を行ってみないとどの程度まで回復するかが
 解らず、術前に結果の予測ができないことがあげられる。したがって、
 1000人の患者の調査では、大変良かった、良かったを合わせて
 約80%の有効率で、約20%の患者は症状が以前と全く変わらないことが
 ある。ただ幸いなことに悪化した方はいないそうです。その他、
 術後まる3日間は常時コルセットを装着し、
 その後は就寝時は外してもかまわないが、
 2週間はコルセットを着けておかなければならないことくらいでしょう。
上のMRIフィルムは、私の椎間板ヘルニアの手術前のもので、5番目の腰骨の下部の軟骨が
飛び出て中央を縦に通っている神経を大きく圧迫している。このくらいの症状になると、
激痛でじっとしていられない。レーザー治療は、この飛び出た軟骨をレーザー照射で焼き切る。
私の場合は軟骨が薄くなっていて針が入りづらかっために、20分くらい余分な時間がかかったが、
レーザー治療は10分程度で終った。手術は部分麻酔なので神経に熱が伝わるのか、痛いと言うより
熱いという感じで、熱さがひどくなれば「熱い」と言えば一旦止めて再度レーザー照射することを何度か
繰り返す。手術後はすぐに歩けて、2時間くらい休んで息子が運転する車で帰宅した。
手術後1カ月近くになるが、痛み止めがなくでも痛みはなく、右足首の腫れもとれたが、
足の裏の腫れが残っていて違和感がある程度で、手術痕は全く残っていない。
参 : 腰痛ぎっくり腰座骨神経痛鼠径ヘルニア日本整形外科学会(HP)、
    日本脊椎脊髄病学会(HP)、日本脊髄外科学会(HP)、健康の森・ヘルニア(日本医師会HP)
ヘルペス脳炎(herpes encephalitis)へるぺすのうえん : ヘルペス脳炎は、発熱、咽頭痛、
    全身倦怠感が続いた後、髄膜刺激症状(悪心、嘔吐)、痙攣、言語障害などの神経症状が現れる。
    ヘルペス脳炎の多くは、HSV−1が原因だが、初発症状は、発熱のみで、
    ヘルペス性歯肉口内炎のように、歯肉炎や、口内炎など、
    ヘルペスウイルス感染症を示唆する症状が現れないことが多い。
    ヘルペス脳炎は、側頭葉壊死のため、聴力障害や言語障害などの後遺症が残ることが多いと言う。
    ヒトの分泌物(1型は唾液、2型は子宮頚管分泌物や精液に多く見られる)が感染源となる。
    ウイルスを含む分泌物や、患部との接触によって、あるいはウイルスに汚染された物品との
    接触によって感染する。2型ウイルスは、ウイルス保有者との性交によって感染する。
    また、胎児への経胎盤感染、出生時の産道感染を起す事もある。
    初感染では、鼻の粘膜→嗅神経→脳(側頭葉)へと移行する事が多く、
    二度目は、三叉神経に潜伏したウイルスが脳に侵入してヘルペス脳炎が起きる事がある。
    発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣、項部硬直、失語症、異常行動、人格変化等が急性に起きる。
    怪しい症状が起きたら、すぐに病院(神経内科等)を受診。髄液中のウイルス検査、CTMRI
    脳波検査の結果、ウイルス剤(アシクロビルやビダラビン)などの点滴が行われる。
    年間300〜400人が発症し、死亡率は10〜30%、後遺症が残る人が30%と言われる。
    乳幼児でも感染発病する事がある。 参 : 口唇ヘルペス
変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう) : 関節の表面は軟骨で覆われている。
    弾力性に富んだ組織から成る軟骨は、衝撃を和らげるクッションの役割を果たし、
    関節の動きを滑らかにする。軟骨は70〜80%が水分であり、新陳代謝を繰り返し、弾力性を保っている。
    関節の中には、「関節液」があり、軟骨の栄養成分や酸素を供給する、重要な役割をはたしている。
    関節の、主として骨と骨の間にある関節軟骨が、使いすぎによってすり減り、
    骨が徐々に変形していくため、運動痛や運動制限をきたす疾患のことを変形性関節症という。
    股関節・脊椎などに生じやすい。多くは老化現象としてみられ、
    年齢とともに増加し70代で60%、80代で80%の方が罹患しているともいわれている。
    関節の組織が壊れ、体の各関節に炎症や発熱が発生し、痛みがひどくなると、
    関節をかばって動かさなくなるため筋肉が衰えて、関節を動かせなくなることもある。
    この病気はお年寄りや中年以上の肥った女性に見られるのが特徴で、
    男女を問わず、やせている人には比較的少ない病気である。
    変形性関節症には、一次性のものと二次性のものがあり、一般的に多いのが一次性のもので、
    加齢による関節の老化や代謝の低下で、骨と骨の隙間がだんだん狭くなり、やがては、
    骨と骨がこすれ合うようになる。関節軟骨には神経がないので、摩擦による痛みはないが、
    周りの組織(靱帯や関節包)が次第に刺激され痛みが起こる。
    一次性の場合、突然発症するわけではなく、長い年月をかけて症状は進んでいく。
    二次性のものは、さまざまな外傷(交通事故などによる関節損傷、関節内骨折、靱帯損傷等)によって
    関節が変形したり、機能障害を起こすものである。
    主に変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性肘関節症、変形性足関節症がある。
    変形性膝関節症(Osteoarthritis of Knee Joint)へんけいせいしつかんせつしょう
    加齢、打撲や捻挫などの外傷、代謝異常など、何らかの要因により関節液や関節軟骨に異常をおこし、
    関節の痛みや炎症、変形、運動制限を主な特徴とした疾患で、進行例では
    二次的な炎症症状として膝に水(関節液)が溜まる「膝関節水腫(ひざかんせつすいしゅ)」を起こす。
    変形性膝関節症は50歳以上の女性に多く、最初は膝の軽い痛みや、うまく伸ばせない、
    という症状が見られる。病気が進むと関節が腫れ、膝に水がたまる(関節水腫)。
    発症箇所によって様々な原因があるが、主にひざの筋肉の衰えである。
    悪化すると膝を真直ぐに伸ばせなくなり、X脚やO脚といった下肢の変形が起こる。
    痛みや変形がひどくなると、立ったり歩いたりできなくなる事もある。
    関節液は一旦貯まると頑固でなかなか消退しないことが多く、
    ある程度以上たまると腫れと痛みを伴なうようになり、整形では穿刺して関節液を抜く。
    「膝の水を抜くと『くせ』になる」と言われるが、『くせ』になうと思われているのは、
    何度か抜かなければならないからで、傷ついた軟骨が治らなければ、また関節液が異常に産生されて
    腫れてしまう。水を抜いた後に、炎症をおさえる薬を注射して傷が治れば、だんだんと水は貯まらなくなる。
    治療 : 運動療法で症状の悪化を抑え、痛みを薬で和らげるのが中心で、
     グルコサミンなどのサブリメント摂取も痛みなどの症状を改善し進行を抑える効果がある言われている。
    変形性膝関節症の予防
     ●重量物を持たない、正座や和式トイレをさけるほうがよい。
     ●膝関節の安定性を得るために、太ももやふくらはぎの筋肉を強化する。
      太ももの前側の筋肉を鍛える運動が効果的で、いすに腰かけ、片足を床と水平になるまで伸ばし、
      10秒止めて、ゆっくり下ろす。反対の足も同様。1セット20回を朝昼晩行う。
     ●膝を伸ばす運動や、自転車こぎ、ウォーキングなども効果的。
     ●膝の痛みの強い人には、水中歩行がをお勧め。
     ●膝の周囲には脂肪組織が少なく冷えやすいので、保温や入浴時のマッサージも役立つ。
    変形性股関節症(Osteoarthritis of Hip Joint)へんけいせいこかんせつしょう
    股関節(ももの付け根)やお尻、ももに痛みが生じ、股関節の運動が制限される。
    歩行により痛みが増し、症状はますます悪化していく。先天性股関節脱臼や、その治療後の骨頭の変形、
    外傷、炎症、特発性大腿骨頭壊死などが原因となる。先天性股関節脱臼は、
    新生児、乳児期に早期発見し、しっかり治療しておくことが大切である。
    変形性肘関節症(Osteoarthritis of Elbow Joint)へんけいせいひじかんけつしょう
    常に肘に力がかかる職業の人に多い病気で、肘関節の痛みが生じる。
    また、肘関節の運動制限や関節の内側を通る尺骨神経の麻痺による薬指や小指のしびれ感、
    手の甲の骨間の筋肉の萎縮が生じる。
    変形性足関節症(Osteoarthritis of Ankle Joint)へんけいせいあしかんけつしょう
    足首の関節は単位面積あたりの体重負担が非常に大きいので、
    関節の中の骨折や捻挫後の関節の歪みが、年月を経てこの病気に発展することがある。
    足の軸のズレや、長年の体重オーバーも、この病気の原因となる。
    症状としては、足首の関節に腫れや痛みがある。進行すると運動制限がおこる。
    痛みは時に、歩くことができないほど痛いことがある。
    変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)
    椎間板(ついかんばん)がすり減ったり、つぶれたりして、椎骨に負担がかかり変形する病気で、
    脊椎のどの部分にも起こりるが、特に体重による負荷が集中する腰椎や、
    重い頭部を支えている頚椎(けいつい)に発生しやすい。
    腰部変形性脊椎症の主な症状は腰痛で、最初の内は、鈍痛や腰のだるさが生じる。
    立ち上がったり、歩き出した時に痛みが強まり、動いているうちに痛みが治まってくることが多い。
    症状が進行して、脊髄から身体各部に神経が枝分かれしていく部分にあたる神経根が圧迫されると、
    足のしびれや冷感、知覚障害、筋力の低下などを招く。
    頸部変形性脊椎症は、首の痛みや肩こりが現れる。頚椎では、骨のふちに突起(骨棘:こつきょく)が
    できて神経を圧迫し、肩や腕に症状が出る。神経根が圧迫されると、腕や手指の痛みやしびれ、
    知覚障害などが起こったり、細かい手作業がうまくできなくなるケースがある。進行すると背骨が曲がる。
変形性膝関節症 → 変形性関節症
膀胱炎(cystitis)ぼうこうえん : 膀胱の炎症。膀胱カタル。文字通り、尿をためる膀胱が
    炎症を起こす病気のことで、女性に多い。頻尿・排尿痛・尿混濁・残尿感を主症状とする。
    また排尿の最後に少量の出血を認めることもある。
    大腸菌などの細菌の感染によることが多いが、薬・放射線・アレルギーなどでも起こる。
    ひとたびかかると、頻尿や排尿時の痛み、尿の濁り、尿を出しても出し切れていない感じがする残尿感や、
    血が混じる血尿などがおもな症状。もしこのようなサインが現れたら、膀胱炎と疑っていいだろう。
    これらの原因は細菌感染によるもので、通常は無菌状態の膀胱になんらかの形で尿道から細菌が侵入し、
    炎症を起こす。不衛生な習慣が大きな原因と言えるが、病気中や疲労が溜まっているときなどは
    免疫力が落ち、膀胱粘膜の抵抗力が低下しやすく、膀胱炎にもかかりやすいのでより注意が必要である。
    膀胱炎患者の多くは、細菌感染による「急性膀胱炎」がほとんどだが、近年、
    菌の感染以外で発症する「間質性膀胱炎」という新しい病気が確認され、その患者も少なくないという。
    この症状は、頻尿、尿意切迫感(我慢できないほどの強い尿意)などに加え、
    膀胱に尿が溜まると痛みが走る蓄尿時痛などを伴い、女性に多い。
    膀胱粘膜の下にある「間質」に炎症が起こり膀胱が萎縮する病気なのだが、
    はっきりとした原因はまだ判明していない。診断が難しく、医師の中でも知識を持ち合わせていない
    ケースもあるので、正しく抗菌薬を内服してもこれらの症状が6週間以上続くようであれば、
    専門医のいる泌尿器科を受診しよう。
     慢性膀胱炎は、慢性化の要因として尿の流れを悪くするような基礎疾患を合併していることが多い。
    したがって、前立腺肥大症や膀胱腫瘍(しゅよう)のおきやすい比較的高齢者に多くみられ、
    また若干男性に多い。症状は急性膀胱炎と同様であるが、はっきりした症状を呈さない場合も多く、
    また基礎疾患自体の症状のみを呈するものも多い。治療としては、化学療法と同時に
    基礎疾患の治療が重要で、基礎疾患を除去しない限り感染を根絶することは一般に困難である。
    なお、非細菌性膀胱炎としては、子宮や直腸に対する放射線治療の際にみられる放射線性膀胱炎、
    膀胱内の異物や結石などの機械的刺激による膀胱炎、ある種の薬剤の尿中代謝産物の
    化学的刺激による膀胱炎などがある。また、幼小児に比較的多いアレルギー性膀胱炎、
    特殊なものとしては中年女性にみられる間質性膀胱炎などもある。     
症状の進行の様子
進行度 症状 記事 
トイレに行く回数が増える 1日数回だったトイレの回数が、気がつくとなんだか増えている。
排尿してもなんだかすっきりしないような…。 
排尿後しみる  排尿が終わるときに、ツ〜ンとしみるような違和感を感じる。
少し痛みもある。 
何度も何度もトイレへ  排尿しても残尿感があるため、何度も何度もトイレへ。
排尿の終わりごろに、はっきりとした痛みも感じる。 
トイレから出られない!  痛みと残尿感はますますひどくなり、トイレから出られないほど。
尿は濁り、時に血が混ざることも。 
    体の構造上、女性に多く、男性は尿道炎に注意!
     男性に比べ、膀胱炎は圧倒的に女性に多い。それは、女性と男性の尿道の位置の違いに理由がある。
    急性膀胱炎は、細菌が膀胱に侵入することがおもな原因となるが、
    女性は尿道口と肛門、膣の位置がとても近いため肛門周囲の大腸菌が尿道に侵入しやすい。
    その点男性は、性器と肛門の位置が離れているので尿道から細菌が侵入しにくい。
     また、尿道の長さも男性の14〜18cmに比べ、女性は約3〜5cmと短く、
    細菌が侵入しやすいつくりとなっている。男性の場合は、膀胱炎にかわって尿道炎にかかるケースが多く、
    原因となる菌も大腸菌ではなく性感染症である淋菌やクラミジアであることがほとんどである。
     女性の体は構造上、セックスによって膣前低部の大腸菌が尿道口から膀胱に侵入するケースもある。
    それを避けるためには、セックスの前はシャワーで体や手指をきれいに洗うことを
    パートナーと共に心がけ、セックス後はトイレで尿を出すように意識しよう。
    菌が繁殖する前に尿で流し出して膀胱炎のリスクを減らそう。
    治療
     ごく軽い症状の場合は、できるだけ水分を摂るようにすれば治ることが多い。
    ただし、アルコール類など刺激物は禁物。それでも解消しなければ、すぐに泌尿器科を受診しよう。
    抗生物質を飲めば、通常3 日で治る。早めの対処が肝心だ!
    膀胱炎の発症中に水分を多く摂ることは有効
     すでに膀胱炎になっていて排尿時に痛みがある場合は、できる限りトイレに行く回数を
    減らしたいと思って水分の量を控えたりトイレを我慢してしまう人が多いが、これはNG。
    尿を貯める時間が長ければ長いほど、膀胱中の細菌が繁殖しやすく、症状が長引くことになるので
    気をつけよう。水分をたっぷり摂ってトイレに行く回数を増やし、細菌をなるべく洗い流すことが重要である。
    膀胱炎対策
    ●トイレの後始末に気をつける : 排便後の処理の仕方は大きな原因のひとつ。
     大腸菌が尿道口に付着しないように外陰部を清潔に保ち、「前から後ろ」に拭くように心がけよう。
    ●便秘に注意する : 便秘中は腸内に長時間、便がとどまってしまうため、
     それだけ大腸菌が繁殖しやすく、便に大腸菌が多いと肛門付近の大腸菌も増えてしまう。
     膀胱炎になりやすい人は、食生活に気をつけ適度な運動を心がけ、便秘しにくい環境作りを意識しよう。
    ●清潔を心がける : セックス前はシャワーで体をきれいにして、
     セックス後はトイレに行って菌を流し出す習慣を。また、生理中のナプキンやタンポンの
     長時間のつけっぱなしも細菌繁殖の原因に。こまめに代えて外陰部を清潔に保とう。
     生理用ナプキンやおりものシートは、できるだけ3時間以内に替えよう。
    ●疲労を避ける : 疲れていたり、体が弱っていると抵抗力が衰え、膀胱炎になりやすい状態に。
     ストレスからくる精神的な疲れも原因となるので注意しよう。また、旅行中は心身が疲れやすく、
     トイレに行きづらい状況も多いため、膀胱炎になりやすいので特に気をつけよう。
    ●トイレを我慢しすぎない : 頻繁にトイレに行く必要はないが、長時間、トイレを我慢しすぎることは
     膀胱にとってよくないこと。たとえ膀胱に細菌が入ってしまっても、尿で流し出してしまえば
     発症を防げることもある。膀胱炎になりやすい人は、日頃からトイレを我慢せず、こまめに行こう。
    ●過激なダイエットは避ける
    ●水分は多めに摂る
    ●下半身を冷やさないようにする
放射性医薬品(radiopharmaceuticals)ほうしゃせいいやくひん
    特定の臓器や細胞に集まりやすい薬に微量の放射性同位元素(RI)を組み合わせた医薬品のことで、
    静脈注射などで体内に入れ、薬が放つ放射線を撮影し、病気の診断や治療に用いられる。
    具体的には放射性医薬品の製造及び取扱い規則に掲げられた放射性核種の化合物およびその製剤で
    @日本薬局方および放射性医薬品基準に収載されている品目
    A診断または治療の目的で人体に適用するものであって、
     厚生労働大臣の製造もしくは輸入承認を受けた医薬品である。
     放射性医薬品及び取扱い規則には67の放射性核種がしめされている。
    全国約1300の医療機関で年間100万件使われている。
    放射性医薬品の種類
    治療用医薬品は、β線放出核種を有効成分としの治療に使用される。
     患者に苦痛なく、乳がん前立腺がんの転移や腎機能の診断などができる。
    診断用医薬品は、低〜中エネルギーγ線放出核種で標識された化合物を有効成分とし、
     画像診断(SPECTやPET)に使用される。
    体外診断用医薬品は、3Hや125Iなどで標識され、
     血液中に極微量存在するホルモンビタミンの検出定量に使用される。
    放射性医薬品の一般の医薬品と異なる点 : 診断や治療の手段として放射線を利用するもので、
     用いられる物質量は極めて微量であり、取扱い上、放射能表示に検定日または検定日における
     放射能が記載されること、放射能標識、有効期間の表示が要求されていることなどである。
ポリオ = ポリオ(別掲)
ホルモン療法 : 男性ホルモンがなくなると前立腺のがん細胞が死んでいくことを利用して、
    男性ホルモンを下げてしまう治療や男性ホルモンの働きを阻止するような治療法のことで、
    「内分泌療法」ともいい、治療として、最も有効で基本となる治療法である。
    この治療法の特徴は、多くは効果が永久に続かない事と体にかかる負担が比較的少ない事で、
    主に高齢者の患者や病気が進んでいるため手術や放射線などの
    根本的な治療ができない患者が対象になる。
    男性ホルモンは脳の一部である下垂体から出るホルモン(LH−RH)により刺激を受けて、
    精巣副腎から分泌される。治療としては、この男性ホルモンがつくられる過程を抑えるか、
    前立腺に作用しないようにすればよいわけである。その他、
    男性ホルモンを抑える作用がある女性ホルモンや抗男性ホルモン剤を1日に数回内服する方法や、
    下垂体に作用して男性ホルモンを去勢術を施行した時と同じくらいに低下させる
    薬(LH−RHアナログ)を1カ月、あるいは3カ月に1回皮下注射する方法があるが、
    精巣を取ってしまう方法と効果は変わらない。
    費用は睾丸を取ってしまう方法では入院費用を含め30万円前後で、注射をする方法では
    月6万円前後かかり長期間使用するので、睾丸を取ってしまう方法よりもコストがかかる。
    どちらの方法でも健康保険がきくので費用の1〜3割の負担となる。
    副作用として男性ホルモンが低下する事による症状が出る。
    具体的には性欲が無くなり、勃起しなくなる、汗をよくかく、手指がこわばる、
    体重が増えるなどで、長期間経過すると骨そしょう症や筋力の低下なども起こる。
マイコプラズマ肺炎 = マイコプラズマ肺炎(肺の関連に別掲)
マラリア(Malaria) : 麻剌利亜。古名は、わらはやみ・おこり。漢名は、瘧(ぎゃく)。マラリア熱。
    熱帯・亜熱帯に多い原生動物・胞子虫類・プラスモジウム(Plasmodium)属の
    マラリア原虫(病原体名)が、長く細い脚とまだら模様の羽をもつ
    ハマダラカ属アノフェレス(Anopheles)属の蚊で媒介されてヒトに感染して発症する
    発熱性疾患(マラリア原虫感染症)で、届出伝染病である。
    メスのハマダラカが感染者の血液を吸い、別の人を刺して広がる。
    語源は、イタリア語のmala(悪い)aria(空気)から。
    1〜3週間くらいの潜伏期間の後、悪寒、震えと共に体温が上昇し、1〜2時間続く。
    その後、悪寒は消えるが、体温は更に上昇し、顔面紅潮、呼吸切迫、結膜充血、吐き気、嘔吐、
    頭痛、筋肉痛などが起こり、これが4〜5時間続くと発汗と共に解熱する。これを熱発作と呼ぶ。
    この熱発作の間隔は、感染するマラリア原虫の種類によって異なり、四日熱マラリアは72時間、
    三日熱・卵型マラリアは48時間ごとに起こるが、感染初期では発熱が持続する傾向が多い。
    原虫の種類により発熱周期が異なるが、周期的な発熱発作が特徴で、
    貧血や肝脾腫(かんひしゅ)も見られ、悪性の場合は意識障害や腎不全などを起こし死亡する。
    効果的なワクチンはないが、抗マラリア薬で治療できる。
     マラリアは世界で100カ国以上にみられ、世界保健機関(WHO)の推計によると、
    年間3.5〜5億人の罹患者と150〜270万人の死亡者があるとされる。
    この大部分はサハラ以南アフリカにおける5歳未満の小児である。
    エイズ結核と並ぶアフリカの3大感染症である。
    サハラ以南アフリカ以外にもアジア、特に東南アジアや南アジア、
    パプアニューギニアやソロモンなどの南太平洋諸島、中南米などにおいても多くの発生がみられる。
    全世界で、旅行者が帰国してから発症する例も年間3万人程度あるとされる。[季語]夏−生活。
    参 : 住友化学の蚊帳
未承認薬問題(みしょうにんやくもんだい) : 日本で薬事法にもとづく販売承認を得ていない薬品。
    日本では世界と比べてその承認が大きく遅れていることが問題。いわゆるドラッグラグ。
    ●米国でもFDA承認薬は臨床に追いついていない。ただ日本と違って、権威ある15の医学学術雑誌が
     認めた新薬は、民間の保険会社がすぐ承認して使える。日本では薬の承認と保険適用は一体だが、
     欧米はそうではない。未承認薬でも保険が使える。
    ●日本のドラッグラグはよくいわれる承認審査が遅いことが原因のすべてではない。
     むしろ国内での新薬開発の遅れや海外新薬の承認申請の遅れが問題。
     法制度などによる新薬開発の時間的、経済的ロスが莫大で製薬メーカーが日本をパスしてしまう。
    ●日本の未承認薬問題の解決には申請ラグの解消が不可欠。
     欧米で承認されたら治験なしで日本でもすぐ承認すればいいという議論があるが、
     一理あるが海外からは試験のリスクを他人に押し付けたタダ乗り論がある。
    ●欧米、日本を問わず承認された薬は100%安全かというとNoである。これは常識、
     保険承認ということは、安く使えるということである。あとで承認取り消しとか薬剤回収などいくらでもある。
メタボ検診(メタボけんしん) : 正式には「特定健診・特定保健指導」で、内臓脂肪がたまり、
    糖尿病脳卒中などの様々な病気につながるメタボリック症候群(メタボ)を早期発見し、
    国の医療費を抑えようと2008(平成20)年4月から導入された。
    医療保険者が実施主体となる「特定健康診査・特定保健指導」
    (高齢者の医療の確保に関する法律第20・24条)を実施する機能を有する健診機関および
    保健指導機関の情報を集積し、医療保険者が40〜74歳の被保険者・被扶養者を対象とした
    「特定健康診査・特定保健指導」の実施を委託する機関の候補に関する
    参考情報として資することを目的とした新しい健診・指導制度である。
    高齢化が進み、膨らむ国の医療費を抑えるため、医療費適正化計画の一つとして行われる。
    40〜74歳全員が対象で、健康保険組合や国民健康保険などすべての保険者に
    年1回の実施が義務化された。これまでもれがちだった自営業者や専業主婦も対象となる。
     腹囲(男性85cm、女性90cm以上)または身長、体重、BMIのほか、血糖値、脂肪値、
    血圧などを加味して判定し、受診者を「積極的支援」「動機づけ支援」「情報提供」の3つに振り分ける。
    積極的支援(メタボリック症候群該当者)または動機づけ支援(予備軍)と判定された場合、
    医師や保健師などの専門職から、面接やメールなどで食事や運動の仕方といった生活習慣の
    改善を指導される。最もリスクが高い「積極的支援」に分類された場合、
    保健師や医師などによる面接や電話などで3カ月以上にわたり、
    食事制限や運動などについての指導を受けることになる。
     特定検診・特定保健指導では40〜74歳の被保険者と被扶養者のうち、
    メタボ該当者を対象に国民健康保険組合や企業の健康保険組合など医療保険者に対して、
    被保険者となっている従業員の生活習慣を見直すための指導が義務付けられ、
    健保では従業員の被扶養者も対象になる。
     国は、2012年度までの目標を「健診受診率70%」「メタボと診断された人の指導実施率45%」
    などと設定している。健診や指導の達成状況に応じて、保険者が支払う
    75歳以上の後期高齢者の医療費への負担額(支援金)が10%加算されたり、減ったりする。
    強制力はないものの、検診の結果が、保険者の財政にも影響することになる。

    厚生労働省の調べによると、40〜74歳のメタボリック症候群の該当者並びに予備軍は、
    2004年10月時点で約9,960万人にのぼると推計される。
    これには男性の52%、女性20%が該当する。民間の矢野経済研究所によると、
    メタボリック対策の市場規模は2004年で1兆595億円で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは、
    2010年度には3兆円を超えると試算している。指導業務のアウトソーシングに加え、
    フィットネスクラブや計測機器、給食事業といった需要の増加も見込まれており、
    メタボリック対策事業に参入する企業が増えている。
    早期発見。指導で医療費を抑制
    メタボリック・シンドロームに陥ると、、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中などの発症リスクが高まることから、
    政府はメタボ検診によって、メタボリックシンドロームの早期発見を目指している。
    メタボリック症候群の該当者や予備軍を早めに見つけて積極的に指導することで、
    財政を圧迫している医療費の削減につなげることが狙いとされる。
     これまでの基本健康診断の受診率は2006年度の全国平均で42%だったが、
    国は2012年度に健診の受診率を70%、保健指導の実施率を45%に上げることにし、
    達成できないときは、国保や健康組合は、後期高齢者医療制度への支援金を最大10%増額させられる。
    この「罰金」を払うために保険料を値上げするところが出てくると、仲間に迷惑をかけることになるという。
    保健料が上がらないためにも、毎年の健康診断を欠かさずに自分の健康は自分で守りましょう。
    メタボ、男性20%、女性7%(2008年度の健診結果)朝日新聞2010.8.26号より
     メタボリック・シンドローム対策とし導入された特定健康診査(メタボ健診)で、2008年度は14.5%が
    メタボに該当していた。予備軍を含めると4人に1人の割合。厚生労働省が2010.8.25日に公表した。
     メタボ健診は生活習慣病の予防策として2008年度から始まった。
    40〜74歳が対象で、健康保険組合など保険者が実施を義務付けられている。
     初年度の対象者は計5191万9920人で、このうち受診したのは2千万人弱で、受診率38.3%。
    厚労省は12年度の受診率7割を目指しているが、大きく下回っている。
    健康保険組合が最も高く58%。市町村の国民健康保険は31%、協会けんぽは30%だった。
     性別で見ると、メタボに該当した男性は20.6%で、女性の7.1%に比べて圧倒的に多い。
    メタボ予備軍の人は受診者の12.4%だった。
    参 : 特定健康診査・特定保健指導に関する情報(厚生労働省HP)
メタボリック症候群(metabolic syndrome)メタボリック・シンドローム : メタボ。内臓脂肪症候群。
    メタボリックは「代謝」の意味で、「代謝異常症候群」とも呼ばれる複合生活習慣病のことをいう。
    内臓脂肪が蓄積した肥満をベースとして、「高中性脂肪血症」「高コレステロール血症」
    「高血圧」「高血糖」などの動脈硬化の危険因子が2つ以上重なった状態をいい、
    血糖値や血圧がやや高く、お腹が出てきた人を指す。
    食べ過ぎや運動不足が原因とされるが、血糖や血圧、中性脂肪の値が極端に悪いわけではない。
    しかし糖尿病高血圧症高脂血症に重複してかかった場合、
    放置していると動脈硬化性疾患(心筋梗塞脳梗塞など)の危険性を高めるという。
    生活習慣病といわれている疾患には、主なものに「肥満症」「高血圧」「糖尿病」「高脂血症」などが
    あるが、これらは個々に原因があるのではなく、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満の
    「内臓脂肪型肥満」が主な原因であることがわかってきた。
    これらの疾患を複数持ち、さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリック症候群」といい、
    内臓の周りに脂肪がたまることから「内臓脂肪症候群」や、「複合型リスク症候群」などとも呼ばれる。
     最近の生活変化から元来日本人には少ないとされてきた肥満による「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が
    増加してくる可能性があること、睡眠時無呼吸症候群も心筋梗塞、脳血管障害による死亡率を高める
    ことで、肥満と関係の深いメタボリック症候群が睡眠時無呼吸症候群と関連づけて注目されている。
     日本肥満学会日本動脈硬化学会日本糖尿病学会日本高血圧学会日本循環器学会
    日本腎臓病学会日本血栓止血学会日本内科学会の8学会が日本における
    メタボリック症候群の診断基準をまとめ、2005年4月に公表した本診断基準では、
    必須項目となる内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100平方cm以上)のマーカーとして、
     ◆腹囲(ウエスト周囲径)が男性で85cm、女性で90cm以上の「要注意」を加え、その中で
     @血清脂質異常(トリグリセリド値150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)
     A血圧高値(最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上)
     B高血糖(空腹時血糖値110mg/dL)
    の3項目のうち2つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断する、と規定している。
    「メタボリック症候群」の危険因子を持つ人は、特に自覚症状がなくても定期的に受診し、
    生活指導を受けたり、投薬を受けたりして、病態の進行を食い止めると同時に、日常生活において
    意識的に運動量を増やし、食事を従来の日本食に切り替えるなどの努力が大切とされる。
    厚生労働省によると、40歳以上の中高年では男性の2人に1人、
    女性の5人に1人がメタボリック・シンドローム、または予備軍とされている。
    メタボリック・シンドロームに効くトレーニング(健康創研代表・菅野 隆氏のおとこ科診療室より引用)
    @ウォーキング : 1日に1万歩、時間なら90分、距離なら8km歩くのが理想だが、
     1回に10分以上を2セットは歩くようにしましょう。歩き方は、できれば早足で、歩幅は大きく、
     腕を大きく振って、骨盤が回ようダイナミックに歩く。一直線に歩くことを意識すると、骨盤が回り、
     それに伴い骨盤周辺筋も動くので、エネルギーの消費量が増え、内臓脂肪も燃焼されやすくなる。
     おへそにヒモが付いていて、斜め上45度の方向から引っ張られているようにイメージすると、
     さっそうとした歩き方になる。
    A筋肉トレーニング : インナーマッスル(体の内側にある筋肉)を鍛えるスロートレーニングを行う。
     インナーマッスルは脂肪をエネルギー源としているので、内臓脂肪を減らすために効果的である。
     イスに座って、脚上げ運動を行う
      ●イスに座って、両手を座面に置く。両足をゆっくり、5秒間持ち上げ、
       5秒間で元の位置に戻すトレーニングを5回繰り返す。
      ●90度に脚を広げ、右ヒザに両手を重ねて置く。両手でヒザを押すように、
       自分のできる範囲で適当な負荷をかけ、5秒間で右足を持ち上げ、5秒間で足を下ろす。
       これを左右それぞれ5回行う。
    B呼吸法 : 立ったままでも行える呼吸法で、おなかをへこませながら、息を吸う。
     さらにおなかをへこませながら、息を吐く。さらに、なるべくおなかをへこませるようにしながら、
     5回程度、呼吸を行う。
    
    成人のメタボリック症候群有病者は約1300万人と推計されることが2006年5月8日、
    厚生労働省の2004年国民健康・栄養調査で分かった。有病者一歩手前の“予備軍”も約1400万人で、
    両方合わせると約2700万人。40〜74歳では有病者が約940万人、予備軍が約1020万人になる。
    割合は中高年になるほど増加傾向を示し、40〜74歳に限ると男性では2人に1人、
    女性では5人に1人が有病者か予備軍だった。

    メタボリック・シンドロームに陥ると、動脈硬化や糖尿病だけでなく、
    胃がんのリスクも高まることが、東大腫瘍(しゅよう)外科の北山丈二講師らの研究でわかった。
    肥満解消が、がんの予防や再発防止にもつながる可能性を示す成果と言えそう。
    2006年9月下旬に横浜市で開かれる日本癌(がん)学会で報告する。
    参 : メタボ検診ヘルシズムロコモティブシンドローム
薬事法(やくじほう) = 薬事法(別掲)
ヤコブ病(Creutzfeldt−Jakob Disease:CJD) : 正式にはクロイツフェルト・ヤコブ病と呼ぶ。
    病理学的所見の中心が大脳皮質の海綿状態であることから「亜急性海綿状脳症」とも呼ばれる。
    異常な「プリオン」というタンパクの一種が増殖することによって引き起こされる脳組織の破壊が
    原因とみられる病気で、脳がスポンジ状になり、認知症の症状が急速に進み、運動や思考能力を失い、
    一旦発症すると、現代の医学では治療法はなく1〜2年で死亡するケース多い。
    1920年代の初めに、ドイツの神経病理学者であるクロイツフェルトとヤコブがそれぞれ研究報告を
    発表したところから、クロイツフェルト・ヤコブ病と呼ばれるようになった。
    ヤコブ病の種類 : 「変異型」のほか、原因不明の「孤発型」、
           乾燥硬膜移植などで感染する「医原型」、親から子へ遺伝する「遺伝型」の4種類がある。
           孤発型と遺伝型は主に40〜80歳にみられ症状が急速に進展する。
           変異型は30歳未満で亡くなるケースが多く、孤発型や遺伝型に比べ、進行が遅いとされる。
    ヤコブ病の典型的な症状 : それまでごく普通の生活を送っていた人が、
      めまいや立ち眩みを感じたり、あるいはうまく歩けないなどの症状を感じるところから始まる。
      これが数ヶ月のごく短期間のうちに、目が見えにくくなり、音が聞こえなくなり、
      言葉がうまく話せなくなり、字が書けなくなるなど、どんどん症状が進行し、
      一気に痴呆状態になってしまう。多くの人は一年も経たないうちに「無動性無言」という
      寝たきりの状態に陥ってしまい、全身衰弱、呼吸麻痺、肺炎などで死に至ってしまう。
    ヤコブ病の発症率 : 100万人に1人だが、脳外科手術に伴い硬膜の移植を受けた人では
                   2000人に1人となる。男性よりも女性にやや多く、平均発症年齢は63歳。
    変異型ヤコブ病(vCJD) : 牛の異常プリオン(たんぱく質の一種)である牛海綿状脳症(BSE)から、
      ヒトに感染するとされ、社会的に大きな問題となっている。
      脳にスポンジ状の空洞ができ、イライラなどの精神症状や知覚障害、歩行困難などの症状を示す。
      従来、老人の病気とされていたヤコブ病の新しい型で、若年でも発症し、
      現状では根本的な治療法がなく死に至る。しかし、通常の生活で人から人へは感染せず、
      二次感染を心配する必要はない。1996年にイギリスで初めて確認され、2005年1月現在、
      世界で167人の患者が確認されている。そのうち153人は英国で確認され、
      英国以外ではフランス、イタリア、アイルランド、カナダ、米国で見つかっている。
      このうち多くが英国に滞在していた。
    国内で2004年12月に死亡した男性(当時51歳)がBSEが原因とされる変異型(新型)
    クロイツフェルト・ヤコブ病と疑われるとして厚生労働省は2005年2月4日、緊急の専門委員会を開催、
    専門家による確認作業で変異型ヤコブ病と確認された。国内で初めてだが、患者は英国への
    渡航歴があり、BSEが多発していた1989年に1ヶ月ほど滞在していたことが確認されていて、
    厚労省は「現時点では英国で感染した可能性が有力」とみている。
薬価(やっか) = 薬価(別掲)
腰痛(lumbago、a backache)ようつう
    腰部・臀部(でんぶ) に鈍い痛みや不快感、腰を伸ばすと痛むなどの症状が慢性的に続く状態、
    あるいは重いものを急に持ったときに起こる「ぎっくり腰」のことをいう。
    人間は直立歩行を始めた時から、 宿命的に腰痛の問題を背負わされているといっても過言ではない。
    人の80%は一生に一度は腰痛を経験すると いわれている。
    腰痛の主な症状
     急に激しい痛みが腰に起こり、立つことも歩く事も出来ない「ぎっくり腰」に見られる急性的なものと、
     痛みはそれほど強くないが常に腰が重かったり、痛かったりする慢性的なものがある。
    腰痛の原因
     腰痛を起こす原因を大きく分けると、@骨格による、A筋肉による、B血行による、の3つになるが、
     一般に腰痛は、姿勢の悪さや激しい労働や運動、老化が原因で背骨に異常が生じたために起こる。
     しかし腰には、皮下組織・筋膜・筋肉・靭帯・骨・軟骨・関節・椎間板・神経・血管などが複雑に
     入り組んでおり、 脊椎の疾患や外傷、椎間板の異常のほか、妊娠や婦人科的疾患、
     泌尿器・生殖器系疾患、神経・筋疾患、細菌が原因の骨髄炎、脊髄のガン、他の臓器のガンなど、
     そのどれかに障害があっても腰が痛むために腰痛の原因は様々で、年齢によっても特徴がある。
     20〜30歳代は椎間板(ついかんばん)ヘルニアや腰痛症、脊椎(せきつい)分離症、
     40歳代以降は変形性脊椎症やカルシウム不足による「骨粗鬆症」が多くなる。    
    腰痛の予防 : 腰痛そのものが命取りになることはないが、他の病気に影響したり、
     精神的にストレスをためることになったりするので、ならないように予防をしっかりしておくことが大事。
     @姿勢を正しく、何時間も同じ姿勢でいない。ときどき背筋を伸ばす。
     A運動不足にならない。腰だけの運動でなく、全身の柔軟運動を毎日少しずつ続けること。
      背筋、腹筋、大腿筋などの筋肉が弱っていると骨に負担がかかりやすくなる。
     B太りすぎない。腰痛を訴えている人には太り気味の人が圧倒的に多い。
      体重の重さが腰に負担をかけてしまうことになる。
     C柔らかすぎるベッドはいけない。柔らかいベッドだとお尻が落ち込めために腰がだるくなってしまう。
      硬めの布団のほうが、背筋がのびていい。
     D風呂を有効に使う。風呂の中で背筋を伸ばしてみたり、
      風呂からあがったら軽い体操をするのも筋肉がほぐれるので効果的である。
     E中腰にならない。特に朝起きたときには、腰の筋肉がまだ十分に目を覚ましていないので、
      中腰は腰に負担をかけすぎることになり、ギックリ腰になることが多い。
      私の最初のギックリ腰は、徹夜マージャンのあとで家に帰って眠っていたときに、
      町内会の溝掃除に隣の家の人に起こされ、中腰で溝のフタを上げたとたんに激痛が走った。

     F靴は合ったものを履く。合わない靴をはいているだけで腰に悪い影響を及ぼす。
      女性の場合、あまり高すぎるハイヒールは考えものである。
    参 : 座骨神経痛コラーゲン
ランチメイト症候群 = ランチメイト症候群(別掲)
リウマチ(rheumatism) : リューマチ、リウマチス、ロイマチス。関節リウマチ。
    骨・関節・筋肉などの運動器の疼痛とこわばり・腫(は)れ・痛みなどの症状を呈する疾患の総称。
    古くは悪い液が身体各部を流れていって起こると考えられ、名は流れる意のギリシア語に由来している。
    自分の免疫の仕組みに異常が生じて起きる病気だが、詳しい原因はわかっていない。
    全身の関節に炎症が起こり、とくに手足の関節に起きやすい。
    代表的な疾患にリウマチ熱・慢性関節リウマチがある。
    現在は主に「慢性関節リウマチ」をいい、関節の痛み・腫れ・炎症が全身に広がる病気で、
    この症状が長く続くと関節の変形・破壊が進み、最終的には、身体障害にまで至ってしまう。
    このようなリウマチの患者は推計約70万人では、30〜59歳くらいの人が発病しやすく、
    また、女性に多い病気で男性の約3倍とされる。慢性関節リウマチの分類として、症状から着目すると、
    「リウマチ性疾患」というグループになり、原因からの分類では、「自己免疫疾患」に分類され、
    局所で起こっている変化での(病理学的)分類からは、「膠原病」のグループに入る。

    免疫反応の調整で関節リウマチの痛みを和らげる効果があるとされ、
    2003年4月に認可されたリウマチ治療薬「アラバ(一般名・レフルノミド)」を服用した日本人のうち、
    間質性肺炎の副作用が出たと疑われる割合は海外の例に比べ60倍高いことが、
    日本リウマチ学会の調査でわかった。
    原因として遺伝子の突然変異が考えられるが、詳細はわかっていない。
  
    リウマチの原因
    遺伝が原因であったり、年齢的なものやホルモン、細菌・ウイルスなどの感染やストレス、
    気象条件などの周囲の環境からの悪影響などが複合的に作用した結果、自己免疫機構の
    乱れが生じて発症するといわれているが、はっきりした原因は解明されていない。
    リウマチの主な症状(慢性関節リウマチの初期にあらわれる症状には次のようなものがある)
     @朝、起きたとき手足がこわばるA手足がチクチクと痛んだり、しびれたりする。
     B左右対称に、複数の関節が痛むC全身の疲労感、微熱、食欲不振がつづく。
    リウマチの治療
     ●基礎療法 : 関節の安静、規則正しい生活、運動・リウマチ体操などの関節機能の保持が含まれる。
     ●薬物療法 : 炎症を抑える薬(非ステロイド系抗炎症剤など)、
               抗リウマチ薬(疾患修飾性抗リウマチ剤など)、
               ステロイド剤(副腎皮質ホルモンの製剤など)、
       などを患者の症状にあわせて組みあわせて使う。
     ●手術療法 : 痛みをとるための手術、人工関節などの関節機能の再建、滑膜切除などがある。
    神経痛・リウマチによく効く温泉椎間板ヘルニアや関節痛などの湯治)
      鉄輪(かんなわ)温泉(大分県) : 硫酸塩泉。
         特に、中野屋(貸間旅館)は、3000円からの一泊自炊があり、
         料理に使う火力は全て中庭から吹き出す高温の蒸気を利用する。
         香りの良い石昌(せきしょう)という薬草を敷き詰めた蒸し風呂の効果も大きい。
    関節痛によく効く温泉 : 俵山温泉(山口県)
    慢性関節リウマチ(RA) : 全身性の病気で、主に手指や関節(滑膜)といった運動器官に
    繰り返し炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され次第に変形し、疼痛や機能障害を引き起こす病気。
    原因は不明だが、ウイルス感染などを契機とした免疫異常によるものと考えられている。
    40歳代の発症が最も多く、女性は男性の5〜6倍も発症率が高く、出産後に発症することもある。
    ホルモンバランスが崩れ、体力が落ちた時に起こりやすいとみられている。
    予防 : 症状が「朝のこわばり」と呼ばれ、@朝目覚めた時に、関節のこわばりが1時間以上続く
     A3カ所以上の関節がはれるBはれが左右対称、これらの症状が長く続くほか、
     手が握りにくかったり、指を動かすのに抵抗感を感じたりしたら関節リウマチの疑いがあり、
     進行すると治療が難しくなるので、リウマチの専門医にかかるか、整形外科で受診する。
    参 : タクティールケアシェーグレン症候群

    関節リウマチ薬79人死亡、「エンブレル」投与後
     関節リウマチの治療薬エンブレル(一般名エタネルセプト)の投与後に死亡し、
    薬との因果関係が否定できないと製造販売元のワイス(東京都品川区)に
    判断された患者が79人に上ることが、2007年12月6日、分かった。
     エンブレルは関節リウマチの痛みや炎症を抑える薬で、世界70カ国以上で承認されている。
    既存の治療薬が効きにくい人に使われる。炎症作用を著しく抑制する一方で、
    免疫抑制作用があり、添付文書で、結核や敗血症などの感染症が悪化するなどして、
    致命的な経過をたどる恐れがあると警告している。
    厚生労働省安全対策課は「情報収集し、必要な対策を検討する」と話している。
     ワイスによると、国内で2005年1月に承認され、
    同年3月の販売開始後からこれまでに約2万人が使用、約840件の副作用報告が寄せられた。
    因果関係が否定できない死者は、2007年11月30日までの報告で79人にのぼった。
    20〜80代の男女で大半は60、70代だった。
臨床研究 = 臨床研究(別掲)
臨床研究制度 → 臨床研究制度(別掲)
淋病(りんびょう) = 淋病(性関連用語に別掲)
レジオネラ菌 = レジオネラ菌(別掲)
ロコモティブ・シンドローム = ロコモティブ・シンドローム(別掲)
























































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