イモ類(YSミニ辞典)
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甘薯(a sweet potato)さつまいも、かんしょ : 薩摩芋。琉球薯
(りゆうきゆういも)。唐芋
(からいも)。
中央アメリカ原産のヒルガオ科のつる性多年生草で、3000年以上も前から原住民らに栽培されていたが、
新大陸発見時に
コロンブスがスペインに持ち帰り、それが世界各国に広まった。
日本には中国・沖縄を経て16〜17世紀ごろ(1597年とも言われる)に宮古島に入ったのが最初で、
徐々に琉球や長崎、鹿児島の薩摩地方などに伝わり、南九州で栽培が始められた。
薩摩で多く栽培されたことから「さつまいも」と呼ばれるようになった。
江戸時代の1735年に青木昆陽が、どんな環境でもよく育つことから、
飢饉の際の凶荒対策にさつまいもを推奨したことにより全国に普及したと言われている。
そして終戦前後の食料難の時期には主食代わりになり多くの人々の命を救った。
茎は赤紫色を帯び、卵心形の葉を互生。夏、ヒルガオに似た花を開く。
サツマイモの花(鳥取の錦織梨園の錦織さん提供)
根の一部は肥大して塊根(芋)となる。かつては、太るとか胸焼けがするとかの理由で
敬遠されることがあったが、今では健康食物として脚光を浴びるようになっている。
胸焼けは食べるときに胃液を中和する食品を一緒にとると防げる。例えば塩やバターをつけるとか、
牛乳を飲みながら食べるとよい。皮ごと食べればいちだんと効果がある。
食用のほか、
澱粉(デンプン)・
ブドウ糖・
アルコール・
焼酎(しようちゆう)などの原料とする。
キントキなど品種が多い。[
季語]秋−植物。
品種 : 家庭菜園用には、「紅赤
(べにあか)(金時)」「鳴門金時」「紅農林」
「紅吾妻」「高系
(こうけい)14号」「太白
(たいはく)」「オイラン」などが作りやすい。
鹿児島など南九州で最も多く栽培されている農林31号の「黄金千貫
(コガネセンガン)」は、
紡錘形または下膨紡錘形で大型になり、でんぷん量が多く、
味もよい万能型の芋で、芋焼酎の原料として主に用 いられるが、
小ぶりのものは「コガネイモ」などの名称で青果用として市場でも販売されている。
暖地の畑では表面が黄金色になり多収性であるところからこの名が付いた。
とみつ金時 : 福井県北部・あわら市の海沿いに面した富津
(とみつ)地区で作られている。
丘陵地にあるこの地は、やや赤土を含む砂地で水はけが良い土地で、北陸地方にありながら、
比較的温暖で夏の日照時間が長く、太陽の光をたっぷり浴びておいしいサツマイモが育つ。
寒暖の差を生むこの自然環境のおかげで、甘みが強く、適度な水分が詰まっているのが特徴である。
ビタミンやミネラルを豊富に含み、食物繊維が非常に多い低カロリー食材である。
とみつ金時(47CLUBより)
管理方法 : 暑さや乾燥にはたいへん強く、寒さには弱い性質があるので、
秋田、岩手の北部以北の栽培は難しい。
夏の日差しと高い気温、地温を好み、20度以上35度までぐらいのときよく育つ作物である。
土 : たいていの土地で作れ、元肥も草木灰や堆肥くらいで、手のかかるものではない。
苗の選び方 : 5月上旬ごろの春先になると、園芸店や種苗店で根が付いていなくて
何本か束になっている苗が出るので購入すればいい。
苗は茎が太く、葉が5〜6枚付いていて、見るからに元気そうなものを求める。
準備 : 植え付けの1〜2週間前に、畑をよく耕し、うね幅60cmに深さ15cmの溝を堀り上げ、
溝の底に草木灰、堆肥、腐葉土などを5〜6cm厚さに敷き詰める。
なお丁寧にするなら、過リン酸石灰か化成肥料を薄く振り込んでから、
その上に10cm厚さくらいに堀り上げた土を戻し、地面より3〜5ソモ高くなるようにくらつきをする。
植え付け : 苗は、いったん切り口を水につけてから、小高くしたうねの頂上の部分に、
30〜35cmおきに植えていく。苗の植え方は葉を外に出して茎の切り口を外に出す
「船底植え」があるが、茎の切り口まで埋め込む「改良船底植え」が一般的なやり方で、
ピアノを弾くような手つきで両手でぐっと土中に2〜3cmほど茎を押し込む。
深くさすと低温に加え根の呼吸作用が十分に行えないことから発育が悪くなり、根がたこ脚になってしまう。
苗の形によっては斜めに植える場合もある。うねが南北の場合は、苗先を南に向けて植える。
発根 : 地温が15〜20度と高ければ2日か3日で根が出、遅くとも10日ほどで根が出てくる。
植え付け後1週間くらいの間、苗がしおれるようなら軽く水をやる。
発根してからは苗の先の方からさかんに新芽が伸びてくる。
手入れ : つるが地上の節から2〜3本伸びたころ、草取りをして、株と株の間や、
うねの間に化成肥料を1株に1つまみくらいずつ追肥し、軽く根元に土寄せする。
盛夏になりつるがどんどん伸びてくると、時々つるを返したり切り捨てたりするが、
このときつるを持ち上げて草をむしったり、草木灰か消石灰を少しまいてやると、
イモの質がグンとよくなる。会社OBの掲示板で、「福寿草」さんから教わったが、
収穫前にツルの恩返しをすると、イモのほうに葉の養分が集まり、
イモが大きくなり、形や香りまでも良くなるそうである。
「
ツルの恩返し」とは、収穫間際になってきたら、イモのツルを地面から離し、
細かな根を切ってしまうこと。
収穫 : 早生
(わせ)の早や掘りは8月の旧盆ごろから9月ごろで、
普通は10月から11月ごろに1株掘ってできを見てから掘り出す日を決め、
つるを全部刈り取ってからイモを掘る。霜がおりない前に掘ってしまいましょう。
病害虫対策 : 苗をさす前に、ベンレートかトップジンMの液に1時間ほどつけて消毒すると、
黒斑病や黒アザ病を予防することができる。
イモコガ幼虫、ハスモンヨトウ、ナカジロシバタ幼虫などのイモムシ類に葉を食べられる場合は、
持続性のあるカルホス乳剤を半月おきくらいに散布すると予防できる。
カルホス乳剤は人畜には無害で池の鯉などにも影響がないと剪定師から聞いていたので、
私は松などの植木の消毒に使っているが、サツマイモなどの野菜には展着剤は使用しないこと。
なお、害虫類には強いことからか、園芸店などでの購入には住所氏名を明かして印鑑が必要になる。
また、ハリガネムシ(コメツキムシ幼虫)にイモを食べられる土地では、
畑の所々に糠
(ぬか)を埋め、4〜5日後に糠に集まってきたハリガネムシを糠ごとすくって焼く。
友人に借りた畑の土地で、5ミリ程度の丸い黒い虫にイモに穴を開けられたが、
駆除方法が分からないためにサツマイモの栽培はやめた経緯がある。
出来たサツマイモは近所や友人に配ったが、穴が多く開いていたイモは自分たちが口にした。
緑を楽しむ水栽培 : 器に4〜5cmほど水をいれ、イモを置いて、日当たりの良い場所に置く。
夜は新聞紙かビニールをかけておくと、20〜30日で可愛い葉がたくさん出てくる。
さつまいもの日 : サツマイモのことを「栗(九里)より(四里)うまい十三里」ということで
「十三里」と呼ぶことから、「川越いも友の会」がシーズンである10月13日を制定した。
主な栄養成分 : ビタミンB群、
ビタミンC、
ビタミンE、
βカロチン、
カルシウム、
リン、
鉄、
カリウム、
食物繊維、ヤラピン、アミラーゼ
さつまいもの効用
●
食物繊維 :
コレステロールを低下する働き、大腸の運動を促進し排便を促す作用があるため、
便秘や
大腸ガン、
動脈硬化、
糖尿病の予防にも効果がある。
サツマイモの食物繊維は煮ることにより増えることがわかった。
●
でんぷん : 体内で消化吸収されて、エネルギーの源になる。供給されるカロリーは
ご飯とほぼ同じくらいなので、主食として代用することも十分可能である。
●
ビタミンB1 : サツマイモに多く含まれたいるビタミンの一つ。
脚気や多発性神経炎の予防に効果がある。
●
ビタミンC : ビタミンCの含有量はイモ類の中でもトップクラスで、その量は夏みかん並み、
リンゴの10倍と言われる。ビタミンCは
コラーゲンの作成を助け、シミやソバカス予防、
風邪予防、疲労回復などに効果がある。さつまいもに含まれるビタミンCは、
熱に強く、過熱しても壊れないのが特徴で、澱粉に守られているために、
煮たり焼いたりしても生の時の70%は残ると言われる。
1本で1日に必要なビタミンCの量を摂取することが出来る。
●
ビタミンE : 細胞や血管の若さを保つには欠かせない栄養素で、
老化防止にも効果があり、
野菜類の中でもさつまいもにもっとも多く含まれ、
ガン予防にも期待が持てる。
●
カリウム : 体内の塩分を排出する働きがあるので、高血圧予防に効果的。
●
カルシウム : イモ類の中ではもっとも多く、牛乳の約3分の1のカルシウムが含まれている。
●
βカロチン : ベニハヤトやベニアズマなどの黄色みを帯びた品種には
ガン予防効果のあるベータカロチンが多く含まれている。
●
鉄分 : 緑黄色野菜と比較するとかなり少ないが、レバーなどより食べやすいので、
毎日一定量を食べることでかなり充足できる。
●
ヤラピン : 切り口からにじみ出る白い液は「ヤラピン」と言って、便通を良くし、
大腸ガン予防にもなる。イモ類の中では“さつまいも”だけに含まれている。
皮にも多く含まれているので、皮ごと食べると便秘解消に一層効果がある。
●
ガン予防 : サツマイモはすりおろして揚げることでガン予防効果が4倍高まり、
レンコンと一緒に揚げるとさらに効果が高まる。
ガン予防効果が最も高いのは黄色系、橙色系のサツマイモである。
●
肥満予防 : サツマイモはふかすことで食物繊維が1.6倍増え
肥満予防効果が高まる。
ふかしたサツマイモを
タラコと一緒に和えるとさらに肥満予防効果が高まる。
肥満予防効果が最も高いのは紫系のサツマイモである。
●
美白効果 : サツマイモは煮ることで苦味成分のクロロゲン酸などの
サツキイモポリフェノールが有効に摂れ、美白効果が高まる。
さらに美白効果を高めるには白色系のサツマイモを皮ごと梅干と一緒に摂る。
●
便秘・肩こり予防改善 : サツマイモはジュースにして摂るとヤラピンを逃がさず摂れ、
便秘や肩こり予防効果が高まる。さらに効果を高めるには
電子レンジで下ごしらえしたサツマイモとヨーグルトをジュースにする。
●
魚の小骨を取る : 民間療法ではあるが、子供の咽喉に魚の小骨がひっかかったりした時に、
蒸かしたサツマイモをあまり噛まないで多めに食べさせると、
繊維が小骨を包み込むから楽に飲み込めて排泄もできるそうである。
美味しい“さつまいも”の選び方
★ひげ根のあとが小さいもの。
★太くて重みのあるもの。
★つやが良く、表面がなめらかなもの。
さつまいもの保存方法 →
食品保存法
調理のポイント
●でんぷん質を分解する酵素「アミラーゼ」を含んでいて、
この酵素は、ゆっくり過熱するほど活発に活動して、甘味を増す特徴がある。
つまり、焼き芋は、この特性を生かしてじっくりと時間をかけて焼いているから甘くて美味くなる。
ちなみに、電子レンジでは急速に過熱をするので、甘味が引き出されない。
●さつまいもは空気に触れると変色しやすいので、切ったらすぐに水につける。
●あくは、皮から1〜2mmのところにあるので、皮は厚めにむく。
干し芋(ほしいも) : 主に玉豊
(たまゆたか)という品種の蒸したさつまいもを
薄切りにして乾燥させるだけの素朴で単純な食べ物で、「乾燥いも」とも呼ばれる。秋・冬限定の
茨城県特産の自然健康食品で、「あまいも(Amaimo)」や「丸干し」のブランド名でも販売されている。
参 :
ひたちなか食彩倶楽部(HP)、
株式会社マルヒ(HP)、
干し芋工房「かけみや」(HP)、
永井農芸センター(HP)、
株式会社浜喜(HP)
里芋(a taro)さといも : はたけいも。いも。たいも。サトイモ科の多年草。熱帯アジア原産。
熱帯・温帯で広く栽培され多くの品種がある。茎はほとんど伸びず、葉は高さ約1メートルの
長い葉柄をもち、葉は長い葉柄につき、大きい卵円形で深く二裂する。
夏にまれに花が咲き、淡黄色の細長い仏炎苞
(ぶつえんほう)で包まれた雄花と雌花をつける。
球茎(芋)と葉柄はにする。日本への渡来は古く、近年までは主食とする地域もあり、
また各地で重要な供え物とされた。ヤツガシラ・エグイモ・アカメイモなど品種が多い。[
季語]秋−植物。
健康効果
●サトイモに含まれる成分シガラクトシルジアシルグリセロールには体内の
コレステロールの
増え過ぎを抑えて
高脂血症を防ぐ強力な効果があることが判り、約130種類の食材の中で最も
強力だった。加熱する前に酢水に約10分間浸けた後で最低40分間煮込むとさらに効果が高まる。
煮込む時に隠し味に牛乳を加えると脂肪合成を防ぐ作用がさらに高まり、効果が倍増する。
●サトイモには免疫力の要「
リンパ球」を保護し、強化する強力な効果があることが判り、
優れた
ガン予防効果がある。さらに効果を高めるには皮付きのまま電子レンジでチンした後、
油で揚げるとよい。なお、揚げたサトイモを黒ゴマと一緒に摂ると
免疫力を強化する作用が約3倍に高まる。
●サトイモに含まれるマンナンなどの粘質成分は
血糖値の急上昇を防ぐと同時に、
インシュリンの働きを高めて強力な
糖尿病予防効果があることが判った。
皮が濃い茶色でシマ模様がくっきり出ているものを選び、皮付きのままゆでてから
皮をむき、少量の塩を加えつぶして練ることで粘質成分がさらに増え効果が高まる。
このサトイモを大豆食品と一緒に摂ることで糖のエネルギー効率がさらに高まり効果が倍増する。
自然薯(a Japanese yam)じねんじょ : 自然生。山の芋、山芋(ヤマノイモ)の別名。
日本原産で、日本と台湾の山野に自生するつる性多年草のヤマノイモ科ヤマノイモ。
主に食用とされる細長い凹凸のある塊根を指す。栽培種とは比較にならない粘りが特長で、
古くから滋養・強壮作用があるとして薬用食とされた。調理は、とろろにすると大変おいしい。
むかごも食用。旬は秋から冬。[
季語]秋−植物。
栽培されている長芋やイチョウ芋、大和芋、ツクネイモなどのヤマイモは、
中世頃に中国から日本に伝来した「ナガイモ(Chinese yam)」の一種で、
ヤマノイモ(自然薯)とは別の種になる。
JA鳥取中央の「砂丘ながいも」。自然薯をパイプの中で長く真っ直ぐに育てる(長い方で71cm)
自然薯の健康効果
自然薯の大きな特色は、良質の澱粉質に加え、アミラーゼなどの酵素がたくさん含まれていて、
食べたものを速やかに消化吸収する作用がある。胃がもたれても、とろろを食べればいつのまにか
さっぱりしてしまう。また、
カルシウム、
鉄分、
リン等の
ミネラルや
ビタミン類も豊富で、
新陳代謝や細胞の増殖機能を促進する作用も著しく、疲労回復、成人病、
ガンや
糖尿病予防にも
効果があると言われる。古来より精のつく滋養強壮食として一般に用いられてきた他、
漢方薬でも「山薬」「じょよ」と称し珍重されてきた。また、最近になって自然薯にだけ含まれる
ディオスゲニンと言う物質が、若さの維持やホルモンバランスに関係している
DHEAを増やす役割があるということも分かた。
DHEAとは神経ホルモンの一種で脳内の神経細胞の情報伝達に関与し、
神経伝達物質ドーパミンを適切な量に戻したり、ホルモンの分泌を促進させる効果がある。
参 :
八つ頭
ジャガイモ(a potato) : じゃが芋。馬鈴薯
(ばれいしよ) 。ジャガタラいも。
形が馬につける鈴に似ていることから名がついた南米アンデス中南部山地原産のナス科の多年草。
人類の生活に古くから密着した野菜で、その起源は約1万年前の南米アンデス地方にさかのぼり、
16世紀ごろ、スペイン人がヨーロッパに伝えたのを期に世界へと広がった。
一方、日本で食用として本格栽培が始まったのは意外にも最近で、
明治時代に北海道の開拓民がアメリカから多品種を輸入したのがきっかけだったという。
その後、カレーやシチューなど洋食志向の波に乗り、ジャガイモは一気に食卓の人気者となったのである。
高さ約60センチメートル。夏、白または淡紫色の花を開く。
地下茎が分枝し、その先に
デンプンが蓄えられて芋となる。芋を食用とするため、世界で広く栽培される。
和名は、インドネシアのジャガタラ(ジャワ)から渡来したので、
当初は「ジャガタライモ」と呼んでいて、それがなまって「ジャガイモ」になったという。
「新ジャガイモ」(新馬鈴薯
:しんじゃが)は普通のジャガイモの収穫時期よりも早く収穫したものを指し、
若く水分を豊富に含んでいるため、皮がやわらかく、丸ごと調理できるのが魅力である。
[
季語]秋−植物。「ジャガイモの花」の[
季語]は夏−植物。
ジャガイモの葉(2009.11.8、防府市大道にて)
代表的な品種
★
男爵 : 国産ジャガイモの代表品種。球形で身が白く、見た目がゴツゴツしていて芽の部分の
窪みが深いことや粉質のホクホクした食感が特徴。でんぷんの量は約15%と多いが、
煮崩れしやすいので、コロッケ、ポテトサラダ、マッシュポテトなどの料理に適している。
名前の由来は、男爵薯を北海道にもたらしたのが函館の川田龍吉男爵という人物だったからで、
函館近郊の七飯町での栽培から全道に広まった。現在では今金町や倶知安
(くっちゃん)町、
京極町などが男爵薯の主な産地となっている。
男爵(森浦農場HPより)
★
メークイン : 大正時代にイギリスから日本に伝来した。俵型で細長く、芽も浅いために
皮がむきやすいという特徴がある。中は黄色で粘りがあるために煮崩れ しにくく、
カレーやシチュー、 肉じゃがなどの煮込み料理やいため物に適し、ポテトサラダにも使える。
でんぷん量は13〜14%だが、糖分と水分が多いので、揚げ物などにすると茶色く変色してしまう。
名前の由来は、原種がイギリスで「May Queen」と呼ばれていたところからきている。
大きくなってもスがはいることは少なく、男爵薯よりも価格は高価だが大変人気のあるじゃがいもで、
5月頃の メークインはとても甘みがあっておいしいが、秋の新じゃがの甘みはそれほどでもない。
メークインの花は、白にピンクがかった紫色の絞り模様で とても可愛らしい花である。
メークイン(森浦農場HPより)
★
キタアカリ(北明り) : 別名に「黄金男爵」「栗じゃが」がある。ジャガイモシストセンチュウに
抵抗力のある品種の開発を目的とし、北海道の農業試験場で1975(昭和50)年に誕生し、
1987(昭和62)に登録された。男爵と同じく粘質だが、甘味があり、肉色は明るい黄色で、
ビタミンCも豊富なことから、ヘルシーなジャガイモとして人気がある。
名前の由来は、北海道の北の大地である育成地で、じゃがいもを線虫から守って、
希望と明るさを見いだそうというところからきている。
栽培の多くは後志や十勝、上川地方で作られている。
キタアカリ(森浦農場HPより)
★
トヨシロ(豊白) : 1960(昭和35)年に北海道農業試験場で、
北海19号とエニワを掛け合わせて誕生し。様々な試験の結果、油による加工品に
適していることがわかり、1976(昭和51)年に「ばれいしょ農林21号」の名前で登録され、
加工原料の品種となった。色の良いことからトヨシロと名付けられ、
北海道 や福島県で奨励される品種となった。
加工を目的とする品種としては日本で初めての品種で、主にポテトチップスに加工されている。
トヨシロ(北相種苗HP)
健康効果 : ジャガイモに含まれる
カリウムは塩分排泄効果、ビタミンCは抗酸化、
葉酸は血管を柔軟にし、クコアミンは血圧下降効果があるので、血圧を安定にする。
特にビタミンCの含有量は「大地のリンゴ」と呼ばれるほど、リンゴよりも多く約8倍で、
でんぷんに包まれているため熱に強く、加熱しても失われにくいのが特徴である。
●ジャガイモの
糖尿病予防・改善効果は揚げることで
難消化性デンプンが油に包まれ糖の吸収スピードがゆるやかになり効果が高まる。
揚げる前の切ったジャガイモに「
シナモン」を振りかけておくと、さらに効果が高まる。
●ジャガイモの皮と皮の近くに
肥満予防に効果的なポテトプロテインが豊富にあるので、
皮ごと食べないと充分に発揮されない。
●新ジャガの肥満予防・改善効果を最大限に生かすには切らずに熱湯から茹でる。
また、その食べ方は、夕食で皮ごと茹でた新ジャガ50g程度を最初に食べる。
それには「白味噌ズンダ和え」が効果を最大限に高める。
●
脳の活性化・
認知症予防効果のあるギャバという活性化を促す成分をさらに増やすには、
すりおろしたジャガイモに
ピーマンのすりおろしを合わすとよい。
●ジャガイモの
ビタミンC合成酵素と甘味成分を増やすには、
冷蔵庫で冷やしてから(3日以内)
アボカドなどの果物と合わせると美肌効果が倍増する。
また、ビタミンCを体内で長持ちさせるには、電子レンジで加熱したジャガイモをポテトサラダにして、
1日150gを朝・昼・晩食の3回に分けて食べるとよい。
じゃがいもの豊富なビタミンCは加熱にも強く壊れにくい!
●ジャガイモの
鉄分は体に吸収されやすく、
アスパラガスを加えるとさらに吸収が高まる。
●皮つきのまますりおろして団子にすると
腎臓の働きを高めてくれる。
●胃もたれや食欲不振のときに、ふかしたジャガイモを皮ごとすりつぶして食べると、胃腸も強化する。
すりつぶしたジャガイモに納豆を加えると
ピロリ菌への抗菌効果も高まる。
ジャガイモの納豆和え
【材料】ジャガイモ1/2個、納豆1/2パック
【作り方】@ジャガイモをふかして皮ごとすりつぶす。
A納豆を加えてお好みのタレをかけて出来上がり。
(健康効果は2005.6.1、9.5、12.9、2006.12.8、2007.9.11の
NTVの
おもいッきりテレビより引用)
ゆで方
●丸ごと皮つきのままゆでる時は、水から入れて中火でゆっくりゆでるのがコツ。
●マッシュポテトにする場合は、皮をむき、切ってからゆでるのがおすすめ。
ジャガイモの皮を一瞬でむく方法
ジャガイモの中央部分に1ミリほどの切り込みを1周入れて茹で、
用意した氷水に10秒間ひたし、両端側に引くと簡単にむける。
芋茎(a stem of the taro)ずいき : @「芋苗」や「瑞饋」とも書き、サトイモの葉柄
(ようへい)をいう。
また、乾燥させたものを「芋殻
(いもがら)」といい、どちらも食用とする。
名前の由来は、芋の中心から出た茎ということで「髄茎
(ずいき)」と呼ばれたという説と、
南北朝時代の臨済宗の僧「夢窓国師漱石」の詩「いもの葉に置く白露のたまらぬはこれや
随喜の涙なるらん」から取られたという説がある。干したずいきは貯蔵性に優れるため、
加藤清正は熊本城を作った際に畳の床材としたり、女性の着物に縫い込んだりして、
飢饉や戦の際の非常食として活用したそうである。[
季語]秋−植物。
石川県で作られる「ずいき」は、
八つ頭の葉柄
(ようへい)のことで、皮をむいて茹で、
酢の物などにして食す。すっきりとして口当たりも良く、シャキシャキとした歯触りで古くから
親しまれてきた食材で、2002(平成14)年に加賀野菜として認定されている。
ずいきの食べ方 : ずいきはアクが強く、料理する際にはアクを抜かないと喉や舌にエグミを
感じる場合がある。アクを抜くには、皮をむいたずいきを5cm程度の長さに切り、
水に30分ほどさらしておく。ちなみに、皮をむく際は水の中でむくようにすると色が手に付着しない。
さらにその後、空の鍋に入れ蓋をして火にかけ、頃合を見て少しかじってみる。
程よい歯ざわりになったところで酢と砂糖を入れる。酢を入れると鮮やかな赤色を帯びる。
火を止め、冷ましてから冷蔵庫で保存しておく。
Aサトイモの茎(ずいき)で作った性具。
八つ頭(a taro)やつがしら : インドを含む東南アジア原産のサトイモ科・里芋の一種で、
山に自生する山芋(
自然薯)に対して里で栽培されることからこの名前が付いたとされる。
日本には中国南部を経て、縄文時代中期に渡来した。八つ頭は、親芋のみを食べる親芋用種で、
7〜9個ほどに分球したものが1つになるために、この名がある。
調理は、でんぷん質に富んで大変おいしく上等の煮物に用いられる。旬は冬。[
季語]秋−植物。
栽培 : 植えてから収穫するまで約4カ月かかり、すくすくと育てるためには、土作りが大切で、
耕土が深く、排水の良いところで、灌水のできるところか良い。
連作すると生育が悪くなるので、できれば最低3年間は同じ場所で作らない。
定植1カ月前には、堆肥として牛フン堆肥をたくさん施しておくが、ない場合はジョアソイルでもよい。
同時に苦土石灰、ようりんを施す。元肥(IBS1号または鶏糞など)は、肥料が作物に
吸収しやすい状態になるまでに時間がかかるので、植え付ける1週間前には施しておく。
うね間は75cmとし、耕土の浅い水田では75cm以上あけ、広くとる。水田では、
あらかじめ高うねにして排水をよくし、大雨が降ってもイモが水につからないようにしておく。
種芋は大きさ40〜100gのもので腐りのない芋を1aあたり30〜50kg程度準備し、
小さい芋は2〜3個寄せ植えする。大きい芋と小さい芋ではくきの伸びが違ってくる。
生育の差ができると、後の管理や収穫の時に困るのでうねで分けて植える。
定植時期は3月中〜下旬で、本葉展開前で芽の長さが4〜5cmのものを植え付け、
株間30cmとし、地上に芽が出る程度埋める。
うね間75cm、株間30cmで1aあたり444株植えられる。 参 :
保存方法、
芋茎